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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094557
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】粉粒体の排出方法および排出弁
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20220620BHJP
   B29B 13/06 20060101ALI20220620BHJP
   B29C 31/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B65G65/40 B
B29B13/06
B29C31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207509
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】帆山 克明
【テーマコード(参考)】
3F075
4F201
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA02
3F075BB01
3F075CA09
3F075CD11
4F201AC01
4F201AC04
4F201AL06
4F201AL10
4F201AL11
4F201AL12
4F201AL13
4F201AL15
4F201BA04
4F201BA06
4F201BN21
4F201BQ07
4F201BQ34
4F201BQ35
4F201BQ49
(57)【要約】
【課題】弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みを抑制できる、粉粒体の排出停止方法および排出弁を提供する。
【解決手段】弁体22が開位置から閉位置までスライドする閉動作の途中で変速動作が行われる。この変速動作により、弁体22が排出管12の内面との間に一定の隙間を生じる位置で停止する。これにより、粉粒体が排出管12の内面と弁体22との間に跨がるブリッジを形成する。粉粒体のブリッジが形成されると、その粉粒体のブリッジが堰となって、排出管12における粉粒体の流れが止まる。このとき、ブリッジを形成している粉粒体よりも排出口17側では、粉粒体が排出口17を通過して排出される。弁体22の停止から一定時間が経過すると、弁体22の閉動作が再開されて、弁体22が閉位置までスライドされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する容器から下方に延びる排出管と、前記排出管を開放する開位置と前記排出管を閉鎖する閉位置との間でスライド可能に設けられる弁体とを備える排出弁において、粉粒体を前記排出管を通して排出する方法であって、
前記弁体を前記開位置から前記閉位置までスライドさせる閉動作の途中で、
粉粒体が前記排出管の内面と前記弁体との間に跨がるブリッジを形成して、前記排出管における粉粒体の流れが止まるよう、前記弁体を変速動作させる、粉粒体の排出方法。
【請求項2】
前記変速動作は、前記排出管の内面と前記弁体との間に一定の隙間が生じる位置で前記弁体を一時停止させる動作である、請求項1に記載の粉粒体の排出方法。
【請求項3】
前記一定の隙間は、粉粒体の平均径の2倍以上の間隔に設定されている、請求項2に記載の粉粒体の排出方法。
【請求項4】
前記変速動作は、前記弁体を前記変速動作前よりも低速でスライドさせる動作である、請求項1に記載の粉粒体の排出方法。
【請求項5】
前記閉動作は、前記変速動作後に、前記弁体を前記閉位置まで前記変速動作時よりも高速でスライドさせる動作を含む、請求項4に記載の粉粒体の排出方法。
【請求項6】
粉粒体を貯留する容器から下方に延びる排出管と、
前記排出管を開放する開位置と前記排出管を閉鎖する閉位置との間でスライド可能に設けられる弁体と、
前記弁体を前記開位置と前記閉位置との間でスライドさせる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
前記弁体を前記開位置から前記閉位置までスライドさせる閉動作の途中で、
粉粒体が前記排出管の内面と前記弁体との間に跨がるブリッジを形成して、前記排出管における粉粒体の流れが止まるよう、前記弁体を変速動作させる、排出弁。
【請求項7】
前記弁体は、前記排出管の中心線と直交する平面に対して傾斜する方向にスライド可能に設けられている、請求項6に記載の排出弁。
【請求項8】
前記弁体は、前記排出管の中心線と直交する平面に対して10°以上の傾斜角度で傾斜する方向にスライド可能に設けられている、請求項7に記載の排出弁。
【請求項9】
前記排出管は、前記弁体の移動方向に沿った平面で切断したときの断面において、前記開位置から前記閉位置に向かう閉方向の下流側の端部が、当該下流側ほど前記移動方向と直交する方向の幅が縮小する形状に形成されている、請求項6~8のいずれか一項に記載の排出弁。
【請求項10】
前記排出管は、円筒状をなしている、請求項9に記載の排出弁。
【請求項11】
前記排出管の中心線の方向に延び、前記排出管の周囲を取り囲む筒状の外管、をさらに備える、請求項6~10のいずれか一項に記載の排出弁。
【請求項12】
前記変速動作は、前記排出管の内面と前記弁体との間に一定の隙間が生じる位置で前記弁体を一時停止させる動作である、請求項6~11のいずれか一項に記載の排出弁。
【請求項13】
前記一定の隙間は、粉粒体の平均径の2倍以上の間隔に設定されている、請求項12に記載の排出弁。
【請求項14】
前記変速動作は、前記弁体を前記変速動作前よりも低速でスライドさせる動作である、請求項6~11のいずれか一項に記載の排出弁。
【請求項15】
前記閉動作は、前記変速動作後に、前記弁体を前記閉位置まで前記変速動作時よりも高速でスライドさせる動作を含む、請求項14に記載の排出弁。
【請求項16】
前記容器は、粉粒体を乾燥させるための乾燥ホッパである、請求項6~15のいずれかに記載の排出弁。
【請求項17】
前記排出管は、前記排出管を通して排出される粉粒体が成形機に投入されるように設けられる、請求項6~16のいずれか一項に記載の排出弁。
【請求項18】
前記排出管は、前記排出管を通して排出される粉粒体が粉粒体の計量のための計量機に投入されるように設けられる、請求項6~16のいずれか一項に記載の排出弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の排出方法および排出弁に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品の成形工程には、プラスチックペレットなど、プラスチック製品の材料となる粉粒体が成形機に投入されるまでに、その粉粒体を取り扱う前工程が存在する。粉粒体を貯留槽に受け入れる工程、粉粒体を貯留槽に貯蔵する工程、貯留槽から取り出された粉粒体を乾燥させる工程、乾燥した粉粒体を計量して混合する工程などが前工程に当たる。それらの工程は、別々の設備(装置)で実施されるため、各設備にて、粉粒体を保持する容器に対する粉粒体の投入と排出とが必要となる。
【0003】
ペレットのような粉粒体を容器から重力により排出する機構として、スライド式の排出弁が用いられることがある。スライド式の排出弁では、板状の弁体がその延在方向にスライド可能に設けられている。容器の底部から下方に延びる排出管が設けられており、弁体がスライドにより排出管の下端を開放する位置とその下端を閉鎖する位置とに変位する。排出管の下端が開放された状態で、容器から排出管を通して粉粒体が排出され、排出管の下端が弁体により閉鎖された状態で、粉粒体の排出が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-245851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スライド式の排出弁では、弁体の閉動作の際の弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みが問題になることが多い。弁体が水平に対して傾斜して設けられている構成では、弁体が水平に設けられている構成と比べて、粉粒体の噛み込みの発生頻度が低いが、まだ噛み込みに対する改善の余地がある。
また、ボール弁のように、多少の噛み込みが発生した場合でも強制的に開閉を行うような方式の弁については、噛み込みによる動作不良を防げても、粉粒体が破砕されやすいため、粉塵を増やすおそれがあり、加えて一般的に高コストなものとなりやすい。
【0006】
本発明の目的は、弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みを抑制できる、粉粒体の排出方法および排出弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る粉粒体の排出方法は、粉粒体を貯留する容器から下方に延びる排出管と、排出管を開放する開位置と排出管を閉鎖する閉位置との間でスライド可能に設けられる弁体とを備える排出弁において、粉粒体を排出管を通して排出する方法であって、弁体を開位置から閉位置までスライドさせる閉動作の途中で、粉粒体が排出管の内面と弁体との間に跨がるブリッジを形成して、排出管における粉粒体の流れが止まるよう、弁体を変速動作させる。
【0008】
この方法によれば、弁体が開位置から閉位置までスライドする閉動作の途中で変速動作を行う。この変速動作により、粉粒体が排出管の内面と弁体との間に跨がるブリッジを形成する。すなわち、粉粒体が排出管の内面と弁体との間に生じる隙間、つまり弁体により開閉される排出口がある程度まで狭くなると、粉粒体が横並びの状態で排出口に向けて押し寄せたときに、その横並びの粉粒体が同時に排出口を通過できずに支えてしまう。その結果、排出管の内面と弁体との間に粉粒体が跨がり、その粉粒体が堰となって、粉粒体の流れが止まる。このとき、ブリッジ(堰)を形成している粉粒体よりも排出口側では、粉粒体が排出口を通過して排出される。そのため、弁体が閉位置までスライドしたときに、排出管と弁体とによる粉粒体の噛み込みが発生することを抑制できる。
【0009】
また、本発明の他の局面に係る排出弁は、粉粒体を貯留する容器から下方に延びる排出管と、排出管を開放する開位置と排出管を閉鎖する閉位置との間でスライド可能に設けられる弁体と、弁体を開位置と閉位置との間でスライドさせる駆動機構と、を備え、駆動機構は、弁体を開位置から閉位置までスライドさせる閉動作の途中で、粉粒体が排出管の内面と弁体との間に跨がるブリッジを形成して、排出管における粉粒体の流れが止まるよう、弁体を変速動作させる。
【0010】
この構成によれば、前述の粉粒体の排出停止方法による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
変速動作は、排出管の内面と弁体との間に一定の隙間が生じる位置で弁体を一時停止させる動作であってもよいし、弁体を変速動作前よりも低速でスライドさせる動作であってもよい。すなわち、変速動作では、粉粒体がブリッジを形成可能であれば、弁体が停止していてもよいし、弁体が閉位置に向けてスライドしていてもよい。
【0012】
変速動作が排出管の内面と弁体との間に一定の隙間が生じる位置で弁体を一時停止させる動作である場合、一定の隙間は、粉粒体の平均径の2倍以上の間隔に設定されていることが好ましい。
【0013】
これにより、粉粒体が排出管と弁体との間に噛み込まずに、排出管の内面と弁体との間に跨がるブリッジを良好に形成することができる。
【0014】
平均径は、粉粒体の形状に応じて、球相当径の個数基準による平均径と、三軸平均径の個数基準による平均径とのいずれかが使い分けられてもよい。
【0015】
変速動作が弁体を変速動作前よりも低速でスライドさせる動作である場合、閉動作は、変速動作後に、弁体を閉位置まで変速動作時よりも高速でスライドさせる動作を含むことが好ましい。
【0016】
これにより、粉粒体がブリッジを形成した後に、弁体を閉位置まで速やかにスライドさせて、排出管を速やかに閉鎖することができる。
【0017】
弁体は、排出管の中心線と直交する平面に対して傾斜する方向にスライド可能に設けられていてもよい。
【0018】
これにより、弁体と排出管の内面とに挟まれる空間がそれらの間の隙間(排出口)に向けて先細りになるので、粉粒体が排出管の内面と弁体との間に跨がるブリッジを形成しやすくなる。
【0019】
粉粒体がブリッジを良好に形成するためには、弁体が排出管の中心線と直交する平面に対して傾斜する方向にスライド可能に設けられる場合、その傾斜角度は、10°以上であることが好ましい。
【0020】
また、粉粒体がブリッジを良好に形成するために、排出管は、弁体の移動方向に沿った平面で切断したときの断面において、開位置から閉位置に向かう閉方向の下流側の端部が、当該下流側ほど移動方向と直交する方向の幅が縮小する形状に形成されていることが好ましい。
【0021】
その場合、排出管は、円筒状をなしていてもよい。
【0022】
排出弁は、排出管の中心線の方向に延び、排出管の周囲を取り囲む筒状の外管をさらに備えていてもよい。
【0023】
これにより、排出管の周囲が外管で取り囲まれているので、外管により弁体の設置が容易になるとともに、粉粒体を外気に晒すことを防止することができる。
【0024】
容器は、粉粒体を乾燥させるための乾燥ホッパであってもよい。
【0025】
弁体が閉位置までスライドしたときに、排出管と弁体とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、排出管と弁体との間に隙間が生じる。容器が乾燥ホッパである場合、排出管と弁体との間に隙間が生じたまま、乾燥ホッパに乾燥エアが供給されることによる粉粒体の乾燥処理が行われると、その隙間から乾燥エアが漏れるので、粉粒体の乾燥不良を生じるおそれがある。
【0026】
前述したように、弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みの発生を抑制できるので、容器が乾燥ホッパである構成において、排出管と弁体との間に隙間が生じたまま、粉粒体の乾燥処理が行われることを防止でき、粉粒体の乾燥不良が発生することを抑制できる。
【0027】
排出管は、排出管を通して排出される粉粒体が成形機に投入されるように設けられてもよい。
【0028】
弁体が閉位置までスライドしたときに、排出管と弁体とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、排出管と弁体との間に隙間が生じるので、その隙間から容器内の粉粒体がこぼれ落ちる。
【0029】
たとえば、容器が乾燥ホッパであり、排出管を通して排出される粉粒体が成形機に投入される構成において、排出管と弁体とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、乾燥ホッパにおける粉粒体の乾燥処理の終了から時間が経った後に、冷えた粉粒体が弁体と排出管との隙間からこぼれ落ちて、その冷えた粉粒体が成形機に投入されるおそれがある。
【0030】
前述したように、弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みの発生を抑制できるので、容器が乾燥ホッパであり、排出管を通して排出される粉粒体が成形機に投入される構成において、冷えた粉粒体が排出管からこぼれ落ちることを抑制でき、冷えた粉粒体が成形機に投入されることを抑制できる。
【0031】
また、排出管は、排出管を通して排出される粉粒体が粉粒体の計量のための計量機に投入されるように設けられていてもよい。
【0032】
排出管を通して排出される粉粒体が計量機に投入される構成において、排出管と弁体とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、弁体が閉位置にスライドした後も、粉粒体が弁体と排出管との隙間からこぼれ落ちて、その粉粒体が計量機に投入されるおそれがある。
【0033】
前述したように、弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みの発生を抑制できるので、排出管を通して排出される粉粒体が計量機に投入される構成において、粉粒体が排出管からこぼれ落ちることを抑制でき、粉粒体が計量機に投入されることを抑制できる。その結果、計量機による計量に誤差が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、弁体と排出管とによる粉粒体の噛み込みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】本発明の一実施形態に係る排出弁の構成を示す断面図であり、弁体が開位置に位置する状態を示す。
図1B】本発明の一実施形態に係る排出弁の構成を示す断面図であり、弁体が閉位置に位置する状態を示す。
図2】排出管の下端部および弁体の構成を図解的に示す図である。
図3】粉粒体が排出されている状態からその排出が停止されるまでの弁体の位置の遷移を示す図である。
図4】弁体の形状の他の例を示す図である。
図5】排出口および弁体の形状の他の例を示す図である。
図6】弁体が水平方向にスライドする構成を図解的に示す断面図である。
図7図6に示される構成における排出口および弁体の形状の一例を示す図である。
図8図6に示される構成における排出口および弁体の形状の他の例を示す図である。
図9】弁体の形状のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
<排出弁>
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態に係る排出弁1の構成を示す断面図である。なお、図1Aおよび図1Bを含む各断面図では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
【0038】
排出弁1は、プラスチック製品の材料となる樹脂ペレットなどの粉粒体を貯留する容器2の底面に接続されて、容器2からの粉粒体の排出および排出の停止を切り替える用途に使われるものである。容器2は、成形機に投入される前の前工程で取り扱われる粉粒体を貯留する。容器2は、前工程で使用される機器であれば、たとえば、粉粒体を貯留(貯蔵)するタンクやサイロであってもよいし、乾燥機による乾燥対象の粉粒体を貯留する乾燥ホッパであってもよいし、乾燥機、粉粒体を計量する計量機、粉粒体を含む複数種類の材料を混合する混合機または粉粒体を含む複数種類の材料を定量計量して混合する配合機(計量混合機)に粉粒体を投入するホッパであってもよい。容器2から排出弁1を介して排出される粉粒体は、被供給機3に供給される。被供給機3は、前工程で使用される機器であってもよいし、成形機であってもよい。
【0039】
排出弁1は、接続プレート11、排出管12、配管13およびゲート機構14を備えている。
【0040】
容器2の底面は、水平方向に延びており、その底面には、接続口15が貫通して形成されている。接続プレート11は、接続口15を下側から閉鎖するように、容器2の底面に取り付けられている。接続プレート11には、接続口15と上下に重なる位置に、連通穴16が上下に貫通して形成されている。接続口15は、円形をなし、連通穴16の上端縁は、接続口15と同径またはそれよりも小径の円形に形成されている。連通穴16の下端縁は、上端縁よりも小径の円形に形成されており、これにより、連通穴16は、下側に向かうにつれて縮径する断面等脚台形状をなしている。
【0041】
排出管12は、連通穴16の下端縁の径と同じまたはそれよりも大きい内径を有する円筒管である。排出管12の上端部は、径方向の外側に広がる鍔状に形成されている。排出管12は、その中心線を連通穴16の中心線と一致させて、上端部が接続プレート11の下面に接続されている。排出管12の下端部は、側面視で水平方向に対して傾斜した平面で切断された三角形状をなしており、その下端縁は、同一側面視で水平方向に対して傾斜している。
【0042】
排出管12内は、接続口15および連通穴16を介して、容器2内と連通している。そのため、排出管12の下端が開放されている状態では、容器2内に貯留されている粉粒体が接続口15および連通穴16を通して排出管12内に流れ込み、排出管12を通過して、排出管12の下端から被供給機3に向けて排出される。したがって、排出管12の下端の開口は、粉粒体を被供給機3に向けて排出する排出口17として機能する。
【0043】
配管13は、主管部18および主管部18に分岐して接続された枝管部19を一体に有するY字管からなる。
【0044】
主管部18は、排出管12の外径よりも大きい内径を有する円管状(円筒状)に形成されている。主管部18は、排出管12の周囲を取り囲み、その上端が排出管12の上端部の下面に接続されている。
【0045】
枝管部19は、主管部18の周面における排出管12の下端縁の最上位置と水平方向に対向する部分から分岐している。枝管部19は、円管状(円筒状)に形成され、その中心線が水平方向に対して排出管12の下端縁の傾斜と同じ角度をなして、主管部18から離れるにつれて上側に位置するように傾斜して延びている。
【0046】
ゲート機構14には、空気圧回路21および弁体22が含まれる。
【0047】
空気圧回路21は、エアシリンダ23を駆動機器として備えている。エアシリンダ23は、ピストンロッド24が枝管部19の中心線に沿って往復動するように、枝管部19の先端に取り付けられている。空気圧回路21には、空気圧源であるエアコンプレッサのほか、ピストンロッド24の動作(方向および速度)を制御するため、エアシリンダ23から排出されるエアの方向を制御するための方向制御弁(たとえば、5ポート電磁弁)や、エアシリンダ23から排出されるエアの流量を制御するための速度制御弁(たとえば、クッション機能付スピードコントローラ)などが含まれる。
【0048】
弁体22は、ピストンロッド24の先端部に取り付けられている。
【0049】
図2は、排出管12の下端部および弁体22の構成を図解的に示す図である。
【0050】
排出管12の下端縁が側面視で水平方向に対して傾斜していることにより、排出口17は、排出口17(排出管12の下端縁)を含む平面に直交する方向から見たときに、排出管12の下端縁が傾斜する方向(以下、単に「傾斜方向」という。)に長径Lを有する楕円形状をなしている。図2には、排出管12の下端部および弁体22の断面図とともに、排出口17および弁体22を排出口17を含む平面に直交する方向から見た図が示されている。
【0051】
弁体22は、平板状をなしている。弁体22は、ピストンロッド24から排出管12の下側に向けて、排出管12の下端縁と平行に延びている。弁体22は、傾斜方向と直交する方向に排出口17の短径(すなわち、排出管12の内径R)よりも大きい幅を有している。弁体22の先端部は、半円形状ないしは半楕円形状に形成されている。
【0052】
そして、弁体22は、エアシリンダ23のピストンロッド24の動作により、排出口17を大きく開放する開位置(図1Aに示される位置)と、排出口17に下側から対向して排出口17を閉塞する閉位置(図1Bに示される位置)との間で傾斜方向にスライドされる。
【0053】
<排出停止動作>
図3は、粉粒体が排出されている状態からその排出が停止されるまでの弁体22の位置の遷移を示す図である。
【0054】
弁体22が開位置に位置している状態では、容器2内の粉粒体は、重力により、接続口15および連通穴16を通して排出管12内に流れ込み、排出管12を通過して、排出管12の下端の排出口17から被供給機3に向けて排出される。
【0055】
粉粒体の排出が停止される際には、エアシリンダ23のピストンロッド24の進出により、弁体22が開位置から閉位置に向けてスライドされる(閉動作)。弁体22のスライドに伴い、図3(a),(b)に示されるように、排出口17が弁体22で塞がれていき、排出口17の開口面積が縮小されていく。排出口17の開口面積の縮小に伴い、排出口17から排出される粉粒体の流量が低下する。
【0056】
そして、排出管12の内面と弁体22との間に一定の隙間が生じる位置、具体的には、弁体22が排出口17の最下位置と弁体22の先端位置との間の間隔が一定間隔D(図2参照)となる位置まで弁体22がスライドすると、エアシリンダ23のピストンロッド24の進出が停止される。ピストンロッド24の停止により、弁体22が停止する。すなわち、弁体22を開位置から閉位置までスライドさせる閉動作の途中で、排出管12の内面と弁体22との間に一定の隙間が生じる位置で弁体22を一時停止させる変速動作が行われる。
【0057】
一定の隙間(一定間隔D)は、1個の粉粒体が単独であれば余裕で通過できるが、2個以上の粉粒体が横並びの状態で排出口17に押し寄せた場合、それらの粉粒体が排出口17の開放部分、つまり排出管12の内面と弁体22との間を通過することが困難となる間隔に設定されている。具体的には、一定間隔Dは、排出口17の長径Lの1/2または粉粒体の平均径の4倍の値以下であって、粉粒体の平均径の2倍以上の値に設定されている。ここで、平均径とは、球形に近い粉粒体の場合は球相当径であり、直方体に近い形状の粉粒体の場合は三軸平均径を用い、それらの個数基準による平均径を指すものとする。たとえば、射出成形の原料となるプラスチックのペレットなどの場合は、平均径は1~5mm程度となる。仮に排出管径が38mmのとき、平均径が3mmのペレットに対しては、一定間隔Dをたとえば10mm程度とすることにより、上記の条件を満たす位置となる。
【0058】
そのため、弁体22が排出管12の内面と弁体22との間に一定の隙間が生じる位置で停止されることにより、図3(c)に示されるように、粉粒体が排出管12の内面と弁体22との間に跨がるブリッジを形成し、その粉粒体のブリッジが堰となって、排出管12における粉粒体の流れが止まる。また、粉粒体のブリッジよりも排出口17側では、排出管12の内面と弁体22との間に粉粒体が挟まらず(噛み込まず)、粉粒体が排出口17を通過して排出される。
【0059】
排出口17および弁体22の水平面に対する傾斜角度は、粉粒体のブリッジが形成されやすい角度に設定され、その角度は、10°以上であることが好ましく、たとえば、30°に設定されている。
【0060】
弁体22の停止から一定時間が経過すると、弁体22の閉動作が再開されて、弁体22が閉位置までスライドされる。これにより、図3(d)に示されるように、排出口17が弁体22により全閉された状態となる。閉動作の再開後の弁体22のスライド速度は、変速動作前のスライド速度と同じであってもよいし、変速動作前のスライド速度よりも高速または低速であってもよい。
【0061】
弁体22の閉動作の開始から排出口17からの粉粒体の排出が止まるまで、排出口17からの粉粒体の排出が続き、被供給機3への粉粒体の供給が継続する。その粉粒体の供給量は、弁体22の閉動作の速度に依存するので、弁体22の閉動作の開始後に被供給機3に供給される粉粒体の量が所望の供給量となるように、弁体22の閉動作の速度(スライド速度)が調整されてもよい。
【0062】
<効果>
以上のように、弁体22が開位置から閉位置までスライドする閉動作の途中で変速動作が行われる。この変速動作により、粉粒体が排出管12の内面と弁体22との間に跨がるブリッジを形成する。粉粒体のブリッジが形成されると、その粉粒体のブリッジが堰となって、排出管12における粉粒体の流れが止まる。このとき、ブリッジ(堰)を形成している粉粒体よりも排出口17側では、粉粒体が排出口17を通過して排出される。そのため、弁体22が閉位置までスライドしたときに、排出管12と弁体22とによる粉粒体の噛み込みが発生することを抑制できる。
【0063】
また、弁体22は、水平面に対して傾斜する傾斜方向にスライドするように設けられている。これにより、弁体22と排出管12の内面とに挟まれる空間がそれらの間の隙間(排出口17)に向けて先細りとなるので、排出管12の内面と弁体22との間に粉粒体のブリッジが形成されやすくなる。
【0064】
排出管12の下端部は、側面視で水平方向に対して傾斜した平面で切断された三角形状をなし、排出管12の下端縁に取り囲まれる排出口17は、弁体22が開位置から閉位置に向かう閉方向の下流側の端部がその下流側ほど幅狭となる形状をなしている。この形状もまた、粉粒体のブリッジの形成されやすさに寄与する。
【0065】
排出弁1は、配管13を備えており、配管13の主管部18により、排出管12の周囲が取り囲まれている。そのため、主管部18により弁体22の設置が容易になるとともに、粉粒体を外気に晒すことを防止できる。弁体22の閉動作時に、排出管12の内面と弁体22との間に作業者の手指などが挟まることを防止できる。
【0066】
容器2が乾燥ホッパである場合、弁体22と排出管12とによる粉粒体の噛み込みの発生が抑制されることにより、排出口17が弁体22により良好に塞がれるので、排出管12と弁体22との間に隙間が生じたまま、粉粒体の乾燥処理が行われることを防止でき、粉粒体の乾燥不良が発生することを抑制できる。
【0067】
容器2が乾燥ホッパであって、被供給機3が成形機である場合、排出管12と弁体22とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、乾燥ホッパにおける粉粒体の乾燥処理の終了から時間が経った後に、冷えた粉粒体が弁体22と排出管12との隙間からこぼれ落ちて、その冷えた粉粒体が成形機に投入されるおそれがある。粉粒体の噛み込みの発生が抑制されることにより、冷えた粉粒体が排出管12からこぼれ落ちることを抑制でき、冷えた粉粒体が成形機に投入されることを抑制できる。
【0068】
被供給機3が計量機または配合機である場合、排出管12と弁体22とによる粉粒体の噛み込みが発生すると、弁体22が閉位置にスライドした後も、粉粒体が弁体22と排出管12との隙間からこぼれ落ちて、その粉粒体が計量機に投入されるおそれがある。弁体22と排出管12とによる粉粒体の噛み込みの発生が抑制されることにより、粉粒体が排出管12からこぼれ落ちることを抑制でき、粉粒体が計量機に投入されることを抑制できる。その結果、計量機による計量に誤差が発生することを抑制できる。
【0069】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0070】
たとえば、変速動作は、排出管12の内面と弁体22との間に一定の隙間が生じる位置で弁体22を一時停止させる動作であるとしたが、これに限らず、弁体22を変速動作前よりも低速でスライドさせる動作であってもよい。すなわち、変速動作では、粉粒体がブリッジを形成可能であれば、弁体22が停止していてもよいし、弁体22が閉位置に向けてスライドしていてもよい。
【0071】
変速動作が弁体22を変速動作前よりも低速でスライドさせる動作である場合、変速動作後は、弁体22が待機動作時よりも高速で閉位置までスライドされてもよい。これにより、粉粒体がブリッジを形成した後に、弁体22を閉位置まで速やかにスライドさせて、排出管12を速やかに閉鎖することができる。また、変速動作が弁体22を低速に変化させた場合、そのままの低速で閉鎖してもよい。この場合、変速が一段階のみで済むため制御が容易となる。
【0072】
また、前述の実施形態では、排出口17は、排出口17を含む平面に直交する方向から見たときの形状が楕円形状であり、弁体22は、その先端部が半円形状ないしは半楕円形状に形成されているとした。これに限らず、図4および図5に示されるように、弁体22は、矩形板状に形成されていてもよい。また、排出口17の形状は、図5に示されるように、排出口17を含む平面に直交する方向から見て、傾斜方向の両側に先細りとなる四角形状ないしは菱形状であってもよい。
【0073】
さらに、弁体22が水平面に対して傾斜する傾斜方向にスライドする構成を取り上げたが、図6に示されるように、弁体22を水平方向にスライドさせる構成が採用されてもよい。弁体22が水平方向にスライドする構成では、排出口17の形状は、図7に示されるように、円形状であってもよいし、図8に示されるように、弁体22のスライド方向の両側に先細りとなる四角形状ないしは菱形状であってもよい。
【0074】
すなわち、弁体22が傾斜方向にスライドする構成および弁体22が水平方向にスライドする構成のいずれの構成においても、排出口17の形状は、弁体22の開位置から閉位置に向かう方向における下流側に先細りとなる形状であればよく、円形状、楕円形状および四角形状以外にも、三角形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0075】
また、弁体22は、図9に示されるように、その先端部が面取りされた等脚台形状に形成されていてもよい。
【0076】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:排出弁
2:容器
12:排出管
18:主管部(外管)
22:弁体
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9