(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094709
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】エスカレータ、およびエスカレータを利用したフロア混雑状況表示システム
(51)【国際特許分類】
B66B 23/22 20060101AFI20220620BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20220620BHJP
G09F 27/00 20060101ALI20220620BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B66B23/22 H
B66B31/00 A
B66B31/00 E
G09F27/00 E
G09F19/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207749
(22)【出願日】2020-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】北村 美和子
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA11
3F321CE31
3F321EA04
3F321EA05
3F321EB07
3F321EC06
3F321FB00
3F321HA13
(57)【要約】
【課題】エスカレータの降り口のフロアの混雑状況を効果的に知ることができるエスカレータを提供する。
【解決手段】建築物の階下フロアDSと階上フロアUSの間に架け渡されたエスカレータ10を、循環走行して利用客を乗口側から降口側へと搬送する無端搬送体である複数の踏段12と、光源部を含む照明装置であるハンドレール下部照明装置34A、34Bと、前記光源部の照明光を、前記降口側となるフロアが混雑していない通常の場合には第1の照明色である白色とし、混雑している場合には第2の照明色である赤色とする照明色切換手段と、を有する構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の階下フロアと階上フロアの間に架け渡されたエスカレータであって、
循環走行して利用客を乗口側から降口側へと搬送する無端搬送体と、
光源部を含む照明装置と、
前記光源部の照明光を、前記降口側となるフロアが混雑していない通常の場合には第1の照明色とし、混雑している場合には第2の照明色とする照明色切換手段と、
を有することを特徴とするエスカレータ。
【請求項2】
前記無端搬送体の走行路を含む前記利用客の通路に沿って立設された欄干パネルと、
前記無端搬送体と同期し、前記欄干パネルの上端に沿って走行するハンドレールと、
を有し、
前記照明装置は、前記光源部が前記ハンドレールの下部に当該ハンドレールに沿って設けられたハンドレール下部照明装置であることを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ。
【請求項3】
前記照明色切換手段は、
前記降口側となるフロアが混雑する時間帯を記憶する混雑時間帯記憶部と、
前記混雑時間帯記憶部を参照し、前記照明光を、混雑時間開始時刻になると前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換え、混雑時間終了時刻になると前記第2の照明色から前記第1の照明色に切り換える切換部と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエスカレータ。
【請求項4】
前記照明色切換手段は、
外部から発信される、切換信号および切換解除信号を受信する切換信号受信部と、
前記切換信号受信部が前記切換信号を受信すると前記照明光を前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換え、前記切換解除信号を受信すると前記第2の照明色から前記第1の照明色に切り換える切換部と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエスカレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のエスカレータと、
前記切換信号および前記切換解除信号を発信する信号発信部を含む切換指示装置と、
を有し、
前記切換指示装置が発信する前記切換信号を受信した前記エスカレータが、前記照明光を、前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換えることにより、当該エスカレータの降口側となるフロアが混雑していることを表示することを特徴とする、エスカレータを利用したフロア混雑状況表示システム。
【請求項6】
さらに、前記降口側となるフロアを撮影するカメラを有し、
前記切換指示装置は、
前記カメラが撮影した画像から前記降口側となるフロアが混雑しているかどうかの判定を行う判定部を含み、
前記信号発信部は、
前記判定部によって前記フロアが混雑していると判定された場合は、前記切換信号を発信し、混雑していないと判定された場合は、前記切換解除信号を発信することを特徴とする請求項5に記載の、エスカレータを利用したフロア混雑状況表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータおよびエスカレータを利用したフロア混雑状況表示システムに関し、例えば、商業施設に設置されるエスカレータ等に関する。
【背景技術】
【0002】
デパートや大型ショッピングモールなどの商業施設には、輸送効率の良さから複数のエスカレータが適所に設置されており、利用客は、入口階のフロアからエスカレータを乗り継いで目的階のフロアへと向かう。
【0003】
ところで、近年広まった感染症の対策の一つとして人が密集する場所を避けて行動することが挙げられている。このため、「混雑する時間帯を避けて買い物をして下さい。」といった館内放送をする商業施設がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、混雑する時間帯はフロア(売り場等)によって区々であり、仮に、どのフロアがどの時間帯に込み合っているのかが施設内に掲示されているとしても、目的階に向かう経路にその掲示が無い場合には、利用客はその情報に接しない場合がある。
【0006】
このため、エスカレータで目的階に到着し、目的とする売り場等までいって初めて、その売り場等が混雑していることに気づくといった事態が生じる。
【0007】
上記した課題に鑑み、本発明は、エスカレータの降口のフロアの混雑状況を効果的に知ることができるエスカレータ、およびエスカレータを利用したフロア混雑状況表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るエスカレータは、建築物の階下フロアと階上フロアの間に架け渡されたエスカレータであって、循環走行して利用客を乗口側から降口側へと搬送する無端搬送体と、光源部を含む照明装置と、前記光源部の照明光を、前記降口側となるフロアが混雑していない通常の場合には第1の照明色とし、混雑している場合には第2の照明色とする照明色切換手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記無端搬送体の走行路を含む前記利用客の通路に沿って立設された欄干パネルと、前記無端搬送体と同期し、前記欄干パネルの上端に沿って走行するハンドレールと、を有し、前記照明装置は、前記光源部が前記ハンドレールの下部に当該ハンドレールに沿って設けられたハンドレール下部照明装置であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記照明色切換手段は、前記降口側となるフロアが混雑する時間帯を記憶する混雑時間帯記憶部と、前記混雑時間帯記憶部を参照し、前記照明光を、混雑時間開始時刻になると前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換え、混雑時間終了時刻になると前記第2の照明色から前記第1の照明色に切り換える切換部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
あるいは、前記照明色切換手段は、外部から発信される、切換信号および切換解除信号を受信する切換信号受信部と、前記切換信号受信部が前記切換信号を受信すると前記照明光を前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換え、前記切換解除信号を受信すると前記第2の照明色から前記第1の照明色に切り換える切換部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明に係る、エスカレータを利用したフロア混雑状況表示システムは、上記エスカレータと、前記切換信号および前記切換解除信号を発信する信号発信部を含む切換指示装置と、を有し、前記切換指示装置が発信する前記切換信号を受信した前記エスカレータが、前記照明光を、前記第1の照明色から前記第2の照明色に切り換えることにより、当該エスカレータの降口側となるフロアが混雑していることを表示することを特徴とする。
【0013】
また、さらに、前記降口側となるフロアを撮影するカメラを有し、前記切換指示装置は、
前記カメラが撮影した画像から前記降口側となるフロアが混雑しているかどうかの判定を行う判定部を含み、前記信号発信部は、前記判定部によって前記フロアが混雑していると判定された場合は、前記切換信号を発信し、混雑していないと判定された場合は、前記切換解除信号を発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成からなるエスカレータによれば、階下フロアと階上フロアに掛け渡されたエスカレータにおいて、照明装置の光源部の照明光の照明色が、降口側となるフロアが混雑していない通常の場合は第1の照明色となり、混雑している場合は第2の照明色となるので、前記光源部の照明色から、エスカレータの降口のフロアの混雑状況を知ることができる。
【0015】
また、上記構成を有する、エスカレータを利用したフロア混雑状況表示システムによれば、切換指示装置から発信された切換信号を受信したエスカレータの照明装置の光源部の照明光の照明色が、降口側となるフロアが混雑していない通常の場合の第1の照明色から、混雑している場合の第2の照明色に切り換えられるため、前記光源部の照明色から、エスカレータの降口のフロアの混雑状況を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、実施形態1に係るエスカレータの概略構成を示す斜視図であり、(b)は、前記エスカレータの乗降口を拡大した図である。
【
図2】(a)は、上記エスカレータの制御装置を含む照明システムのブロック図であり、(b)は、前記制御装置のROM内に格納された混雑時間帯記憶部を示す図である。
【
図3】上記制御装置のCPUで実行される照明色切換プログラムのフローチャートである。
【
図4】上記エスカレータが建築物に複数基設置された一例を示す図である。
【
図5】実施形態2に係るエスカレータと中央監視盤とで構築されるフロア混雑状況表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態2に係るエスカレータの制御装置のCPUで実行される照明色切換プログラムのフローチャートである。
【
図7】実施形態3に係るエスカレータ、混雑検知装置、およびカメラで構築されるフロア混雑状況表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施形態に基づき、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
〔全体構成〕
図1(a)は、実施形態1に係るエスカレータ10の概略構成を示す斜視図であり、
図1(b)は、エスカレータ10の乗降口を拡大した図である。なお、
図1(a)では、後述する欄干16の一部を切除して図示している。
【0018】
図1に示すように、エスカレータ10は、環状に連結されて循環走行し、乗客を乗口側から降口側へと搬送する無端搬送体である複数の踏段12を有する。踏段12の走行路および上下の乗降口を含む乗客の通路PWの両側には、欄干14,16が設置されている。
【0019】
欄干14,16の各々は、通路PWに沿って列設された複数の欄干パネル18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28を有する(
図1において、欄干パネルは、片側の欄干14を構成する欄干パネルのみに符号を付している。)。欄干パネル18~28の各々は、例えば、ガラス製であり、透光性を有している。
【0020】
複数の欄干パネル18~28の内、列設方向において両端部に設けられた欄干パネル18,28は、水平方向に張り出した円弧状端部を有する。欄干パネル18,28を特に区別する必要がある場合、「端部欄干パネル18,28」と称し、端部欄干パネル18,28以外の欄干パネルを「中間パネル19,…,27」と称することとする。
【0021】
欄干パネル18~28の上端部および端部欄干パネル18,28の前記円弧状端部には、複数本のガイドレール(不図示)が設けられている。前記複数本のガイドレールには、当該ガイドレールに案内され、踏段12と同じ向きに同じ速度で循環走行する(すなわち、複数の踏段12と同期して走行する)無端ベルト状をしたハンドレール30,32が装着されている。
【0022】
ガイドレール(不図示)に案内されるハンドレール30,32は、欄干パネル18,…,28の上部端部に沿って走行する区間(利用客が掴む区間)では、水平方向に走行した後、カーブして直線的に斜行し、またカーブして再び水平方向に走行する。水平方向に走行したハンドレール30,32は、一方の端部欄干パネルの円弧状端部に沿って走行方向を反転した後、他方の端部欄干パネルへと走行する。ここで、ハンドレール30,32が上記水平方向に走行する区間を「水平区間」、上記斜行する区間を「斜行区間」と称することとする。
【0023】
エスカレータ10は、例えば、建築物内の階下のフロアDSと階上のフロアUSとの間に架け渡されて設置されている。エスカレータ10は、踏段12およびハンドレール30,32の走行の向きが切り替えられて、昇り用あるいは下り用として用いられ、踏段12に乗った利用客が、階下のフロアDSから階上のフロアUS、あるいは階上のフロアUSから階下のフロアDSへと搬送される。
【0024】
〔照明装置〕
エスカレータ10は、また、欄干14に設けられた、ハンドレール下部照明装置34A、スカートガード照明装置36A、およびコム照明装置38Aを有している。欄干16にも、ハンドレール下部照明装置34B、スカートガード照明装置36B、およびコム照明装置38Bが設けられている(スカートガード照明装置36Bとコム照明装置38Bは、
図1には現れていない。
図2(a)参照)。
【0025】
以下、上記照明装置の各々について説明するが、ハンドレール下部照明装置34Aとハンドレール下部照明装置34B、スカートガード照明装置36Aとスカートガード照明装置36B、コム照明装置38Aとコム照明装置38Bはそれぞれ同様の構成なので、欄干14に設けられた各照明装置を代表に説明し、欄干16に設けられた照明装置各々の説明は省略することとする。この場合、欄干14と欄干16とで区別する必要のない場合は、アルファベットの符号(A、B)は省略する。
【0026】
ハンドレール下部照明装置34は、光源部とコントローラとを含む。光源部は、近接配置された赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップを一組とするLED組を複数含んでおり、各色LEDの明るさが調整されてLED組からの照明色が変更される構成となっている。コントローラは、後述するCPU52からの指示に従い、各色LEDの明るさを調整することにより、前記照明色を変更する。
【0027】
前記複数のLED組は、前記水平区間と前記斜行区間に亘り、ハンドレール30に沿って、ハンドレール30の下部に列設されている。以下、列設された複数のLED組からなる光源部を「LEDユニット」と称することとする。LEDユニットは、欄干パネル18~28に対し、通路PWとは反対側に設けられている。欄干パネル18~28は、上記したように透光性を有するため、LEDユニットからの照明光は、エスカレータ10の外側はもとより、通路PWを進行する利用客からも良好に視認される。
【0028】
続いて、スカートガード照明装置36について説明する。スカートガード照明装置36は、ハンドレール下部照明装置34と同様の構成を有している。すなわち、スカートガード照明装置36は、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップを一組とするLED組が複数組列設されてなる光源部であるLEDユニットとLEDユニットからの照明光の照明色を変更するコントローラとを含む。
【0029】
欄干パネル18~28の下端部側方には、上記無端搬送体と僅かな隙間を保って、上記走行路に沿って配された、ステンレス鋼板等のパネルからなるスカートガード40が設けられている。また、欄干パネル18~28の下端部とスカートガード40との間には、ステンレス鋼板等のパネルからなる内デッ42が設けられている。
【0030】
スカートガード照明装置36の光源部であるLEDユニットは、スカートガード40設けられている。スカートガード照明装置36のLEDユニットは、スカートガード40に沿って、利用者の足元を明るく照らし、エスカレータ10の意匠性を高める。
【0031】
コム照明装置38は、乗降口のスカートガード40に設けられており、利用客の足元を照らすことで、乗り降りをしやすくする。コム照明装置38は、照明範囲(通路PW方向の長さ範囲)の違いから、光源部であるLEDユニットを構成する前記LED組の個数が大幅に少ない以外は、ハンドレール下部照明装置34、スカートガード照明装置36と同様の構成である。すなわち、コム照明装置38は、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップを一組とするLED組が一組または複数組からなる光源部であるLEDユニットとLEDユニットからの照明光の照明色を変更するコントローラとを含む。
【0032】
〔制御装置〕
図2(a)に、エスカレータ10が有する制御装置50を示す。制御装置50は、CPU52を中心にして、CPU52にROM54、RAM56が接続された構成をしている。また、CPU52は、ハンドレール下部照明装置34A、34B、スカートガード照明装置36A、36B、コム照明装置38A、38B(の各々のコントローラ)と接続されている。
【0033】
ROM54は、CPU52が実行する各種の制御プログラム等を格納しており、RAM56は、CPU52によるプログラム実行中のワークエリアとなる。CPU52は、ROM54に格納された運転制御プログラム(不図示)を実行し、踏段12の駆動源である電動機(不図示)を制御して踏段12の走行速度(運転速度)を一定に保持したり、減速したり、場合によっては、運転を停止したりする制御を実行するが、運転制御は、本発明の主眼ではないので、これ以上の説明は省略する。
【0034】
ここで、エスカレータ10は、建築物内の階下のフロアDSから階上のフロアUSへと利用客を搬送する上り用として用いられている場合を想定して以下説明する。すなわち、フロアDSが乗口側となりフロアUSが降口側となる。
【0035】
ROM54は、
図2(b)に示すように、混雑時間帯記憶部58を有している。混雑時間帯記憶部58は、フロアDS、すなわち、降口側となるフロアが混雑する時間帯を記憶している。当該時間帯は、経験的に把握できるものであり、制御装置50に接続したパソコン等を用いて、予め、ROM54に格納されている。
【0036】
0時~24時の内、
図2(b)に斜線で示した範囲が混雑時間帯である。すなわち、時刻T1~時刻T2の間、および時刻T3~時刻T4の間が混雑時間帯として設定(記憶)されている。なお、本例において、混雑時間帯は二つであるが、一つの場合も三つ以上の場合もあり得る。
【0037】
CPU52は、混雑時間帯記憶部58を参照し、降口側となるフロアが混雑していない通常の場合(時間帯)と混雑している場合(時間帯)とで、ハンドレール下部照明装置34の光源部であるLEDユニットの照明光の光色を切り換える。例えば、通常の場合は、照明光を白色とし混雑している場合は赤色とする。
【0038】
CPU52が実行する照明色切換プログラムについて、
図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。照明色切換プログラムは、エスカレータ10の運転開始と同時に起動される。
【0039】
CPU52は、内部時計(不図示)を参照し、現在時刻「t」を取得する(ステップS1)。次に、取得した時刻「t」が混雑時間帯内か否かを判定する(ステップS2)。すなわち、『T1≦t≦T2、または、T3≦t≦T4』か否かを判定する。
【0040】
現在時刻「t」が混雑時間帯外であると判定した場合(ステップS2でNO)、CPU52は、ハンドレール下部照明装置34(のコントローラ)に対し、通常点灯指示を出力する(ステップS3)。通常点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットを白色点灯させる。ステップS3に続き、CPU52は、内部フラグ「i」を「0」にセットする。この内部フラグは、LEDユニットが白色点灯中か赤色点灯中かを示すフラグであり『i=0』であれば、白色点灯中であることを、『i=1』であれば、赤色点灯中であることを示す。
【0041】
一方、ステップS2でYESと判定した場合、すなわち、現在時刻「t」が混雑時間帯であると判定した場合、CPU52は、ハンドレール下部照明装置34(のコントローラ)に対し、混雑点灯指示を出力する(ステップS5)。混雑点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットを赤色点灯させる。ステップS5に続き、CPU52は、内部フラグ「i」を「1」にセットする。
【0042】
以上、ステップS1~6は、エスカレータ10の運転開始時に実行される点灯色の初期設定処理となる。ステップS1~S4、またはステップS1、S2、S5、S6を実行すると、ステップS7に進み、CPU52は、前記内部時計を参照し、時刻「t」を取得する(ステップS7)。
【0043】
そして、ステップS2と同様にして、CPU52は、取得した時刻「t」が混雑時間帯内か否かを判定する(ステップS8)。現在時刻「t」が混雑時間帯外であると判定した場合(ステップS8でNO)、フラグ「i」をチェックする(ステップS9)。
【0044】
『i=0』の場合(ステップS9でYES)、すなわち、ハンドレール下部照明装置34のLEDユニットが白色発光している場合、照明色を変更する必要はないため、ステップS7に戻る。一方、『i=1』場合(ステップS9でNO)、すなわち、現在、LEDユニットが赤色発光している場合は、照明色を白色に切り換える必要があるため、CPU52は、ハンドレール下部照明装置34(のコントローラ)に対し、通常点灯指示を出力する(ステップS10)。通常点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットの照明色を赤色から白色に切り換える。ステップS10に続き、CPU52は、内部フラグ「i」を「0」にセットして、ステップS7に戻る。
【0045】
ステップS8で、現在時刻「t」が混雑時間帯内であると判定した場合(ステップS8でYES)、フラグ「i」をチェックする(ステップS12)。
【0046】
『i=0』の場合(ステップS12でYES)、すなわち、ハンドレール下部照明装置34のLEDユニットが白色発光している場合、照明色を赤色に切り換える必要があるため、CPU52は、ハンドレール下部照明装置34(のコントローラ)に対し、混雑点灯指示を出力する(ステップS13)。混雑点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットの照明色を白色から赤色に切り換える。ステップS13に続き、CPU52は、内部フラグ「i」を「1」にセットして、ステップS7に戻る。一方、『i=1』場合(ステップS12でNO)、照明色を変更する必要はないため、ステップS7に戻る。
【0047】
以上、説明したように、制御装置50は、ハンドレール下部照明装置34のLEDユニットの照明光を、エスカレータ10の降口側となるフロアUSが混雑していない通常の場合には、白色とし、混雑している場合には赤色とする照明色切換手段として機能する。
【0048】
さらに詳細には、制御装置50のROM54は、エスカレータ10の降口側となるフロアが混雑する時間帯を記憶する混雑時間帯記憶部58として機能し、CPU52が実行する照明色切換プログラム(
図3)における処理(ステップ)の内、混雑時間帯記憶部58を参照し(ステップS7、S8)、混雑時間開始時刻になると(ステップS8でYES、ステップS12でYES)、LEDユニットの照明光を白色から赤色に切り換え(ステップS13)、混雑時間終了時刻になると(ステップS8でNO、ステップS9でNO)、LEDユニットの照明光を赤色から白色に切り換える(ステップS10)処理は切換部として機能する。
【0049】
上記構成を有するエスカレータ10によれば、通常は白色点灯しているハンドレール下部照明装置34が、通常とは異なる赤色点灯していると、利用客は、エスカレータ10の降口側フロアが混雑しているとの情報を得ることができる。しかも、エスカレータ10は、降口側フロアへ向かう際に必ず利用するため、前記情報は可能な限り見逃されることがない。しかも。ハンドレール下部照明34の光源部であるLEDユニットは、エスカレータ10の略全長に亘り、欄干パネル18~28の外側に設けられているため、エスカレータ10から比較的離れた乗口側フロアの場所からでも前記情報を得ることができる。
【0050】
エスカレータ10が複数基(本例では、6基)設置された例について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、建築物の1階から4階において、上下に隣接する階毎に2基のエスカレータ10が配置された例である。
図4に示すように付号A~Fを付して、エスカレータ10の各々を区別することとする。ここでは、例えば、図中に矢印で示すように、エスカレータ10A、10D、10Eが上り用であり、エスカレータ10B、10C、10Fが下り用である。
【0051】
また、例えば、1~4階フロアの内、2階フロアが混雑時間帯であるとする。この場合、2階フロアが降口側となるエスカレータ10A、10Cのハンドレール下部照明装置34が赤色点灯し、これ以外のエスカレータ10B、10D、10E、10Fのハンドレール下部照明は白色点灯する。
図4では、赤色点灯しているハンドレール下部照明装置34にハッチングを施している。
【0052】
このような状況で、例えば、2階と3階に用事のある利用者の場合、建築物に入って1階に居るときに、2階が混雑していることが分かる。利用客は、先ず、エスカレータ10Aに乗って2階へ向かうが、2階の少なくともエスカレータ10Aの降口において、エスカレータ10Dのハンドレール下部照明装置34は視認できるため、3階は混雑していないことが分かる。このため、少々待てば2階の混雑が解消することを期待し、2階は素通りして、エスカレータ10Dで3階へ向かい、3階での用事を先に済ますことが考えられる。
【0053】
また、2階のみに用事がある利用客であれば、他の階や当該建築物外で時間をつぶして再度訪れるか、あるいは、その日は断念して後日に訪れるかなどの方策をとることができる。いずれにしても、目的階(本例では、2階)の混雑する売り場等に進入してしまうことを未然に防止することが可能となる。
【0054】
<実施形態2>
上述したように、実施形態1では、エスカレータ10の有するROM54内の混雑時間帯記憶部58を参照して、ハンドレール下部照明装置34の照明色を切り換える構成とした。これに対し、実施形態2では、エスカレータ外部からの信号に基いて照明色を切り換えることとしている。
【0055】
実施形態2に係るエスカレータ210は、実施形態1のエスカレータ10とは、主として、CPUで実行される制御プログラムが異なる以外は、実質的に同じ構成を有している。よって、エスカレータ210の構成要素には二百番代の符号を付し、その下2桁には、エスカレータ10において対応する構成要素の符号を付して説明を省略するか、適宜、言及するに止める。
【0056】
図5は、実施形態2に係るエスカレータ210が、
図4に示した例と同様、建築物に複数基(本例では6基)設けられた例を示している。なお、
図5において、6基のエスカレータ210A~210Fの内、エスカレータ210B~210Fの制御部250等の構成については省略している。
【0057】
前記建築物には中央管理室(不図示)が設けられており、当該中央管理室には、中央監視盤400が設置されている。中央監視盤400は、制御部402、ディスプレイ404、入力装置406を有する。中央監視盤400は、一般的な情報処理装置で構成される。中央監視盤400は、エスカレータ210A~210Fの制御装置250と
図5に示すように接続されている。
【0058】
図4に示す建築物には、各階に、そのフロアの混雑状況等を監視するカメラ(不図示)が複数台設置されており、当該カメラで撮像される映像は、リアルタイムで前記中央管理室内に設けられたモニター画面(不図示)に映しだされる。管理人は、モニター画面の映像から、各階における利用客の混雑状況を把握することができる。
【0059】
管理人は、入力装置406を用いて、混雑しているフロアが降口側となるエスカレータ210を入力(混雑指定)する。当該混雑指定を受けた制御部402は、対応するエスカレータ210の制御装置50に対し、ハンドレール下部照明装置34の照明色を通常の白色から混雑時の赤色に切り換える指示である切換信号を出力する。
【0060】
また、管理人は、混雑していたフロアの混雑状況が解消された場合には、入力装置406を用いて、混雑が解消されたフロアが降口側となるエスカレータ210を入力(混雑指定解除)する。当該混雑指定解除を受けた制御部402は、対応するエスカレータ210の制御装置50に対し、ハンドレール下部照明装置34の照明色を混雑時の赤色から通常時の白色に戻す指示である切換解除信号を出力する。本例において、ハンドレール下部照明装置34の照明色に関し、制御部402からエスカレータ210へ出力される「信号」は、上記「切換信号」と上記「切換解除信号」の二つである。
【0061】
上述した中央監視盤400と接続された制御装置250のCPU252で実行される照明色切換プログラムについて、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。照明色切換プログラムは、エスカレータ210の運転開始と同時に起動される。
【0062】
先ず、CPU252は、ハンドレール下部照明装置234(のコントローラ)に対し、通常点灯指示を出力する(ステップS20)。通常点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットを白色点灯させる。ステップS20に続き、CPU252は、内部フラグ「i」を「0」にセットする(ステップS21)。ステップS21が終了すると、CPU252は、中央監視盤400から出力される信号の受信待ちとなる(ステップS22)。
【0063】
中央監視盤400(の制御部402)から「信号」を受信すると(ステップS22でYES)、CPU252は、受信した「信号」が「切換信号」か「切換解除信号」かを判定する(ステップS23)。
【0064】
ステップS23で、「切換信号」であると判定した場合(ステップS23でYES)、フラグ「i」をチェックする(ステップS24)。
【0065】
『i=0』の場合(ステップS24でYES)、すなわち、ハンドレール下部照明装置234のLEDユニットが白色点灯している場合、照明色を赤色に切り換える必要があるため、CPU252は、ハンドレール下部照明装置234(のコントローラ)に対し、混雑点灯指示を出力する(ステップS25)。混雑点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットの照明色を白色から赤色に切り換える。ステップS25に続き、CPU252は、内部フラグ「i」を「1」にセットして、ステップS23に戻る。一方、『i=1』場合(ステップS24でNO)、照明色を変更する必要はないため、ステップS23に戻る。
【0066】
ステップS23で「切換解除信号」であると判定した場合(ステップS23でNO)、フラグ「i」をチェックする(ステップS27)。
【0067】
『i=0』場合(ステップS27でYES)、LEDユニットは白色点灯しており、照明色を変更する必要はないため、ステップS23に戻る。
【0068】
一方、『i=1』の場合(ステップS27でNO)、すなわち、ハンドレール下部照明装置234のLEDユニットが赤色点灯している場合、照明色を白色に切り換える必要があるため、CPU252は、ハンドレール下部照明装置234(のコントローラ)に対し、通常点灯指示を出力する(ステップS28)。通常点灯指示を受けたコントローラはLEDユニットの照明色を赤色から白色に切り換える。ステップS28に続き、CPU252は、内部フラグ「i」を「0」にセットして、ステップS23に戻る。
【0069】
以上、説明したように、エスカレータ210の制御装置250は、外部(中央監視盤400)から発信される切換信号および切換解除信号を受信し、切換信号を受信するとLEDユニット234の照明光を白色から赤色に切り換え、切換解除信号を受信すると赤色から白色に切り換える照明色切換手段として機能する。
【0070】
さらに詳細には、制御装置250(のCPU252)が実行する照明色切換プログラム(
図6)における処理(ステップ)の内、中央監視盤400の制御部402(外部)から発信される切換信号および切換解除信号を受信する処理(ステップS22)は、切換信号受信部として機能し、切換信号を受信すると(ステップS23でYES)、ハンドレール下部照明装置234のLEDユニットの照明光を白色から赤色に切り換え(ステップS24でYES、ステップS25)、切換解除信号を受信すると(ステップS23でNO)、ハンドレール下部照明装置234のLEDユニットの照明光を赤色から白色に切り換える(ステップS27でNO、ステップS28)処理は、切換部として機能する。
【0071】
また、中央監視盤400は、切換信号および切換解除信号を発信する信号発信部として機能する制御部402を含む切換指示装置として機能する。そして、中央監視盤400(切換指示装置)とエスカレータ210A~210Fとで、LEDユニットの照明色が白色から赤色に切り換えられたエスカレータ210(赤色点灯しているエスカレータ)の降口側となるフロアが混雑していることを表示する、エスカレータ210A~210Fを利用したフロア混雑状況表示システム200(
図5)が構築される。
【0072】
なお、本例では複数基のエスカレータ210でフロア混雑状況表示システムを構築したが、エスカレータの台数は1基でも構わない。1基あれば、少なくとも降口側となるフロアが混雑しているか否かの表示ができるからである。
【0073】
<実施形態3>
実施形態2では、各階に設置されたカメラ(不図示)で撮影され、モニター画面(不図示)に映し出される映像から、管理人が各階フロアの混雑状況を判断した。これ対し、実施形態3におけるフロア混雑状況表示システムでは、人の判断に拠らず、自動的に各階フロアの混雑状況が判断できる構成とした。
【0074】
図7に、実施形態3のフロア混雑状況表示システム300の概略構成を表したブロック図を示す。実施形態3のエスカレータ310は、実施形態1、2のエスカレータ10、210とは、主として、CPUで実行される制御プログラムが異なる以外は、実質的に同じ構成を有している。よって、エスカレータ310の構成要素には三百番代の符号を付し、その下2桁には、エスカレータ10において対応する構成要素の符号を付して説明を省略するか、適宜、言及するに止める。なお、
図7においも、
図5と同様、6基のエスカレータ310A~310Fの内、エスカレータ310B~310Fの制御部250等の構成については省略している。
【0075】
実施形態3のフロア混雑状況表示システム300は、実施形態2の混雑状況表示システム200の中央監視盤400に代えて、混雑検知装置500を備えている。混雑検知装置500は、CPU502にROM504およびRAM506が接続された構成を有している。混雑検知装置500には、PC等の一般的な情報処理装置が用いられる。
【0076】
ROM504には、各階とその階が降口側となるエスカレータ310とが対応付けられた「エスカレータ昇降設定テーブル」(不図示)が格納されている。例えば、
図4に示す例では、1階とエスカレータ310B、2階とエスカレータ310A、310C、3階とエスカレータ310D、310F、4階とエスカレータ310Eがそれぞれ対応付けられている。
【0077】
フロア混雑状況表示システム300は、
図4に示す建築物の各階に設置された、そのフロアの混雑状況等を監視するためのカメラ601、602、603、604を有している。カメラ601、602、603、604は、それぞれ、1階、2階、3階、4階のフロアの混雑状況が監視できるように設置されている。カメラ601、602、603、604の各々は、混雑検知装置500に接続されており、カメラ601、602、603、604で撮影される画像は、混雑検知装置500に送信される。なお、1階当たりに設置するカメラの台数は、1台に限らす複数台としても構わない。
【0078】
混雑検知装置500は、カメラ601~604から送信される画像を受信し、当該画像から人物(利用客)を検出して、カメラ601~604各々の監視エリアにおける人物(利用客)の混雑状態(混雑度)を検知する処理を行う。なお、この処理(カメラの撮像結果から人物の混雑度を検出する処理)は、例えば、特開2018-42049号公報その他の文献に開示されている種々の公知技術により実現できるため、その詳細な説明については省略し、以下、簡単な例によって説明することとする。
【0079】
混雑検知装置500は、カメラ601~604が撮影した画像を所定の時間間隔でモニターし、当該画像から対応するフロアが混雑しているかどうかの判定を行う。例えば、撮影画像から公知の画像処理により人物を抽出し、1フレームにおける人物が所定の人数以上の場合には、当該フロアが混雑していると判定し、前記所定の人数未満の場合は混雑していない(通常である)と判定する。なお、前記所定の人数は、監視エリアの広さ等に基き、経験的に定め得るものである。
【0080】
混雑検知装置500は、対応するフロアが混雑していると判定した場合、前記エスカレータ昇降設定テーブルを参照し、当該フロアと対応付けられたエスカレータに対し、「切換信号」を発信する。また、対応するフロアが混雑していない判定した場合、前記エスカレータ昇降設定テーブルを参照し、当該フロアと対応付けられたエスカレータに対し、「切換解除信号」を発信する。
【0081】
「切換信号」または「切換解除信号」を受信したエスカレータ310の制御装置350(のCPU352)で実行される照明色切換プログラムは、
図6を用いて説明した実施形態2のエスカレータ210の場合と同様なので、その説明については省略する。
【0082】
実施形態3のフロア混雑状況表示システム300において、混雑検知装置500は、カメラ601~604が撮影した画像から降口側となるフロアが混雑しているかどうかの判定を行う判定部と、当該判定部によって降口側となるフロアが混雑していると判定された場合は、対応するエスカレータ(の制御装置)に「切換信号」を発信し、混雑していないと判定された場合は、「切換解除信号」を発信する信号発信部と、を含む切換指示装置として機能する。
【0083】
以上、本発明を実施形態に基づき説明してきたが、本発明は上記した形態に限られないことは勿論であり、例えば、以下の形態としても構わない。
(1)エスカレータ10、210、310は、照明装置として、ハンドレール下部照明装置34、234、334、スカートガード照明装置36、236、336、およびコム照明装置38、238、338を備えている。この照明装置の内、上記実施形態では、ハンドレール下部照明装置34、234、334の照明光の照明色を、降口側となるフロアが混雑している場合とそうでない場合とで切り換えることとしたが、これに限らず、以下のようにしても構わない。
【0084】
(i)ハンドレール下部照明装置34、234、334に代えて、スカートガード照明装置36、236、336の照明色を切り換えるようにしても構わない。
【0085】
(ii)、ハンドレール下部照明装置34、234、334とスカートガード照明装置36、236、336の両方の照明色を切り換えるようにしても構わない。
【0086】
(iii)ハンドレール下部照明装置34、234、334、スカートガード照明装置36、236、336、およびコム照明装置38、238、338の全ての照明色を切り換えるようにしても構わない。
【0087】
(iv)要は、いずれか一つ、任意の二つ、あるいは三つ全ての照明装置の照明色を切り換えるようにすることができる。
【0088】
(2)上記実施形態において、降口側フロアが混雑していない通常の場合の照明色は白色とし、混雑している場合の照明色は赤色としたが、これに限らず、照明色の組み合わせは任意である。例えば、降口側フロアが混雑していない通常の場合の照明色は緑色とし、混雑している場合の照明色は橙色とする等しても構わない。
【0089】
(3)上記実施形態においては照明装置各々の光源部として、近接配置された赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップを一組とするLED組を用いたが、これに限らず以下のようにしても構わない。白色LEDを複数個直列接続した白色LED列と赤色LEDを複数個直列接続した赤色LED列とで光源部を構成し、コントローラで、発光させるLED列を切り換えるようにしても構わない。
【0090】
(4)上記実施形態において照明装置各々の光源部にLEDを用いたが、これに限らず、他の発光素子、例えば、有機ELを用いても構わない。
【0091】
(5)上記実施形態では、混雑している場合の照明色は赤色のみとしたが、これに限らず、混雑の度合い(混雑度)に応じて、照明色を切り換える構成としても構わない。例えば、混雑度1の場合の照明色を橙色とし、混雑度1よりも混みあっている混雑度2の場合の照明色を赤色としても構わない。なお、混雑度を複数のレベルで評価することは、例えば、特開2018-42049号公報その他の文献に開示されている種々の公知技術により実現できる。
【0092】
混雑度に応じて、照明色を切り換える構成とした場合であっても、降口側となるフロアが混雑していない通常の場合は第1の照明色とし、混雑している場合は、少なくとも第2の照明色に切り換えることに違いはなく、混雑度に応じて、さらに、第1および第2の照明色とは異なる照明色に切り換えるようになるだけである。
【0093】
(6)各階のフロアが比較的狭い建築物の場合、上下に隣接する階には。上り用と下り用の一組のエスカレータが掛け渡される。これに対し、例えば、2階建ての大型ショッピングモール(建築物)のように、各階のフロアが比較的広く、フロアの各々に異なった物やサービスを提供するエリアが複数存在する場合、上下階には、前記エリア毎(例えば、フードコート、食料品売り場、衣料品売り場、大型書店、ゲームセンター等毎)に上り用と下り用の一組のエスカレータが掛け渡される場合がある。
【0094】
この場合、同じフロアであっても前記エリア毎に利用客の混雑状況が異なるといった状態が生じ得る。そこで、エリア毎にそのエリアのフロアが混雑している場合としていない場合とで、当該エリア(フロア)に向かう(当該フロアが降口側となる)エスカレータの照明色を切り換えるようにしても構わない。
【0095】
(7)上記実施形態では、本発明に係るエスカレータを、踏段を有し踏面が階段状になるエスカレータに適用した例に基いて説明したが、本発明に係るエスカレータは、踏面が階段状にならないエスカレータ、すなわち、環状に連結された複数のパレットからなる無端搬送体やゴムベルトからなる無端搬送体を循環走行させて利用客を搬送するエスカレータであって、踏面が水平方向に対し傾斜して設けられたエスカレータ(傾斜型の移動歩道)にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係るエスカレータは、例えば、利用客で混雑する可能性のある商業施設に設置するエスカレータとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0097】
10、210、310 エスカレータ
12 踏段
34、234、334 ハンドレール下部照明装置
36、236、336 スカートガード照明装置
50、250、250 制御装置
200、300 フロア混雑状況表示システム
400 中央監視盤
500 混雑検知装置