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特開2022-94423CO2排出量削減システムおよびCO2排出量削減方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094423
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】CO2排出量削減システムおよびCO2排出量削減方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20120101AFI20220620BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220620BHJP
【FI】
G06Q50/00
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207290
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】516209038
【氏名又は名称】ひとしずく株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126402
【弁理士】
【氏名又は名称】内島 裕
(72)【発明者】
【氏名】小久保 啓
(72)【発明者】
【氏名】桑原 憂貴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CO2排出量・削減量の計測、CO2削減量の可視化およびコスト面からのインセンティブ付与を実現することができるCO2排出量削減技術を提供する。
【解決手段】CO2排出量削減システムであって、計測ユニット20は、ユーザーの事業所や家庭などにおけるCO2排出量を測定する計測部と、削減可能なCO2排出量の数値データを算定する算定部を備える。地域通貨サーバ30は、CO2排出量の削減行動を実施したユーザーのユーザー端末に対して、地域通貨等を発行する発行部を備える。可視化サーバは40、CO2削減量を計測したデータを所定の表示画面に出力して可視化する可視化部を備えり。管理サーバ10は、ユーザー端末50-1~50-n、計測ユニット20、地域通貨サーバ及び可視化サーバの少なくともいずれか1つからCO2排出削減量に関するビッグデータを収集する制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、計測ユニットと、地域通貨サーバと、可視化サーバと、1以上のユーザー端末とがネットワークを介して接続されているCO2排出量削減システムであって、
前記計測ユニットは、ユーザーの事業所や家庭などにおけるCO2排出量を測定する計測部と、削減可能な前記CO2排出量の数値データを算定する算定部を備え、
前記地域通貨サーバは、前記CO2排出量の削減行動を実施した前記ユーザーの前記ユーザー端末に対して、地域通貨等を発行する発行部を備え、
前記可視化サーバは、前記CO2削減量を計測したデータを所定の表示画面に出力して可視化する可視化部を備え、
管理サーバは、前記ユーザー端末、前記計測ユニット、前記地域通貨サーバおよび前記可視化サーバの少なくともいずれか1つからCO2排出削減量に関するビッグデータを収集する制御部を備える
CO2排出量削減システム。
【請求項2】
ネットワークを介して接続されている管理サーバと、計測ユニットと、地域通貨サーバと、可視化サーバと、1以上のユーザー端末とを利用したCO2排出量削減方法であって、
前記計測ユニットが計測部により、ユーザーの事業所や家庭などにおけるCO2排出量を測定する工程と、
前記計測ユニットが算定部により、削減可能な前記CO2排出量の数値データを算定する工程と、
前記地域通貨サーバが発行部により、前記CO2排出量の削減行動を実施した前記ユーザーの前記ユーザー端末に対して、地域通貨等を発行する工程と、
前記可視化サーバが可視化部により、前記CO2削減量を計測したデータを所定の表示画面に出力して可視化する工程と、
管理サーバが制御部により、前記ユーザー端末、前記計測ユニット、前記地域通貨サーバおよび前記可視化サーバの少なくともいずれか1つからCO2排出削減量に関するビッグデータを収集する工程と
を有するCO2排出量削減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2(二酸化炭素)の排出量を削減するためのプラットフォーム技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)CO2排出量の増加による気候危機
世界の平均気温が1880年から現在に至るまでに0.9℃上昇し、世界平均地表温度の新記録を更新している。
また、1979年以降、10年あたり13.3%の割合で南極の氷が溶けている。
さらに、2002年以降、陸地における氷のうち、毎年286ギガトンが失われている。
【0003】
(2)CO2排出量削減における具体策の欠乏
パリ協定が掲げる1.5℃目標(産業革命前からの気温上昇を1.5未満に抑えるという目標)達成のロードマップが描けていない、またはその取り組みの有効性や成果が可視化されていない。
意識啓発により、人々の意識が高まっているものの、具体的なCO2削減量の計測が確立されていない。
【0004】
現状において、特に中小企業と個人においてなぜ抜本的にCO2排出量を削減できないのかは以下の理由が考えられる。
「計測」:計測方法が確立されず、1家庭のCO2排出量でさえ測ることができない。
「不可視」:目に見えないため、CO2排出量を意識せず、可視化ツールもない。
「依存」:大企業・行政の変化や技術革新を待つ状態であり、普及啓発に依存している(削減メリットが無い)。
【0005】
中小企業(3,578,000社)
CO2排出量削減を行いたいがそのための費用を負担できない中小企業がある(SDGs認知15.8%=565,324社)。
個人
CO2排出量削減を行いたいがそのための費用を負担できない個人がいる(従来は意識の高い人のみ)。
【0006】
世界5位の排出量の日本のインパクトに鑑みて世界のモデルを示すこと、また、対策が遅れている中小企業支援サービスの不足を解消し、さらに個人消費の原動力に訴求して行動変容をもたらすことが求められていた。
【0007】
ここで、生産設備および用役設備から設備の運転情報である計測値を収集する計測値収集部と、計測値収集部で収集した計測値および設備仕様から二酸化炭素排出量を計算する排出量計算部と、排出量計算部で計算した二酸化炭素排出量を分析するデータ分析部、収集した計測値、計算した二酸化炭素排出量、及び分析した分析結果を記憶するデータ記憶部と、データ記憶部4で記憶したデータを表示する表示部とを備え、データ分析部が、生産設備で消費されたエネルギに由来する二酸化炭素排出量と用役設備で生産されたエネルギに由来する二酸化炭素排出量と算出して比較することで、二酸化炭素排出量の削減を実現するために、生産設備と用役設備のそれぞれに由来する二酸化炭素排出量を計算・分析して、二酸化炭素排出量の削減方法を検討できる二酸化炭素排出量の算出装置を提供する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-186570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の特許文献1に開示されている技術では、普及啓発ではなく直接CO2排出量削減を行うために、CO2排出量・削減量を計測することに加えて、毎日のCO2削減量を可視化することや、商品選択要素のうち価格が重視される日本市場においてコスト面からのインセンティブを与えて行動変容を起こす選択肢を提示することは困難であった。
【0010】
本発明の目的は、CO2排出量・削減量の計測、CO2削減量の可視化およびコスト面からのインセンティブ付与を実現することができるCO2排出量削減技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のCO2排出量削減システムは、
管理サーバと、計測ユニットと、地域通貨サーバと、可視化サーバと、1以上のユーザー端末とがネットワークを介して接続されているCO2排出量削減システムであって、
前記計測ユニットは、ユーザーの事業所や家庭などにおけるCO2排出量を測定する計測部と、削減可能な前記CO2排出量の数値データを算定する算定部を備え、
前記地域通貨サーバは、前記CO2排出量の削減行動を実施した前記ユーザーの前記ユーザー端末に対して、地域通貨等を発行する発行部を備え、
前記可視化サーバは、前記CO2削減量を計測したデータを所定の表示画面に出力して可視化する可視化部を備え、
管理サーバは、前記ユーザー端末、前記計測ユニット、前記地域通貨サーバおよび前記可視化サーバの少なくともいずれか1つからCO2排出削減量に関するビッグデータを収集する制御部を備える。
【0012】
また、本発明のCO2排出量削減方法は、
ネットワークを介して接続されている管理サーバと、計測ユニットと、地域通貨サーバと、可視化サーバと、1以上のユーザー端末とを利用したCO2排出量削減方法であって、
前記計測ユニットが計測部により、ユーザーの事業所や家庭などにおけるCO2排出量を測定する工程と、
前記計測ユニットが算定部により、削減可能な前記CO2排出量の数値データを算定する工程と、
前記地域通貨サーバが発行部により、前記CO2排出量の削減行動を実施した前記ユーザーの前記ユーザー端末に対して、地域通貨等を発行する工程と、
前記可視化サーバが可視化部により、前記CO2削減量を計測したデータを所定の表示画面に出力して可視化する工程と、
管理サーバが制御部により、前記ユーザー端末、前記計測ユニット、前記地域通貨サーバおよび前記可視化サーバの少なくともいずれか1つからCO2排出削減量に関するビッグデータを収集する工程と
を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、CO2排出量・削減量の計測、CO2削減量の可視化およびコスト面からのインセンティブ付与を実現可能なCO2排出量削減技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムのシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムを含むサービスを説明する図である。
図4】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムの実施例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムの処理フローを説明する図である。
図6】本発明の実施の形態におけるCO2排出量削減システムの可視化ツールの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態における森林データ利用システムの構成を図1を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、CO2排出量削減システム1は、管理サーバ10と、計測ユニット20と、地域通貨サーバ30と、可視化サーバ40と、1以上のユーザー端末50とから構成されている。
それぞれ、インターネット等の所定のネットワークを介して接続されている。この所定のネットワークは、LAN(Local Area Network)等であってもよく、また有線・無線等は問わない。
【0017】
管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unite)により制御される、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、公知の入出力手段を備える情報処理装置である。例えば、ワークステーション、高機能のパーソナル・コンピュータ等である。
プラットフォーム主催者側に設置され、ユーザー端末50からのアクセスを受け付けてユーザー管理などを行う機能を有している。また、多数(1~n)のユーザー端末50、計測ユニット20、可視化サーバ40および地域通貨サーバ30からCO2排出削減量に関するデータを収集し、CO2排出削減量に関するビッグデータを管理・利活用する機能を有している。
【0018】
計測ユニット20は、計測サーバ21と計測機器(センサ)22から構成されている。
CO2排出量・削減量の計測を行う機能を有している。
なお、減少部分のみ計測することとし、企業や家庭の全排出量計測については計測事業会社や大学等と連携することであってもよい。
計測サーバ21は、CPU(Central Processing Unite)により制御される、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、公知の入出力手段を備える情報処理装置である。例えば、ワークステーション、高機能のパーソナル・コンピュータ等である。
【0019】
地域通貨サーバ30は、CPU(Central Processing Unite)により制御される、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、公知の入出力手段を備える情報処理装置である。例えば、ワークステーション、高機能のパーソナル・コンピュータ等である。既存の地域通貨等取り扱い事業者のサーバが用いられることであってもよい。
CO2排出量削減行動の実施者に対して地域通貨を発行する機能を有している。通貨キャッシュバックによりスイッチコストを支給してコスト面のインセンティブを付与し、CO2排出量削減の実施者は行動変容により生じる追加負担費用は無しとする仕組みを実現することができる。非意識の高い系ユーザーの取り込みも図ることができる。
地域通貨は、有効期限は長期間であるが、その使用可能期限(手元に持っておくことができる期間)が設定されることであってもよい。例えば90日間等に設定されることであってもよい。
なお、地域通貨に限らず、現金・クーポン・その他の仮想通貨等であってもよい。
【0020】
可視化サーバ40は、CPU(Central Processing Unite)により制御される、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、公知の入出力手段を備える情報処理装置である。例えば、ワークステーション、高機能のパーソナル・コンピュータ等である。
CO2排出削減量の可視化を行う機能を有している。
例えば、毎日のCO2排出削減量を計測したデータを可視化できるツール(ソフトウェア)を活用し、一例として、図6に示すような、ソーシャルインパクト・ダッシュボードをユーザー端末50を含む情報処理装置の表示画面に出力することであってもよい。
ソーシャルインパクト・ダッシュボードとは、社会課題は1つの課題が次の課題を生み出す負の構造になっていることが多いため、個別の課題を解決するアプローチでは不十分であるため、事業体を超えて共通課題を解決する「コレクティブインパクト」の必要性があり、それには、共通の課題を認識し、共通の方法で成果を測定・計測し、互いに連携し強化しあうことが必要不可欠であるが、「課題の可視化」・「共通の成果指標の設定」・「成果の計測」ができていないため、他の団体やセクターを越えた連携がしづらい現状があり、また、目指す成果は言語化されていても、進捗を測る指標に自信がなかったり、目指す課題が事業活動を通じてどの程度減少したか(あるいはより良い変化が増加したか)を追えているとはいえない等、「社会的な成果と指標」に課題があったことを解決する一手法である。
【0021】
ユーザー端末50は、CPU(Central Processing Unite)により制御される、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、公知の入出力手段(表示画面を含む)を備える情報処理装置である。例えば、企業や家庭側に用意されるスマートフォン、小型パーソナル・コンピュータ、携帯端末等である。クラウド(SaaS/ASP)によりシステムを利用可能であってよい。
【0022】
図2に、各装置の機能ブロック図を示す。
管理サーバ10は、ユーザーを登録・管理したり、他の装置からのデータを集計・加工・記憶する制御部101と、他の装置と各種のデータのやりとりを行うデータ送受信部102とを備えている。CPU等により実現されてよい。
計測ユニット20は、計測機器(センサ)22により実現されるCO2排出削減量やその計算の基礎となる種々のデータを計測する計測部201と、計測サーバ21のCPU等により実現されるCO2排出削減量の算定部202とを備えている。
地域通貨サーバ30は、ユーザーや加盟店などやそれらの通貨残高等を管理する管理部301と、電子データ等で地域通貨を発行する発行部302とを備えている。CPU等により実現されてよい。
可視化サーバ40は、ツール(ソフトウェア)等を活用してCO2排出削減量をデータ出力により可視化する可視化部401と、他の装置と各種のデータのやりとりを行うデータ送受信部402とを備えている。CPU等により実現されてよい。
【0023】
図3は、本実施の形態におけるCO2排出量削減システムを含むサービスを説明する図である。
ESG投資家やグローバル企業、海外財団等に対して、日本のCO2削減に直接貢献ができるモデル(CO2クレジット購入)として融資の訴求をしていく。融資や投資が集まる範囲内でキャッシュバックの上限を設定し(もっと出資してもらえればキャッシュバックを増やす)、サービスを拡大していく、さらにユーザーが多数いるので出資の勧誘に繋がり雪だるま方式で拡大可能となる。クラウドファンディングで地域通貨をリターンとしてもよい。地域通貨システムの加盟店において地域通貨を利用・消費することとなる。
【0024】
図3にも示すように、商品・サービスメニューとしては以下のものがあり、これらにより、CO2削減ビジネスの利用を促進していくことができる。
CO2排出量計測サービス(排出量計算、診断レポート、簡易アドバイス、計測モデルの提示):プラットフォーム主催者は価格に対する手数料を獲得可能である。
CO2削減コンサルティングサービス(マニュアル作成、指導助言):プラットフォーム主催者は価格に対する手数料を獲得可能である。
ユーザー費用負担(ツール利用料、プラットフォーム利用料、情報提供料):月額制/人・業務委託契約の形態であってもよい。
広告サービス事業(ユーザー向けの広告、CO2削減のビッグデータを企業や行政機関に対して販売):プラットフォーム主催者は価格に応じた収益・利益を獲得可能である。
販売代理事業(既存のCO2削減商品の販売代理(ECサイト)、販売斡旋・紹介):プラットフォーム主催者は価格に対する代理手数料を獲得可能である。
営利目的PRサービス事業(ロゴ使用料、商標使用料、普及啓発CP):プラットフォーム主催者は料金に応じた収益・利益を獲得可能である。
【0025】
〔実施例〕
電力に関する具体例を図4に示す。
まず、電力のCO2排出量を測定する(計測サービス提供)。そして削減可能な数値を提示する(削減コンサルティング)。
そして、例えば、再生可能エネルギーを利用した電力会社へ電力契約を切り替えてもらい、通貨キャッシュバックにより電力会社切り替え費用のスイッチコストを支給する、ユーザーは再エネなのでCO2排出量はゼロになる、さらに何か環境に配慮したCO2削減の取り組み(わりばし→木のマイ箸)に対しても地域通貨等でキャッシュバックすることで支援することであってもよい。この場合には追加負担費用無しだけでなく更に地域通貨等をプラスして獲得可能となり、お得感があり(地域通貨をもらってCO2削減が可能)、本システムへの加入のさらなる動機付けとなる。
また、例えば、図6に示すような、ソーシャルインパクト・ダッシュボードを表示画面に出力するサービスを利用して、ユーザーは全国でのCO2排出削減量の提供を受けることで、可視化されるため削減意欲の維持増進に繋がる。
【0026】
次に、本発明の実施の形態に係るCO2排出量削減システムの処理の流れを図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。理解の容易化のために主に電力の削減を前提として述べる。
【0027】
まず、企業や家庭におけるCO2排出主体はユーザー端末50を用いて、管理サーバ10に対してアクセスし、所定のデータを入力、やりとりするなどして、ユーザー登録(会員登録)により、本CO2排出量削減システムにおけるプラットフォームに加盟する(ステップS1)。ツール利用料、プラットフォーム利用料、情報提供料を月額制/人などで負担する必要がある。
【0028】
次に、計測ユニット20が、計測サーバ21と計測機器(センサ)22を用いて、ユーザーの事業所や家庭における、現状の電力のCO2排出量を測定する(ステップS2)。電力メーター等から消費電力データを把握し、それに基づいてCO2排出量を計算し、診断レポートと、簡易アドバイスをユーザー端末50の表示画面に出力して提供することであってもよい。
【0029】
そして、計測ユニット20は削減可能なCO2排出量の数値データを提示する(ステップS3)。例えば、現状の電力が火力発電等であれば、再生可能エネルギーを利用した電力会社へ電力契約を切り替えれば、どのくらいCO2排出量を削減できるかを具体的にユーザー端末50の表示画面に出力して示すことであってもよい。
同時にコンサルティングとして、地域通貨等による通過通貨キャッシュバックにより電力会社切り替え費用を支給するので実質的なスイッチコストの負担はゼロであることを助言して、コスト面のインセンティブを付与して、行動変容を促すことができる。
さらに、何らかの環境に配慮したCO2削減の取り組み(既存のCO2削減商品の斡旋紹介を実施してもよい)に対しても、地域通貨等でキャッシュバックすることで支援することを助言して、さらなる地域通貨等の獲得が可能となり、お得感がある(地域通貨をもらってCO2削減が可能)ことを示し、行動変容を促進することができる。
【0030】
そして、ユーザーが、例えば、再生可能エネルギーを利用した電力会社へ電力契約を切り替えるなどのCO2排出量の削減行動を実施すると(ステップS4)、地域通貨サーバ30がユーザー端末50に対して地域通貨等を発行する(ステップS5)。通貨キャッシュバックにより電力会社切り替え費用のスイッチコストを支給することとなる。また、何か環境に配慮したCO2削減の取り組みに関しても地域通貨サーバ30がユーザー端末50に対して地域通貨等を発行する。
【0031】
その後、可視化サーバ40は、上記の削減行動・取組に関するデータを収集してそれに基づいて、例えば、毎日のCO2削減量を計測したデータを可視化できるツール(ソフトウェア)を活用して、例えば、図6に示すような、ソーシャルインパクト・ダッシュボードをユーザー端末50などの表示画面に出力してCO2削減量を可視化する(ステップS6)。ユーザーは、CO2排出削減量の提供を受けて、可視化により削減意欲の維持増進を図ることができる。
【0032】
また、管理サーバ10は、多数のユーザー端末50、計測ユニット20、可視化サーバ40および地域通貨サーバ30からCO2排出削減量に関するデータを収集し、CO2排出削減量に関するビッグデータを企業や行政機関に対して提供・販売する(ステップS7)。
【0033】
上記の本実施の形態により、CO2排出量・削減量の計測、CO2削減量の可視化およびコスト面のインセンティブ付与を実現することができるCO2排出量削減技術を提供することができ、また、2030年に日本における、カーボンフリーの実現をも目指すことができる。
【0034】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されてよい。例えば、各装置・システムの機能を実現するためのプログラムを各装置・システム等に読込ませて実行することにより各装置・システム等の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD-ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線等を介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、一部のシステムが人の動作を介在して実現されてもよい。
また、上述の各処理は、各装置のうち複数のものがそれぞれ組み合わせて実施されてもよく、その際に用いられている公知のデータ等は既知のデータベース等と連携してネットワークから取得したり、それらの取得されたデータが本システムのデータベースに格納されて利用されることであってもよい。すなわち、当業者が技術常識から理解実現可能な細部の記載は適宜省略されている場合もある。
【符号の説明】
【0035】
1 CO2排出量削減システム
10 管理サーバ
20 計測ユニット
30 地域通貨サーバ
40 可視化サーバ
50 ユーザー端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6