(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094726
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207780
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】519198454
【氏名又は名称】株式会社Techno-idea
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】田窪 政博
(72)【発明者】
【氏名】田窪 優子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置スペースや使用目的に応じて大きさを選択可能であり、パーテイションとして使用することができる構造体の提供。
【解決手段】構造体10は、板状の部材により構成された複数のパーツ体20と、パーツ体20と連結される連結部材30と、を有し、パーツ体20には、周部から突出するよう形成された凸部22が形成されており、連結部材30には、複数のパーツ体を連結する第一連結部材32が含まれるものであり、凸部22を嵌め込み可能な凹部31が形成されており、第一連結部材32の凹部31に凸部22を嵌め込むことで、一のパーツ体20と他のパーツ体20とが第一連結部材32を介して連結され、複数のパーツ体20が連結されたユニット体が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の部材により構成された複数のパーツ体と、
前記パーツ体と連結される連結部材と、を有し、
前記パーツ体には、周部から突出するよう形成された凸部が形成されており、
前記連結部材には、
複数の前記パーツ体を連結する第一連結部材が含まれるものであり、
前記凸部を嵌め込み可能な凹部が形成されており、
前記第一連結部材の前記凹部に前記凸部を嵌め込むことで、一の前記パーツ体と他の前記パーツ体とが前記第一連結部材を介して連結され、複数の前記パーツ体が連結されたユニット体が形成されることを特徴とする、構造体。
【請求項2】
前記第一連結部材が、
直線状に延びる外形とされており、
複数の前記凹部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
二つの前記パーツ体のうち、一方をパーツ体Aとし、他方をパーツ体Bとした場合、
前記パーツ体に形成された前記凸部のピッチと、前記第一連結部材に形成された前記凹部のピッチとが異なるものであり、
前記パーツ体A及び前記パーツ体Bを、前記第一連結部材を介して連結した状態において、前記第一連結部材には、前記パーツ体Aの前記凸部と前記パーツ体Bの前記凸部とが、互い違いとなるように嵌め込まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記第一連結部材に設けられた前記凹部が、
前記第一連結部材の表裏を貫通するように形成された貫通孔であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
三つ以上の前記パーツ体を連結して前記ユニット体を形成可能であり、
前記パーツ体又は前記ユニット体を自立させた状態における上下方向を第一方向とし、前記第一方向と交差する方向を第二方向とした場合、
複数の前記パーツ体を前記第一方向に連結し、かつ複数の前記パーツ体を前記第二方向に連結して前記ユニット体を形成可能であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切りとして用いることができる構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウイルスに対する感染対策として、飲食店や受付など、様々な場所で飛沫による感染を防止するためにパーテイション(仕切り)の設置が行われている。このような状況に鑑み、最近では、透明アクリル板を用いた多くのパーテイションが提供されている。例えば、下記特許文献1には、飛沫が拡散することを抑制するために用いられる仕切りが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パーテイションを設置する際には、設置スペースや使用目的に応じた大きさのパーテイションを準備する必要がある。しかしながら、パーテイション(仕切り)を設置しようとする場所や状況は様々であり、場合によっては複数種類の大きさのパーテイションを準備する必要がある。このように、設置スペースや目的に応じたパーテイションを都度準備することとなると、飲食店など事業者のコスト負担が増加しかねない。
【0005】
そこで本発明は、設置スペースや使用目的に応じて大きさを選択可能であり、パーテイションとして使用することができる構造体の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述の課題を解決すべく提供される本発明の構造体は、板状の部材により構成された複数のパーツ体と、前記パーツ体と連結される連結部材と、を有し、前記パーツ体には、周部から突出するよう形成された凸部が形成されており、前記連結部材には、複数の前記パーツ体を連結する第一連結部材が含まれるものであり、前記凸部を嵌め込み可能な凹部が形成されており、前記第一連結部材の前記凹部に前記凸部を嵌め込むことで、一の前記パーツ体と他の前記パーツ体とが前記第一連結部材を介して連結され、複数の前記パーツ体が連結されたユニット体が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の構造体によれば、複数のパーツ体を連結させて大きなパーテイションを形成する、あるいは一つのパーツ体によりパーテイションを形成することができる。言い方を換えれば、本発明の構造体は、一のパーツ体の大きさを小さくしつつ、複数のパーツ体を連結して大きなパーテイション(ユニット体)を形成することができる。これにより、本発明の構造体は、保管スペースを取らず、かつ必要に応じた大きさのパーテイションを形成することができる。その結果、本発明は、設置スペースや使用目的に応じて大きさを選択可能であり、パーテイションとして使用することができる構造体を提供することができる。
【0008】
(2)本発明の構造体は、前記第一連結部材が、直線状に延びる外形とされており、複数の前記凹部を備えているものであるとよい。
【0009】
上述の構成によれば、安定してパーツ体を連結することができる。より詳細に説明すると、第一連結部材を直線状に延びるようなものとすれば、第一連結部材とパーツ体とを連結させた状態において、パーツ体のたわみを抑制することができることに加え、第一連結部材がパーツ体の補強部材のような役割を果たす。その結果、安定してパーツ体を連結することができる。
【0010】
(3)本発明の構造体は、二つの前記パーツ体のうち、一方をパーツ体Aとし、他方をパーツ体Bとした場合、前記パーツ体に形成された前記凸部のピッチと、前記第一連結部材に形成された前記凹部のピッチとが異なるものであり、前記パーツ体A及び前記パーツ体Bを前記第一連結部材を介して連結した状態において、前記第一連結部材には、前記パーツ体Aの前記凸部と前記パーツ体Bの前記凸部とが、互い違いとなるように嵌め込まれるものであるとよい。
【0011】
上述の構成によれば、第一連結部材の厚みが大きくなることを抑えて第一連結部材を目立ちにくくしつつ、二つのパーツ体を連結することができる。より詳細に説明すると、パーツ体Aの凸部とパーツ体Bの凸部とが互い違いとならないように第一連結部材に嵌め込まれるとすると、一つの凹部に対してパーツ体Aの凸部とパーツ体Bの凸部との二つの凸部が嵌め込まれることとなる。このような場合には、凹部の深さを大きくするために、第一連結部材の厚みを大きくせざるを得ない。これに対して上述の構成では、凹部の深さを抑えることができるため、第一連結部材の厚みを抑えることができる。その結果、本発明の構造体は、第一連結部材を目立ちにくくして見栄えを向上させることができる。
【0012】
(4)本発明の構造体は、前記第一連結部材に設けられた前記凹部が、前記第一連結部材の表裏を貫通するように形成された貫通孔であるとよい。
【0013】
上述の構成によれば、凹部を窪み状のものとする場合と比較して、容易に凹部を形成することができる。
【0014】
(5)本発明の構造体は、三つ以上の前記パーツ体を連結して前記ユニット体を形成可能であり、前記パーツ体又は前記ユニット体を自立させた状態における上下方向を第一方向とし、前記第一方向と交差する方向を第二方向とした場合、複数の前記パーツ体を前記第一方向に連結し、かつ複数の前記パーツ体を前記第二方向に連結して前記ユニット体を形成可能であるとよい。
【0015】
上述の構成によれば、より大きなユニット体(パーテイション)を形成することができる。
【0016】
(6)本発明の構造体は、少なくとも一の前記第一連結部材が、少なくとも三つの前記パーツ体により構成される前記ユニット体において、十字状あるいはT字状に形成されたこれらの前記パーツ体の境界をまたぐように、これらの前記パーツ体を連結可能であるとよい。
【0017】
上述の構成によれば、ユニット体の強度を向上させることができる。より詳細に説明すると、第一方向(上下方向)及び第二方向(横方向)に複数のパーツ体を連結させると、ユニット体において十字状あるいはT字状のパーツ体の継ぎ目(境界)が生じる。また、十字状あるいはT字状の継ぎ目部分は、ユニット体において強度が弱くなる。本発明の構造体では、このような強度が弱くなる部分(三つ以上のパーツ体の継ぎ目部分)をまたぐように第一連結部材を配置することで、第一連結部材がユニット体の継ぎ目を補強する補強部材としての機能を発揮する。その結果、本発明の構造体は、大きなユニット体を形成しつつ、ユニット体の強度を向上させることができる。
【0018】
(7)本発明の構造体は、前記連結部材には、一の前記パーツ体又は前記ユニット体を支持する第二連結部材が含まれるものであるとよい。
【0019】
上述の構成によれば、パーツ体又はユニット体を自立させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、設置スペースや使用目的に応じて大きさを選択可能であり、パーテイションとして使用することができる構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る構造体を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の構造体が組み立てられた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の構造体を構成する各部材の正面図である。
【
図4】
図1の構造体の凸部及び凹部を示す斜視図である。
【
図5】
図1の構造体の凸部及び凹部を示す拡大図である。
【
図6】
図1の構造体の凹部に凸部が嵌め込まれた状態を示す図である。
【
図7】
図1の構造体において一つのパーツ体により仕切りを構成した例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る構造体を構成する各部材の正面図である。
【
図9】
図8の構造体が組み立てられた状態を示す正面図である。
【
図10】本発明の構造体の第一の変形例を示す図である。
【
図11】本発明の構造体の第二の変形例を示す図である。
【
図12】本発明の構造体の第三の変形例を示す図である。
【
図13】本発明の構造体の第四の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態に係る構造体10、及び第二実施形態に係る構造体60について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
構造体10,60は、飛沫の拡散を抑制するため、例えばテーブルやカウンターの仕切り(パーテイション)として用いられる。後述するパーツ体20,70は仕切り板として機能するものであり、後述する第二連結部材40,90はパーツ体20,70を下方から支持する支持部材を構成している。そのため、構造体10,60は、パーツ体20,70と第二連結部材40,90とが組み立てられた状態(結合状態)において、自立させて設置することができる。これにより、構造体10,60は、テーブルやカウンターに複数人数が着席している場合に、隣接して着席している人と人とを隔てる仕切りとして用いることができる。
【0024】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る構造体10を示す図である。
図1に示すとおり、構造体10は、硬質材料の板材により構成される複数種類の部材を備えている。より具体的には、構造体10は、複数の(本実施形態では二つの)パーツ体20、及びパーツ体20と連結される連結部材30とを有している。また、構造体10では、連結部材30として、複数のパーツ体20を連結する第一連結部材32と、一のパーツ体20又は複数のパーツ体20が連結されたユニット体12を支持する第二連結部材40とが設けられている。
【0025】
なお、本実施形態の構造体10では、パーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40は、いずれも同一の素材により構成されている。具体的に説明すると、本実施形態の構造体10では、パーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40は、板状の樹脂素材により構成されている。より詳細に説明すると、本実施形態のパーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40は、厚みD1(例えば5mm)の透光性を有するアクリル板(透明アクリル板)により構成されており、アクリル板がレーザー加工などの加工により所定の形状にカット、あるいは孔開けなどが行われて、後述する凸部22や凹部31が形成されている。
【0026】
なお、本発明の構造体では、パーツ体や連結部材の厚みは5mmに限定されず、パーツ体の大きさ(面積)や形状により、自重で曲がるなどを抑制可能な厚みが選択されることが望ましい。例えば、本発明の構造体において、パーツ体の厚みを2mm~5mmとすれば、自重で曲がるなどを抑制して自立可能な強度を得られるため好ましい。なお、パーツ体や連結部材は、凹部の深さを確保するために5mm以上の厚みのものを用いてもよい。
【0027】
また、本発明の構造体は、パーツ体、第一連結部材、及び第二連結部材を異なる素材により構成してもよく、例えばパーツ体及び第一連結部材を透明アクリル板により構成し、第二連結部材をMDF等の素材により構成してもよい。さらに、構成によって異なる厚みの板材を用いてもよい。
【0028】
構造体10は、複数のパーツ体20が接着剤を用いずに第一連結部材32を介して結合されている。また、パーツ体20と第二連結部材40とについても、接着剤を用いずに結合されている。言い方を換えれば、構造体10では、パーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40が、互いに結合及び分離可能とされている(着脱可能とされている)。そのため、構造体10によれば、仕切りが必要なときにパーツ体20や第一連結部材32、第二連結部材40を容易に組み立てることができることに加え、使用しないときには、これらの部材を分離させて、嵩張らずにコンパクトに保管することができる。
【0029】
なお、以下の説明では、パーツ体20又はユニット体12が第二連結部材40により支持されて自立した状態における上下方向を単に「第一方向X」又は「上下方向X」と、第一方向Xと交差する方向(横方向)を単に「第二方向Y」と記載して説明する場合がある。
【0030】
また、以下の説明では、複数のパーツ体20(本実施形態ではパーツ体20Aとパーツ体20B)が第一連結部材32を介して連結されたものを、「ユニット体12」と記載して説明する場合がある。
【0031】
パーツ体20は、構造体10において仕切り(パーテイション)として機能する部材である。言い方を換えれば、パーツ体20は、パーテイションとして機能するための面を構成する平面部材である。
図3に示すとおり、パーツ体20は、正面視において略矩形(略長方形)の形状とされている。なお、以下の説明では、凸部22を除くパーツ体20の寸法について、長手方向の寸法(長辺の寸法)を単に「長辺寸法L1」と、短手方向の寸法(短辺の寸法)を単に「短辺寸法L2」と記載して説明する場合がある。
【0032】
図3等に示すとおり、パーツ体20には、複数の凸部22が形成されている。また、
図2等に示すとおり、パーツ体20は、一つのパーツ体20で、あるいは複数のパーツ体20を連結させてユニット体12を構成した場合に、パーテイション(仕切り)として機能し得るに足る大きさ(面積)を有している。
【0033】
凸部22は、パーツ体20の周部から突出するよう形成された部分である。より詳細に説明すると、
図3に示すとおり、凸部22は、パーツ体20の外縁に設けられており、パーツ体20の周部(外縁)からパーツ体20の面が延在する方向に突出するように形成された略矩形の部分である。
【0034】
図3に示すとおり、本実施形態の構造体10では、パーツ体20の四方を形成する辺のうち、三つの辺(両側の短辺と一方の長辺)に、それぞれ複数の凸部22が設けられている。また、
図3に示すとおり、複数の凸部22は、所定の間隔(ピッチP1)で配置されている。
【0035】
なお、
図5に示すとおり、凸部22の突出している距離(突出寸法D2)は、第一連結部材32や第二連結部材40の厚みD1と略一致しており、凸部22の幅の長さ(突出幅寸法D3)は、後述する凹部31の開口長さ寸法D5と略一致している。
【0036】
連結部材30は、パーツ体20に連結される部材である。上述のとおり、構造体10では、連結部材30として、複数のパーツ体20を連結する第一連結部材32と、一のパーツ体20又は複数のパーツ体20が連結されたユニット体12を支持する第二連結部材40とが設けられている。
【0037】
図1に示すとおり、連結部材30(第一連結部材32及び第二連結部材40)には、凸部22を嵌め込み可能な凹部31が形成されている。なお、以下の説明では、第一連結部材32に設けられた凹部31を「凹部34」と記載して説明し、第二連結部材40に設けられた凹部31を「凹部42」と記載して説明する場合がある。
【0038】
図3に示すとおり、本実施形態の構造体10では、第一連結部材32に設けられた凹部34は、第一連結部材32の表裏を貫通するように形成された貫通孔とされている。また、本実施形態の構造体10では、第二連結部材40に設けられた凹部42についても、第二連結部材40の表裏を貫通するように形成された貫通孔とされている。これにより、構造体10では、凹部を窪み状のものとする場合と比較して、容易に凹部31を形成することができる。
【0039】
本実施形態の構造体10では、凹部31(凹部34及び凹部42)は、略矩形の開口形状とされている。また、凹部34及び凹部42は、開口の大きさが同じものとされている。凹部34,42の開口の寸法について、
図5を参照しつつより詳細に説明する。なお、以下の説明では、凹部31(凹部34及び凹部42)の開口の寸法について、短手方向の寸法(短辺の寸法)を単に「開口隙寸法D4」と、長手方向の寸法(長辺の寸法)を単に「開口長さ寸法D5」と記載して説明する場合がある。
【0040】
図5に示すとおり、凹部31は、開口長さ寸法D5が凸部22の突出幅寸法D3と略一致する大きさとされている。また、凹部31は、開口隙寸法D4がパーツ体20の厚みD1と略一致する大きさとされている。言い方を換えれば、凹部31(凹部34及び凹部42)の開口寸法は、凸部22の断面寸法と略一致している。そのため、凹部31(凹部34又は凹部42)に凸部22が嵌め込まれた状態では、凸部22の周部の面が凹部31の内壁面と当接するようにぴったりと嵌め込まれる。
【0041】
第一連結部材32は、複数のパーツ体20を連結するためのものである。第一連結部材32は、複数の凹部34を備えている。また、
図1及び
図3に示すとおり、第一連結部材32は、直線状に延びる外形(直線状に延びる長尺の部材)とされている。より詳細に説明すると、
図3に示すとおり、第一連結部材32は、長手方向の大きさとして長さL3を有する部材とされている。なお、本実施形態の第一連結部材32の長さL3は、パーツ体20の長辺寸法L1と略一致している。
【0042】
図3に示すとおり、第一連結部材32には、複数の凹部34が直線状に並ぶように形成されており、これらの凹部34は所定の間隔(ピッチP2)となるよう形成されている。また、第一連結部材32に形成された凹部34のピッチP2は、パーツ体20に形成された凸部22のピッチP1と異なる。より詳細に説明すると、第一連結部材32の凹部34は、パーツ体20の凸部22のピッチP1よりも密となるよう形成されており、ピッチP1の距離はピッチP2の距離の二倍となっている。
【0043】
これにより、後で詳述するように、第一連結部材32に二つのパーツ体20を接続した状態において、二つのパーツ体20の凸部22が、第一連結部材32の凹部34に互い違いとなるよう(交互に)嵌め込まれる(
図4参照)。
【0044】
第二連結部材40は、パーツ体20又はユニット体12(パーテイション)を自立させるための支持部材として設けられている。構造体10では、一対の(二つの)第二連結部材40が設けられており、パーツ体20(複数のパーツ体20が連結されたユニット体12)は、両側方が第二連結部材40により支持されて自立可能となっている。
【0045】
図1に示すとおり、第二連結部材40は、側面視(右側面視又は左側面視)において略台形の形状とされている。また、第二連結部材40は、パーツ体20の高さ(短辺の長さ)よりも大きい高さ(長手方向の大きさ)とされている。
【0046】
図3に示すとおり、第二連結部材40には、直線状に並ぶように複数の凹部34が設けられている。
図3に示すとおり、凹部34は、第二連結部材40の厚み方向に貫通する(第二連結部材40の表裏を貫通する)貫通孔とされており、凸部22を嵌め込み可能とされている。
【0047】
図3に示すとおり、本実施形態では、第二連結部材40に形成された凹部42のピッチP3は、パーツ体20に形成された凸部22のピッチP1と略一致している。なお、第二連結部材40の凹部42のピッチP3は、第一連結部材32の凹部34のピッチP2と一致するようにしてもよい。
【0048】
<組み立て手順及び連結状態について>
続いて、構造体10の各構成を組み立てる手順及び組み立てられた状態について説明する。
図2に示すとおり、構造体10は、パーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40とを組み立てて、構造体10をパーテイション(仕切り)として機能可能な状態(結合状態)とすることができる。
【0049】
なお、以下の説明では、二つのパーツ体20のうち、一方をパーツ体20Aと記載して説明し、他方をパーツ体20Bと記載して説明する。
【0050】
先ず、パーツ体20Aとパーツ体20Bとを、第一連結部材32を介して連結させる。上述のとおり、パーツ体20Aとパーツ体20Bとは、第一連結部材32を介して連結及び分離可能とされている。構造体10では、凹部34に凸部22を嵌め込むことで、パーツ体20と第一連結部材32とが連結される。すなわち、凹部34に凸部22を嵌め込むことで、パーツ体20Aとパーツ体20Bとが第一連結部材32を介して連結され、ユニット体12が形成される。
【0051】
ここで、本実施形態の凹部31(凹部34や凹部42)は、上述のとおり、第一連結部材32の厚み方向に貫通する貫通孔として形成されている。凸部22が凹部31に嵌め込まれた状態において、凸部22の四方の面(周部の面)が凹部31の内壁面に取り囲まれるようになる(
図6参照)。これにより、パーツ体20あるいはユニット体12を自立させた状態において、凹部31の内壁面に支持されて凸部22がパーツ体20の面が延在する方向に沿うような姿勢に維持される。
【0052】
また、上述のとおり、構造体10では、パーツ体20に形成された凸部22のピッチP1と、第一連結部材32に形成された凹部34のピッチP2とが異なる。ここで、
図4及び
図6に示すとおり、パーツ体20A及びパーツ体20Bを第一連結部材32を介して連結した状態では、第一連結部材32には、パーツ体20Aの凸部22とパーツ体20Bの凸部22とが、互い違いとなるように嵌め込まれる。
【0053】
これにより、構造体10は、第一連結部材32の厚みが大きくなることを抑えて第一連結部材32を目立ちにくくしつつ、二つのパーツ体20を連結することができる。より詳細に説明すると、パーツ体20Aの凸部22とパーツ体20Bの凸部22とが互い違いとならないように第一連結部材32に嵌め込まれるとすると、一つの凹部34に対してパーツ体20Aの凸部22とパーツ体20Bの凸部22との二つの凸部22が嵌め込まれることとなる。このような場合には、凹部34の深さを大きくするために、第一連結部材32の厚みを大きくせざるを得ない。これに対して本実施形態の構造体10では、凹部34の深さを抑えることができるため、第一連結部材32の厚みを抑えることができる。その結果、構造体10は、第一連結部材32を目立ちにくくして見栄えを向上させることができる。
【0054】
さらに、上述のとおり、本実施形態の構造体10では、第一連結部材32が、直線状に延びる外形とされており、複数の凹部34を備えている。
【0055】
これにより、構造体10では、安定してパーツ体20を連結することができる。より詳細に説明すると、第一連結部材32を直線状に延びるようなものとすれば、第一連結部材32とパーツ体20とを連結させた状態において、パーツ体20のたわみを抑制することができることに加え、第一連結部材32がパーツ体20の補強部材のような役割を果たす。その結果、安定してパーツ体20を連結することができる。
【0056】
このように、構造体10では、複数のパーツ体20をこれらの面が延在する方向に並ぶように連結することができる。言い方を換えれば、構造体10では、同一面上に並ぶように複数のパーツ体20を連結することができる。
【0057】
次に、ユニット体12に対して第二連結部材40を装着する。具体的には、
図2に示すとおり、ユニット体12の両側方(パーツ体20の短辺)に対して第二連結部材40を直角方向の姿勢として、凹部42に凸部22を挿入して嵌め込む。これにより、二つの第二連結部材40がパーツ体20に装着され、第二連結部材40がユニット体12を自立させるための脚部となり(支持部材となり)、ユニット体12(パーツ体20)を自立させることができる。
【0058】
また、構造体10を、小さいスペースの仕切りとして使用したい場合には、
図7に示すように、一のパーツ体20に対して第二連結部材40を連結して、一のパーツ体20を仕切りとして用いることができる。
【0059】
なお、第二連結部材40には、複数の凹部42が設けられている。言い方を換えれば、第二連結部材40には、上下方向X(高さ方向)に並ぶように複数の凹部42が設けられている。そのため、パーツ体20又はユニット体12の高さを調整することができる。これにより、構造体10では、下方に隙間を形成して書類などの受け渡し可能な仕切り(例えば対面式の仕切り)として用いることができる。
【0060】
上述のように、複数のパーツ体20を第一連結部材32を介して連結することで、ユニット体12が構成される。このように、構造体10によれば、複数のパーツ体20を連結させて大きなパーテイションを形成する、あるいは一つのパーツ体20によりパーテイションを形成することができる。言い方を換えれば、構造体10は、一のパーツ体20の大きさを小さくしつつ、複数のパーツ体20を連結して大きなパーテイション(ユニット体12)を形成することができる。これにより、構造体10は、保管スペースを取らず、かつ必要に応じた大きさのパーテイションを形成することができる。その結果、構造体10は、設置スペースや使用目的に応じて大きさを選択可能なパーテイションとして使用することができる。
【0061】
<第二実施形態>
次いで、本発明の第二実施形態に係る構造体60について、
図8等を参照しつつ説明する。
【0062】
本実施形態では、四つのパーツ体70を連結させた構造体10の例を示している。より具体的に説明すると、本実施形態では、第一方向X(上下方向)に複数の(二つの)パーツ体70を連結させ、かつ第二方向Y(横方向)に複数の(二つの)パーツ体70を連結させ、四つのパーツ体70を連結して一つのユニット体62を構成した例を示している(
図9参照)。
【0063】
図8に示すとおり、構造体60は、複数のパーツ体70(本実施形態では四つ)、複数の第一連結部材82、及び一対の第二連結部材90を備えている。なお、構造体60のパーツ体70、第一連結部材82、及び第二連結部材90は、第一実施形態の構造体10のパーツ体20、第一連結部材32、及び第二連結部材40と同じ材質(厚み5mmの透明アクリル板)が用いられている。
【0064】
なお、以下の説明では、四つのパーツ体70を、それぞれパーツ体70A、パーツ体70B、パーツ体70C、パーツ体70Dと記載して説明する場合がある。
【0065】
図8に示すとおり、パーツ体70には、複数の凸部22が設けられている。なお、パーツ体70に形成された凸部22のピッチや大きさ(突出寸法D2や突出幅寸法D3)は、第一実施形態のパーツ体70に設けられた凸部22と同様の構成とされている。そのため、本実施形態の構造体60における凸部22の説明では、第一実施形態の構造体10の説明において用いた符号と同一の符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態の構造体60では、複数の(本実施形態の例では五つの)第一連結部材82が設けられている。より具体的に説明すると、本実施形態の構造体60では、四つのパーツ体70(パーツ体70A、パーツ体70B、パーツ体70C、及びパーツ体70D)を連結するために、五つの第一連結部材82が用いられている。
【0067】
第一連結部材82には、複数の凹部34が設けられている。なお、第一連結部材82の凹部34は、第一実施形態の第一連結部材32に設けられた凹部34と同様の構成(ピッチの大きさや開口の大きさ)とされている。そのため、本実施形態の構造体60における凹部34の説明では、第一実施形態の構造体10の説明において用いた符号と同一の符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0068】
本実施形態の第一連結部材82は、パーツ体70の長辺寸法L1と異なる長さとされている。より詳細に説明すると、
図8に示すとおり、本実施形態の第一連結部材82は、パーツ体70の長辺寸法L1よりも小さい長さL4とされており、二つのパーツ体70を長手方向(長辺が延びる方向)に沿って並べた場合に、三つの第一連結部材82が収まるような長さとされている(パーツ体70の長辺寸法L1×2>第一連結部材82の長さL4×3)。
【0069】
図8に示すとおり、本実施形態の第二連結部材90では、凹部42のピッチP4は第一連結部材82の凹部34のピッチP2と略一致する距離とされている。
【0070】
<第二実施形態の構造体におけるユニット体>
図9に示すとおり、本実施形態の構造体60では、四つのパーツ体70を連結してユニット体62を形成可能とされている。具体的には、本実施形態の構造体60では、複数のパーツ体70を第一方向Xに連結し、かつ複数のパーツ体70を第二方向Yに連結して、ユニット体62を形成可能とされている。
【0071】
さらに詳細に説明すると、
図9に示すとおり、本実施形態の構造体60では、パーツ体70Aとパーツ体70Bとが第一方向Xに連結され、パーツ体70Cとパーツ体70Dとが第一方向Xに連結されている。さらに、パーツ体70Aとパーツ体70Cとが第二方向Yに連結され、パーツ体70Bとパーツ体70Cとが第二方向Yに連結されている。このようにして、四つのパーツ体70が連結されたユニット体62を形成可能とされている。
【0072】
このように、本実施形態の構造体60では、四つのパーツ体70を連結して、より大きなユニット体62(パーテイション)を形成することができる。
【0073】
なお、
図9に示す例では、第一連結部材82が第一方向X(上下方向)及び第二方向Y(横方向)の双方で複数のパーツ体70を連結している。すなわち、本実施形態では、第二方向Yに向くように配置された第一連結部材82(横向きの姿勢の第一連結部材82)が、第一方向Xにパーツ体70を連結する第一接合構造を構成している。また、第一方向Xに向くように配置された第一連結部材82(縦向きの姿勢の第一連結部材82)が、第二方向Yにパーツ体70を連結する第二接合構造を構成している。
【0074】
図9に示すとおり、四つのパーツ体70が連結されてユニット体62が形成された状態では、四つのパーツ体70の境界(継ぎ目)が十字状に形成されている。また、ユニット体62において、一の第一連結部材82(第二方向Yに向くように配置された三つの第一連結部材82のうち、中央の第一連結部材82)が四つのパーツ体70の境界をまたぐように、これらのパーツ体70を連結している。
【0075】
これにより、本実施形態の構造体60は、ユニット体62の強度を向上させることができる。より詳細に説明すると、第一方向X(上下方向)及び第二方向Y(横方向)に複数のパーツ体70を連結させると、上述のとおりユニット体62において十字状(あるいはT字状)のパーツ体70の継ぎ目(境界)が生じる。また、十字状(あるいはT字状)の継ぎ目部分は、ユニット体62において強度が弱くなる。構造体60では、このような強度が弱くなる部分(三つ以上のパーツ体70の継ぎ目部分)をまたぐように第一連結部材82を配置することで、第一連結部材82がユニット体62の継ぎ目を補強する補強部材としての機能を発揮する。その結果、構造体60は、大きなユニット体62を形成しつつ、ユニット体62の強度を向上させることができる。
【0076】
<変形例について>
続いて、構造体10,60の変形例について説明する。
【0077】
上述の実施形態で説明した構造体10,60では、第一連結部材32,82の凹部34のピッチP2とパーツ体20,70の凸部22のピッチP1とを異なるものとしたが、本発明の構造体は、第一連結部材の凹部のピッチと凸部のピッチとが一致するものであってもよい。
【0078】
例えば、
図10(a)に示す構造体100のように、第一連結部材132の凹部134のピッチP6と凸部22のピッチP5とを一致するように形成しつつ、凹部134の深さを大きくしてもよい。このようにした場合、
図10(b)に示すとおり、パーツ体120Aの凸部22の端面とパーツ体120Bの凸部22の端面とが、凹部134内で当接する、あるいは向かい合うように配置される。
【0079】
また、上述の実施形態で説明した構造体10,60では、凹部31を貫通孔とした例を示したが、本発明の構造体は上述の実施形態に限定されない。例えば、
図11に示す構造体150のように、凹部152は、連結部材の端面の一部を切り欠いたようなコの字状の切り欠きとしてもよい。すなわち、本発明の構造体は、パーツ体の凸部22の四つの面(周部の面)のうち、少なくとも三つの面が凹部の内壁面面と接触するものであればよい。
【0080】
また、例えば、
図12(a)に示す構造体160のように、凹部162は、連結部材の表裏をなす面から窪むように形成されたもの(穴部)としてもよい。また、この場合、凹部162は、連結部材の表裏をなす面の双方に設けてもよい。
【0081】
さらに、本発明の構造体は、パーツ体、第一連結部材、及び第二連結部材のうち、少なくとも一つにスリット部を設けてもよい。例えば、本発明は、
図13に示す構造体170のように、凸部22の近傍にスリット部172を設けるとともに、凹部31の近傍にスリット部172を設けてもよい。
図13に例示する構造体170では、スリット部172が波形状に湾曲した形状とされている。そのため、凸部22を凹部31に嵌め込んだ際に凸部22や凹部31の近傍を弾性変形させて応力を分散し、割れ難くすることができる。
【0082】
さらに、上述の実施形態で説明した構造体10,60では、パーツ体20,70の四方の辺のうち、三つの辺に対して凸部22を設けた例を示したが、本発明の構造体は上述の実施形態に限定されない。具体的には、本発明の構造体は、パーツ体の全ての辺(四つの辺)に凸部が設けられていてもよい。このようにすれば、上下方向に三つ以上のパーツ体を連結して、さらに高さが大きいユニット体を構成することが可能となる。
【0083】
さらに、上述の実施形態で説明した構造体10,60では、パーツ体20,70を無色のアクリル板により構成した例を示したが、本発明の構造体は上述の実施形態に限定されない。例えば、本発明の構造体のパーツ体や連結部材は、透明アクリル板に加え、MDFやポリカーボネート板、ABS板、PET板、金属、カーボン、木などのような硬質素材を用いることもできる。また、上述の実施形態のパーツ体や連結部材は、無色の(透明な)アクリル板を用いた例を示したが、本発明の構造体では、パーツ体や連結部材を有色のアクリル板で構成してもよい。
【0084】
なお、MDFは、アクリル板と比較して安価であり、さらに加工がしやすい。そのため、本発明の構造体は、仕切り板(パーテイション)となるパーツ体は人が圧迫感などを感じないように透明アクリル板を用いつつ、支持部材となる第二連結部材にMDFを用いることで(異素材とすることで)、製造コストを抑制することができる。
【0085】
また、本発明の構造体は、隣接して着席する人と人との間を隔てる仕切り(パーテイション)や、対面して着席する人と人とを隔てる仕切りとして用いられるものとした例を示したが、本発明の組立構造体の用途は、上述の実施形態に限定されない。
【0086】
例えば、本発明の構造体は、組立ブロックや、パズルなどの知育玩具、適正検査器具、試作分野、立体マネキン、建築模型、家具、物の仕切りとして用いられるパーテイション、ケースをパーツ単位で供給する流通システム、継手、介護用品など多種多様の分野で利用することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の構造体は、人と人との間を仕切るパーテイションを含め、板材を利用した結合構造体として多種多様の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 構造体
12 ユニット体
20 パーツ体
20A パーツ体
20B パーツ体
22 凸部
30 連結部材
31 凹部
32 第一連結部材(連結部材)
34 凹部
40 第二連結部材(連結部材)
42 凹部
60 構造体
62 ユニット体
70 パーツ体
70A パーツ体
70B パーツ体
70C パーツ体
70D パーツ体
82 第一連結部材(連結部材)
90 第二連結部材(連結部材)
100 構造体
120A パーツ体
120B パーツ体
132 第一連結部材(連結部材)
134 凹部
150 構造体
152 凹部
160 構造体
162 凹部
170 構造体
X 第一方向
Y 第二方向