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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094365
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】木材組立て家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 47/04 20060101AFI20220620BHJP
   A47B 87/02 20060101ALI20220620BHJP
   F16B 12/46 20060101ALI20220620BHJP
   F16B 12/10 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A47B47/04 B
A47B87/02
F16B12/46 A
F16B12/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207180
(22)【出願日】2020-12-15
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520228784
【氏名又は名称】美吉野木材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(72)【発明者】
【氏名】吉良 竜介
【テーマコード(参考)】
3B054
3B260
3J024
【Fターム(参考)】
3B054BA05
3B054BA10
3B054BA16
3B054EA02
3B054EA03
3B260BA01
3B260BB02
3B260BC02
3B260BD01
3B260BD02
3B260BD04
3J024AA12
3J024AA43
3J024BA03
3J024CA15
(57)【要約】
【課題】 簡単に組立てられ、高いデザイン性を有する木材組立て家具の提供。
【解決手段】 中空角柱形状を有する木材組立て家具100は、各側面を形成する6つの基本部材101を有し、基本部材101は、断面、等脚台形形状の平板形状を有し、等脚台形形状の脚に対応する第1接合斜面101a2に接合凸部101bを、もう一方の脚に対応する第2接合斜面101a5に接合凹部101cを有し、隣接する基本部材101の一方の接合凸部101bともう一方の接合凹部101cとを接合することによって、容易に、中空多角柱形状のデザイン性が高い木材組立て家具100を形成できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して位置する端面の少なくとも一つが解放し、環状構造を有する中空角柱形状を有する木材組立て家具であって、
前記中空角柱形状の各側面を形成する基本部材、
を有し、
前記基本部材は、
互いに対向して位置する第1接合斜面、及び、第2接合斜面であって、前記第1接合斜面が、他の基本部材の前記第2接合斜面に接し、前記第2接合斜面が、その他の基本部材の前記第1接合斜面と接する第1接合斜面、及び、第2接合斜面、
前記第1接合斜面に沿って形成され、前記第1接合斜面から外側に向かって突出するように、前記中空角柱形状の前記端面の中心軸に沿って形成される平板形状の接合凸部であって、前記中心軸に対する垂直な断面が台形形状であり、前記台形形状の対向して位置する底辺のうち長さが短い上底が前記第1接合斜面に沿うように形成される接合凸部、
前記第2接合斜面に沿って形成され、前記第2接合斜面から内側に向かって窪むように、前記中心軸に沿って形成される接合凹部であって、前記中心軸に対する垂直な断面が台形形状であり、前記台形形状の対向して位置する底辺のうち長さが短い上底が前記第2接合斜面に沿うように形成される接合凹部、
を有する組立て家具。
【請求項2】
請求項1に係る組立て家具において、
前記係合凸部、及び、前記係合凹部は、
それぞれの前記断面が等脚台形形状であること、
を特徴とする組立て家具。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係る組立て家具において、
前記係合凸部、及び、前記係合凹部は、
前記基本部材の一の端面から、他の一の端面まで形成されること、
を特徴とする組立て家具。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに係る組立て家具において、
前記中空角柱形状は、
中空六角柱形状であること、
を特徴とする組立て家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材組立て家具に関し、特に、簡単に組立てられ、高いデザイン性を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材同士を接続する木工技術の一つに、蟻継ぎがある。蟻継ぎを用いた木工製品については、例えば、図9に示す寸法可変安定ドア1がある。寸法可変安定ドア1は、横桟11と縦桟12の芯材が寸法安定木材からなる。横幅調整用スペーサー13及び縦桟長調整用スペーサー14は、横桟11及び縦桟12の一部を構成することになるため、横桟11及び縦桟12と同様に寸法安定木材より構成する。その結果、寸法安定性に優れ機械的強度が優れた横幅調整用スペーサー13及び縦桟長調整用スペーサー14が凹凸接合部により嵌着接合されることになる。これにより、ドア本体部10の横桟11と縦桟12とは、強固な接合力のある凹凸接合部15を有する芯材を構成する。
【0003】
前記凹凸接合部15は、腰掛け蟻継ぎ(イ)又は腰掛け鎌継ぎ(ロ)或いはこれに準じた形状(図10上段及び下段参照)であることが好ましい。ここで腰掛け蟻継ぎ(イ) 、腰掛け蟻継ぎ(ロ)に準じた形状とは、例えば蟻ほぞ、扇ほぞ、杓子ほぞ、隠し目違いほぞなどをいう。これらは、いずれも高接合力を有し、強固な凹凸嵌合部を形成することになる(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-148605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の蟻継ぎを用いた木工製品には、以下に示すような改善すべき点がある。木工製品における蟻継ぎは、例えば、横桟11、及び、縦桟12のように、接続する部材が垂直となる位置に形成されるか、又は、例えば、横桟11、及び、横幅調整用スペーサー13のように、接続する部材が、直線となる位置に形成される。つまり、蟻継ぎを用いて接合する場所が限定され、蟻継ぎを用いては、デザイン性が高い木工製品を作ることができない、という改善すべき点がある。
【0006】
そこで、本発明は、簡単に組立てられ、高いデザイン性を有する木材組立て家具を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0008】
本発明に係る木材組立て家具は、対向して位置する端面の少なくとも一つが解放し、環状構造を有する中空角柱形状を有する木材組立て家具であって、前記中空角柱形状の各側面を形成する基本部材、を有し、前記基本部材は、互いに対向して位置する第1接合斜面、及び、第2接合斜面であって、前記第1接合斜面が、他の基本部材の前記第2接合斜面に接し、前記第2接合斜面が、その他の基本部材の前記第1接合斜面と接する第1接合斜面、及び、第2接合斜面、前記第1接合斜面に沿って形成され、前記第1接合斜面から外側に向かって突出するように、前記中空角柱形状の前記端面の中心軸に沿って形成される平板形状の接合凸部であって、前記中心軸に対する垂直な断面が台形形状であり、前記台形形状の対向して位置する底辺のうち長さが短い上底が前記第1接合斜面に沿うように形成される接合凸部、前記第2接合斜面に沿って形成され、前記第2接合斜面から内側に向かって窪むように、前記中心軸に沿って形成される接合凹部であって、前記中心軸に対する垂直な断面が台形形状であり、前記台形形状の対向して位置する底辺のうち長さが短い上底が前記第2接合斜面に沿うように形成される接合凹部、を有する。
【0009】
これにより、接合凸部と接合凹部とを接合するだけで、第1接合斜面と第2接合斜面とを接合できるために、隣接する基本部材を斜めに接合できる。よって、斜面を有するデザイン性が高い木材組立て家具を形成できる。
【0010】
また、接合凸部と接合凹部とを接合するだけで、道具を使わずとも、容易に、基本部材同士を結合でき、ひいては、容易に組立て家具を形成できる。
【0011】
本発明に係る木材組立て家具では、前記係合凸部、及び、前記係合凹部は、それぞれの前記断面が等脚台形形状であること、を特徴とする。
【0012】
これにより、等脚台形形状の接合凸部と接合凹部とを接合できるため、基本部材同士を強固に接合できる。
【0013】
本発明に係る木材組立て家具では、前記係合凸部、及び、前記係合凹部は、前記基本部材の一の端面から、他の一の端面まで形成されること、を特徴とする。
【0014】
これにより、接合凸部と接合凹部とを、長い距離で接合できるため、基本部材同士を強固に接合できる。
【0015】
本発明に係る木材組立て家具では、前記中空角柱形状は、中空六角柱形状であること、を特徴とする。
【0016】
これにより、複数の木材組立て家具を配置することでハニカム形状のデザイン性が高い収納家具を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る木材組立て家具の一実施例である木材組立て家具100を示す斜視図である。
図2】基本部材101を示す斜視図である。
図3】基本部材101の一方向からの斜視図である。
図4】基本部材101の他の一方向からの斜視図である。
図5図3に示す基本部材101の一部の拡大図である。
図6図4に示す基本部材101の一部の拡大図である。
図7】木材組立て家具100の組立て方を示す図である。
図8】木材組立て100を用いて形成した収納家具の例を示す図であり、Aは拡張した場合、Bは愁傷した場合を、それぞれ示す図である。
図9】従来の木材組立て家具を示す図である。
図10】従来の木材組立て家具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例0019】
本発明に係る木材組立て家具について以下に示す木材組立て家具100を例に説明する。
【0020】
第1 木材組立て家具100の構成
木材組立て家具100について、図1図7を用いて説明する。図1に、木材組立て家具100の斜視図を示す。
【0021】
木材組立て家具100は、木質材料を用いて形成される木工製品である。図1に示すように、木材組立て家具100は、対向して位置する両端面が解放し、環状構造を有する中空六角柱形状を有している。木材組立て家具100は、中空六角柱形状の中実部である側面を形成する6つの基本部材101により形成される。なお、木材組立て家具100の端面六角形の中心を通る軸を中心軸J100とする。
【0022】
基本部材101の斜視図を図2に示す。基本部材101は、本体部101a、接合凸部101b、及び、接合凹部101cを有している。本体部101aは、中心軸J100に対して垂直な断面が等脚台形形状である平板形状を有している。
【0023】
本体部101aの構成を図3、及び、図4を用いて説明する。図3は、基本部材101の接合凸部101b側の端部を、上斜めから見た状態を示す。図4は、基本部材101の接合凹部101c側の端部であって、図3の端部に対して対角上位置する端部を、下斜めから見た状態を示す。
【0024】
図3に示すように、本体部101aは、外面101a1、第1接合斜面101a2、及び、第1端面101a3を有している。外面101a1は、断面等脚台形形状の長さが長い底辺である下底に対応して形成される。外面101a1は、環状構造を有する木材組立て家具100の外周面を形成する。外面101a1は、内面101a4(後述)に対向して位置する。
【0025】
第1接合斜面101a2は、断面等脚台形形状の一方の脚に対応して形成される。第1接合斜面101a2は、外面101a1と内面101a4(図4参照)とを接続するように形成される。第1接合斜面101a2は、外面101a1に対して内角60度で配置される。第1接合斜面101a2は、第2接合斜面101a5(後述)に対向して位置する。
【0026】
第1端面101a3は、外面101a1、及び、第1接合斜面101a2に垂直に形成される。第1端面101a3は、等脚台形形状を有している。第1端面101a3は、第2端面101a6(後述)に対向して位置する。
【0027】
図4に示すように、本体部101aは、さらに、内面101a4、第2接合斜面101a5、及び、第2端面101a6を有している。内面101a4は、断面等脚台形形状の長さが長い底辺である上底に対応して形成される。内面101a4は、環状構造を有する木材組立て家具100の内周面を形成する。
【0028】
第2接合斜面101a5は、第1接合斜面101a2とは異なる断面等脚台形形状の脚に対応して形成される。第2接合斜面101a5は、外面101a1(図3参照)と内面101a4とを接続するように形成される。第2接合斜面101a5は、外面101a1に対して内角60度で配置される。
【0029】
第2端面101a6は、内面101a4、及び、第2接合斜面101a5に垂直に形成される。第2端面101a6は、等脚台形形状を有している。
【0030】
図3に示すように、接合凸部101bは、第1端面101a3から第2端面101a6(図4参照)まで、第1接合斜面101a2に沿って形成される。接合凸部101bは、第1接合斜面101a2から外側に向かって突出するように形成される。接合凸部101bは、中心軸J100に対して垂直な断面が等脚台形形状であり、中心軸J100の方向に沿った平板形状を有している。
【0031】
図5に、図3の一部の拡大図を示す。接合凸部101bは、断面等脚台形形状の長さが短い底辺である上底L101buが第1接合斜面101a2に沿うように形成される。
【0032】
図3に示すように、接合凹部101cは、第1端面101a3から第2端面101a6まで、第2接合斜面101a5に沿って形成される。接合凹部101cは、第2接合斜面101a5から内側に向かって窪むように形成される。接合凹部101cは、中心軸J100に対する垂直な断面が等脚台形形状であり、中心軸J100の方向に沿った溝形状を有している。
【0033】
図6に、図4の一部の拡大図を示す。接合凹部101cは、断面等脚台形形状の長さが短い底辺である上底L101cuが第2接合斜面101a5に沿うように形成される。
【0034】
基本部材101を用いた木材組立て家具100の組立て方を、図7を用いて、説明する。木材組立て家具100は、隣接して配置する基本部材101の一方の基本部材101の接合凸部101bを、もう一方の基本部材101の接合凹部101cに、中心軸J100に沿って挿入し、それぞれの第1端面101a3同士、第2端面101a6同士が面一となる位置までスライドさせる、つまり両者を嵌合させる作業を、隣接して配置する基本部材101同士で繰り返し、6つの基本部材101を接合することによって形成する。
【0035】
このように、基本部材101では、斜面である第1接合斜面101a2、及び、第2接合斜面101a5のそれぞれに、蟻継ぎを用いた接合構造を形成する接合凸部101b、接合凹部101cを形成することによって、接合する基本部材101を斜めに接合できる。このため、中空四角柱形状だけでなく、中空八角柱形状等の中空多角柱形状の、デザイン性が高い木材組立て家具を形成できる。また、1つの基本部材101に、接合凸部101bと接合凹部101cとを形成するため、基本部材101を形成するだけで、中空六角柱形状を有する木材組立て家具100を形成できるため、生産性を高くできる。
【0036】
さらに、接合凸部101b、接合凹部101cを用いて、基本部材101同士を接合するため、木材組立て家具100を、釘や金槌、接着剤等の道具を必要とせず、容易に形成することができる。さらに、蟻継ぎを用いた接合構造により、隣接する基本部材101同士を接合しているため、両者を強固に接合でき、ひいては、木材組立て家具100を強固に形成できる。さらに、第1端面101a3から第2端面101a6まで、比較的長い距離で、接合凸部101b、接合凹部101cを用いて、基本部材101同士を接合するため、両者を強固に接合できる。
【0037】
さらに、木材組立て家具100を、複数、形成し、上下、左右に配置することによって、容易に、図8Aに示すように拡張し、Bに示すように縮小できる収納家具を形成できる。また、木材組立て家具100を、複数、配置することによって、デザイン性が高い収納家具を形成できる。なお、隣接して配置する木材組立て家具100において、互いに接する面同士を、接着剤や釘等によって、固定することによって、木材組立て家具100同士の接合を、強固に、安定させ、ひいては、収納家具を、強固に、安定させることができる。
【0038】
[その他の実施形態]
(1)木材組立て家具の形状:前述の実施例1においては、木材組立て家具100を、中空六角柱形状を有するとしたが、少なくとも一端面が解放した中空角柱形状であれば、例示のものに限定されない。例えば、中空四角柱形状であっても、中空八角柱形状であってもよい。
【0039】
木材組立て家具を中空四角柱形状とするのであれば、基本部材は、断面四角形の平板形状の本体部とし、外面と第1接合斜面、外面と第2接合斜面、それぞれの内角を45度とすればよい。また、木材組立て家具を中空八角柱形状とするのであれば、基本部材は、断面等脚台形の平板形状の本体部とし、外面と第1接合斜面、外面と第2接合斜面、それぞれの内角を67.5度とすればよい。
【0040】
(2)接合凸部、接合凹部の数:前述の実施例1においては、1つの基本部材101に対して、1つの接合凸部101b、1つの接合凹部101cを形成したが、蟻構造を用いて、基本部材101同士を勘合できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、1つの基本部材101に対して、2つの接合凸部101b、2つの接合凹部101cを形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る木材組立て家具は、例えば、商店の壁面に配置される、デザイン性が高い収納棚として使用できる。
【符号の説明】
【0042】
100 木材組立て家具
J100 中心軸
101 基本部材
101a 本体部
101a1 外面
101a2 第1接合斜面
101a3 第1端面
101a4 内面
101a5 第2接合斜面
101a6 第2端面
101b 接合凸部
L101bu 上底
101c 接合凹部
L101cu 上底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10