(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094634
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】マンコンベア用の除菌装置
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207631
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 智也
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321HA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大がかりな設置工事を必要とせず、既設のマンコンベアに簡易に取り付け可能であり、また、利用者の手が引き込まれる心配のないマンコンベア用の除菌装置を提供する。
【解決手段】第1の乗降口と第2の乗降口との間に設けられ、複数の踏段と共に循環移動する手摺りベルト17を備えたマンコンベアに用いられる。除菌装置31は、電源部32と、アーム部材33と、照射部34とを備える。電源部32は、手摺りベルト17よりも幅方向外側に設けられたアウターデッキの上面に載置される。アーム部材33は、電源部32から延出され、アウターデッキの上面に加工された挿入口を通じてアウターデッキ内に挿入される。照射部34は、アーム部材33の先端部33aに取り付けられ、アウターデッキ内を移動する手摺りベルト17の表面上に殺菌光を照射する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の乗降口と第2の乗降口との間に設けられ、複数の踏段と共に循環移動する手摺りベルトを備えたマンコンベアに用いられる除菌装置であって、
上記手摺りベルトよりも幅方向外側に設けられたアウターデッキの上面に載置される電源部と、
この電源部から延出され、上記アウターデッキの上面に加工された挿入口を通じて上記アウターデッキ内に挿入されるアーム部材と、
このアーム部材の先端部に取り付けられ、上記アウターデッキ内を移動する上記手摺りベルトの表面上に殺菌光を照射する照射部と
を具備したことを特徴とするマンコンベア用の除菌装置。
【請求項2】
上記照射部は、
上記アーム部材を上記挿入口から上記手摺りベルトに向けて挿入したときに、上記手摺りベルトに当接しないように、上記アーム部材の先端部に傾きを持って取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項3】
上記照射部は、
上記アウターデッキ内で上記手摺りベルトの下部に配置され、上記手摺りベルトの一端側から上記手摺りベルトの表面に向けて殺菌光を照射するための複数の発光体を備えていることを特徴とする請求項2記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項4】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の向きが上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項3記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項5】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の照射力が上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項3記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項6】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の向きと照射力が上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項3記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項7】
上記殺菌光は、少なくとも紫外線を含む請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項8】
上記電源部が上記アウターデッキの上面に載置されたときに上記電源部を覆うカバー部材をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項9】
上記電源部は、
交換可能な二次電池を有することを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばエスカレータや動く歩道などのマンコンベアに用いられる除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エスカレータの左右一対の欄干には、手摺りベルトが設けられており、踏段の移動と共に循環移動している。手摺りベルトは、利用者の転倒防止のための安全対策として設けられている。しかし、手摺りベルトは不特定多数の利用者が直接触れる部分であり、手摺りベルトを掴まない利用者が多い。
【0003】
そこで、手摺りベルトを洗浄あるいは除菌する装置を備えたエスカレータが考えられている。しかし、新設のエスカレータに洗浄・除菌用の特別な装置を組み込んでおくことは、大がかりな設置工事を必要とし、コストもかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、感染力の強いウイルスの流行に伴い、既設のエスカレータに簡易に取り付け可能な除菌装置が求められている。この場合、例えば乗降口付近で手摺りベルトの湾曲部分に除菌装置を外付けで取り付ける方法が一般的である。しかし、除菌装置が外付けされていると、利用者の手が手摺りベルトと除菌装置の間に引き込まれる危険性がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、大がかりな設置工事を必要とせず、既設のマンコンベアに簡易に取り付け可能であり、また、利用者の手が引き込まれる心配のないマンコンベア用の除菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る除菌装置は、第1の乗降口と第2の乗降口との間に設けられ、複数の踏段と共に循環移動する手摺りベルトを備えたマンコンベアに用いられる。上記除菌装置は、電源部と、アーム部材と、照射部とを備える。上記電源部は、上記手摺りベルトよりも幅方向外側に設けられたアウターデッキの上面に載置される。上記アーム部材は、上記電源部から延出され、上記アウターデッキの上面に加工された挿入口を通じて上記アウターデッキ内に挿入される。上記照射部は、上記アーム部材の先端部に取り付けられ、上記アウターデッキ内を移動する上記手摺りベルトの表面上に殺菌光を照射する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は一実施形態に係るエスカレータの構成を部分的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は上記エスカレータに用いられる手摺りベルトの構成を示す正面断面図である。
【
図3】
図3は上記エスカレータの一方の乗降口付近の構成を模式的に示した側面図である。
【
図4】
図4は
図3のX-X方向から見た場合の除菌装置の構成を模試的に示した正面図である。
【
図5】
図5はモーションセンサを利用して上記除菌装置を起動する方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は変形例として上記除菌装置の照射部の傾きを考慮して複数の発光体の照射力を個別に調整する方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は変形例として上記除菌装置の照射部の傾きを考慮して複数の発光体の照射方向を個別に調整する方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は変形例として上記除菌装置の照射部の傾きを考慮して複数の発光体の照射力と照射方向を個別に調整する方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は上記エスカレータに対する上記除菌装置の配置例を示す図である。
【
図10】
図10は上記エスカレータに対する上記除菌装置の配置例を示す図である。
【
図11】
図11は上記エスカレータに対する上記除菌装置の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、以下ではマンコンベアの一つであるエスカレータを例にして説明する。各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
図1は一実施形態に係るエスカレータの構成を部分的に示す斜視図である。図中の11はエスカレータ全体を示す。エスカレータ11は、例えば建物の上階と下階との間に傾斜して設置される。
図2はエスカレータに用いられる手摺りベルトの構成を示す正面断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態におけるエスカレータ11は、複数の踏段12と、これらの踏段12の両側に立設された一対の欄干13とを備える。各踏段12は、例えばアルミダイガストから形成され、第1の乗降口(例えば上階の乗降口)と第2の乗降口(例えば下階の乗降口)との間を循環移動する。一対の欄干13の下部には、アウターデッキ(外デッキ)14とインナーデッキ(内デッキ)15が欄干パネル16を挟み込むようにして設けられている。欄干パネル16は、例えば透明のガラスやアクリルなどによって形成され、その欄干パネル16の周縁部には、ゴムなどで周りが覆われた手摺りベルト17が設けられている。手摺りベルト17は、各踏段12と同期して乗降口間を循環移動し、乗口側のインレット24から外に繰り出され、降口側のインレット24からアウターデッキ14内に入り込む。
【0012】
エスカレータ11の乗降口には、それぞれに踏段12と同じ幅を有するコム18が配設されている。このコム18は、踏段12の繰り出し/引き込み口で踏段12と接触することにより、踏段12に落ちたゴミなどが内部の機械室に入り込まないように阻止するためにある。乗降口の手前の床面には、所定の範囲内で乗降板19が敷設されている。この乗降板19の下に図示せぬ機械室がある。メンテナンス時に、作業員がこの乗降板19を持ち上げて機械室の中に入り込んで作業を行う。
【0013】
ここで、手摺りベルト17について説明する。
図2に示すように、手摺りベルト17は、ゴム、又は、ウレタン製であって、断面C字型である。手摺りベルト17は、中央の平面部分21と、その平面部分21の左右両側からそれぞれ湾曲するように延びた左右一対の両側部22a,22bとからなる。手摺りベルト17は、手摺レール23に支持されて、乗降口間を循環移動する。なお、アウターデッキ14とは、詳しくは、
図1に示す正面スカートガード25と外側スカートガード26に囲まれた部分をいう。このアウターデッキ14の内部(トラス内)においては、手摺りベルト17は、
図2に示すように中央の平面部分21を下して移動している。
【0014】
手摺りベルト17は、不特定多数の利用者が直接触れる部分であるため、細菌やウイルスなどが付着している可能性がある。以下では、既設のエスカレータ11に除菌装置を簡易に取り付け、手摺りベルト17を除菌する方法について説明する。
【0015】
図3はエスカレータ11の一方の乗降口付近の構成を模式的に示した側面図である。なお、
図3の例では、アウターデッキ14の形状を簡略化して示している。
図4は
図3のX-X方向から見た場合の除菌装置の構成を模試的に示した正面図である。
【0016】
本実施形態における除菌装置31は、アウターデッキ14の上面に加工された挿入口30(
図1の点線部分)を通じてアウターデッキ14の中に取り付けられる。上記挿入口30は、エスカレータ11の据え付け後に、作業員が現場にて除菌装置31のサイズに合わせて加工したものである。
【0017】
図3および
図4に示すように、除菌装置31は、電源部32と、アーム部材33と、照射部34とを備える。電源部32は、手摺りベルト17よりも幅方向外側に設けられたアウターデッキ14の上面に載置される。電源部32は、交換可能な二次電池32aを有し、導線36を介して照射部34の駆動に必要な電力を供給する。
【0018】
アーム部材33は、電源部32の一端側から所定の長さを有して延出され、アウターデッキ14の上面に加工された挿入口30を通じてアウターデッキ14内に垂直方向に挿入される。アーム部材33の長さは、アウターデッキ14の上面からアウターデッキ14内の手摺りベルト17までの距離よりも長く設計されている。
【0019】
照射部34は、アーム部材33の先端部に取り付けられている。照射部34は、手摺りベルト17の幅方向に配列された複数の発光体35a~35fを有し、アウターデッキ14内を移動する手摺りベルト17の表面上に殺菌光を照射する。
図1の例では、6個の発光体35a~35fが示されているが、発光体の数は6個に限定されるものではない。上記発光体35a~35fとして、例えばLED(light emitting diode)等の発光素子が用いられ、少なくとも紫外線を含む殺菌光を手摺りベルト17の表面に照射する。なお、殺菌用の液体を手摺りベルト17に散布する方法もあるが、液体の散布は手摺りベルト17などの部品を劣化させる可能性があるため、光の照射で除菌(殺菌)することが好ましい。
【0020】
ここで、
図4に示すように、照射部34は、アーム部材33の先端部33aに所定の角度θで傾けて取り付けられている。上記角度θは、90度より大きく(水平状態)、180度(垂直状態)よりも小さい。これは、アーム部材33の先端部に照射部34を水平に取り付けると(θ=90度)、アーム部材33を挿入口30からアウターデッキ14内に挿入したときに、照射部34が手摺りベルト17に当接してしまうためである。一方、アーム部材33の先端部に照射部34を垂直に取り付けると(θ=180度)、照射部34の照射面が手摺りベルト17に向き合わず、殺菌光を効果的に照射できない。
【0021】
そこで、
図4のように、アウターデッキ14内で照射部34の照射面が手摺りベルト17の平面部分21に向き合ように、照射部34を角度θだけ傾けて取り付けておく。除菌装置31を取り付けるときに、手摺りベルト17から少し離れた場所からアーム部材33をアウターデッキ14内に挿入し、その後、電源部32を矢印A方向(手摺りベルト17の方向)にずらして、照射部34の照射面を手摺りベルト17の平面部分21に近づける。取り付け後、電源部32をアウターデッキ14の表面にボルト等で固定し、
図3に示すようなカバー37を被せておく。
【0022】
このように、アウターデッキ14の表面に挿入口30を空けるだけの簡単な作業で、除菌装置31を簡単に取り付けることができる。この除菌装置31は、アウターデッキ14の内部に設置されるため、利用者の乗降動作の妨げになることはなく、利用者の手が挟まることもない。また、アウターデッキ14上に載置される電源部32については、カバー37を被せておくことで、利用者が電源部32に触れることを防ぐことができる。
【0023】
電源部32に用いられる二次電池32aは交換可能であり、電池残量が不足した場合や劣化した場合などに、いつでも新しい二次電池と交換できる。また、電源部32に充電用の端子を設けて、商用電源や充電器などを利用して直接充電する構成としても良い。
【0024】
除菌装置31の起動は、例えば電源部32に設けられる図示せぬ電源スイッチの操作によって行われる。エスカレータ11の運転中は、除菌装置31を常時稼働しておくことが好ましい。なお、エスカレータ11の運転と連動させて、除菌装置31を起動する方法もあるが、除菌装置31と図示せぬ機械室内の制御装置とを接続するための配線工事などを必要とする。したがって、電源スイッチの操作により、除菌装置31を単独で起動することが好ましい。
【0025】
また、例えば
図5に示すように、電源部32の近くにモーションセンサ40を設置し、このモーションセンサ40によって手摺りベルト17あるいは踏段12の動きが検知されたときに、電源スイッチを自動的にONして除菌装置31を起動する構成としても良い。除菌装置31が起動されると、
図4に示すように、照射部34の発光体35a~35fから殺菌光が手摺りベルト17に向けて照射される。これにより、手摺りベルト17に付着した細菌やウイルスが除菌された状態で、上階または下階のインレット24から繰り出される。
【0026】
この除菌装置31は、エスカレータ11の運転方向に関係なく、上階または下階の乗降口付近に設置することができる。例えば
図1に示すように、除菌装置31を下階の乗降口付近に設置(詳しくは乗降口付近のアウターデッキ14内に設置)したとする。この場合、上昇運転中、照射部34で除菌された手摺りベルト17が下階のインレット24から繰り出される。したがって、下階からエスカレータ11に乗った利用者は、除菌された手摺りベルト17を掴んで上階に行くことができる。
【0027】
一方、下降運転中は、照射部34で除菌された手摺りベルト17がアウターデッキ14の内部を通って上階のインレット24から繰り出される。この場合、手摺りベルト17がアウターデッキ14内を通っている間に除菌効果がなくなることはない。したがって、上階からエスカレータ11に乗った利用者は、除菌された手摺りベルト17を掴んで下階に行くことができる。
【0028】
(変形列)
(1)上述したように、除菌装置31の照射部34は、アーム部材33に所定の角度θで傾けて取り付けられている。このため、
図4に示すように、照射部34の照射面が手摺りベルト17と水平方向に向き合わず、手摺りベルト17の表面に殺菌光が均一に照射されない可能性がある。
【0029】
そこで、
図6に示すように、照射部34の傾きを考慮して、発光体35a~35fの照射力を個別に調整し、手摺りベルト17に近い方から段階的に照射力を強くしても良い。なお、照射力の調整は、例えば発光体35a~35fに流す電流を個々に調整することで実現できる。
図6の例では、矢印の太さが照射力の強さを表している。
【0030】
例えば、発光体35a~35fを3つのグループに分けた場合に、第1グループの発光体35a,35bの照射力をレベル1、第2グループの発光体35c,35dの照射力をレベル2、第3グループの発光体35e,35fの照射力をレベル3に調整しておく(レベル1<レベル2<レベル3)。これにより、照射部34から離れている部分(手摺りベルト17の側部22b)を含めて、手摺りベルト17の表面に殺菌光を均一に照射できる。
【0031】
(2)別の方法として、
図7に示すように、照射部34の傾きを考慮して、発光体35a~35fの照射方向を個別に調整することでも良い。なお、照射方向の調整は、例えば発光体35a~35fの設置角度を個々に調整するか、あるいは、偏光板などを用いて発光体35a~35fから照射される殺菌光の向きを個々に調整することで実現できる。
図7の例では、矢印の向きが照射方向を表している。
【0032】
例えば、発光体35a~35fを3つのグループに分けた場合に、第1グループの発光体35a,35bの殺菌光を手摺りベルト17の側部22aに向けて照射する。また、第2グループの発光体35c,35dの殺菌光を手摺りベルト17の平面部分21に向けて照射し、第3グループの発光体35e,35fの殺菌光を手摺りベルト17の側部22bに向けて照射する。これにより、手摺りベルト17の両側部22a,22bを含めて、手摺りベルト17の表面に殺菌光を均一に照射できる。
【0033】
(3)また、上記(1)の方法と上記(2)の方法を組み合わせて、
図8に示すように、照射部34の傾きを考慮して、発光体35a~35fの照射力と照射方向を個別に調整することでも良い。
図8の例では、矢印の太さが照射力の強さ、矢印の向きが照射方向を表している。
【0034】
例えば、発光体35a~35fを3つのグループに分けた場合に、第1グループの発光体35a,35bの照射力をレベル1に調整して、手摺りベルト17の側部22aに向けて照射する。第2グループの発光体35c,35dの照射力をレベル2に調整して、手摺りベルト17の平面部分21に向けて照射する。第3グループの発光体35e,35fの照射力をレベル3に調整して、手摺りベルト17の側部22bに向けて照射する。これにより、手摺りベルト17の両側部22a,22bを含めて、手摺りベルト17の表面に殺菌光を均一に照射できる。
【0035】
なお、上記実施形態では、エスカレータ11の両側の一方のアウターデッキ14に除菌装置31を取り付ける場合を想定して説明したが、他方のアウターデッキ14に対しても同様の除菌装置31が取り付けられ、当該アウターデッキ14内を移動する他方の手摺りベルト17に対して殺菌光が照射される。したがって、利用者がエスカレータ11の一方側(例えば左側)に乗る場合でも他方側(例えば右側)に乗る場合でも、除菌された手摺りベルト17を掴んで移動することができる。
【0036】
ここで、エスカレータ11の両側に除菌装置31を設置しておく場合に、設置作業の効率を考慮すると、
図9に示すように、下階または上階のエスカレータ11の両側に除菌装置31を設置しておくことが好ましい。
図9では、下階のエスカレータ11の両側に除菌装置31を設置した例が示されている。
【0037】
また、
図10に示すように、下階のエスカレータ11の一方側(例えば左側)に除菌装置31に設置し、上階のエスカレータ11の他方側(例えば右側)に除菌装置31に設置することでも良い。さらに、
図11に示すように、4つの除菌装置31を用いて、下階のエスカレータ11の両側と上階のエスカレータ11の両側に除菌装置31を設置しておくことでも良い。
【0038】
なお、本発明はエスカレータに限らず、手摺りベルトを備えていれば、動く歩道などを含む乗客コンベアのすべてに適用可能であり、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、大がかりな設置工事を必要とせず、既設のマンコンベアに簡易に取り付け可能であり、また、利用者の手が引き込まれる心配のないマンコンベア用の除菌装置を提供することができる。
【0040】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11…エスカレータ、12…踏段、13…欄干、14…アウターデッキ、15…インナーデッキ、16…欄干パネル、17…手摺りベルト、18…コム、19…乗降板、21…手摺りベルトの平面部分、22a,22b…手摺りベルトの両側部、23…手摺レール、24…インレット、25…正面スカートガード、26…外側スカートガード、30…挿入口、31…除菌装置、32…電源部、33…アーム部材、34…照射部、35a~35f…発光体、36…導線、37…カバー、40…モーションセンサ。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の乗降口と第2の乗降口との間に設けられ、複数の踏段と共に循環移動する手摺りベルトを備えたマンコンベアに用いられる除菌装置であって、
上記手摺りベルトよりも幅方向外側に設けられたアウターデッキの上面に載置される電源部と、
この電源部から延出され、上記アウターデッキの上面に加工された挿入口を通じて上記アウターデッキ内に挿入されるアーム部材と、
このアーム部材の先端部に取り付けられ、上記アウターデッキ内を移動する上記手摺りベルトの表面上に殺菌光を照射する照射部とを具備し、
上記アーム部材は、
上記アウターデッキの上面から上記アウターデッキ内の上記手摺りベルトまでの距離よりも長く設計され、
上記照射部は、
上記アーム部材を上記挿入口から上記手摺りベルトに向けて挿入したときに、上記手摺りベルトに当接しないように、上記アーム部材の先端部に傾きを持って取り付けられていることを特徴とするマンコンベア用の除菌装置。
【請求項2】
上記照射部は、
上記アウターデッキ内で上記手摺りベルトの下部に配置され、上記手摺りベルトの一端側から上記手摺りベルトの表面に向けて殺菌光を照射するための複数の発光体を備えていることを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項3】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の向きが上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項2記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項4】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の照射力が上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項2記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項5】
上記照射部は、
上記手摺りベルトの表面に均一に殺菌光が照射されるように、上記複数の発光体の向きと照射力が上記照射部の傾きを考慮して個々に調整されていることを特徴とする請求項2記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項6】
上記殺菌光は、少なくとも紫外線を含む請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項7】
上記電源部が上記アウターデッキの上面に載置されたときに上記電源部を覆うカバー部材をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【請求項8】
上記電源部は、
交換可能な二次電池を有することを特徴とする請求項1記載のマンコンベア用の除菌装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
一実施形態に係る除菌装置は、第1の乗降口と第2の乗降口との間に設けられ、複数の踏段と共に循環移動する手摺りベルトを備えたマンコンベアに用いられる。上記除菌装置は、電源部と、アーム部材と、照射部とを備える。上記電源部は、上記手摺りベルトよりも幅方向外側に設けられたアウターデッキの上面に載置される。上記アーム部材は、上記電源部から延出され、上記アウターデッキの上面に加工された挿入口を通じて上記アウターデッキ内に挿入される。上記照射部は、上記アーム部材の先端部に取り付けられ、上記アウターデッキ内を移動する上記手摺りベルトの表面上に殺菌光を照射する。
上記構成の除菌装置において、上記アーム部材は、上記アウターデッキの上面から上記アウターデッキ内の上記手摺りベルトまでの距離よりも長く設計され、上記照射部は、上記アーム部材を上記挿入口から上記手摺りベルトに向けて挿入したときに、上記手摺りベルトに当接しないように、上記アーム部材の先端部に傾きを持って取り付けられていることを特徴とする。