(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009442
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ニンニク根切除装置
(51)【国際特許分類】
A23N 15/08 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A23N15/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173559
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2017164876の分割
【原出願日】2017-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】三浦 駿
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽拓
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA02
4B061BA03
4B061BB18
4B061CB07
4B061CB13
(57)【要約】
【課題】ニンニクの根部の切除が容易にでき、切除した根を1か所にまとめて排出することで、周囲の場所および環境を清潔に保つことができるニンニク根切除装置を提供する。
【解決手段】ニンニク根切除装置1は、ニンニクが載置される載置部4と、この載置部4の下方部にはニンニクの根部を切除するための根切除部5と、この根切除部5には上方に向けた刃部を有し、載置部に載置されたニンニクを押し付けることで根部を切除する切削刃510と、を備える。さらに、切削刃510の下方部且つ切削刃の同軸上には、切削刃510とともに回転することで切除された切除根を跳ね飛ばす回転羽根710と、回転羽根の側方に位置し、跳ね飛ばされた切除根が排出される排出経路を形成する排出配管を備える。この排出配管は排出側へ向かう空気の流れを発生させるとともに、回転羽根で発生させた気流の勢いを維持する送風ファン730を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニクが載置される載置部と、
該載置部の下方部には、ニンニクの根部を切除するための根切除部と、
該根切除部には、上方に向けた刃部を有し、前記載置部に載置されたニンニクを押し付けることでニンニクの根部を切除する切削刃と、
前記切削刃の下方部且つ前記切削刃の同軸上には、前記切削刃とともに回転することで切除された切除根を跳ね飛ばす回転羽根と、
前記回転羽根の側方に位置し、跳ね飛ばされた切除根が排出される排出経路を形成する排出配管と、
前記排出配管は排出側へ向かう空気の流れを発生させるとともに、前記回転羽根で発生させた気流の勢いを維持する送風ファンと、
を備えることを特徴としたニンニク根切除装置。
【請求項2】
前記送風ファンの前記気流の排出側は排出ホースと、
を備えることを特徴とした請求項1に記載のニンニク根切除装置。
【請求項3】
前記送風ファンは前記排出経路に複数設ける、
ことを特徴とした請求項1又は2に記載のニンニク根切除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニクの毛根を切除するための根切除装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ニンニク等の鱗茎野菜は、その毛根を根元からきれいに切除されてから市場に出荷されることが望まれている。さらに作業者が根切除装置を使用して根を切除する場所および環境は、安全で清潔に保つことが要求されている。従来から、ニンニク等の鱗茎野菜の根部を切除する装置として、特開2017-38586号公報(特許文献1)の「毛根切削装置」、実開昭63-28394号公報(特許文献2)の「玉ねぎ等の上下不要部除去装置」、特開平10-210862号公報の「花き球根類の除根装置」(特許文献3)が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された「毛根切削装置」は、「切削刃を先端に備える毛根切削機構装置と、食物玉体を固定して設置するための固定設置装置とを備え、固定設置装置は、玉体を固定載置台に設けられた固定手段で固定して挟持してクランプし、ここで玉体を挟持するクランプ力は、切削刃の回転数が60~90rpmに設定されている時に、2.5~3.5kgに設定され、よって切削刃を玉体に当て、押し込むことにより毛根を切削する毛根切削装置。」である。
特許文献2に開示された「玉ねぎ等の上下不要部除去装置」は、「上面に径の異る複数の透孔が設けられ、該透孔内部にそれぞれ除去刃を設けたことを特徴とする玉ねぎ等の上下不要部除去装置。」である。
特許文献3に開示された「花き球根類の除根装置」は、「異なる方向に回転する一対の除根用ベルトを上下方向に並べ、その横に球根を搬送する搬送ベルトを配設し、搬送ベルトにて搬送中の球根のヒゲ根を除根用ベルトで除根する」装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-38586号公報
【特許文献2】実開昭63-28394号公報
【特許文献3】特開平10-210862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ニンニクは収穫された後、一定期間乾燥および貯蔵され、その後市場へ出荷されていく。小売市場に出荷されるニンニクは、根部を除去されることが要求されている。また、ニンニクの根部を除去する作業者が手軽に扱え、根部の除去を効率的に行うことができるとともに、根を切除する場所および環境は、安全で清潔に保つことができる装置が要求されている。
特許文献1に示された「毛根切削装置」は、ニンニクの毛根を完全に除去するために載置台に根部を上方に向けてニンニク等の玉体を載置し、載置台上のクランプ部材でニンニク等の玉体を固定した後に、回転する切削用刃を下方に押下してニンニクの根部を切削していくものである。しかし、特許文献1に示された「毛根切削装置」では、連続して大量のニンニクの根部を切削するには、ニンニク等の玉体を固定するためのレバー操作と、回転する切削用刃を下方に押下するためのレバー操作が必要であるため、作業効率が悪い。また、特許文献1に示された「毛根切削装置」によって除去した根部は、装置上および装置の周囲から取り除かれること無く周囲に飛散するため、作業者は飛散した根部に対し防護措置を取る必要がある。また、除去して周囲に飛散した根部は、取り除かない限り堆積していくため、作業環境が徐々に悪化する。
【0006】
また、特許文献2に示された「玉ねぎ等の上下不要部除去装置」は、大きさの異なる複数の孔を選択し、該孔に玉ねぎを押し当てながら、該孔の中央下方部にあるドリル状の除去刃に玉ねぎの根部を下方に押し当てることによって、根部を除去していくものである。しかし、玉ねぎの大きさに応じた適正な孔を作業者が使用都度に選択しなければならず、孔の大きさの選択を間違えると除去刃が根部に届かずに根部を切除できなかったり、除去刃が根部より上方に突き刺さり、実を抉ってしまう場合がある。また、特許文献2に示された「玉ねぎ等の上下不要部除去装置」によって除去した根部は、装置の内部又は周囲に堆積することで機械の性能を発揮できなくなるため、一定量溜まると取り除く必要がある。
【0007】
また、特許文献3に示された「花き球根類の除根装置」は、異なる方向に回転する一対の除根用ベルトによって、花き球根類のヒゲ根を引き込むようにしてヒゲ根を除去していく。一方、除根用ベルトの側方又は下方に、吸引ファンを取り付けたダクトを臨ませることによって、除去したヒゲ根を吸引し外部に排出するものである。しかし、ニンニクの根部は固く、引っ張る力のみで、除根用ベルトの引き込む力のみで根部を除去することはできない。また、除根用ベルトには、除根したヒゲ根が貼り付くことがあるため、除根能力の低下を招いたり、除根したヒゲ根がダクトに入らず外部に排出できないことがある。
【0008】
このことから本発明の目的は、作業者が簡単に扱うことが可能で、ニンニクの根部の切除が容易にでき、切除した根を1か所にまとめて排出することで、飛散物が無く、周囲の場所および環境を清潔に保つことができるニンニク根切除装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ニンニクが載置される載置部と、この載置部の下方部にはニンニクの根部を切除するための根切除部と、この根切除部には上方に向けた刃部を有し、載置部に載置されたニンニクを押し付けることでニンニクの根部を切除する切削刃と、切削刃の下方部且つ切削刃の同軸上には、切削刃とともに回転することで切除された切除根を跳ね飛ばす回転羽根と、回転羽根の側方に位置し、跳ね飛ばされた切除根が排出される排出経路を形成する排出配管と、排出配管は排出側へ向かう空気の流れを発生させるとともに、回転羽根で発生させた気流の勢いを維持する送風ファンと、を備えるニンニク根切除装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、作業者は載置部に、根部を下方に向けたニンニクを載置し下方に押下するのみで、ニンニクの根部を切除できる。一方で、ニンニクから切除された根は、根排出部を経由して外部の1か所に集中して排出することで、周囲に飛散することが無く、まとめて回収ができることで、飛散物の回収作業が不要で効率良い作業ができるニンニク根部切除装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の側面図である。
【
図3】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の平面図である。
【
図4】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の後面図である。
【
図5】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の底面図である。
【
図6】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の正面図である。
【
図7】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置を断面した側面図である。
【
図8】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の根排出部の側面を拡大して断面した要部側面図である。
【
図9】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の根排出部の回転羽根部分を拡大して一部断面した斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の載置部を拡大した正面図である。
【
図11】本発明の一実施例のニンニク根部切除装置の載置部を拡大して断面した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、
図1乃至
図11に基づいて説明する。
【0013】
ニンニク根部切除装置1は、本体部2と、該本体部2の上部に配置されて、水平方向に間欠に回転駆動される水平板3と、該水平板3上に複数設けられ、根部を下方に向けたニンニクAが載置される載置部4と、前記水平板3の下方部に設けられ、ニンニクAの根部を切除するための根切除部5と、前記根切除部5近傍に設けられ、切除した根部を外部に送り出し、集中して排出するための根排出部7と、該根切除部5の上方に設けられ、前記水平板3と直交する方向に載置部4に載置されたニンニクAを押圧する押圧部6とで構成されている。
【0014】
前記水平板3は水平板駆動モータ360を駆動源として、間欠に一定の間隔に回転駆動される。前記水平板3上には複数の載置部4が設けられていて、該載置部4の内側に根部を下方に向けたニンニクAを載置することによって、順次水平方向にニンニクAが移動して行く。
前記載置部4は、第1載置部410と第2載置部430で構成されていて、第2載置部430は第1載置部410の上方に配置される。第2載置部430は、圧縮バネ437によって常時上方に付勢されていて、ニンニクAは第2載置部430に載置される。
図3に示す水平板3の右方位置は作業者がニンニクAを載置する載置位置Bで、下方位置は根部の切除を待機する待機位置Cで、左方位置はニンニクAを押圧し根部を切除する切除位置Dで、上方位置はニンニクAを取り出す取出位置Eである。本例の場合、
図3に示す時計回りT方向に前記水平板3が回転する。
【0015】
前記水平板3に取り付けられニンニクAを載置された前記載置部4が、前記水平板3の間欠駆動で水平方向に回転し、前記載置位置Bから前記待機位置Cを経由して前記切除位置Dに進んで行く。前記切除位置Dには、
図7に示す前記水平板3の下方部で切除モータ520によって回転駆動され、刃を上方に向けて配置された切削刃510を有した根切除部5が配置されている。該根切除部5上の切除位置Dで停止した前記載置部4上のニンニクAは、前記根切除部5の上部に位置された前記押圧部6の押圧台610が、押圧モータ640を駆動源として下方に下がることによって、ニンニクAの上部を押圧し、前記載置部4とともに下方に押下される。
前記押圧部6の押圧台610で上方部を押下されたニンニクAは、下方部に位置する前記根切除部5の回転された切削刃510に押し付けられて根を切除される。根を切除した後は、前記押圧部6の押圧台610は上方へ戻されると同時に、前記根切除部5に押下されたニンニクAと前記載置部4は、上方の元の位置に圧縮バネ437によって復帰する。
【0016】
前記根切除部5でニンニクAから切除して落下した切除根Rは、前記根切除部5の切削刃510と同軸に設けられた回転羽根710によって、上方から空気を吸い込み気流Kを発生させると同時に、前記本体部2の外部側に排出する。さらに前記切除根Rの排出経路の途中には送風ファン730が配置され、前記切除根Rは、該送風ファン730を通過後に排出ホース740を通ることで、強制的に前記本体部2より離れた位置に集中して排出される。
【0017】
前記根切除部5で根を切除されたニンニクAは、前記水平板3によってさらに回転移動していき、前記載置部4が前記取出位置Eに達すると、作業者は前記載置部4に載置された根部を切除されたニンニクAを取り出す。
【0018】
図3に示すように前記本体部2は、平面視箱状の直方体の前記載置位置B側の面が、外方向に半円状に張り出したように形成されている。前記本体部2の
図7に示す下方面は開放されていて、上方面には、後述する水平板3を回転させるシャフト370を通すための孔が開けられている。
【0019】
図7に示すように、本体部2内部の上方面には、板を箱状に折り曲げられて形成されたギヤケース320が取り付けられている。該ギヤケース320の下方面の
図7に示す右側には、前記水平板駆動モータ360が出力軸361を上方に向けて固着されている。
【0020】
前記水平板駆動モータ360の出力軸361には、ボス351が下方に向けて設けられた小ギヤ350が固着されて、ギヤケース内に設けられる。
前記ギヤケース320の
図7に示す左側には大ギヤ330が配置され、前記小ギヤ350と噛合するように回転軸を上下方向に向けて配置されている。
【0021】
前記大ギヤ330の回転中心には、シャフト370が上下方向に突設され、固着されている。前記シャフト370は本体部外側の上方面とギヤケース320外側の下方面に設けられたベアリングで支持されている。すなわち、水平板駆動モータ360に固定された小ギヤ350と噛合する大ギヤ330は、水平板駆動モータ360の回転により噛合しながら回転し、シャフト370を駆動させる。
前記シャフト370は、前記本体部2の上部に設置されたベアリングより上方まで延設されていて、前記シャフト370の上部には前記水平板3が固着されている。前記水平板3は、前記水平板駆動モータ360の回転により前記小ギヤと大ギヤを介して、水平方向に回転可能になっている。
【0022】
前記シャフト370の下端にはパイプ状部材371が配置されている。さらに該パイプ状部材371の下端には、円形の板状で外周部に回転角度を検出するための、複数の長方形状の突起部381を等角度間隔に設けられた検出板380が配置されている。該検出板380の中心部を前記パイプ状部材371とともに、ボルトで前記シャフト370に固着されている。
また、検出板380に設けられた複数の長方形状の突起は、前記水平板3に設けた載置部4と同じ数で等間隔に設定されている。
【0023】
前記ギヤケース320の下方面からは、板状のステー384が垂下するように取り付けられている。前記ステー384の先端は水平方向に折り曲げられていて、前記検出板の下方部に位置するように設けられている。
【0024】
前記ステー384の折り曲げられた先端の上部には、位置検出用のセンサ386が固定されている。本例の説明に於いては、近接センサを用いている。
前記センサ386の感受部の上方部に、前記シャフト370の回転によって回転する前記検出板380の突起部381が位置すると、突起部381をセンサ386が感知する。突起を感知した前記センサ386からの信号によって制御部(図示せず)が、前記水平板駆動モータ360を停止するように電気回路を構成していて、前記水平板駆動モータ360を指定した角度位置で停止させる間欠駆動が行われる。
【0025】
前記大ギヤ330の下方面にはガイド板340が、板の面を前記大ギヤ330の下方側面に当接させて固着されている。該ガイド板340は、略円形状の板で構成され、外周の近傍の下方面には複数設けられた前記載置部4の数と同じ数の円錐状のザグリ穴341を等角度間隔に設けている。前記ザグリ穴341は、間欠駆動される前記水平板3が、一時停止する際に発生する惰性回転を停止させるために設けられている。
【0026】
前記ギヤケース320下方面の
図7に示す左方側には、圧縮バネ344を収めるための筒状のボス342の一端が垂直方向にギヤケース320内に挿入されている。前記ボス342の上方側の端部は、ギヤケース320内の大ギヤ330の下面に固着された前記ガイド板340より、僅かに下方に位置するように固定されている。
【0027】
前記ボス342の上方には、スチールボール343が前記ボス342の内径内を上下に移動できるように挿入される。前記スチールボール343の下方には、前記スチールボール343を上方に付勢するように圧縮バネ344が挿入されている。前記ボス342の下端部には、前記スチールボール343と前記圧縮バネ344が下方に脱落しないようにボルト345を捩じ込んで蓋をされている。
前記スチールボール343は、前記ボルト345の捩じ込む深さに応じて圧縮バネ344から受ける付勢力を変更することが可能で、設定した深さにボルト345を捩じ込んだ後、ナット346で固定することによって、緩むことを防止している。
【0028】
前記スチールボール343は、前記ボス342上端から直径の2~3割程度露出させ、前記スチールボール343の上部を前記ガイド板340に当接するように配置している。前記大ギヤ330とともに前記ガイド板340が回転していくと、前記ガイド板340に設けられた円錐状のザグリ穴341に、圧縮バネ344で上方に付勢されたスチールボール343が飛び出して嵌まることによって、前記ガイド板340の回転時に一定間隔で抵抗を発生させることが可能になる。
【0029】
前記圧縮バネ344で上方に付勢された前記スチールボール343が、前記ガイド板340に設けられたザグリ穴341に嵌まることで、間欠回転する前記水平板3が回転を停止した際に発生する惰性回転を停止させ、水平板3を所定の位置に精度良く停止させることが可能になる。
【0030】
図3に示された前記水平板3は、円形状の板状で外周部分に四角状の切欠部310を複数箇所に形成している。
【0031】
前記水平板3に設けられた切欠部310の位置は、前記ガイド板340に設けられた円錐状のザグリ穴341、および前記検出板380に設けられた長方形状の突出部381と、同数で等間隔に設けられている。
【0032】
【0033】
前記載置部4は、前記水平板3に複数設けられた切欠部310の上部に設置され、載置部4は、上下に分割されて構成されていて、下方部の第1載置部410と上方部の第2載置部430とで構成されている。
【0034】
第1載置部410は、前記水平板3に対して垂直方向に延設された筒状部材411が配置される。本例に於いては、筒状部材411は円形状の筒となっている。該筒状部材411の下端部の外周には、外側方向に向けて前記水平板3に対して平行な板状の第1鍔状板412が固着されている。
前記第1載置部410の第1鍔状板412は四角状で、前記水平板3に形成された切欠部310より大きく設けられて固着されている。
【0035】
前記第1載置部410の上部には、第2載置部430が配置される。該第2載置部430はパイプ431と、該パイプ431の下部を塞ぐように配置される載置板432と、該載置板の下方面に配置されるガード434と、前記パイプ431の上部に配置される第2鍔状板435と、該第2鍔状板435の下面から垂直に垂下させたバネ案内棒436で構成されている。
【0036】
前記パイプ431は第1載置部410の筒状部材411と同軸上の上下に向けて配置され、該パイプ431の外径は、前記第1載置部410を構成する筒状部材411の内径より小さく形成されている。
前記パイプ431の下端の内径には、根部を下方に向けたニンニクAが載置される載置板432が前記パイプ431を塞ぐように固着される。該載置板432の中央部には、ニンニクAの根部のみが下方に出るように孔が開けられている。
【0037】
前記載置板432の下面部には、切除された根部の飛散を防止するため、前記載置板432に設けた孔の径より大きい内径のパイプ状のガード434が、筒部を下方に向けて固着されている。
【0038】
前記パイプ431の上端の外周には、外周が円形状の第2鍔状板435が配置され固着されている。該第2鍔状板435の下面からバネ案内棒436が、複数下方に向けて等間隔に取り付けられている。本例に於いては、バネ案内棒436は3本配置されている。
【0039】
前記第2鍔状板435から下方に向けて垂下させたバネ案内棒436は、圧縮バネ437が挿入された後、前記第1載置部410の第1鍔状板412に開けられた孔に挿入され、第1載置部410に対し第2載置部430は上方に向けて付勢される。さらに、前記バネ案内棒436の下方先端の雄ネジ部に回り止めナットを挿入することで第2載置部430が前記圧縮バネ437の付勢によって抜け落ちることを防ぐ。
【0040】
前記第2載置部430の前記パイプ431内径および前記載置板432の上面には、弾性部材440が固着されている。該弾性部材440は、
図3に示すように、外径は円形で、内径側には複数の突起を有した星形状の筒状に構成されている。さらに、
図7に示すように弾性部材440の下方面には、筒部を塞ぐように蓋をされ、中央にはニンニクAの根部が下方に出せるように孔が開いている。ニンニクAの側部の鱗片の形状に沿うような形状と、ニンニクAの下方面を覆う形状により、ニンンクAの上方から押圧されて、ニンニクAの下面部にかかる衝撃と、ニンニクAの下方にかかる水平方向の回転力を止める役割がある。
【0041】
すなわち、弾性部材440を第2載置部430内部に設置することで、載置部4に載置されるニンニクAが、後述する根切除部5の切削刃510によって、ニンニクAの根切除時に発生する水平方向への回転衝撃を弾性部材440の内面部が吸収しながら、ニンニクAに伝わる回転力を止める。また、後述する押圧部6の押圧台610によってニンニクAの上部から押圧された時に発生する、ニンニクAの下方にかかる負荷を弾性部材440の下方部が吸収することで、ニンニクAの損傷を防ぐものである。本例に於ける弾性部材440の材質は、ウレタンゴムが使用されている。
【0042】
上述した載置部4の構造によって、前記第2載置部430は、前記第1載置部410に対し上下方向のみに往復動が可能で、常時上方へ向けて付勢されている。前記第2載置部430に根部を下方部に向けて載置されたニンニクAは、第2載置部430を下方部に押し下げることによって、下方部に位置された根切除部5の切削刃510に当接してニンニクAの根部を切除する。
【0043】
図5および
図7を用いて前記根切除部5を説明する。
前記根切除部5は、前記水平板3の切除位置Dの下方部で、
図2に示す左側に位置されている。前記根切除部5は、ニンニクAの根部を切除する切削刃510と、該切削刃510を駆動するための切除モータ520と、前記切削刃510と前記切除モータ520をそれぞれ固着するためのカップリング530と、切除したニンニクAの根部の飛散防止と作業者と切削刃510との接触防止ための刃部ガード540で構成されている。
【0044】
前記切除モータ520は、前記水平板3の切除位置Dの下方部で、
図7に示す左側の下方に位置し、前記本体部2の内部に収められている。前記本体部2の上方の下方面部に取り付けられたギヤケース320の
図7に示す左方側にはモータ取付部210が取り付けられている。
前記モータ取付部210の側面部は板板状で、始端を
図5に示す9時の方向から反時計回りSの方向に270度の12時方向にカール状に曲げられ、終端部は接線方向に直線状に延設されている。始端の接線方向の仮想線と終端部の板面は直交するように位置されている。すなわち、モータ取付部210の側面は、
図7に示す左側の一部の面のみが開放されている。
前記モータ取付部210の底面部は、前記本体部2の上面と平行で、前記モータ取付部210の側面部の下面を塞ぐように覆われ、底面部の略中央部には孔が開けられている。すなわち、前記モータ取付部210の側面は、
図7に示す左側の一部の面のみが開放されて、開放孔Gを形成している。
【0045】
前記モータ取付部210の底面部の下方面には、前記切除モータ520が出力軸を上方に向けて取り付けられている。前記切除モータ520の出力軸は、前記モータ取付部210の下面部に開けられた孔に通されていて、前記出力軸にはカップリング530の一端が挿入され固着されている。
該カップリング530は、前記切除モータ520の上方に位置する前記本体部2の上面に開けられた孔を通り、前記本体部2の上面より突出している。
【0046】
前記カップリング530の上方側の他端側には、切削刃510が挿入されて固着されている。該切削刃510は側方視で傘状の形状をしている。前記切削刃510は、前記カップリング530に挿入される下方部は円柱状で、上方部に形成される刃先は側面視で上部に行くに従って円錐状に窄まるように形成されている。さらに前記円錐状の部分には、刃部を上方に向けて、刃筋が円錐の頂点に向かうように直線状に形成された複数の刃部を有している。前記切削刃510の刃部は、前記水平板3より下方で前記本体部2より上方に位置している。
【0047】
前記切削刃510およびカップリング530の外周、および、前記カップリング530が通る前記本体部2の上面に設けた孔部を覆うように刃部ガード540が配置されている。刃部ガード540は筒状で、外径は前記ガード434よりも大きく設定されていて、筒の方向を上下に向け、筒の下端部を本体部2の上面部の板に固着されている。前記刃部ガード540の上端部は、前記第2載置部430が下方に押下されると、前記第2載置部430に配置したガード434の下端部より上方に位置するように配置される。
前記刃部ガード540の上端部がガード434の下端部より上方に位置することで、前記載置部4が後述する押圧部6によって下方に押下されて、切削刃510でニンニクAの根部を切除した際に、切除した根部が周囲に飛散することを防止する。また、回転物である切削刃510およびカップリング530の周囲を前記刃部ガード540で覆うことで、作業者が不意に切削刃510およびカップリング530に巻き込まれることを防止し、作業者は安全に作業ができる。
【0048】
前述の構成により、前記切削刃510は、前記切除モータ520の出力軸が一体になって回転する。前記載置部4に載置されたニンニクAを、後述する押圧部6によって下方向に押圧することで、前記第2載置部430とともにニンニクAが下方向に押し下げられ、回転された前記切削刃510にニンニクAの根部が当接することで、根部を切除することができる。
【0049】
図5乃至
図9を用いて、根排出部7を説明する。根排出部7は前記根切除部5の切削刃510に、載置部4上に載置されたニンニクAの根部を押圧することによって、切除されたニンニクAの切除根Rを、本体部2より離れた位置に集中して排出するために設けられている。
前記根排出部7は、回転羽根710と、第1排出経路720と、送風ファン730と、排出ホース740とで構成されている。
【0050】
前記回転羽根710は、前記根切除部5のカップリング530の下方部に固着されていて、回転中心軸は前記カップリング530と同じに設けられる。前記回転羽根710は、円形板711上に垂設された羽根712が回転中心軸から外周に向けて放射状に複数枚配置され、平面部を
図5および
図9に示す回転方向S側に向けられている。該羽根712の回転外周側の先端部は、前記回転羽根710の
図5および
図9に示す回転方向S側に折り曲げられていて、回転中心側の内側の他端部は前記カップリング530に固着されている。本例に於いては、前記羽根712の回転外周側の先端部の折り曲げは、15度から35度程度に設定されている。前記羽根712の先端部を
図5および
図9に示す回転方向S側に折り曲げることによって、前記円形板711上に落下した切除根Rは、前記羽根712を伝って側方の
図8および
図9に示す前記開放孔Gの方向へ跳ね飛ばすことができる。
前記回転羽根710の外周は、前記モータ取付部210の側面部の内周面より小径に設けられていて、前記回転羽根710は前記カップリング530を介して回転自在に設けている。すなわち、前記回転羽根710は、前記切除モータ520によって前記切削刃510とともに回転が可能に設けられている。
【0051】
前記載置部4に載置されたニンニクAを前記切削刃510に押圧して切除された切除根Rは、回転する前記回転羽根710上に落下すると、遠心力で前記回転羽根710の羽根部によって外周方向に飛ばされる。飛ばされた切除根Rは、前記モータ取付部210の内側の側面に沿って移動し、回転する前記回転羽根710の羽根712の外周側の先端で跳ね飛ばすようにして、前記開放孔Gから排出される。
【0052】
また、前記回転羽根710の回転により、空気の流れを発生させることができる。前記第2載置部430を押下させることにより、前記刃部ガード540と前記第2載置部430のガード434が配設され形成された隙間から、切削刃510の下方に向かう気流Kとして取り入れることができる。前記隙間から取り入れた気流Kは、前記切削刃510の下方に向かう流れとなり、ニンニクAの根部切除時に発生する粉塵等が、前記刃部ガード540とガード434の隙間から前記本体部2の上方側に漏れることを防止し、前記開放孔Gから前記切除根Rとともに排出される。前記粉塵等が前記本体部2の上方側から漏れ出さないことで、前記本体部2の近傍に位置する作業者は、粉塵等を浴びること無く快適にニンニクAの根部切除作業ができる。
さらに気流Kは、前記粉塵と前記切削刃510への押圧によって発生したニンニクAの前記切除根Rとともに、前記回転羽根710上の回転により前記開放孔Gを通過することで、前記第1排出経路720へ送り出していく。
【0053】
該第1排出経路720は、前記切削刃510で切除されたニンニクAの前記切除根Rを、前記開放孔Gを通過させて本体部2の
図6および
図7に示す下方に設けた四角状の孔Hに、前記気流Kとともに誘導するものである。前記第1排出経路720は、前記モータ取付部210の前記開放孔Gの下端部から、板が垂下され固着されている。該板の面は、本体部2の
図7に示す左側の面と平行になるように配置されていている。前記板は下端部をくの字状に折り曲げられ、折り曲げられた先端を、前記本体部2の
図7に示す下方に設けられた四角状の孔Hの下端部に向けて、固着されている。
さらに、前記モータ取付部210の前記開放孔Gの両側面と、前記くの字状に折り曲げられた板と、前記本体部2の内側面とを塞ぐようにして、前記本体部2の内側面と垂直に板が取り付けられている。前記のように配置された構造で、前記切除根Rや前記気流K、および粉塵等が流れる配管として、前記第1排出経路720を形成している。
【0054】
前記第1排出経路720と接続された前記本体部2の外側面には、接続フランジ721が取り付けられている。前記接続フランジ721は、前記開放孔Gを覆う程度の内径を有した丸パイプの両端面の外周に、鍔状のフランジが取り付けられていている。前記接続フランジ721の一方のフランジ面を前記本体部2の外側に固着され、前記第1排出経路720を延設するように配置されている。さらに他方のフランジ面には、送風ファン730が切除根Rの排出配管内に収められるように配置され固着されている。
【0055】
前記送風ファン730の回転直径は、前記第1排出経路720の出口の本体部2の下方に設けた、四角状の孔Hの垂直方向の辺の長さと略同程度の大きさを有している。排出配管内に収められた前記送風ファン730の羽根部が、配管経路の略中心を軸として回転することで、排出側へ向かう空気の流れを発生させ、前記回転羽根710で発生させた前記気流Kの勢いを維持する。
前記送風ファン730は、前記回転羽根710によって送り出され、前記第1排出経路720を通過してきたニンニクAの前記切除根Rを気流Kに乗せて、さらに前記本体部2の遠方へ送り出すことができる。前記送風ファン730によって前記切除根Rは、配管内に滞留および堆積すること無く遠方まで送り出すことが可能である。
【0056】
前記送風ファン730の排出側の端部には、ホース接続部材731が固着されている。該ホース接続部材731は、パイプ状で一方の端部の外周を鍔状のフランジが固着されている。前記パイプの内径は、前記送風ファン730の羽根部の回転外径と略同程度で、前記フランジ部は前記送風ファン730の排出側に固着されている。
前記ホース接続部材731の排出側に位置する前記パイプの外周には、前記パイプの外径と略同一の内径を有した排出ホース740の一端が挿入され固定されている。
【0057】
前記送風ファン730によって送り出された前記切除根Rおよび気流Kは、前記ホース接続部材731と前記排出ホース740の内部を通ることによって、前記排出ホース740の他端部より排出される。また、前記排出ホース740によって、前記根切除部5で切除された切除根Rは、前記本体部2から離れた場所に、1か所に集中して排出させることができる。排出された切除根Rは、前記排出ホース740の他端部の排出口付近に切除根Rを一定量堆積させた後に回収したり、前記排出ホース740の他端部に回収袋を直接取り付けて回収袋に直接収集したりすることが可能になる。また、前記切除根Rは、前記本体部2の近傍に飛散し堆積することが無いので、前記本体部2の近傍に位置する作業者の周囲は、清潔に保つことができる。
【0058】
本例に於いては、送風ファン730は前記排出経路内の途中1か所に設置させたもので説明したが、前記排出ホース740の排出口に前記ホース接続部材731を挿入し、前記ホース接続部材731のフランジ部に前記送風ファン730を固着させ、さらに前記排出ホース740を接続することができる。前記排出ホース740を追加して接続することで、排出口をさらに遠方に設置させるとともに、追加した前記送風ファン730で気流Kの勢いを維持しながら、切除根Rを遠方に排出することが可能である。
【0059】
図1乃至
図4および
図7を用いて、前記押圧部6を説明する。
前記押圧部6は、載置部4に載置されたニンニクAを下方向に押圧する押圧台610と、前記押圧台610を支持して下往復動をするスライドフレーム620、前記スライドフレーム620の上下動を支える支持フレーム630およびスライドレール633、前記スライドフレーム620が上下往復駆動するための動力源である押圧モータ640とで構成されている。
【0060】
前記押圧台610およびスライドフレーム620を支える土台となる支持フレーム630は、門型の形状をしている。
図2に示された支持フレーム630を構成する側部フレーム631は、本体部2の上面部から垂設され、板をL字状に曲げた形状で本体部2の上面部と固着されている。垂直に設置されたそれぞれの側部フレームの上端部の側面に架け渡すようにして、上部フレーム632が配置され固着されている。上部フレーム632は板をL字状に折り曲げて形成されていて、曲げられた面が前記水平板3と平行になるように配置される。
【0061】
前記上部フレーム632の下方部には、スライドフレーム620が配置されている。スライドフレーム620はL字状に曲げられた板で、曲げられた板の下面は前記上部フレーム632と平行に配置される。前記スライドフレーム620の両端側には、垂直方向の孔が開けられ、該孔にスライドブッシュ621が挿入され固着している。
【0062】
図4に示すように前記上部フレーム632の両端側から、丸棒状のスライドレール633が垂下されている。前記スライドレール633の両端の上部フレーム632側と本体部2側はナットで固定されている。
前記スライドレール633には、前記スライドフレーム620に設けられたスライドブッシュ621が挿入されていて、前記スライドフレーム620は、前記スライドレール633を介して上下方向に往復動が可能に設けられている。
【0063】
前記スライドフレーム620の中央下面には、前記根切除部5の切削刃510の回転軸と略同じ軸線上に位置するように押圧台610が取り付けられている。該押圧台610は、前記第2載置部430の内径より小さい外径の筒状で、筒を上下方向に向けて配置され、該筒の上方部を、蓋をするように板が固着されている。前記押圧台610の上方には複数の棒が上方に向けて突設していて、該棒の上部は前記スライドフレーム620に設けられた孔に通されて、ナットで固定される。
さらに、前記棒の外周には支持スプリング612が挿入されることで、前記押圧台610は下方に付勢される構造となる。支持スプリング612は、押圧による衝撃がニンニクAに直接伝導することを防止するとともに、支持スプリング612によって押圧台が上下方向に移動することで、ニンニクAの大きさが異なっても、確実にニンニクAを前記押圧台610が押圧することが可能になる。
【0064】
前記押圧台610の内側には、弾性部材611が設けられている。該弾性部材611は、円形の外径で、上部に行くにつれて径が小さくなるようにした階段状の内径を有した弾性素材で構成された筒状の形状である。前記弾性部材611はニンニクAと前記押圧台610が直接当接してニンニクAが損傷することを防止し、前記押圧台610による押圧時の衝撃吸収と、ニンニクAの根部が前記根切除部5の回転する切削刃510の当接によって、連れ回ること無く定位置に保持するためのものである。
前記弾性部材611の内径面の形状は前述の目的で使用するので、ニンニクAと接する内側の面は、上部に向かって頂点を形成するようにした円錐形状や、内側に突起を設けた星形状に形成したものでもよい。本例に於ける弾性部材611の材質は、ウレタンゴムが使用されている。
【0065】
前記本体部2に配置された支持フレーム630の
図2に示す左側には、上方に向かって本体部2から突設された板状のモータ取付部641が設けられている。該モータ取付部641の押圧モータ640が取り付けられる面は、前記上部フレーム632の板が曲げられた下面と垂直に向けられて取り付けられる。前記押圧モータ640はモータ取付部641の上方部に取り付けられ、前記押圧モータ640の出力軸は前記モータ取付部641の板面と直交するように向けられている。
【0066】
前記押圧モータ640の出力軸には、板状部材で構成された第1リンク642の一端が板面と直交させて固着されていて、第1リンク642の他端にはピン645が前記押圧モータ640の出力軸と平行に固着されている。前記第1リンク642の他端に設けられたピン645には、板状部材で構成された第2リンク643の一端に設けた孔に回動可能に挿入され、止め輪で抜け止めをして連結されている。さらに、第2リンク643の他端には、該他端部を挟むようにコの字状に曲げられた板で構成され、前記押圧モータ640の出力軸と平行に孔が開けられ、スライドフレーム620に固着された保持ブラケット644が位置し、前記孔にピン650が通されて連結されている。
【0067】
前記保持ブラケット644を前記スライドフレーム620の
図7に示す左側面に固着されることで、前記押圧モータ640の回転駆動は第1リンク642と第2リンク643を介して、スライドフレーム620の上下往復動に変換することが可能になる。前記押圧モータ640は1回転することで、前記押圧部6の前記スライドフレーム620および押圧台610は、上下方向に1往復動が可能に構成されている。
さらに前記押圧モータ640は、1回転ごとに間欠回転動作するように制御されている。間欠回転駆動する前記水平板3の回転が停止すると、連動して前記押圧モータ640が1回転のみ回転するように制御部(図示せず)で制御している。
【0068】
前述の構造によって、前記載置部4を取り付けた前記水平板3は、根部を下方に向けたニンニクAが載置された前記載置部4が、前記押圧台610の下方に位置すると回転を一時停止する。その後、前記押圧モータ640の出力軸が回転することで、スライドフレーム620を下方に押し下げる。押し下げられた前記スライドフレーム620の下方に設置された押圧台610が、載置部4上のニンニクAを前記載置部4の第2載置部とともに下方に押圧する。下方に押圧されたニンニクAの根部は、前記載置部4下方に位置する根切除部5の切削刃510に当接して根部を切除される。さらに、押圧モータ640が回転し続けると、前記スライドフレーム620が上方に戻され、押圧モータ640が停止する。前記押圧モータ640が停止すると、前記水平板3が回転を再開し、前記押圧台610の下方に次の載置部4が配置され、前述の動作を繰り返していく。
【0069】
前記押圧部6によって下方に押圧され、前記根切除部5によって根部を切除されたニンニクAは、前記水平板3の
図3に示す時計回りの矢印Tに示す方向に回転移動されて、放出位置Eで一時停止する。放出位置Eで一時停止した前記載置部4上のニンニクAを作業者が取り出すことで、ニンニクAの根部の切除作業が完了する。
さらに、一定時間が経過すると前記水平板3は回転を再開し、取出位置Eの前記載置部4は載置位置Bに移動することで、作業者は載置位置Bの前記載置部4にニンニクAを載置していく。
【0070】
以上のように配置された本願発明のニンニク根切除装置1は、ニンニクAを前記載置部4に載置し押下することで、ニンニクAの根部の切除をする。切除された切除根Rは、周囲に飛散すること無く、外部の1か所に集中して排出することができる。
本実施例に於いて載置部4は、断続的に回転する水平板3上に設けられ、切除位置Dに位置することで押圧部6の押圧台610によって下方部に押し下げる形態で例を示した。しかし、前記水平板3の回転を常時止めて固定させ、常時切除位置Dに位置させた前記載置部4に作業者がニンニクAを載置させ、作業者が前記載置部4を下方に押圧してニンニクAの根部を切削刃510に押し当てて、ニンニクAの根部を切除する形態であっても、本願発明の排出部7は実施できる。
【0071】
本願発明の一実施例のニンニク根切除装置1を用いて、ニンニクの根部を切除する作業の流れを説明する。
水平板3の載置位置Bに、間欠回転する前記水平板3によって水平に回転移動してきた載置部4が一時停止する。載置位置Bに停止した前記載置部4上に、作業者はニンニクAの根部を下方に向けて載置する。
【0072】
前記載置部4に載置されたニンニクAは、
図3に示す時計回りTに間欠回転して、待機位置Cを経由した後に前記押圧部6の前記押圧台610の下方で回転が一時停止する。その後、前記押圧部6の前記押圧台610が押下してニンニクAを下方に押下する。
ニンニクAは、前記載置部4に設置された前記第2載置部430とともに押下され、前記載置部4の下方に配置された前記根切除部5の回転する前記切削刃510との当接によって、根部を切除される。前記押圧部6の前記押圧台610が上方に復帰すると、前記水平板3は、
図3に示す時計回りの矢印Tに示す方向に回転を再開する。
【0073】
前記前記切削刃510との当接によって、ニンニクAから切除された切除根Rは、前記回転羽根710の回転で前記第1排出路720に送り出される。さらに、前記回転羽根710によって発生した気流Kとガード434と刃部ガード540とで、前記本体部2の上方部からの粉塵の発生や切除根Rの飛散を防止することで、作業者は容易に効率良くニンニクAの根切除作業ができる。前記第1排出路720に送り出された切除根Rおよび気流Kは、前記送風ファン730によってさらに遠方に送り出されて、排出ホース740端部の排出口から集中して1か所に排出される。1か所に集中して排出した前記切除根Rは、作業者によって容易に回収される。
【0074】
一方、根部を切除されたニンニクAが載置された前記載置部4は、前記水平板3の回転によって回転移動され、取出位置Eで再度回転が停止する。その後、取出位置Eに位置する前記載置部4のニンニクAを作業者が取り出すことで、ニンニクAの根部を切除する作業が終了する。
【産業上の利用可能性】
【0075】
この発明は、玉状で略中央部から集中して根が出ている根菜および鱗茎野菜の根部の切除に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 ニンニク根切除装置
2 本体部
210 モータ取付部
3 水平板
310 切欠部
312 支持板
320 ギヤケース
330 大ギヤ
340 ガイド板
342 ボス
343 スチールボール
344 圧縮バネ
350 小ギヤ
360 水平板駆動モータ
370 シャフト
380 検出板
4 載置部
410 第1載置部
430 第2載置部
437 圧縮バネ
440 弾性部材
5 根切除部
510 切削刃
520 切除モータ
6 押圧部
610 押圧台
611 弾性部材
7 根排出部
710 回転羽根
720 第1排出路
721 接続フランジ
730 送風ファン
731 ホース接続部材
740 排出ホース
A ニンニク
K 気流
R 切除根
G 開放孔