(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094579
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】マウスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207537
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】591172157
【氏名又は名称】信菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】福与 知広
(72)【発明者】
【氏名】久保田 秀文
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少し水分補給をするだけで、面倒な取り外し作業が必要となってくるため、簡単に、口部分の開閉を可能とするマウスシールドを提供する。
【解決手段】可撓性を有するシート状部材で口元を覆うマウスシールド10であって、マウスシールド10のシート状部材11には、折り目20を設けた。それにより、マウスシールド10を顔に装着したときの、折り目20をシート状部材11の左側から右側に形成し、折り目20より上側のシート状部材11を、上側が顔から離れるように、折り目20に沿って折り曲げることが可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート状部材で口元を覆うマウスシールドであって、
前記シート状部材に、折り目を設けた、マウスシールド。
【請求項2】
請求項1記載のマウスシールドであって、
前記折り目に沿って、前記シート状部材に複数の切り欠きまたは切り込みが形成され、その間を切残し部とする、マウスシールド。
【請求項3】
請求項1または2記載のマウスシールドであって、
前記マウスシールドを顔に装着したときの、前記折り目を前記シート状部材の左側から右側に形成し、
前記折り目より上側の前記シート状部材を、上側が前記顔から離れるように、前記折り目に沿って折り曲げることが可能な、マウスシールド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のマウスシールドであって、
前記顔に装着したときの前記シート状部材の下側が、幅広になっている、マウスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
マウスシールドとは、マスクを着用することによる暑さまたは蒸れから解放されるため、口元を覆う防護具である。世界的な感染症の蔓延によって、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を人間の間に設けて、社会生活をすることが想定される。しかし、飛沫感染を抑制するためには、ソーシャルディスタンスを設けるだけでは、十分ではない。特に、バスまたは、新幹線等の電車、劇場等の密閉空間では、隣接する座席間で飛沫感染が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、あまりにも飛沫感染をおそれて、特許文献1のようなマウスシールドを人間1人1人が装着するようになると、少し水分補給をするだけで、面倒な取り外し作業が必要となってくる。
【0005】
そこで本発明の目的は、簡単に、口部分の開閉を可能とするマウスシールドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のマウスシールドは、可撓性を有するシート状部材で口元を覆うマウスシールドであって、シート状部材に、折り目を設けた。
【0007】
ここで、折り目に沿って、シート状部材に複数の切り欠きまたは切り込みが形成され、その間を切残し部としてもよい。
【0008】
また、マウスシールドを顔に装着したときの、折り目をシート状部材の左側から右側に形成し、折り目より上側の前記シート状部材を、上側が顔から離れるように、折り目に沿って折り曲げることが可能な、マウスシールド。
【0009】
また、顔に装着したときのシート状部材の下側が、幅広になっていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、簡単に、口部分の開閉を可能とするマウスシールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係るシート状部材の平面図である。この図では、耳掛け固定部材を省略している。
【
図2】
図1の左側面模式図である。この図では、耳掛け固定部材を省略している。
【
図3】本実施の形態に係るマウスシールドを人間が装着し、口元を覆う状態を示す図である。この図では、耳掛け固定部材を省略している。
【
図4】本実施の形態に係るマウスシールドを人間が装着し、口部分の開いた状態を示す図である。この図では、耳掛け固定部材を省略している。
【
図5】本実施の形態に係る切り込み(20b)の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(マウスシールドの構成)
以下、本実施の形態について、図面に基づいて説明する。マウスシールド10は、口元を覆うものであり、
図1に示すように、シート状部材11が、可撓性を有する厚み0.1mmのポリエチレンテレフタレートの板状である。
【0013】
図1に直線の矢印を付して、シート状部材11を表現するのに、上下左右がどの方向を指すのかを明らかにした。この上下左右は、他の図でシート状部材11を表現する際にも適用する。また、この「上」は、マウスシールド10を顔に装着したときに頭の側を示している。
【0014】
また、シート状部材11には、折り目20を設けた(
図1に記載なし、
図2に記載)。折り目20は、切り込み20a,20b,20c,20dに沿った直線である。折り目20には、切残し部13a,13b,13cを残した切り込み20a,20b,20c,20dを形成している。切り込み20a,20b,20c,20dを挟んで両側のシート辺(上側シート辺12a,下側シート辺12b)の面同士を切残し部13a,13b,13cで繋げている。
【0015】
なお、上側シート辺12aの上側の両端は、大きな丸み14a,14bが形成されている。さらに、切り込み20a,20b,20c,20dの左右の上下端にも小さな丸み15a,15b,15c,15dが形成されている。また、下側シート辺12bの下端にも小さな丸み15e,15fが形成されている。
【0016】
ここで、「切残し部13a,13b,13c」は、切り込み20a,20b,20c,20dの延長線上にある、切られていないシート状部材11の部分を言う。また、ここで、切り込み20aは、切り込み20bの延長線上に形成されている(20c,20dも同様)。言い換えると、シート状部材11に複数の切り欠き20a,20b,20c,20dが形成され、その間を切残し部13a,13b,13cとしている
【0017】
また、
図2には下端に柔らかい棒状のスポンジ25が、配置していることを表している。スポンジ25は、直方体で、下側シート辺12bに沿った長さが、20cm、
図2からみた長辺が3cm、短辺が2cmである。また、ゴム紐(耳掛け固定部材)は、穴16a,16b,16c,16dに固定して使用するものだが、図示を省略している。
【0018】
なお、下側シート辺12bが、上側シート辺12aよりも左右端側に幅広になっている。その幅広になった部分に穴16a,16b,16c,16dが形成されている。
(マウスシールドの動作)
【0019】
まず、マウスシールド10を顔に装着したときの、折り目をシート状部材11の左側から右側に形成し、折り目より下側のシート状部材の、顔に対向する面に、顔と前記シート状部材との間のスポンジ25が配置されている。
【0020】
図3に、マウスシールド10を人間30の口元に装着した状態を示している。この状態では、下側シート辺12bが、左右方向に引っ張られており、左右方向に凸に撓んでいる。その凸が人間30の口元を覆っている。
【0021】
図3の状態から折り目20に沿って上側シート辺12aを下側に折り返す(
図4)。この折返しは、凸に撓んだ上側シート辺12aを逆の凸(凹)にするように変形する。これで上側シート辺12aと下側シート辺12bが重なり合い、当初の左右方向に凸に撓んでいる状態となる。また、これで口元付近の上側シート辺12aが顎から喉の方へ配置され、口部分が開く。
【0022】
その後、上記の折返しを元に戻すように折り返すと、上側シート辺12aが口元付近を再び覆うこととなる(
図3)
【0023】
(本実施の形態によって得られる主な効果)
本実施の形態では、簡単に、口部分の開閉を可能とするマウスシールド10を提供することができた。これで、コロナ禍等の中でも、会食、宴会等飲食を伴うイベントに気楽に参加することができる。
【0024】
また、マウスシールド10を顔に装着したときの、折り目20をシート状部材11の左側から右側に形成し、折り目20より上側のシート状部材11を、上側が顔から離れるように、折り目20に沿って折り曲げることが可能である。そのため、
図3から
図4の動作が可能となり、口部分の開閉を可能とするマウスシールド10を提供することができた。
【0025】
また、折り目20は、切り込み20a,20b,20c,20dを形成するだけなので、安価にマウスシールド10を製造することができる。また厚み0.1mmのポリエチレンテレフタレートに切り込み20a,20b,20c,20dを形成するので、楽に且つ安価にシート状部材11に切り込み加工をすることができる。
【0026】
また、シート状部材11の下端に柔らかい棒状のスポンジ25が、配置されている。そのため、シート状部材11と顔との間にスペーサを配置しているのと同等を効果があり、シート状部材11と顔との間に隙間ができる。その隙間に手を突っ込んで、マウスシールドの動作をさせるため、動作を楽に行うことができる。
【0027】
また、下側シート辺12bが、上側シート辺12aよりも左右端側に幅広になっている。そのため、下側に行きがちな飛沫を効率よく遮蔽することができる。特に
図4に示す状態では上側シート辺12aが下側シート辺12bよりも下に配置されているため、下側に行きがちな飛沫を効率よりよく遮蔽することができる。
【0028】
また、上側シート辺12aの上側の両端は、大きな丸み14a,14bが形成されている。さらに、切り込み20の左右の上下端にも小さな丸み15a,15b,15c,15dが形成されている。また、下側シート辺12bの下端にも小さな丸み15e,15fが形成されている。これら大きな丸み14a,14bと小さな丸み15a,15b,15c,15d,15e,15fは、これらを人間の手等で扱うときに、尖った箇所がなく、痛みを感じずに安心して扱えるメリットがある。
【0029】
また、マウスシールド10は、上側シート辺12aを下側シート辺12bと重ねるだけで、口部分の開放を可能とするため、操作が楽である。しかも、下側シート辺12bが左右方向に引っ張られており、左右方向に凸に撓んでいる。そのため、上側シート辺12aを下側シート辺12bとがの重なりが安定的となる(
図4)。
【0030】
もちろん、
図3に示す、マウスシールド10を人間30の口元に装着した状態での、下側シート辺12bが、左右方向に引っ張られ、左右方向に凸に撓んでおり、その撓みが上側シート辺12aをも撓ませた状態も特に上下方向に安定的である。
【0031】
(他の形態)
上述した本実施の形態に係るマウスシールド10は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0032】
たとえば、切り込み20a,20b,20c,20dは、
図5に示したように全体が切り欠き21であっても良いし、一部が切り欠き21であっても良い。すなわち20a,20b,20c,20dは、「切り欠きまたは切り込み」であれば良い。また、切り込みの数も4つに限らない。さらに、切り込み20a,20dのようにシート状部材11の端に切り込みを設けなくても良い。
【0033】
また、
図5に示す切り込み20aの端には、丸い穴22a,22bが形成されている。これは、切り込みの端の部分は更に「切残し部」に向かって切られやすいため、それを防ぐために、丸い穴22a,22bを設けたものである。この丸い穴22a,22bの構成は切り込み20a,20b,20c,20dにも適用できる。
【0034】
下側シート辺12bが、上側シート辺12aよりも左右端側に幅広になっている。しかし、これは必須の構成要素ではないため省略することができる。
【0035】
また、シート状部材11の材質は、ポリエチレンテレフタレートに限らないし、厚みも0.1mm以外としても良い。
【0036】
また、上側シート辺12aの上側の両端は、大きな丸み14a,14bが形成されている。さらに、切り込み20の左右の上下端にも小さな丸み15a,15b,15c,15dが形成されている。また、下側シート辺12bの下端にも小さな丸み15e,15fが形成されている。これら大きな丸み14a,14bと小さな丸み15a,15b,15c,15d,15e,15fは、必須の構成要素ではないため省略することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、折り目20を切り込み20a,20b,20c,20dで構成している。しかし、これらに限らずドアのラッチ等で構成しても良い。
【0038】
また、折り目20は、切り込み20a,20b,20c,20dに沿った直線である。しかし、折り目20は、直線ではなく円弧状等、他の形状にしても良い。
【0039】
また、スポンジ25は、直方体で、下側シート辺12bに沿った長さが、20cm、
図2からみた長辺が3cm、短辺が2cmである。しかし、スポンジ25の形状は円柱等の他の形状としても良いし、直方体であったとしても、各部の寸法等は変更してもよい。さらに、スポンジ25はシート状部材11と顔との間のスペーサとして機能するが、スペーサの材質は、ゴム等、他の材料を用いても良い。
【0040】
また、マウスシールド10と顔をくっつける部材として、マウスシールド10に固定した耳掛け固定部材(ゴム紐)を耳の裏に引っ掛けている。しかし、ゴム紐に代えてゴム伸縮しない紐等を用いても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 マウスシールド
11 シート状部材
20 折り目
20a,20b,20c,20d 切り込み
21 切り欠き
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