IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノリタケカンパニーリミテドの特許一覧

特開2022-94550CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム
<>
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図1
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図2
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図3
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図4
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図5
  • 特開-CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094550
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】CMP研磨装置及びCMP研磨管理システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20220620BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220620BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20220620BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20220620BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220620BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/304 621D
H01L21/304 622R
H01L21/304 622F
B24B37/10
B24B37/26
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207502
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋祐
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB03
3C034CB11
3C034CB13
3C034DD10
3C034DD20
3C158AC01
3C158AC02
3C158BA01
3C158BA09
3C158BC03
3C158CB04
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB07
5F057AA20
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB30
5F057GB02
5F057GB28
(57)【要約】
【課題】被研磨物の研磨効果を有効化しつつ、より使い勝手のよいCMP研磨装置及びCMP研磨管理システムを提供する。
【解決手段】本発明のCMP研磨装置100は、研磨溝15bの底面を基準とした研磨面15aの磨耗深さLxを非接触で測定する磨耗深さ測定手段11と、磨耗深さLxを外部に送信可能な送信手段17とをさらに備えている。本発明のCMP研磨管理システムは、CMP研磨装置100と、送信手段17と交信可能な受信手段21と、受信手段21によって取得した磨耗深さLxを管理する磨耗深さ管理装置19とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物が固定されたキャリヤと、前記被研磨物と対面するように研磨パッドが固定された定盤と、前記被研磨物と前記研磨パッドとの間に荷重を付加しつつ、前記キャリヤと前記定盤とを相対的な速度で移動させる駆動装置と、前記被研磨物と前記研磨パッドとの間に研磨液を介在させる研磨液供給装置と、少なくとも前記駆動装置及び前記研磨液供給装置を制御する制御装置とを備え、CMP法によって前記被研磨物を前記研磨パッドで研磨するCMP研磨装置において、
前記研磨パッドは、前記被研磨物と対面する研磨面と、前記研磨面から凹設された研磨溝とを有し、
前記研磨パッドは、樹脂からなり、複数の気泡が形成された母材と、前記母材内又は前記気泡内に保持された研磨粒子とを有し、
前記研磨液は液体のみであり、
前記研磨溝の底面を基準とした前記研磨面の磨耗深さを非接触で測定する磨耗深さ測定手段と、
前記磨耗深さを外部に送信可能な送信手段とをさらに備えていることを特徴とするCMP研磨装置。
【請求項2】
前記磨耗深さ測定手段は、レーザビームを用いた寸法測定装置である請求項1記載のCMP研磨装置。
【請求項3】
請求項1又は2の前記CMP研磨装置と、
前記送信手段と交信可能な受信手段と、
前記受信手段によって取得した前記磨耗深さを管理する磨耗深さ管理装置とを備えていることを特徴とするCMP研磨管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCMP研磨装置及びCMP研磨管理システムに関する。
【0002】
特許文献1、2に従来のCMP研磨装置が開示されている。これらのCMP研磨装置は、キャリヤと、定盤と、駆動装置と、研磨液供給装置と、制御装置とを備えている。
【0003】
キャリヤには被研磨物が固定される。被研磨物は、Si、SiC等のウェハ、これらのウェハ上に絶縁膜、配線金属膜、露光用レジスト、保護膜等の膜を形成した膜付きウェハ等である。定盤は、被研磨物と対面するように研磨パッドが固定される。これらのCMP研磨装置では、不織布、発泡ポリウレタン等からなる研磨パッドを採用している。この研磨パッドは、被研磨物と接触する研磨面と、研磨面から凹設された同心円状又は格子状の研磨溝とを有している。
【0004】
駆動装置は、被研磨物と研磨パッドとの間に荷重を付加しつつ、キャリヤと定盤とを相対的な速度で移動させる。研磨液供給装置は、被研磨物と研磨パッドとの間に研磨液を介在させる。これらのCMP研磨装置では、研磨液は、NaOH等の薬剤と、コロイダルシリカ等の研磨粒子とを含む。制御装置は、少なくとも駆動装置及び研磨液供給装置を制御する。
【0005】
また、これらのCMP研磨装置は、研磨パッドの厚みを検知したり、研磨パッドが有するインジケータをオペレータが目視したりすることにより、研磨面の磨耗深さを検知しようとしている。
【0006】
これらのCMP研磨装置では、研磨粒子による機械的研磨と同時に薬剤による化学的研磨を行うCMP(chemical mechanical polishing:化学的機械的研磨)法によって被研磨物を研磨可能である。この際、研磨溝を有する研磨パッドを採用し、研磨溝内に十分な量の研磨粒子を確保し、被研磨物の研磨効果を有効化している。また、これらのCMP研磨装置では、研磨面の磨耗深さを検知することにより、次回の研磨時間の最適化を行ったり、研磨パッドの寿命を予測したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-347568号公報
【特許文献2】特開2019-145779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のCMP研磨装置は、研磨面の磨耗深さを検知したとしても、それを外部から把握できない。このため、外部から研磨パッドの使用状況を知ることができず、研磨パッドの交換時期を外部から通知したり、研磨パッドの交換に外部から伺ったり、磨耗深さに応じて外部から使用料を徴収したりすること(サブスクリプション)が困難である。
【0009】
特に、上記従来のCMP研磨装置は、被研磨物の研磨の際に研磨粒子を含む研磨液を用いているため、研磨面や研磨溝に多くの研磨粒子が存在し、研磨面の磨耗の検出精度が不十分である。しかも、これらのCMP研磨装置では、研磨パッドの厚みや目視によって研磨面の磨耗深さを検知しようとしているため、定盤と研磨パッドとの接着層の厚みの相違や個人差によって検出値がばらつくこととなり、その検出精度の信頼性に欠ける。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、被研磨物の研磨効果を有効化しつつ、より使い勝手のよいCMP研磨装置及びCMP研磨管理システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のCMP研磨装置は、被研磨物が固定されたキャリヤと、前記被研磨物と対面するように研磨パッドが固定された定盤と、前記被研磨物と前記研磨パッドとの間に荷重を付加しつつ、前記キャリヤと前記定盤とを相対的な速度で移動させる駆動装置と、前記被研磨物と前記研磨パッドとの間に研磨液を介在させる研磨液供給装置と、少なくとも前記駆動装置及び前記研磨液供給装置を制御する制御装置とを備え、CMP法によって前記被研磨物を前記研磨パッドで研磨するCMP研磨装置において、
前記研磨パッドは、前記被研磨物と対面する研磨面と、前記研磨面から凹設された研磨溝とを有し、
前記研磨パッドは、樹脂からなり、複数の気泡が形成された母材と、前記母材内又は前記気泡内に保持された研磨粒子とを有し、
前記研磨液は液体のみであり、
前記研磨溝の底面を基準とした前記研磨面の磨耗深さを非接触で測定する磨耗深さ測定手段と、
前記磨耗深さを外部に送信可能な送信手段とをさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のCMP研磨装置では、送信手段が研磨パッドの研磨面における磨耗深さを外部に送信するため、外部からその磨耗深さを把握できる。
【0013】
特に、このCMP研磨装置では、樹脂からなり、複数の気泡が形成された母材と、母材内又は気泡内に保持された研磨粒子とを有する研磨パッドを採用しており、研磨液が液体のみである。このため、研磨面や研磨溝には研磨粒子が存在に難い。
【0014】
また、このCMP研磨装置では、磨耗深さ測定手段が研磨溝の底面を基準として研磨面の磨耗深さを測定するため、例え定盤と研磨パッドとの接着層の厚みが異なっても、研磨面の磨耗深さを幾何的に測定することができる。その際に非接触で研磨面の磨耗深さを測定するため、接触による押圧力による誤差も生じない。
【0015】
さらに、このCMP研磨装置では、研磨溝を有する研磨パッドを採用しているため、研磨溝と対面する研磨面が保持する研磨粒子が被研磨物の研磨効果を有効化する。
【0016】
磨耗深さ測定手段は、超音波や光によって研磨面の磨耗深さを非接触で測定することが可能であるが、レーザビームを用いた寸法測定装置であることが好ましい。発明者の確認によれば、この場合に±0.2~0.3μmで精度よく磨耗深さを測定できる。例えば、株式会社キーエンス製三次元測定機「XM-2000」、株式会社リンクス製三次元センサ「Gocator(登録商標)」、株式会社ミツトヨ製非接触・高精度レーザ測長システム「レーザスキャンマイクロメータLSM」等を採用することができる。
【0017】
本発明のCMP研磨管理システムは、上記CMP研磨装置と、前記送信手段と交信可能な受信手段と、前記受信手段によって取得した前記磨耗深さを管理する磨耗深さ管理装置とを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明のCMP研磨管理システムでは、自社の受信手段及び磨耗深さ管理装置によってユーザのCMP研磨装置の研磨パッドの磨耗深さを把握することができる。これにより、研磨パッドの交換時期を通知したり、研磨パッドの交換に伺ったり、磨耗深さに応じて使用料を徴収したりすること(サブスクリプション)が可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のCMP研磨装置によれば、被研磨物の研磨効果を有効化しつつ、外部から研磨パッドの使用状況を知ることができる。このため、CMP研磨管理システムによって、研磨パッドの交換時期を外部から通知したり、研磨パッドの交換に外部から伺ったり、磨耗深さに応じて外部から使用料を徴収したりすること(サブスクリプション)が可能であり、CMP研磨装置がより優れた使い勝手を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例のCMP研磨装置の主要部を示す模式断面図である。
図2図2は、実施例のCMP研磨管理システムブロック構成図である。
図3図3は、実施例のCMP研磨装置に係り、研磨パッドの模式拡大断面図である。
図4図4は、実施例のCMP研磨管理システムに係り、CMP研磨装置の制御装置が実行するプログラムのフローチャートである。
図5図5は、実施例のCMP研磨管理システムに係り、磨耗深さ管理装置が実行するプログラムのフローチャートである。
図6図6は、比較例のCMP研磨装置に係り、研磨パッドの模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。実施例のCMP研磨管理システムは、図1及び図2に示す複数のCMP研磨装置100と、本社装置101とを備えている。各CMP研磨装置100は研磨パッド15を使用する複数のユーザによって保有されている。本社装置101は研磨パッド15を製造、販売等を行っている自社が保有している。
【0022】
各CMP研磨装置100は、図1に示すように、複数のキャリヤ1と、定盤3と、駆動装置5と、研磨液供給装置7と、ドレッサ9と、寸法測定装置11と、図2に示すように、制御装置13とを備えている。
【0023】
図1には単一のキャリヤ1だけを図示しているが、CMP研磨装置100は複数のキャリヤ1を有している。各キャリヤ1は水平な円板状をなしている。各キャリヤ1の下面には複数の凹部1aが凹設されており、各凹部1aにはそれぞれ被研磨物Wが固定されるようになっている。被研磨物Wは、Si、SiC等のウェハ、これらのウェハ上に絶縁膜、配線金属膜、露光用レジスト、保護膜等の膜を形成した膜付きウェハ等である。各キャリヤ1の上面にはキャリヤ回転軸1bが垂直に突設されている。被研磨物Wの被研磨面W1は下方を向いている。
【0024】
定盤3は、全てのキャリヤ1を内包する水平な円板状をなしている。定盤3の下面には定盤回転軸3aが垂直に突設されている。定盤3の上面には、各被研磨物Wと対面するように円板状の研磨パッド15が接着剤によって固定されている。研磨パッド15は、図3に示すように、被研磨物Wと接触する研磨面15aと、研磨面15aから下方に凹設された同心円状又は格子状の研磨溝15bとを有している。研磨溝15bの形状、ピッチ、幅等は、被研磨物W等によってユーザ毎に選択されている。
【0025】
また、この研磨パッド15は、樹脂からなり、複数の気泡151aが形成された母材151と、母材151内又は気泡151a内に保持された研磨粒子152とを有している。
【0026】
母材151は、ポリエーテル、硬質発泡ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂の他、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニル・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系合成樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等から、被研磨物W等によってユーザ毎に選択されている。
【0027】
研磨粒子152は、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、B4C(炭化ホウ素)、CeO2、炭化ケイ素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マンガン酸化物、炭酸バリウム、酸化クロム、酸化鉄等から、被研磨物W等によってユーザ毎に選択されている。
【0028】
図1に示すように、駆動装置5は、主駆動装置5aと、副駆動装置5bと、加圧装置5cとを有している。主駆動装置5aは定盤回転軸3aを第1軸心O1周りで所定速度で回転駆動する。副駆動装置5bは各キャリヤ回転軸1bを第2軸心O2周りで所定速度で回転駆動する。加圧装置5cは各キャリヤ回転軸1b及び副駆動装置5bを定盤3に向けて所定荷重で加圧する。
【0029】
研磨液供給装置7は定盤3の上方に設けられている。研磨液供給装置7は被研磨物Wと研磨パッド15との間に研磨液7aを介在させる。研磨液7aは、NaOH水溶液、過マンガン酸カリウム水溶液、アミン系水溶液等から、被研磨物W等によってユーザ毎に選択されている。研磨液7aは、研磨粒子152を含んでおらず、液体である。
【0030】
ドレッサ9は定盤3の上方で第1軸心O1近くから研磨パッド15の外周部分まで移動可能に設けられている。ドレッサ9は、研磨パッド15の研磨面15aと当接し、研磨面15aをドレッシングする。
【0031】
寸法測定装置11は定盤3の上方に設けられている。寸法測定装置11はレーザビーム11aを用い研磨溝15bの底面を基準として研磨面15aの磨耗深さを非接触で測定する。
【0032】
図2に示すように、制御装置13は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、寸法測定装置11、主駆動装置5a、副駆動装置5b、加圧装置5c、研磨液供給装置7及び送信装置17と接続されている。送信装置17が送信手段に相当する。制御装置13のメモリにはこれらを制御するプログラムが格納されている。
【0033】
本社装置101は、磨耗深さ管理装置19、受信装置21及び顧客管理装置23を有している。受信装置21は各CMP研磨装置100の送信装置17とインターネットを通じて交信可能である。受信装置21が受信手段に相当する。
【0034】
磨耗深さ管理装置19は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、受信装置21及び顧客管理装置23と接続されている。磨耗深さ管理装置19のメモリにはこれらを制御するプログラムが格納されている。顧客管理装置23もマイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、そのメモリにもプログラムが格納されている。
【0035】
このCMP研磨管理システムでは、各CMP研磨装置100がCMP法によって被研磨物Wを研磨する。この場合、各CMP研磨装置100において、各キャリヤ1の凹部1aに被研磨物Wを固定した後、作動を開始する。これにより、制御装置13は、図4に示すフローチャートに示す処理を行う。
【0036】
まず、ステップS1では、加圧装置5cが各キャリヤ回転軸1b及び副駆動装置5bを定盤3に向けて加圧する荷重Fと、主駆動装置5aが定盤回転軸3aを回転する第1速度V1と、副駆動装置5bが各キャリヤ回転軸1bを回転する第2速度V2と、研磨時間Tと、研磨液供給装置7が供給する研磨液7aの供給量Qとが入力される。
【0037】
このため、被研磨物Wと研磨パッド15との間に荷重Fを付加しつつ、各キャリヤ1と定盤3とが相対的な速度で研磨時間Tだけ移動する。この間、研磨液供給装置7が供給量Qの研磨液7aを供給する。こうして、研磨が開始される。この際、研磨溝15bを有する研磨パッド15を採用しているため、研磨溝15bと対面する研磨面15aが保持する研磨粒子152が被研磨物Wの研磨効果を有効化する。
【0038】
この後、ステップS2において、寸法測定装置11によって研磨溝15bまでの距離L1を測定し、ステップS3において、寸法測定装置11によって研磨面15aまでの距離L2を測する。そして、ステップS4において、距離L1と距離L2との差を算出し、これを研磨面15aの磨耗深さLxとする。研磨の継続によって磨耗深さLxは徐々に増加する。
【0039】
ステップS5では、研磨時間T内に磨耗深さLxが第1閾値Laを超えるか否かを判断する。ステップS5において、磨耗深さLxが第1閾値Laを超えれば、ステップS6に進み、送信装置17が受信装置21に向けて磨耗深さLxを送信する。磨耗深さLxが第1閾値Laを超えなければ、ステップS3に戻る。
【0040】
磨耗深さ管理装置19では、図5に示すように、ステップS21において、磨耗深さLxを受信装置21によって受信する。そして、ステップS22において、その磨耗深さLxが記憶領域に格納される。この際、どのユーザが使用しているCMP研磨装置100の送信装置17からその磨耗深さLxが送信されたかにより、ユーザIDと、CMP研磨装置100のIDと、受信の年月日時間とも同時にその記憶領域に格納される。
【0041】
また、ユーザID、CMP研磨装置100のID、受信の年月日時間及び磨耗深さLxは、顧客管理装置23に送信され、ユーザ及びCMP研磨装置100毎に経理処理に付される。この経理処理については後述する。
【0042】
磨耗深さ管理装置19では、図5に示すように、ステップS23において、磨耗深さLxが第1閾値Laを超えるか否かを判断する。ステップS23において、磨耗深さLxが第1閾値Laを超えれば、そのCMP研磨装置100の研磨パッド15を再生すべきであることから、ステップS24に進み、ドレッサ喚起処理を行う。ステップS23において、磨耗深さLxが第1閾値Laを超えなければ、ステップS25に進む。
【0043】
ドレッサ喚起処理の情報は顧客管理装置23に送信され、顧客管理装置23は、ユーザ及びCMP研磨装置100を特定した上、ドレッサをすべき注意喚起を行う。この注意喚起を受けたユーザは、特定されたCMP研磨装置100を停止させ、図1に示すドレッサ9を稼働する。この際、第1速度V1は一定速度とされ、ドレッサ9は定盤3の上方で第1軸心O1近くから研磨パッド15の外周部分まで移動する。これにより、研磨パッド15は研磨面15aがドレッシングされる。
【0044】
各CMP研磨装置100では、図4に示すように、ステップS7において、磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えるか否かを判断する。ステップS7において、磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えれば、ステップS8に進み、送信装置17が受信装置21に向けて磨耗深さLxを送信する。磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えなければ、ステップS7に戻る。
【0045】
磨耗深さ管理装置19では、図5に示すように、ステップS21~24を行う。ステップS25では、磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えるか否かを判断する。ステップS25において、磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えれば、そのCMP研磨装置100の研磨パッド15を再度再生すべきであることから、ステップS26に進み、再度、ドレッサ喚起処理を行う。ステップS25において、磨耗深さLxが第2閾値Lbを超えなければ、ステップS27に進む。ドレッサ喚起処理は上述と同様に行われる。
【0046】
各CMP研磨装置100では、図4に示すように、ステップS9において、磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えるか否かを判断する。ステップS9において、磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えれば、ステップS10に進み、送信装置17が受信装置21に向けて磨耗深さLxを送信する。磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えなければ、ステップS3に戻る。
【0047】
磨耗深さ管理装置19では、図5に示すように、ステップS21~26を行う。ステップS27では、磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えるか否かを判断する。ステップS27において、磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えれば、そのCMP研磨装置100の研磨パッド15は寿命が近いことから、ステップS28に進み、寿命喚起処理を行う。ステップS27において、磨耗深さLxが第3閾値Lcを超えなければ、ステップS25に進む。
【0048】
寿命喚起処理の情報は顧客管理装置23に送信され、顧客管理装置23は、ユーザ及びCMP研磨装置100を特定した上、寿命喚起を行う。具体的には、制御装置13に設けられた表示ランプが点灯する。こうして、この寿命喚起を受けたユーザは、新たな研磨パッド15を用意する。
【0049】
各CMP研磨装置100では、図4に示すように、ステップS11において、磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えるか否かを判断する。ステップS11において、磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えれば、ステップS12に進み、送信装置17が受信装置21に向けて磨耗深さLxを送信し、終了となる。磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えなければ、ステップS11に戻る。
【0050】
磨耗深さ管理装置19では、図5に示すように、ステップS21~28を行う。ステップS29では、磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えるか否かを判断する。ステップS29において、磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えれば、そのCMP研磨装置100の研磨パッド15はもはや使用すべきものではないことから、ステップS30に進み、研磨中止処理を行う。ステップS29において、磨耗深さLxが第4閾値Ldを超えなければ、ステップS29に戻る。
【0051】
研磨中止処理の情報は顧客管理装置23に送信され、顧客管理装置23は、ユーザ及びCMP研磨装置100を特定した上、研磨中止喚起を行う。この研磨中止喚起を受けたユーザは、特定されたCMP研磨装置100を停止させる。
【0052】
顧客管理装置23は、都度送信される磨耗深さLxにより、各ユーザが個々のCMP研磨装置100の研磨パッド15をどの程度使用しているかを把握する。このため、ユーザが望む場合には、研磨パッド15を販売するのではなく、研磨パッド15を有償で使用させ、磨耗深さLxに応じて使用料を徴収する。
【0053】
こうして、このCMP研磨管理システムでは、各CMP研磨装置100において、送信双対17が研磨パッド15の研磨面15aにおける磨耗深さLxを本社装置101に送信するため、本社装置101はその磨耗深さLxを把握できる。
【0054】
特に、各CMP研磨装置100では、樹脂からなり、複数の気泡151aが形成された母材151と、母材151内又は気泡151a内に保持された研磨粒子152とを有する研磨パッド15を採用しており、研磨液7aが液体のみである。このため、研磨面15aや研磨溝15bには研磨粒子152が存在に難い。
【0055】
他方、CMP研磨装置において、図6に示すように、研磨粒子152を保持していない不織布等からなる研磨パッド16を採用し、研磨粒子152を有する研磨液を採用している場合には、研磨面15aや研磨溝15bには多くの研磨粒子152が存在に難い。このため、この場合には、たとえレーザビームを用いた寸法測定装置11を用いた場合でも、研磨面15aの磨耗を低い精度でしか検出することができない。
【0056】
また、実施例の各CMP研磨装置100では、寸法測定装置11が研磨溝15bの底面を基準として研磨面15aの磨耗深さLxを測定するため、例え定盤3と研磨パッド15との接着層の厚みが異なっても、研磨面15aの磨耗深さLxを幾何的に測定することができる。その際に非接触で研磨面15aの磨耗深さLxを測定するため、接触による押圧力による誤差も生じない。
【0057】
さらに、実施例の各CMP研磨装置100では、研磨溝15bを有する研磨パッド15を採用しているため、研磨溝15bと対面する研磨面15aが保持する研磨粒子152が被研磨物Wの研磨効果を有効化する。
【0058】
また、実施例のCMP研磨管理システムでは、本社装置101の受信装置21及び磨耗深さ管理装置19によってユーザの各CMP研磨装置100の研磨パッド15の磨耗深さLxを把握することができる。これにより、各ユーザに対し、研磨パッド15の交換時期を通知したり、研磨パッド15の交換に伺ったり、研磨パッド15のサブスクリプションが可能になっている。
【0059】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0060】
例えば、本発明のCMP研磨装置は、被研磨物の上面及び下面を露出させるキャリヤと、キャリヤの下方に位置する第1定盤と、キャリヤの上方に位置する第2定盤とを有し、被研磨物の上面及び下面を同時に研磨するものであってもよい。
【0061】
また、寸法測定装置11を定盤3の上方で第1軸心O1近くから研磨パッド15の外周部分まで移動可能に設けてもよい。この場合、第1軸心O1近くから研磨パッド15の外周部分まで存在する複数の研磨面15aの磨耗深さを非接触で測定できるため、制御装置13において、磨耗深さの平均値を算出し、この平均値によって駆動装置5等を制御することができる。
【0062】
研磨深さLxの基準となる研磨溝15bは、被研磨物Wを研磨する際に用いられない基準となるだけのものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は半導体製造装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
W…被研磨物
1…キャリヤ
15…研磨パッド
3…定盤
5…駆動装置(5a…主駆動装置、5b…副駆動装置、5c…加圧装置)
7a…研磨液
7…研磨液供給装置
13…制御装置
15a…研磨面
15b…研磨溝
Lx…磨耗深さ
11…磨耗深さ測定手段(寸法測定装置)
151a…気泡
151…母材
152…研磨粒子
17…送信手段(送信装置)
21…受信手段(受信装置)
19…磨耗深さ管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6