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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094401
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】梱包材及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20220620BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B65D81/02 200
B65D77/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207249
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】520494091
【氏名又は名称】株式会社マーカーワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 三洋
【テーマコード(参考)】
3E066
3E067
【Fターム(参考)】
3E066AA42
3E066BA06
3E066CA01
3E066CA04
3E066MA09
3E066NA60
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA05A
3E067BC04B
3E067EA29
3E067EE28
3E067FA02
(57)【要約】
【課題】 梱包時における緩衝機能、梱包箱の積載強度及び被梱包物の保護強度が構造的に確保され、備蓄時において整理整頓がし易く、且つ資源コストを削減できる梱包材及び梱包方法の提供。
【解決手段】 硬直性を持つ一連のシートで構成され、被梱包物を固定する荷台部1と、当該荷台部1を梱包箱Aにおける梱包空間の定位置に配置する枠部2を備える梱包材であって、前記枠部2は、前記荷台部1の横幅方向の両側に対称的に連なる一対の側板部3,3と、各側板部3,3の縦幅方向の両側に対称的に順次連なる第一枠部4及び第二枠部5を備え、前記荷台部1、側板部3、第一枠部4及び第二枠部5は、夫々長方形状であり、前記枠部2の縦幅は、前記第一枠部4及び第二枠部5が梱包箱Aの梱包空間において屈曲することにより当該包装箱Aの内面に沿った突条6を形成できる程度に前記梱包箱Aの梱包空間の奥行きを上回る様に設定された梱包材及びそれを用いた梱包方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬直性を持つ一連のシートで構成され、被梱包物を固定する荷台部と、当該荷台部を梱包箱における梱包空間の定位置に配置する枠部を備える梱包材であって、
前記枠部は、
前記荷台部の横幅方向の両側に対称的に連なる一対の側板部と、
各側板部の縦幅方向の両側に対称的に順次連なる第一枠部及び第二枠部を備え、
前記荷台部、側板部、第一枠部及び第二枠部は、それぞれ長方形状であることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記荷台部の縦幅方向の両側に、前記荷台部に対称的に連なる長方形状の外脚部を備え、
当該外脚部の横幅方向の両端縁に切込を備えることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記外脚部の縦幅は、それぞれ前記第一枠部の幅と第二枠部の幅の和に等しいことを特徴とする請求項2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記荷台部に、袋状の切込に囲まれた内脚部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
前記外脚部又は内脚部に、アングル加工領域を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の梱包材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の梱包材の荷台部に被梱包物を包装フィルムで巻き付けて保持し、前記荷台部の横幅方向の両側に配置された一連の枠部を、前記荷台部の表裏いずれかの方向へ折り曲げて梱包箱に装填する梱包方法であって、
前記枠部の第一枠部及び第二枠部の横幅は、前記梱包箱の梱包空間の高さと略等しい長さに設定し、
前記枠部の縦幅は、前記第一枠部及び第二枠部が梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて屈曲せしめられることにより当該包装箱の内面に沿った突条を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定することを特徴とする梱包方法。
【請求項7】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載の梱包材の荷台部に被梱包物を包装フィルムで巻き付けて保持し、前記荷台部の横幅方向の両側に配置された一連の枠部を、前記荷台部の表側へ折り曲げて梱包箱に装填する梱包方法であって、
前記枠部の縦幅は、前記第一枠部及び第二枠部が梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて屈曲せしめられることにより当該包装箱の内面に沿った突条を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定し、
前記荷台部と外脚部を加えた縦幅の全長は、梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて外脚部がそれぞれ裏側へ屈曲せしめられることにより前記荷台部の下に当該包装箱の内面に沿った緩衝空間を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定し、
前記枠部の第一枠部及び第二枠部の横幅は、前記梱包箱の梱包空間の高さから前記緩衝空間の高さを差し引いた長さに設定することを特徴とする梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品や工業製品(以下「被梱包物」という)を箱詰めする際に、当該被梱包物を梱包箱の定位置に支持するために用いられる梱包材、及び当該梱包材を用いた梱包方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被梱包物は、顧客へ運送される際にダンボール箱等に梱包されることが多いが、壊れ物を梱包する際には、定型又は不定形の紙又は合成樹脂からなる緩衝材を被梱包物の周囲の空間に充填し、当該被梱包物を緩衝空間に囲まれた定位置に固定する措置が採られている。
ところが、梱包空間における被梱包物周囲の残余空間の全域に緩衝材を充填するには大量の緩衝材を必要とするため、資源コストが嵩む他、被梱包物を取り出した後の緩衝材の処分が煩雑となる。
【0003】
かかる問題を解決すべく、平坦なベース資材の上に緩衝体を敷き、更に当該緩衝体の上に被梱包物を載置して、前記ベース資材と緩衝体と被梱包物とをその周囲をフィルムで巻回して一体化することにより被梱包物包装体を形成し、当該被梱包物包装体を、前記ベース部材が下となるようにして、箱に入れる梱包方法が開示されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
その他、前記開口部に差し渡した伸縮部材上に前記物品を載置し、その後に前記差し渡された方向とは垂直方向から前記伸縮部材の前記開口部に差し渡した部分および前記物品を覆うように前記開口部を閉じる垂直方向蓋部と、前記伸縮部材に対して差し渡し方向に張力をかけ、前記垂直方向蓋部と前記伸縮部材とで前記物品を保持した状態で前記伸縮部材を固定する手法が開示されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-241199号公報
【特許文献2】特開2011-157116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の手法は、ベース資材の緩衝機能が構造的に確保されておらず、別途緩衝体を準備する必要がある他、一つの梱包材が対応できる箱のサイズが限られているという問題がある。
一方、前記特許文献2に記載の手法は、垂直方向蓋部及び伸縮部材が、箱の一部として一体的に構成されているため、多様な商品に対応するには、箱のサイズが商品のサイズを大幅に上回る在庫を備蓄することとなり、資源コストが嵩むという問題がある。
また、いずれの手法にあっても、梱包箱の積載強度や、梱包箱内の被梱包物の保護強度を増強できる構成を具備しないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、梱包時における緩衝機能、梱包箱の積載強度及び被梱包物の保護強度が構造的に確保され、備蓄時において整理整頓がし易く、且つ資源コストを削減できる梱包材及び梱包方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明による梱包材は、硬直性を持つ一連のシートで構成され、被梱包物を固定する荷台部と、当該荷台部を梱包箱における梱包空間の定位置に配置する枠部を備える梱包材である。
かかる梱包材において、前記枠部は、前記荷台部の横幅方向の両側に対称的に連なる一対の側板部と、各側板部の縦幅方向の両側に対称的に順次連なる第一枠部及び第二枠部を備え、前記荷台部、側板部、第一枠部及び第二枠部は、それぞれ長方形状であることを特徴とする。
前記荷台部と側板部は、同じ縦幅に設定することができる。
また、前記荷台部に、袋状の切込に囲まれた内脚部を備える構成を採ることができる。
【0009】
前記荷台部の縦幅方向の両側に、前記荷台部に対称的に連なる長方形状の外脚部を備え、当該外脚部の横幅方向の両端縁に切込を備える構成を採ることができる。
また、前記外脚部の縦幅は、それぞれ前記第一枠部の幅と第二枠部の幅の和に等しくする構成を採ることができる。更に、前記外脚部又は内脚部に、アングル加工領域を備える構成を採ることができる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明による梱包方法は、上記いずれかの構成を持つ梱包材の荷台部に被梱包物を包装フィルムで巻き付けて保持し、前記荷台部の横幅方向の両側に配置された一連の枠部を、前記荷台部の表裏いずれかの方向へ折り曲げて梱包箱に装填する梱包方法であって、前記枠部の第一枠部及び第二枠部の横幅は、前記梱包箱の梱包空間の高さと略等しい長さに設定し、前記枠部の縦幅は、前記第一枠部及び第二枠部が梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて屈曲せしめられることにより当該包装箱の内面に沿った突条を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定することを特徴とする。
【0011】
前記荷台部の縦幅方向の両側に、前記荷台部に対称的に連なる長方形状の外脚部を備え、当該外脚部の横幅方向の両端縁に分離可能な切込を備える構成を採る梱包材を用いる場合にあっては、梱包材の荷台部に被梱包物を包装フィルムで巻き付けて保持し、前記荷台部の横幅方向の両側に配置された一連の枠部を、前記荷台部の表側へ折り曲げつつ梱包箱に装填する梱包方法であって、前記枠部の縦幅は、前記第一枠部及び第二枠部が梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて屈曲せしめられることにより当該包装箱の内面に沿った突条を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定し、前記荷台部と外脚部を加えた縦幅の全長は、梱包箱の梱包空間の奥行きに規制されて外脚部がそれぞれ裏側へ屈曲せしめられることにより前記荷台部の下に当該包装箱の内面に沿った緩衝空間を形成できる程度に前記梱包箱の梱包空間の奥行きを上回る様に設定し、前記枠部の第一枠部及び第二枠部の横幅は、前記梱包箱の梱包空間の高さから前記緩衝空間の高さを差し引いた長さに設定する梱包方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による梱包材及び梱包方法によれば、前記枠部の全縦幅より梱包空間の奥行きが狭い梱包箱を用いることにより、前記第一枠部及び第二枠部が梱包箱の梱包空間において屈曲し、当該包装箱の内面に沿った突条を形成するため、当該突条が鉛直方向に起立する補強枠となり、当該突条が被包装物の高さ又は幅を超える限りにおいて、各方向から掛かる衝撃から被梱包物を保護する機能を果たすことができる他、当該突条が梱包空間と同じ高さの柱として機能する場合には、梱包箱の積載強度を高めるなど、緩衝機能を構造的に確保することができる。
しかも、前記突条が三角柱状としての呈を保つ限り、当該緩衝機能が適当に維持できるため、当該機能を奏することができる範囲内で裁断し、奥行きの異なる梱包箱に対応することができる。
【0013】
また、本発明による梱包材は、全体として極めて単純な形態であるため、シュリンクシート及びストレッチシートの巻着装置のいずれにも容易に仕掛けることが可能となる。
例えば、前記荷台部と側板部を同じ縦幅とすることによって、全縦幅にわたる側板部と荷台部が相互に相手方を支持し、両者を全縦幅にわたって平坦に維持することができるなど、相互に保形強度を高め合うこととなる。
【0014】
一方、前記荷台部の縦幅方向の両側に、それぞれ外脚部を備え、当該外脚部の横幅方向の両端縁に分離可能な切込を備える構成を採れば、前記荷台部の縦幅方向の両側に対称的に連なる長方形状の外脚部自体が緩衝材又は緩衝空間の支持枠となり、前記突条による緩衝機能に加えて、被梱包物を保持する荷台部の側方又は下方に緩衝空間を形成することができる。
更に、前記外脚部の縦幅を、それぞれ前記第一枠部の縦幅と第二枠部の縦幅の和と等しくすることによって、展開時の当該梱包材全体が長方形となり、裁断により発生する材料の切屑量を削減することができる他、在庫を備蓄する際の整理整頓も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による梱包材及び梱包方法の一例を示す工程図である。
図2】本発明による梱包材及び梱包方法の一例を示す工程図である。
図3】本発明による梱包材及び梱包方法の一例を示す工程図である。
図4】本発明による梱包材及び梱包方法の一例を示す工程図である。
図5】本発明による梱包材の一例(実施例1)を示す平面図である。
図6】本発明による梱包材の一例(実施例2)を示す平面図である。
図7】本発明による梱包材の一例(実施例3)を示す平面図である。
図8】本発明による梱包材の一例(実施例4)を示す平面図である。
図9】本発明による梱包材の一例を示す平面図である。
図10】本発明による梱包方法の一部であるシート巻着工程の一例を示す工程図である。
図11】本発明による梱包材の実施態様例を示す要部の、(A):正面図、(B):底面図及び(C):側面図である。
図12】本発明による梱包材の実施態様例を示す要部の、(A):正面図、(B):底面図及び(C):側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による梱包材及び当該梱包材を用いた梱包方法の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
以下に示す例は、硬直性を持つ一連のシートで構成され、被梱包物を固定する荷台部1と、当該荷台部1を梱包箱Aにおける梱包空間の定位置に配置する枠部2を備える梱包材である。
前記シートは、所謂段ボール若しくは同様の構造を備える合成樹脂を主材としたもの、又は厚紙若しくは合成樹脂を材料とする。
【実施例0017】
実施例1における前記荷台部1は、梱包材の中央に配置され、内装先である梱包箱Aの梱包空間の奥行きより狭い縦幅と、当該梱包空間の幅と略等しい横幅を持つ長方形状の領域である。
前記枠部2は、前記荷台部1の横幅方向の両側に一対の側板部3,3を対称的に備えると共に、各側板部3,3の縦幅方向の両側に、内側から外側に向かって第一枠部4,4、次いで第二枠部5,5の順で対称的に備える(図5参照)。
【0018】
実施例1における前記側板部3は、前記荷台部1と縦幅が等しい長方形状の領域であり、第一枠部4及び第二枠部5は、前記側板部3と横幅(起立時の高さ)が等しい長方形状の領域である。
実施例1における前記第一枠部4及び第二枠部5の縦幅は、梱包箱Aの梱包空間の奥行きで規制され屈曲した際に、前記荷台部1より上位に、当該包装箱Aの内面の一部を一辺とする三角柱状の突条6を当該内面に沿って形成できる程度に設定する(図1参照)。
【実施例0019】
実施例2における前記荷台部1は、梱包材の中央に配置され、内装先である梱包箱Aの梱包空間の奥行きと略等しい縦幅と、当該梱包空間の幅と略等しい横幅を持つ長方形状の領域である。
前記枠部2は、前記荷台部1の横幅方向の両側に一対の側板部3,3を対称的に備えると共に、各側板部3,3の縦幅方向の両側に、内側から外側に向かって第一枠部4,4、次いで第二枠部5,5の順で対称的に備える(図6参照)。
【0020】
実施例2における前記側板部3は、前記荷台部1よりも前記第一枠部4の縦幅の分だけ縦幅が狭い長方形状の領域であり、第一枠部4及び第二枠部5は、前記側板部3と横幅(起立時の高さ)が等しい長方形状の領域である。
実施例2における前記第一枠部4と荷台部1との境界線は、その全長にわたる一連の切込(断続的な切込でもよい)αを備え、前記第一枠部4及び第二枠部5の縦幅は、梱包箱Aの梱包空間の奥行きで規制され屈曲した際に、前記荷台部1上に、当該包装箱Aの内面の一部を一辺とする三角柱状の突条6を当該内面に沿って形成できる程度に設定する。
【実施例0021】
実施例3は、実施例1(図5参照)における前記荷台部1の縦幅方向の両側に、前記切込αで前記第一枠部4と分離した両端縁を備え、且つ前記荷台部1に対称的に連なる長方形状の外脚部7を備えるものである。
同時に、実施例3は、実施例2(図6参照)の荷台部1の縦幅方向の両端部に、前記第一枠部4の縦幅(切込αの長さ)を持つ長方形状の領域を対称的に設定し、それらを一対の外脚部7として備えるものである。
当該外脚部7と荷台部1との境界線には、直線状の折り曲げ線βが形成されている(図7参照)。
当該外脚部7は、裏側へ適宜折り曲げられることによって、荷台部1の下方に緩衝空間を形成する一方(図3参照)、当該外脚部7を裏側へ折り重ねられることによって、当該外脚部7が緩衝材として機能する。
尚、この例における前記第一枠部4及び第二枠部5の横幅(起立時の高さ)は、前記梱包箱Aの梱包空間の高さから前記外脚部7によって生じる緩衝空間の高さ、又は外脚部7が緩衝材として機能する高さを差し引いた長さに設定することが望ましい。
【0022】
実施例3は、前記荷台部1の縦幅方向の両側に設けた外脚部7,7を、各々の外縁が第二枠部5,5の外縁の延長線上に位置する様に前記荷台部1を拡幅することができ、更に、前記外脚部7に、アングル加工領域8を備える構成を採ることができる(図2及び図9(A)参照)。
尚、この際、前記切込αは、前記第一枠部4と第二枠部5の全長にわたって穿設され、第一枠部4,4と荷台部1を分離させると共に、第二枠部5,5と前記外脚部7,7を分離させる。
図9(A)に示す例の前記アングル加工領域8は、前記荷台部1の下方に緩衝空間を形成するに際して、平板状の外脚部7では起立状態を維持し難いことに鑑み、両外脚部7,7の横幅方向の両端部をそれぞれの端縁と平行な折り曲げ線ηで屈曲させるための領域としたものである。
前記アングル加工領域8は、当該外脚部7の両端部と荷台部1との境界に切込ζを備え、当該切込ζと、当該外脚部7の端部外縁と、前記切込αと、折り曲げ線ηに囲まれた部分である。
当該アングル加工領域8を前記荷台部1の内側へ向けて90度前後折り曲げることによって、断面がコの字状のチャンネル型断面となり、外脚部7としての機能を安定的に得ることができる(図2及び図11参照)。
【実施例0023】
実施例4は、実施例1の構成に加えて、その前記荷台部1の縦幅方向の両側に、前記第一枠部4及び第二枠部5と分離し前記荷台部1に対称的に連なる長方形状の外脚部(突っ張り部)7を備える梱包材である。前記外脚部7の縦幅は、それぞれ前記第一枠部の縦幅と第二枠部の縦幅の和と等しくされている。
実施例4における前記荷台部1は、梱包材の中央に配置され、梱包箱Aの梱包空間の奥行きよりも狭い縦幅と、当該梱包空間の幅と略等しい横幅を持つ長方形状の領域である。
前記枠部2は、前記荷台部1の横幅方向の両側に一対の側板部3,3を対称的に備えると共に、各側板部3、3の縦幅方向の両側に、内側から外側に向かって第一枠部4,4、次いで第二枠部5,5の順で対照的に備える(図8参照)。
【0024】
実施例4における前記側板部3は、梱包箱Aの梱包空間の奥行きより狭い縦幅(この例では前記荷台部1と等しい縦幅)と、前記第一枠部4及び第二枠部5の横幅と略等しい横幅(起立時の高さ)を持つ長方形状の領域である。
実施例4における前記第一枠部4及び第二枠部5と荷台部1との境界線は、その全長にわたる一連の切込(断続的な切込でもよい)γを備え、前記第一枠部4及び第二枠部5の縦幅は、梱包箱Aの梱包空間の奥行きで規制され屈曲した際に、前記荷台部1上に、当該包装箱Aの内面の一部を一辺とする三角柱状の突条6を当該内面に沿って形成できる程度に設定する(図4参照)。
【0025】
実施例4は、梱包材全体として長方形状であり、荷台部1及びその縦幅方向の両側に配置された外脚部7,7を含めた縦幅方向の全長は、前記梱包箱Aの梱包空間の奥行きを十分に上回る様に設定されているため、当該梱包材を梱包箱Aに装填する際、前記側板部3,3と荷台部1との境界線による屈曲により前記荷台部1が平坦に維持され、その縦幅方向へ延出した長方形状の外脚部7が荷台部1の裏側方向へ湾曲させられる。
前記外脚部7は、その縦幅が十分に確保された上で各々が前記荷台部1との境界線を折り曲げ線βとして(折り曲げ線を形成せずに湾曲する様に構成してもよい)荷台部1の裏側方向へ対称的に屈曲(又は湾曲)させられると、それぞれの先端縁が梱包箱Aにおける梱包空間の奥行き方向の下側縁に当接する突っ張り部となり、荷台部1を梱包空間の中央部上位に差し上げる緩衝手段として機能する。
実施例4における前記第一枠部4及び第二枠部2の横幅(起立時の高さ)は、前記梱包箱Aの梱包空間の高さから前記外脚部7により荷台部1が差し上げられた高さを差し引いた長さとなる様に設定する。
【0026】
これら実施例1乃至実施例4における前記枠部2の縦幅の全長は、前記梱包箱Aの梱包空間の奥行きを十分に上回る様に設定されているため、当該梱包材を梱包箱Aに装填する際、前記荷台部1の横幅と梱包領域の幅との関係で、各枠部2における第一枠部4と第二枠部5との境界線δが前記梱包空間に向けた山折り線となり、側板部3と第一枠部4との境界線εが梱包空間に向けた谷折り線となって屈曲し、三角形状の突条6が形成される。
【0027】
これら実施例1乃至実施例4によれば、いずれかの梱包材の荷台部1に被梱包物を包装フィルムで巻き付けて保持し(図1乃至図4又は図10参照)、前記荷台部1の横幅方向の両側に配置された一連の側板部3、第一枠部4及び第二枠部5を、前記荷台部1の表方向へ折り曲げつつ梱包箱Aに装填する工程を経る梱包方法により、被梱包物を容易に梱包することができる。
前記実施例3又は実施例4によれば、更に、梱包箱Aの梱包空間において、前記荷台部1の縦幅方向の側縁から外脚部7をそれぞれ当該荷台部1の裏側に向けて湾曲又は屈曲させる工程を経る梱包方法により、被梱包物を梱包空間の底から差し上げた状態で容易に梱包することができる。
【0028】
前記実施例1乃至実施例4は、前記荷台部1に、袋状の切込に囲まれた均一な高さとなる内脚部10を、当該荷台部1の広さに応じて、単数又は複数備える構成を採ることができる。また、前記内脚部10には、前記外脚部7と同様のアングル加工領域9を設けることができる。
例えば、図9(B)に示す例は、荷台部1に、一方の長辺の中央部を欠いた長方形状の切込θを、各々の切込の間欠部を当該荷台部1の縦幅方向の外側(内側でもよく横幅方向の内外に向けてもよい)に向けて、一対対称的に穿設したものである。この切込θの形状により、前記間欠部を挟む内脚部10の両端部がアングル加工領域9となる。
この構成を持つ梱包材の組み立てにより、長方形状の内脚部10が当該荷台部1から離脱し、前記間欠部を挟む長方形の端部(アングル加工領域9)を、それぞれの端縁と平行な折り曲げ線ιで当該荷台部1の縦幅方向の外側(内側でもよい)に向けて90度前後折り曲げることにより、内脚部10は、断面がコの字状のチャンネル型断面(図12(B)参照)と、高床状態を維持する機能を安定的に得ることができる。
【0029】
上記の如く構成された梱包材や当該梱包材を用いた梱包方法は、梱包品をストレッチフィルムやシュリンクフィルム等の包装フィルムで包装したうえで梱包箱に梱包する梱包方法を採ることを前提とするため、荷台部1に対する被梱包物の固定強度は十分であるが、被梱包物の側方に緩衝効果のある壁や緩衝空間を確保したい場合には、包装箱Aの内面の一部を一辺とする三角柱状の突条6の断面形状を決める前記側板部3の縦幅、第一枠部4及び第二枠部5の縦幅を被梱包物の梱包時の横幅及び縦幅に合わせて調整することにより、被梱包物の四隅、横幅方向の側面又は縦幅方向の側面を第一枠部4が形作る斜辺等によって挟持することができる。
【符号の説明】
【0030】
A 包装箱,
α 切込(第一枠部),β 折り曲げ線,γ 切込(第一枠部及び第二枠部),
δ 境界線(第一枠部・第二枠部),ε 境界線(側板部,第一枠部),
ζ 切込,η 折り曲げ線,θ 切込,ι 折り曲げ線,
1 荷台部,2 ,枠部
3 側板部,4 第一枠部,
5 第二枠部,6 突条,7 外脚部,
8 アングル加工領域,9 アングル加工領域,10 内脚部,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12