(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094660
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】水質測定システム及び水質測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/18 20060101AFI20220620BHJP
G01N 15/06 20060101ALI20220620BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G01N33/18 Z
G01N15/06 E
C02F1/00 V
C02F1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207669
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸男
(72)【発明者】
【氏名】丹治 輝
(57)【要約】
【課題】切替バルブ等の装置構成に由来する汚染物質の発生を抑制し、測定対象の処理水の水質を、高い精度で測定することができる、水質測定システム及び水質測定方法を提供する。
【解決手段】第1の処理水を流通させる第1の配管11と、第1の配管11から分岐し、第1のバルブV11を有する第1の分岐管11aと、第2の処理水を流通させる第2の配管12と、第2の配管12から分岐し、第2のバルブV12を有する第2の分岐管12aと、第1の配管11及び第2の配管12と接続され、第1の処理水及び第2の処理水を流通させる第3の配管13と、第3の配管13を流通する処理水の水質を測定する水質測定装置14と、を有する水質測定システム10。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の処理水を流通させる第1の配管と、
前記第1の配管から分岐し、第1のバルブを有する第1の分岐管と、
第2の処理水を流通させる第2の配管と、
前記第2の配管から分岐し、第2のバルブを有する第2の分岐管と、
前記第1の配管及び前記第2の配管と接続され、前記第1の処理水及び第2の処理水を流通させる第3の配管と、
前記第3の配管を流通する処理水の水質を測定する水質測定装置と、
を有し、
前記第3の配管は、前記第1の配管及び前記第2の配管との接続部分も含め、バルブを有しないことを特徴とする水質測定システム。
【請求項2】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブの開閉を、一方が開、他方が閉となるように切替える切替手段を有することを特徴とする請求項1に記載の水質測定システム。
【請求項3】
前記水質測定装置が、微粒子測定装置又は微生物測定装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水質測定システム。
【請求項4】
前記第1の配管と前記第2の配管は、同一の処理水が流通するように、1つの処理水を供給する第4の配管に接続して設けられ、
前記第2の配管に、微粒子又は微生物を捕捉できるフィルターを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水質測定システム。
【請求項5】
前記フィルターが微粒子を捕捉できる精密ろ過膜又は限外ろ過膜であり、前記水質測定装置が微粒子測定装置であることを特徴とする請求項4に記載の水質測定システム。
【請求項6】
前記第1のバルブと前記第2のバルブの開閉を、所定の時間で交互に繰り返し切替える制御手段を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水質測定システム。
【請求項7】
第1の処理水を、第1のバルブを備えた第1の分岐管を有する第1の配管に供給する第1の供給工程と、
第2の処理水を、第2のバルブを備えた第2の分岐管を有する第2の配管に供給する第2の供給工程と、
前記第1のバルブを閉め前記第2のバルブを開ける又は前記第1のバルブを開け前記第2のバルブを閉めて、前記第1の配管及び前記第2の配管と接続された第3の配管に、前記第1の処理水又は前記第2の処理水の一方を流通させる切替工程と、
前記第3の配管を流通する前記第1の処理水又は前記第2の処理水の水質を測定する水質測定工程と、
を有し、
前記第3の配管は、前記第1の配管及び前記第2の配管との接続部分も含め、バルブを有しないことを特徴とする水質測定方法。
【請求項8】
前記第1の処理水及び前記第2の処理水が、医薬用水、純水又は超純水であることを特徴とする請求項7に記載の水質測定方法。
【請求項9】
前記水質測定が、微粒子測定装置又は微生物測定装置により測定されることを特徴とする請求項7又は8に記載の水質測定方法。
【請求項10】
前記第1の配管と前記第2の配管は、同一の処理水が流通するように、1つの処理水を供給する第4の配管に接続して設けられ、
前記第2の配管に、微粒子又は微生物を捕捉できるフィルターを有することを特徴とすることを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の水質測定方法。
【請求項11】
前記フィルターが微粒子を捕捉できる精密ろ過膜又は限外ろ過膜であり、前記水質測定装置が微粒子測定装置であることを特徴とする請求項10に記載の水質測定方法。
【請求項12】
前記切替工程において、前記第1のバルブを閉め前記第2のバルブを開ける状態と、前記第1のバルブを開け前記第2のバルブを閉める状態を、所定の時間により交互に繰り返し行う制御工程を有することを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の水質測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理水の水質測定システム及び水質測定方法に係り、特に、医薬用水、純水、超純水等の純度の高い処理水中に含まれる微粒子や微生物等の不純物質の有無を測定する水質測定システム及び水質測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程で用いられる超純水、例えば、半導体ウェハーのような精密電子部品の洗浄用としては、溶存電解質、微粒子、コロイダル物質、高分子有機物、発熱物質のほか、微生物の増殖を促すおそれのある溶存ガス等を可能な限り除去した超純水が要求される。
【0003】
そして、このような超純水では、製造された超純水中の不純物、例えば、微粒子数等を測定して、その超純水が求める水準を満たす水質となっているか否かを確認することが行われている。
【0004】
このような微粒子数を測定する際には、製造した超純水の製造ラインから、その測定用に採取した超純水を、その測定装置である微粒子測定装置まで配管内を流通させて行うことが一般的である。このとき、微粒子数の測定誤差を小さくするために、例えば、所定の配管構成とし、供給管の分岐点から微粒子検出部までの間を配管のみで接続した、微粒子計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、このような水の水質測定において、複数のライン内の水を、弁によって切替えて同じ測定装置で測定を行う場合、その流路に滞留していた水が試料に混入しないようにして測定精度を向上させるようにした水質測定システムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この水質測定システムでは、採取した水に対し、その流路を所定のライン構成とするとともに流路の切り替えを行うために、配管の分岐部分に、水の流れを切替えることができる切替バルブを設けて行っている。このように切替バルブを設けることで、測定時に、測定対象の水が水質測定システムにきちんと流れるように制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-124692号公報
【特許文献2】特開2014-185904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献2のように、複数のライン内の水を測定対象とし、その配管の分岐部分に切替バルブを有する場合、それを切替えることで、流路を変更させているが、この切替バルブに起因して微粒子等の汚染物質が発生するおそれがある。また、切替バルブにより流路を切替えたとき、切替バルブ近くにはこれまで流れていた水による滞留水が依然として発生し、微生物の増殖等により水質が悪化するおそれがあり、それが次の切替時に水質測定装置に流れるおそれがある。
【0009】
また、切替バルブとして通常用いられる多方弁等を用いる場合、切替時に一時的に水が流れない時間が生じ(例えば、
図7参照。
図7(a)が第1の流路からの通水時、(b)が流路の切替途中を表す。)、その操作時の流量変動により、測定器の安定性が失われ、一時的に測定装置の運転が不安定となるおそれがある。
【0010】
上記のような現象は、特に超純水のように非常に純度の高い水の場合、その製造された超純水の水質がきちんと反映されず、その評価を誤ったものとしてしまう問題がある。また、この影響を排除するには、測定値が安定するまで長時間待たねばならないことになり、評価時間の増加をもたらす。
【0011】
そこで、本発明は、超純水等の水質測定において、配管中を流通するラインを切替えて複数の処理水の水質を測定可能な測定システム及び測定方法において、切替バルブ等の装置構成に由来する汚染物質の発生を抑制し、測定対象の処理水の水質を、高い精度で測定することができる水質測定システム及び水質測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の水質測定システムは、第1の処理水を流通させる第1の配管と、前記第1の配管から分岐し、第1のバルブを有する第1の分岐管と、第2の処理水を流通させる第2の配管と、前記第2の配管から分岐し、第2のバルブを有する第2の分岐管と、前記第1の配管及び前記第2の配管と接続され、前記第1の処理水及び第2の処理水を流通させる第3の配管と、前記第3の配管を流通する処理水の水質を測定する水質測定装置と、を有し、前記第3の配管は、前記第1の配管及び前記第2の配管との接続部分も含め、バルブを有しないことを特徴とする。
【0013】
本発明の水質測定方法は、第1の処理水を、第1のバルブを備えた第1の分岐管を有する第1の配管に供給する第1の供給工程と、第2の処理水を、第2のバルブを備えた第2の分岐管を有する第2の配管に供給する第2の供給工程と、前記第1のバルブを閉め前記第2のバルブを開ける又は前記第1のバルブを開け前記第2のバルブを閉めて、前記第1の配管及び前記第2の配管と接続された第3の配管に、前記第1の処理水又は前記第2の処理水の一方を流通させる切替工程と、前記第3の配管を流通する前記第1の処理水又は前記第2の処理水の水質を測定する水質測定工程と、を有し、前記第3の配管は、前記第1の配管及び前記第2の配管との接続部分も含め、バルブを有しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水質測定システム及び水質測定方法によれば、第1の処理水と第2の処理水の水質測定において、測定対象を切替える際、処理水の水質測定システムに通じる流路上において流路の切替バルブ等のバルブを設けないため、装置構成を簡易なものとでき、かつ、切替バルブを経由せずに行うことが可能なため、水質測定システムに供給される処理水が途切れることなく、安定して水質測定を行うことができる。
【0015】
また、本発明の水質測定システム及び水質測定方法は、上記のように、測定される処理水が流路の切替バルブを経由しないため、切替バルブの動作に起因する微粒子等の発生がなく、また、配管内に滞留する溜まり水が生じにくく、これらに起因する処理水の汚染を抑制できるため、水質を正確に、安定して測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る水質測定システムの概略構成を示した図である。
【
図1B】
図1Aの変形例である水質測定システムの概略構成を示した図である。
【
図2A】
図1Aの水質測定システムにおける、処理水の流れを説明する図である。
【
図2B】
図1Aの水質測定システムにおける、処理水の流れを説明する図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る水質測定システムの概略構成を示した図である。
【
図4】実施例1の微粒子数の測定結果を示したグラフである。
【
図5】実施例2の微粒子数の測定結果を示したグラフである。
【
図6】実施例3の微粒子数の測定結果を示したグラフである。
【
図7】流路の切替を、切替バルブで行ったときの問題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る水質測定システム及び水質測定方法について、
図1A~3を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
[水質測定システム]
図1Aに示したように、本実施形態の水質測定システム10は、第1の配管11と、第1の分岐管11aと、第2の配管12と、第2の分岐管12aと、第3の配管13と、水質測定装置14と、を有して構成される。
【0019】
第1の配管11は、第1の処理水を流通させるものであり、この第1の配管11には、この配管の途中から分岐する第1の分岐管11aが設けられている。
図1Aでは、第1の配管11と第1の分岐管11aとの分岐部分を分岐点C1として示した。
【0020】
このとき、第1の分岐管11aには、第1のバルブV11が設けられており、その開閉により、第1の処理水を、第1の配管11にそのまま流れるようにするか、第1の分岐管11aに流れるようにするか、変更できる。したがって、第1の配管11を流通する第1の処理水は、そのまま第1の配管11に流すか、また、第1の分岐管11aに流すか、任意に決定できる。
【0021】
この第1のバルブV11は、基本的には、開閉により第1の配管11と第1の分岐管11aのいずれかに第1の処理水が流れるようにするが、第1のバルブV11としてその開度を調節して流量変更可能な弁を用いる場合、第1の分岐管11aに流れる第1の処理水の量を所望の量に調節することもできる。
【0022】
このとき、例えば、第1の処理水を、主として第1の配管11に流し、その一部を第1の分岐管11aに流れるようにすることができる。このように一部を第1の分岐管11aに流すことで、第1の分岐管11aにおいて、分岐点C1から第1のバルブV11までの間に第1の処理水が滞留することを効果的に防止できる。
【0023】
なお、第1のバルブV11を完全に閉じる態様とした場合でも、第1の分岐管11aに滞留防止のために第1の処理水を少量流し、排出できるような第1の逃がし配管(ドレン)を設けてもよく、このようにすることでも同様に第1の処理水の滞留を効果的に防止できる。
【0024】
第2の配管12は、第2の処理水を流通させるものであり、この第2の配管12には、この配管の途中から分岐する第2の分岐管12aが設けられている。
図1Aでは、第2の配管12と第2の分岐管12aとの分岐部分を分岐点C2として示した。
【0025】
このとき、第2の分岐管12aには、第2のバルブV12が設けられており、その開閉により、第2の処理水を、第2の配管12にそのまま流れるようにするか、第2の分岐管12aに流れるようにするか、変更できる。したがって、第2の配管12を流通する第2の処理水は、そのまま第2の配管12に流すか、また、第2の分岐管12aに流すか、任意に決定できる。
【0026】
この第2のバルブV12は、基本的には、開閉により第2の配管12と第2の分岐管12aのいずれかに第2の処理水が流れるようにするが、第2のバルブV12としてその開度を調節して流量変更可能な弁を用いる場合、第2の分岐管12aに流れる第2の処理水の量を所望の量に調節することもできる。
【0027】
このとき、例えば、第2の処理水を、主として第2の配管12に流し、その一部を第2の分岐管12aに流れるようにすることができる。このように一部を第2の分岐管12aに流すことで、第2の分岐管12aにおいて、分岐点C2から第2のバルブV12までの間に第2の処理水が滞留することを効果的に防止できる。
【0028】
なお、第2のバルブV12を完全に閉じる態様とした場合でも、第2の分岐管12aに滞留防止のために第2の処理水を少量流し、排出できるような第2の逃がし配管(ドレン)を設けてもよく、このようにすることでも同様に第2の処理水の滞留を効果的に防止できる。
【0029】
第3の配管13は、第1の配管11と第2の配管12と接続され、第1の処理水及び第2の処理水を流通させることができる配管である。
図1Aでは、第1の配管11及び第2の配管12との接続部分を接続点C3として示した。
【0030】
第3の配管13は、次に説明する水質測定装置14に接続され、その測定のために、測定対象とする処理水を流通させる。この第3の配管は、基本的には、第1の処理水と第2の処理水のいずれかを流通させるようにする。ただし、第1の処理水と第2の処理水の流通経路を切替える際には、一時的に第1の処理水と第2の処理水が混合した混合水が流れる場合もある。
【0031】
この第3の配管は、第1の配管11及び第2の配管12との接続部分も含め、流路を変更する切替バルブ等のバルブを有しない。すなわち、上記従来技術で説明したように、このように流通する複数の処理水を切替える場合、配管の接続部分に切替バルブを設けて、その切替バルブにより測定対象の処理水が流通するように流路を切替えるのが一般的である。この点、本実施形態では、このような切替バルブを設けないため、その切替バルブの動作に起因する汚染物質(微粒子等)の発生を抑制することができ、かつ、切替時に、水質測定装置に常に処理水が流れた状態とでき、水質測定装置による水質測定を安定して行うことができる。
【0032】
水質測定装置14は、第3の配管13に接続され、この第3の配管13を流通する処理水の水質を測定する装置である。すなわち、本実施形態では、第1の処理水及び第2の処理水の両者の水質を、それぞれ測定できるようになっている。
【0033】
この水質測定装置14としては、公知の水質測定システムを用いることができ、特に限定されるものではなく、測定対象の処理水中において所望の測定項目に応じて、装置の種類を適宜選択できる。
【0034】
なお、本実施形態においては、処理水としては、医薬用水、純水及び超純水のように、高純度に精製された水を処理水とすることが好ましく、このとき用いられる水質測定システムとしては、例えば、微粒子測定装置(パーティクルカウンター)、微生物測定装置等が好ましいものとして挙げられる。
【0035】
ここで、医薬品等の製造に用いられる医薬用水(例えば、精製水、滅菌精製水、注射用水)は、例えば、水道水等を原水とし、これを逆浸透膜装置、電気式脱イオン装置等の水処理装置に通水させ、原水中の不純物を除去する精製処理により製造される。医薬用水は、それぞれ、各国の薬局方によって、所定の水質が要求され、また、日常的あるいは定期的な水質管理が要求されている。
【0036】
純水及び超純水は、例えば、水道水等を原水とし、これを一次純水装置で処理し、必要に応じさらに二次純水装置で処理して製造され、例えば、純水(一次純水)の水質は、抵抗率が17MΩ・cm以上、超純水(二次純水)の水質は、抵抗率が18MΩ・cm以上である。
【0037】
純水及び超純水の製造に用いられる一次純水装置及び二次純水装置は、公知の(超)純水製造装置に用いられるものと同様の構成を有するものであればよく、例えば、一次純水装置は、例えば、逆浸透膜装置、脱気装置(脱炭酸等、真空脱気装置、脱気膜装置等)、イオン交換装置(陽イオン交換樹脂装置、陰イオン交換樹脂装置、混床式イオン交換樹脂装置等、電気脱イオン装置等)、紫外線酸化装置のうち1つ以上を適宜組み合わせて構成され、二次純水装置は、例えば、限外ろ過膜装置、熱交換器、紫外線酸化装置、過酸化水素除去装置、脱気膜装置、非再生型混床式イオン交換樹脂装置(Polisher)等が挙げられ、これら装置を適宜選択して構成される。
【0038】
なお、上記説明した、第1の分岐管11aに第1の逃がし配管及び第2の分岐管12aに第2の逃がし配管を有する場合について、
図1Bに示した。この
図1Bに示した水質測定システム10aは、第1の逃がし配管11b、第2の逃がし配管11bを有している以外は、
図1Aに示した水質測定システム10と同一構成を有している。
【0039】
[水質測定方法]
次に、本実施形態における水質測定方法について説明する。この水質測定方法では、
図1Aに示した水質測定システム10を用いる場合を例に、
図2A及び
図2Bを参照しながら説明する。
【0040】
本実施形態の水質測定方法は、第1の処理水を第1の配管に供給する第1の供給工程と、第2の処理水を第2の配管に供給する第2の供給工程と、第1の配管及び第2の配管と接続された第3の配管に、第1の処理水又は第2の処理水の一方を流通させる切替工程と、第3の配管を流通する処理水の水質を測定する水質測定工程と、を有する。以下、各工程について詳細に説明する。
【0041】
(第1の供給工程及び第2の供給工程)
本実施形態における第1の供給工程は、第1の処理水を、第1の配管11に供給する工程であり、ここで第1の配管11は、第1のバルブV11を備えた第1の分岐管11aを有する。また、本実施形態における第2の供給工程は、第2の処理水を、第2の配管12に供給する工程であり、第2のバルブV12を備えた第2の分岐管12aを有する。
【0042】
ここで供給される第1の処理水と第2の処理水は、共に、水質測定の対象となるものであり、必要に応じて供給される。例えば、処理水が超純水で、複数の超純水ラインにおける水質測定を行う場合、その水質は常時監視することが望ましいため、常に、第1の処理水、第2の処理水として、それぞれ第1の配管及び第2の配管に供給される。
【0043】
第1の処理水と第2の処理水とは、同じ処理水であってもよいし、異なる処理水であってもよい。異なる処理水の場合、例えば、複数の超純水製造ラインにおいて、異なる製造ラインから超純水(処理水)の一部を水質測定用にサンプリングして、それぞれ第1の配管、第2の配管に供給すればよい。
【0044】
(切替工程)
次いで、第1のバルブV11を閉め、第2のバルブV12を開ける又は第1のバルブV11を開け第2のバルブV12を閉め、第1の配管11及び第2の配管12と接続された第3の配管13に、第1の処理水又は第2の処理水の一方を流通させる。なお、第1のバルブV11及び第2のバルブを「閉める」とは、本明細書においては、完全に閉める場合の他、開度調節により流路を絞って処理水の一部が排出される場合も含む。
【0045】
すなわち、第1のバルブV11を閉め、第2のバルブV12を開けた状態とすると、第1の分岐管11aの流通が止められているため、第1の処理水は、第1の配管11を通り、第3の配管へと流れる。このとき、第2の処理水は、第2の配管12を通り、第2の分岐管12aへと流れる。この流れについては、
図2Aに示したが、処理水の主な流れを太実線で示し、バルブの開閉は、黒塗りのバルブ(バルブV11)が閉、白抜きのバルブ(バルブV12)が開を表している。
【0046】
なお、このとき、第3の配管に第2の処理水が混入しないように、配管構成、流量、圧力等を条件設定することが好ましい。すなわち、第1の処理水の一部は接続点C3から分岐点C2へ分流し(
図2Aの破線矢印f1)、第2のバルブV12を経由して排水されるようにする。この混入が生じていないことは、例えば、分岐点C2と接続点C3との間に流量センサ(クランプオン式流量センサ等)を設け、接続点C3から分岐点C2へ第1の処理水が流れていることを確認すればよい。
【0047】
第3の配管13では、流れている第1の処理水について、水質測定装置14により水質測定が行われる。このとき、第1の処理水は、第1の配管から第3の配管13へと流通し、水質測定装置14までの流路上に切替バルブ等のバルブを有していないため、その水質がバルブの開閉等の動作により汚染されることがない。なお、このようなバルブは、水質測定システム内へ処理水を導入した後、水質測定装置14に到達するまでの流路において有していないことがより好ましい。
【0048】
また、接続点C3と分岐点C2の間は、第1の処理水を流しているため、流れが止まることによるこの部分の配管への不純物の付着や滞留する水質の悪化等が起きることがなく、次に流路を切替えて第2の処理水を測定する際に、それら汚染に起因する測定値の悪化を防止できる。なお、第2の処理水は、第2の分岐管12aからそのまま排出される。
【0049】
また、第1のバルブV11を開け、第2のバルブV12を閉めた状態とすると、第2の分岐管12aの流通が止められているため、第2の処理水は、第2の配管12を通り、第3の配管へと流れる。このとき、第1の処理水は、第1の配管11を通り、第1の分岐管11aへと流れる。この流れについては、
図2Bに示したが、処理水の主な流れを太実線で示し、バルブの開閉は、黒塗りのバルブ(バルブV12)が閉、白抜きのバルブ(バルブV11)が開を表している。
【0050】
なお、このとき、第3の配管に第1の処理水が混入しないように、配管構成、流量、圧力等を条件設定することが好ましい。すなわち、第2の処理水の一部は接続点C3から分岐点C1へ分流し(
図2Bの破線矢印f2)、第1のバルブV11を経由して排水されるようにする。この混入が生じていないことは、例えば、分岐点C1と接続点C3との間に流量センサ(クランプオン式流量センサ等)を設け、接続点C3から分岐点C1へ第2の処理水が流れていることを確認すればよい。
【0051】
第3の配管13では、流れている第2の処理水について、水質測定装置14により水質測定が行われる。このとき、第2の処理水は、第2の配管から第3の配管13へと流通し、水質測定装置14までの流路上にバルブを有していないため、その水質がバルブの開閉等により汚染されることがない。なお、このようなバルブは、水質測定システム内へ処理水を導入した後、水質測定装置14に到達するまでの流路において有していないことがより好ましい。
【0052】
また、接続点C3と分岐点C1の間は、第2の処理水を流しているため、流れが止まることによるこの部分の配管への不純物の付着や滞留する水質の悪化等が起きることがなく、次に流路を切替えて第1の処理水を測定する際に、それら汚染に起因する測定値の悪化を防止できる。なお、第1の処理水は、第1の分岐管11aからそのまま排出される。
【0053】
本実施形態において、上記の第1の処理水と第2の処理水の水質測定は、第1のバルブV11と第2のバルブV12の開閉を切り替えることで、いずれの処理水を第3の配管13に流通させるかを決定できる。
【0054】
なお、第1の処理水の水質を測定する場合、第1のバルブV11を閉とするが、このとき、分岐点C1から第1の配管11に流れる流量Q11と第1の分岐管11aに流れる流量Q11aとの流量比(Q11:Q11a)は10:0~8:2とすることが好ましく、10:0~9:1とすることがより好ましい。
また、同様に、第2の処理水の水質を測定する場合、第2のバルブV12を閉とするが、このとき、分岐点C2から第2の配管12に流れる流量Q12と第2の分岐管12aに流れる流量Q12aとの流量比(Q12:Q12a)は10:0~8:2とすることが好ましく、10:0~9:1とすることがより好ましい。
なお、上記の場合、流量Q11aと流量Q12aは、バルブの開度調節又は逃がし配管を設けた場合により、分岐管から外部に排出される流量とも言える。
【0055】
(水質測定工程)
次に、第3の配管13を流通する処理水(第1の処理水又は第2の処理水)について、その水質を、水質測定装置14により測定する。
【0056】
ここで測定される項目は、水質として測定可能なものであれば特に限定されないが、例えば、上記水質測定装置14の説明で記載したような、微粒子、微生物等が好ましいものとして挙げられる。ここで、測定される項目は、水質測定装置で測定可能なものに対応し、その求める処理水の水質等により適宜選択できる。
【0057】
この水質測定において、微粒子を測定する場合、例えば、粒径が0.2μm以上の微粒子や、粒径が0.05μm以上の微粒子のように、その測定対象の微粒子の大きさについても、測定装置の性能に応じて所望の特性を設定して、測定対象を決定できる。
【0058】
以上、第1の実施形態として、水質測定システム及び水質測定方法を説明したが、上記のような水質測定を可能とすることで、第1の処理水と第2の処理水とを切替えて水質を測定する際、分岐部分等に切替バルブを設けずに行うことができ、装置構成を簡素化できる。
【0059】
また、切替バルブを使用せずに済むことから、この切替バルブに起因する微粒子等の汚染物質が発生するおそれがなくなり、本実施形態の水質測定では、その測定結果が処理水の水質をそのまま反映したものとみなすことができ、測定結果の信頼性が高い。
【0060】
さらに、従来の切替バルブを設けていた場合には、切替バルブの切替えのタイミングで、水質測定装置に処理水が流れないタイミングが少なからず生じてしまっていたが、この実施形態の水質測定方法では、そのような処理水が流れないタイミングがなくなり、測定を安定して行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態において、第1の処理水と第2の処理水のいずれを水質測定装置14に流すのかは、第1のバルブV11と第2のバルブV12の開閉により決定されるため、これらバルブのいずれか一方を開とし、それを切替える切替手段を設けることが好ましい。この切替手段に、開閉をその都度指示して切替を行ってもよいし、所定の時間で、自動で切替えるように設定してもよい。また、この切替は、所定の時間間隔で交互に行うことも好ましい。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態である水質測定システム及び水質測定方法について、
図3を参照しながら説明する。
【0063】
この第2の実施形態の水質測定システムは、
図3に示したように、第1の配管11と、第1の分岐管11aと、第2の配管12と、第2の分岐管12aと、第3の配管13と、水質測定装置14と、第1の配管11と第2の配管12に同一の処理水を供給可能で、供給バルブV21を有する第4の配管21と、第2の配管12に設けられたフィルター22と、を有して構成される水質測定システム20である。
【0064】
ここで、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。すなわち、第2の実施形態で特徴的な構成は、供給バルブV21を有する第4の配管21と、フィルター22と、を有する点にあり、その相違する特徴部分を中心に説明する。
【0065】
この第2の実施形態においては、第1の配管11と第2の配管12が、共にその上流側において、第4の配管21と接続されている。この接続箇所を接続点C4として示した。そして、この第4の配管21は、測定対象となる処理水を供給することができる処理水供給管である。すなわち、本実施形態においては、この第4の配管21を流通してきた処理水が、第1の配管11に流通する処理水と第2の配管12に流通する処理水とに分離し、共に同一の処理水が流れることになる。したがって、本実施形態では、第1の処理水と第2の処理水とは同一の処理水である。
【0066】
そして、この第4の配管21は、供給バルブV21を有し、この供給バルブV21は、その開閉により、水質測定システム20内に処理水の供給の可否を決定できるバルブである。
【0067】
フィルター22は、第2の配管12に備えられ、水質測定装置14で測定される項目について、それを捕捉できるフィルターである。すなわち、水質測定装置14が微粒子測定装置である場合、フィルター22は、対象の微粒子を捕捉できるものとなり、例えば、精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)等が挙げられる。また、水質測定装置14が微生物測定装置である場合、フィルター22は、対象の微生物を捕捉できるものとなり、例えば、精密フィルター(ニュクリポアー・メンブレン等、具体的には、例えばHCPSカートリッジ(野村マイクロ・サイエンス株式会社製、商品名))等が挙げられる。
【0068】
本実施形態においては、上記のような装置構成とすることで、同一の処理水に対して、第1の処理水はそのまま、第2の処理水は、フィルター22に通水処理される。そして、これ以降の処理水の流れは、第1の実施形態で説明した内容と同一であり、第1の処理水又は第2の処理水は、第1のバルブV11及び第2のバルブV12の開閉によって、第1の処理水又は第2の処理水が水質測定装置14に送られ、処理水の水質が測定されることとなる。
【0069】
このような構成とすることで、処理水に対して、フィルター22での処理の有無による水質の変化を測定することができる。
このように水質測定をすることで、例えば、超純水の製造工程に不具合が生じ、本来含まれてはいけない微粒子が混入していた場合、フィルター処理されない第1の処理水において微粒子が検出され、フィルター22で処理される第2の処理水において微粒子が検出されない(微粒子が低減する)こととなり、超純水製造装置に生じた不具合の有無を判定できる。
【0070】
また、上記のような水質測定をすることで、水質測定装置14のノイズレベル(検知レベル)の変動にも対応できる。すなわち、水質測定装置14として微粒子測定装置を用いる場合、超純水のように非常に清浄な処理水に対しては、その微粒子測定結果のノイズレベルが高い場合、ノイズであるのか、微粒子が含有しているのか、判断が難しい場合がある。
【0071】
しかし、本実施形態においては、このような場合にも、その測定結果が、ノイズレベルの問題であるのか、超純水製造装置の問題であるのか、を判定できる。すなわち、超純水製造装置には問題がない場合、供給される超純水は所定の条件を満たし、その含有する微粒子数は非常に小さいものである。
【0072】
このとき、水質測定装置14のノイズレベルが十分に低い場合には、第1の処理水も第2の処理水も、共に微粒子数が非常に少ない結果として得られる。また、水質測定装置14のノイズレベルが高い場合には、第1の処理水も第2の処理水も、共に微粒子数が若干測定されるが、フィルター22での処理による水質(微粒子数)の差は生じることなく、同程度の微粒子数として測定結果が得られる。
【0073】
一方、超純水製造装置に問題があった場合、上記したように、第1の処理水では微粒子が検出され、第2の処理水ではフィルター22により微粒子が捕捉、除去され、微粒子が検出されない。また、水質測定装置14のノイズレベルが高い場合は、第1の処理水も第2の処理水も微粒子が検出されるように見えるが、この場合、第1の処理水ではノイズに加え、存在する微粒子数が検出され、第2の処理水ではノイズのみが検出され、その測定結果を比較することで、超純水製造装置に問題が生じたことを判定できる。
【0074】
以上のように、本実施形態では、第1の処理水と第2の処理水の水質測定結果を比較することで、超純水製造装置に不具合が生じているかいないかを水質測定装置のノイズレベル等に影響されずに、判断することができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように第1の処理水と第2の処理水の水質を比較するため、それぞれの処理水の水質を交互に測定することが好ましい。このように交互に測定するには、第1のバルブV11と第2のバルブV12の開閉を切り替える切替手段を、所定の時間で交互に切り替えるように制御する制御手段を有することが好ましい。
【0076】
このとき、第1のバルブV11及び第2のバルブV12を電磁弁等の自動弁とし、その開閉を所定時間で切替え制御し、第1の処理水と第2の処理水の水質を比較して、それらの水質の差が所定の範囲を超えた場合に、警告を通知する通知手段を設けることで、処理水の水質測定を自動で行うこともできる。
【0077】
このように所定の時間で交互に切り替えるようにした場合、その時間間隔は所望の長さに設定できる。例えば、超純水の水質を常時監視するときには、例えば、制御手段を30分~24時間交代で、第1のバルブV11と第2のバルブV12とを切替えて、水質測定される処理水を、水質測定装置14に交互に送るようにすることが好ましい。また、第1の処理水と第2の処理水を測定する時間は異なってもよい。例えば、第1の処理水の測定時間を1日~1週間として、第2の処理水の測定時間を30分~2時間として交互に送るようにすることが好ましい。
【実施例0078】
以下、本発明について、さらに実施例により説明する。
【0079】
(実施例1)
本実施例で用いる水質測定システムとして、基本構成として、
図3に記載した水質測定システム20を用意した。
【0080】
なお、ここで用いる水質測定システムとしては、第1の分岐管11a、第2の分岐管12aには、それぞれ、バルブV11、バルブV12が閉じたときに、処理水を外部に排出して流し続けることができる第1の逃がし配管、第2の逃がし配管を設け、これらの逃がし配管、第1の分岐管11a、第2の分岐管12a、第3の配管13には、それぞれ流量計を設けた。なお、流量計の配置位置は、第1の分岐管11a、第2の分岐管12aではバルブの後段、第3の配管では微粒子測定装置14の後段とした。さらに、分岐点C1と接続点C3の間、分岐点C2と接続点C3との間に、それぞれクランプオン式流量センサを設けた。
【0081】
水質測定システムを構成する装置及び部品は、具体的には以下の通りである。
・微粒子測定装置14:PMS社製、Ultra DI 50(商品名;最小可測粒子径 0.05μm)
・バルブV11、V12:CKD株式会社製、ADK11-15A(商品名;電磁弁)
・フィルター22:日本ポール株式会社製、ウルチプリーツ SP DR(商品名;小型カプセルタイプ(5nm))
・流量計:東京計装株式会社製、P-060(商品名)
・クランプオン式流量センサ:株式会社キーエンス製、FD-X(商品名)
【0082】
また、超純水を、紫外線酸化装置(株式会社日本フォトサイエンス製、商品名:JPW2×2;TOC-UV)、ポリッシャー(N-Lite MBSPを200L充填したもの)、限外ろ過膜(旭化成株式会社製、商品名:OLT-6036VA;UF)の順番に処理し、10m3/hrで超純水を製造した。
この超純水製造装置の上記限外ろ過膜の出口に設けたサンプリングバルブに、上記水質測定システムを取り付け、この超純水製造装置で製造された超純水を第4の配管から水質測定システム内に導入した。
【0083】
導入された超純水は、第1の配管と第2の配管にそれぞれ第1の処理水、第2の処理水として分岐させた。ここで、水質測定システムの第1のバルブが閉、第2のバルブが開、としておき、まずは、第1の処理水は第3の配管に流れ、第2の処理水はフィルターで処理された後、第2の分岐管側に流れるようにして、第1の処理水の水質を水質測定装置で測定した。
【0084】
このとき、クランプオン式流量センサにより、第1の処理水が分岐点C1から接続点C3へ流れていること、かつ、接続点C3から分岐点C2へ余剰の第1の処理水が0.2L/分で流れていることを確認した。また、流量計により確認した流量は、おおよそ、第1の逃がし配管で0.1L/分、第1の分岐管で0L/分、第3の配管で1L/分、第2の分岐管で1.5L/分、第2の逃がし配管で0.1L/分、であった。
【0085】
次いで、第1のバルブが開、第2のバルブが閉、となるように、第1のバルブと第2のバルブの開閉を切替え、第1の処理水は第1の分岐管側に流れ、第2の処理水はフィルターで処理された後、第3の配管に流れるようにして、第2の処理水の水質を水質測定装置で測定した。
【0086】
このとき、クランプオン式流量センサにより、第2の処理水が分岐点C2から接続点C3へ流れていること、かつ、接続点C3から分岐点C1へ余剰の第2の処理水が0.2L/分で流れていることを確認した。また、流量計により確認した流量は、おおよそ、第1の逃がし配管で0.1L/分、第1の分岐管で1.5L/分、第3の配管で1L/分、第2の分岐管で0L/分、第2の逃がし配管で0.1L/分、であった。
【0087】
上記のように、第1のバルブと第2のバルブを切替える操作を8時間おきに繰り返し行い、そのときの微粒子数を1分間隔で微粒子測定装置により測定し、その測定結果を
図4に示した。このとき、微粒子測定装置の測定微粒子の径を0.05μmに設定し、それ以上の径の微粒子が存在すると検出されるようにした。なお、
図4において、第1の処理水が水質測定されている時間をW1、第2の処理水が水質測定されている時間をW2として、その長さを両矢印の線長さで示した。
【0088】
この測定結果から、超純水はフィルター処理の有無に関わらず、微粒子がほぼ測定されず、フィルター処理しない第1の処理水の平均粒子数が約0.5個/Lと非常に良好な水質であった。このことから、超純水製造装置が正常に稼働していることが理解できる。
【0089】
(実施例2)
実施例1と同一の超純水製造装置及び水質測定システムを用いて、同様の動作により水質測定を行った。なお、本実施例では、超純水製造装置で製造された超純水中に微粒子が混入している場合の例であり、その微粒子測定の結果を
図5に示した。
【0090】
この測定結果から、超純水をフィルター処理した第2の処理水では微粒子がほぼ測定されないが、超純水をフィルター処理しない第1の処理水では微粒子が多量に測定された。このときのフィルター処理しない第1の処理水の平均粒子数は約500個/Lと微粒子が多量に存在していた。これは、超純水製造装置になんらかの不具合が生じて微粒子が混入したと思われる。これにより、超純水製造装置の修理、メンテナンス等を行うタイミングを判断することができる。
【0091】
(実施例3)
実施例1と同一の超純水製造装置と、同一構成の水質測定システムを用いて、同様の動作により水質測定を行った。その微粒子測定の結果を
図6に示した。
【0092】
この測定結果から、超純水はフィルター処理の有無に関わらず、微粒子が微量検出されていた。このとき、フィルター処理しない第1の処理水の平均粒子数が約25個/Lと、微粒子測定装置のノイズであるのか、わずかに微粒子が混入した結果であるのか、これだけでは判断が難しいところである。しかし、本実施例においては、フィルター処理した第1の処理水でも同様の傾向であったため、水質測定装置のノイズレベルが高いものであると判断できる。このことから、超純水製造装置自体は正常に稼働していることが理解できる。
【0093】
以上より、本実施形態によれば、第1の処理水と第2の処理水の水質測定において、測定対象を切替える際、処理水の水質測定装置に通じる流路上において流路切替バルブを設けないため、装置構成を簡易なものとでき、かつ、流路切替バルブを経由せずに行うことが可能なため、水質測定装置に供給される処理水が途切れることなく、安定して水質測定を行うことができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、上記のように、測定される処理水が流路切替バルブを経由しないため、流路切替バルブの動作に起因する微粒子等の発生がなく、また、配管内に滞留する溜まり水が生じにくく、これらに起因する処理水の汚染を抑制できるため、水質を正確に、安定して測定できる。
10,20…水質測定システム、11…第1の配管、11a…第1の分岐管、V11…第1のバルブ、12…第2の配管、12a…第2の分岐管、V12…第2のバルブ、13…第3の配管、14…水質測定装置、21…第4の配管、V21…供給バルブ、22…フィルター、C1,C2…分岐点、C3,C4…接続点