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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094707
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20220620BHJP
   F16H 37/12 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B65G47/90 Z
F16H37/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207746
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中里 義人
【テーマコード(参考)】
3F072
3J062
【Fターム(参考)】
3F072AA09
3F072HA06
3J062AA22
3J062AB05
3J062AB27
3J062AB31
3J062AC07
3J062AC09
3J062BA11
3J062CA16
3J062CA17
3J062CB02
3J062CB15
3J062CB18
3J062CB32
3J062CC13
3J062CC33
(57)【要約】
【課題】1つの動力源を用いてワークの搬送動作とチルト機構によるワークの排出動作とを行うことができるワーク搬送装置を提供すること。
【解決手段】ワークを保持するフォーク2と、等速回転する動力源6と、動力源6による等速回転により回転する三角カム3と、三角カム3の回転動作により、ワークの搬送方向にスライドする搬送方向スライド機構5と、三角カム3の回転動作により、搬送方向に直交する直交方向にスライドする直交方向スライド機構4と、フォーク2の搬送方向ストロークを搬送方向スライド機構5の搬送方向ストロークの複数倍に変換する増速ギア7と、増速ギア7に噛み合って、フォーク2を搬送方向にスライドさせるフォークスライド機構8と、フォーク2、フォークスライド機構8、及び、直交方向スライド機構4の動作をもとに、搬送方向に並行する軸93を中心に回動してワークを傾動させて掃き出すチルト機構9とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記ワークを保持するフォークと、
等速回転する動力源と、
前記動力源による等速回転により三角カムが回転する三角カム機構と、
前記三角カム機構の回転動作により、前記ワークの搬送方向にスライドする搬送方向スライド機構と、
前記三角カム機構の回転動作により、前記搬送方向に直交する直交方向にスライドする直交方向スライド機構と、
前記搬送方向スライド機構に噛み合って、前記フォークの搬送方向ストロークを前記搬送方向スライド機構の搬送方向ストロークの複数倍に変換する増速ギアと、
前記直交方向スライド機構に案内されて前記フォークを前記直交方向にスライドさせるとともに、前記増速ギアに噛み合って、前記フォークを前記搬送方向にスライドさせるフォークスライド機構と、
前記フォーク、前記フォークスライド機構、及び、前記直交方向スライド機構の動作をもとに、前記搬送方向に並行する軸を中心に回動して前記ワークを傾動させて掃き出すチルト機構と
を備えたことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記直交方向スライド機構は、前記三角カムに内接する矩形部材であり、前記搬送方向及び前記直交方向にスライドし、
前記搬送方向スライド機構は、前記直交方向スライド機構の搬送方向のスライドに同期して前記搬送方向にスライドすることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記ワークはケース内に挿入配置され、
前記フォークは、前記ケースを介して前記ワークを保持することを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記チルト機構は、一端が前記フォークに係合する係合部材を有し、
前記係合部材は、前記フォークの搬送方向のスライドを許容し、直交方向のみのスライドが前記フォークに規制され、前記フォークの直交方向のスライドに同期して直交方向にスライドし、前記搬送方向に並行する軸を中心に回動して前記ワークを傾動させて掃き出すことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記搬送方向スライド機構は、前記搬送方向の反対方向に延びる基準ラックを有し、
前記フォークスライド機構は、前記搬送方向の反対方向に延びる増速ラックを有し、
前記増速ギアは、前記基準ラックに噛み合う基準ピニオンと前記増速ラックに噛み合う増速ピニオンとが共通回転軸に結合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの動力源を用いてワークの搬送動作とチルト機構によるワークの排出動作とを行うことができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ライン等では、搬送対象のワークを所定位置まで搬送し、所定位置まで搬送されたワークをチルト機構による傾動動作により掃き出すワーク搬送装置が用いられる場合がある。
【0003】
特許文献1では、フォークが一体的に取り付けられたスライドの開口部に設けられた三角カムにより、ワークを保持したフォークがY方向に移動された後、X方向に移動されてフォークがワークから離れる搬送機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59-115179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チルト機構を用いて所定位置に搬送されたワークを排出する場合、チルト機構は搬送されたワークの保持と、傾動による排出とを繰り返す動作を行うことになる。この場合、フォークによるワークの搬送機構と、ワークを排出するチルト機構とに対してそれぞれを駆動する複数の動力源が必要になるとともに、各動力源の駆動を同期制御する必要があり、ワーク搬送装置の構成が複雑になるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、1つの動力源を用いてワークの搬送動作とチルト機構によるワークの排出動作とを行うことができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、ワークを搬送するワーク搬送装置であって、前記ワークを保持するフォークと、等速回転する動力源と、前記動力源による等速回転により三角カムが回転する三角カム機構と、前記三角カム機構の回転動作により、前記ワークの搬送方向にスライドする搬送方向スライド機構と、前記三角カム機構の回転動作により、前記搬送方向に直交する直交方向にスライドする直交方向スライド機構と、前記搬送方向スライド機構に噛み合って、前記フォークの搬送方向ストロークを前記搬送方向スライド機構の搬送方向ストロークの複数倍に変換する増速ギアと、前記直交方向スライド機構に案内されて前記フォークを前記直交方向にスライドさせるとともに、前記増速ギアに噛み合って、前記フォークを前記搬送方向にスライドさせるフォークスライド機構と、前記フォーク、前記フォークスライド機構、及び、前記直交方向スライド機構の動作をもとに、前記搬送方向に並行する軸を中心に回動して前記ワークを傾動させて掃き出すチルト機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記直交方向スライド機構は、前記三角カムに内接する矩形部材であり、前記搬送方向及び前記直交方向にスライドし、前記搬送方向スライド機構は、前記直交方向スライド機構の搬送方向のスライドに同期して前記搬送方向にスライドすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記ワークはケース内に挿入配置され、前記フォークは、前記ケースを介して前記ワークを保持することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記チルト機構は、一端が前記フォークに係合する係合部材を有し、前記係合部材は、前記フォークの搬送方向のスライドを許容し、直交方向のみのスライドが前記フォークに規制され、前記フォークの直交方向のスライドに同期して直交方向にスライドし、前記搬送方向に並行する軸を中心に回動して前記ワークを傾動させて掃き出すことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記搬送方向スライド機構は、前記搬送方向の反対方向に延びる基準ラックを有し、前記フォークスライド機構は、前記搬送方向の反対方向に延びる増速ラックを有し、前記増速ギアは、前記基準ラックに噛み合う基準ピニオンと前記増速ラックに噛み合う増速ピニオンとが共通回転軸に結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1つの動力源を用いてワークの搬送動作とチルト機構によるワークの排出動作とを行うことができるとともに、搬送動作と排出動作との同期制御が不要となるため、構成が簡易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施の形態に係るワーク搬送装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は、三角カムの回転による直交方向スライド機構の軌道を説明する説明図である。
図3図3は、チルト機構の構成を示す平面図である。
図4図4は、チルト機構の構成を示す右側面図である。
図5図5は、ワークの排出直後の状態を示す図である。
図6図6は、ワークを含むケースがフォークに保持された状態を示す図である。
図7図7は、フォークに保持されたケースを搬送方向に搬送した状態を示す図である。
図8図8は、ケースの搬送後におけるチルト機構による傾動動作中の状態を示す図である。
図9図9は、ケースの傾動動作後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係るワーク搬送装置について説明する。
【0015】
<概要構成>
図1は、本実施の形態に係るワーク搬送装置1の構成を示す斜視図である。図1に示すように、ワーク搬送装置1は、フォーク2、三角カム3、直交方向スライド機構4、搬送方向スライド機構5、動力源6、増速ギア7、フォークスライド機構8及びチルト機構9を有する。ワーク搬送装置1は、球状のワークWが挿入されたカップ状のケースCAをワークWとともに搬送し、チルト機構9の傾動によってワークWを排出するものである。位置P0に配置されたワークWを有したケースCAを、位置P1を介して、搬送板100上を摺動させて搬送方向(+X方向)に搬送し、位置P2においてチルト機構9によりケースCAを傾動してワークWを排出する。なお、本実施の形態では、一例として、位置P0のワークWは、2回のワーク搬送排出動作により、位置P0から位置P2に搬送され、2回目のワーク搬送排出動作により位置P2において排出されるようにしているが、これに限らず、1回のワーク搬送排出動作により、位置P0から位置P2まで搬送してもよいし、3回以上のワーク搬送排出動作により、位置POから位置P2まで搬送するようにしてもよい。
【0016】
動力源6は、例えば電動モータであり、軸61を等速で回転駆動する。軸61の回転は、ギア機構63を介して軸62に伝達され、さらにギア機構64を介してZ方向に延びるカム軸30(図2参照)に伝達される。カム軸30の回転は、三角カム3を平面視で時計回りに等速回転させる。なお、カム軸30及び三角カム3は、三角カム機構である。
【0017】
直交方向スライド機構4は、図2に示すように、三角カム3に内接する矩形部材であり、XY平面上を正方形に軌道する。このため、直交方向スライド機構4は、搬送方向(±X方向)、及び、搬送方向に直交する直交方向(±Y方向)にスライドする。
【0018】
搬送方向スライド機構5は、直交方向スライド機構4の搬送方向のスライドに伴って搬送方向にスライドする。なお、搬送方向スライド機構5は、直交方向スライド機構4の直交方向のスライドには追随せず、直交方向にはスライドしない。また、搬送方向スライド機構5は、ガイド101に案内されて搬送方向(±X方向)にスライドする。
【0019】
一方、フォーク2は、搬送方向に延びるフォーク本体21に、Y方向に延びる櫛歯22が複数設けられる。フォーク本体21は、直交方向スライド機構4の-Y方向端部の案内部を介して係合し、搬送方向の移動が許容されるとともに、直交方向の移動が直交方向スライド機構4の直交方向のスライドに規制され、直交方向スライド機構4とともに直交方向にスライドする。
【0020】
フォーク本体21の-X方向の端部は、フォークスライド機構8に接続される。フォークスライド機構8は、ガイド101に案内されて搬送方向(±X方向)にスライドするとともに、接続されたフォーク本体21の直交方向へのスライドを許容する。したがって、ガイド101は、搬送方向スライド機構5及びフォークスライド機構8の搬送方向のスライドを案内する。
【0021】
ここで、搬送方向スライド機構5は、搬送方向の反対方向(-X方向)に延びる基準ラック51を有する。また、フォークスライド機構8は、搬送方向の反対方向(-X方向)に延びる増速ラック81を有する。基準ラック51は、基準ピニオン71に噛み合い、増速ラック81は、増速ピニオン72に噛み合う。基準ピニオン71と増速ピニオン72とは、共通回転軸73で結合されている。そして、増速ピニオン72の歯数は、基準ピニオン71の歯数の複数倍であり、増速ラック81の搬送方向ストロークCは、基準ラック51の搬送方向ストロークAの複数倍となる。この複数倍は、例えば3倍である。なお、直交方向スライド機構4の直交方向ストロークBは、搬送方向ストロークAと同じである。また、基準ピニオン71、増速ピニオン72及び共通回転軸73は、増速ギア7を構成する。
【0022】
したがって、直交方向スライド機構4の搬送方向のスライド時には、フォーク2が搬送方向に複数倍のストローク(搬送方向ストロークC)をもってスライドすることになる。フォーク2は、直交方向スライド機構4の直交方向のスライドにより、直交方向に直交方向ストロークB分、スライドする。この結果、フォーク2は、三角カム3の回転により、長辺が搬送方向となる長方形の軌道をもって移動する。フォーク2の櫛歯22の間隔は、ケースCAの幅とほぼ同じであり、櫛歯22間でケースCAを保持することによりワークWを保持する。
【0023】
位置P0,P1のケースCAは、フォーク2の長方形軌道のうち、直交方向スライド機構4のY方向へのスライドにより保持され、フォークスライド機構8のX方向へのスライドにより、保持されたケースCA内のワークWをX方向に搬送する。例えば、位置P0のケースCAは、ワークWとともに位置P1に搬送され、位置P1のケースCAは、ワークWとともに位置P2に搬送される。その後、直交方向スライド機構4の-Y方向へのスライドにより、ケースCAの保持が解除され、フォーク2は、フォークスライド機構8の-X方向へのスライドにより、ケースCAの保持前のもとの位置に復帰する。このフォーク2の時計回りの長方形軌道が繰り返されることにより、ケースCA内のワークWが順次X方向に搬送される。そして、位置P2に到達したケースCAは、チルト機構9により傾動され、この位置P2でワークWが掃き出される排出動作が行われる。
【0024】
<チルト機構>
チルト機構9は、位置P2に配置され、フォーク2、フォークスライド機構8、及び、直交方向スライド機構4の動作をもとに、搬送方向に並行する軸93を中心に回動してケースCAを傾動させてワークWを掃き出す。
【0025】
チルト機構9は、一端がフォーク本体21に係合する係合部材92を有する。係合部材92は、-Y方向の端部に形成された案内部を介して、フォーク本体21に係合し、フォーク本体21の搬送方向のスライドを許容し、直交方向のみのスライドがフォーク本体21のスライドに規制される。すなわち、係合部材92は、直交方向スライド機構4の-Y方向のスライドに伴うフォーク2の-Y方向のスライドに同期して-Y方向にスライドされ、直交方向スライド機構4の+Y方向のスライドに伴うフォーク2の+Y方向のスライドに同期して+Y方向にスライドされる。なお、係合部材92は、ガイド102によって直交方向のスライドが案内される。また、係合部材92は、搬送方向にはスライドしない。
【0026】
<チルト機構の詳細>
図3は、チルト機構9の構成を示す平面図である。また、図4は、チルト機構9の構成を示す右側面図である。図3及び図4に示すように、チルト機構9は、傾動部91及び係合部材92を有する。上記のように、係合部材92は、±Y方向にスライドする。係合部材92が-Y方向にスライドすると、軸93を中心に、傾動部91が回転し、-Z方向に傾動する。この傾動動作前に、傾動部91は、位置P2のケースCAを保持し、傾動動作後にケースCA内のワークWが排出される。この際、傾動部91は、カム機構94により係合部材92にリンクされている。一方、係合部材92が+Y方向にスライドすると、軸93を中心に、傾動部91が逆回転し、傾動前の状態に戻る。
【0027】
チルト機構9は、直交方向スライド機構4のスライドとフォーク2のスライドとによって、この一連の動作を繰り返す。なお、チルト機構9は、フォーク2のスライドによって傾動部91がケースCAの保持位置に復帰するようにしていたが、フォーク2のスライドではなく、収縮バネあるいは伸長バネなどの復元力を用いてもよい。また、カム機構94に替えてリンク機構により傾動動作を行うようにしてもよい。
【0028】
<一連のワーク搬送排出動作>
図5図9は、ワーク搬送装置1の一連のワーク搬送排出動作を説明する説明図である。図5は、ワークWの排出直後の状態を示す図である。図6は、ワークWを含むケースCAがフォーク2に保持された状態を示す図である。図7は、フォーク2に保持されたケースCAを搬送方向に搬送した状態を示す図である。図8は、ケースCAの搬送後におけるチルト機構9による傾動動作中の状態を示す図である。図9は、ケースCAの傾動動作後の状態を示す図である。
【0029】
まず、図5に示す初期状態では、すでに1回のワーク搬送排出動作が終了し、位置P0のケースCA内のワークWが位置P1に搬送され、次の搬送すべきワークWを含むケースCAが位置P0に配置されている。この状態で、三角カム3がカム軸30を中心に時計回りに回転すると、直交方向スライド機構4が+Y方向にスライドし、これに伴ってフォーク2が+Y方向にスライドする。そして、フォーク2の櫛歯22が位置P0,P1のケースCAを保持する(図6参照)。
【0030】
図6において、三角カム3がさらにカム軸30を中心に時計回りに回転すると、直交方向スライド機構4が+X方向にスライドし、これに伴って搬送方向スライド機構5が+X方向にスライドする。この搬送方向スライド機構5のスライドは、増速ギア7を介して3倍のストロークでフォーク2を+X方向にスライドさせ、位置P1のワークWを含むケースCAを位置P2に搬送するとともに、位置P0のワークWを含むケースCAを位置P1に搬送する(図7参照)。
【0031】
図7において、直交方向スライド機構4の搬送方向側の端部は、チルト機構9の係合部材92に係合しており、三角カム3がさらにカム軸30を中心に時計回りに回転すると、直交方向スライド機構4が-Y方向にスライドし、フォーク本体21も直交方向スライド機構4に同期して-Y方向にスライドする。係合部材92はフォーク本体21に係合しており、係合部材92はフォーク本体21の-Y方向のスライドに同期して-Y方向にスライドし、傾動部91を傾動する(図8参照)。このフォーク本体21の-Y方向へのスライドによって、フォーク2による位置P1,P0のケースCAに対する保持が解除される。そして、位置P1,P0のワークWは、それぞれ位置P1,P0に停止した状態となる(図8参照)。このとき直交方向スライド機構4は搬送方向にスライドしていない。
【0032】
そして、図9に示すように、三角カム3がさらにカム軸30を中心に時計回りに回転してチルト機構9の傾動が完了すると、ケースCA内のワークWはケースCAから排出される。このとき、次に搬送すべきワークWを含むケースCAが位置P0に配置される。この図9の状態において、さらに三角カム3がカム軸30を中心に時計回りに回転すると、直交方向スライド機構4は、-X方向にスライドし、これに伴って搬送方向スライド機構5は、-X方向にスライドし、増速ギア7を介して3倍のストロークでフォーク2を-X方向にスライドさせて初期状態、すなわち、チルト機構9によってワークWが排出された状態となる(図5参照)。
【0033】
この図5図9の一連のワーク搬送排出動作を繰り返すことによって、1回のワーク搬送排出動作ごとに、ワークWを含むケースCAが搬送方向に搬送され、チルト機構9の傾動によってケースCA内のワークWが排出される。
【0034】
本実施の形態では、一連のワーク搬送排出動作、すなわちワークWの搬送動作と、チルト機構によるワークWの排出動作とを、1つの動力源6による三角カム3の等速回転のみによって行うことができるため、搬送動作と排出動作との同期制御が不要となり、構成が簡易なものとなる。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、フォーク2がケースCAを介してワークWを保持して搬送するようにしていたが、これに限らず、フォーク2が直接ワークWを保持するようにしてもよい。本実施の形態では、ワークWが球状であり、保持しにくいため、ケースCAを介して保持するようにしている。
【0036】
また、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のワーク搬送装置は、1つの動力源を用いてワークの搬送動作とチルト機構によるワークの排出動作とを行う場合に有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 ワーク搬送装置
2 フォーク
3 三角カム
4 直交方向スライド機構
5 搬送方向スライド機構
6 動力源
7 増速ギア
8 フォークスライド機構
9 チルト機構
21 フォーク本体
22 櫛歯
30 カム軸
51 基準ラック
61,62,93 軸
63,64 ギア機構
71 基準ピニオン
72 増速ピニオン
73 共通回転軸
81 増速ラック
91 傾動部
92 係合部材
94 カム機構
100 搬送板
101,102 ガイド
A,C 搬送方向ストローク
B 直交方向ストローク
CA ケース
P0,P1,P2 位置
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9