(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094547
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】家庭用空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/47 20180101AFI20220620BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20220620BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220620BHJP
F25B 31/00 20060101ALI20220620BHJP
F25B 41/24 20210101ALI20220620BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20220620BHJP
F25B 41/26 20210101ALI20220620BHJP
【FI】
F24F11/47
F24F11/86
F25B1/00 361L
F25B1/00 361P
F25B1/00 101Z
F25B31/00 A
F25B41/04 A
F25B49/02 510A
F25B49/02 510B
F25B49/02 510C
F25B41/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207498
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA41
3L260CA32
3L260CB03
3L260CB08
3L260FB04
(57)【要約】
【課題】省エネルギー化がし易い家庭用空気調和機を得る。
【解決手段】実施形態に係る家庭用空気調和機は、室外熱交換器と、室内熱交換器と、配管と、インバータ回路と、第1の圧縮機と、第2の圧縮機と、戻し配管と、弁と、制御装置と、備える。配管は、室外熱交換器と室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第1の圧縮機は、インバータ回路により圧縮能力が制御される。第2の圧縮機は、一定の圧縮能力で動作する。戻し配管は、第2の圧縮機から吐出された冷媒の一部を室外熱交換器及び室内熱交換器を介さずに第2の圧縮機に戻すことが可能である。弁は、戻し配管中を冷媒が流れることを可能にする開弁状態と、戻し配管における冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切替可能である。制御装置は、インバータ回路を介して第1の圧縮機を制御するとともに、第2の圧縮機と弁とを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器と、
室内熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる配管と、
インバータ回路と、
前記配管に設けられ、前記インバータ回路により圧縮能力が制御される第1の圧縮機と、
前記配管に前記第1の圧縮機と並列に設けられ、前記インバータ回路により制御されずに一定の圧縮能力で動作する第2の圧縮機と、
前記第2の圧縮機の外側に位置され、前記配管に接続され、前記第2の圧縮機から吐出された前記冷媒の一部を前記室外熱交換器及び前記室内熱交換器を介さずに前記第2の圧縮機に戻すことが可能な戻し配管と、
前記戻し配管に設けられ、前記戻し配管中を前記冷媒が流れることを可能にする開弁状態と、前記戻し配管における前記冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切替可能な弁と、
前記インバータ回路を介して前記第1の圧縮機を制御するとともに、前記第2の圧縮機と前記弁とを制御する制御装置と、
を備える家庭用空気調和機。
【請求項2】
前記制御装置は、室温の温度調整に要求される要求能力が最も高い能力を含む第1の能力の場合には、前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機を動作させ、前記弁を閉弁状態にし、前記要求能力が、前記第1の能力と前記第1の能力よりも小さい第2の能力との間の第3の能力の場合には、前記第1の圧縮機を停止させ、前記第2の圧縮機を動作させ、前記弁を開弁状態にする、請求項1に記載の家庭用空気調和機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2の能力の場合には、前記第1の圧縮機を動作させ、前記第2の圧縮機を停止させ、前記弁を閉弁状態とする、請求項2に記載の家庭用空気調和機。
【請求項4】
外気温を測定する第1の温度センサと、
前記配管における前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機の上流側の前記冷媒の温度を測定する第2の温度センサと、
前記室外熱交換器中の前記冷媒の温度を測定する第3の温度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記第1の温度センサによって測定された外気温が所定温度以下、かつ前記第2の温度センサによって測定された前記冷媒の温度から前記第3の温度センサによって測定された前記冷媒の温度を減算した温度が閾値以下の場合には、前記要求能力に拘わらず前記弁を開弁状態とする、請求項2または3に記載の家庭用空気調和機。
【請求項5】
前記所定温度は、0℃である、請求項4に記載の家庭用空気調和機。
【請求項6】
前記配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁を備え、
前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機は、それぞれ、前記冷媒を吸引する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有し、
前記配管は、前記室外熱交換器と前記四方弁とを接続した第1の領域と、前記四方弁と前記第1の圧縮機の前記吸入口及び前記第2の圧縮機の前記吸入口とを接続した第2の領域と、前記第1の圧縮機の前記吐出口及び前記第2の圧縮機の前記吐出口と前記四方弁とを接続した第3の領域と、前記四方弁と前記室内熱交換器とを接続した第4の領域と、を有し、
前記戻し配管は、前記第3の領域に接続された入口と、前記第2の領域に接続された出口と、を有する、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の家庭用空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、家庭用空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用エアコンディショナのような家庭用空気調和機として、インバータ回路により制御される1台の圧縮機を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の家庭用空気調和機では、省エネルギー化がし易ければ有益である。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、省エネルギー化がし易い家庭用空気調和機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る家庭用空気調和機は、室外熱交換器と、室内熱交換器と、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる配管と、インバータ回路と、前記配管に設けられ、前記インバータ回路により圧縮能力が制御される第1の圧縮機と、前記配管に前記第1の圧縮機と並列に設けられ、前記インバータ回路により制御されずに一定の圧縮能力で動作する第2の圧縮機と、前記第2の圧縮機の外側に位置され、前記配管に接続され、前記第2の圧縮機から吐出された前記冷媒の一部を前記室外熱交換器及び前記室内熱交換器を介さずに前記第2の圧縮機に戻すことが可能な戻し配管と、前記戻し配管に設けられ、前記戻し配管中を前記冷媒が流れることを可能にする開弁状態と、前記戻し配管における前記冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切替可能な弁と、前記インバータ回路を介して前記第1の圧縮機を制御するとともに、前記第2の圧縮機と前記弁とを制御する制御装置と、備える。
【0007】
上記家庭用空気調和機では、例えば、前記制御装置は、室温の温度調整に要求される要求能力が最も高い能力を含む第1の能力の場合には、前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機を動作させ、前記弁を閉弁状態にし、前記要求能力が、前記第1の能力と前記第1の能力よりも小さい第2の能力との間の第3の能力の場合には、前記第1の圧縮機を停止させ、前記第2の圧縮機を動作させ、前記弁を開弁状態にする。
【0008】
上記家庭用空気調和機では、例えば、前記制御装置は、前記第2の能力の場合には、前記第1の圧縮機を動作させ、前記第2の圧縮機を停止させ、前記弁を閉弁状態とする。
【0009】
上記家庭用空気調和機は、例えば、外気温を測定する第1の温度センサと、前記配管における前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機の上流側の前記冷媒の温度を測定する第2の温度センサと、前記室外熱交換器中の前記冷媒の温度を測定する第3の温度センサと、を備え、前記制御装置は、前記第1の温度センサによって測定された外気温が所定温度以下、かつ前記第2の温度センサによって測定された前記冷媒の温度から前記第3の温度センサによって測定された前記冷媒の温度を減算した温度が閾値以下の場合には、前記要求能力に拘わらず前記弁を開弁状態とする。
【0010】
上記家庭用空気調和機では、例えば、前記所定温度は、0℃である。
【0011】
上記家庭用空気調和機は、例えば、前記配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁を備え、前記第1の圧縮機及び前記第2の圧縮機は、それぞれ、前記冷媒を吸引する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有し、前記配管は、前記室外熱交換器と前記四方弁とを接続した第1の領域と、前記四方弁と前記第1の圧縮機の前記吸入口及び前記第2の圧縮機の前記吸入口とを接続した第2の領域と、前記第1の圧縮機の前記吐出口及び前記第2の圧縮機の前記吐出口と前記四方弁とを接続した第3の領域と、前記四方弁と前記室内熱交換器とを接続した第4の領域と、を有し、前記戻し配管は、前記第3の領域に接続された入口と、前記第2の領域に接続された出口と、を有する。
【0012】
以上の家庭用空気調和機によれば、例えば、省エネルギー化がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る暖房運転時の家庭用空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の冷房運転時の家庭用空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の家庭用空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の家庭用空気調和機における要求能力と各部の動作パターンとの関係を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の家庭用空気調和機の運転制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の家庭用空気調和機の容量調整弁割込制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の家庭用空気調和機における要求能力と各部の動作パターンとの関係を示す図である。
【
図8】
図8は、第1及び第2の実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該構成要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る暖房運転時の家庭用空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。家庭用空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。家庭用空気調和機10は、主に家庭に設置される。
【0016】
図1に示すように、家庭用空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。本実施形態においては、室外機11と室内機12とが一対一に設けられている。室外機11は、空気との間で熱交換可能な装置の一種であり、例えば、屋外に配置される。室内機12は、空気との間で熱交換可能な装置の一種であり、例えば、屋内に配置される。
【0017】
家庭用空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、第1の圧縮機23Aと、第2の圧縮機23Bと、アキュムレータ24A,24Bと、弁43A,43Bと、四方弁25と、減圧器26と、インバータ回路27(
図3)とを有する。室内機12は、室内熱交換器31と、室内送風ファン32とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管41と、第2の配管42とを有する。第1の配管41と第2の配管42とは、配管40を構成する。第1の配管41は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続する。第1の圧縮機23A、第2の圧縮機23B、アキュムレータ24A,24B、弁43A,43B、及び四方弁25は、第1の配管41に設けられる。第2の配管42は、室内熱交換器31と室外熱交換器21とを接続する。減圧器26は、第2の配管42に設けられる。
【0020】
暖房運転において、冷媒は、第1の配管41を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第2の配管42を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。
図1の実線の矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示す。
【0021】
図2は、本実施形態の冷房運転時の家庭用空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。
図2に示すように、冷房運転において、冷媒は、第2の配管42を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第1の配管41を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。
図2の実線の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示す。
【0022】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、又は凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に向かって送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0023】
室外熱交換器21は、例えば、内部に微小な冷媒流路を複数形成された扁平多穴管を伝熱管として有する、いわゆるマイクロチャネル熱交換器の熱交換機である。室外熱交換器21は、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器であっても良いし、他の種類の熱交換機であっても良い。
【0024】
第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、配管40における第1の配管41に並列に設けられる。第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、それぞれ、吸入口23Aa,23Baと、吐出口23Ab,23Bbとを有する。第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、それぞれ、吸入口23Aa,23Baから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23Ab,23Bbから吐出する。これにより、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。第1の圧縮機23Aは、インバータ回路27(
図3)のインバータ制御により運転周波数を変更可能である。すなわち、第1の圧縮機23Aは、冷媒の圧縮能力をインバータ回路27によって制御される。第1の圧縮機23Aは、DCインバータ圧縮機である。第2の圧縮機23Bは、定速回転機であり、インバータ回路27により制御されずに一定の圧縮能力で動作する。第2の圧縮機23Bは例えば、定速型のAC圧縮機である。
【0025】
アキュムレータ24A,24Bは、それぞれ、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吸入口23Aa,23Baに接続される。アキュムレータ24A,24Bは、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離する。これにより、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、アキュムレータ24A,24Bを通過した気体状の冷媒を吸入口23Aa,23Baから吸入することができる。すなわち、アキュムレータ24A,24Bは、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに液体状の冷媒が流入するのを抑制する。冷媒配管13が長くなるほど冷媒量が多くなるので、アキュムレータ24A,24Bが設けられていない場合には、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに液体状の冷媒が流入する可能性が高くなりやすい。そこで、本実施形態では、上記のとおりにアキュムレータ24A,24Bを設けて、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに液体状の冷媒が流入するのを抑制している。
【0026】
弁43A,43Bは、それぞれ、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bbの下流の位置で吐出口23Ab,23Bbに接続される。弁43A,43Bは、吐出口23Ab,23Bbから下流への冷媒の移動を許容し、吐出口23Ab,23Bbの上流からの冷媒の吐出口23Ab,23Bbへの移動を制限する。弁43A,43Bは、例えば、逆止弁である。なお、弁43A,43Bは、他の弁であってもよい。
【0027】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器31と、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bbと、アキュムレータ24A,24Bとに接続される。すなわち、四方弁25は、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吸入口23Aa,23Baにアキュムレータ24A,24Bを介して接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器31、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bb、及びアキュムレータ24A,24Bのそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0028】
図1に示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24A,24Bとを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31と第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bbとを接続する。これにより、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bで圧縮された冷媒が室内熱交換器31へ流れ、室外熱交換器21で蒸発した冷媒がアキュムレータ24A,24Bへ流れる。
【0029】
図2に示すように、冷房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21と第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bbとを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31とアキュムレータ24A,24Bとを接続する。これにより、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bで圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器31で蒸発した冷媒がアキュムレータ24A,24Bへ流れる。
【0030】
減圧器26は、例えば、電磁膨張弁である。なお、減圧器26は、他の減圧器であっても良い。減圧器26としての電磁膨張弁は、例えば、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吸入口23Aa,23Baの温度又は圧力に応じて開度を制御され、通過する冷媒の量を調節する。
【0031】
インバータ回路27は、第1の圧縮機23Aをインバータ制御し、第1の圧縮機23Aの運転周波数を変更する。インバータ回路27は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路27は、この例に限られない。
【0032】
室内機12の室内熱交換器31は、例えば、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器である。室内熱交換器31は、他の種類の熱交換器であっても良い。室内熱交換器31は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、又は凝縮器として放熱する。
【0033】
室内送風ファン32は、室内熱交換器31に向かって送風し、室内熱交換器31と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン32は、室内熱交換器31と熱交換する気流を生成する。
【0034】
以上のように各要素が配置された家庭用空気調和機10において、第1の配管41は、第1の領域41aと、第2の領域41bと、第3の領域41cと、第4の領域41dとを有する。
【0035】
第1の領域41aは、室外熱交換器21と四方弁25との間における第1の配管41の一部である。
【0036】
第2の領域41bは、四方弁25と第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吸入口23Aa,23Baとの間における第1の配管の一部である。詳細には、第2の領域41bは、第1の部分41baと、第2の部分41bbと、第3の部分41bcと、分岐点41bdとを有する。第1の部分41baは、四方弁25と分岐点41bdとの間における第2の領域41bの部分である。第2の部分41bbは、分岐点41bdと第1の圧縮機23Aの吸入口23Aaとの間における第2の領域41bの部分である。第3の部分41bcは、分岐点41bdと第2の圧縮機23Bの吸入口23Baとの間における第2の領域41bの部分である。
【0037】
第3の領域41cは、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Ab,23Bbと四方弁25との間における第1の配管41の一部である。詳細には、第3の領域41cは、第1の部分41caと、第2の部分41cbと、第3の部分41ccと、合流点41cdとを有する。第1の部分41caは、第1の圧縮機23Aの吐出口13Abと合流点41cdとの間における第3の領域41cの部分である。第2の部分41cbは、第2の圧縮機23Bの吐出口13Bbと合流点41cdとの間における第3の領域41cの部分である。第3の部分41ccは、合流点41cdと四方弁25との間における第3の領域41cの部分である。
【0038】
第4の領域41dは、四方弁25と室内熱交換器31との間における第1の配管41の一部である。
【0039】
第2の配管42は、第5の領域42aと、第6の領域42bとを有する。第5の領域42aは、室内熱交換器31と減圧器26との間における第2の配管42の一部である。第6の領域42bは、減圧器26と室外熱交換器21との間における第2の配管42の一部である。
【0040】
本実施形態の室外機11は、戻し部51と、温度センサ54~57とをさらに有する。
【0041】
戻し部51は、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの外側に配置されている。戻し部51は、戻し配管52と、容量調整弁53と、を有する。戻し部51は、戻し回路やアンロード回路とも称される。
【0042】
戻し配管52は、第1の配管41に接続される。戻し配管52は、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部を室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第2の圧縮機23Bに戻すことが可能である。また、戻し配管52は、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部を室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第1の圧縮機23Aに供給することが可能である。また、戻し配管52は、第1の圧縮機23Aから吐出された冷媒の一部を室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに供給することが可能である。戻し配管52は、第3の領域41cの第3の部分41ccに接続された入口52aと、第2の領域41bの第1の部分41baに接続された出口52bと、を有する。戻し配管52は、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。
【0043】
容量調整弁53は、戻し配管52に設けられる。容量調整弁53は、例えば、電磁膨張弁である。なお、容量調整弁53は、他の弁であっても良い。容量調整弁53は、弁の一例である。
【0044】
容量調整弁53は、入口53a及び出口53bから離間した位置で、戻し配管52に設けられる。なお、容量調整弁53は、入口53a又は出口53bの近傍に位置しても良い。
【0045】
容量調整弁53は、制御に応じて開弁状態と閉弁状態とに切り替え可能である。開弁状態は開弁状態の一例である。閉弁状態は閉弁状態の一例である。開弁状態の容量調整弁53は、開かれており、戻し配管52中を冷媒が流れることを可能にする。閉弁状態の容量調整弁53は、閉じられており、戻し配管52における冷媒の流れを遮断する。
【0046】
容量調整弁53、単に開閉可能であっても良いし、冷媒の流量を段階的又は連続的に調節可能であっても良い。言い換えると、容量調整弁53、戻し配管52を流れる冷媒の量を調節する。
【0047】
温度センサ54は、室外機11に設けられ、外気温を測定する。温度センサ54は、第1の温度センサの一例である。温度センサ55は、室外熱交換器21に設けられ、室外熱交換器21中の冷媒の温度を測定する。温度センサ56は、第3の温度センサの一例である。温度センサ56は、室外機11に設けられ、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度を測定する。温度センサ56は、第2の温度センサの一例である。温度センサ57は、室内機12に設けられ、室内機12の温度を測定する。例えば、温度センサ55,56は、冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。
【0048】
制御装置14は、例えば、室外制御装置61と、室内制御装置62とを有する。室外制御装置61と室内制御装置62とは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置61及び室内制御装置62のうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置61及び室内制御装置62のいずれか一方を有しても良い。
【0049】
室外制御装置61は、室外機11の室外送風ファン22、第1の圧縮機23A、第2の圧縮機23B、四方弁25、減圧器26、インバータ回路27、及び容量調整弁53を制御する。室内制御装置62は、室内機12の室内送風ファン32を制御する。制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、家庭用空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、及び他の運転を行う。室内制御装置62は、例えば、リモートコントローラから運転に関する指示の信号が入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から運転に関する信号が入力されても良い。運転に関する指示は、目標温度としての設定温度の指示や、各運転の開始及び停止の指示等を含む。
【0050】
図3は、本実施形態の家庭用空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の家庭用空気調和機10は、第2の圧縮機駆動回路72と、弁駆動回路73とをさらに有する。
【0051】
第2の圧縮機駆動回路72は、第2の圧縮機23Bの駆動回路である。弁駆動回路73は、容量調整弁53の駆動回路である。
【0052】
制御装置14は、インバータ回路27、温度センサ54~57、第2の圧縮機駆動回路72、及び弁駆動回路73に接続される。制御装置14は、温度取得部81と、運転切替部82と、第1の圧縮機制御部83と、第2の圧縮機制御部84と、弁制御部86とを備える。
【0053】
温度取得部81は、温度センサ54~57を用いて、外気温と、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度と、室外熱交換器21中の冷媒の温度と、室内機12の温度を取得する。例えば、温度取得部81は、温度センサ54~57の出力信号から、上記温度を算出する。運転切替部82は、家庭用空気調和機10における冷房運転と、暖房運転とを切り替える。
【0054】
第1の圧縮機制御部83は、第1の圧縮機23Aを制御する。例えば、第1の圧縮機制御部83は、インバータ回路27を制御することで、インバータ制御により第1の圧縮機23Aの運転周波数を制御する。
【0055】
第2の圧縮機制御部84は、第2の圧縮機23Bを制御する。例えば、第2の圧縮機制御部84は、第2の圧縮機駆動回路72を制御することで、第2の圧縮機23Bを制御する。
【0056】
弁制御部86は、容量調整弁53を制御する。例えば、弁制御部86は、弁駆動回路73を制御することで、容量調整弁53のアクチュエータを駆動し、容量調整弁53を開弁状態と閉弁状態との間で切り替える。
【0057】
図4は、本実施形態の家庭用空気調和機10における要求能力と各部の動作パターンとの関係を示す図である。制御装置14は、家庭用空気調和機10における要求能力に応じて、第1の圧縮機23A、第2の圧縮機23B、及び戻し部51の動作を制御する。要求能力は、室外熱交換器21中の冷媒の温度が要求温度(設定温度)に達するために必要な、家庭用空気調和機10の能力である。要求能力は、要求温度と室外熱交換器21中の冷媒の温度との差温に基づく。
【0058】
要求能力には、例えば、「0」、「低能力」、「中間能力」、「高能力」、及び「超高能力」がある。要求能力は、「0」、「低能力」、「中間能力」、「高能力」、「超高能力」の順に、要求温度と室外熱交換器21中の冷媒の温度との差温が大きくなる。すなわち、「0」、「低能力」、「中間能力」、「高能力」、「超高能力」の順に家庭用空気調和機10の負荷が大きくなる。「低能力」、「中間能力」、「高能力」、「超高能力」は、それぞれ、低負荷、中間負荷、高負荷、超高負荷に対応する。ここで、「高能力」または「超高能力」は、例えば定格負荷に対応する。なお、各能力に対応する差温は、所定の範囲を持っていてよい。
【0059】
要求能力が「0」の場合には、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの両方が停止であり、戻し部51の容量調整弁53は、閉弁状態(
図4ではOFF)である。このとき、第1の圧縮機23Aの停止は、第1の圧縮機23Aの運転周波数が「0Hz」とされることで実現されてよい。
【0060】
要求能力が「低能力」の場合には、第1の圧縮機23Aが運転であり、第2の圧縮機23Bは停止であり、戻し部51の容量調整弁53は閉弁状態(
図4ではOFF)である。このとき、第1の圧縮機23Aは、所定の周波数の範囲で運転される。
【0061】
要求能力が「中間能力」である場合には、第1の圧縮機23Aが停止であり、第2の圧縮機23Bは運転であり、戻し部51の容量調整弁53は開弁状態(
図4ではON)である。このとき、容量調整弁53の開度は、要求能力に応じて適宜調整されてよい。
【0062】
要求能力が「高能力」または「超高能力」の場合には、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bが運転であり、容量調整弁53は閉弁状態(
図4ではOFF)である。このとき、第1の圧縮機23Aは、所定の周波数の範囲で運転される。
【0063】
図5は、本実施形態の家庭用空気調和機10の運転制御の一例を示すフローチャートである。以下に、本実施形態の家庭用空気調和機10の運転制御の一例について説明する。なお、家庭用空気調和機10の運転制御は、以下に説明される例に限られない。以下の説明では、暖房運転時又は冷房運転時における各部の運転制御の例である。
【0064】
図5に示すように、まず、例えば、温度取得部81が、温度センサ54~57を用いて、外気温、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度及び室外熱交換器21中の冷媒の温度を取得する(S101)。
【0065】
次に、運転切替部82が、要求能力を判定する(S102)。運転切替部82は、要求温度と、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度との差温に基づいて、要求能力を判定する。
【0066】
運転切替部82が、要求能力は「0」であると判定した場合(S103:Yes)、
図4及び
図5に示すように、第1の圧縮機制御部83が、第1の圧縮機23Aを停止させ、第2の圧縮機制御部84が、第2の圧縮機23Bを停止させ、弁制御部86が、容量調整弁53を閉弁状態(
図4ではOFF)にする(S104)。これにより、冷媒は冷媒配管13中を移動しない。
【0067】
運転切替部82が、要求能力は「0」でなく(S103:No)、要求能力は「低能力」であると判定した場合(S105:Yes)、
図4及び
図5に示すように、第1の圧縮機制御部83が、第1の圧縮機23Aを運転することにより動作させる(S106)。また、S106において、第2の圧縮機制御部84が、第2の圧縮機23Bを停止させる。また、S106において、弁制御部86が、容量調整弁53を閉弁状態(
図4ではOFF)にする。これにより、第1の圧縮機23Aの動作によって冷房運転または暖房運転が行われる。このとき、第1の圧縮機23Aから吐出された冷媒は、第1の配管41の第3の領域41cにおける第1の部分41caから、第3の部分41ccを経て、四方弁25に至る。また、このとき、容量調整弁53が閉弁状態であるので、冷媒は、戻し配管52には流れない。
【0068】
運転切替部82が、要求能力は「低能力」でなく(S105:No)、要求能力は「中間能力」であると判定した場合(S107:Yes)、
図4及び
図5に示すように、第1の圧縮機制御部83が、第1の圧縮機23Aを停止させ、第2の圧縮機制御部84が、第2の圧縮機23Bを運転することにより動作させ、弁制御部86が、容量調整弁53を開弁状態(
図4ではON)にする(S108)。これにより、第2の圧縮機23Bの動作によって冷房運転または暖房運転が行われる。このとき、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部は、第1の配管41の第3の領域41cにおける第2の部分41cbから、第3の部分41ccを経て、四方弁25に至る。このとき、容量調整弁53が開弁状態であるので、第3の部分41ccに流入した冷媒の一部は、戻し配管52の入口52aから戻し配管52に流入し、戻し配管52を通って、戻し配管52の出口52bから、第1の配管41の第2の領域41bにおける第1の部分41baに流出する。第1の部分41baに流出した冷媒は、第2の部分41bbは及びアキュムレータ24Bを経て第2の圧縮機23Bの吸入口23Baに至り、第2の圧縮機23Bに吸入される。すなわち、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部が、室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第2の圧縮機23Bに戻る。
図1及び
図2の点線の矢印は、戻し配管52における冷媒の流れを示す。
【0069】
運転切替部82が、要求能力は「中間能力」でない、すなわち要求能力は「高能力」または「超高能力」であると判定した場合(S107:No)、
図4及び
図5に示すように、第1の圧縮機制御部83が、第1の圧縮機23Aを運転することにより動作させ、第2の圧縮機制御部84が、第2の圧縮機23Bを運転することにより動作させ、弁制御部86が、容量調整弁53を閉弁状態(
図4ではOFF)にする。これにより、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの動作によって冷房運転または暖房運転が行われる。このとき、第1の圧縮機23Aから吐出された冷媒は、第1の配管41の第3の領域41cにおける第1の部分41caから、第3の部分41ccを経て、四方弁25に至る。また、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒は、第1の配管41の第3の領域41cにおける第2の部分41cbから、第3の部分41ccを経て、四方弁25に至る。このとき、容量調整弁53が閉弁状態であるので、冷媒は、戻し配管52には流れない。
【0070】
また、運転切替部82は、運転を終了するか否かを判定する(S110)。運転切替部82は、所定の終了操作が行われた場合に、運転を終了すると判定する(S110:Yes)。運転切替部82が運転を終了しないと判定しない場合には(S110:Nо)、S101~109の処理が繰り返し実行される。
【0071】
以上のように、制御装置14は、室温の温度調整に要求される要求能力が最も高い能力を含む第1の能力(一例として、高能力及び超高能力とによって構成される能力)の場合には、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bを動作させ、容量調整弁53を閉弁状態にする。制御装置14は、要求能力が、第1の能力と第1の能力よりも小さい第2の能力(一例として低能力)との間の第3の能力(一例として中間能力)の場合には、第1の圧縮機23Aを停止させ、第2の圧縮機23Bを動作させ、容量調整弁53を開弁状態にする。制御装置14は、第2の能力の場合には、第1の圧縮機23Aを動作させ、第2の圧縮機23Bを停止させ、容量調整弁53を閉弁状態とする。なお、要求能力の変動が激しい場合には、第2の圧縮機23Bを停止し、第1の圧縮機23Aだけで運転してもよい。
【0072】
図6は、第1の実施形態の家庭用空気調和機10の容量調整弁割込制御の一例を示すフローチャートである。次に、容量調整弁割込制御について説明する。容量調整弁割込制御は、上記の運転制御が行われている場合に、運転制御に割り込んで容量調整弁53の制御を行う制御である。
【0073】
図6に示すように、まず、例えば、温度取得部81が、温度センサ54~57を用いて、外気温、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度及び室外熱交換器21中の冷媒の温度を取得する(S201)。
【0074】
次に、弁制御部86が、外気温が所定温度以下、具体的には0℃以下か否かを判定する(S202)。なお、上記判定における所定温度は、0℃以外であってもよい。弁制御部86は、外気温が0℃以下であると判定した場合(S202)、S203に進む。S203において、弁制御部86は、第1の配管41における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度(以後、圧縮機戻り温度Suとも称する)から室外熱交換器21の冷媒の温度(以後、熱交換器中間温度C1とも称する)を減算した温度である差温SHが閾値以下であるか否かを判定する。閾値は、例えば1℃である。なお、閾値は、上記以外であってもよい。弁制御部86は、差温SHが閾値以下の場合には(203:Yes)、要求能力に拘わらず容量調整弁53を開弁状態とする。これにより、冷媒が戻し配管52を流れる。
【0075】
弁制御部86は、S202において外気温が0℃より大きいと判定した場合(S102:Nо)と、S203において差温SHが閾値よりも大きいと判定した場合には(S203:Nо)、容量調整弁53を要求能力に応じた開閉状態(開弁状態、閉弁状態)にする(S206)。
【0076】
また、弁制御部86は、処理を終了するか否かを判定する(S205)。弁制御部86は、所定の終了操作が行われた場合に、運転を終了すると判定する(S205:Yes)。弁制御部86が運転を終了しないと判定しない場合には(S205:Nо)、S201~206の処理が繰り返し実行される。
【0077】
以上のように、本実施形態では、家庭用空気調和機10は、室外熱交換器21と、室内熱交換器31と、配管40と、インバータ回路27と、第1の圧縮機23Aと、第2の圧縮機23Bと、戻し配管52と、容量調整弁53(弁)と、制御装置14と、備える。配管40は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続し、冷媒が流れる。第1の圧縮機23Aは、配管40に設けられ、インバータ回路27により圧縮能力が制御される。第2の圧縮機23Bは、配管40に第1の圧縮機23Aと並列に設けられ、インバータ回路27により制御されずに一定の圧縮能力で動作する。戻し配管52は、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの外側に位置され、配管40に接続され、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部を室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第2の圧縮機23Bに戻すことが可能である。容量調整弁53は、戻し配管52に設けられ、戻し配管52中を冷媒が流れることを可能にする開弁状態と、戻し配管52における冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切替可能である。制御装置14は、インバータ回路27を介して第1の圧縮機23Aを制御するとともに、第2の圧縮機23Bと容量調整弁53とを制御する。
【0078】
このような構成によれば、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの運転及び停止を組み合わせることができるとともに、第2の圧縮機23Bから吐出された冷媒の一部を室外熱交換器21及び室内熱交換器31を介さずに第2の圧縮機23Bに戻すか否かを容量調整弁53を制御することにより選択することができる。よって、第1の圧縮機23A、第2の圧縮機23B、戻し配管52、及び容量調整弁53のうち第1の圧縮機23Aだけしか設けられていない構成に比べて、要求能力に応じて様々な運転態様を設定することができるので、省エネルギー化がし易い。また、このような構成によれば、第2の圧縮機23Bが定速型であるので、第2の圧縮機23B用のインバータ回路が不要である。よって、第2の圧縮機23Bが第1の圧縮機23Aと同様にインバータ制御される構成に比べて、家庭用空気調和機10のコストを低減することができる。また、第2の圧縮機23Bが定速型であるので、第2の圧縮機駆動回路72が単純な構成で済む。よって、第2の圧縮機駆動回路72は、インバータ回路27に比べて長寿命であるという利点がある。
【0079】
また、本実施形態では、制御装置14は、室温の温度調整に要求される要求能力が最も高い能力を含む第1の能力の場合には、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bを動作させ、容量調整弁53を閉弁状態にする。制御装置14は、要求能力が、第1の能力と第1の能力よりも小さい第2の能力との間の第3の能力の場合には、第1の圧縮機23Aを停止させ、第2の圧縮機23Bを動作させ、容量調整弁53を開弁状態にする。
【0080】
ここで、要求能力が第1の能力と第2の能力との間の第3の能力の場合に第1の圧縮機23Aを動作させると、インバータ回路27における電力の損失(インバータロス)が多くなりやすい。これに対して、本実施形態では、上述のとおり、要求能力が第1の能力と第2の能力との間の第3の能力の場合には、制御装置14が、第1の圧縮機23Aを停止させ、第2の圧縮機23Bを動作させ、容量調整弁53を開弁状態にするので、省エネルギー化がし易い。
【0081】
また、本実施形態では、制御装置14は、第2の能力の場合には、第1の圧縮機23Aを動作させ、第2の圧縮機23Bを停止させ、容量調整弁53を閉弁状態とする。
【0082】
このような構成によれば、第2の圧縮機23Bの寿命を長くすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、家庭用空気調和機10は、例えば、外気温を測定する温度センサ54(第1の温度センサ)と、配管40における第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bの上流側の冷媒の温度を測定する温度センサ56(第2の温度センサ)と、室外熱交換器21中の冷媒の温度を測定する温度センサ55(第3の温度センサ)と、を備える。制御装置14は、温度センサ54によって測定された外気温が所定温度(一例として0℃)以下、かつ温度センサ56によって測定された冷媒の温度から温度センサ55によって測定された冷媒の温度を減算した温度が閾値以下の場合には、要求能力に拘わらず容量調整弁53を開弁状態とする。
【0084】
このような構成によれば、例えば、第2の圧縮機23Bに室外熱交換器21及び室内熱交換器31を通らない冷媒が戻るので、暖房運転時に、第2の圧縮機23Bで冷媒を低圧で温度上昇させることができる。よって、省エネルギー化がし易い。また、室外熱交換器21と室内熱交換器31との間を循環する冷媒の量が少なくなるため、例えば、冷房運転時に、第2の圧縮機23Bに液体状の冷媒が流入する所謂液バックが抑制される。
【0085】
また、本実施形態では、家庭用空気調和機10は、配管40に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁25を備える。第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bは、それぞれ、冷媒を吸引する吸入口23Aa,23Baと、冷媒を吐出する吐出口23Ab,23Bbと、を有する。配管40は、室外熱交換器21と四方弁25とを接続した第1の領域41aと、四方弁25と第1の圧縮機23Aの吸入口23Aa及び第1の圧縮機23Aの吸入口23Baとを接続した第2の領域41bと、第1の圧縮機23Aの吐出口23Ab及び第2の圧縮機23Bの吐出口23Bbbと四方弁25とを接続した第3の領域41cと、四方弁25と室内熱交換器31とを接続した第4の領域41dと、を有する。戻し配管52は、第3の領域41cに接続された入口52aと、第2の領域41bに接続された出口52bと、を有する。
【0086】
このような構成によれば、例えば、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに室外熱交換器21及び室内熱交換器31を通らない冷媒が戻るので、暖房運転時に、第1の圧縮機23Aと第2の圧縮機23Bとの少なくとも一方で冷媒を低圧で温度上昇させることができる。よって、省エネルギー化がし易い。また、室外熱交換器21と室内熱交換器31との間を循環する冷媒の量が少なくなるため、例えば、冷房運転時に、第1の圧縮機23A及び第2の圧縮機23Bに液体状の冷媒が流入する所謂液バックが抑制される。
【0087】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図7を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0088】
図7は、第2の実施形態の家庭用空気調和機10における要求能力と各部の動作パターンとの関係を示す図である。
図7に示すように、本実施形態は、運転能力が「低能力」の場合の各部の動作が第1の実施に対して異なる。具体的には、第1の圧縮機23Aが停止され、第2の圧縮機23Bが運転されることによい動作し、戻し部51の戻し容量調整弁53が開弁状態(
図7ではON)とされる。これにより、運転能力が「低能力」の場合には、第2の圧縮機23Bの動作によって冷房運転または暖房運転が行われる。このとき、冷媒の一部は、戻し配管52に流れる。このような構成によれば、第1の圧縮機23Aの寿命を長くすることができる。
【0089】
図8は、第1及び第2の実施形態の制御装置14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置14は、例えば、
図8に示すようなハードウェア構成のコンピュータ100により実現される。
【0090】
コンピュータ100は、例えば、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、インターフェース(I/F)106とを有する。CPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104、及びI/F106は、バスにより接続されている。
【0091】
CPU101は、記憶装置104に記憶されたプログラムをRAM103に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりすることができる。ROM102には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶装置104からRAM103に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0092】
記憶装置104は、例えば、フラッシュメモリである。記憶装置104は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。
【0093】
I/F106は、例えば、四方弁25、インバータ回路27、温度センサ54~57、第2の圧縮機駆動回路72、及び弁駆動回路73に接続するためのインターフェース装置である。I/F106は、例えば、四方弁25を駆動するための駆動回路を介して、四方弁25に接続される。
【0094】
本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供され得る。
【0095】
また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM102等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0096】
このようなコンピュータ100を制御装置14として機能させるためのプログラムは、温度取得モジュールと、運転切替モジュールと、第1の圧縮機制御モジュールと、第2の圧縮機制御モジュールと、弁制御モジュールと、を含むモジュール構成となっている。コンピュータ100は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ(CPU101)が記憶媒体(記憶装置104等)からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM103)上にロードされる。これにより、プロセッサ(CPU101)は、
図3の温度取得部81、運転切替部82、第1の圧縮機制御部83、第2の圧縮機制御部84、及び弁制御部86として機能する。なお、コンピュータ100は、温度取得部81、運転切替部82、第1の圧縮機制御部83、第2の圧縮機制御部84、及び弁制御部86の構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていても良い。
【0097】
以上の実施形態において、家庭用空気調和機10は、四方弁25により冷媒が流れる方向を変更し、冷房運転と暖房運転とを行うことができる。しかし、家庭用空気調和機10は、四方弁25を持たず、冷房運転又は暖房運転のみを行うことが可能であっても良い。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10…家庭用空気調和機、14…制御装置、21…室外熱交換器、27…インバータ回路、23A…第1の圧縮機、23Aa,23Ba…吸入口、23Ab,23Bb…吐出口、23B…第2の圧縮機、25…四方弁、40…配管、41a…第1の領域、41b…第2の領域、41c…第3の領域、41d…第4の領域、52…戻し配管、52a…入口、52b…出口、53…容量調整弁(弁)、54…温度センサ(第1の温度センサ)、55…温度センサ(第3の温度センサ)、56…温度センサ(第2の温度センサ)。