(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094526
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】難燃剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 21/02 20060101AFI20220620BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220620BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C09K21/02
C09J201/00
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207462
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】308031887
【氏名又は名称】スモリホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】須森 明
【テーマコード(参考)】
4H028
4J040
【Fターム(参考)】
4H028AA05
4H028AA06
4H028AA08
4H028AA12
4H028BA04
4J040DF021
4J040HA066
4J040HA296
4J040HA326
4J040JB03
4J040KA16
4J040KA36
4J040KA42
(57)【要約】
【課題】半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果を有する難燃剤組成物を提供する。
【解決手段】ゼオライトと、エマルション系接着剤と、ホウ酸と、アルミニウム粉末と、銅粉末と、水とを含む。ゼオライトは全体の2~10質量%、エマルション系接着剤は全体の2~10質量%、ホウ酸は全体の5~35質量%、アルミニウム粉末は全体の0.5~1.5質量%、銅粉末は全体の0.5~1.5質量%、水は60~90質量%含まれることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトと、エマルション系接着剤と、ホウ酸と、アルミニウム粉末と、銅粉末と、水とを含むことを特徴とする難燃剤組成物。
【請求項2】
前記ゼオライトは全体の2~10質量%、前記エマルション系接着剤は全体の2~10質量%、前記ホウ酸は全体の5~35質量%、前記アルミニウム粉末は全体の0.5~1.5質量%、前記銅粉末は全体の0.5~1.5質量%、前記水は60~90質量%含まれることを特徴とする請求項1記載の難燃剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白セメントなどの水硬性無機粉体に無機系骨材や、水酸化アルミニウム、ホウ酸またはホウ酸塩などの不燃剤を配合して粉剤とし、その粉剤にアクリル系樹脂などの水性エマルション樹脂よりなる液剤を混練してなる不燃塗料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような不燃塗料は、ホウ酸またはホウ酸塩を含むことにより、防黴効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、病原体の接触感染を防ぐため、エチルアルコールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液などによる消毒が行われている。しかしながら、人が触れるたびに消毒することは手間がかかり、消毒作業を忘れることも多いため、半永久的な消毒効果を有する塗装が注目されている。特に、塗装により難燃効果が得られ、さらに半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果も得られる難燃剤組成物の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果を有する難燃剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る難燃剤組成物は、ゼオライトと、エマルション系接着剤と、ホウ酸と、アルミニウム粉末と、銅粉末と、水とを含むことを特徴とする。
前記ゼオライトは全体の2~10質量%、前記エマルション系接着剤は全体の2~10質量%、前記ホウ酸は全体の5~35質量%、前記アルミニウム粉末は全体の0.5~1.5質量%、前記銅粉末は全体の0.5~1.5質量%、前記水は60~90質量%含まれることが好ましい。
本発明に係る難燃剤組成物は、ヒバ油を全体の1~5質量%含んでいてもよい。
【0007】
本発明に係る難燃剤組成物は、含まれる銅粉末により、半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果を有する。また、含まれるホウ酸およびゼオライトにより、難燃効果を有する。アルミニウム粉末および銅粉末は、ホウ酸を全体に分散させやすくし、難燃効果を高める。本発明に係る難燃剤組成物は、振り混ぜた後、霧吹きなどで噴射して塗布することができる。本発明に係る難燃剤組成物を難燃化対象の表面に付着させることにより、難燃化対象に高い難燃効果を付与することができる。本発明に係る難燃剤組成物を難燃化対象の表面に付着させる方法としては、浸漬、塗布、噴射、その他いかなる方法であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果を有する難燃剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の難燃剤組成物は、ゼオライトと、エマルション系接着剤と、ホウ酸と、アルミニウム粉末と、銅粉末と、水とを含む。
ゼオライトは全体の2~10質量%、エマルション系接着剤は全体の2~10質量%、ホウ酸は全体の5~35質量%、アルミニウム粉末は全体の0.5~1.5質量%、銅粉末は全体の0.5~1.5質量%、水は60~90質量%含まれることが好ましい。
さらに、ヒバ油を全体の1~5質量%含んでいてもよい。
【0010】
エマルション系接着剤として、例えば、アクリル樹脂系エマルション形接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン形接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)系エマルジョン形接着剤が挙げられるが、アクリル樹脂系エマルション形接着剤から成ることが好ましい。アクリル樹脂系エマルション形接着剤は、アクリル共重合樹脂を水に溶解させて成る。アクリル樹脂系エマルション形接着剤は、パルミチン酸などの可塑剤および充てん剤を含むことが好ましい。
【0011】
難燃化対象の例としては、木材、紙材、発泡樹脂、ゴム材などが挙げられる。難燃剤組成物は、着色剤、防黴剤、防虫剤などの添加剤を含んでいてもよい。防黴剤、防虫剤として、ヒバ油(ヒバの木抽出油)を添加してもよい。
本発明の実施の形態の難燃剤組成物は、難燃剤組成物は、含まれる銅粉末により、半永久的な抗菌効果、抗ウイルス効果を有する。また、含まれるホウ酸およびゼオライトにより、難燃効果を有する。アルミニウム粉末および銅粉末は、ホウ酸を全体に分散させやすくし、難燃効果を高める。本発明の実施の形態の難燃剤組成物は、振り混ぜた後、霧吹きなどで噴射して塗布することができる。本発明の実施の形態の難燃剤組成物を難燃化対象の表面に付着させることにより、難燃化対象に高い難燃効果を付与することができる。難燃剤組成物を難燃化対象の表面に付着させる方法としては、浸漬、塗布、噴射、その他いかなる方法であってもよい。
【実施例0012】
〔実施例1〕
(1)水68重量部に、接着剤5重量部と、ホウ酸20重量部と、アルミニウム粉末1重量部と、銅粉末1重量部と、ゼオライト5重量部とを添加、混合し、実施例1の難燃剤組成物を製造した。接着剤には、アクリル共重合樹脂系エマルション形接着剤(商品名「ボンド スーパージョイントXホワイト」、コニシ株式会社製)を用いた。ゼオライトには、パウダー状のものを用いた。
【0013】
〔実施例2~6〕
以下の配合により、実施例2~6の難燃剤組成物を製造した。接着剤およびゼオライトには、実施例1と同じものを用いた。
(2)水60重量部、接着剤2重量部、ホウ酸35重量部、アルミニウム粉末0.5重量部、銅粉末0.5重量部、ゼオライト2重量部
(3)水63重量部、接着剤10重量部、ホウ酸20重量部、アルミニウム粉末1重量部、銅粉末1重量部、ゼオライト5重量部
(4)水65重量部、接着剤5重量部、ホウ酸20重量部、アルミニウム粉末1重量部、銅粉末1重量部、ゼオライト5重量部、ヒバ油3重量部
(5)水60重量部、接着剤5重量部、ホウ酸25重量部、アルミニウム粉末1重量部、銅粉末1重量部、ゼオライト5重量部、ヒバ油3重量部
(6)水60重量部、接着剤10重量部、ホウ酸20重量部、アルミニウム粉末1重量部、銅粉末1重量部、ゼオライト5重量部、ヒバ油3重量部
【0014】
〔比較例1,2〕
以下の配合により、比較例1,2の難燃剤組成物を製造した。接着剤およびゼオライトには、実施例1と同じものを用いた。
(7)水70重量部、接着剤5重量部、ホウ酸20重量部、ゼオライト5重量部
(8)水73重量部、接着剤5重量部、ホウ酸20重量部、アルミニウム粉末2重量部
【0015】
実施例1~6および比較例1、2の難燃剤組成物を密閉容器に入れ、撹拌後の難燃剤組成物に10cm×10cmのコピー用紙を浸漬させた。浸漬させたコピー用紙を密閉容器から取り出し、自然乾燥させた後、約1200℃のバーナーで1分間加熱した。その結果、実施例1~6の難燃剤組成物では着火しなかったが、比較例1および比較例2の難燃剤組成物では、炎は上がらなかったものの、黒く炭化した。このように、実施例1~6の難燃剤組成物では、高い難燃効果が確認された。
また、実施例1~6の難燃剤組成物では、防黴効果のほか、半永久的な高い抗菌効果、抗ウイルス効果が確認できた。