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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094366
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】施錠解錠監視装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
E05B41/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207181
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(57)【要約】
【課題】 既に取り付けてある施錠解錠装置に対して、何らかの作業を加えることなく、簡単に、施錠解錠装置の施錠状態、解錠状態を判断する施錠解錠監視装置の提供。
【解決手段】 施錠解錠監視装置100は、開閉部であるドアDに取り付けられている施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を監視するものである。施錠解錠監視装置100は、ドアDに対して垂直に配置されている壁WのドアDから所定距離だけ離れた位置に設置されている。施錠解錠監視装置100は、自身の設置位置から、施錠解錠装置Lに対して、斜め前方から所定の検知光を投光し、施錠解錠装置Lからの反射光を受光し、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を監視する。これにより、既に取り付けられている施錠解錠装置に手を加えることなく、容易に、施錠状態、解錠状態を監視でき、ネットワーク化できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部を施錠、及び、解錠する施錠装置であって、施錠状態、及び、解錠状態をヒトの操作によって切り替える操作部の状態が、前記施錠状態と前記解錠状態とで変動するものの施錠解錠状態を監視する施錠解錠監視装置であって、
前記解錠状態から前記施錠状態までの間の前記操作部の状態が変動する範囲である操作部変動範囲であって、前記開閉部が閉状態にあるときの前記操作部変動範囲を含む検知領域に、所定の光を検知光として投光し、前記検知光の反射光を受光し、受光した反射光の情報を検知情報として提供する検知手段、
前記施錠装置の前記施錠状態における予め設定された前記受光状態を示す基準施錠状態情報、及び/又は、前記施錠装置の前記解錠状態における予め設定された前記受光状態を示す基準解錠状態情報を用いて、前記検知情報における前記施錠装置の状態が、前記施錠装置が施錠状態にあるか、及び/又は、解錠状態にあるかを判断する施錠解錠判断手段、
判断した前記施錠状態、及び/又は、前記解錠状態を通知する通知手段、
を有する施錠解錠監視装置。
【請求項2】
請求項1に係る施錠解錠監視装置において、
前記検知手段は、
前記検知光を反射した物体までの距離を算出し、前記検知情報として提供すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係る施錠解錠監視装置において、
前記施錠解錠判断手段は、
前記基準施錠状態情報と前記基準解錠状態情報との間で、値が異なる領域を対象検知領域とし、前記対象検知領域における前記基準施錠状態情報、及び/又は、前記基準解錠状態情報を用いること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項4】
請求項3に係る施錠解錠監視装置において、
前記施錠解錠判断手段は、
前記対象検知領域に係る前記基準施錠状態情報と、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態とが、一致、又は、類似する場合に、前記施錠装置が施錠状態にある、と判断すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項5】
請求項3、又は、請求項4に係る施錠解錠監視装置において、
前記施錠解錠判断手段は、
前記対象検知領域に係る前記基準解錠状態情報と、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態とが、一致、又は、類似する場合に、前記施錠装置が解錠状態にある、と判断すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項6】
請求項3~請求項5のいずれかに係る施錠解錠監視装置において、
前記施錠解錠判断手段は、
前記基準施錠状態情報よりも、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態が、遠い場合に、前記開閉部が解放状態にある、と判断すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項7】
請求項3~請求項6のいずれかに係る施錠解錠監視装置において、
前記施錠解錠判断手段は、
前記基準施錠状態情報よりも、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態が、近い場合に、前記施錠解錠装置の前記操作部が操作されている、と判断すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに係る施錠解錠監視装置において、
前記検知手段は、
複数の部分検知領域を有する前記検知領域の前記部分検知領域ごとに、受光した反射光の情報を検知情報として提供すること、
を特徴とする施錠解錠監視装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに係る施錠解錠監視装置において、
前記検知光の投光角度、及び/又は、前記反射光の受光角度を調整する角度調整部、
を有する施錠解錠監視装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに係る施錠解錠監視装置において、
前記検知領域の中心を示し、及び/又は、検知領域の範囲を示す検知領域確認部、
を有する施錠解錠監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施錠解錠装置の施錠状態、解錠状態を監視する施錠解錠監視装置に関し、特に、光を用いて監視するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の施錠解錠監視装置について、図11に示す施錠解錠制御装置1を用いて説明する。施錠解錠制御装置1は、扉に設けられた扉を施錠又は解錠するサムターンを覆ってサムターンを収容する空間を有する収容部材と、つまみ部を有し、前記収容部材と回転軸を共有するように連接され、前記つまみ部を摘まんで回転させることにより前記収容部材を回転させる回転体と、収容部材の開口の縁に沿って設けられた第1ギアと、第1ギアと係合し、第1ギアの回転に応じて回転する第2ギアと、第2ギアと回転軸を共有し、第2ギアに対して相対的に所定角度回転可能な第3ギアと、第3ギアを回転させる駆動部と、を備える。これにより、手動で開閉する際にモータに負荷を与えない構成を、より簡単に実現する施解錠制御装置を提供するものである(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-172794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来の施錠解錠制御装置1には、以下に示すような改善すべき点がある。従来の施錠解錠制御装置1では、サムターンを収容するように、設置する必要がある。このため、施錠解錠制御装置1を取り付けるためには、ある程度の領域を必要とするため、取り付けるサムターンが限定される、という改善すべき点がある。
【0005】
また、サムターンを動作させるための機械機構を有するため、施錠解錠制御装置1が大きく、また、重い、という改善すべき点がある。
【0006】
さらに、施錠解錠制御装置1は、取り付けるサムターンが制限され、また、装置自体も大きく、重いため、既に取り付けられている施錠解錠装置を容易にネットワーク化できない、という改善すべき点がある。
【0007】
さらに、施錠解錠制御装置1は、サムターンの自動操作機能を有しているため、施錠状態、解錠状態のみを知りたい場合には、適さない、という改善すべき点がある。
【0008】
そこで、本発明は、既に取り付けてある施錠解錠装置に対して、何らかの作業を加えることなく、簡単に、施錠解錠装置の施錠状態、解錠状態を判断する施錠解錠監視装置を提供することを目的とする。また、本発明は、既に取り付けられているネットワーク化されていない施錠解錠装置を容易にネットワーク化できる施錠解錠監視装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0010】
本発明に係る施錠解錠監視装置は、開閉部を施錠、及び、解錠する施錠装置であって、施錠状態、及び、解錠状態をヒトの操作によって切り替える操作部の状態が、前記施錠状態と前記解錠状態とで変動するものの施錠解錠状態を監視する施錠解錠監視装置であって、前記解錠状態から前記施錠状態までの間の前記操作部の状態が変動する範囲である操作部変動範囲であって、前記開閉部が閉状態にあるときの前記操作部変動範囲を含む検知領域に、所定の光を検知光として投光し、前記検知光の反射光を受光し、受光した反射光の情報を検知情報として提供する検知手段、前記施錠装置の前記施錠状態における予め設定された前記受光状態を示す基準施錠状態情報、及び/又は、前記施錠装置の前記解錠状態における予め設定された前記受光状態を示す基準解錠状態情報を用いて、前記検知情報における前記施錠装置の状態が、前記施錠装置が施錠状態にあるか、及び/又は、解錠状態にあるかを判断する施錠解錠判断手段、判断した前記施錠状態、及び/又は、前記解錠状態を通知する通知手段、を有する。
【0011】
これにより、既に取り付けられている施錠解錠装置に手を加えることなく、容易に、施錠状態、解錠状態を監視でき、ネットワーク化できる。また、既に取り付けられている施錠解錠装置に手を加えることなく設置できるため、容易に、施錠状態、解錠状態を監視できる。さらに、既に取り付けられている施錠解錠装置を動作させないため、機械機構を有さず、簡易な構造にできる。
にある、と判断すること、を特徴とする。
【0012】
さらに、基準施錠状態情報、基準解錠状態情報を設定しておくだけで、容易に、施錠状態、解錠状態を判断することができる。
【0013】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記検知手段は、前記検知光を反射した物体までの距離を算出し、前記検知受光情報として提供すること、を特徴とする。
【0014】
これにより、より正確に、施錠状態、解錠状態を判断することができる。
【0015】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記施錠解錠判断手段は、前記基準施錠状態情報と前記基準解錠状態情報との間で、値が異なる領域を対象検知領域とし、前記対象検知領域における前記基準施錠状態情報、及び/又は、前記基準解錠状態情報を用いること、を特徴とする。
【0016】
これにより、特徴的な対象検知領域に対してのみ、施錠状態、解錠状態を判断するため、より簡単に施錠状態、解錠状態情報を判断できる。
【0017】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記施錠解錠判断手段は、前記対象検知領域に係る前記基準施錠状態情報と、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態とが、一致、又は、類似する場合に、前記施錠装置が施錠状態にある、と判断すること、を特徴とする。
【0018】
これにより、基準施錠状態情報との一致、類似を判断するだけで、容易に、施錠状態を判断することができる。
【0019】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記施錠解錠判断手段は、前記対象検知領域に係る前記基準解錠状態情報と、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態とが、一致、又は、類似する場合に、前記施錠装置が解錠状態にある、と判断すること、を特徴とする。
【0020】
これにより、基準解錠状態情報との一致、類似を判断するだけで、容易に、解錠状態を判断することができる。
【0021】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記施錠解錠判断手段は、前記基準施錠状態情報よりも、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態が、遠い場合に、前記開閉部が解放状態にある、と判断すること、を特徴とする。
【0022】
これにより、容易に、開閉部の解放状態を判断できる。
【0023】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記施錠解錠判断手段は、前記基準施錠状態情報よりも、前記対象検知領域に係る前記検知情報における前記施錠装置の状態が、近い場合に、前記施錠解錠装置の前記操作部が操作されている、と判断すること、を特徴とする。
【0024】
これにより、容易に、施錠解錠装置の前記操作部が操作されているか否かを判断できる。
【0025】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記検知手段は、複数の部分検知領域を有する前記検知領域の前記部分検知領域ごとに、受光した反射光の情報を検知情報として提供すること、を特徴とする。
【0026】
これにより、施錠解錠装置の施錠状態、解錠状態を、容易に、判断できる。
【0027】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記検知光の投光角度、及び/又は、前記反射光の受光角度を調整する角度調整部、を有する。
【0028】
これにより、検知領域を、容易に、所望の位置に設定できる。
【0029】
本発明に係る施錠解錠監視装置では、前記検知領域の中心を示し、及び/又は、検知領域の範囲を示す検知領域確認部、を有する。
【0030】
これにより、検知領域を、容易に、所望の位置に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る施錠解錠監視装置の一実施例である施錠解錠監視装置100を示す図である。
図2】施錠解錠監視装置100の斜視図である。
図3】検知部103のハードウェア構成を示す図である。
図4】制御部107のハードウェア構成を示す図である。
図5】施錠状態、解錠状態の判断の概要を示す図である。
図6】施錠状態、解錠状態の判断の概要を示す図である。
図7】施錠解錠監視処理を示すフローチャートである。
図8】施錠解錠判断処理を示すフローチャートである。
図9】本発明に係る施錠解錠監視装置のその他の実施例を示す図である。
図10】本発明に係る施錠解錠監視装置のその他の実施例を示す図である。
図11】従来の施錠解錠監視装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例0033】
本発明に係る施錠解錠監視装置について、一実施例である施錠解錠監視装置100を例に説明する。
【0034】
第1 施錠解錠監視装置100の概要
施錠解錠監視装置100は、開閉部であるドアDに取り付けられている施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を監視するものである。施錠解錠監視装置100は、ドアDに対して垂直に配置されている壁WのドアDから所定距離だけ離れた位置に設置されている。
【0035】
なお、施錠解錠監視装置100は、自身の設置位置から、施錠解錠装置Lに対して、図1中、斜め前方から所定の検知光を投光し、施錠解錠装置Lからの反射光を受光し、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を監視する。
【0036】
なお、図1においては、施錠解錠監視装置100で監視する施錠解錠装置Lは、握って回すことでラッチを動作させる玉座である取っ手部LH、取っ手部LHに配置され、デッドボルトを動作させる操作部であるサムターンLSを有するものである。
【0037】
サムターンLSは、所定の軸を中心としたに回転により形成される操作部変動範囲の間で施錠状態(図5参照)、解錠状態(図6参照)における状態を変化させる。使用者がサムターンLSを操作し、状態を変化させることによって、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を切り替える。
【0038】
これにより、既に取り付けられている施錠解錠装置に手を加えることなく、容易に、施錠状態、解錠状態を監視でき、ネットワーク化できる。
【0039】
第2 施錠解錠監視装置100の構成
施錠解錠監視装置100の構成について、施錠解錠監視装置100の斜視図である図2を用いて説明する。施錠解錠監視装置100は、筐体部101、検知部103、通信部105、制御部107、及び、角度調整部109を有している。筐体部101は、内部に、検知部103、通信部105、及び、制御部107を収容する。また、筐体部101は、内部に配置されている検知部103(後述)の投光部103aが外部に向かって検知光を投光できるように、及び、受光部103b(後述)が外部からの検知光の反射光を受光できるように、投受光用開口A101を有している。
【0040】
検知部103は、TOF (Time-Of-Flight)方式を用いた測距エリアイメージセンサを用いて構成されている。検知部103は、施錠解錠装置LのサムターンLSの状態が解錠状態と施錠状態との間で変化する操作部変動範囲ALS(後述)に、検知光である近赤外レーザ光を投光し、サムターンLSまでの距離を計測する。
【0041】
検知部103のハードウェア構成を図3に示す。検知部103は、投光部103a、受光部103b、検知制御部103c、及び、インターフェイス部103dを有している。投光部103aは、検知光である赤色レーザ光を投光する。受光部103bは、検知光の反射光を受光し、集光する受光レンズ、及び、2次元マトリクス状に配置されたフォトダイオードにより構成される。なお、2次元マトリクス状に配置されたフォトダイオードのそれぞれは、部分受光領域を形成し、部分受光領域の集合として、1つの検知領域が形成される。
【0042】
検知制御部103cは、投光部103a、及び、受光部103bにおける投受光のタイミングを制御する。また、検知制御部103cは、検知光を投光し、検知光に対する反射光を受光するまでの時間を計測し、検知光を反射した物体までの距離を算出する。さらに、検知制御部103cは、算出した距離を検知情報として制御部107へ送信する。
【0043】
通信部105は、所定の通信端末HPと接続し、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を示す施錠解錠情報を送信する。通信部105は、例えば、無線LAN(Local Area Network)技術を用いて、ドアDが配置されている室内の無線通信装置を介して、通信端末HPに接続する。なお、通信部105には、予め、MACアドレス、IPアドレス等、自身を一意に特定するアドレスが設定されている。
【0044】
制御部107の構成について図4を用いて説明する。制御部107は、CPU107a、メモリ107b、インターフェイス部107c、及び、電源部107hを有している。
【0045】
CPU107aは、メモリ107bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、又は、ファームウェア、施錠解錠監視プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ107bは、CPU107aに対して作業領域を提供する。メモリ107bは、OS、施錠解錠監視プログラム等その他のアプリケーション及び各種データを記録保持する。
【0046】
インターフェイス部107cは、検知部103と接続される。CPU107aは、インターフェイス部107cを介して、検知部103と所定の情報を送受信し、検知部103の動作を制御する。また、インターフェイス部107cは、通信部105と接続される。CPU107aは、インターフェイス部107cを介して、通信部105と所定の情報を送受信し、通信部105の動作を制御する。
【0047】
電源部107hは、筐体部101の内部に収納されるボタン電池等の電源を有している。電源部107hは、検知部103、通信部105、及び、制御部107の他の構成要素に電力を供給する。
【0048】
図3に戻って、角度調整部109は、筐体部101の投受光用開口A101の検知対象に対する角度、つまり、投光部103aが投光する検知光の角度、及び、受光部103b受光する反射光の角度を調整する。角度調整部109は、三角柱形状を有し、筐体部101の背面に沿って配置される。施錠解錠監視装置100の筐体部101と壁Wとの間の角度を調整した角度調整部109を用いることで、適切に検知領域を設定できる。
【0049】
第3 制御部107の動作
1.概要
制御部107における施錠解錠判断処理の概要について、図5、及び、図6を用いて説明する。図5は、施錠解錠監視装置100から見た施錠状態にある施錠解錠装置Lの検知状態を示している。同様に、図6は、施錠解錠監視装置100から見た解錠状態にある施錠解錠装置Lの検知状態を示している。
【0050】
ここで、施錠解錠監視装置100の検知部103の検知制御部103cは、投光部103aを介して、施錠解錠装置LのサムターンLSが動作する範囲である操作部変動範囲ALSを含む検知領域A103に、検知光を投光する。検知制御部103cは、受光部103bを介して、投光した検知光の反射光を受光する。受光部103bは、10×10に分割された部分受光領域を有している。検知制御部103cは、部分受光領域ごとに、投光から受光までの時間を算出した上で、算出した時間を用いて反射物体までの距離を算出する。なお、受光部103bの各部分受光領域は、検知領域A103を、10×10の分割した部分検知領域A103[x,y](xは横軸の値、yは縦軸の値、x、yは、1~10の自然数)に対応する。
【0051】
図5に示すように、施錠解錠装置Lの施錠状態では、部分検知領域A103[2,5]~A103[7,5]にサムターンLSが存在するため、その他の部分検知領域に比して、検知部103で算出される反射物体までの距離は、部分検知領域A103[2,5]~A103[7,5]の値が、その他の部分検知領域の値よりも小さくなる。
【0052】
一方、図6に示すように、施錠解錠装置Lの解錠状態では、部分検知領域A103[4,3]~A103[4,7]、A103[5,3]~A103[5,7]にサムターンLSが存在するため、その他の部分検知領域に比して、検知部103で算出される反射物体までの距離は、部分検知領域A103[4,3]~A103[4,7]、A103[5,3]~A103[5,7]の値が、その他の部分検知領域の値よりも小さくなる。
【0053】
したがって、施錠解錠装置Lの施錠状態と解錠状態との間で、部分検知領域A103[2,5]~A103[3,5]、部分検知領域A103[4,3]~A103[4,4]、A103[5,3]~A103[5,4]、部分検知領域A103[6,5]~A103[7,5]、部分検知領域A103[4,6]~A103[4,7]、A103[5,6]~A103[5,7]において、距離の値が大きく変化する。
【0054】
使用者は、制御部107には、施錠解錠監視装置100を設置後、設定時において、施錠解錠装置Lの施錠状態、及び、解錠状態の各部分検知領域に対する距離を算出し、両者の間で、距離が大きく変化する部分検知領域を対象部分検知領域として、メモリ107bに記憶保持しておく。また、使用者は、制御部107に、施錠状態、及び、解錠状態における、対象部分検知領域の値を、それぞれ、基準施錠状態情報、基準解錠状態情報として、記憶保持しておく。
【0055】
制御部107は、検知部103から受光情報を取得すると、対象部分検知領域の距離の値を抽出し、基準施錠状態情報、及び、基準解錠状態情報と比較し、施錠解錠装置Lが施錠状態にあるか、解錠状態にあるか、を判断する。
【0056】
2.制御部107の動作
制御部107のCPU107aが実行する施錠解錠監視処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0057】
図7に示すように、CPU107aは、電源が入ると、検知部103に対して検知開始情報を送信する(S701)。
【0058】
検知部103は、検知開始情報を取得すると、検知領域A103に対して、投光部103aから検知光を投光する。検知部103は、投光した検知光の反射光を、受光部103bで受光すると、受光部103bの部分受光領域ごとに、投光してから受光するまでの時間から、検知光を反射した物体までの距離を算出する。検知部103は、全ての部分受光検知領域に対して、距離を算出し終えると、算出した各部分受光領域の距離を、対応する部分検知領域A103[x,y]の距離とした検知情報を制御部107へ送信する。
【0059】
CPU107aは、検知情報を取得すると(S703)、対象部分検知領域の距離の値を抽出する(S705)。CPU107aは、メモリ107bから、基準施錠状態情報、及び、基準解錠状態情報を取得する(S707)。
【0060】
CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の距離の値と、基準施錠状態情報、基準解錠状態情報とを比較し、施錠解錠装置Lが施錠状態にあるか、解錠状態にあるかを判断する施錠解錠判断処理を実行する(S709)。
【0061】
施錠解錠判断処理について、図8を用いて説明する。CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠状態情報に一致するか、又は、類似するかを判断する(S801)。CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠状態情報に一致するか、又は、類似すると判断すると、施錠解錠装置Lは、施錠状態にあると判断する(S803)。
【0062】
CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準解錠状態情報に一致するか、又は、類似するかを判断する(S805)。CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準解錠状態情報に一致するか、又は、類似すると判断すると、施錠解錠装置Lは、解錠状態にあると判断する(S807)。
【0063】
CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠状態情報、及び。基準解錠情報のいずれにも一致せず、及び、類似もしない場合、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠解錠状態情報の値よりも大きいか、又は、小さいかを判断する(S809)。CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠解錠状態情報の値よりも大きいと判断すると、施錠解錠装置Lを設置しているドアDが開いていると判断する(S811)。
【0064】
一方、CPU107aは、取得した各対象部分検知領域の値が、基準施錠解錠状態情報の値よりも小さいと判断すると、施錠解錠監視装置100と施錠解錠装置Lとの間に物体が存在する場合として、人の手によって施錠解錠装置Lが解錠操作されていると判断する(S813)。
【0065】
図7に戻って、CPU107aは、判断した施錠解錠装置Lの各状態を示す施錠解錠情報を生成し(S711)、通信部105を介して、所定の通信端末HPに対して、生成した施錠解錠情報を送信する(S713)。
【0066】
CPU107aは、動作が終了するまで(S715)、所定時間ごとに(S717)、ステップS701~S717の処理を繰り返す。
【0067】
このように、施錠解錠監視装置100を用いることによって、ネットワーク化されていない、又は、ネットワーク化できなかった施錠解錠装置Lを、容易にネットワーク化でき、使用者に、施錠状態、解錠状態を、適宜、知らせることができる。
【0068】
[その他の実施形態]
(1)施錠解錠監視装置100の配置位置:前述の実施例1においては、施錠解錠監視装置100を開閉部であるドアDに対して垂直に配置されている壁Wに設置するとしたが、施錠解錠監視装置100が検知光を、施錠解錠装置LのサムターンLSに投光できる位置であれば、例示のものに限定されない。例えば、施錠解錠監視装置100を天井に配置するようにしてもよい。
【0069】
また、前述の実施例1においては、取っ手部LHにサムターンLSが配置される施錠解錠装置Lに対して、施錠解錠監視装置100は、施錠、解錠を判断するとしたが、取っ手部LHとサムターンLSとが異なる部材として配置される施錠解錠装置に対して、施錠解錠監視装置100は、施錠、解錠を判断するようにしてもよい。この場合、施錠解錠監視装置100を、サムターンLSの上下左右の近くに、ドアDに直接的に配置するようにしてもよい。
(2)施錠解錠監視装置100の検知対象:前述の実施例1においては、施錠、解錠を判断する対象として、ドアDの取っ手である施錠解錠装置Lを示したが、例示のものに限定されない。例えば、施錠解錠監視装置100は、窓の施錠部を対象として、施錠、解錠を判断するようにしてもよい。この場合、図9に示すように、窓の施錠部であるクレセント錠Cの上部の窓枠Fに施錠解錠監視装置100を配置し、下方のクレセント錠Cに向かって検知光を投光するようにしてもよい。
【0070】
(3)検知光:前述の実施例1においては、検知部103の投光部103aは、近赤外レーザ光を投光するとしたが、サムターンLSの状態を検知できる光であれば、例示のものに限定されない。例えば、近赤外LEDや赤色レーザ光であってもよい。
【0071】
(4)施錠解錠判断処理:前述の実施例1においては、CPU107aは、施錠解錠判断処理において、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態だけでなく、開閉部であるドアDの解放状態や、サムターンの解錠操作状態も判断したが、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態だけを判断するようにしてもよい。また、施錠状態のみ、解錠状態のみを判断するようにしてもよい。
【0072】
(5)施錠解錠情報の送信:前述の実施例1においては、制御部107は、施錠解錠の判断をするたびに施錠解錠情報を送信するとしたが、施錠状態以外の状態の場合に、施錠解錠情報を送信するようにしてもよい。また、施錠解錠装置Lの状態が変化したときのみ、施錠解錠情報を送信するようにしてもよい。さらに、何らかの外部信号を取得したときに、施錠解錠情報を送信するようにしてもよい。さらに、送信を判断してから、1分後等、所定時間後に、送信判断から遅延して、施錠解錠情報を送信するようにしてもよい。さらに、予め定めた所定時刻に、施錠解錠情報を送信するようにしてもよい。
【0073】
(6)受光部103bの構成:前述の実施例1においては、受光部103bは、受光レンズを有するとしたが、フォトダイオードが所定量の光を受光できるものであれば、受光レンズを用いなくてもよい。
【0074】
(7)通信部105:前述の実施例1においては、通信部105は、無線LANを用いて通信するとしたが、携帯電話回線等を用いて、基地局を介して通信するようにしてもよい。また、Sigfox(登録商標)等、いわゆるLPWA (Low Power, Wide Area)に対応した「低消費電流」で「長距離のデータ通信」ができる通信方式を用いてもよい。
【0075】
また、無線通信ではなく、EthernetやMobBusのような有線通信を用いるようにしてもよい。
【0076】
(8)電源部107h:前述の実施例1においては、電源部107hについては、ボタン電池を用いるとしたが、各構成要素を動作させることができる電力を供給できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、乾電池や、太陽電池等の所定の充電池を用いるようにしてもよい。
【0077】
(9)制御部107の構成:前述の実施例1においては、制御部107は、CPU107aを用いて、施錠解錠監視処理を実行するとしたが、施錠解錠監視処理を実行するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、専用のロジック回路を用いて、施錠解錠監視処理を実行するようにしてもよい。
【0078】
(10)施錠解錠監視処理:前述の実施例1においては施錠解錠監視処理として、図7図8のフローチャートを示したが、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を監視できるものであれば、例示のフローチャートに限定されない。
【0079】
(11)角度調整部109:前述の実施例1においては、角度調整部109を用いて、投受光用開口A101の角度を調整し、検知光の投光角度、及び、反射光の受光角度を調整したが、例示のものに限定されない。例えば、図10に示す施錠解錠監視装置200ように、投光部103a、及び、受光部103bをユニット化した投受光部203aを回転させる機構を角度調整部として配置することによって、投受光用開口A101の角度を調整するようにしてもよい。
【0080】
また、筐体部101に、筐体部101を配置面に対して傾けて配置する角度調整用の支持部を角度調整部として配置し、投受光用開口A101の角度を調整するようにしてもよい。
【0081】
(12)検知領域の確認:前述の実施例1において、さらに、投光部103aの検知領域を対象のサムターンLSに合わせるために、検知部103に、検知領域の中心を示し、及び/又は、検知領域の範囲を示す検知領域確認部としての照明用LEDを配置するようにしてもよい。これにより、使用者は、検知領域の中心位置や、範囲等を容易に認知できるため、施錠解錠監視装置の配置位置や検知光の投光角度を容易に調整できる。
【0082】
(13)検知光の投光:前述の実施例1においては、投光部103aは、検知領域A103の全体に検知光を投光するとしたが、部分検知領域A103[x,y]毎に、順次、検知光を投光するようにしてもよい。この場合、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging:光検出と測距)方式を用いてもよい。
【0083】
(14)反射光の受光:前述の実施例1においては、受光部103bは、部分検知領域A103[x,y]全体で、反射光を受光するとしたが、部分検知領域A103[x,y]毎に、順次、受光するようにしてもよい。
【0084】
(15)検知部103の構成:前述の実施例1においては、検知部103は、TOF方式を用いた測距エリアイメージセンサとしたが、検知範囲に相当する領域の画像を取得する画像センサであってもよい。この場合、制御部107は、画像の変化を判断し、施錠解錠装置Lの施錠状態、解錠状態を判断するようにしてもよい。
また、検知部103の受光部103bは、10×10の部分検知領域を有するとしたが、反射光を受光できるものであれば、例示のものに限定されない。16×16等、施錠解錠監視装置に求める性能等によって、自由に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る施錠解錠監視装置は、例えば、工場等、開閉部の施錠状態、解錠状態を監視する必要がある場所で用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
100 施錠解錠監視装置
101 筐体部
A101 投受光用開口
103 検知部
103a 投光部
103b 受光部
103c 検知制御部
103d インターフェイス部
A103 検知領域
105 通信部
107 制御部
107a CPU
107b メモリ
107c インターフェイス部
107h 電源部
109 角度調整部
200 施錠解錠監視装置
203a 投受光部
HP 通信端末
L 施錠解錠装置
LH 取っ手部
LS サムターン
ALS 操作部変動範囲
D ドア
W 壁
C クレセント錠
F 窓枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11