(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094539
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】群管理制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B66B1/18 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207486
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原 八尋
(72)【発明者】
【氏名】槇岡 良祐
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502JA48
3F502JA49
3F502KA18
3F502KA19
3F502MA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】呼び登録方法別に最適な開始判定方法を選択することができる群管理制御装置を提供する。
【解決手段】行先階登録装置または上下呼び登録装置から選択された呼び登録方法別に特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件を、特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみの場合と、時間条件と前記特定の時間帯に前記特定階床から出発した乗りかごの荷重がある一定数を超えると交通パターンを切替える荷重条件との2条件が成立した場合に切替えるかを判断する。乗場行先階登録装置が呼び登録方法として選択されている場合、特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件が特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみでない場合には、特定の時間帯に荷重条件を満たすと交通パターンを切替える開始条件に設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場呼び登録方法として、行先階を登録する乗場行先階登録装置とエレベータの乗場にて上下いずれかの呼びを登録する上下呼び登録装置とのいずれかを切替可能に構成されたエレベータシステムの群管理制御装置において、
前記乗場行先階登録装置または前記上下呼び登録装置から選択された呼び登録方法別に特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件を、特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみの場合と、時間条件と前記特定の時間帯に前記特定階床から出発した乗りかごの荷重がある一定数を超えると交通パターンを切替える荷重条件との2条件が成立した場合に切替えるかを判断する切替条件判断手段と、
前記乗場行先階登録装置が呼び登録方法として選択されている場合、前記特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件が特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみでない場合には、特定の時間帯に荷重条件を満たすと交通パターンを切替える開始条件に設定する開始条件設定手段と、を備える群管理制御装置。
【請求項2】
前記開始条件設定手段は、
交通パターンの開始条件が、時間条件と荷重条件との2条件で設定されている場合、
交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであれば、特定階床の呼び登録方法を確認し、
呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置であれば、時間条件が成立した後、呼び登録方法が前記上下呼び登録装置であれば、時間条件と荷重条件との2条件が成立した後、交通パターンを切替える、請求項1に記載の群管理制御装置。
【請求項3】
前記開始条件設定手段は、
交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり、かつ、特定階床の呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置の場合、
交通パターンの開始条件が時間条件のみでない場合、前記乗場行先階登録装置より判断可能な需要の情報を用いて時間条件と乗場行先階登録装置による需要判断条件とに基づき、交通パターンを切替える、請求項1に記載の群管理制御装置。
【請求項4】
前記開始条件設定手段は、
交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり、かつ、特定階床の呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置の場合、
交通パターンの開始条件を時間条件、かつ、特定階床から登録された呼び登録数とし、
ある一定時間内に特定階床からの交通パターンに応じた上方向及び下方向のいずれかの呼びが一定数以上登録されると交通パターンを切替える、請求項3に記載の群管理制御装置。
【請求項5】
前記開始条件設定手段は、
呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置で交通パターンの開始条件を時間条件、かつ、特定階床から登録された上方向及び下方向のいずれかの呼び登録数を一定数以上とした場合、
上方向及び下方向いずれかの呼び登録数の数が一定数以上、かつ、かご内荷重が一定の荷重値を満たした場合に交通パターンを切替える、請求項4に記載の群管理制御装置。
【請求項6】
前記開始条件設定手段は、
交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンで特定階床の呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置の場合、交通パターンの開始条件を時間条件かつ特定階床から登録された呼び登録数をカウントし、ある一定時間内に特定階床から特定の行先階呼びが一定数以上登録されると交通パターンを切替える、請求項3に記載の群管理制御装置。
【請求項7】
前記開始条件設定手段は、
呼び登録方法が前記乗場行先階登録装置であり、交通パターンの開始条件を時間条件、かつ、特定階床から登録された特定の行先階呼びの数が一定数以上とした場合、前記乗場行先階登録装置による特定の行先階呼びの数が一定数以上、かつ、かご内荷重が一定の荷重値を満たした場合に交通パターンを切替える、請求項6に記載の群管理制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、群管理制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数号機を有するエレベータシステムにおいて、乗場等に行先階の登録が可能な行先階登録装置と上下乗場呼びの登録が可能な上下呼び登録装置の両方が同一階に設置されるシステムがある。
【0003】
行先階登録装置と上下呼び登録装置は時間帯や利用者の人数等の所定条件下で切替可能に設定されている。従来では、両装置を切替えた際には、乗場における呼び登録方法のみが変化するシステムであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-141558号公報
【特許文献2】特開2013-216423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来システムでは、需要に応じて開始条件を満たすと実施するオペレーションを適切なタイミングで行うことができない。例えば、荷重条件による開始判定がある場合、行先階登録装置による登録では、行先階毎に号機が指定されるため、需要について呼びの登録モードを行先階登録モード及び上下方向登録モードは呼び登録がされた時点で把握することが可能である。しかし、乗客がかごに乗車し、荷重条件を満たした後では開始判定タイミングとしては遅いことになる。一方、上下乗場呼び登録装置の場合、上下方向の呼びに対しての需要が呼び登録時点では把握できないため、かごの荷重条件が一定値以上を満たした時点が最適な開始判定タイミングだと考えられる。従って、現在の呼び登録方法の切替では、荷重条件による開始判定の有り無しかの一方のみの適用しかできず、呼び登録方法別に最適な開始判定方法を選択することができないという不具合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、呼び登録方法別に最適な開始判定方法を選択することができる群管理制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための実施形態は、行先階登録装置または上下呼び登録装置から選択された呼び登録方法別に特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件を、特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみの場合と、時間条件と前記特定の時間帯に前記特定階床から出発した乗りかごの荷重がある一定数を超えると交通パターンを切替える荷重条件との2条件が成立した場合に切替えるかを判断する。乗場行先階登録装置が呼び登録方法として選択されている場合、特定階床からの需要が多い交通パターンの開始条件が特定の時間帯になると交通パターンを切替える時間条件のみでない場合には、特定の時間帯に荷重条件を満たすと交通パターンを切替える開始条件に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の群管理制御装置の構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図5】第3実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図6】第4実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図7】第5実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図8】第6実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図9】第7実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
《実施形態の構成》
図1は実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図である。
図2は実施形態の群管理制御装置の構成を示すブロック図である。なお、
図1、
図2に示すブロック図は、以下の第1実施形態~第7実施形態で共通に使用するものである。
【0010】
図1に示すように、エレベータシステム1は、群管理制御装置10と、この群管理制御装置10の管理下において、A号機を制御するA号機制御装置30Aと、B号機を制御するB号機制御装置30Bと、C号機を制御するC号機制御装置30Cとを備えている。A号機制御装置30Aは乗りかご40Aの運転制御を、B号機制御装置30Bは乗りかご40Bの運転制御を、C号機を制御するC号機制御装置30Cは乗りかご40Cの運転制御を実行する。各乗りかご40A,40B,40Cには、それぞれのかご荷重を検出する荷重センサ41A,41B,41Cが設置されている。
【0011】
また、各階の乗場には、乗場行先階登録装置51,52と、上下呼び登録装置61,62が設置されている。
【0012】
図2に示すように、群管理制御装置10は、行先階登録情報入力部11と、割当号機情報出力部12と、上下呼び登録情報入力部13と、上下呼び釦点灯情報出力部14と、乗場呼び登録方法判断部15とを備えている。また、群管理制御装置10は、割当制御部16と、呼び登録別交通パターン開始条件判断部17と、タイマ部18と、荷重信号入力部19と、割当切替部20と、割当指令出力部21とを備えている。
【0013】
行先階登録情報入力部11は、乗場行先階登録装置51,52からの行先階登録情報を入力する。
【0014】
割当号機情報出力部12は、割当号機情報を該当する乗場行先階登録装置51,52に出力する。
【0015】
上下呼び登録情報入力部13は、上下呼び登録装置61,62からの上下呼び情報を入力する。
【0016】
上下呼び釦点灯情報出力部14は、割当てられた号機であることを示す点灯情報を該当の上下呼び登録装置61,62に出力する。
【0017】
乗場呼び登録方法判断部15は、乗場呼び登録方法として乗場行先階登録装置51,52を使用するか、上下呼び登録装置61,62を使用するかを判断する。
【0018】
割当制御部16は、乗場行先階登録装置51,52から入力された行先階情報又は上下呼び登録装置61,62から入力された上下呼び情報に基づき、号機の割当制御を実施する。
【0019】
呼び登録別交通パターン開始条件判断部17は、予め設定されている複数の交通パターンの各開始条件を判断する。ここで、「交通パターン」とは、基準階(入口階)、食堂階、イベント会場階等の特別な階床毎に、時間帯に応じて、出勤時運転、退勤時運転、あるいは昼食時運転、イベント開始時運転、イベント終了時運転等の交通パターンを指す。「開始条件」とは、時間のみで交通パターンを切替える時間条件と、時間に加えてエレベータの需要を考慮した「時間+荷重」条件の2種類である。呼び登録別交通パターン開始条件判断部17では、交通パターンを時間帯だけで切替える時間条件、時間帯と荷重条件の双方を満たした場合に切替える「時間+荷重」条件によって開始条件を判断する。なお、荷重条件の判断には、荷重センサ41A,41B,41Cからの荷重信号に基づいている。しかし、荷重センサに限られず、カメラ画像に基づいて需要(号機の利用者数)を求めるようにしてもよい。また、本明細書では、荷重条件と需要条件とは同義語として扱う。
【0020】
タイマ部18は、予め設定された時間になると作動して時間データを呼び登録別交通パターン開始条件判断部17に出力する。
【0021】
荷重信号入力部19は、各号機の荷重を計測する荷重センサ41A,41B,41Cから荷重信号を入力して呼び登録別交通パターン開始条件判断部17に供給する。
【0022】
割当切替部20は、現在割当られている号機を、割当制御部16で新たに割当られた割当号機に切替える割当指令を生成する。
【0023】
割当指令出力部21は、割当てられた号機の号機制御装置に対して割当指令を出力する。
【0024】
《第1実施形態の処理手順》
図3は第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0025】
先ず、呼び登録方法を乗場行先階登録装置51,52または上下呼び登録装置61,62のいずれかから選択可能であるかどうかを判断する(ステップS1)。可能であれば、交通パターンの開始条件は時間条件のみであるかどうかを判断する(ステップS1YES、S2)。
【0026】
呼び登録方法を乗場行先階登録装置51,52または上下呼び登録装置61,62のいずれかから選択不可能である場合(ステップS1NO)、また、交通パターンの開始条件が時間条件のみである場合(ステップS2YES)には、指定した時間帯になったかどうかを判断する(ステップS3)。指定した時間帯になった場合には、指定した交通パターンに切替える(ステップS4)。指定した時間帯になるまでは、前回(現在)の交通パターンを継続する(ステップS5)。
【0027】
交通パターンの開始条件が時間条件のみでない場合(ステップS2NO)には、各交通パターン別に呼び登録方法、開始条件を確認し交通パターンを切替える(ステップS6)。
【0028】
第1実施形態によれば、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0029】
<第2実施形態>
第2実施形態では、交通パターンが特定階床からの需要が多い場合であり、呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52であれば、時間条件が成立した後、呼び登録方法が上下呼び登録装置61,62であれば、時間条件と荷重条件の2条件が成立した後、交通パターンを切替えるようにしている。
【0030】
《第2実施形態の処理手順》
図4は第2実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
交通パターンの開始条件は時間条件のみであるかどうかを判断する(ステップS11)。
【0032】
交通パターンの開始条件が時間条件のみである場合には(ステップS11YES)、指定した時間帯になったかどうかを判断する(ステップS12)。
【0033】
指定した時間帯になっている場合(ステップS12YES)、指定した交通パターンに切替える(ステップS13)。指定した時間帯になっていない場合には(ステップS12NO)、前回(現在)の交通パターンを継続する(ステップS14)。
【0034】
一方、交通パターンの開始条件が時間条件のみでない場合(ステップS11NO)、指定した交通パターンは特定の階床からの需要が多い交通パターンであるかどうかを判定する(ステップS15)。例えば、入口階における通勤時間帯、食堂階における昼食時間の後半時間等が考えられる。
【0035】
次いで、特定階の呼び登録方法は乗場行先階登録装置51,52であり、指定した時間帯になっている場合(ステップS16、S17)には、指定した交通パターンに切替える(ステップS18)。
【0036】
特定階の呼び登録方法は、乗場行先階登録装置51,52であり、指定した時間帯になっている場合(ステップS16、S17)には、指定した交通パターンに切替える(ステップS18)。指定した時間帯が到来するまでは、前回(現在)の交通パターンを継続する(ステップS19)。
【0037】
一方、特定階の呼び登録方法は乗場行先階登録装置51,52でない場合、すなわち、上下呼び登録装置61,62である場合には、指定された時間が到来するまでは、前回(現在)の交通パターンを継続する(ステップS20NO、S19)。
【0038】
指定された時間が到来すると、指定した荷重条件が成立しているかどうかを判定する(ステップS20、S21)。荷重条件が成立している場合には、指定した交通パターンに切替える(ステップS22)。荷重条件が成立していない場合には、前回(現在)の交通パターンを継続する(ステップS19)。
【0039】
このように、第2実施形態によれば、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0040】
<第3実施形態>
第3実施形態では、荷重条件を見るのではなく、乗場行先階登録装置51,52の行先階登録情報に基づいて、需要を判断し、時間条件+乗場行先階登録装置51,52による需要判断条件を確認し、条件成立後に指定した交通パターンに切替えるようにしている。
【0041】
《第3実施形態の処理手順》
図5は第3実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
第3実施形態も、交通パターンの開始条件が「時間条件のみ」でない場合(ステップS31NO)の処理である。交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり(ステップS35)、かつ、特定階床の呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52の場合(ステップS36)の処理である。
【0043】
指定した時間帯が到来すると(ステップS37YES)、乗場行先階登録装置51,52の行先階登録情報から判断可能な需要の情報を用いて、時間条件+乗場行先階登録装置51,52による需要判断条件を確認し、条件成立後に指定した交通パターンに切替える(ステップS38、S39)。なお、他の処理は第2実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0044】
第3実施形態によれば、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0045】
<第4実施形態>
第4実施形態では、乗場行先階登録装置51,52の行先階登録情報から一定時間内の上方向、下方向の登録数に基づいて交通パターンを選択するようにしている。
【0046】
《第4実施形態の処理手順》
図6は第4実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
第4実施形態も、交通パターンの開始条件が「時間条件のみ」でない場合(ステップS51NO)の処理である。交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり(ステップS55)、かつ、特定階床の呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52の場合(ステップS56)の処理である。
【0048】
指定した時間帯が到来すると(ステップS57YES)、特定階床から登録された呼び登録数をカウントする。そして、ある一定時間内に特定階床からの交通パターンに応じた上方向及び下方向のいずれかの呼びが一定数以上登録された場合(ステップS58)、指定された交通パターンに切替える(ステップS59)。他の処理は第2実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0049】
第4実施形態によれば、乗場行先階登録装置51,52による呼び登録が選択されている場合、特定の階床からの呼び登録数を計数し、時間条件が成立後、一定時間単位内において特定の階床からの上方向、下方向の何れかの呼び登録数が一定数以上、登録された場合には、上下呼び登録装置61,62による呼び登録に切り替えるようにした。
【0050】
このため、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0051】
<第5実施形態>
第5実施形態では、乗場行先階登録装置51,52の行先階登録情報から一定時間内の上方向、下方向の登録数に基づいて交通パターンを選択した場合の不具合を解消するものである。すなわち、誤登録やいたずら等により、登録数が多くなった場合に交通パターンを切替えると適切なサービスができない。そこで、一定時間内の上方向、下方向の登録数に加えて、かご内荷重をも考慮したものである。
【0052】
《第5実施形態の処理手順》
図7は第5実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
第5実施形態も、交通パターンの開始条件が「時間条件のみ」でない場合(ステップS71NO)の処理である。交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり(ステップS75)、かつ、特定階床の呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52の場合(ステップS76)の処理である。
【0054】
指定した時間帯が到来すると(ステップS77YES)、特定階での上方向又は下方向、いずれかの呼び登録数が一定数以上であり、かつ、かご内荷重が一定の荷重値を満たした場合(ステップS78、S79)、指定した交通パターンを切替える(ステップS80)。他の処理は第2実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0055】
第5実施形態によれば、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。また、乗場行先階登録装置51,52による誤登録にて呼び登録数が一定数以上となった場合についても交通パターンを切替える不具合を未然に防止できる。
【0056】
<第6実施形態>
第6実施形態では、上方向、下方向に限らず、全ての行先階登録数に基づいて交通パターンを切替えるかを判定する。
【0057】
《第6実施形態の処理手順》
図8は第6実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
第6実施形態も、交通パターンの開始条件が「時間条件のみ」でない場合(ステップS91NO)の処理である。交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり(ステップS95)、かつ、特定階床の呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52の場合(ステップS96)の処理である。
【0059】
指定した時間帯が到来すると(ステップS97YES)、特定階から登録された特定の行先階への呼び登録数が指定した一定数以上である場合(ステップS98)、指定された交通パターンに切替える(ステップS99)。他の処理は第2実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0060】
第6実施形態によれば、特定の階床からの呼び登録数を計数し、時間条件が成立後、一定時間単位内において特定の階床への呼び登録数が一定数以上、登録された場合には、上下呼び登録装置61,62による呼び登録に切り替えるようにした。このため、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0061】
<第7実施形態>
第7実施形態では、乗場行先階登録装置51,52による誤登録により、呼び登録が一定数以上となった場合の交通パターンの切替を抑制するものである。
【0062】
《第7実施形態の処理手順》
図9は第7実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
第7実施形態も、交通パターンの開始条件が「時間条件のみ」でない場合(ステップS111NO)の処理である。交通パターンの種類が特定階床からの需要が多い交通パターンであり(ステップS115)、かつ、特定階床の呼び登録方法が乗場行先階登録装置51,52の場合(ステップS116)の処理である。
【0064】
指定した時間帯が到来すると(ステップS117YES)、特定階から登録された特定の行先階への呼び登録数が指定した一定数以上であり、かつ、かご内荷重が一定の荷重値を満たした場合(ステップS118、S119)、指定された交通パターンに切替える(ステップS120)。他の処理は第2実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0065】
第7実施形態によれば、誤登録による切替を抑制しつつ、適切なタイミングで交通パターンを切替えることができる。
【0066】
<他の実施形態>
《他の形態1》
学習により、過去の乗場行先階登録装置51,52又は上下呼び登録装置61,62の使用状況を確認する。
【0067】
(1)乗場行先階登録装置51,52の使用時であれば、過去の登録個数をチェックし、一定数以上であれば時間のみで開始する。
【0068】
(2)上下呼び登録装置61,62の使用時であれば、出勤時運転中のかご内荷重値をチェックし、一定値以上であれば、時間のみで開始する。一定値以下であれば、時間条件成立後に荷重条件のチェックを実施する。
【0069】
《他の形態2》
乗場行先階登録装置51,52又は上下呼び登録装置61,62のどちらを使用しているかによらず、ある交通パターンの開始時間から数分内に特定の階床から出発した際の各かご内の荷重の平均ないし合計値を計数する。次いで、需要判定を行い、需要に応じて運転パターンの開始条件を時間条件のみとするか時間条件+荷重条件にするかを切替える。
【0070】
《他の形態3》
ある運転パターンの開始時間から数分内に特定階床から出発した際のかご内の荷重平均又は合計値を計数し、係数値に基づき需要判定を行う。需要に応じて運転パターンの開始条件を「時間条件のみ」とするか、「時間条件+荷重条件」にするかを切替える。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…エレベータシステム、10…群管理制御装置、11…行先階登録情報入力部、12…割当号機情報出力部、13…上下呼び登録情報入力部、14…上下呼び釦点灯情報出力部、15…乗場呼び登録方法判断部、16…割当制御部、17…呼び登録別交通パターン開始条件判断部(切替条件判断手段、開始条件設定手段)、18…タイマ部、19…荷重信号入力部、20…割当切替部、21…割当指令出力部、30A…A号機制御装置、30B…B号機制御装置、30C…C号機制御装置、40A…A号機乗りかご、40B…B号機乗りかご、40C…C号機乗りかご、41A,41B,41C…荷重センサ、51,52…乗場行先階登録装置、61,62…上下呼び登録装置