(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094376
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20220620BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220620BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220620BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20220620BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20220620BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220620BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/26
C08K3/36
C08L71/02
C09J163/00
C09J11/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207206
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】田代 智史
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CD021
4J002CD051
4J002CH022
4J002DE237
4J002DJ016
4J002EV298
4J002EW048
4J002EW178
4J002EX079
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD148
4J002FD158
4J002FD209
4J002GJ01
4J040EC021
4J040EC051
4J040EC061
4J040EE012
4J040HA196
4J040HA266
4J040HA306
4J040HA326
4J040HD23
4J040HD34
4J040JB07
4J040KA13
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA05
4J040LA07
4J040NA19
4J040PA24
(57)【要約】
【課題】シリカの配合量を多くした場合でも沈降してハードケーキ化しにくく、また経時的な増粘が少なく保存安定性良好で、硬化物の線膨張率が低い、光学部品の固定でも使用が可能な光カチオン硬化型の接着剤組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、ポリエーテルリン酸エステルと、光カチオン開始剤と、シリカと、炭酸カルシウムと、を含み、ポリエーテルリン酸エステルの配合割合がエポキシ樹脂100重量部に対し1~15重量部であることを特徴とするカチオン硬化型樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)と、ポリエーテルリン酸エステル(B)と、光カチオン開始剤(C)と、シリカ(D)と、炭酸カルシウム(E)と、を含み、前記(B)の配合割合が前記(A)100重量部に対し1~15重量部であることを特徴とするカチオン硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)が芳香環を有するジグリシジルエーテル(a1)を含むことを特徴とする請求項1記載のカチオン硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)が平均一次粒子径1μm未満のヒュームドシリカ(d1)と、平均一次粒子径1~30μmであるシリカ(d2)を含むことを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
更にシランカップリング剤(F)を含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
光通信デバイスに用いる接着剤であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光カチオン重合で硬化するエポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光学部品の接着には透明性や速硬化性の要求から、紫外線硬化型接着剤が広く用いられている。紫外線硬化型接着剤としては主にラジカル硬化型のアクリル系と、カチオン硬化型のエポキシ系があるが、前者は空気中の酸素による重合阻害を受けること、およびエステル基が加水分解することにより接着力が低下するという長期信頼性の面で問題があり、信頼性を重要視される分野ではエポキシ系の紫外線硬化型接着剤が広く用いられるようになっている。
【0003】
こうしたエポキシ系の接着剤では、チクソ性の改良や接着力等の物性向上のため、シリカをはじめとする無機フィラーを配合する場合がある。例えば光学部品を固定する接着剤としては、2個のグリシジル基が直接芳香環結合したエポキシ樹脂と脂環族ポリエーテル骨格エポキシ樹脂と脂環式エポキシ化合物と光カチオン重合触媒とシランカップリング剤とシリカ微粒子からなる接着剤(特許文献1)や、脂環式エポキシとオキセタン化合物と光カチオン重合開始剤とシリカを含む接着剤(特許文献2)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、無機フィラーの配合量を多くすると沈降しやすく、その沈降物がハードケーキ化する場合があり、またこれを防ぐため分散剤を配合しても、短時間で増粘する傾向があった。この傾向は、無機フィラーの配合量が多くなれば多くなるほど強くなるため、無機フィラーを高充填した場合でも沈降しにくく、また増粘が抑えられた、保存安定性が良好な光学部品に使用可能な接着剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-94509号公報
【特許文献2】特許6709730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、シリカの配合量を多くした場合でも沈降してハードケーキ化しにくく、また経時的な増粘が少なく保存安定性が良好で、硬化物の線膨張率が低い接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、エポキシ樹脂(A)と、ポリエーテルリン酸エステル(B)と、光カチオン開始剤(C)と、シリカ(D)と、炭酸カルシウム(E)と、を含み、前記(B)の配合割合が前記(A)100重量部に対し1~15重量部であることを特徴とするカチオン硬化型樹脂組成物を提供する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記(A)が芳香環を有するジグリシジルエーテル(a1)を含むことを特徴とする請求項1記載のカチオン硬化型樹脂組成物を提供する。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記(D)が平均一次粒子径1μm未満のヒュームドシリカ(d1)と、平均一次粒子径1~30μmであるシリカ(d2)を含むことを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物を提供する。
【0010】
請求項4記載の発明は、更にシランカップリング剤(F)を含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物を提供する。
【0011】
請求項5記載の発明は、光通信デバイスに用いる接着剤であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載のカチオン硬化型樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、シリカの配合量を多くした場合でも沈降してハードケーキ化しにくく、且つ経時的な増粘が低く保存安定性が良好であり、硬化物の線膨張率も低いため、光学用途の接着剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の組成物は、エポキシ樹脂(A)と、ポリエーテルリン酸エステル(B)と、光カチオン開始剤(C)と、シリカ(D)と、炭酸カルシウム(E)から成る。
【0015】
本発明に使用されるエポキシ樹脂(A)は、光カチオン重合開始剤によって開環し架橋構造となるエポキシ基を有する、耐熱性、可撓性に優れる透明性の高い主要構成樹脂である。例えば芳香族エポキシ、脂環式エポキシ、脂肪族鎖式エポキシ、イソシアヌレート型エポキシ、グリシジルアミン型エポキシ、ヒダントイン型エポキシなどが例示され、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
前記(A)で用いるエポキシ樹脂としては、耐熱及び耐湿性が良好な芳香環を有するグリシジルエーテル(a1)を含むことが好ましい。またエポキシ基を複数有する多官能であることが好ましい。
【0017】
前記(a1)としては例えば、レゾルシノール型エポキシ、ビスフェノール型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、ナフタレン型エポキシ、アントラセン型エポキシ、フルオレン型エポキシ等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中ではシリカの高充填が可能な結晶性エポキシであるレゾルシノールジグリシジルエーテルを含むことが好ましい。
【0018】
前記(a1)に加え、低粘度で光硬化性が良好な脂環式エポキシ(a2)を含むことが好ましい。例えば、ビスフェノール型エポキシのような芳香族エポキシ化合物に水素添加した水素化エポキシ化合物や、脂環骨格に直接エポキシ基が配置されたシクロアルキレンオキサイド化合物が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では接着性と硬化性が良好な点で、シクロヘキシル環とエステル基を有するシクロヘキセンオキサイド系化合物を含むことが好ましく、例えば3′,4′-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシルレートなどが挙げられる。
【0019】
前記(a1)および(a2)の配合比率としては、(a1):(a2)=10:0~2:8が好ましく、9:1~3:7が更に好ましい。この範囲とすることで、十分な接着強度と硬化速度のバランスが取れると共に、作業性に適した粘度の組成物とすることができる。
【0020】
前記(a1)及び(a2)に加え、組成物の粘度を調整する反応性希釈剤として、単官能あるいは2官能の直鎖脂肪族骨格、分岐脂肪族骨格、脂環族骨格などのエポキシ樹脂を配合しても良い。これらの中では粘度が非常に低い点で直鎖脂肪族骨格のジグリシジルエーテルが好ましく、25℃における粘度が30mPa・s以下である1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0021】
前記(A)の配合比率は全固形分に対し15~35重量%が好ましく、20~30重量%が更に好ましく、22~28重量%が特に好ましい。15重量%以上とすることで十分な接着強度と皮膜硬化性を確保することができ、30重量%以下とすることで硬化物を十分に低い線膨張率にすることができる。
【0022】
本発明に使用されるポリエーテルリン酸エステル(B)は、アルキル-オキシ-ポリ(アルキレンオキシ)基が、リン酸塩のリン原子に1~3個結合した形態を有し、主に(D)の分散剤として配合される。リン酸エステル基がシリカ表面に吸着し、立体障害による安定化などで、分散性を向上させることができる。(B)の酸価は10~200が好ましく、12~100が更に好ましい。酸価は中和滴定法などによって測定される。市販品としてはHIPLAADシリーズ ED152、ED153、ED154(商品名:楠本化成社製)などが挙げられる。
【0023】
前記(B)の配合量は(A)100重量部に対し1~15重量部であり、2~12重量部が好ましく、2~10重量部が更に好ましい。1重量部以下ではシリカの沈降や増粘を十分抑えることができず、15重量部以上では十分な硬化とならず、また線膨張率も大きくなる。
【0024】
本発明で使用する光カチオン重合開始剤(C)は、可視光線、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射によってカチオンイオンを発生する開始剤で、例えばアンチモン、リン、イオウ、窒素、ヨウ素の芳香族有機原子陽イオンと、BF4
-、PF6
-、SbF6
-、(C2F5)3PF3
-等の陰イオン等で構成されるオニウム塩である。具体的には芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等があり、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では毒性が低く、モノマーとの相溶性に優れる、芳香族トリアリールスルホニウム塩系が好適であり、市販品ではCPI-210S(商品名:サンアプロ社製)等がある。
【0025】
前記(C)の配合量は、(A)100重量部に対し0.3~5重量部が好ましく、0.5~3重量部が更に好ましい。0.3重量部以上とすることで充分な硬化性を確保でき、5重量部以下とすることで組成物としての保存安定性を確保できる。
【0026】
本接着剤に使用されるシリカ(D)は、硬化収縮を抑えて内部応力を小さくできると共に、硬化物の接着力を向上させることができ、また硬化前では光通信デバイスの接着固定に適した粘度やTI値に調整することができる。更にここで出願人は、(D)と(E)と組み合わせて配合することにより、増粘及び固形分の沈降を格段に抑えることができる効果を発見した。(D)は平均粒子径が異なる複数の種類を含むことが好ましく、例えば平均一次粒子径が1μm未満であるヒュームドシリカ(d1)と、平均一次粒子径が1~30μm(d2)であるシリカを挙げることができる。粒子径が異なる種類を配合することにより、皮膜内でシリカを高充填化することが可能となる。
【0027】
前記(d1)は組成物のチクソ性の向上、及び線膨張率の低減を目的で配合し、平均一次粒子径が1μm未満で、比表面積は50~300m2/gが好ましく、80~200m2/gが更に好ましく、100~150m2/gが特に好ましい。50m2/g以上とすることでチクソ性の向上に十分な効果があり、300m2/g以下とすることで皮膜内でのシリカが高充填化され十分な線膨張率の低減が可能となる。表面処理が未処理の場合は親水性で水分を吸湿しやすくなるため、表面処理されたシリカであることが好ましい。表面処理剤としてはジメチルジクロロシラン等が挙げられる。比表面積はガス吸着によるBET法により測定できる。
【0028】
前記(d2)は組成物の接着性の向上、及び線膨張率の低減を目的で配合し、平均粒子径は1~30μmが好ましく、2~20μmが更に好ましく、3~10μmが特に好ましい。1μm以上とすることで十分な接着力向上が期待でき、30μm以下とすることで皮膜内でのシリカが高充填化され十分な線膨張率の低減が可能となる。また凝集性が少なく分散性、充填性に優れている点で溶融シリカであることが好ましい。シリカ表面への官能基修飾は有っても無くても良い。
【0029】
前記(d1)および(d2)の配合比率としては、(d1):(d2)=1:50~1:300が好ましく、1:80~1:200が更に好ましく、1:100~1:150が特に好ましい。この範囲とすることで、皮膜内でのシリカが高充填化され十分な線膨張率の低減が可能となる。
【0030】
前記(D)の組成物全固形分に対する配合比率は50~75重量%が好ましく、55~70重量%が更に好ましく、60~70重量%が特に好ましい。50重量%以上とすることで十分な沈降防止効果を確保することができ、75重量%以下とすることで十分な硬化性を確保することができる。
【0031】
本接着剤に使用される炭酸カルシウム(E)は塩基性であるため、高充填されたシリカの影響で酸度が高くなった組成物を中和させることができ、経時的な増粘を抑え保存性を向上させる目的で配合される。(E)の平均粒子径は0.1~30μmが好ましく、1~20μmが更に好ましく、3~10μmが特に好ましい。この範囲とすることで保存安定性を向上させることができると同時に、シリカと共に皮膜中にフィラーとして高充填され、十分に線膨張率を低くすることができる。
【0032】
前記(E)の組成物全固形分に対する配合比率は1~15重量%が好ましく、2~10重量%が更に好ましく、3~8重量%が特に好ましい。また(D)100重量部に対する配合量は2~20重量部が好ましく、3~15重量部が更に好ましく、5~10重量部が特に好ましい。この範囲とすることで組成物の経時的な増粘を十分抑制し、保存安定性を向上させることが可能となる。
【0033】
本発明の組成物には、更にシランカップリング剤(F)を配合することにより、被着体との接着性を向上させると共に、沈殿を抑制し長期保存性を向上させることができる。(F)は分子内に有機材料及び無機材料と結合する官能基を併せ持つ構造であり、有機材料と反応する官能基としては、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などが挙げられ、無機材料とは加水分解性シリル基が反応する。
【0034】
前記(F)としては、エポキシ官能基を有するオリゴマータイプが、高い耐熱性と共に分子量が大きく嵩高い構造のため揮発性が低く好ましく、またイソシアヌレート骨格を有するタイプも、接着力及び耐熱性の向上に効果が大きく好ましい。前者の市販品としてはCOATOSIL MP 200(商品名:モメンティブ社製)があり、後者の市販品としてはKBM9659(商品名:信越化学社製)等が挙げられる。シランカップリング剤の配合量としては、(A)100重量部に対し0.5~8重量部であることが好ましく、1~5重量部であることが更に好ましい。
【0035】
上記のほか、本組成物の性能を損なわない範囲で、必要により酸化防止剤、光増感剤、粘着付与剤、レベリング剤、消泡剤、硬化促進剤、着色剤、増粘剤、難燃剤、有機微粒子等を配合することが出来る。
【0036】
本発明の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の、E型粘度計で測定された25℃、ローター3°×R7.7、10rpmにおける粘度は、1~80Pa・sであることが好ましく、5~50Pa・sであることが更に好ましい。また23℃で1ヶ月間放置した後の粘度の上昇率は、初期値に対し1.6倍以下が好ましく、1.3倍以下が更に好ましい。この上昇率以下とすることで、5℃以下の冷暗所であれば、十分な保存安定性を確保することができる。
【0037】
本発明の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物の線膨張率は、厚み1mmの測定サンプルで、昇温速度10℃/分における測定値が30ppm以下であることが好ましく、25ppmであることが更に好ましい。この範囲とすることにより、高い信頼性が要求される光通信デバイス等の光学部品を接合する接着剤として十分使用することができる。
【0038】
本発明の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を硬化させる際の光源としては公知のもので良く、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあげられる。また硬化条件としては50mW/cm2~3000mW/cm2の照射強度で、積算光量として50~6,000mJ/cm2が例示される。また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
【0039】
以下,実施例及び比較例にて本出願に係るカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物について具体的に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合、室温は25℃相対湿度65%の条件で測定を行った。
【実施例0040】
実施例1~6
遮光ビンに、前記(A)としてEX-201-IM(商品名:ナガセケムテックス社製、レゾルシノールジグリシジルエーテル)及びCeloxide2021P(商品名:ダイセル社製、3′,4′-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート)及びYED216D(商品名:三菱化学社製、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、粘度15mPa・s)を、(B)としてHIPLAADED152(商品名:楠本化成社製、ポリエーテルリン酸エステル、酸価14)を、(C)としてCPI-210S(商品名:サンアプロ社製、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート)を、(D)としてTS610(商品名:CABOT社製、比表面積125m2/g、表面ジメチルジクロロシラン処理)及びFB-5SDC(商品名:デンカ社製、平均一次粒子径4μm、溶融シリカ)を、(E)としてシプロンA(商品名:シプロ化成社製、平均粒子径5μm)を、(F)としてKBM9659(商品名:信越化学社製、トリス-(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート)及びCOATOSIL MP200(商品名:モメンティブ社製、多官能エポキシ系シランオリゴマー)を表1に示す量入れ、撹拌脱泡器を用いて均一になるまで撹拌して実施例1~6の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。なお配合表の単位は重量部とする。
【0041】
比較例1~8
実施例で用いた材料の他、分散剤としてHIPLAAD ED401(商品名:楠本化成社製、ポリエーテル酸アミン)及びDISPER BYK-111(商品名:BYK社製、リン酸ポリエステル)及びフローレンG-100SF(商品名:共栄社化学社製、不飽和ポリカルボン酸と脂肪族アルキルエステルの混合物)及びフローレンG-700(商品名:共栄社化学社製、ポリカルボン酸)及びフローレンDOPA-100(商品名:共栄社化学社製、ノニオン界面活性剤とポリカルボン酸の混合物)を、表2に示す量入れ、撹拌脱泡器を用いて均一になるまで撹拌して比較例1~8の光カチオン硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。
【0042】
【0043】
【0044】
評価項目及び評価方法
【0045】
線膨張率試験片の作成
上記で得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化後のサイズが5mm×5mm×1mm厚となるよう注型し、へレウス社製の紫外線照射装置(無電極)LH6/LC-6Bを用い、Dバルブ出力100mW/cm2、積算光量6000mJ/cm2の条件で照射して光硬化後、更に80℃×30分で熱養生して硬化させた。
【0046】
増粘性:東機産業製のE型粘度計RE-215Rを用い、ローター3°×R7.7、10rpmにて初期及び、23℃にて1ヶ月経過後の粘度を測定し、初期粘度が1Pa・s以上で粘度上昇率が1.6倍以下を〇、1.3倍以下を◎、それ以外を×とした。
【0047】
沈降性:上記で調整した組成物を50g茶瓶に入れ、23℃で1ヵ月放置後、目視及びスパーテルにて液底部の沈殿物及び固化状態を確認し、沈殿物無しの場合を◎、沈殿物は発生していないが、液底部で若干の増粘が確認される場合を〇、沈殿物有りの場合を×とした。
【0048】
UV硬化性:上記で線膨張率試験片を作成した際、完全硬化した場合を〇、未硬化分が残る場合を×とした。
【0049】
線膨張率:理学電機社製の熱機械分析装置ThermoPlus2 TMA8310を用い、5mm×5mm×1mm厚の上記試験片を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、温度/膨張率グラフの傾きの変化する温度をガラス転移点とした。 なお、線膨張率は実施例2、4のみを実施した。
【0050】
評価結果
評価結果を表3及び4に示す。
【0051】
【0052】
【0053】
実施例の樹脂組成物は、初期粘度、増粘性、沈降性、UV硬化性、線膨張率いずれの評価も良好な結果であった。
【0054】
一方、(B)を抜いた比較例1は沈降性が劣り、(B)以外の分散剤を使用した比較例2~6及び(E)を抜いた比較例8はハードケーキ化し、(D)を抜いた比較例7は初期粘度が低くまた沈降性も劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。