(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094396
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】自動スライス装置
(51)【国際特許分類】
A22C 25/18 20060101AFI20220620BHJP
A22C 25/08 20060101ALI20220620BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220620BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20220620BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20220620BHJP
B07C 5/10 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A22C25/18
A22C25/08
B26D3/28 620K
B26D7/20
B26D3/28 620P
B26D7/06 D
B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207243
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】榊 茂之
(72)【発明者】
【氏名】守 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】田谷 浩二
【テーマコード(参考)】
3C021
3F079
4B011
【Fターム(参考)】
3C021DB06
3F079AC02
3F079CA18
3F079CA19
3F079CA20
3F079CA23
3F079CA41
3F079CB29
3F079DA11
4B011KA01
4B011KC06
4B011KD01
4B011KE15
4B011KF03
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を招来することなく加工対象物の向きを調整しながら搬送して、スライス加工時に加工対象物が垂れる事態を防止する自動スライス装置を提供する。
【解決手段】切断手段1によるスライス加工位置まで加工対象物を搬送する搬送手段2と、加工対象物を撮像する撮像手段3と、スライス加工位置に到達した加工対象物を支持する台座4と、切断手段1によってスライスされた加工品を台座4上から移送する移送手段5とを備え、搬送手段2が、搬送方向Tに沿って平行に配置した第1コンベア21と第2コンベア22とを備え、加工対象物を第1コンベア21と第2コンベア22に跨がった姿勢で搬送方向Tに搬送するものであり、撮像手段3による撮像データに基づいて第1コンベア21の搬送速度と第2コンベア22を個別に制御する制御部Cを備えた自動スライス装置Xとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物である食品材料を切断手段によって所定サイズにスライス可能な自動スライス装置であって、
加工対象物を前記切断手段によるスライス加工位置まで搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される加工対象物を撮像する撮像手段と、
前記搬送手段によって前記スライス加工位置に到達した加工対象物のうち少なくとも搬送方向下流端を含むスライス加工対象部分を支持する台座とを備え、
前記搬送手段が、加工対象物の搬送方向に沿って平行または略平行に配置した複数の搬送部とを備え、加工対象物を前記複数の搬送部に跨がった姿勢で搬送方向に搬送するものであり、
さらに、前記撮像手段による撮像データに基づいて前記複数の搬送部を個別に制御する制御部を備えていることを特徴とする自動スライス装置。
【請求項2】
前記複数の搬送部がそれぞれコンベアであり、前記制御部は、前記各コンベアの駆動を個別に制御するものである請求項1に記載の自動スライス装置。
【請求項3】
前記コンベア同士の間に空転ローラを配置している請求項2に記載の自動スライス装置。
【請求項4】
前記切断手段によって所定サイズにスライスされた状態にあるスライス加工済み材料を前記台座上から所定の搬出スペースに移送する移送手段を備える請求項1乃至3の何れかに記載の自動スライス装置。
【請求項5】
前記切断手段がワイヤであり、当該ワイヤによるスライス加工時に加工対象物を押さえる押さえ部を備えている請求項1乃至4の何れかに記載の自動スライス装置。
【請求項6】
前記台座を傾斜させる傾斜駆動部を備え、
前記制御部は、前記撮像手段による撮像データに基づいて前記傾斜駆動部の作動を制御するものである請求項1乃至5の何れかに記載の自動スライス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介種をはじめとする食品材料を所定のサイズに自動スライス可能な自動スライス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚貝種の寿司ネタや刺身の加工は、いわゆる職人の手によることが多い中、加工職人の人手不足や高齢化といった問題に対処すべく、一部の魚種では自動スライス装置が開発され、実用化に至っている。
従来の自動スライス装置では、固定刃を採用しているため、スライスされた加工品一切れのサイズは、刃物形状で決定されるため、尾部が腹部よりも幅が小さい魚をこのような固定刃でスライス加工すると、腹部と尾部ではサイズ差が大きくなってしまう。このようなサイズ差は、刺身を提供する場合であればさほど問題にならない一方、寿司ネタの場合には所定の規格に適合しないサイズであれば客に提供されることなく廃棄され、フードロスになる(後述する
図1(A)参照)。
【0003】
なお、フィーレ(三枚おろしの魚の片身)、その他の食品の扁平食品等、長さ方向に幅及び厚みが変化する材料を、重量又は体積を揃えてスライスするスライス装置として、水平面内で左右に旋回可能な送り案内台上のフィーレの全長及び切断面を撮影し、その撮影データに基づいて、送り案内台の水平面での旋回角度と、昇降する円形の切断刃の倒れ角度とを決定し、フィーレをスライスした一切れの切身の一切れ毎、或いは複数切れ毎に送り案内台の水平面内での回転角度、切断刃を支持する刃支持台の傾動角度を自動的に制御しながら、フィーレを所定量だけ送り出して切断する装置が案出されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の自動スライス装置は、フィーレを載置する送り案内台全体を水平面内で旋回可能な構成であるため、その旋回幅を考慮したスペースを送り案内台の周囲に確保する必要があり、装置の大型化を招来するものである。
【0006】
また、同特許文献には、切断刃によってスライスされたフィーレの切り身が自重で落下して排出コンベアに受け止められて排出方向に搬送される構成が開示されている。すなわち、同特許文献記載の自動スライス装置によれば、スライス加工後に切り身となる部分自体はスライス加工時には送り案内台等の台座に支持されていない状態にあり、一切れあたり70~80g程度の重量で且つ大きさもあることや、骨皮付きの状態であることから、サーモン等の柔らかいものであってもスライス対象部分(スライス加工後に切り身となる部分)が台座から垂れることなく、また切断刃に貼り付くこともなく切り身の定貫加工が可能であるとされている。
【0007】
しかしながら、寿司ネタを加工する際は、ロイン状態(魚体を二等分、あるいは四つ割りにした状態で、骨や皮を取り除いたもの)にあるものを用いるため、ロイン自体が柔らかく、スライス加工後に寿司ネタとなる部分自体がスライス加工時に台座に支持されていなければ垂れてしまい、所定のサイズにスライス加工することが困難である。また、寿司ネタは一切れあたり10g程度と軽量であるため、スライス加工後の寿司ネタが切断刃に付着し易い。このような問題点があることから、大手の回転寿司チェーン店でも寿司ネタのスライス加工は人手に頼っているのが実状であり、人材不足の昨今、寿司ネタ加工に適した自動スライス装置の実現が強く望まれている。
【0008】
このように、従来の自動スライス装置では、一切れサイズにばらつきが発生し、歩留まりが低く、フードロスの問題となったり、台座がなく加工対象物が垂れて所定の規格サイズにスライス加工できなかったり、軽量のスライス加工品であれば刃物に付着し易いといった問題があった。
【0009】
このような問題を解決すべく、本発明者は、鋭意研究の末、装置の大型化を招来することなく加工対象物の向きを調整しながら搬送することができ、さらには、スライス加工時に加工対象物が垂れたり、刃物にスライス加工品が付着する事態を防止・抑制可能な自動スライス装置を案出するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る自動スライス装置は、加工対象物である食品材料を切断手段によって所定サイズにスライス可能な装置であって、加工対象物を切断手段によるスライス加工位置まで搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される加工対象物を撮像する撮像手段と、搬送手段によってスライス加工位置に到達した加工対象物のうち少なくとも搬送方向下流端を含むスライス加工対象部分を支持する台座とを備え、搬送手段が、加工対象物の搬送方向に沿って平行または略平行に配置した複数の搬送部とを備え、加工対象物を複数の搬送部に跨がった姿勢で搬送方向に搬送するものであり、さらに、撮像手段による撮像データに基づいて複数の搬送部を個別に制御する制御部を備えていることを特徴としている。
【0011】
このような本発明に係る自動スライス装置であれば、加工対象物を切断手段によるスライス加工位置まで搬送する搬送手段として、加工対象物の搬送方向に沿って平行または略平行に配置した複数の搬送部を備え、加工対象物を複数の搬送部に跨がった姿勢で搬送方向に搬送するものを適用し、撮像手段による撮像データに基づいて複数の搬送部を個別に制御するように構成しているため、例えば搬送部同士の搬送速度を異ならせることでスライス加工位置に搬送する加工対象物の水平面内の向きを変更することができ、撮像手段による撮像データに基づいて決定される加工対象物におけるスライス加工切断線の水平面内の傾きに応じて、複数の搬送部を個別に制御することで、例えば搬送部自体を水平旋回させることで幅が異なる魚体の腹部と尾部のスライス加工のサイズ調整を行う態様と比較して、水平旋回させるスペースを確保する必要がなく、装置の大型化を回避し、省スペース化を図ることができる。また、本発明に係る自動スライス装置であれば、搬送手段によってスライス加工位置に到達した加工対象物のうち少なくとも搬送方向下流端を含むスライス加工対象部分を台座で支持する構成であるため、切断手段による切断処理実施時点でスライス加工対象部分が垂れてしまう事態を防止し、所定の規格サイズにスライス加工する処理を適切に行うことができる。したがって、加工対象物がロイン状態であっても、スライス加工後に寿司ネタとなる部分も台座で支持することで垂れることなく、適切にスライス加工を行うことができる。
【0012】
なお、本発明における加工対象物には、生やチルドの状態あるいは冷凍状態の魚体や食肉等の食品材料を意味している。本明細書においては主に魚体を加工対象物として説明しているが、食肉や野菜類(特に調理済みのもの)を加工対象物にした場合にも同様の説明が当てはまる。
【0013】
特に、搬送手段を構成する複数の搬送部がそれぞれコンベアであり、制御部が、各コンベアの駆動を個別に制御するものであれば、比較的簡単な構成で上述の作用効果を奏する搬送手段を実現することができる。この場合、コンベア同士の間に空転ローラを配置すれば、コンベア同士の間に跨がった状態の加工対象物に粘性があってもスライスに最適な向きに調整したり、スライス加工位置まで搬送する処理をスムーズに行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る自動スライス装置は、切断手段によって所定サイズにスライスされた状態にあるスライス加工済み材料を台座上から所定の搬出スペースに移送する移送手段を備えたものであってもよい。さらにまた、本発明に係る自動スライス装置において、切断手段としてワイヤを適用し、当該ワイヤによるスライス加工時に加工対象物を押さえる押さえ部を備えた構成にすると、切断手段として刃を適用する場合と比較して、スライス加工時の加工対象物に対する接触面積を低減し、一切れあたり10g程度と軽量の寿司ネタを崩す(身が崩れる)ことなく綺麗にスライス加工することが可能であり、スライス加工直後の寿司ネタが切断手段にへばりつく事態を防止・抑制することができる。ワイヤによる加工対象物のスライス加工処理時における加工対象物に対するワイヤの通過方向を一方向のみに設定してもよいが、ワイヤの適用と作業効率の観点からすると、加工対象物に対してワイヤが通過する一方向(例えば下方向)とその逆方向(例えば上方向)の両方向で、すなわちワイヤの往復動作の両方でスライス加工処理を行うとよい。また、押さえ部によって加工対象物を押さえることでワイヤによるスライス加工処理中またはその前後において台座上の加工対象物が浮いたり、跳ね上がる事態も防止・抑制することができ、スライス加工処理効率の向上を図ることができる。
【0015】
加えて、本発明に係る自動スライス装置が、台座を傾斜させる傾斜駆動部を備え、撮像手段による撮像データに基づいて傾斜駆動部の作動を制御部が制御するように構成すると、切断手段による切断方向を鉛直または略鉛直方向に設定しても台座を傾斜させることで加工対象物を斜めにスライスカットすることができ、スライス加工前後において切断手段が待機・退避するためのスペースの大きさや数を最小限に留めることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、装置の大型化を招来することなく、加工対象物である食品材料に対するスライス加工処理を撮像データに基づいて適切に行うことが可能であり、特に従来では実現されていなかった寿司ネタ加工に適した自動スライス装置を提供することができ、
図1に示すように、最適なスライス加工によって歩留まりが向上し、不要部分(或いは廃棄部分)が減少し、フードロスの低減を図ることができる。また、スライス加工を自動化することにより、加工職人の人手不足を解消することができる。なお、
図1(A)は、ロイン状態の魚体Lに対する従来の寿司ネタスライス加工時のスライスカットラインLCを模式的に示す図であり、同図(B)は本発明における寿司ネタスライス加工時のスライスカットラインLCを模式的に示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動スライス装置における加工対象物及びスライスカットラインを従来例と比較して模式的に示す図。
【
図2】同実施形態に係る自動スライス装置の全体構成模式図。
【
図3】同実施形態における搬送手段及び台座の平面図。
【
図4】同実施形態における搬送手段及び台座を示す図。
【
図5】
図2のA方向から見た切断手段と台座の相対位置関係を示す図。
【
図7】同実施形態における切断手段及び押さえ部を示す図。
【
図8】同実施形態における移送手段及び台座を示す図。
【
図9】同実施形態における切断手段の一変形例を
図5に対応して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る自動スライス装置Xは、
図1及び
図2に示すように、加工対象物である魚体Lを切断手段1によって所定サイズにスライス可能な装置である。本実施形態における加工対象物は、
図1に示すロイン状態、つまり三枚おろしから皮と骨を除去し、さらに背骨に沿って2等分した生またはチルド状態の魚体Lである。このように、本実施形態の自動スライス装置Xは、頭部と尾部が切り落とされ、さらに内臓、血合い等が除去された腰肉の状態であるロイン状態の魚体Lに対して所定の規格サイズにスライス加工を行う装置である。
図1に示すように、加工対象物におけるスライスカットラインLCは、ロイン状態の魚体Lの幅が同じ部分であれば平行または略平行なスライスカットラインLCが魚体Lの長手方向に並び、魚体Lの幅が相対的に小さくなる部分ほどスライスカットラインLCの平面視における傾斜度合いが大きくなる。
【0020】
本実施形態の自動スライス装置Xは、
図2に示すように、切断手段1と、加工対象物を切断手段1によるスライス加工位置まで搬送する搬送手段2と、搬送手段2によって搬送される加工対象物を撮像する撮像手段3と、搬送手段2によってスライス加工位置に到達した加工対象物のうち少なくとも搬送方向T下流端を含むスライス加工対象部分を支持する台座4と、切断手段1によって所定サイズにスライス加工された状態にあるスライス加工済み材料を台座4上から所定の搬出スペースに移送する移送手段5とを備えている。
【0021】
搬送手段2は、
図3に示すように、加工対象物の搬送方向Tに沿って平行または略平行に配置した第1搬送部である第1コンベア21と第2搬送部である第2コンベア22とを備え、加工対象物を第1コンベア21と第2コンベア22に跨がった姿勢で搬送方向Tに搬送するものである。なお、第1搬送部(第1コンベア21)及び第2搬送部(第2コンベア22)が本発明における「複数の搬送部」に相当する。本実施形態では、第1コンベア21と第2コンベア22の間に、空転ローラ23(ローラコンベア23)を配置している。なお、
図2ではローラコンベア23を省略している。本実施形態の搬送手段2は、幅方向に第1コンベア21、ローラコンベア23、第2コンベア22の順で配置し、各コンベア(第1コンベア21、ローラコンベア23、第2コンベア22)の幅をそれぞれ例えば50mm乃至60mm程度に設定し、第1コンベア21とローラコンベア23の幅方向の隙間、及びローラコンベア23と第2コンベア22の幅方向の隙間を例えば2.5mmに設定している。第1コンベア21、ローラコンベア23、第2コンベア22は、共通の台座4に設けられ、
図4に示すように、台座4の上面に対して、第1コンベア21及び第2コンベア22が例えば2.5mm乃至3mm露出するように設定している。
図4(a)は
図3のA方向から見た図(正面図)であり、
図4(b)は台座4の内部空間にセットした各コンベア21,22,23の相対位置関係を示す図であり、同図(c)は
図3のB方向から見た図(側面図)である。本実施形態の第1コンベア21及び第2コンベア22は、ベルトのオモテ面に例えば2.5mmの突起2Tを多数有するものを適用し、これらの突起2Tが台座4の上面よりも上方に突出するように設定している(
図4(c)参照)。ローラコンベア23は、第1コンベア21と第2コンベア22の間において搬送方向Tに沿って所定ピッチで設けられ、台座4の上面よりも高く、第1コンベア21及び第2コンベア22よりも僅かに低い位置に配置されている。本実施形態では、台座4の上面に対して、各ローラコンベア23が例えば2.5mm露出するように設定している。なお、搬送手段2に関する上述の各数値は適宜変更・選択することができる。
【0022】
本実施形態の自動スライス装置Xは、第1コンベア21を正逆回転駆動させる第1コンベア駆動部21Mと、第2コンベア22を正逆回転駆動させる第2コンベア駆動部22Mとを備え、第1コンベア21の搬送速度(第1コンベア21上の加工対象物の搬送速度)と第2コンベア22の搬送速度(第2コンベア22上の加工対象物の搬送速度)を個別に調整することができる。したがって、第1コンベア21と第2コンベア22に跨がった姿勢にある加工対象物の搬送姿勢(向き)を第1コンベア21と第2コンベア22の搬送速度を異ならせることで変更することが可能である。
【0023】
本実施形態の自動スライス装置Xは、撮像手段3による撮像データに基づいて第1コンベア21及び第2コンベア22を個別に制御する制御部Cを備えている。制御部Cは、第1コンベア駆動部21Mの駆動と第2コンベア駆動部22Mの駆動を個別に制御することによって、第1コンベア21の搬送速度と第2コンベア22の搬送速度を個別に制御するものである。第1コンベア駆動部21M及び第2コンベア駆動部22Mは台座4に設けられている。制御部Cは、台座4に組み込まれたものものであってもよいし、台座4以外の所定箇所に設けられたものでもよい。
【0024】
台座4は、
図2に示すように、第1コンベア21、ローラコンベア23、第2コンベア22が配置されるスペースを有するコンベア支持部41と、コンベア支持部41よりも搬送方向T下流側であって且つ切断手段1によるスライス加工位置まで搬送された加工対象物のうち搬送方向T下流端部分、すなわちスライス加工処理実行後に所定のスライス幅でスライスされる部分を支持するスライス支持部42とを有する。本実施形態では、コンベア支持部41及びスライス支持部42を一体に有する台座4を適用している。コンベア支持部41のうち搬送方向T下流端部には、搬送手段2によって搬送されてきた加工対象物を一時的に直接支持し、スライス幅を調整するスライス幅調整スペース43を形成し、このスライス幅調整スペース43とスライス支持部42との間に、切断手段1の退避スペースとして機能する溝44を設けている。本実施形態では、搬送方向Tに3つの溝44を所定ピッチで形成している。したがって、スライス支持部42は、搬送方向T上流側から1番目の溝44(第1溝44a)と2番目の溝44(第2溝44b)の間にある第1スライス支持部42aと、第2溝44bと搬送方向T上流側から3番目の溝44(第3溝44c)の間にある第2スライス支持部42bと、第3溝44cよりも搬送方向T下流側にある第3スライス支持部42cに区別することができる。各溝44(第1溝44a、第2溝44b、第3溝44c)は、台座4の高さ方向に対して所定角度傾斜した溝44であり、第1溝44a、第2溝44b、第3溝44cの順に深さを徐々に浅く設定している(
図4(c)参照)。
【0025】
本実施形態の自動スライス装置Xは、台座4を傾斜させる傾斜駆動部4Mを備えている。傾斜駆動部4Mが駆動することで台座4を傾斜させることができ、
図4(c)に示すように、溝44(第1溝44a、第2溝44b、第3溝44c)の深さ方向が鉛直または略鉛直となる角度まで台座4全体を傾斜可能に構成している。本実施形態では、制御部Cが撮像手段3による撮像データに基づいて傾斜駆動部4Mの駆動を制御している。なお、台座4を手動で傾斜させるように構成することも可能であるが、オートメーション化を図る上では傾斜駆動部4Mによって台座4を傾斜させる構成が有用である。
【0026】
切断手段1は、
図2及び
図5に示すように、リング状のワイヤ11と、ワイヤ11を掛け回したプーリ12と、少なくとも1つのプーリ12を回転駆動させるプーリ駆動部12Mとを備えている。制御部Cがプーリ駆動部12Mの駆動を制御する。具体的には、プーリ駆動部12Mを駆動させて、テンションを維持した状態でワイヤ11を正方向または逆方向に連続回転するように駆動制御する。本実施形態では、
図6に示すように、3本のワイヤ11を用いた3連ワイヤを適用し、各プーリ12に3本のワイヤ11を相互に干渉しない状態で掛けている。なお、
図6(a),(b)はそれぞれ
図5のA方向矢視図(平面図),B方向矢視図(側面図)である。本実施形態の切断手段1は、ワイヤ11を矩形状に周回駆動させるように計4つのプーリ12を所定の四隅に配置している(
図5参照)。四隅に配置したプーリ12のうち上側に配置した2つのプーリ12は同じ高さ位置に設定し、下側に配置した2つのプーリ12は高さ位置を若干異ならせて、高低差を設けている。これは、ワイヤ11を上から真下に下ろす力(後述する昇降部6によるワイヤ11を上から真下に下ろす力)に加えて、引いたり押す力が加わると破壊力が増し、より少ないクサビ原理作用でスライスすることができる点に着目した構成であり、プーリ12に高低差を設けることで、ワイヤ11の真下に下りる力を加工対象物であるロイン状態の魚体Lに対して集中して作用させることができる。また、「力の大きさ×移動距離=エネルギー」の式が成り立つことに着目し、本実施形態では、プーリ12に高低差を設ける構成に加えて、ワイヤ11の連続駆動によって移動距離の増大化を図っている。なお、本実施形態では、幅方向に並ぶプーリ12同士の離間距離を台座4の幅寸法よりも大きく設定し、高さ方向に並ぶプーリ12同士の離間距離を例えば100mmに設定している。
【0027】
本実施形態の自動スライス装置Xは、切断手段1を高さ方向に移動させる昇降部6を備えている。昇降部6は、プーリ12を所定位置で回転可能に支持するベースアーム部61と、昇降駆動部61Mと、ベースアーム部61及び昇降駆動部61Mを相互に接続する接続アーム部62とを備え、昇降駆動部61Mの駆動によって接続アーム部62及びベースアーム部61を昇降移動させるものである。ベースアーム部61が鉛直または略鉛直方向に昇降移動することで、切断手段1を鉛直または略鉛直方向に昇降移動させることができる。
図2に示す待機位置にある切断手段1が下降すると、ワイヤ11は台座4に形成した溝44(第1溝44a、第2溝44b、第3溝44c)に収容される。本実施形態では、制御部Cが昇降駆動部61Mの駆動を制御している。
【0028】
本実施形態の自動スライス装置Xは、
図6及び
図7に示すように、切断手段1によるスライス加工時に少なくとも加工対象物の搬送方向T下流端を含む部分(スライス加工処理実行後にスライス加工済み材料となる部分、スライス加工対象部分)を上方から押さえる押さえ部7を備えている。
図7(a)は
図2のA方向から見た押さえ部7とワイヤ11及びプーリ12との位置関係を示す図であり、
図7(b)は
図2のB方向から見た押さえ部7とワイヤ11及びプーリ12との位置関係を示す図である。なお、
図7では、上述のプーリ12同士の高低差を向けていない構成を示している。押さえ部7は、ブロック状の押さえ部本体71を主体としてなり、台座4と略同一の幅寸法に設定した押さえ部本体7を幅方向に対峙するプーリ12同士の間に配置している。押さえ部本体71の下向き面には、ワイヤ11との干渉を回避するための凹部71aを設けている(
図7(b)参照)。押さえ部本体71は、押さえアーム部72に連結され、この押さえアーム部72が昇降駆動部61Mに接続されている。本実施形態では、共通の昇降駆動部61Mによって切断手段1と押さえ部7を連動して昇降移動させている。押さえ部7は切断手段1とともに、待機位置から加工対象物に向かって下降し、加工対象物に到達した時点で下降動作を停止する。
【0029】
本実施形態の自動スライス装置Xは、
図2に示すように、複数のプーリ12間に掛け渡したワイヤ11を研磨及び洗浄する研磨洗浄部8を適宜の箇所(図示例では上側のプーリ12同士の間)に配置し、プーリ12に案内されながら周回するワイヤ11が研磨洗浄部8を通過することで研磨及び洗浄可能に構成している。
【0030】
撮像手段3は、搬送手段2による搬送処理の前の時点または搬送処理中に加工対象物を所定位置から撮像するものである。本実施形態では、複数のカメラ(撮像手段3)を適宜の箇所に設け、加工対象物の長さ、厚み、重量を撮像手段3による撮像データから特定できるように設定している。
図2に撮像手段3の設置箇所を例示したが、設置箇所や設置数は適宜選択・変更することができる。
【0031】
移送手段5は、
図2及び
図8に示すように、切断手段1によって所定サイズにスライスされた状態にあるスライス加工済み材料を台座4上から所定の搬出スペースに押し出して移送するものである。本実施形態では、台座4上のスライス加工済み材料(寿司ネタ)を搬送方向T上流側から下流側に向かって押し出す押出部51によって移送手段5を構成している。具体的には、押出部51搬送方向T上流側から下流側に向かって移動することで、台座4上のスライス加工済み材料を所定の搬出スペースに押し出すように構成している。本実施形態では、制御部Cが押出部51の駆動を制御している。なお、搬送手段2による搬送処理中に加工対象物が押出部51に接触しないように、押出部51は図示しない退避位置(押出不能位置)と、
図2に示す押出可能位置との間で移動可能に設定されている。
【0032】
次に、本実施形態の自動スライス装置Xによるスライス加工処理手順及び作用について説明する。
【0033】
先ず、ロイン状態にある加工対象物(例えばロイン状態のサーモン)を台座4へセットする。この際、加工対象物の長手方向を搬送方向T(第1コンベア21及び第2コンベア22の延伸方向)に揃えるようにし、且つ第1コンベア21及び第2コンベア22に跨がる姿勢で加工対象物をセットする。このセット処理(投入処理)は、機械的に自動で行われる処理であってもよいし、人手による処理であってもよい。
【0034】
次に、本実施形態の自動スライス装置Xは、台座4の所定箇所に設けた撮像手段3で撮像したデータ(画像情報)に基づいて制御部Cが傾斜駆動部4Mを駆動させて台座4の傾斜角度を調整し、第1コンベア駆動部21M及び第2コンベア駆動部22Mを駆動させて加工対象物を搬送方向T下流側に向かって搬送する。この際、制御部Cが撮像データ等に基づいて適宜の演算処理で算出した加工対象物におけるスライスカットラインLCが、ワイヤ11によるカットラインと一致するように加工対象物の水平面内の向きを調整すべく、第1コンベア21の搬送速度と第2コンベア22の搬送速度を個別に制御しながら搬送する。そして、本実施形態の自動スライス装置Xは、加工対象物のうちスライス加工処理実行後にスライス加工済み材料となる部分(スライスされる部分)が台座4のスライス支持部42に到達し、且つ加工対象物におけるスライスカットラインLCがワイヤ11によるカットラインと一致する位置まで加工対象物を搬送した時点で、第1コンベア駆動部21M及び第2コンベア駆動部22Mの駆動を一時停止する。この時点で、加工対象物のうちスライスされる部分は、台座4(スライス支持部42)に支持されているため、柔らかくても垂れることがない。
【0035】
引き続いて、本実施形態の自動スライス装置Xは、制御部Cが昇降駆動部61Mを駆動させて待機位置で待機している切断手段1及び押さえ部7を降下させて、押さえ部7が加工対象物に接触した時点で押さえ部7の降下を停止する一方、切断手段1はそのまま降下させる。これにより、ワイヤ11で加工対象物をスライスカットすることができる。スライス加工後も切断手段1をそのまま降下させてワイヤ11を台座4の溝44に退避させた時点で切断手段1の降下を停止する。
【0036】
次いで、本実施形態の自動スライス装置Xは、制御部Cが昇降駆動部61Mを駆動させて押さえ部7を上昇させ、移送手段5(押出部51)によって加工対象物のうちスライスされた部分(スライス加工済み材料、スライス加工品)を所定の排出スペースに押し出して移送する。
【0037】
上記の手順により1カット目のスライス加工品(寿司ネタ)を得ることができ、2カット目のスライス加工品を得るには、2カット目にスライスされる部分が台座4のスライス支持部42に到達し、且つ加工対象物におけるスライスカットラインLCがワイヤ11によるカットラインと一致する位置まで加工対象物を搬送手段2によって搬送する。この時点で、第1コンベア駆動部21M及び第2コンベア駆動部22Mの駆動を一時停止する。
【0038】
引き続いて、本実施形態の自動スライス装置Xは、待機位置で待機している押さえ部7を降下させて、加工対象物に接触した時点で押さえ部7の降下を停止する。次いで、台座4の溝44内に退避している切断手段1を上昇させて、ワイヤ11で加工対象物をスライスカットする。スライスカットした後も切断手段1をそのまま上昇させるとともに押さえ部7も切断手段1と同様に待機位置まで上昇させ、移送手段5(押出部51)によって加工対象物のうちスライスされた部分(スライス加工済み材料)を所定の排出スペースに押し出して移送する。
【0039】
このように、上記手順を繰り返すことで、切断手段1の下降移動時のみならず、上昇移動時にもスライス加工処理を実行することができる。特に、本実施形態に係る自動スライス装置は、切断手段1として3連ワイヤを採用しているため、
図1に示すように、加工対象物であるロイン状態の魚体におけるスライスカットラインLCが搬送方向Tに沿って平行に3以上並ぶ場合には、一回の切断処理によって3カット分のスライス加工済み材料を得ることができる。この場合、第1スライス支持部42a、第2スライス支持部42b、第3スライス支持部42cにそれぞれ加工対象物が支持される位置まで搬送手段2によって加工対象物を所定の向きで搬送する必要がある。なお、加工対象物であるロイン状態の魚体におけるスライスカットラインLCが搬送方向Tに沿って平行に2本並び、3本目が平行ではない場合には、第1スライス支持部42a、第2スライス支持部42bにそれぞれ加工対象物が支持される位置まで搬送手段2によって加工対象物を所定の向きで搬送し、切断手段1でスライス加工処理を実行することで2カット分のスライス加工済み材料を得ることができる。加工対象物であるロイン状態の魚体におけるスライスカットラインLCが搬送方向Tに沿って平行に並ばない場合には、少なくとも第1スライス支持部42aに加工対象物が支持される位置まで搬送手段2によって加工対象物を所定の向きで搬送し、切断手段1でスライス加工処理を実行することで1カット分のスライス加工済み材料を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、撮像手段5の撮像データ(画像診断)に基づいてスライス加工した材料を寿司ネタ用と刺身用(丼物用)とに分別することができる。具体的には、加工対象物を搬送手段2の搬送方向T上流側にセット(台座4上に投入)して、セットされた加工対象物の形状(長さ、幅、厚み)を撮像した撮像手段3による画像データに基づいて台座4の傾斜角度を調整し、次いで、搬送手段2を構成する第1コンベア21及び第2コンベア22の搬送速度を個別に調整して加工対象物の搬送姿勢(向き)を調整し、スライス加工位置まで搬送する。引き続いて、切断手段1によってスライス加工を行い、スライス状態を診断(例えば複数のカメラ(上述の撮像手段3と兼用であってもよい)による撮像画像を用いて長さ、幅、厚みから重さを試算する等)し、診断結果が良好であると判定した場合にはスライス加工済み材料を移送手段5によって所定の搬出スペースに送り出すことで寿司ネタ用として利用可能な加工品を提供することができる。一方、診断結果が良好でないと判定した場合には搬送手段2によるランク分別指示により刺身用(丼物用)として利用可能な加工品を提供することができる。
【0041】
このように、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、搬送手段2によってスライス加工位置に到達した加工対象物のうち少なくともスライスカットされる部分を台座4で支持する構成であるため、加工対象物がロイン状態であっても、スライス加工後に寿司ネタとなる部分が垂れることを防止し、所定の規格サイズにスライス加工する処理を適切に行うことができる。その結果、最適なスライスでの歩留まり向上によってフードロスの低減を図ることができるとともに、撮像データを利用することによって輸出に必要なトレーサビリティ(歩留まり等)管理も可能になる。
【0042】
特に、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、加工対象物を切断手段1によるスライス加工位置まで搬送する搬送手段2として、加工対象物の搬送方向Tに沿って平行または略平行に配置した第1搬送部である第1コンベア21と第2搬送部である第2コンベア22を備え、加工対象物を第1コンベア21と第2コンベア22に跨がった姿勢で搬送方向Tに搬送するものを適用し、撮像手段3による撮像データに基づいて第1コンベア21及び第2コンベア22を個別に制御するように構成しているため、第1コンベア21と第2コンベア22の搬送速度を異ならせることでスライス加工位置に搬送する加工対象物の水平面内の向きを変更することができ、撮像手段3による撮像データに基づいて決定される加工対象物におけるスライス加工切断線(スライスカットラインLC)の水平面内の傾きに応じて、第1搬送部の搬送速度と第2搬送部の搬送速度を個別に制御することで加工対象物の向きを調整することができる。したがって、本実施形態に係る自動スライス装置Xは、例えば搬送部自体を水平旋回させることで幅が異なる腹部と尾部のスライス加工のサイズ調整を行う態様と比較して、搬送部を水平旋回させるスペースを確保する必要がなく、装置の大型化を回避し、省スペース化を図ることができ、例えば寿司チェーン店の調理場等にも比較的容易に設置することが可能である。
【0043】
加えて、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、第1コンベア21と第2コンベア22の間に空転するローラコンベア23を配置しているため、第1コンベア21と第2コンベア22に跨がった状態の加工対象物に粘性があってもスライスに最適な向きに調整したり、スライス加工位置まで搬送する処理をスムーズに行うことができる。
【0044】
また、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、切断手段1としてワイヤ11を適用し、当該ワイヤ11によるスライス加工時に加工対象物を押さえる押さえ部7を備えた構成であるため、切断手段1として刃を適用する場合と比較して、スライス加工時の加工対象物に対する接触面積を低減し、一切れあたり10g程度と軽量の寿司ネタを崩す(身が崩れる)ことなく綺麗にスライス加工することが可能であり、スライス加工直後の寿司ネタが切断手段1を構成するパーツ(ワイヤ11)にへばりつく事態を防止・抑制することができる。また、押さえ部7によって加工対象物を押さえることでワイヤ11によるスライス加工処理中またはその前後において台座4上の加工対象物が浮いたり、跳ね上がる事態も防止・抑制することができ、スライス加工処理効率の向上を図ることができる。
【0045】
加えて、本実施形態に係る自動スライス装置Xによれば、台座4を傾斜させる傾斜駆動部4Mを備え、撮像手段3による撮像データに基づいて傾斜駆動部4Mの作動を制御部Cが制御するように構成しているため、切断手段1による切断方向を鉛直または略鉛直方向に設定しても台座4を傾斜させることで加工対象物を斜めにスライスカットすることができ、切断手段1がスライス加工前後において待機・退避するためのスペースの大きさや数を最小限に留めることができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、切断手段としてワイヤを3本用いた構成を示したが、ワイヤを1本のみ用いた構成、または3本以外の複数本のワイヤを用いた構成であってもよい。
【0047】
また、
図9に示すように、2つのプーリ12にワイヤ11の両端をそれぞれ巻き付けた状態にして、各プーリ12を個別に正逆回転させる駆動部12Mを適宜駆動させることにより、ワイヤ11のテンションを維持した状態でプーリ12間でワイヤ11を往復動させるように構成した切断手段1を採用することもできる。
【0048】
切断手段が、ワイヤ以外のものとして刃物等を用いて加工対象物をスライス加工するものであってもよい。
【0049】
搬送手段を構成する搬送部としてコンベア以外のものを適用することもできる。
【0050】
また、搬送手段が3以上の搬送部(例えば、3以上のコンベア)を有する構成であっても構わない。このような構成において各搬送部をそれぞれ個別に制御することで、より正確に加工対象物の位置決めを行うことができる。また、搬送部を複数有する構成を採用することで、別の種類の加工対象物にも対応できるようになる。
【0051】
スライス加工品(スライスカットによって得るもの)が寿司ネタではなく、刺身であってもよい。搬送手段に搬送される魚体は、ロイン状態に限らず、フィーレ等であっても構わない。また、本装置は、魚体の他に食肉等の各種食品材料を加工対象物として適用することもできる。
【0052】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…切断手段
11…ワイヤ
2…搬送手段
21…第1搬送部(第1コンベア)
22…第2搬送部(第2コンベア)
23…空転ローラ(ローラコンベア)
3…撮像手段
4…台座
4M…傾斜駆動部
5…移送手段
7…押さえ部
C…制御部
L…加工対象物(魚体)
X…自動スライス装置