IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 高砂工業株式会社の特許一覧 ▶ 一般財団法人ファインセラミックスセンターの特許一覧 ▶ 東レ株式会社の特許一覧 ▶ 帝人株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人名古屋大学の特許一覧

特開2022-94435炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法
<>
  • 特開-炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法 図1
  • 特開-炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法 図2
  • 特開-炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法 図3
  • 特開-炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法 図4
  • 特開-炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094435
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20220620BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
F27D17/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207310
(22)【出願日】2020-12-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的新構造材料等研究開発のうち熱可塑性CFRPの開発及び構造設計・応用加工技術の開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】390008431
【氏名又は名称】高砂工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173522
【氏名又は名称】一般財団法人ファインセラミックスセンター
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】大島 士月
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】武藤 則男
(72)【発明者】
【氏名】和田 匡史
(72)【発明者】
【氏名】林 一美
(72)【発明者】
【氏名】永納 保男
(72)【発明者】
【氏名】北岡 諭
【テーマコード(参考)】
4F401
4K056
【Fターム(参考)】
4F401AA21
4F401AC10
4F401AD08
4F401BA06
4F401CA48
4F401CA73
4F401CB01
4F401CB09
4F401CB16
4F401DA09
4F401EA38
4F401EA42
4F401EA47
4K056CA14
(57)【要約】
【課題】被処理物に二段階の熱処理を施すことが可能な、バッチ式の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法を提供することを課題とする。
【解決手段】炭素繊維回収炉1は、マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂製の被処理物9が収容される一次用ケース8と、一次用ケース8が収容され、一次用ケース8内に過熱水蒸気を供給しながら、一次用ケース8を加熱する一次処理室3Lと、一次処理室3Lで加熱された被処理物9が収容される二次用ケース8と、二次用ケース8が収容され、二次用ケース8内に過熱水蒸気を供給しながら、二次用ケース8を加熱する二次処理室3Rと、一次処理室3Lにおいて一次用ケース8を回転させる一次用回転部53Lと、二次処理室3Rにおいて二次用ケース8を回転させる二次用回転部53Rと、を備える。炭素繊維回収炉1は、被処理物9から炭素繊維を回収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂製の被処理物が収容される一次用ケースと、
前記一次用ケースが収容され、前記一次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記一次用ケースを加熱する一次処理室と、
前記一次処理室で加熱された前記被処理物が収容される二次用ケースと、
前記二次用ケースが収容され、前記二次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記二次用ケースを加熱する二次処理室と、
前記一次処理室において前記一次用ケースを回転させる一次用回転部と、
前記二次処理室において前記二次用ケースを回転させる二次用回転部と、
を備え、前記被処理物から前記炭素繊維を回収する炭素繊維回収炉。
【請求項2】
前記一次用ケースと前記二次用ケースとは共用される請求項1に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項3】
前記一次処理室と前記二次処理室とを連通し、前記マトリックス樹脂が分解して発生する可燃性ガスを、前記二次処理室に導入する第一可燃性ガス通路を備える請求項1または請求項2に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項4】
前記過熱水蒸気を生成するための燃焼熱を供給する燃焼室と、
前記二次処理室と前記燃焼室とを連通し、前記可燃性ガスを前記燃焼室に導入する第二可燃性ガス通路と、
を備える請求項3に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項5】
前記被処理物はタンクであり、
前記一次処理室に収容された前記一次用ケース内および前記二次処理室に収容された前記二次用ケース内のうち、少なくとも一方に開口し、前記過熱水蒸気と雰囲気ガスとを含む混合ガスを供給する混合ガス供給管を備える請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の炭素繊維回収炉。
【請求項6】
前記混合ガス供給管は、前記タンク内に開口する請求項5に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項7】
前記一次処理室に収容された前記一次用ケース内および前記二次処理室に収容された前記二次用ケース内のうち、少なくとも一方に開口し、酸素を供給する酸素供給管を備える請求項5または請求項6に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項8】
前記酸素供給管は、前記タンク外に開口する請求項7に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項9】
前記一次処理室に収容された前記一次用ケース内に前記混合ガス供給管と前記酸素供給管とが開口する場合は、前記混合ガス供給管と前記酸素供給管とは、前記一次用ケースの軸方向に対向して開口し、
前記二次処理室に収容された前記二次用ケース内に前記混合ガス供給管と前記酸素供給管とが開口する場合は、前記混合ガス供給管と前記酸素供給管とは、前記二次用ケースの軸方向に対向して開口する請求項7または請求項8に記載の炭素繊維回収炉。
【請求項10】
マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂製の被処理物に、二段階のバッチ式の熱処理を施し、前記被処理物から前記炭素繊維を回収する炭素繊維回収方法であって、
一次処理室において、前記被処理物が収容された一次用ケースを回転させると共に、前記一次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記一次用ケースを加熱する一次処理と、
二次処理室において、前記一次処理後の前記被処理物が収容された二次用ケースを回転させると共に、前記二次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記二次用ケースを加熱する二次処理と、
を並行して行う熱処理工程を有することを特徴とする炭素繊維回収方法。
【請求項11】
前記一次用ケースと前記二次用ケースとは共用ケースであり、
前記熱処理工程の前後に行われるケース搬送工程を有し、
前記ケース搬送工程においては、
前記二次処理室から、前記二次処理後の前記共用ケースを搬出し、
前記一次処理室から前記二次処理室に、前記一次処理後の前記共用ケースを搬送し、
前記一次処理室に、前記一次処理前の前記共用ケースを搬入する、
請求項10に記載の炭素繊維回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維強化樹脂製の被処理物から炭素繊維を回収する炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッチ式の炭化乾留炉と、連続式炉と、を備える再生炭素繊維の製造装置が開示されている。炭化乾留炉は、炭素繊維強化樹脂のマトリックス成分の一部を、固定炭素に転換して、炭素繊維の表面に付着させる。連続式炉は、固定炭素が付着した炭素繊維を搬送しながら加熱する。連続式炉は、炭素繊維から、付着した固定炭素の一部を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-64219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製造装置によると、炭化乾留炉と連続式炉を用いて、炭素繊維強化樹脂に二段階の熱処理を施すことができる。しかし、同文献の製造装置は連続式炉を備えている。このため、製造装置が大型化しやすい。そこで、本発明は、被処理物に二段階の熱処理を施すことが可能な、バッチ式の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の炭素繊維回収炉は、マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂製の被処理物が収容される一次用ケースと、前記一次用ケースが収容され、前記一次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記一次用ケースを加熱する一次処理室と、前記一次処理室で加熱された前記被処理物が収容される二次用ケースと、前記二次用ケースが収容され、前記二次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記二次用ケースを加熱する二次処理室と、前記一次処理室において前記一次用ケースを回転させる一次用回転部と、前記二次処理室において前記二次用ケースを回転させる二次用回転部と、を備え、前記被処理物から前記炭素繊維を回収することを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の炭素繊維回収方法は、マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂製の被処理物に、二段階のバッチ式の熱処理を施し、前記被処理物から前記炭素繊維を回収する炭素繊維回収方法であって、一次処理室において、前記被処理物が収容された一次用ケースを回転させると共に、前記一次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記一次用ケースを加熱する一次処理と、二次処理室において、前記一次処理後の前記被処理物が収容された二次用ケースを回転させると共に、前記二次用ケース内に過熱水蒸気を供給しながら、前記二次用ケースを加熱する二次処理と、を並行して行う熱処理工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法によると、まず一次処理室で被処理物入りの一次用ケースを、次に二次処理室で被処理物(一次処理後の被処理物)入りの二次用ケースを、加熱することができる。すなわち、被処理物に、二段階のバッチ式の熱処理(一次処理、二次処理)を施すことができる。このため、炭素繊維回収炉が大型化しにくい。また、本発明の炭素繊維回収方法によると、二段階のバッチ式の熱処理を並行して実行することができる。このため、迅速に熱処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態の炭素繊維回収炉の左右方向断面図である。
図2図2(A)は、図1のIIA-IIA方向断面図である。図2(B)は、図2(A)の枠IIB内の拡大図である。
図3図3(A)は、図1のIIIA-IIIA方向断面図である。図3(B)は、図3(A)の枠IIIB内の拡大図である。
図4図4は、ケースの斜視図である。
図5図5は、搬送キャリアの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法の実施の形態について説明する。
【0010】
<炭素繊維回収炉の構成>
まず、本実施形態の炭素繊維回収炉の構成について説明する。図1に、本実施形態の炭素繊維回収炉の左右方向断面図を示す。図2(A)に、図1のIIA-IIA方向断面図を示す。図2(B)に、図2(A)の枠IIB内の拡大図を示す。図3(A)に、図1のIIIA-IIIA方向断面図を示す。図3(B)に、図3(A)の枠IIIB内の拡大図を示す。なお、説明の便宜上、図2(A)においては、二次用熱交換器601Rを省略して示す。また、図2(A)においては断面手前の一次用熱交換器601Lを、図3(A)においては断面手前の二次用熱交換器601R(波線状の部分)を、各々一点鎖線で示す。また、図2(B)、図3(B)においては、混合ガス、酸素の流れを点線で、可燃性ガスの流れを実線で、各々示す。また、図1は、図2(A)、図3(A)におけるI-I方向断面図に対応する。
【0011】
図1図3(B)に示すように、炭素繊維回収炉1は、ハウジング2と、一次処理室3Lと、二次処理室3Rと、燃焼室3Dと、第一隔壁部40と、第二隔壁部41と、扉50と、一次用酸素供給管挿入部50Lと、二次用酸素供給管挿入部50Rと、二つの一次用バーナ挿入部51Lと、二つの二次用バーナ挿入部51Rと、燃焼室用バーナ挿入部51Dと、一次用混合ガス供給管挿入部52Lと、二次用混合ガス供給管挿入部52Rと、一次用回転部53Lと、二次用回転部53Rと、混合ガス供給部6と、二次用酸素供給管62Rと、二つの一次用バーナ63Lと、二つの二次用バーナ63Rと、燃焼室用バーナ63Dと、集塵機64と、ファン65と、ケース8と、を備えている。後述するように、ケース8は、一次処理、二次処理共用である。ケース8は、本発明の「一次用ケース」、「二次用ケース」、「共用ケース」の概念に含まれる。
【0012】
(ハウジング2、一次処理室3L、二次処理室3R、第一隔壁部40、第二隔壁部41、扉50)
図1図2(A)、図3(A)に示すように、ハウジング2は、箱状を呈している。ハウジング2は、外壁20と、断熱材21と、搬入口部22と、二つの脚部23と、を備えている。外壁20は、ハウジング2の外殻を構成している。断熱材21は、外壁20の内側に配置されている。搬入口部22は、ハウジング2の前壁に開設されている。二つの脚部23は、外壁20を下側から支持している。外壁20と工場の床面Fとの間には、隙間Cが区画されている。
【0013】
図1に示すように、一次処理室3Lは、ハウジング2内の左上側部分に区画されている。一次処理室3Lには、ケース8が収容される。二次処理室3Rは、ハウジング2内の右上側部分に区画されている。二次処理室3Rには、ケース8が収容される。燃焼室3Dは、ハウジング2内の下側部分に区画されている。
【0014】
図1に示すように、第一隔壁部40は、左側の一次処理室3Lと、右側の二次処理室3Rと、を仕切っている。第一隔壁部40の下側部分には、第一開口部400が区画されている。第一開口部400は、本発明の「第一可燃性ガス通路」の概念に含まれる。一次処理室3Lと二次処理室3Rとは、第一開口部400を介して連通している。
【0015】
図1に示すように、第二隔壁部41は、上側の一次処理室3Lおよび二次処理室3Rと、下側の燃焼室3Dと、を仕切っている。第二隔壁部41の右側(二次処理室3R側)部分には、第二開口部410が区画されている。第二開口部410は、本発明の「第二可燃性ガス通路」の概念に含まれる。二次処理室3Rと燃焼室3Dとは、第二開口部410を介して連通している。このように、ハウジング2内には、ガス流路(一次処理室3L→第一開口部400→二次処理室3R→第二開口部410→燃焼室3D→外部と連なる、配管なしのガス流路)Gが設定されている。扉50は、ハウジング2の搬入口部22に、開閉可能に取り付けられている。扉50は、一次処理室3L、二次処理室3R共用である。
【0016】
(一次用酸素供給管挿入部50L、二次用酸素供給管挿入部50R、一次用バーナ挿入部51L、二次用バーナ挿入部51R、燃焼室用バーナ挿入部51D、一次用混合ガス供給管挿入部52L、二次用混合ガス供給管挿入部52R)
図1図2(A)に示すように、一次用酸素供給管挿入部50Lは、扉50の左側(一次処理室3L側)に配置されている。一次用酸素供給管挿入部50Lは封止されている(ただし、開放可能である)。図1図3(A)に示すように、二次用酸素供給管挿入部50Rは、扉50の右側(二次処理室3R側)に配置されている。
【0017】
図1図2(A)に示すように、一次用バーナ挿入部51Lは、ハウジング2の後壁の左上側(一次処理室3L側)に配置されている。一次用バーナ挿入部51Lは、左右方向に2つ並んで配置されている。図1図3(A)に示すように、二次用バーナ挿入部51Rは、ハウジング2の後壁の右上側(二次処理室3R側)に配置されている。二次用バーナ挿入部51Rは、左右方向に二つ並んで配置されている。図1図2(A)に示すように、燃焼室用バーナ挿入部51Dは、ハウジング2の後壁の下側(燃焼室3D側)に配置されている。
【0018】
図1図2(A)に示すように、一次用混合ガス供給管挿入部52Lは、ハウジング2の後壁の左上側(一次処理室3L側)に配置されている。一次用混合ガス供給管挿入部52Lは、一次用バーナ挿入部51Lの下側に配置されている。図1図3(A)に示すように、二次用混合ガス供給管挿入部52Rは、ハウジング2の後壁の右上側(二次処理室3R側)に配置されている。二次用混合ガス供給管挿入部52Rは、二次用バーナ挿入部51Rの下側に配置されている。
【0019】
(一次用回転部53L、二次用回転部53R)
図1図2(A)に示すように、一次用回転部53Lは、二つの一次用ローラ530Lと、四つの一次用軸受531Lと、を備えている。二つの一次用ローラ530Lは、一次処理室3Lに配置されている。二つの一次用ローラ530Lは、左右方向に並んでいる。一次用ローラ530Lは、前後方向(軸方向(ケース8の回転軸Lの延在方向))に延在している。一次用ローラ530Lは、駆動装置(例えばモータ、図略)から伝達される駆動力により、自身の軸周りに回転可能である。
【0020】
四つの一次用軸受531Lは、ハウジング2外に配置されている。左側の前後一対の一次用軸受531Lは、左側の一次用ローラ530Lの前後方向両端を回転可能に支持している。右側の前後一対の一次用軸受531Lは、右側の一次用ローラ530Lの前後方向両端を回転可能に支持している。一次処理室3Lにおいて、ケース8(詳しくは、ケース8のフランジ部82)は、二つの一次用ローラ530Lに載置される。
【0021】
二次用回転部53Rと一次用回転部53Lとは構成が同じである。すなわち、図1図3(A)に示すように、二次用回転部53Rは、二つの二次用ローラ530Rと、四つの二次用軸受531Rと、を備えている。二つの二次用ローラ530Rは、二次処理室3Rに配置されている。二次用ローラ530Rは、前後方向(軸方向(ケース8の回転軸Rの延在方向))に延在している。四つの二次用軸受531Rは、ハウジング2外に配置されている。二次処理室3Rにおいて、ケース8は、二つの二次用ローラ530Rに載置される。
【0022】
(混合ガス供給部6)
図1図2(A)、図2(B)に示すように、混合ガス供給部6は、過熱水蒸気供給部60と、一次用混合ガス供給管61Lと、二次用混合ガス供給管61Rと、を備えている。一次用混合ガス供給管61L、二次用混合ガス供給管61Rは、本発明の「混合ガス供給管」の概念に含まれる。過熱水蒸気供給部60は、ボイラ600と、一次用熱交換器601Lと、二次用熱交換器601Rと、を備えている。ボイラ600は、ハウジング2外に配置されている。ボイラ600は、水から水蒸気を生成する。一次用熱交換器601Lには、ボイラ600から水蒸気が供給される。一次用熱交換器601Lは、波線状に延在する配管状を呈している。一次用熱交換器601Lは、燃焼室3D内に配置されている。一次用熱交換器601Lは、水蒸気から過熱水蒸気を生成する。図2(A)、図3(A)に示すように、二次用熱交換器601Rと一次用熱交換器601Lとは構成が同じである。二次用熱交換器601Rは、燃焼室3D内に配置されている。
【0023】
図1図2(A)、図2(B)に示すように、一次用混合ガス供給管61Lは、一次用混合ガス供給管挿入部52Lに取り付けられている。一次用混合ガス供給管61Lの上流側には、一次用熱交換器601Lと、雰囲気ガスタンク(図略)と、が連なっている。一次用混合ガス供給管61Lは、一次処理室3Lのケース8内のタンク9内に、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して挿入されている。一次用混合ガス供給管61Lの下流端(混合ガス供給口)は、タンク9内に開口している。一次用混合ガス供給管61Lは、タンク9内に過熱水蒸気と雰囲気ガスとを含む混合ガスを供給する。
【0024】
図1図3(A)、図3(B)に示すように、二次用混合ガス供給管61Rは、二次用混合ガス供給管挿入部52Rに取り付けられている。二次用混合ガス供給管61Rと一次用混合ガス供給管61Lとは構成が同じである。すなわち、二次用混合ガス供給管61Rの上流側には、二次用熱交換器601Rと、雰囲気ガスタンク(図略)と、が連なっている。二次用混合ガス供給管61Rは、二次処理室3Rのケース8内のタンク9内に、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して挿入されている。
【0025】
(二次用酸素供給管62R、一次用バーナ63L、二次用バーナ63R、燃焼室用バーナ63D)
二次用酸素供給管62Rは、本発明の「酸素供給管」の概念に含まれる。図3(A)、図3(B)に示すように、二次用酸素供給管62Rは、二次用酸素供給管挿入部50Rに取り付けられている。二次用酸素供給管62Rは、二次処理室3Rのケース8内に、ケース8の第二開口部81を介して挿入されている。二次用酸素供給管62Rの下流端(酸素供給口)は、ケース8内におけるタンク9外に開口している。
【0026】
図1図2(A)、図3(A)に示すように、二つの一次用バーナ63Lは、各々、一次用バーナ挿入部51Lに取り付けられている。二つの二次用バーナ63Rは、各々、二次用バーナ挿入部51Rに取り付けられている。燃焼室用バーナ63Dは、燃焼室用バーナ挿入部51Dに取り付けられている。一次用バーナ63L、二次用バーナ63R、燃焼室用バーナ63Dには、各々、燃料ガス(例えばプロパンガス)と空気とが供給される。
【0027】
(集塵機64、ファン65)
図1に示すように、集塵機64、ファン65は、ハウジング2の外部に配置されている。集塵機64は、ハウジング2内のガス流路Gの下流端に連なっている。集塵機64は、上流側のサイクロン集塵機(図略)と、下流側のバグフィルタ(図略)と、を備えている。ファン65は、集塵機64の下流側に配置されている。ファン65は、ガス流路Gに圧力勾配(詳しくは、上流側(一次処理室3L側、高圧側)から下流側(燃焼室3D側、低圧側)に向かって圧力が下がる圧力勾配)を設定する。
【0028】
<タンクの構成>
次に、タンク9の構成について説明する。タンク9は、炭素繊維回収炉1の被処理物である。タンク9は、燃料電池車に搭載される高圧(例えば70MPa程度)水素用タンクである。タンク9は、炭素繊維強化樹脂(以下「CFRP」と称す)製であって、前後方向に延在する円筒状を呈している。タンク9は、エポキシ樹脂と炭素繊維とを含んでいる。エポキシ樹脂は、本発明の「マトリックス樹脂」の概念に含まれる。図2(B)、図3(B)に示すように、タンク9は、第一開口部90と第二開口部91とを備えている。第一開口部90は、タンク9の後壁の径方向中心に開設されている。第二開口部91は、タンク9の前壁の径方向中心に開設されている。
【0029】
<ケースの構成>
次に、ケース8の構成について説明する。図4に、ケースの斜視図を示す。図1図2(B)、図3(B)、図4に示すように、タンク9は、ケース8に収容された状態で、炭素繊維回収炉1で処理される。また、タンク9は、ケース8に収容された状態で、後述する搬送キャリア7により搬送される。
【0030】
図1図2(B)、図3(B)、図4に示すように、ケース8は、前後方向に延在する円筒状を呈している。ケース8は、蓋部8Aと、ケース本体8Bと、第一開口部80と、第二開口部81と、四つのフランジ部82と、四つのスペーサ83と、を備えている。蓋部8Aは、ケース本体8Bの後端開口部を、後側から着脱可能に封止している。ケース8に対してタンク9を出し入れする際、蓋部8Aはケース本体8Bから取り外される。第一開口部80は、蓋部8Aの径方向中心に開設されている。第二開口部81は、ケース本体8Bの前壁(底壁)の径方向中心に開設されている。四つのフランジ部82は、ケース8の外周面に環装されている。四つのフランジ部82は、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並んでいる。図4に示すように、前側(軸方向)から見て、フランジ部82には、周方向に90°ずつ離間して、四つのフォーク挿入孔820が開設されている。図1に示すように、四つのスペーサ83は、90°ずつ離間して、ケース8の内周面から突設されている。スペーサ83は、前後方向に延在するリブ状を呈している。ケース8内において、タンク9は、四つのスペーサ83により、径方向外側から支持されている。
【0031】
<搬送キャリアの構成>
次に、搬送キャリア7の構成について説明する。図5に、搬送キャリアの左側面図を示す。搬送キャリア7は、外部から一次処理室3Lにケース8を搬入する際、一次処理室3Lから二次処理室3Rにケース8を搬送する際、二次処理室3Rから外部にケース8を搬出する際に用いられる。搬送キャリア7は、基部70と、四つの車輪71と、支持部72と、スライダ73と、揺動部74と、二つのフォーク75と、を備えている。基部70は、長方形板状を呈している。四つの車輪71は、基部70の四隅に配置されている。基部70は、四つの車輪71により、工場の床面Fを移動可能である。基部70は、隙間Cに対して、進退可能である。支持部72は、基部70から上側に突設されている。スライダ73は、支持部72に対して、上下方向にスライド可能である。揺動部74は、スライダ73に対して、上下方向に揺動可能である。二つのフォーク75は、揺動部74から前側に突設されている。二つのフォーク75は、左右方向に並んでいる。フォーク75は、前後方向に延在している。搬送キャリア7は、二つのフォーク75を用いて、ケース8を搬送する。図4に一点鎖線で示すように、後述するケース搬送工程において、ケース8を搬送する際、二つのフォーク75は、ケース8のフランジ部82の四つのフォーク挿入孔820のうち、180°対向する一対のフォーク挿入孔820に挿入される。
【0032】
<炭素繊維回収方法>
次に、本実施形態の炭素繊維回収方法について説明する。本実施形態の炭素繊維回収方法は、ケース搬送工程と熱処理工程とを有している。ケース搬送工程と熱処理工程とは、ケース8つまりタンク9の処理数に応じて、繰り返し実行される。
【0033】
(ケース搬送工程)
まず、作業者は扉50を開ける。次に、作業者は、搬送キャリア7を用いて、二次処理室3Rから外部に、二次処理後のケース8(詳しくはタンク9が収容されたケース8)を搬出する。また、作業者は、搬送キャリア7を用いて、一次処理室3Lから二次処理室3Rに、一次処理後のケース8を搬送する。ケース8は、二次処理室3Rの二つの二次用ローラ530Rに載置される。また、作業者は、搬送キャリア7を用いて、外部から一次処理室3Lに、一次処理前のケース8を搬入する。ケース8は、一次処理室3Lの二つの一次用ローラ530Lに載置される。
【0034】
なお、炭素繊維回収方法の初回(1バッチ目)においては、二次処理室3Rは空なので、一次処理室3Lへのケース8の搬入だけが実行される。また、最終回(最終バッチ目)においては、一次処理室3Lは空なので、二次処理室3Rからのケース8の搬出だけが実行される。
【0035】
(熱処理工程)
まず、作業者は、扉50を閉める。次に、一次処理室3L側において、作業者は、一次用混合ガス供給管61Lを一次用混合ガス供給管挿入部52Lに取り付ける。この際、一次用混合ガス供給管61Lを、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して、タンク9内に挿入する。
【0036】
同様に、二次処理室3R側において、作業者は、二次用混合ガス供給管61Rを二次用混合ガス供給管挿入部52Rに取り付ける。この際、二次用混合ガス供給管61Rを、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して、タンク9内に挿入する。
【0037】
また、二次処理室3R側において、作業者は、二次用酸素供給管62Rを、二次用酸素供給管挿入部50Rに取り付ける。この際、二次用酸素供給管62Rを、第二開口部81を介して、ケース8内に挿入する。ただし、図3(B)に示すように、二次用酸素供給管62Rは、第二開口部91つまりタンク9内には挿入しない。
【0038】
続いて、作業者は、炭素繊維回収炉1を起動する。炭素繊維回収炉1の制御装置(図略)は、駆動装置により、一次用ローラ530L、二次用ローラ530Rを、各々の軸周りに回転させる。一次処理室3L側において、二つの一次用ローラ530Lには、ケース8が載置されている。このため、二つの一次用ローラ530Lが回転すると、ケース8も、回転軸(ケース8の径方向中心軸)Lを中心に回転する。
【0039】
同様に、二次処理室3R側において、二つの二次用ローラ530Rには、ケース8が載置されている。このため、二つの二次用ローラ530Rが回転すると、ケース8も、回転軸(ケース8の径方向中心軸)Rを中心に回転する。
【0040】
また、制御装置は、一次用バーナ63L、二次用バーナ63R、燃焼室用バーナ63Dに燃料ガスと空気とを供給し、点火する。一次用バーナ63Lにより一次処理室3Lが、二次用バーナ63Rにより二次処理室3Rが、燃焼室用バーナ63Dにより燃焼室3Dが、各々加熱される。制御装置の記憶部(図略)には、予め、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3D各々の加熱プログラム(加熱温度パターン、加熱時間など)が格納されている。制御装置は、当該加熱プログラムに従って、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dを、各々独立して制御する。
【0041】
また、制御装置は、一次用混合ガス供給管61Lを介して、一次処理室3Lのタンク9内に、混合ガスを供給する。具体的には、まず、ボイラ600により、水から水蒸気を生成する。次に、水蒸気を一次用熱交換器601Lに導入し、燃焼室3Dの熱により加熱し、水蒸気から過熱水蒸気を生成する。続いて、過熱水蒸気と雰囲気ガス(窒素)とを混合し、混合ガスを生成する。そして、混合ガスを、一次用混合ガス供給管61Lを介して、一次処理室3Lのタンク9内に供給する。また、制御装置は、二次用混合ガス供給管61Rを介して、二次処理室3Rのタンク9内に、混合ガスを供給する。なお、二次処理室3R用の雰囲気ガスは、窒素と酸素とを含んでいる。すなわち、二次処理室3R用の混合ガスは、過熱水蒸気と雰囲気ガス(窒素、酸素)とを含んでいる。
【0042】
また、制御装置は、二次用酸素供給管62Rを介して、二次処理室3Rのケース8内におけるタンク9外に、酸素を供給する。なお、一次処理室3Lのケース8内には酸素は供給されない。このように、一次処理室3Lにおいて、一次処理は無酸素雰囲気で実行される。他方、二次処理室3Rにおいて、二次処理は微量(例えば4体積%程度)の有酸素雰囲気で実行される。
【0043】
図2(B)に示すように、一次処理室3Lにおいて、混合ガス(過熱水蒸気、窒素)は、一次用混合ガス供給管61Lの下流端から、タンク9内を後側(軸方向一端側)から前側(軸方向他端側)に流動し、第二開口部91からタンク9外(ケース8内)に流出する。このため、タンク9の内周面は、全面的に混合ガスに曝される。タンク9外(ケース8内)に流出した混合ガスは、タンク9外(ケース8内)を前側から後側に流動する。このため、タンク9の外周面は、全面的に混合ガスに曝される。
【0044】
並びに、タンク9は、一次処理室3Lの熱により加熱される。タンク9のCFRP中のエポキシ樹脂は、過熱水蒸気の水分および熱と、一次処理室3Lの熱と、により、加水分解、熱分解する。分解により、エポキシ樹脂は、低分子化し、ガス化する。すなわち、ケース8内において、タンク9のCFRPは、可燃性ガスと炭素繊維とに分離する。可燃性ガスは、タンク9の全面から放出される。可燃性ガスは、ケース8内からケース8外(一次処理室3L)に流動する。炭素繊維は、タンク9に残留する。
【0045】
図3(B)に示すように、二次処理室3Rにおいて、混合ガス(過熱水蒸気、窒素、酸素)は、二次用混合ガス供給管61Rの下流端から、タンク9内を後側から前側に流動し、第二開口部91からタンク9外(ケース8内)に流出する。このため、タンク9の内周面は、全面的に混合ガスに曝される。他方、酸素は、二次用酸素供給管62Rの下流端から、タンク9外(ケース8内)に供給される。ここで、二次用混合ガス供給管61Rの下流端と二次用酸素供給管62Rの下流端とは、前後方向に対向して開口している。また、混合ガスよりも酸素の方が流速が小さい。このため、混合ガスと酸素とは、二次用酸素供給管62Rの下流端付近で衝突、合流する。合流した混合ガスおよび酸素は、タンク9外(ケース8内)を前側から後側に流動する。タンク9の外周面は、全面的に混合ガス、酸素に曝される。
【0046】
並びに、タンク9は、二次処理室3Rの熱により加熱される。前述の一次処理室3L同様に、タンク9のCFRPは、可燃性ガスと炭素繊維とに分離する。可燃性ガスは、タンク9の全面から放出される。可燃性ガスは、ケース8内からケース8外(二次処理室3R)に流動する。炭素繊維は、タンク9に残留する。
【0047】
ここで、二次処理室3Rのタンク9には、既に一次処理室3Lにおいて一次処理が施されている。このため、エポキシ樹脂の大部分は、既にガス化している。しかしながら、一次処理は無酸素雰囲気で実行される。このため、二次処理室3Rのタンク9には、エポキシ樹脂の炭化物(カーボン残渣)が微量(例えば3質量%程度)ながら残留している。二次処理においては、二次用混合ガス供給管61Rから供給される混合ガス中の酸素により、タンク9の内側からカーボン残渣を除去する。並びに、二次用酸素供給管62Rから供給される酸素(二次用混合ガス供給管61Rから供給される酸素の残分が含まれる場合がある)により、タンク9の外側からカーボン残渣を除去する。なお、炭素繊維は、カーボン残渣よりも、酸化開始温度が高い。この温度差を利用して、制御装置は、二次処理室3Rの温度を、カーボン残渣の酸化開始温度以上、炭素繊維の酸化開始温度未満の温度に制御している。
【0048】
図1に示すように、ファン65の減圧作用により、ガス流路Gには、上流側(一次処理室3L側、高圧側)から下流側(燃焼室3D側、低圧側)に向かって、圧力勾配が設定されている。このため、一次処理室3L、二次処理室3Rで発生した可燃性ガスは、上流側から下流側に向かって、ガス流路Gを流動する。この際、可燃性ガスは、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dにおいて燃焼する。このように、可燃性ガスは、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dの熱源として利用される。可燃性ガス燃焼後の廃ガス(二酸化炭素など)は、燃焼室3Dから、集塵機64、ファン65を経由して、外部に放出される。一次処理室3Lにおける一次処理、二次処理室3Rにおける二次処理が共に完了し、ケース8の温度が下がったら、作業者は、一次用混合ガス供給管挿入部52Lから一次用混合ガス供給管61Lを、二次用混合ガス供給管挿入部52Rから二次用混合ガス供給管61Rを、二次用酸素供給管挿入部50Rから二次用酸素供給管62Rを、各々取り外す。その後、作業者は、再度、前述のケース搬送工程を実行する。
【0049】
<作用効果>
次に、本実施形態の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法の作用効果について説明する。仮に、炭素繊維回収炉が単一の熱処理室を備えている場合を想定する。この場合、熱処理が不十分になり、回収後の炭素繊維にカーボン残渣が付着している場合が多い。このため、再利用時に炭素繊維とマトリックス樹脂との密着性が低くなる。この点、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法によると、熱処理工程において、まず一次処理室3Lで、次に二次処理室3Rで、タンク9入りのケース8を加熱することができる。すなわち、タンク9に、二段階のバッチ式の熱処理(一次処理、二次処理)を施すことができる。このため、回収後の炭素繊維におけるカーボン残渣の残留量を少なくすることができる。また、バッチ式炉と連続式炉とによりタンク9に二段階の熱処理を施す場合と比較して、炭素繊維回収炉1が大型化しにくい。
【0050】
また、仮に、一次処理と二次処理とでケース8が各々専用化されている場合、一次処理室3Lから二次処理室3Rにタンク9を搬送する際、一次処理後のタンク9を二次処理専用のケース8に詰め替える必要がある。この点、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法によると、一次処理と二次処理とで同一のケース8が使用されている。つまり、ケース8が共用化されている。このため、ケース搬送工程に要する時間を短縮化することができる。また、ケース8の搬送経路の途中でケース8外に炭素繊維がこぼれにくい。
【0051】
また、図1に示すように、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法によると、熱処理工程において、一次処理室3Lにおける一次処理と、二次処理室3Rにおける二次処理と、を並行して実行することができる。このため、一次処理と二次処理とを並行して実行しない場合と比較して、迅速に熱処理を行うことができる。
【0052】
また、図1に示すように、熱処理工程において、一次処理室3L、二次処理室3Rで発生した可燃性ガスは、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dの熱源として利用される。このため、一次用バーナ63L、二次用バーナ63R、燃焼室用バーナ63Dに対する燃料ガスの供給量を削減することができる。また、可燃性ガスの未燃焼分を低減することができる。また、廃ガス中に占める可燃性ガスの割合を低減することができる。このため、可燃性ガスによる環境汚染を抑制することができる。
【0053】
ここで、仮に、熱処理工程において、混合ガスを、一次処理室3Lのケース8外のスペースに供給する場合を想定する。この場合、図2(A)に示すように、当該スペースには、一次用バーナ63Lを介して、空気が流入している。このため、当該スペースからケース8内に、混合ガスと共に空気が流れ込んでしまう。したがって、タンク9のCFRPが酸化しやすくなる。また、混合ガスを、一次処理室3Lのケース8内かつタンク9外のスペースに供給する場合を想定する。この場合、タンク9内に混合ガスが流入しにくい。このため、タンク9の内周面が混合ガスに曝されにくい。したがって、タンク9の内周面側のエポキシ樹脂が分解しにくい。
【0054】
この点、図2(A)、図2(B)に示すように、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法の場合、熱処理工程において、一次用混合ガス供給管61Lを介して、混合ガスを一次処理室3Lのタンク9内に供給している。タンク9内は、一次処理室3Lのその他のスペースよりも、高圧になる。このため、混合ガスは、タンク9内からタンク9外に流出しやすい。したがって、タンク9の内周面および外周面が、ケース8内において、全面的に混合ガスに曝される。よって、タンク9の全体に亘って、エポキシ樹脂が分解しやすい。特に、タンク9は高圧水素用であるため、肉厚が大きい。本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法によると、このような肉厚が大きいタンク9であっても、一次処理室3Lにおいて、充分にエポキシ樹脂を分解させることができる。また、混合ガスを一次処理室3Lのタンク9内に供給しているため、一次処理室3Lのケース8外のスペースからケース8内に空気が流れ込みにくい。したがって、タンク9のCFRPが酸化しにくい。二次処理室3Rの混合ガスについても同様である。
【0055】
また、図3(A)、図3(B)に示すように、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法の場合、熱処理工程において、二次用混合ガス供給管61Rを介して、酸素を含む混合ガスを二次処理室3Rのタンク9内に供給している。並びに、二次用酸素供給管62Rを介して、酸素を二次処理室3Rのタンク9外(ケース8内)に供給している。二次処理室3Rにおいて、タンク9の内周面および外周面は、ケース8内において、全面的に酸素に曝される。したがって、タンク9の全体に亘って、カーボン残渣が酸化しやすい。また、水蒸気は空気よりも比熱が大きい。このため、二次処理室3Rにおいて、混合ガス中の過熱水蒸気が、酸化反応の発熱に伴う熱暴走を抑えることができる。したがって、炭素繊維の劣化を抑制することができる。
【0056】
また、図2(A)、図3(A)に示すように、ケース8は、一つのタンク9を丸ごと収容することができる。並びに、一次処理室3L、二次処理室3Rは、各々、一つのケース8を丸ごと収容することができる。このため、熱処理工程前にタンク9を裁断することなく、タンク9に熱処理を施すことができる。したがって、タンク9における炭素繊維の繊維配向を維持した状態で、炭素繊維を回収することができる。また、繊維長が長い炭素繊維を回収することができる。特に、高圧水素用のタンク9の場合、頑丈で裁断しにくいため、本実施形態の炭素繊維回収炉1および炭素繊維回収方法を用いて熱処理するのに好適である。また、図1に示すように、ケース8内において、タンク9は、四つのスペーサ83により、径方向外側から支持されている。このため、熱処理工程において、ケース8が回転する際、ケース8に対してタンク9が動きにくい。したがって、ケース8内でタンク9が変形しにくい。よって、タンク9における炭素繊維の繊維配向を維持した状態で、炭素繊維を回収することができる。また、タンク9の外周面は、四つのスペーサ83により、ケース8の内周面から離間している。このため、タンク9の外周面が混合ガスや酸素に曝されやすい。
【0057】
図4図5に示すように、ケース搬送工程において、搬送キャリア7は、フォーク75を前進させフォーク挿入孔820に挿入することにより、ケース8を保持する。また、搬送キャリア7は、フォーク75を後退させフォーク挿入孔820から引き抜くことにより、ケース8を解放する。このように、搬送キャリア7は、前後方向(軸方向)から、ケース8を保持、解放することができる。このため、炭素繊維回収炉1の左右方向のスペースが狭い場合であっても、ケース8を搬送することができる。また、搬送キャリア7は、一次処理室3L、二次処理室3Rに対して、同じ方向(前側)からアプローチすることができる。このため、ケース搬送工程に要する時間を短縮化することができる。また、搬送キャリア7の基部70は、隙間Cに対して、進退可能である。このため、フォーク75を、最後尾のフランジ部82のフォーク挿入孔820まで、簡単に挿入することができる。
【0058】
図1に示すように、一次処理室3Lと二次処理室3Rとは、第一隔壁部40を介して、隣り合わせに配置されている。このため、ガス流路Gの第一開口部400を介して、一次処理室3Lから二次処理室3Rへ可燃性ガスが導入される際、可燃性ガスの温度が下がりにくい。同様に、二次処理室3Rと燃焼室3Dとは、第二隔壁部41を介して、隣り合わせに配置されている。このため、ガス流路Gの第二開口部410を介して、二次処理室3Rから燃焼室3Dへ可燃性ガスが導入される際、可燃性ガスの温度が下がりにくい。
【0059】
ここで、ハウジング2の外部に、一次処理室3Lと燃焼室3Dとを直接繋ぐ配管を設置し、当該配管内にガス流路を区画する場合を想定する。この場合、二次処理室3Rで、一次処理室3Lから発生する可燃性ガスを、利用することができない。また、燃焼室3Dで、二次処理室3Rから発生する可燃性ガスを、利用することができない。また、配管を流動する際、可燃性ガスの温度が下がりやすい。
【0060】
この点、本実施形態の炭素繊維回収炉1のガス流路Gは、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3D自体を利用して設定されている。このため、二次処理室3Rで、一次処理室3Lから発生する可燃性ガスを、利用することができる。また、燃焼室3Dで、二次処理室3Rから発生する可燃性ガスを、利用することができる。また、可燃性ガスの温度が下がりにくい。
【0061】
また、一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dが隣り合わせに配置されているため、伝熱により、任意の部屋が、残りの二つの部屋を、加熱あるいは保温することができる。例えば、第一隔壁部40を介して一次処理室3Lから二次処理室3Rに、第二隔壁部41を介して一次処理室3Lから燃焼室3Dに、各々熱が伝わることにより、一次処理室3Lの熱で二次処理室3R、燃焼室3Dを加熱あるいは保温することができる。また、熱処理工程における一次処理、二次処理の加熱時間は一致している。このため、双方の加熱時間の差に起因する待機時間を解消することができる。
【0062】
また、混合ガスは、過熱水蒸気のみならず、雰囲気ガスとして窒素(表面改質ガス)を含んでいる。このため、回収後の炭素繊維を再利用する際、マトリックス樹脂に対する炭素繊維の密着性を向上させることができる。
【0063】
また、図2(A)、図3(A)に示すように、過熱水蒸気と雰囲気ガスとは、混合ガスとして、一次用混合ガス供給管61L、二次用混合ガス供給管61Rから、タンク9内に供給される。すなわち、過熱水蒸気と雰囲気ガスとは、同方向からタンク9内に供給される。このため、過熱水蒸気と雰囲気ガスとが互いに気流を妨げにくい。
【0064】
また、図1に示す一次用ローラ530Lと二次用ローラ530Rとは、同一の駆動装置により駆動される。このため、部品点数が少なくなる。また、一次用ローラ530Lと二次用ローラ530Rとの回転速度(回転数)を一致させやすい。
【0065】
また、図2(A)、図2(B)に示すように、一次処理室3Lにおいて、一次用混合ガス供給管61L、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90は、回転軸L上に配置されている。このため、ケース8およびタンク9が回転しても、一次用混合ガス供給管61Lが、回転するケース8およびタンク9に干渉しにくい。
【0066】
同様に、図3(A)、図3(B)に示すように、二次処理室3Rにおいて、二次用混合ガス供給管61R、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90は、回転軸R上に配置されている。このため、ケース8およびタンク9が回転しても、二次用混合ガス供給管61Rが、回転するケース8およびタンク9に干渉しにくい。また、二次用酸素供給管62R、ケース8の第二開口部81、タンク9の第二開口部91は、回転軸R上に配置されている。このため、ケース8およびタンク9が回転しても、二次用酸素供給管62Rが、回転するケース8およびタンク9に干渉しにくい。
【0067】
また、二次処理室3Rにおいて、二次用混合ガス供給管61Rの下流端(混合ガス供給口)と二次用酸素供給管62Rの下流端(酸素供給口)とは、回転軸R上において、前後方向(軸方向)に対向して開口している。このため、混合ガスと酸素とを、回転軸R上で衝突、合流させることができる。したがって、混合ガスと酸素とを、回転軸Rの径方向外側に拡散させやすい。つまり、混合ガスと酸素とを、ケース8内かつタンク9外のスペースに導入しやすい。
【0068】
<その他>
以上、本発明の炭素繊維回収炉および炭素繊維回収方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0069】
上記実施形態においては、ケース搬送工程で一次処理室3Lにケース8を搬入し、熱処理工程の序盤で一次用混合ガス供給管61Lを一次用混合ガス供給管挿入部52Lに取り付けることにより、一次用混合ガス供給管61Lを、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して、タンク9内に挿入した。
【0070】
しかしながら、一次用混合ガス供給管61Lを一次用混合ガス供給管挿入部52Lに取り付けたまま、ケース搬送工程で一次処理室3Lにケース8を搬入する際に、相対的に、一次用混合ガス供給管61Lを、ケース8の第一開口部80、タンク9の第一開口部90を介して、タンク9内に挿入してもよい。こうすると、一次用混合ガス供給管挿入部52Lに対する一次用混合ガス供給管61Lの着脱作業が不要になる。二次用混合ガス供給管61R、二次用酸素供給管62Rについても同様である。
【0071】
熱処理工程において、一次用酸素供給管を一次用酸素供給管挿入部50Lに取り付けて、一次処理室3Lのタンク9内に酸素を供給してもよい。また、二次用酸素供給管挿入部50Rを封止して、二次処理室3Rのタンク9内への酸素の供給を停止してもよい。過熱水蒸気と雰囲気ガスとを、別々にタンク9内に供給してもよい。一次処理室3L、二次処理室3Rにおける、過熱水蒸気、雰囲気ガス、酸素の供給位置(一次用混合ガス供給管61L、一次用酸素供給管、二次用混合ガス供給管61R、二次用酸素供給管62Rの開口位置)は特に限定しない。ケース8外、ケース8内におけるタンク9外、ケース8内におけるタンク9内のいずれでもよい。
【0072】
また、単一の供給管(一次用混合ガス供給管61L、一次用酸素供給管、二次用混合ガス供給管61R、二次用酸素供給管62R)が複数の供給口(混合ガス供給口、酸素供給口)を備えていてもよい。例えば、一次用混合ガス供給管61Lが、ケース8内におけるタンク9外に開口する第一の混合ガス供給口と、ケース8内におけるタンク9内に開口する第二の混合ガス供給口と、を備えていてもよい。他の供給管についても同様である。
【0073】
図2(B)、図3(B)における混合ガス、酸素の流動方向は特に限定しない。例えば、第一開口部90を介して、タンク9内からタンク9外に可燃性ガスが流出してもよい。また、混合ガス、酸素の流れは、適宜、分流や合流してもよい。熱処理工程における一次処理、二次処理の加熱プログラム(加熱温度パターン、加熱時間など)は、同じでも異なっていてもよい。一次処理室3Lおよび二次処理室3Rのうち、少なくとも一方において、ケース8を回転させなくてもよい。
【0074】
一次処理室3L、二次処理室3R、燃焼室3Dの相対的な位置関係、大きさ、配置数などは特に限定しない。例えば、一次処理室3L、二次処理室3Rの上側に燃焼室3Dを配置してもよい。燃焼室3Dに燃焼室用バーナ63Dを配置しなくてもよい。ガス流路Gから燃焼室3Dに流入する可燃性ガス(あるいは廃ガス)の熱により、一次用熱交換器601L、二次用熱交換器601Rを加熱してもよい。扉50の配置数は特に限定しない。一次処理室3L、二次処理室3R共用の扉50を配置してもよい。また、一次処理室3L、二次処理室3R専用の二つの扉を配置してもよい。ケース8のフランジ部82、スペーサ83の配置数は特に限定しない。スペーサ83の形状は特に限定しない。リブ状、突起状などであってもよい。タンク9に対するスペーサ83の接触状態は、面接触、線接触、点接触でもよい。接触面積が小さいほど、タンク9の外周面が混合ガスや酸素に曝されやすい。また、ケース8にスペーサ83を配置しなくてもよい。この場合、熱処理工程において、ケース8の回転を利用して、タンク9を揺動させることができる。このため、タンク9の変形、破壊を促進することができる。
【0075】
一次処理室3L、二次処理室3Rの各々におけるケース8の収容数は特に限定しない。複数のケース8を一次処理室3Lや二次処理室3Rに収容してもよい。ケース8におけるタンク9の収容数は特に限定しない。複数のタンク9をケース8に収容してもよい。
【0076】
熱処理工程の終盤におけるケース8の冷却方法は特に限定しない。一次用バーナ63Lを介して、ブロワ(図略)から一次処理室3Lに空気を送風することにより、一次処理室3Lのケース8を強制冷却してもよい。あるいは、当該ケース8を自然放冷してもよい。二次処理室3Rのケース8についても同様である。
【0077】
一次用ローラ530L、二次用ローラ530R用の駆動装置は、同じでも異なっていてもよい。また、一次用ローラ530L、二次用ローラ530Rの回転速度は、同じでも異なっていてもよい。例えば、一次処理よりも二次処理の方がタンク9が壊れやすい場合であってタンク9が壊れるのを抑制したい場合は、一次用ローラ530Lの回転速度に対して、二次用ローラ530Rの回転速度を、小さくしてもよい。こうすると、ケース8内でタンク9が壊れにくい。このため、タンク9における炭素繊維の繊維配向を維持した状態で、炭素繊維を回収することができる。また、二次処理においてタンク9が壊れるのを促進したい場合は、一次用ローラ530Lの回転速度に対して、二次用ローラ530Rの回転速度を、大きくしてもよい。
【0078】
一次用バーナ63L、二次用バーナ63R、燃焼室用バーナ63Dの燃料ガスの種類は特に限定しない。例えば、都市ガス、液化石油ガス、COG(コークス炉ガス)などを用いてもよい。
【0079】
雰囲気ガスの種類は特に限定しない。例えば、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス、窒素、二酸化炭素などの表面改質ガスを雰囲気ガスとして用いることができる。雰囲気ガスとして表面改質ガスを用いると、回収後の炭素繊維を再利用する際、マトリックス樹脂に対する炭素繊維の密着性を向上させることができる。熱処理工程における廃ガス中の二酸化炭素を、雰囲気ガスとして用いてもよい。雰囲気ガスが、複数の気体(例えば、窒素と酸素)を含有していてもよい。
【0080】
被処理物は、タンク9に限定しない。例えば、タンク9以外の、内部空間を有する中空物(筒状物、箱状物など)であってもよい。また、内部空間を有しない中実物であってもよい。また、H形断面を有するCFRP製の構造部材であってもよい。熱処理工程前において、被処理物が裁断されていてもよい。本発明の「マトリックス樹脂と炭素繊維とを有する炭素繊維強化樹脂」には、少なくともマトリックス樹脂と炭素繊維とが含まれていればよい。その他の成分(例えば金属など)が含まれていてもよい。例えば、CFRPで補強された鋼材なども、本発明の「炭素繊維強化樹脂」の概念に含まれる。マトリックス樹脂は、特にエポキシ樹脂に限定しない。フェノールなどの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂であってもよい。
【0081】
一次処理と二次処理とにおけるケース8の異同は特に限定しない。例えば、一次処理と二次処理とでケース8が各々専用化されていてもよい。すなわち、一次処理室3Lからケース(一次用ケース)8を搬出した後、一次処理後のタンク9(被処理物)を別のケース(二次用ケース)8に詰め替え、当該ケース8を二次処理室3Rに搬入してもよい。こうすると、一次処理と二次処理とで加熱プログラムが異なる場合であっても、各々の加熱プログラムに特化した専用のケース8を採用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1:炭素繊維回収炉、2:ハウジング、20:外壁、21:断熱材、22:搬入口部、23:脚部、3D:燃焼室、3L:一次処理室、3R:二次処理室、40:第一隔壁部、400:第一開口部(第一可燃性ガス通路)、41:第二隔壁部、410:第二開口部(第二可燃性ガス通路)、50:扉、50L:一次用酸素供給管挿入部、50R:二次用酸素供給管挿入部、51D:燃焼室用バーナ挿入部、51L:一次用バーナ挿入部、51R:二次用バーナ挿入部、52L:一次用混合ガス供給管挿入部、52R:二次用混合ガス供給管挿入部、53L:一次用回転部、530L:一次用ローラ、531L:一次用軸受、53R:二次用回転部、530R:二次用ローラ、531R:二次用軸受、6:混合ガス供給部、60:過熱水蒸気供給部、600:ボイラ、601L:一次用熱交換器、601R:二次用熱交換器、61L:一次用混合ガス供給管(混合ガス供給管)、61R:二次用混合ガス供給管(混合ガス供給管)、62R:二次用酸素供給管(酸素供給管)、63D:燃焼室用バーナ、63L:一次用バーナ、63R:二次用バーナ、64:集塵機、65:ファン、7:搬送キャリア、70:基部、71:車輪、72:支持部、73:スライダ、74:揺動部、75:フォーク、8:ケース(一次用ケース、二次用ケース、共用ケース)、8A:蓋部、8B:ケース本体、80:第一開口部、81:第二開口部、82:フランジ部、820:フォーク挿入孔、83:スペーサ、9:タンク、90:第一開口部、91:第二開口部、C:隙間、F:床面、G:ガス流路、L:回転軸、R:回転軸
図1
図2
図3
図4
図5