(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094491
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
A63F7/02 310B
A63F7/02 310C
A63F7/02 312A
A63F7/02 312Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207407
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝司
(72)【発明者】
【氏名】岩本 勲
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 浩平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA07
2C088DA13
2C088EA02
(57)【要約】
【課題】積層構造の遊技盤の組立・分解を容易に実施する。
【解決手段】前側部材10、導光板40、後側部材50及び縁金部材70は、それぞれの右上の鍵穴状貫通孔10a,40a,50a,70a、右下の鍵穴状貫通孔10b,50b,70b、左下の鍵穴状貫通孔10c,50c,70c、及び左上の鍵穴状貫通孔10d,40d,50d,70dが同軸上に重なる様に前後方向に積層され、ロックダイヤル81~84によって一体化される。ロックダイヤル81等は、円盤状の本体の背面中心から後方に向かって水平に伸びる丸棒水平軸81a等の先端部に直交する様に形成された丸棒直交軸81b等と、丸棒直交軸81b等と同じ方向に伸びるダイヤルつまみ81c等を備えている。丸棒水平軸81a等及び丸棒直交軸81b等は、各鍵穴状貫通孔10a等に挿通可能な寸法・形状となっている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層構造の遊技盤を備え、図柄の変動表示が可能で所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記積層構造の遊技盤は前後方向に分離可能な前側部材と後側部材とを備え、誘導レール、障害釘、入賞装置などの遊技球の動きに関与し得る部品を前記前側部材に備えさせ、発光装置などの遊技球の動きに関与しない部品を前記後側部材に備えさせてあること。
(1B)前記前側部材は、前記遊技球の動きに関与し得る部品を前方に突出する様に備えると共に、これら遊技球の動きに関与し得る部品の内、前記入賞装置など背面側にも突出する背面突出部品の取付位置に貫通孔が形成された平板部を備え、前記後側部材は、前記背面突出部品の背後に位置する部分に開口部又は切り欠き部が形成された平板部を備えていること。
(1C)前記前側部材を前面側から押さえ付けつつ前記後側部材を背面側から押さえ付ける様に挟み付ける力を発揮することができ、所定の操作により、前記挟み付ける力を発揮させた状態と発揮させない状態とに切り換え可能なロック手段を介して、前記前側部材と前記後側部材は、互いの平板部を平行に保った状態で、直接、又は、間接的に、互いの平板部に対して前後方向の圧力が加えられた状態にて位置決め固定され、前記ロック手段を前記挟み付ける力を発揮させない状態へと操作することによって分離可能となる様に構成されていること。
(1D)前記後側部材には鍵穴状貫通孔を備えさせ、前記ロック手段は、前記前側部材の前面に当接する操作部と、前記後側部材の鍵穴状貫通孔に対して前後方向に挿通可能であって回転角度を変化させることにより前記後側部材の背面に当接して抜け止め状態となり得る突出部を有する軸部とを備えた回転式ロック部材によって構成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(2A)前記遊技盤の背面側に空間を形成する裏側部材を備えていること。
(2B)前記裏側部材は、前面開放の箱枠状構造体であって前面縁に外周方向へ突出する縁枠を備え、当該裏側部材の縁枠を、前記遊技盤の縁と共に遊技機枠に備えさせた取付具に対して挟み込ませる様にして、前記遊技盤を前記遊技機枠に取り付ける様に構成されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
(3A)前記後側部材の平板部の周縁には、前記前側部材の周縁を嵌まり込ませて位置決めする様に前方へ突出する額縁部が備えられていること。
(3B)前記遊技機枠の取付具に、前記裏側部材の縁枠と前記後側部材の額縁部とを挟み込ませる様にして、前記遊技盤を前記遊技機枠に取り付ける様に構成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の遊技機。
(4A)前記裏側部材の縁枠の前面と前記後側部材の周縁部裏面との間に、金属製の縁金部材を取り付けてあること。
(4B)前記ロック手段は、前記縁金部材の裏面側から前記前側部材と後側部材とを挟み付ける力を発揮する様に取り付けられること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
(5)少なくとも前記縁金部材は、予め前記裏側部材の縁枠の前面に取り付けられ、前記ロック手段は、前記後側部材及び前記縁金部材を貫通する軸部の先端に設けた突出部を前記縁金部材の裏面側に当接させて前記前側部材と後側部材とを挟み付ける力を発揮する様に取り付けられること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の遊技機。
(6)前記前側部材は、合成樹脂製の平板部と、前記遊技球の動きに関与し得る部品の内、少なくとも遊技球を誘導するための部品として、前記障害釘の高さとほぼ同一高さに達する幅を有する合成樹脂製の板状成形体とを備え、前記平板部に対して直角方向に突出する様に前記板状成形体が備えられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球機等の障害釘を打設した遊技盤を備える遊技機に関する。
【0002】
従来、弾球を遊技領域へ導くレール(内レールと外レール)と遊技領域に位置する遊技盤とを備える前ユニットと、前ユニットを後側から覆いかつ本体枠に取付けられる後ユニットと、後ユニットに対して前ユニットを着脱可能に取付ける取付構造を有し、再利用できる部材と再利用しない部材とを容易に分け得る積層構造の遊技盤を備える遊技機が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-123567号公報(
図7,
図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の提案では、前ユニットと後ユニットとを多数のビス等を用いて一体化するため、両者の組立・分解における作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、積層構造の遊技盤の組立・分解を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、積層構造の遊技盤を備え、図柄の変動表示が可能で所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記積層構造の遊技盤は前後方向に分離可能な前側部材と後側部材とを備え、誘導レール、障害釘、入賞装置などの遊技球の動きに関与し得る部品を前記前側部材に備えさせ、発光装置などの遊技球の動きに関与しない部品を前記後側部材に備えさせてあること。
(1B)前記前側部材は、前記遊技球の動きに関与し得る部品を前方に突出する様に備えると共に、これら遊技球の動きに関与し得る部品の内、前記入賞装置など背面側にも突出する背面突出部品の取付位置に貫通孔が形成された平板部を備え、前記後側部材は、前記背面突出部品の背後に位置する部分に開口部又は切り欠き部が形成された平板部を備えていること。
(1C)前記前側部材を前面側から押さえ付けつつ前記後側部材を背面側から押さえ付ける様に挟み付ける力を発揮することができ、所定の操作により、前記挟み付ける力を発揮させた状態と発揮させない状態とに切り換え可能なロック手段を介して、前記前側部材と前記後側部材は、互いの平板部を平行に保った状態で、直接、又は、間接的に、互いの平板部に対して前後方向の圧力が加えられた状態にて位置決め固定され、前記ロック手段を前記挟み付ける力を発揮させない状態へと操作することによって分離可能となる様に構成されていること。
(1D)前記後側部材には鍵穴状貫通孔を備えさせ、前記ロック手段は、前記前側部材の前面に当接する操作部と、前記後側部材の鍵穴状貫通孔に対して前後方向に挿通可能であって回転角度を変化させることにより前記後側部材の背面に当接して抜け止め状態となり得る突出部を有する軸部とを備えた回転式ロック部材によって構成されていること。
【0007】
本発明の遊技機によれば、前側部材の背面突出部品を後側部材の開口部又は切り欠き部に挿通させる様に前側部材と後側部材とを前後方向に重ね合わせる様に配置した状態にしてロック手段を操作し、前側部材を前面側から押さえ付けつつ後側部材を背面側から押さえ付ける様に挟み付ける力を発揮させる。なお、前側部材と後側部材の間には、前側部材の背面突出部品に干渉しない形状とした第3の平板部材、例えば、導光板を挟み込む様にしてもよい。このロック手段の操作により、前側部材と後側部材とを、互いの平板部を平行に保った状態で、直接、又は、間接的に、互いの平板部に対して前後方向の圧力が加えられた状態にて位置決め固定することができる。この位置決め固定がなされた状態において、前側部材を前面側から押さえ付けつつ後側部材を背面側から押さえ付ける様に挟み付ける力を発揮しない状態へとロック手段を操作することにより、前側部材と後側部材とを分離可能な状態にすることができる。これにより、本発明によれば、積層構造の遊技盤の組立・分解を容易に実施することができる。なお、本発明の遊技機にあっては、後側部材に鍵穴状貫通孔を備えさせ、ロック手段として、前側部材の前面に当接する操作部と、後側部材の鍵穴状貫通孔に対して前後方向に挿通可能であって回転角度を変化させることにより後側部材の背面に当接して抜け止め状態となり得る突出部を有する軸部とを備えた回転式ロック部材を備えさせているから、回転式ロック部材の回転操作によって、積層構造の遊技盤の組立・分解を容易に実施することができる。
【0008】
本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(2A)前記遊技盤の背面側に空間を形成する裏側部材を備えていること。
(2B)前記裏側部材は、前面開放の箱枠状構造体であって前面縁に外周方向へ突出する縁枠を備え、当該裏側部材の縁枠を、前記遊技盤の縁と共に遊技機枠に備えさせた取付具に対して挟み込ませる様にして、前記遊技盤を前記遊技機枠に取り付ける様に構成されていること。
【0009】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、前面開放の箱枠状構造体からなる裏側部材の前面縁に外周方向へ突出する様に備えさせた縁枠が遊技盤の外周部分を裏側から支えた状態で遊技機枠の取付具に対して挟み込ませる様に取り付けることで、積層構造の遊技盤の縁の部分が裏側部材の側壁部分によっても支持された状態となる。この結果、積層構造の遊技盤を、その周縁部において裏側部材の縁枠によって補強された状態で遊技機枠に対して取り付けることができる。
【0010】
この場合、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(3A)前記後側部材の平板部の周縁には、前記前側部材の周縁を嵌まり込ませて位置決めする様に前方へ突出する額縁部が備えられていること。
(3B)前記遊技機枠の取付具に、前記裏側部材の縁枠と前記後側部材の額縁部とを挟み込ませる様にして、前記遊技盤を前記遊技機枠に取り付ける様に構成されていること。
【0011】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、前側部材を後側部材の額縁部の内側に嵌まり込ませた状態でロック手段を操作することにより、積層構造の遊技盤の組立・分解を実施することができる。このとき、遊技機枠に対しては、その取付具に対して裏側部材の縁枠と後側部材の額縁部とを挟み込ませる様にして遊技盤を取り付ける構成としたから、裏側部材を遊技機枠に取り付けた状態で前側部材を組み付けたり取り外したりすることができる。この結果、積層構造の遊技盤の組立・分解における作業性をさらに向上させることができる。
【0012】
これら裏側部材の縁枠で積層構造の遊技盤を背面側から補強する構成の遊技機においては、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(4A)前記裏側部材の縁枠の前面と前記後側部材の周縁部裏面との間に、金属製の縁金部材を取り付けてあること。
(4B)前記ロック手段は、前記縁金部材の裏面側から前記前側部材と後側部材とを挟み付ける力を発揮する様に取り付けられること。
【0013】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、裏側部材の縁枠と後側部材の周縁部との間に縁金部材を介在させることによって遊技機枠に取り付けた状態における挟み込み部分の補強をすることができると共に、ロック手段によって発揮される挟み付ける力は、後側部材に対しては縁金部材を介して作用することとなり、強い力で前側部材と後側部材とを位置決め固定しても後側部材の損傷を防ぐことができる。これにより、平板部の周縁に額縁部を備える後側部材を、例えば、全体として肉厚がほぼ均一となる様な射出成形体で構成することも可能となる。
【0014】
この場合、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(5)少なくとも前記縁金部材は、予め前記裏側部材の縁枠の前面に取り付けられ、前記ロック手段は、前記後側部材及び前記縁金部材を貫通する軸部の先端に設けた突出部を前記縁金部材の裏面側に当接させて前記前側部材と後側部材とを挟み付ける力を発揮する様に取り付けられること。
【0015】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、ビス等によって単独又は後側部材と共に裏側部材に予め取り付けられている縁金部材に対し、後側部材及び縁金部材を貫通する軸部の先端に突出部を備えるロック手段により、突出部を縁金部材の裏面側に当接して前側部材と後側部材とを挟み付ける力を発揮させる状態へとロック手段を操作して積層構造の遊技盤を組み立てたり、逆に当該挟み付ける力を発揮しない状態へとロック手段を操作して積層構造の遊技盤を分解したりすることができる。なお、縁金部材は、ビス等により、裏側部材に対して単独で固定しておいてもよいし、後側部材と共に固定しておいてもよい。
【0016】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(6)前記前側部材は、合成樹脂製の平板部と、前記遊技球の動きに関与し得る部品の内、少なくとも遊技球を誘導するための部品として、前記障害釘の高さとほぼ同一高さに達する幅を有する合成樹脂製の板状成形体とを備え、前記平板部に対して直角方向に突出する様に前記板状成形体が備えられていること。
【0017】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、板状成形体を前側部材の平板部に対する補強リブとして作用させ、ロック手段によって後側部材に対して位置決め固定したときに平板部の変形を抑制することができる。これにより、前側部材の平板部の板厚を小さくすることも可能となる。
【0018】
この場合、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(7)前記板状成形体は、前記平板部に向かって末広がりとなる肉厚の板状に形成されていること。
【0019】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、板状成形体は、平板部側が厚肉となり、板状成形体の板厚を抑制しても上述の補強リブとしての作用を無駄なく発揮させることができる。また、板状成形体が障害釘の高さとほぼ同一高さに達する幅を有し、補強リブとしての作用の高いものとした一体成形品により前側部材の主要部分を構成することができる。
【0020】
これら板状成形体を備えた遊技機においては、さらに、以下の構成をも備えたものとすることもできる。
(8)前記板状成形体は、本体に直交する底板部を有する部品として構成し、前記底板部を介して前記平板部の前面側に固定することにより、前記直角方向に突出した状態で前記平板部に対して一体化されていること。
【0021】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、遊技球を誘導するだけでなく補強リブとしても作用する板状成形体を平板部とは別体の射出成形品とした場合であっても、底板部を介して平板部にビス等によって固定することで、板状成形体によって平板部の変形を抑止した状態とすることができる。
【0022】
これら板状成形体を備えた遊技機においては、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(9)前記板状成形体は、前記平板部においてリング状の遊技領域を区画する境界部と、当該リング状の遊技領域の内側とに配置されていること。
【0023】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、遊技領域における変形を適確に抑止することができる。
【0024】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(10A)前記前側部材の平板部には、前記抽選の契機が与えられたときに所定の特別図柄当選確率に基づいて実行する特別図柄抽選の結果に対応する特別図柄変動ゲームにおいて停止図柄を確定するまでの間、特殊図柄の表示を実行させ続けるための特殊図柄表示手段を、内側誘導レールの内側かつ風車の下方の位置で前方へ突出する様に備えられていること。
(10B)前記特殊図柄表示手段は、遊技球に対する誘導壁を形成する様に右下がりに構成された上部壁面と、前記内側誘導レールの遊技領域側湾曲面に対応する形状のレール側端部とを有し、前記レール側端部が前記内側誘導レールに接する様に前記前側部材の平板部に設置されていること。
【0025】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、特殊図柄表示手段が内側誘導レールの内側かつ風車の下方の位置で前方へ突出し、かつ、内側誘導レールに接する様に前側部材の平板部に設置されることにより、遊技領域内で遊技球を誘導する部品として機能すると共に、平板部を補強する役割も発揮する。風車の下方の位置は、多くの遊技機において普通入賞口が配置されるから、特に、平板部の垂直がしっかりと保たれるべき場所である。よって、かかる構成をも備えた遊技機によれば、前後方向に積層構造とした遊技盤に対して設計条件を満足する遊技球の動きを確保する作用が期待できる。
【0026】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとするとよい。
(11A)前記前側部材の平板部には、後方に向かって突出する識別用突出部が備えられ、前記後側部材の平板部には、前記識別用突出部を挿通させ得る開口部又は切り欠き部が備えられていること。
(11B)前記後側部材の背面側には、前記前側部材の識別用突出部と嵌合させ得る識別用嵌合部が備えられていること。
(11C)前記識別用突出部と前記識別用嵌合部は、前記ロック手段によって前記前側部材を前記後側部材に対して位置決め固定したときに嵌合状態となり、前側部材に関する識別情報をデジタル信号として出力する信号出力手段が備えられていること。
(11D)前記信号出力手段から出力されるデジタル信号に基づき、当該遊技機に対して取り付けるべき前側部材が取り付けられたか否かを判定する判定手段を遊技機本体側に備えていること。
【0027】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、前側部材を後側部材に対してロック手段で位置決め固定したときに互いに嵌合する識別用突出部と識別用嵌合部とを備えさせ、嵌合状態となったときに前側部材に関する識別情報をデジタル信号として出力する信号出力手段を備えさせ、遊技機本体側に備えた判定手段が、当該デジタル信号に基づき、当該遊技機に対して取り付けるべき前側部材が取り付けられたか否かを判定する。例えば、同一タイトルで大当たり確率などのスペックを異ならせた遊技機を提供する際に、主制御基板等の仕様に対応するスペック表記等が正しくなされた前側部材が正しく取り付けられているか否かを、遊技機本体側において判定することにより、互換性があるが故に誤った前側部材を組み付けてしまうことがない様に組み立て作業を実施することができる。
【0028】
この場合、さらに、以下の構成をも備えた遊技機とすることができる。
(12)前記識別用嵌合部には、所定方向に距離をとって配置された複数個のセンサが備えられ、前記識別用突出部には前記センサの配置に対応する位置にセンサをオン又はオフとさせるセンサ反応部を配置した突起部材が備えられていること。
【0029】
かかる構成をも備えさせることにより、前側部材と後側部材との対応関係を複雑に構成したとしても適確な判定が可能となる。ここで、複数個のセンサは、遊技機の前後方向に距離をとって配置されるものであってもよいし、遊技機の上下左右方向に距離をとって配置されるものであってもよい。さらには、遊技機の前後方向にも上下左右方向にも距離をとって複数個のセンサを配置してもよい。これら複数個のセンサに上位桁・下位桁の関係を定めておけば、信号出力手段からは、0001,0010,…,1111といったデジタル信号を得ることができる。
【0030】
これら識別用突出部等を備えた遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(13A)前記信号出力手段として、前記識別用嵌合部に前記識別用突出部との嵌合方向に沿って間隔をあけて一列に配置された複数個の光センサを備え、前記識別用突出部に前記光センサの配置に対応する位置に光透過部又は光遮蔽部が形成され、前記嵌合方向に沿って伸びるキー形状部材が備えられていること。
(13B)前記信号出力手段は、前記キー形状部材における形状的特徴に対応するデジタル信号を出力する手段として構成されていること。
【0031】
かかる構成をも備える遊技機によれば、例えば、識別用嵌合部に対して、識別用突出部との嵌合方向に沿って等間隔となる様に複数個の光センサを一列に配置し、識別用突出部には嵌合方向に伸びる様にキー形状部材を取り付けるだけで、信号出力手段から複数桁のデジタル信号を出力させることができる。よって、様々な組み合わせに対応させる際に、識別用嵌合部に対する光センサの設置や識別用突出部に対するキー形状部材の取り付けを複雑化させることなく、適確な判定が可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、積層構造の遊技盤の組立・分解を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施例1のパチンコ機の要部の分解斜視図である。
【
図2】実施例1のパチンコ機の遊技盤装置の構成を示す断面図である。
【
図3】実施例1のパチンコ機の遊技盤の前側部材を示し、(A)は正面図、(B)はa-a端面図、(C)はb-b端面図、(D)はc-c端面図、(E)はd-d端面図、(F)は成形状態の要部の拡大断面図である。
【
図4】実施例1のパチンコ機の特殊図柄表示器組立体を示し、(A)は正面図、(B)は要部断面図、(C)は特殊図柄表示器の動作を説明する模式図である。
【
図5】実施例1のパチンコ機の遊技盤の後側部材を示し、(A)は正面図、(B)はe-e端面図、(C)はf-f端面図、(D)はg-g端面図、(E)はh-h端面図である。
【
図6】実施例1のパチンコ機の遊技盤に組み付けられる導光板の正面図である。
【
図7】実施例1のパチンコ機の裏側部材の前面に取り付けられる縁金部材を示し、(A)は正面図、(B)は要部拡大正面図、(C)はi-i端面図、(D)はj-j端面図、(E)はk-k端面図である。
【
図8】実施例1のパチンコ機の遊技盤の組立・分解方法を説明する図面であって、(A)は積層順を示す説明図、(B)はロックダイヤルの操作状態を示す正面図、(C)はロックダイヤルをアンロック状態としたときの垂直断面図、(D)はロックダイヤルをロック状態としたときの水平断面図である。
【
図9】実施例1において同一タイトルでスペックの異なる遊技盤を前側部材の取り換えによって構成する様子を示し、(A),(B)はスペックの異なる前側部材の正面図、(C)は裏側部材の正面図である。
【
図10】実施例1における識別用の嵌合部を示し、(A)はコネクティングブロックとコネクティングボックスの斜視図、(B)は光センサの配置を示す斜視図、(C1)~(C3)はキー形状部材の形状的特徴を例示する側面図である。
【
図11】実施例1のパチンコ機の制御装置の全体の構成を示すブロック図である。
【
図12】実施例のパチンコ機における前板判定~報知に関する制御系統及び制御処理を示し、(A)は制御系統のブロック図、(B)は前板判定処理のフローチャート、(C)は報知処理のフローチャートである。
【
図13】実施例2のパチンコ機の遊技盤の前側部材を示し、(A)は正面図、(B)は平板部と別体とされた部品とを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0035】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、
図1に示す様に、遊技島に固定される外枠Aと、外枠Aに対して左端を回動中心として回動による開閉が可能な状態に組み付けられる中枠Bと、中枠Bに対して左端を回動中心として回動による開閉が可能な状態に組み付けられる前枠Dと、中枠Bの前面側から着脱可能に組み付けられる遊技盤装置Cとを備えている。
【0036】
中枠Bには、遊技盤装置Cの左端を嵌まり込ませて位置決め固定する左端取付部材1,2と、遊技盤装置Cの右端付近の上部及び下部を位置決め固定する右上取付部材3及び右下取付部材4とが備えられている。
【0037】
左端取付部材1,2は、溝部の内面に板バネ1a,2aが装着されていて、溝部に嵌まり込ませた遊技盤装置Cを溝部の前側に備えられた押さえ部材1b,2bの裏面に押し当てた状態で位置決め固定することできる様に構成されている。右上取付部材3及び右下取付部材4は、いわゆるトグルクランプによって構成されている。
【0038】
遊技盤装置Cの取り付けに当たっては、中枠Bの右上及び右下の取付部材3,4のトグルクランプを開放状態とし、左端取付部材1,2の溝部に遊技盤装置Cの左端を斜め前方から挿入して挟み込ませた後、左端を回動中心として遊技盤装置Cを中枠Bに向かって回動して右上及び右下の取付部材3,4に嵌まり込ませ、トグルクランプを閉じる操作をすればよい。これとは逆に、トグルクランプを開放し、遊技盤装置Cの右端を中枠Bから離れる方向に回動した後、右方向に抜き取る作業によって中枠Bから遊技盤装置Cを取り外すことができる。
【0039】
なお、中枠Bには、位置決め固定された遊技盤装置Cの背面部分を侵入させ得る開口部5や発射装置等を取り付けるための下側構造部6なども備えられている。
【0040】
[2 遊技盤装置の概要]
遊技盤装置Cは、
図1,
図2に示す様に、前側部材10、導光板40、後側部材50、縁金部材70、及び裏側部材90の各部品を前後方向に積層された状態に組み立てられる構成となっている。
【0041】
裏側部材90は、
図1,
図2に示す様に、前面開放の箱枠状構造体であって前面縁に外周方向へ突出する縁枠91を備え、背面には液晶表示装置LCDの画面を露出させる開口部92が形成されている。そして、内部には、可動体役物KD1,KD2や装飾体ORNなどが取り付けられると共に、下側壁面を貫通する様に玉排出ユニットBEUが設置されている。なお、裏側部材90は、合成樹脂製の射出成形体にて構成される。
【0042】
この裏側部材90の縁枠91の前面には縁金部材70と後側部材50とがビス止め等によって固定される。そして、間に導光板40を挟み込む様にして、後側部材50の前面側に前側部材10を積層する様に組み付ける。そして、前側部材10、導光板40、後側部材50、及び縁金部材70を貫通する軸部を有するロックダイヤル81~84を用いて、四隅をロックする様にして、前側部材10及び導光板40を、後側部材50及び縁金部材70が取り付けられた裏側部材90に対して位置決め固定する。
【0043】
[2.1 前側部材]
前側部材10は、
図3に示す様に、四隅近くに鍵穴状貫通孔10a~10dが貫通されると共に、中央に大型開口部10opnが貫通された透明合成樹脂製の平板部10fpに対し、外側誘導レール11、内側誘導レール12、障害ブロック13、誘導ガイド14a~14c、障害釘15、風車16、始動入賞装置17、第2始動入賞装置18、普通入賞口19a~19c、大入賞口20、ゲート21、ワープ通路22、ステージ23、中央開口境界部材24a,24b等に加え、特図表示器TKZ、特殊図柄表示器TKSZ、アウト口27等が備えられた構成を有している。なお、平板部10pfには、大型開口部10opnのほかに、例えば、始動入賞装置17、第2始動入賞装置18、普通入賞口19a~19cなどの背面突出部品の取付位置にも貫通孔が形成されている。
【0044】
外側誘導レール11、内側誘導レール12、誘導ガイド14a~14cなどの遊技球を誘導するための部品は、障害釘15の高さとほぼ同一高さに達する幅を有する合成樹脂製の板状成形体からなり、平板部10fpに対して直角方向に突出する様に備えられている。本実施例においては、前側部材10は、これら外側誘導レール11、内側誘導レール12、誘導ガイド14a~14cなどの遊技球を誘導するための部品を一体的に備えた透明合成樹脂製の射出成形体で構成している。また、
図3(F)に示す様に、射出成形に用いる金型KG1,KG2は、外側誘導レール11、中央開口境界部材24bなどが平板部10pfに向かって末広がりとなる肉厚の板状成形体となる様なキャビティを備えている。これにより、障害釘15の高さとほぼ同一高さに達する板状成形体を備える前側部材10の脱型をスムーズに実施することができる。この結果、金型構造を複雑にすることなく、適確な補強リブを備えた前側部材10を容易に製造することができる。
【0045】
[2.1.1 特殊図柄表示器組立体]
平板部fpには、
図3(B),(E)に示した様に、普通入賞口19c、特殊図柄表示器TKSZなど、それ自体が背面側に突出する部分を有していたり配線等を背面側に伸ばす様に構成されている部品(以下、「背面突出部品」という。)の取付位置には、貫通孔が形成されいる。前掲の部品のほか、始動入賞装置17、第2始動入賞装置18、普通入賞口19a,19b、大入賞口20、ゲート21、特図表示器TKZも、「背面突出部品」に該当し、それらの取付位置には、平板部10fpに貫通孔が形成されている。これら背面突出部品は、貫通孔から玉樋や配線を背後に露出させる様に、平板部fpに対して前面側から取り付けられる。
【0046】
本実施例においては、これら背面突出部品の内、特図表示器TKZ及び特殊図柄表示器TKSZは、
図4(A)に示す様に、普通入賞口19a~19cとの一体成形品として製造された部品に組み込まれている。この組立体は、
図4(B)に示す様に、平板部10fpに対して直角方向に立ち上がった筐体部TKSZ1に直交する底板部TKSZ2を有し、筐体部TKSZ1の開放端を内側誘導レール12に当接させた状態で平板部10fpにビス止めによって取り付ける。この筐体部TKSZ1の内側に複数個のLEDを備え、ワイヤハーネスTKSZが伸ばされた特殊図柄表示器本体部品が収納されている。ワイヤハーネスTKSZ3の先端のコネクタTKSZ4を裏側部材側のコネクタと接続することにより、特殊図柄表示器として動作する。
【0047】
特殊図柄表示器TKSZは、
図3(A)に示した様に、内側誘導レール12の遊技領域側湾曲面に接する様に前側部材10に固定され、風車16で弾かれて落下してくる遊技球を、普通入賞口19a~19cの方向へと誘導する誘導壁を形成する機能を発揮すると共に、内側誘導レール12の遊技領域側に当接した状態で平板部10fpに取り付けることにより、平板部10fpに対する補強部材としても機能する。
【0048】
特殊図柄表示器TKSZは、
図4(C)に示す様に、LEDの点灯、点滅、消灯によって、左打ちによる遊技状態と右打ちによる遊技状態、特
図1,特
図2,普図に関する変動中、当たり、はずれの別、特
図1,特
図2,普図の保留個数を報知する。
【0049】
[2.2 後側部材]
後側部材50は、
図5に示す様に、四隅近くに鍵穴状貫通孔50a~50dが貫通されると共に、始動入賞装置17などの背面突出部品の背後に位置する部分に開口部51~53が形成された平板部50fpを備えている。そして、この平板部50fpの周縁には、前側部材10の周縁を嵌まり込ませて位置決めする様に前方へ突出する額縁部55が備えられている。額縁部55は、
図5(B)~(E)に示す様に、背面開放の箱枠状に形成されている。この額縁部55の空所には、導光板演出のための発光装置などを設置することができる。なお、
図2に示した様に、後側部材50の背面側に、発光演出用のLED基板LDUも設置される。後側部材50もまた、透明合成樹脂製の射出成形体で構成されている。
【0050】
[2.3 導光板]
導光板40は、
図6に示す様に、上部の隅近くに鍵穴状貫通孔40a,40dが貫通されると共に、始動入賞装置17などの背面突出部品の背後に位置する部分に切り欠き部41,42が形成された平板部40fpを備えている。そして、この平板部40fpの周縁は、後側部材50の額縁部55に嵌まり込む寸法とされている。
【0051】
[2.4 縁金部材]
縁金部材70は、
図7に示す様に、中央に矩形の四隅を面取りした形状の大型開口部70opnを備える平板部70fpの四隅近くに鍵穴状貫通孔70a~70dが貫通されると共にこれら鍵穴状貫通孔70a~70dが形成された部分には後方に膨らむ膨出部71a~71dが形成されている。この縁金部材70は、例えば、鋼板を板金プレス加工するなどして製造することができる。
【0052】
[2.5 遊技盤装置の組立・分解]
前側部材10、導光板40、後側部材50及び縁金部材70は、
図8(A)に示す様に、それぞれの右上の鍵穴状貫通孔10a,40a,50a,70a、右下の鍵穴状貫通孔10b,50b,70b、左下の鍵穴状貫通孔10c,50c,70c、及び左上の鍵穴状貫通孔10d,40d,50d,70dが同軸上に重なる様に前後方向に積層され、ロックダイヤル81~84によって一体化される。なお、本実施例においては、鍵穴状貫通孔10a等は、円形穴と、円形穴の中心から垂直方向上下に伸びる矩形穴とを一体化した形状を有している。
【0053】
ロックダイヤル81~84は、円盤状の本体の背面中心から後方に向かって水平に伸びる丸棒水平軸81a~84aと、丸棒水平軸81a~84aの先端部に直交する様に形成された丸棒直交軸81b~84bと、円盤状の本体の前面側において円盤の中心を通り丸棒直交軸81b~84bと同じ方向に伸びるダイヤルつまみ81c~84cを備えている。丸棒水平軸81a~84a及び丸棒直交軸81b~84bは、各鍵穴状貫通孔10a等に挿通可能な寸法・形状となっている。
【0054】
ロックダイヤル81~84を、
図8(B)の上側に示す様にダイヤルつまみ81c~84cを垂直方向に向けた状態として
図8(A)に示した矢印に沿って鍵穴状貫通孔10a等を挿し通す様に挿入する。このとき、
図8(C)に示す様に、丸棒直交軸81b~84bが縁金部材90の背面で垂直方向に向いた状態となっている。
【0055】
次に、
図8(B)の下側に示す様に水平方向にダイヤルつまみ81c~84cが向く様にロックダイヤル81~84を90度回転させる。これにより、
図8(D)に示す様に、丸棒直交軸81b~84bが縁金部材90の背面で水平方向に向いた状態となる。このとき、縁金部材70においては、膨出部71a~71dが丸棒直交軸81b~84bに押圧されて変形し、反力を発生させるバネとして作用する。これにより、前側部材10、導光板40、後側部材50及び縁金部材70は、互いに平板部を密着させた状態でしっかりと固定される。
【0056】
ロックダイヤル81~84を、
図8(B)の下側の状態から上側の状態へと90度回転させると、縁金部材70の背面側においては丸棒直交軸81b~84bが垂直方向に向いた状態となり、
図8(A)に示した矢印のに沿って手前側へと抜き出すことが可能な状態となる。これにより、ロックダイヤル81~84の操作によって、前側部材10の取り外しが可能な状態となる。
【0057】
ここで、裏側部材90の縁枠91の背面から後側部材50の額縁部55の前面までの厚さB1(
図2参照)は、中枠Bに備えさせた左端取付部材1,2、右上取付部材3及び右下取付部材4に挟み付けて固定することができる厚さとしている。そして、本実施例では、後側部材50は、縁金部材70と共に、裏側部材90の縁枠91に対して予めビス等によって固定しておく構成を採用している。こうして中枠Bに対し、裏側部材90を、後側部材50及び縁金部材70と共に固定した状態において、後側部材50の平板部50fpの周縁に備えさせた額縁部55に前側部材10を嵌まり込ませた状態でロックダイヤル81~84を操作することができるから、積層構造の遊技盤の組立・分解に当たって、結果として、前側部材10は中枠Bに支持された状態で組み立てたり分解したりすることができることとなる。
【0058】
[3 前側部材の交換]
本実施例においては、遊技盤装置Cを、前側部材10と後側部材50とを分離可能に構成したことにより、
図9(A),(B)に示す様に、甘デジに対応する前側部材10Aとフルスペックに対応する前側部材10Bとを、後側部材50に対して互換性を有する部品として準備しておき、遊技盤装置Cの前側部材だけを交換するだけで、搭載する基板等に対応するスペックのパチンコ機へと変更することが可能となっている。
【0059】
図9(A),(B)に示す様に、前側部材10A,10Bには、外側誘導レール11よりも外側の裏面に甘デジ用、フルスペック用のセルシートが貼り付けられている。このセルシートが貼り付けられた部分の所定位置に、部品判別用のコネクティングボックスBXA,BXBが背面に向かって突出する様に取り付けられている。
【0060】
また、
図9(C)に示す様に、裏側部材90には、前側部材10A,10Bから背面に向かって突出するコネクティングボックスBXA,BXBに対応する位置において、これらコネクティングボックスBXA,BXBと嵌合し得る様にコネクティングブロックBLKが備えられている。
【0061】
[4 コネクティングブロック及びコネクティングボックスの概要]
図10(A)に示す様に、コネクティングボックスBXA,BXBには、コネクティングブロックBLKに外嵌する嵌合凹部BXkyが備えられている。また、コネクティングブロックBLKには4個のキー挿入孔HL1~HL4が備えられ、各コネクティングボックスBXA,BXBの嵌合凹部BXkyには、これら4個のキー挿入孔HL1~HL4のそれぞれに挿入可能なキー形状部材KY1~KY4が備えられている。また、コネクティングブロックBLKには遊技盤判別基板KBkyが備えられている。
【0062】
コネクティングブロックBLKに備えられたキー挿入孔HL1~HL4のそれぞれには、
図10(B)に示す様に、4個の光センサPSE1~PSE4が孔の軸方向一列に所定間隔で設置されている。各光センサPSE1~PSE4は光透過型で、光路が開放されているときはON信号、遮蔽されているときはOFF信号を出力する構成となっている。
【0063】
一方、各コネクティングボックスBXA,BXBの嵌合凹部BXkyに備えられたキー形状部材KY1~KY4は、
図10(C1)~(C3)に例示する様に、4個の光センサPSE1~PSE4の配列方向に伸び、光センサのそれぞれに形成されたキー挿入凹部に挿通可能な幅の板材からなり、光センサ設置位置に対応する位置A~Dの一部に切り欠きを形成したものとなっている。なお、
図10(C3)に示す様に、切り欠きを全く備えないものも採用し得ることとしている。光センサPSE1~PSE4から出力されるON/OFF信号は、遊技盤判別基板KBky1~KBky4に入力される。遊技盤判別基板KBky1~KBky4は、入力された信号に基づき、「1000」、「0101」、「0000」等のデジタル信号を出力する。
【0064】
[5 制御装置の概要]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について
図11に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲートに備えられている普図スイッチSW37、大入賞口に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞口に備えられた入賞検知スイッチSW11~SW13、及び排出球検知スイッチSW21からの検知信号が入力される様になっている。主制御基板310には、前側部材10のコネクティングボックスと裏側部材90のコネクティングブロックとが嵌合したときにONとなるロックスイッチSWLKの検出信号も入力されている。
【0065】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、性能表示モニタ600、大入賞口の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。払出制御基板330は、主制御基板310に対して信号を入力する様にも接続されている。また、払出制御基板330と発射制御基板340との間でも互いに信号の入出力がなされている。この結果、本実施例においては、発射制御基板340から払出制御基板330を経由して主制御基板310に対して信号入力が可能となっている。
【0066】
制御系統には、この他、BCユニット335、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、球貸し操作基板390、ホールコンピュータ400、カードユニットCDU等も備えられている。
【0067】
演出制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、可動体役物を駆動するモータやソレノイドを駆動制御するモータ駆動制御基板KBmt、ソレノイド駆動制御基板KBsol、スピーカーによる音声出力を制御するスピーカ駆動制御基板KBsp、前枠Dに設置された装飾ランプを発光制御する前枠発光制御基板KBldや盤面役物や盤面裏に備えられた電飾装置を発光制御する電飾基板KBlc等に対して制御信号を出力して役物発光演出、枠発光演出、音声演出、可動体演出等を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力し、液晶表示装置LCDによる表示演出を実行させている。
【0068】
なお、前枠Dに設置された演出操作ボタンSの押下信号は演出制御基板320に入力され、貸し玉ボタンQ,カード取り出しボタンRの押下信号は球貸し操作基板390に入力されている。
【0069】
主制御基板310には、遊技盤判別用基板KBkyからのデジタル信号も入力されている。主制御基板310は、このデジタル信号に基づいて、タイトル及びスペックに対応する遊技盤が中枠Bに装着されているか否かの判定を行う。このため、主制御基板310には、タイトル及びスペックに対応する遊技盤を特定するための識別情報が記憶されている。
【0070】
主制御基板310は、特
図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特
図1判定用乱数を最大4個、特
図2スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特
図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特
図1保留記憶部311及び特
図2保留記憶部312を備えている。特
図1判定用乱数及び特
図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0071】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。
【0072】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0073】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0074】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0075】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0076】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0077】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0078】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0079】
また、演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、
図11に示す様に、特殊図柄表示データDTKも記憶されている。特殊図柄表示データDTKは、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応して特殊図柄表示器TKSZにて特殊図柄変動表示及び確定表示を実行するためのデータである。このデータは、特別図柄の変動時間に対応する変動時間の間、点滅表示を行い、変動時間終了時に点灯又は消灯の確定表示を実行するためのデータが変動パターンに対応して記憶されたものとなっている。なお、本実施例では、
図4(C)に示した様に、「はずれ」の場合は「点滅→消灯」、「当たり」の場合は「点滅→点灯」の表示を行うためのデータが記憶されている。
【0080】
また、本実施例においては、演出制御基板320には、
図11に示す様に、特
図1,特
図2のそれぞれについて主制御基板310が保留記憶した情報と同じ内容の保留記憶情報を記憶することができる保留先読み記憶部327も備わっていて、
図4(C)に示した様に、消灯、点灯、点滅により、特
図1,特
図2のぞれぞれについて、保留なし、保留1個、…、保留4個の別を表示可能となっている。
【0081】
[6 主制御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。主制御基板310は、この賞球の払い出し個数は、「通常遊技」、「時短遊技」「大当たり遊技」等の遊技状態ごとに累積値を記憶する。主制御基板310は、また、これら遊技状態ごとの排出球の個数を排出球検知スイッチSW21からの検知信号に基づいて累積値として記憶している。そして、主制御基板310は、これら賞球払出個数の累積値と排出球数の累積値に基づいて、各遊技状態におけるベース(払出数/(発射数=排出数))を算出している。これら遊技状態ごとのベースの内、「通常遊技」について算出した値は、主制御基板310から性能表示モニタ600のマイコン基板へと送信され、性能表示モニタ600に数値表示される。なお、所定の操作をすることにより、性能表示モニタ600を用いて、「時短遊技」や「大当たり遊技」におけるベースの表示をすることもできる様になっている。
【0082】
また、主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(特
図1始動保留情報)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(特
図2始動保留情報)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0083】
主制御基板310は、こうしてRAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させるための特図開始処理を実行している。この特図開始処理では、始動保留情報に基づく抽選処理の結果により、「変動パターン」および「最終停止図柄」を決定し、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。この際、主制御基板310は、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動ゲームを特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させる。また、演出制御基板320を介して特殊図柄表示器TKSZによる特殊図柄表示も実行させる。
【0084】
[7 演出御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
演出制御基板320は、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。この変動演出は、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもないときに実行される。演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する。
【0085】
ここで、本実施例においては、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
【0086】
また、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
【0087】
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶手段325から読み出し、変動演出を開始する。変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0088】
なお、特別遊技中であるときは、変動ゲーム中演出データDHではなく大当たり中演出データDVを読み出し、大当たり中演出を実行する。また、デモ表示タイミングであるときは、デモ中演出データDMを読み出し、デモ中演出を実行する。
【0089】
本実施例においては、これら変動ゲーム中演出、大当たり中演出、デモ中演出での発光演出として、遊技盤装置Cに備えた装飾ランプによる役物発光演出に加えて、前枠Dに備えた装飾ランプによる枠発光演出も実行している。演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、変動ゲーム中演出において実行する枠発光演出のためのデータについても、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定した複数の演出データを記憶させてある。
【0090】
[8 遊技盤判定処理]
主制御基板310は、遊技盤判別用基板KBkyが出力するデジタル信号を入力し、タイトル及びスペックに対応する装飾体が正しく取り付けられているか否かの判定を行い、間違った前側部材が取り付けられているときは遊技盤エラーを報知する処理を実行する。この処理は、
図11(A)に示した制御系統により、工場出荷時、遊技場における新台設置時など、遊技機枠に遊技盤を組み付ける作業を行った際などに起動される。
【0091】
主制御基板310は、
図11(B)に示す様に、ロックスイッチSWLKからON信号が入力されたときにこの処理を開始する(S10:YES)。主制御基板310は、まず、演出制御基板320に対して遊技盤判定処理を開始した旨を通知する(S20)。続いて、主制御基板310は、タイトル及びスペックに対応する識別情報を読み出し(S30)、遊技盤判別用基板KBkyから入力されるデジタル信号と識別情報とが正しい対応関係にあるか否かを比較し(S40,S50)、正しい対応関係にないときは(S50:NO)、演出制御基板320へとエラー報知を指令する(S60)。なお、取り付けられた前側部材10の対応関係が正しい場合は(S50:YES)、演出制御基板320へと正常である旨の報知を指令する(S70)。
【0092】
演出制御基板320は、主制御基板310から判定処理の開始が通知されたときに処理を開始し、
図11(C)に示す様に、まず、計時を開始する(S110)。その後、エラー報知の指令を受けたときは(S120:YES)、演出制御基板320は、液晶表示装置LCDに対して遊技盤エラーが生じている旨のメッセージを表示し(S130)、正常報知の指令を受けたときは(S120:NO,S140:YES)、液晶表示装置LCDに対して遊技盤の取り付けが正常に行われている旨のメッセージを表示する(S150)。なお、演出制御基板320は、所定時間を経過しても正常報知の指令を受けないときは(S160:YES)、液晶表示装置LCDに対して遊技盤が確実に取り付けられているかを確認させるためのメッセージを表示する(S170)。
【0093】
[9 実施例1による作用・効果]
実施例1のパチンコ機P1によれば、前側部材10、導光板40、後側部材50及び縁金部材70の鍵穴条貫通孔10a,40a,50a,70a等にロックダイヤル81等の丸棒直交軸81b等を通過させつつ丸棒水平軸81a等を挿通させてダイヤルつまみ81c等が水平方向に向いた状態へと回転させることにより、縁金部材70の膨出部71a等を変形させつつ丸棒直交軸81b等を抜け止め状態へと変化させることによって裏側部材90の前面側に遊技盤を一体化させた遊技盤装置Cを完成させることができる。分解に当たっては、ロックダイヤル81等をダイヤルつまみ81b等が垂直方向に向いた状態へと回転させることにより、丸棒直交軸81b等を鍵穴条貫通孔10a,40a,50a,70a等から抜き取ることが可能となり、容易に分解することができる。これにより、スペックに対応させた前側部材を複数種類用意しておき、搭載する主制御基板310のスペックに対応するものへと容易に変更することができる。そして、この様な前側部材10の変更により、遊技盤装置Cを種々のスペックに対応するものへと変更できる結果、部材のリユース等を推進することができる。
【0094】
実施例1においては、
図3~
図8に示した様に、鍵穴状貫通孔10a,40a,50a,70aの形状を、円形孔に対して垂直方向上下に伸びる帯状溝を有する形状とし、丸棒水平軸81a等を中心として直交方向両方に伸びる様に丸棒直交軸81b等を備え、これら丸棒直交軸81b等の伸びる方向と一致する方向に伸びるダイヤルつまみ81c等を備えたロックダイヤル81等を採用したから、ダイヤルつまみ81c等の向いている方向によって分解・組立の完了を容易に知ることができ、かつ、分解・組立時の操作が右回りであっても左回りであっても可能となるなど、操作性に極めて優れたものとなっている。
【0095】
また、遊技盤装置Cを中枠Bに取り付ける構造として、前面開放の箱枠状構造体からなる裏側部材90の前面縁に外周へ突出する様に備えさせた縁枠81が遊技盤の外周部分を裏側から支えた状態で取付部材1~4に対して挟み込ませる様に取り付けることとしたので、積層構造の遊技盤の縁の部分が裏側部材90の側壁部分によっても支持された状態となる。この結果、積層構造の遊技盤を、その周縁部において裏側部材90の縁枠91によって補強された状態で中枠Bに対し遊技盤装置Cを取り付けることができる。
【0096】
このとき、本実施例では、前側部材10を後側部材50の額縁部55の内側に嵌まり込ませた状態でロックダイヤル81等を操作することにより、積層構造の遊技盤の組立・分解を実施することができる。このとき、中枠Bに対しては、その取付具1~4に対して裏側部材90の縁枠91と後側部材50の額縁部55とを挟み込ませる様にして遊技盤を取り付ける構成としたから、裏側部材90及び後側部材50を中枠Bに取り付けた状態で前側部材10を組み付けたり取り外したりすることができる。この結果、積層構造の遊技盤の組立・分解における作業性をさらに向上させることができる。
【0097】
また、本実施例においては、裏側部材90の縁枠91の前面と後側部材50の周縁部裏面との間に、金属製の縁金部材70を取り付け、ロックダイヤル81~84により、縁金部材70の裏面側から前側部材10と後側部材50とを挟み付ける力を発揮する様に構成したことによって中枠Bに遊技盤装置Cを取り付けた状態における挟み込み部分の補強をすることができると共に、ロックダイヤル81~84によって発揮される挟み付ける力は、後側部材50に対しては縁金部材70を介して作用することとなり、強い力で前側部材10と後側部材50とを位置決め固定しても後側部材50の損傷を防ぐことができる。これにより、平板部50fpの周縁に額縁部55を備える後側部材50を、例えば、全体として肉厚がほぼ均一となる様な射出成形体で構成することも可能となる。
【0098】
加えて、実施例1のパチンコ機P1によれば、ビス等によって後側部材50と共に裏側部材90に予め取り付けられている縁金部材70に対し、後側部材50及び縁金部材70を貫通する丸棒状軸部81a~84aの先端に備えた丸棒状直交部81b~84bを縁金部材70の裏面側に当接して前側部材10と後側部材50とを挟み付ける力を発揮させる状態へとロックダイヤル81~84を操作して積層構造の遊技盤装置Cを組み立てたり、逆に当該挟み付ける力を発揮しない状態へとロックダイヤル81~84を操作して積層構造の遊技盤装置Cを分解したりすることができる。
【0099】
さらに、本実施例によれば、前側部材10は、障害釘15の高さとほぼ同一高さに達する幅を有する合成樹脂製の板状成形体からなる外側誘導レール11、内側誘導レール12、誘導ガイド14a~14c、中央開口境界部材24a,24b等を平板部10fpに対して直角方向に突出する板状成形体としたので、これら板状成形体が、前側部材10の平板部10fpに対する補強リブとして作用し、ロックダイヤル81等によって後側部材50に対して位置決め固定したときに平板部10fpの変形を抑制することができる。これにより、前側部材10の平板部の板厚を小さくすることも可能となる。
【0100】
また、これら板状成形体は、平板部10fpに向かって末広がりとなる肉厚の板状に形成されているから、板状成形体は平板部側が厚肉となり、板状成形体の板厚を抑制しても上述の補強リブとしての作用を無駄なく発揮させることができる。また、板状成形体が障害釘15の高さとほぼ同一高さに達する幅を有するものとして補強リブとしての作用の高いものとした一体成形品により前側部材10の主要部分を構成することができる。
【0101】
加えて、これら板状成形体は、平板部10fpにおいてリング状の遊技領域を区画する境界部と、当該リング状の遊技領域の内側とに配置されているから、遊技領域における変形を適確に抑止することができる。
【0102】
また、本実施例においては、
図4(A),(B)に示す様に、特殊図柄表示器TKSZを、普通入賞口19a等を含む一体成形品からなる組立体に組み込んだ構成とし、当該組立体を、遊技球に対する誘導壁を形成する様に右下がりに構成された上部壁面と、内側誘導レール12の遊技領域側湾曲面に対応する形状のレール側端部とを有し、レール側端部が内側誘導レール12に接し、内側誘導レール12の内側かつ風車16の下方の位置で前方へ突出する様に前側部材10の平板部10fpに取り付けている(
図3(A)参照)。これにより、特殊図柄表示器TKSZが遊技領域内で遊技球を誘導する部品として機能すると共に、平板部10fpを補強する役割も発揮する。特に、風車16の下方の位置は、多くの遊技機において普通入賞口19a等が配置されるから、特に、平板部10fpの垂直がしっかりと保たれるべき場所である。よって、かかる構成をも備えたパチンコ機P1によれば、前後方向に積層構造とした遊技盤に対して設計条件を満足する遊技球の動きを確保する作用が期待できる。
【0103】
さらに、本実施例によれば、
図8(A),(B)に示した様に、前側部材10A,10Bの平板部から後方に向かって突出する識別用突出部としてのコネクティングボックスBXA,BXBを備え、後側部材50の平板部50fpには、識別用突出部を挿通させ得る開口部53を備えさせ、後側部材50の背面側には、前側部材10A,10Bの識別用突出部と嵌合させ得る識別用嵌合部としてのコネクティングブロックBLKを裏側部材90に取り付け、ロックダイヤル81~84によって前側部材10を後側部材50に対して位置決め固定したときにコネクティングボックスBXA,BXBとコネクティングブロックBLKが嵌合状態となって前側部材10に関する識別情報をデジタル信号として出力する信号出力手段を構成し、この信号出力手段から出力されるデジタル信号に基づき、当該遊技機に対して取り付けるべき前側部材が取り付けられたか否かを判定する判定手段を遊技機本体側に備えているから、例えば、同一タイトルで大当たり確率などのスペックを異ならせた遊技機を提供する際に、主制御基板等の仕様に対応するスペック表記等が正しくなされた前側部材が正しく取り付けられているか否かを、遊技機本体側において判定することにより、互換性があるが故に誤った前側部材を組み付けてしまうことがない様に組み立て作業を実施することができる。
【0104】
そして、識別用嵌合部としてのコネクティングブロックBLKには、所定方向に距離をとって配置された複数個の光センサPSE1~PSE4が備えられ、識別用突出部としてのコネクティングボックスBXA,BXBにはセンサの配置に対応する位置にセンサをオン又はオフとすべくキー形状とされたキー形状部材KY1~KY4を備えているから、前側部材10と後側部材50との対応関係を複雑に構成したとしても適確な判定が可能となる。特に、本実施例では、フォトセンサPSE1~PSE4を、嵌合方向に沿って等間隔となる様に一列に配置し、同じく嵌合方向に伸びる様にキー形状部材KY1~KY4を取り付けるだけで、信号出力手段から複数桁のデジタル信号を出力させることができている。よって、様々な組み合わせに対応させる際に、識別用嵌合部に対する光センサの設置や識別用突出部に対するキー形状部材の取り付けを複雑化させることなく、適確な判定が可能となる。
実施例2によれば、遊技球を誘導するだけでなく補強リブとしても作用する板状成形体を平板部110fpとは別体の射出成形品とした場合であっても、底板部111abp等を介して平板部110fpにビス等によって固定することで、誘導ガイド114a等の板状成形体が平板部110fpの変形を抑止した状態とすることができる。
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、前側部材10と後側部材50の間に導光板40を介在させない様に構成してもよい。また、縁金部材70の膨出部71a~71dは、コの字状に切れ目をいれて折り曲げた板バネ状のものにしても構わない。