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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094752
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】消毒容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/42 20060101AFI20220620BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B65D47/42 100
B65D83/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207826
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛史
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PE30
3E014PF10
3E084AA06
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA02
3E084CA10
3E084CC03
3E084DA02
3E084DB13
3E084GB30
3E084KA20
3E084LG02
3E084LG10
(57)【要約】
【課題】被塗布部への消毒液の塗布後において、必要に応じて消毒液を薄く広げるなどして、被塗布部に対して過不足なく消毒液を塗布することが可能な消毒容器を提供する。
【解決手段】軸線方向の一端に口部1gを有する消毒液が封入される容器本体1と、容器本体の口部に装着されて消毒液を塗布する塗布体3とが備えられる。前記塗布体は、容器本体内から浸透する消毒液を被塗布部に塗布する第1塗布部3aと、第1塗布部よりも消毒液の浸透量が少ない素材により形成された第2塗布部3bとにより構成されている。第1塗布部と第2塗布部とは、好ましくは前記軸線を中央にして互いに接合した状態で構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向の一端に口部を有し、消毒液が封入される容器本体と、前記容器本体の前記口部に装着されて、前記消毒液を塗布する塗布体を備えた消毒容器であって、
前記塗布体は、容器本体内から浸透する前記消毒液を被塗布部に塗布する第1塗布部と、前記第1塗布部よりも消毒液の浸透量が少ない素材により形成された第2塗布部とにより構成されていることを特徴とする消毒容器。
【請求項2】
前記第1塗布部と第2塗布部とは、前記軸線を中央にして互いに接合した状態で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の消毒容器。
【請求項3】
前記第2塗布部は、合成樹脂素材により形成されている請求項1または2に記載の消毒容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器本体に消毒液が収容され、容器本体に取り付けられた塗布体によって、消毒液を塗布することができる消毒容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば感染症の予防対策として、手指などに消毒液を塗布することができる携帯可能な消毒容器の需要が高まっており、その一例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示された消毒容器は、細長い軸筒の先端部に筆状の塗布体が装着されてペン型を構成しており、前記塗布体は軸筒に着脱可能なキャップにより覆われる。
【0003】
この消毒容器によると、軸筒内に収容された消毒液が、例えば連続多孔性樹脂素材により構成された塗布部に滲み出るので、この塗布部によって手指などの必要な箇所に、消毒液を塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-37669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した特許文献1に開示された消毒容器によると、塗布体として連続多孔性樹脂素材が用いられており、消毒液が塗布体に浸透して滲み出る作用を利用して、手指等の必要な箇所に消毒液を塗布するものとなる。
したがって、手指等などの被塗布部に対する消毒液の塗布量は、塗布体を構成する素材に対する消毒液の浸透量に依存するものとなり、被塗布部に対する塗布量を調整するには、被塗布部に対する塗布速度を変えるなどの微妙な調整を要するなど、操作に慣れが必要である。
【0006】
この発明は、前記した従来の消毒容器による消毒液の塗布操作上の問題点に着目してなされたものであり、被塗布部への消毒液の塗布後において、必要に応じて消毒液を薄く広げるなどして、被塗布部に対して過不足なく消毒液を塗布することが可能な消毒容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る消毒容器は、軸線方向の一端に口部を有し、消毒液が封入される容器本体と、前記容器本体の前記口部に装着されて、前記消毒液を塗布する塗布体を備えた消毒容器であって、前記塗布体は、容器本体内から浸透する前記消毒液を被塗布部に塗布する第1塗布部と、前記第1塗布部よりも消毒液の浸透量が少ない素材により形成された第2塗布部とにより構成されていることを特徴とする。
【0008】
この場合、好ましい形態においては、前記第1塗布部と第2塗布部とは、前記軸線を中央にして互いに接合した状態で構成される。
そして、前記第2塗布部は、合成樹脂素材により形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
前記したこの発明に係る消毒容器によると、消毒液が封入された容器本体の口部には、容器本体内から浸透する消毒液を被塗布部に塗布する第1塗布部と、第1塗布部よりも消毒液の浸透量が少ない素材により形成された第2塗布部とにより構成された塗布体が装着される。
したがって、主に第1塗布部によって手指等の被塗布部に対して消毒液を供給して塗布することができ、第2塗布部を利用して塗布された消毒液を、薄く広げるなどの操作を行うことができる。これにより、被塗布部の全体に対して過不足なく消毒液を塗布することが可能な消毒容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明に係る消毒容器の外観構成を示した斜視図である。
図2】同じく外観構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は底面図である。
図3】キャップを外した状態の外観構成を示した斜視図である。
図4】同じくキャップを外した状態の外観構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は底面図である。
図5】消毒容器の中央断面図であり、(A)は図2(C)のa-a線より矢印方向に見た断面図、(B)は図2(B)のb-b線より矢印方向に見た断面図である。
図6】塗布体の単品構成を示し、(A)は先端部側を手前にした斜視図、(B)は平面図、(C)は基端部側を手前にした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係る消毒容器について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
この消毒容器は、図1および図2に示すように消毒液が封入された容器本体1と、この容器本体の口部に装着された後述する塗布体3を覆うキャップ2とを備えており、容器本体1に対してキャップ2が着脱可能に取り付けられる。
そして、容器本体1にキャップ2が取り付けられた消毒容器の外観構成は、図1および図2に示すように長円形の柱状体を形成している。
【0012】
なお、図2はキャップ2が取り付けられた状態の消毒容器の外観構成を平面図、正面図、右側面図および底面図で示しているが、背面図は図2(B)に示す正面図と同一であり、左側面図は図2(C)に示す右側面図と同一であるので、それぞれ図示を省略している。
【0013】
容器本体1とキャップ2との接合部は、図2(B)に示された消毒容器の姿勢において、上下の長手方向(中央の軸線方向)のやや上部側に位置しており、消毒容器の正面と背面には、容器本体1側の周縁に沿って円弧状凸部1aが形成され、キャップ2の開口周縁には、前記円弧状凸部1aに沿うようにして、円弧状凹部2aが形成されている。これにより、比較的単純な構成の消毒容器の外観に、意匠上のアクセントを持たせている。
【0014】
そして、キャップ2の天面2bは平面状の長円形(いわゆる小判型)を形成している。一方、容器本体1の底部には、容器本体1の側面とは別部材で成形された同じく長円形の底面体1bが、水密状態に取り付けられて、容器本体1内に消毒液の収容室1c(図5参照)を形成している。
なお、この実施の形態においては、前記した容器本体1とキャップ2、および底面体1bは、それぞれ樹脂素材により成形されている。
【0015】
図3図5には、容器本体1の前記した軸線方向の一端部(図4図5に示す上端部)に形成された消毒液の塗布体3を含む構成が示されている。
なお、図4はキャップ2が除かれた状態の消毒容器の外観構成を、平面図、正面図、右側面図および底面図で示しているが、背面図は図4(B)に示す正面図と同一であり、左側面図は図4(C)に示す右側面図と同一であるので、それぞれ図示を省略している。
【0016】
容器本体1の軸線方向の一端部に突出するように、キャップ装着部1dが容器本体1と一体に成形されている。このキャップ装着部1dは、容器本体1に対して一回り小さな寸法の長円形の柱状体を構成しており、かつキャップ装着部1dは、上部に向かって前後左右の幅を小さくするテーパ状に成形されている。
そして、キャップ装着部1dにおける図4(B)に示された幅の広い両端部側には、軸線方向に沿って短小なガイド部1eがそれぞれ突出して形成されており、このガイド部1eにはリブ状に突出したクリック突起1fが軸線に直交する方向に形成されている。
【0017】
一方、前記したキャップ2における図5(A)に示された幅の広い両端部側の開口内周面には、前記ガイド部1eに沿って軸方向に装着可能な一対の溝部2cが形成されると共に、この溝部2cには、前記した容器本体1側のクリック突起1fに係止される小突起2dが形成されている。
【0018】
したがって、容器本体1のキャップ装着部1dに、キャップ2を装着する場合には、キャップ2側の前記溝部2cに形成された小突起2dが、容器本体1側のクリック突起1fを乗り越えて容器本体1に装着される。この乗り越え時に、クリックの感触が発生して、容器本体1に対してキャップ2が装着されたことを認識することができる。また容器本体1からキャップ2を取り外す際にも、同様にクリックの感触が生ずる。
【0019】
容器本体1のキャップ装着部1dには、図5に示したように中央の軸線方向に沿って、矩形状の口部1gが形成されている。そして、図5(B)に示されたように、前記口部1gの幅の狭い対向面には、塗布体3を口部1gに支持するための鋸歯状の係止突起1hが対向して形成されている。
これにより、軸線方向に沿った矩形状の口部1gには、塗布体3が装着されて、この塗布体3は口部1g内に対向して形成された前記係止突起1hによって、塗布体3の後述する基端部3dが着脱不能に保持される。
【0020】
なお、この実施の形態においては、前記した口部1gの上端開口に、例えば樹脂素材により成形された鍔状の飾りホルダー4が取り付けられており、塗布体3がこの鍔状のホルダー4から突出したようにして装着されている。
また、容器本体1内には、図5に示すように中綿5が収容されて、この中綿5に消毒液が貯留されている。そして、前記中綿5の上端部は前記塗布体3の基端部3dに接触した状態で配置されており、したがって、中綿5に保持された消毒液を前記塗布体3を介して、被塗布部に塗布することができる。
【0021】
前記消毒液は、外用殺菌消毒剤であり、低水準消毒薬に3~15%の低級アルコールを添加したものである。前記の構成により、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化アルキルジアミノエチルグリシン等の低水準消毒薬にエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールを3~15%の低濃度で添加して併用することで顕著な抗菌作用を発揮し、抵抗性菌による薬液の微生物汚染を防止できるとともに、アルコールによる皮膚刺激性、経済性、アルコールの揮発による呼吸器への刺激、引火の危険性等の弊害を防止できる。
【0022】
図6は、前記塗布体3の単品構成を示している。
この塗布体3は、容器本体1内の前記中綿5から浸透する消毒液を被塗布部に塗布する第1塗布部3aと、この第1塗布部3aよりも消毒液の浸透量が少ない素材により形成された第2塗布部3bとにより構成されている。
そして塗布体3は、容器本体1の前記口部1gに装着された状態において、前記第1塗布部3aと第2塗布部3bとは、容器本体1の軸線を中央にして互いに接合した状態で配置されている。
【0023】
第1塗布部3aと第2塗布部3bとは、それぞれ直方体状に形成されて接合され、先端側の隅角部には面取り3cが施されて先端塗布部3Aを構成している。そして、先端塗布部3Aに対する長手方向の他端部は、先端塗布部3Aに比較して幅および厚さ寸法が縮小された基端部3dを構成しており、この基端部3dが容器本体1の前記口部1g内に装着されて、容器本体1内の前記中綿5に接触している。
【0024】
前記第1塗布部3aには、好ましくは連続気孔を有する多孔質体としてのウレタンスポンジなどを用いることができる。また第2塗布部3bには、好ましくはポリカーボネートなどを素材とする樹脂成形による硬質体が用いられる。なお、第2塗布部3bとしては消毒液をはじく性質を有する前記した樹脂成形による硬質体が好ましいが、これは第1塗布部3aよりも気孔率が低く消毒液の浸透量が少ない素材としてもよい。
この第1塗布部3aと第2塗布部3bは、両者の接合部で接着剤を用いて接着されるが、接着剤を用いずに両者が近接して接合された状態であってもよい。
【0025】
以上説明したように、第1塗布部3aと第2塗布部3bを備えた塗布部3によると、主に第1塗布部3aによって手指等の被塗布部に対して消毒液を供給して塗布することができ、第2塗布部3bをいわば「へら」として機能させて、塗布された消毒液を薄く広げる操作を行うことができる。これにより、前記した発明の効果の欄に記載したとおり、被塗布部の全体に対して過不足なく消毒液を塗布することが可能な消毒容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体
1a 円弧状凸部
1b 底面体
1c 消毒液収容室
1g 口部
2 キャップ
2a 円弧状凹部
3 塗布体
3A 先端塗布部
3a 第1塗布部
3b 第2塗布部
3d 基端部
4 鍔状ホルダー
5 中綿
図1
図2
図3
図4
図5
図6