(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094800
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】モータ減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 57/031 20120101AFI20220620BHJP
F16H 57/029 20120101ALI20220620BHJP
【FI】
F16H57/031
F16H57/029
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207890
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 真衣
(72)【発明者】
【氏名】清岡 晃司
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA13
3J063AB12
3J063AC01
3J063BB01
3J063BB12
3J063CD41
3J063CD45
3J063CD67
(57)【要約】
【課題】モータ減速機をモータと離隔した際であっても、減速ギア列の配置が崩れて飛び出てくるのを防止することができる。また、モータ減速機内の潤滑油の漏出を防止することができるモータ減速機を提供する。
【解決手段】モータ減速機20において、モータ減速機20は、モータ10から入力される回転を減速する減速ギア列22と、減速ギア列22を収容する減速機ケーシング21と、を備え、減速機ケーシング21のモータ側端面21bを封止するための入力カバー26を設け、入力カバー26はモータケーシング11と別体として設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケーシングに格納されたモータから入力される回転を減速するモータ減速機において、
モータ減速機は、
前記モータから入力される回転を減速する減速ギア列と、
前記減速ギア列を収容する減速機ケーシングと、
を備え、
前記減速機ケーシングのモータ側端面を封止するための入力カバーを設け、
前記入力カバーは前記モータケーシングと別体として設けられる
ことを特徴とするモータ減速機。
【請求項2】
前記入力カバーは、前記減速ギア列を構成する減速機ケーシングの一端部に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ減速機。
【請求項3】
前記モータのモータ軸と一体回転するモータ出力ギアは、モータ軸外周に相対回転不能に係止される筒体において一体的に形成され、
前記入力カバーは、前記筒体を貫入するための貫入孔を有し、
前記貫入孔の内周面と前記筒体の外周面との間にラビリンス溝を設けた
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ減速機。
【請求項4】
前記モータのモータ軸の一端部に前記モータ軸の直径と同径もしくはそれよりも小さい外径の歯先を有するモータ出力ギアが設けられ、
前記入力カバーは、前記モータ軸を貫入するための貫入孔を有し、
前記貫入孔の内周面と前記モータ軸の外周面との間にラビリンス溝を設けた
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ減速機。
【請求項5】
負荷側装置に連結するための出力カバーを備え、前記出力カバーは、前記減速ギア列より回転を出力する出力軸を回転自在に支持して前記減速機ケーシングの他端端部を封止する
ことを特徴とする請求項2に記載のモータ減速機。
【請求項6】
前記出力カバーは、締結部材によってモータケーシングに固定される
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ減速機。
【請求項7】
前記減速ギア列を遊星歯車式で構成し、前記出力カバーの内面に、前記出力軸の一端に設けられた遊星キャリアの外周部を回転自在に摺接させる
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転が入力される負荷側装置に対して、モータと負荷側装置との間に配置されモータの回転数を減速するモータ減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにより駆動される負荷側装置として、例えば、播種機に付設して種子や肥料の計量に使用する計量機がある。計量機は、モータの回転を計量ロータに入力し、計量ロータを回転駆動することによって、種子や肥料を計量するように構成されている。このような計量機においては、モータの回転を計量ロータの駆動に適した回転数に調整するために、モータ減速機を設けることが一般的である。モータと負荷側装置の間にモータ減速機を設ける技術としては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているように、従来の計量機では、モータ減速機を介してモータが連結されている。計量機は、被駆動軸の回転に応じて回転駆動される計量ローラを備えている。従来の計量機では、モータとモータ減速機とが直列に連結されて軸方向に長くなるため計量機の連結面から大きく出っ張ることになる。
【0004】
従来、モータ減速機をモータに取り付ける際に、モータカバーを利用してモータ減速機のモータ側端面を封止する構造にしていたが、このような構造においては、モータをモータ減速機から分離した場合に、モータ減速機内の減速ギア列がモータ側端面から脱落するおそれがあった。また、播種機を作業車両等に付設して使用する場合が多いが、出っ張り寸法が大きいと、走行時の振動によってモータ減速機と負荷側装置(計量機)との接続部に応力が作用するので、連結面の剛性を高める必要があるという課題があった。また、モータ減速機内に充填した潤滑剤は外部に漏れ出ないように配慮しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる現状の課題に鑑みてなされたものであり、モータ減速機をモータと離隔した際であっても、減速ギア列の配置が崩れて飛び出てくるのを防止することができる。
また、軸受を減らし、プラネタリギヤとモータ軸を同一軸にすることで、ギヤボックス全体の軸方向長さを短縮化ならびに軽量化、安価で製作することができる。さらには、モータ減速機内の潤滑油の漏出を軽減することができるモータ減速機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、本発明に係るモータ減速機は、モータケーシングに格納されたモータから入力される回転を減速するモータ減速機において、モータ減速機は、モータから入力される回転を減速する減速ギア列と、減速ギア列を収容する減速機ケーシングと、を備え、減速機ケーシングのモータ側端面を封止するための入力カバーを設け、入力カバーはモータケーシングと別体として設けられるものである。
【0009】
また、本発明に係るモータ減速機においては、前記入力カバーは、減速ギア列を構成する減速機ケーシングの一端部に固定してもよい。
【0010】
あるいは、本発明に係るモータ減速機においては、モータのモータ軸と一体回転するモータ出力ギアは、モータ軸外周に相対回転不能に係止される筒体において一体的に形成され、入力カバーは、前記筒体を貫入するための貫入孔を有し、貫入孔の内周面と前記筒体の外周面との間にラビリンス溝を設けてもよい。
【0011】
あるいは、本発明に係るモータ減速機においては、モータのモータ軸の一端部にモータ軸の直径と同径もしくはそれよりも小さい外径の歯先を有するモータ出力ギアが設けられ、入力カバーは、モータ軸を貫入するための貫入孔を有し、貫入孔の内周面とモータ軸の外周面との間にラビリンス溝を設けてもよい。
【0012】
あるいは、本発明に係るモータ減速機においては、負荷側装置に連結するための出力カバーを備え、前記出力カバーは、前記減速ギア列より回転を出力する出力軸を回転自在に支持して前記減速機ケーシングの他端端部を封止してもよい。
【0013】
あるいは、本発明に係るモータ減速機においては、出力カバーは、締結部材によってモータケーシングに固定してもよい。
【0014】
あるいは、本発明に係るモータ減速機においては、減速ギア列を遊星歯車式で構成し、出力カバーの内周面には、前記出力軸の一端に設けられた遊星キャリアの外周部を回転自在に摺接させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
本発明に係るモータ減速機によれば、モータ減速機をモータと分離した際であっても、減速ギア列の配置が崩れて飛び出てくるのを防止することができる。これにより、モータ減速機のユニット化を図ることができ、モータ側のメンテナンスが容易となる。また、モータ減速機内の潤滑油の漏出を防止することができるので、例えば、モリブデングリス等の使用が可能になって、フレッチングを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るモータ減速機を示した断面図。
【
図2】第1実施形態に係る組立前のモータ減速機を示した部分断面図。
【
図3】第1実施形態に係るモータ減速機を示した正面図。
【
図4】第2実施形態に係るモータ減速機を示した部分断面図。
【
図5】第2実施形態に係る組立前のモータ減速機を示した部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1に示す如く、本発明の第1実施形態に係るモータ減速機20は、モータケーシング11に格納されたモータ10から入力される回転を減速して負荷側装置に出力する装置である。モータ減速機20は負荷側装置である計量機30に連結されている。
【0019】
[モータ]
モータ10は、モータ減速機20を介して前記負荷側装置を駆動する駆動源であり、モータケーシング11、ステータ12、ロータ13、モータ軸14を備えている。モータ10は、計量機30の動作を制御する図示しないコントローラによって、回転速度および回転量が制御される。
【0020】
モータ10は、モータケーシング11により収容されているステータ12の内側にロータ13が配置されており、ステータ12のコイルに通電されることに伴ってロータ13が回転され、ロータ13と同軸に設けられたモータ軸14が回転駆動されるように構成されている。モータ軸14はモータケーシング11との間に介設された軸受15によって、回転可能に支持されている。モータ軸14のモータケーシング11から外方に突出された部位の端部には、減速ギア列22と係合するモータ出力ギア25が設けられる。本実施例においてモータ出力ギア25は、モータ軸14の先端に直接形成(歯切り)されている。このように構成することにより、モータ出力ギア25を別体で構成した場合に比べて、モータ出力ギアと噛合する第1ピニオンギア22aの内径の重畳部分の軸方向長さを短縮することができるとともに、部品点数が少なくなり、組立工程を短縮することもできる。また、入力ギア側の直径を最小限に抑えてモータ減速機20の減速比を大きく設定することができる。モータ出力ギア25は、モータ軸14先端の直径と略同径もしくはそれよりも小さい歯先を有し、後述するようにモータ装着時において、入力カバー26の貫入孔26bよりモータ出力ギア25をモータ減速機20内へ差し入れることを可能としている。
【0021】
モータケーシング11は、ボルトなどの締結部材17を貫入支持するための延在部11aを複数有している。各々の延在部11aは、モータ減速機20側の端面から径方向外周側へ突出する部材であり、締結部材17を貫入するための貫入孔11bが設けられている。
【0022】
[モータ減速機]
モータ減速機20は、減速機ケーシング21、減速ギア列22、出力軸23、ならびに入力カバー26、出力カバー31を備えている。この減速ギア列22に対して前記モータ出力ギア25を噛合させており、モータ出力ギア25からモータ10の回転が減速ギア列22に入力され、減速ギア列22において減速した回転を、出力軸23から出力するように構成されている。
【0023】
減速機ケーシング21は、円筒形状に形成されており、軸心方向中間部位の内周面に直接形成(歯切り)してリングギア21aが備えられている。減速機ケーシング21のモータ側端面21bの内方には入力カバー26が設けられている。入力カバー26は、減速機ケーシング21の内部の部品やグリースを封止するために設けられるものである。入力カバー26は、減速機ケーシング21の入力側端面21bの内周面に焼きバメ、冷やしバメ等を用いて圧入され、あるいはサークリップ(図示せず)などを用いて脱落不能に固定されている。また、入力カバー26と減速機ケーシング21との間の隙間は、シール27によって封止されている。このように構成することにより、入力カバー26を減速機ケーシングとボルトで締結するものに比べて、減速機ケーシング21の軸方向長さを短縮することができる。
【0024】
減速ギア列22は、複列(実施例では2列)の遊星歯車式で構成されている。具体的には、リングギア21a、第1ピニオンギア22a、第1プラネタリキャリア22b、サンギア22c、第2ピニオンギア22d、第2プラネタリキャリア22eを備えている。
【0025】
第1ピニオンギア22aは、第1プラネタリキャリア22bに設けられた第1キャリア軸22fに対して軸受を介して回転可能に支持されるとともに、前記モータ出力ギア25とリングギア21aに噛合している。第1プラネタリキャリア22bの回転軸芯上にサンギア22cを設けている。
【0026】
第2ピニオンギア22dは、第2プラネタリキャリア22eに設けられた第2キャリア軸22gに対して軸受を介して回転可能に支持されるとともに、前記サンギア22cとリングギア21aに噛合している。第2プラネタリキャリア22eの回転軸芯上に出力軸23を設けている。
【0027】
減速ギア列22は、モータ出力ギア25から第1ピニオンギア22aに回転が入力されると、第1ピニオンギア22aが、リングギア21aに沿って自転し、同時に第1キャリア軸22fが公転する。第1プラネタリキャリア22bは、第1キャリア軸22fの公転に伴って回転され、サンギア22cを減速回転させる。
【0028】
減速ギア列22は、サンギア22cから第2ピニオンギア22dに回転が入力されると、第2ピニオンギア22dが、リングギア21aに沿って自転し、同時に第2キャリア軸22gが公転する。第2プラネタリキャリア22eは、第2キャリア軸22gの公転に伴って回転され、出力軸23を減速回転させる。
【0029】
出力軸23は、減速ギア列22によって減速された回転が出力される回転軸であり、軸方向における一端部23aと他端部23bを備えている。出力軸23の一端部23aは、減速機ケーシング21の外部に位置しており、出力軸23の他端部23bは、減速機ケーシング21の内部に位置している。出力軸23の一端部において継手部23eが形成されている。出力軸の他端部23bはスプラインが形成され、前記減速ギア列22の第2プラネタリキャリア22eの中心部に係止されている。
【0030】
[入力カバー]
入力カバー26のモータ10側の面には、モータケーシング11との係合の際に前記モータ軸14と前記出力軸23の芯合わせに用いる環状の凹部26aが設けられている。入力カバー26の凹部26aは軸方向と平行に形成されており、また、モータケーシング11のモータ減速機側の面には係合の際に芯合わせに用いる凸部11cが設けられている。凸部11cの外周面は、軸方向と平行で前記凹部26aの内周面と同一径に形成されている。これにより、モータ10とモータ減速機20を係合する際に、凸部11cの外周面と、凹部26aの内周面とが当接することで芯合わせが行なわれる。また、このように、入力カバー26とモータケーシング11とが別体に設けられることにより、モータ10を交換する場合であっても、モータ減速機20が入力カバー26によって封止されているため、各部品が飛び出ることはなく減速ギア列22の組み立て状態は維持される。
【0031】
入力カバー26の中央部には、モータ10のモータ軸14を貫入するための貫入孔26bが設けられている。貫入孔26bの内周面には、少なくとも一条の溝26dが設けられている。
【0032】
モータ軸14が貫入孔26bに貫入された際に、モータ軸14の外周面と、溝26dとによってラビリンス構造が成立する。当該ラビリンス構造によりモータ軸14が回転する際に、グリース等の潤滑油が貫入孔26bを通ってモータ10側に漏出するのを軽減することができる。
【0033】
[計量機]
計量機30は、負荷側装置の一例であって、モータ10によって回転駆動されて、計量機30内に貯溜された種子や肥料等の計量対象物を、計量しつつ排出することができるように構成された装置である。
【0034】
前記出力軸23の一端部に形成された継手部23eに対して、計量機30の計量機ハウジング30a内に位置する入力軸32の一端部には、継手部32bが形成されている。継手部23eと継手部32bが係合することにより、モータ10と計量機30が動力連結する。
【0035】
[出力カバー]
出力カバー31と前記出力軸23との間には、軸方向中途箇所に軸受50が介設されており、出力軸23を出力カバー31に対して回転可能に支持されている。また軸受50の外方に並置させたシール51により出力軸23の外周部を密封している。
【0036】
出力カバー31においてモータ減速機20側の端面には、径方向外周側へ突出する複数(実施例では2つ)の延在部31dが設けられており、当該延在部31dの各々には、締結部材17を装着するネジ孔31eが設けられている。
【0037】
出力カバー31の取付面31fには、前記出力軸23の回転軸芯を中心として取付面31fより突出したリング状の凸部31gが形成されている。そして、出力カバー31は、凸部31gを、減速機ケーシング21の出力側端面21c内周部に焼きバメ、冷やしバメ等を用いて、取付面31fを減速機ケーシング21の端部に連結する。これによりリングギア21aの軸心と同一軸心上に出力軸23の軸心を位置させることができる。
【0038】
図2に示すようにモータ減速機20は、出力カバー31の取付面31fに連結した(入力カバー26・減速ギア列22・出力軸23を含む)減速機ケーシング21によってサブアセンブリー化される。モータ10を連結する際は前記延在部11aの貫入孔11bに締結部材17を挿通しつつ、出力カバー31のネジ孔31eに螺合させる。これによりモータ減速機20を挟み込む形で出力カバー31が、モータ10に対して締結される。
【0039】
減速ギア列22の第2プラネタリキャリア22eは円盤状に形成されておりその外径を、出力カバー31の凸部31gの内径に一致させてある。第2プラネタリキャリア22eの外周面は凸部31gの内周面に直接的に回転摺動可能に接触させてある。これにより第2プラネタリキャリア22eにスプライン係合される出力軸23は、軸受50のみならず第2プラネタリキャリア22eを介して出力カバー31に軸受支持され2点で安定支持される。なお、相互が摺接する凸部31gの内周面および第2プラネタリキャリア22eの外周面のうち少なくともいずれかには対磨耗性材料による皮膜を形成してもよい。
【0040】
出力カバー31の計量機30側を向く端面には、前記出力軸23の回転軸芯を中心としたリング状の凸部31hが形成されている。計量機ハウジング30aのモータ減速機側を向く端面には、前記入力軸32の回転軸芯を中心としたリング状の凹部30bが設けられている。出力カバー31は、その凸部31hを計量機ハウジング30aの凹部30bに嵌め入れることで、前記入力軸32と前記出力軸23の芯が合った状態で計量機30に対して取り付けられ、継手部23e、32b同士が連結される。
【0041】
出力カバー31の計量機30側を向く端面には、径方向外周側へ突出する複数の延在部31jが設けられ、そこには、貫入孔31kが設けられており、当該貫入孔31kに締結部材33を貫入し計量機ハウジング30aのネジ孔311に螺合することで計量機30にモータ減速機20が連結固定される。
【0042】
[第2実施形態]
次に第2実施形態にかかるモータ減速機120について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の部材については符号を同一にし、説明を省略する。
【0043】
[入力カバー]
減速機ケーシング121のモータ側端面121bに設けた第2実施形態の入力カバー126は、減速機ケーシング121の内部の部品やグリースを封止するために設けられるものである。入力カバー126の径方向外周側へ突出する複数の第1延在部126aには貫入孔126bが設けられている。第1延在部126aと、減速機ケーシング121のモータ10側端面とを当接し、貫入孔126b及び減速機ケーシング121に設けられた貫入孔121cとに締結部材130を貫入し、出力カバー31に設けた延在部31mのネジ孔31nに締結することで減速機ケーシング121を挟むようにして出力カバー31に固定されている。
また、入力カバー126には複数の第2延在部126c設けられ、その各々には、締結部材17を貫入するためのネジ孔126dが設けられている。
モータケーシング11の貫入孔11bに締結部材17を挿通しつつ、入力カバー126のネジ孔126dに螺合させることで、モータ10が入力カバー126に固定支持される。
【0044】
また、入力カバー126と減速機ケーシング121との間の隙間は、シール127によって封止されている。入力カバー126のモータ10側の面にはモータケーシング11との係合の際に、リングギア121aの回転軸芯を中心としたリング状の凹部126eが設けられている。また、モータケーシング11のモータ減速機20側の面にはモータ軸14の回転軸芯を中心としたリング状の凸部11cが設けられている。これにより、モータ10をモータ減速機20に連結する際に、凸部11cと凹部126eとが当接することでリングギア121aに対するモータ軸14の芯合わせが行われる。また、このように、入力カバー126とモータケーシング11とが別体に設けられることにより、モータ10を交換する場合であっても、モータ減速機120が入力カバー126によって封止されているため、各部品が飛び出ることはなく減速ギア列122の組み立て状態は維持される。
【0045】
入力カバー126の中央部には、モータ軸14を貫入するための貫入孔126fが設けられている。貫入孔126fの内周面には、軸方向に沿って複数の環状溝126gが設けられている。
【0046】
モータ軸14は、モータケーシング11より外部に突出されており、モータケーシング11との間に介設された軸受15によって、回転可能に支持されている。また、モータ軸14の先端部に設けられたスプライン嵌合部14a上に筒体131が一体的に回動するように係止されている。筒体131の減速ギア列122側の端部には、モータ出力ギア125が一体的に形成されている。
【0047】
筒体131のモータ10側の外周側面には、ラビリンス構造を形成する複数の環状溝131bが軸方向に沿って設けられている。
【0048】
図6に示すように、筒体131が貫入孔126fに位置した際に、筒体131の溝131bと貫入孔126fの溝126gによってラビリンス構造が成立する。モータ軸14が回転する際に、この両溝131b・126gの作用によりモータ10側にグリース等の潤滑油が漏出するのを軽減することができる。
なお、本実施形態においては、筒体131の外周面と貫入孔126fの両方に溝を設けているが、これに限定するものではなくどちらか一方に形成する構成としてもよい。
【0049】
また、
図7に示すように、出力軸23は、第1出力軸部230と第2出力軸部231とを相互連結して構成してもよい。第1出力軸部230の軸線方向ほぼ中央部位は出力カバー31の軸受50により回転自在に支持されその他端部23bには遊星キャリアを係止させる。第2出力軸部231は第1出力軸部230よりも径が太くその一端部に継手部23eを一体形成し、他端部はシール51が被さる位置まで延伸し端面に凹部231aを形成している。この凹部231aに、第1出力軸部230の一端側230aを差し込みスプライン(図示せず)により相対回転不能に連結する。
【0050】
以上のように、本実施形態に係るモータケーシング11に格納されたモータ10から入力される回転を減速するモータ減速機20において、モータ減速機20は、モータ10から入力される回転を減速する減速ギア列22と、減速ギア列22を収容する減速機ケーシング21と、を備え、減速機ケーシング21のモータ側端面21bを封止するための入力カバー26を設け、入力カバー26はモータケーシング11と別体として設けられるものである。
このように構成することにより、入力カバー26によって、減速機ケーシング21のモータ側端面21bが封止されるため、モータ10を入力カバー26から離間した状態であっても減速機ケーシング21内の各部品がモータ側端面21bから飛び出ることが無く減速ギア列22の組み立て状態は維持される。
【0051】
また、入力カバー26は、減速ギア列22を構成する減速機ケーシング21の一端部に固定されるものである。
このように構成することにより、入力カバー26が減速機ケーシング21から離間するのを防ぎ、確実に減速機ケーシング21を封止することができる。
【0052】
また、モータ10のモータ軸14の一端部に設けられたモータ出力ギア25は、モータ軸14外周に嵌設される筒体131において一体的に形成され、入力カバー126は、モータ軸14および筒体131を貫入するための貫入孔126bを有し、貫入孔126bの内周面と筒体131の外周面との間にラビリンス溝として溝126gおよび溝131bを設けたものである。
このように構成することにより、当該ラビリンス構造によりモータ軸14が回転する際に貫入孔126bを通ってモータ10側にグリース等の潤滑油が漏出するのを軽減することができる。
【0053】
また、モータ10のモータ軸14の一端部にモータ軸14の直径と略同径もしくはそれよりも小さい外径の歯先を有するモータ出力ギア25が設けられ、入力カバー26は、モータ軸14を貫入するための貫入孔26bを有し、貫入孔26bの内周面とモータ軸の外周面との間に溝26dを設けたものである。
このように構成することにより、当該ラビリンス構造によりモータ軸14が回転する際に貫入孔26bを通ってモータ10側にグリース等の潤滑油が漏出するのを軽減することができる。
【0054】
また、負荷側装置である計量機30に連結するための出力カバー31を備え、出力カバー31が、減速ギア列22より回転を出力する出力軸を回転自在に支持して、減速機ケーシング21の他端部を封止するものである。
このように構成することにより、モータ減速機20と計量機30との間に塵埃が浸入することを防止することができる。
【0055】
また、出力カバー31は、締結部材17によってモータケーシング11に固定されるものである。
このように構成することにより、減速機ケーシング21において、締結部材17を貫入するための膨出部を設ける必要がなく、減速機ケーシング21を製作するコストを下げることができる。
【0056】
また、減速ギア列22を遊星歯車式で構成し、出力カバー31の内面に、出力軸23の一端に設けられた遊星キャリアである第2プラネタリキャリア22eの外周部を回転自在に摺接させてある。
このように構成することにより、第2プラネタリキャリア22eを出力軸23の軸受部材として代用することができるので、使用する軸受の個数を削減することができる。また、出力カバー31の軸方向長さを短縮することができ、部材の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 モータ
11 モータケーシング
14 モータ軸
17 締結部材
20 モータ減速機
21 減速機ケーシング
21b モータ側端面
22 減速ギア列
22e 第2プラネタリキャリア(遊星キャリア)
23 出力軸
25 モータ出力ギア
26 入力カバー
26d 溝
30 計量機(負荷側装置)
31 出力カバー
126 入力カバー
126g 溝
131 筒体
131b 溝