(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094607
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】二酸化炭素輸送用容器、二酸化炭素輸送方法および二酸化炭素排出方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20220620BHJP
F17C 1/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207583
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】520145034
【氏名又は名称】松宮 昭
(71)【出願人】
【識別番号】520429543
【氏名又は名称】タケシ マツミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松宮 昭
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB13
3E172BA04
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB18
3E172BC06
3E172BC08
3E172BD01
3E172BD03
3E172BD05
3E172CA14
3E172CA19
3E172CA29
3E172DA90
3E172EA02
3E172EB02
3E172EB08
3E172EB20
(57)【要約】
【課題】内部に収容した二酸化炭素を短時間で略完全に排出することができる二酸化炭素輸送用容器等を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、二酸化炭素輸送用容器(2)であって、剛性のアウタサポート部(1)内に配置される容器本体(4)を備え、容器本体が剛性の筒状のタンク部(8)と、風船形状を有し吹込み口をタンク部の一端に接続した状態でタンク部内に配置されタンク部内で膨張収縮可能な二酸化炭素収容用の可撓性のインナチューブ(10)と、タンク部内でインナチューブの他端側に配置されインナチューブをタンク部の一端側に向けて押圧できるように構成された押圧装置(23、42、44)と、を備えている二酸化炭素輸送用容器が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素輸送用容器であって、
剛性のアウタサポート部内に配置される容器本体を備え、
前記容器本体が、
剛性の筒状のタンク部と、
風船形状を有し吹込み口を前記タンク部の一端に接続した状態で前記タンク部内に配置され前記タンク部内で膨張収縮可能な二酸化炭素収容用の可撓性のインナチューブと、
前記タンク部内で前記インナチューブの他端側に配置され前記インナチューブを前記タンク部の一端側に向けて押圧できるように構成された押圧装置と、を備えている、
ことを特徴とする二酸化炭素輸送用容器。
【請求項2】
前記押圧手段が、前記タンク部内で膨張収縮可能なガス抜きチューブを有し、
前記ガス抜きチューブは、前記タンク部の内部空間を満たす体積まで膨張可能である、
請求項1に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項3】
前記押圧手段が、前記タンク部内に該タンクの長手方向軸線に直交するように配置された押出しプレートと、該押出しプレートを前記タンク部の一端方向に押圧する押出しロッドとを有している、
請求項1に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項4】
前記タンク部が、さらに、一端側に配置され二酸化炭素出入口用開口を有するキャップ部を有し、
前記インナチューブの二酸化炭素用出入り口が、前記キャップ部の二酸化炭素用出入口用開口に取付けられている、
請求項2または3に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項5】
前記アウタサポートが、貨物輸送用コンテナである、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項6】
前記アウタサポートが、略矩形状の剛性フレームである、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項7】
前記剛性フレームが組み立て式である、
請求項6に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項8】
前記タンク部は、前記アウタサポートの対向する角部のそれぞれと該タンク部とを連結する補強ブラケットをさらに備えている、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の二酸化炭素輸送用容器。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の二酸化炭素輸送用容器に加圧された二酸化炭素を充填して輸送する、
ことを特徴とする二酸化炭素輸送方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の二酸化炭素輸送用容器から二酸化炭素を排出する方法であって、
前記押圧装置を作動させて前記インナチューブを押圧しながら、前記インナチューブから二酸化炭素を排出するステップを備えている、
ことを特徴とする二酸化炭素排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素輸送用容器、二酸化炭素輸送方法および二酸化炭素排出方法に関し、詳細には、コンテナ程度の大きさの比較的、小容量の二酸化炭素輸送用容器、このような容器を使用した二酸化炭素輸送方法、およびこのような容器からの二酸化炭素排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化防止の観点から二酸化炭素を大気中に放出することが問題視されてきている。このような問題に対処するため、火力発電所等で発生した二酸化炭素を回収し、貯留することが提案されている。
【0003】
一般に、二酸化炭素を貯留する貯留地は、火力発電所等の二酸化炭素発生場所から離れた場所にあることが多い。従って、火力発電所等から回収した二酸化炭素を遠隔の貯留地まで輸送することが必要となり、場合によっては、この輸送は、海上輸送となる。
【0004】
輸送効率の点からは、このような二酸化炭素の輸送は、大容量の容器あるいはタンクに収容して行なうことが望ましい。
【0005】
しかしながら、二酸化炭素の発生場所あるいは二酸化炭素の貯留場所が、このような大容量の容器あるいはタンクを持ち込むことが困難な場所に位置する場合がある。このような場合には、例えば、貨物輸送で使用されるコンテナ程度の小容量の容器あるいはタンクを多数、準備し、これらに二酸化炭素を収容して二酸化炭素の輸送を行なうことが必要となる。そして、二酸化炭素は、輸送効率の観点から高圧状態で輸送されるため、その輸送に用いられる容器あるいはタンクとしては、金属製の耐圧容器を使用することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来型の容器あるいはタンクでは、容器あるいはタンクから二酸化炭素を排出する際、容器あるいはタンク内の二酸化炭素の圧力が大気圧より高いときには、容器あるいはタンクから二酸化炭素が自噴するが、容器あるいはタンク内の二酸化炭素の圧力が大気圧と略等しくなると容器あるいはタンクからの二酸化炭素の自噴が停止してしまう。
【0007】
一方、温暖化防止観点から、容器あるいはタンクに収容されていた二酸化炭素は、容器あるいはタンク内に残留させずに容器あるいはタンクから略完全に排出することが望まれている。このため、容器あるいはタンク内に水などの流体でパージすることによって、容器あるいはタンク内から二酸化炭素を完全に排出することが考えられる。
【0008】
しかしながら、上記排出方法では、多数の容器あるいはタンクの各々に水などの液体を注入して二酸化炭素を完全に排出し、その後、この液体を容器あるいはタンクから排出することになる。このため、二酸化炭素の排出作業に要する時間が長くなる、という問題があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、内部に収容した二酸化炭素を短時間で略完全に排出することができる二酸化炭素輸送用容器を提供することを目的としている。
【0010】
また、内部に収容した二酸化炭素を略完全に短時間で排出することが容易である二酸化炭素輸送用容器を使用した二酸化炭素輸送方法を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、二酸化炭素輸送用容器から二酸化炭素を短時間で排出することができる二酸化炭素排出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、
二酸化炭素輸送用容器であって、
剛性のアウタサポート部内に配置される容器本体を備え、
前記容器本体が、
剛性の筒状のタンク部と、
風船形状を有し吹込み口を前記タンク部の一端に接続した状態で前記タンク部内に配置され前記タンク部内で膨張収縮可能な二酸化炭素収容用の可撓性のインナチューブと、
前記タンク部内で前記インナチューブの他端側に配置され前記インナチューブを前記タンク部の一端側に向けて押圧できるように構成された押圧装置と、を備えている、
ことを特徴とする二酸化炭素輸送用容器が提供される。
【0013】
このような構成によれば、インナチューブに収容された高圧の二酸化炭素をインナチューブの吹込み口から排出していくとき、インナチューブ内の二酸化炭素の圧力が大気圧に近い状態になったとき、タンク部内の押圧装置を作動させ、インナチューブを押圧して収縮させることにより、インナチューブ内に残存している二酸化炭素の効率的に排出させることができる。この結果、インナチューブ内に収容した二酸化炭素を短時間で排出することが可能となる。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記押圧手段が、前記タンク部内で膨張収縮可能なガス抜きチューブを有し、
前記ガス抜きチューブは、前記タンク部の内部空間を満たす体積まで膨張可能である。
【0015】
このような構成によれば、ガス抜きチューブをタンク部内の内部空間を満たす体積まで膨張させることにより、インナチューブ内に収容した二酸化炭素を短時間で略完全に排出することが可能となる。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記押圧手段が、前記タンク部内に該タンクの長手方向軸線に直交するように配置された押出しプレートと、該押出しプレートを前記タンク部の一端方向に押圧する押出しロッドとを有している。
【0017】
このような構成によれば、押出しロッドによって押出しプレートをタンク部の一端まで移動させることにより、インナチューブ内に収容した二酸化炭素を短時間で略完全に排出することが可能となる。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記タンク部が、分割可能な上半部と下半部とを備えた筒状形状を有している。
【0019】
このような構成によれば、タンク部が分割可能であるので、二酸化炭素を収容しないときには、分解して搬送、保管等することが可能となり、省スペース化が実現される。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記タンク部が、さらに、一端側に配置され二酸化炭素出入口用開口を有するキャップ部を有し、
前記インナチューブの二酸化炭素用出入口が、前記キャップ部の二酸化炭素用出入口用開口に取付けられる。
【0021】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記アウタサポートが、貨物輸送用コンテナである。
【0022】
このような構成によれば、
既存の貨物輸送用コンテナを利用して二酸化炭素を輸送することが可能となる。
【0023】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記アウタサポートが、略矩形状の剛性フレームである。
【0024】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記剛性フレームが組み立て式である。
【0025】
このような構成によれば、
二酸化炭素を収容しない状態で二酸化炭素輸送用容器を保管・搬送等する際に、アウタサポートを分解して保管・輸送等できるので、省スペース化が実現される。
【0026】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記タンク部は、前記アウタサポートの対向する角部のそれぞれと該タンク部とを連結する補強ブラケットをさらに備えている。
【0027】
このような構成によれば、
貨物輸送用コンテナ等のアウタサポート内でタンク本体を固定できるので、タンク本体に外力が加わって変形が生じることが抑制される。
【0028】
本発明の他の態様によれば、
上記何れかの二酸化炭素輸送用容器のインナチューブに加圧された二酸化炭素を充填して輸送する二酸化炭素輸送方法が提供される。
【0029】
本発明の他の態様によれば、
上記何れかの二酸化炭素輸送用容器から二酸化炭素を排出する方法であって、
前記押圧装置を作動させて前記インナチューブを押圧しながら、前記インナチューブから二酸化炭素を排出するステップを備えている、
ことを特徴とする二酸化炭素排出方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、内部に収容した二酸化炭素を短時間で略完全に排出することができる二酸化炭素輸送用容器が提供される。
【0031】
また、本発明によれば、内部に収容した二酸化炭素を略完全に短時間で排出することが容易である二酸化炭素輸送用容器を使用した二酸化炭素輸送方法が提供される。
【0032】
さらに、本発明によれば、二酸化炭素輸送用容器から二酸化炭素を短時間で排出することができる二酸化炭素排出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の好ましい態様の二酸化炭素輸送用容器の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った二酸化炭素輸送用容器の断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った二酸化炭素輸送用容器の断面図である。
【
図4】二酸化炭素輸送用容器のタンク部の模式的な分解斜視図である。
【
図5】二酸化炭素輸送用容器への二酸化炭素充填工程を説明する二酸化炭素輸送用容器の
図2と同様の模式的な断面図である。
【
図6】二酸化炭素輸送用容器からの二酸化炭素排出工程を説明する二酸化炭素輸送用容器の
図2と同様の模式的な断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の二酸化炭素輸送用容器の二酸化炭素充填状態を示す
図2と同様の模式的な断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態の二酸化炭素輸送用容器からの二酸化炭素排出工程を説明する
図2と同様の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に沿って本願発明の好ましい実施形態の二酸化炭素輸送用容器について説明する。
図1は、貨物輸送用コンテナ1内に配置された二酸化炭素輸送用容器2の構成を示す模式的な斜視図であり、
図2は、
図1のII-II線に沿った二酸化炭素輸送用容器2の断面図であり、
図3は、
図1のIII-III線に沿った二酸化炭素輸送用容器2の断面図である。尚、
図2および
図3は、内部に二酸化炭素が略完全に充填された状態の図面である。
【0035】
また、本明細書において二酸化炭素とは、純粋な二酸化炭素のみならず、二酸化炭素を主成分とする流体全般を意味する。
【0036】
本実施形態に剛性のアウタサポート部である貨物輸送用コンテナ1は、例えば、鋼鉄、アルミニウムなどで製造され規格化された直方体形状のISO規格に基づく貨物輸送用コンテナが使用されるのが好ましい。具体的には、例えば、幅2.352m、高さ2.395m、奥行き12.03mの貨物輸送用コンテナが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
また、輸送中に、内部の二酸化炭素の温度上昇を抑制するため、二酸化炭素を低温で輸送する場合には、貨物輸送用コンテナ1は、内部の温度調整が可能な所謂リーファー・コンテナであるのがよい。
【0038】
本実施形態の二酸化炭素輸送用容器2は、このような貨物輸送用コンテナ1内に配置され、内部に高圧の二酸化炭素を収容する搬送容器である。
【0039】
図1ないし
図3に示されているように、二酸化炭素輸送用容器2は、貨物輸送用コンテナ1内に配置され二酸化炭素を収容する容器本体4によって構成されている。
本実施形態の容器本体4は、両端が閉鎖された略円筒形状を備え、貨物輸送用コンテナ1の内部空間を略満たす寸法を有している。また、容器本体4は、内部に二酸化炭素を出し入れする出入口6を長手方向一端側に備えている。
【0040】
容器本体4は、外方側に配置された剛性のタンク部8と、タンク部8内に配置された二酸化炭素収容用の可撓性および伸縮性を有するインナチューブ10とを備えている。タンク部8は、金属等の剛性材料で形成され、容器本体4の両端が閉鎖された略円筒形状を構成している。
【0041】
図4は、タンク部8の模式的な分解斜視図である。
図4に示されているように、タンク部8は、上半部12と下半部14に2分割可能な円筒状のタンク本体16と、タンク本体16の一端側を閉鎖する一端側キャップ18と、タンク本体16の他端側を閉鎖する他端側キャップ20とを備えている。
【0042】
本実施形態では、上半部12と下半部14とは、略同一形状の半円筒形状を有し、側縁部に設けられた外方に向かって延びるフランジ部同士が、ボルト等の連結具(図示せず)で連結されることによって円筒状のタンク本体16を形成している。この連結具には、シャーナットを使用してもよい。
【0043】
また、一端側キャップ18と他端側キャップ20とは、外周端に雌ねじ部を備え、この雌ねじ部を、タンク本体16の一端側開口と他端側開口の外周に形成された雄ネジ部にねじ込むことにより、タンク本体16に取付けられタンク部8を形成している。
また、一端側キャップ18には、容器本体4の出入口6を構成する開口22が形成されている。
【0044】
また、インナチューブ10は、収容する二酸化炭素を透過させず、可撓性を有し膨張可能なゴム等の材料で形成され、内部に二酸化炭素を出し入れすることによりタンク部8内で膨張収縮可能な風船状の部材であり、インナチューブ10は、膨張時には、タンク部8の内部空間を満たす寸法を備えている。
【0045】
また、インナチューブ10の吹込み口24は、タンク部8の一端側キャップ18に形成された開口22に取付けられ、容器本体の外部から、吹込み口24を通して、インナチューブ10内に二酸化炭素を出し入れすることが出来るように構成されている。
【0046】
インナチューブ10は、タンク部8の内部空間の寸法より大きな体積まで膨張可能であるので、加圧状態の二酸化炭素がタンク部8に収容されているインナチューブ10に充填されると、インナチューブ10は、タンク部8の内周面に当接する寸法まで膨張し、タンク部8によって更なる膨張が制限される。したがって、この状態では、インナチューブ10の内圧は、タンク部8によって支持されることになる。
【0047】
さらに、タンク部8内の他端側には、押圧装置を構成する可撓性のガス抜きチューブ26が配置されている。すなわち、ガス抜きチューブ26は、インナチューブ10を挟んで、容器本体4の出入口6の反対側に位置している。ガス抜きチューブ26も、ゴム等の可撓性および伸縮性を有する材料で形成され、タンク部8内で膨張収縮可能に構成された風船状の部材である。そして、内部に空気等の流体を導入することによりタンク部8の内部空間を満たす体積まで膨張可能に構成されている。
【0048】
本実施形態では、ガス抜きチューブ26は、タンク部8の他端側キャップ20に取付けられている。この他端側キャップ20には、ガス抜きチューブ26の吹込み口に連通するバルブ(図示せず)が取付けられている。本実施形態は、このバルブを介して、外部に設けられたコンプレッサがガス抜きチューブ26の内部に連通するように構成されている。本実施形態は、バルブを開いた状態で、コンプレッサからの高圧流体をガス抜きチューブ26に導入してガス抜きチューブ26を膨張させることができるように構成されている。
【0049】
更に、本実施形態の二酸化炭素輸送用容器2は、
図3に示すように、タンク部8が、貨物輸送用コンテナ1の対向する角部のそれぞれとタンク部8とを連結する補強ブラケット30をさらに備えている。
【0050】
詳細には、補強ブラケット30は、タンク部8に設けられた結合フランジ8aとコンテナ1のフレーム固定部1aとの間に配置されたフランジ受け調整ギアユニット31を備えている。
【0051】
図3に示されているように、フランジ受け調整ギアユニット31は、外周に螺旋が切られ、矢印Aで示すように長手方向軸線を中心に回転可能な調整ロッド31aを有している。調整ロッド31aは、一端がタンク部8に設けられた結合フランジ8aに、他端がコンテナ1のフレーム固定部1aに、ねじ込まれている。本実施形態は、調整ロッド31aが回転することにより、タンク部8に設けられた結合フランジ8aとコンテナ1のフレーム固定部1aとの間の張力を調整することができるように構成されている。
【0052】
調整ロッド31aには、該調整ロッド31aと一体的に回転する調整ギア31bが固定されている。
【0053】
フランジ受け調整ギアユニット31は、更に、外周に螺旋が切られ、図示しない動力源によって矢印B方向に回転駆動させられる作動ロッド31cを備えている。作動ロッド31cの外周の螺旋部は、調整ギア31bに噛合っている。
この結果、作動ロッド31cの回転が、調整ギア31bを介して、調整ロッド31aの回転に変換され、タンク部8に設けられた結合フランジ8aとコンテナ1のフレーム固定部1aとの間の張力を調整することになる。
【0054】
次に、二酸化炭素輸送用容器2への二酸化炭素の充填と二酸化炭素輸送用容器2からの二酸化炭素の排出について説明する。
【0055】
図5は、インナチューブ10の内部に二酸化炭素が充填されていない状態での二酸化炭素輸送用容器2の
図2と同様の模式的な断面図である。
図6は、ガス抜きチューブを膨張させることによってインナチューブ10からの二酸化炭素排出を促進している状態を説明する二酸化炭素輸送用容器2の
図5と同様の模式的な断面図である。
【0056】
貨物輸送用コンテナ1内に配置されている二酸化炭素輸送用容器2(
図5)に二酸化炭素を導入する際には、貨物輸送用コンテナ1の一部を開放し、一端側キャップ18に取付けられているインナチューブ10の吹込み口24から、インナチューブ10内に、例えば、200Bar程度の圧力の二酸化炭素を導入する。
【0057】
導入された二酸化炭素によってインナチューブ10が膨張してタンク部8の内部空間を完全に満たした段階(
図2)で、二酸化炭素の導入を終了し、インナチューブ10の吹込み口24に設けられている高圧バルブを閉鎖することによって、インナチューブの吹込み口24を閉鎖する。
【0058】
次いで、貨物輸送用コンテナ1を閉鎖して、トラック、船舶等の輸送手段によって二酸化炭素輸送用容器2を、二酸化炭素の貯留地等の目的地に向けて搬送する。
【0059】
貨物輸送用コンテナ1が温度等の内部環境を調整できるリーファー・コンテナ等である場合には、適宜、貨物輸送用コンテナ1内の内部環境を調整しながら搬送が行なわれる。
【0060】
二酸化炭素を収容した二酸化炭素輸送用容器2が、二酸化炭素の貯留地等の目的地に到着すると、二酸化炭素輸送用容器2から二酸化炭素が排出される。
【0061】
上述したように、二酸化炭素は、二酸化炭素輸送用容器2内に加圧状態で収容されているため、インナチューブ10の吹込み口24を開放することにより、インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧近傍の圧力に低下するまで二酸化炭素輸送用容器2の出入り口から自噴する。
【0062】
インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧近傍の圧力に低下すると、二酸化炭素輸送用容器2の出入口から自噴の速度が低下する。
図6に示されているように、この段階で、ガス抜きチューブに矢印Cで示すように空気を送り込んで膨張させ、インナチューブ10を矢印Dで示すように他端側から一端側に向けて押圧し、インナチューブ10内に残存している二酸化炭素を矢印Eで示すように出入口から外方に押し出す。
【0063】
尚、ガス抜きチューブの膨張は、インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧より高い状態で開始してもよい。
【0064】
ガス抜きチューブをタンク部8の内部空間を満たす体積まで膨張させることにより、インナチューブ10内の二酸化炭素を略完全に排出することができる。
【0065】
次に、本願発明の他の好ましい実施形態の二酸化炭素輸送用容器40について説明する。
図7は、他の好ましい実施形態の二酸化炭素輸送用容器の二酸化炭素充填状態を示す
図2と同様の模式的な断面図であり、
図8は、他の実施形態の二酸化炭素輸送用容器からの二酸化炭素排出工程を説明する
図2と同様の模式的な断面図である。
【0066】
他の好ましい実施形態の二酸化炭素輸送用容器40は、二酸化炭素輸送用容器2と同様の基本構成を有している。二酸化炭素輸送用容器40の二酸化炭素輸送用容器2との相違は、押圧装置として、ガス抜きチューブ26に代えて、押出しプレート42と押出しロッド44とを備えている押圧装置が設けられている点である。
【0067】
二酸化炭素輸送用容器40の押圧装置を構成する押出しプレート42は、円筒状のタンク部の長手方向軸線に直交する方向の断面と略同一の寸法形状を有する板状部材であり、表面がタンク部の長手方向軸線に直交する配向で、タンク部8内のインナチューブ10の他端側の位置に配置されている。
【0068】
押出しロッド44は、タンク部8の他端側キャップ20を貫通してタンク部8内に延び、先端が押出しプレート42の裏面(タンク部8の他端側の面)に接続される。押出しロッド44は図示しない駆動源によって、タンク部8の長手方向軸線に沿って往復動可能であり、押出しプレート42をタンク部8の他端(
図7の右端)から一端(
図7の左端)まで移動させ、押出しプレート42の一端側位置に配置されているインナチューブ10をタンク部8の一端側方向に向けて押圧して押しつぶすことができるように構成されている。
【0069】
次に、二酸化炭素輸送用容器40への二酸化炭素の充填と二酸化炭素輸送用容器40からの二酸化炭素の排出について説明する。
【0070】
次に、二酸化炭素輸送用容器40への二酸化炭素の充填は、押出しプレート42をタンク部8の他端(
図7の右端)に配置した状態で、二酸化炭素輸送用容器2の場合と同様に、貨物輸送用コンテナ1の一部を開放し、一端側キャップ18に取付けられているインナチューブ10の吹込み口24から、インナチューブ10内に、例えば、200Bar程度の圧力の二酸化炭素を導入する。
【0071】
導入された二酸化炭素によってインナチューブ10が膨張してタンク部8の内部空間を完全に満たした段階で、二酸化炭素の導入を終了し、インナチューブ10の吹込み口24に設けられている高圧バルブを閉鎖することによって、インナチューブの吹込み口24を閉鎖する(
図7)。
【0072】
次いで、貨物輸送用コンテナ1を閉鎖して、トラック、船舶等の輸送手段によって二酸化炭素輸送用容器40を、二酸化炭素の貯留地等の目的地に向けて搬送する。
【0073】
二酸化炭素を収容した二酸化炭素輸送用容器40が、二酸化炭素の貯留地等の目的地に到着すると、二酸化炭素輸送用容器40から二酸化炭素が排出される。
【0074】
上述したように、二酸化炭素は、二酸化炭素輸送用容器40内に加圧状態で収容されているため、インナチューブ10の吹込み口24を開放することにより、インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧近傍の圧力に低下するまで二酸化炭素輸送用容器40の出入り口から自噴する。
【0075】
インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧近傍の圧力に低下すると、二酸化炭素輸送用容器40の出入口から自噴の速度が低下する。
図8に示されているように、この段階で、押出しロッド44によって押出しプレート42を矢印Fで示すように移動させ、インナチューブ10をタンク部8の他端側から一端側に向けて押圧して押しつぶし、インナチューブ10内に残存している二酸化炭素を矢印Gで示すように出入口から外方に押し出す。
【0076】
尚、押出しプレート42による押圧は、インナチューブ10内の二酸化炭素の圧力が大気圧より高い状態で開始してもよい。
【0077】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0078】
上記実施形態の二酸化炭素輸送用容器の説明では、剛性のアウタサポート部が貨物輸送用コンテナであったが、アウタサポート部は貨物輸送用コンテナに限定されるものではなく、組立て式の矩形状フレーム等であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:貨物輸送用コンテナ
2:二酸化炭素輸送用容器
4:容器本体
6:出入口
8:タンク部
10:インナチューブ
12:上半部
14:下半部
16:タンク本体
18:一端側キャップ
20:他端側キャップ
22:開口
24:吹込み口
26:ガス抜きチューブ