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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094809
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】火災報知システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20220620BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207901
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森林 真介
(72)【発明者】
【氏名】増川 忍
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087BB06
5C087BB51
5C087CC02
5C087CC43
5C087DD04
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG12
5C087GG17
5G405AA01
5G405AA06
5G405BA01
5G405CA09
5G405CA20
5G405CA30
(57)【要約】
【課題】火災感知器等の端末が自身宛てのデータを正しく受信することができる確率を高める。
【解決手段】制御装置1は、複数の端末2に関連付けて第1ユニークデータと、第1ユニークデータと異なるアドレスデータとを関連付けて記憶する記憶部13と、送信データと第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する検出用データ作成部148と、送信データとエラー検出用データとを関連付けた制御データを、アドレスデータとともに端末2に送信するポーリング信号送信部141と、を有し、端末2は、自端末に割り当てられた第2ユニークデータと端末アドレスデータとを記憶する記憶部24と、第2ユニークデータと、制御データに含まれるエラー検出用データとに基づいて、受信した制御データにエラーが生じているか否かを検出するエラー検出部243と、を有する。
【選択図】図14


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と、前記複数の端末と通信線を介して通信する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の端末に関連付けて、前記複数の端末それぞれに固有の第1ユニークデータと、前記第1ユニークデータと異なるアドレスデータとを関連付けて記憶する装置記憶部と、
前記端末に送信する送信データを作成する送信データ作成部と、
前記送信データと前記第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する検出用データ作成部と、
前記送信データと前記エラー検出用データとを関連付けた制御データを、前記アドレスデータとともに前記端末に送信するデータ送信部と、
を有し、
前記端末は、
自端末に割り当てられた第2ユニークデータと端末アドレスデータとを記憶する端末記憶部と、
前記端末アドレスデータと一致する前記アドレスデータとともに送信された前記制御データを受信するデータ受信部と、
前記第2ユニークデータと、前記制御データに含まれる前記エラー検出用データとに基づいて、前記データ受信部が受信した前記制御データにエラーが生じているか否かを検出するエラー検出部と、
を有する火災報知システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記データ送信部が前記制御データを送信する前に、前記端末から送信された前記第2ユニークデータを受信し、受信した前記第2ユニークデータを前記第1ユニークデータとして前記装置記憶部に記憶させるユニークデータ受信部をさらに有する、
請求項1に記載の火災報知システム。
【請求項3】
前記ユニークデータ受信部は、前記第1ユニークデータが前記装置記憶部に記憶されていない状態で前記端末からデータを受信した場合に、前記第2ユニークデータを送信するように前記端末に要求する、
請求項2に記載の火災報知システム。
【請求項4】
前記検出用データ作成部は、前記送信データに基づいて作成したチェックサムに前記第1ユニークデータに所定の演算を行うことにより、前記エラー検出用データを作成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の火災報知システム。
【請求項5】
端末と、前記端末と通信線を介して通信する制御装置と、が実行する通信方法であって、
前記制御装置が実行する、
前記端末に送信する送信データを作成するステップと、
前記送信データと、前記端末に固有の第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成するステップと、
前記送信データと前記エラー検出用データとを関連付けた制御データを、前記第1ユニークデータと異なるアドレスデータとともに前記端末に送信するステップと、
前記端末が実行する、
自端末に割り当てられた端末アドレスデータと一致する前記アドレスデータとともに送信された前記制御データを受信するステップと、
自端末に割り当てられた第2ユニークデータと、前記制御データに含まれる前記エラー検出用データとに基づいて、受信した前記制御データにエラーが生じているか否かを検出するステップと、
を有する通信方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災受信機が複数の火災感知器にポーリングすることにより、火災感知器で検出した状態(例えば火災の発生又は煙の発生)を示す状態情報を取得する火災報知システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-035780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災受信機と火災感知器とがデータを送受信する通信線が設置された環境によっては、通信線に重畳するノイズが多いことにより、伝送データ内のアドレスに誤りが生じてしまう場合がある。また、火災感知器に不具合が発生して火災感知器が記憶しているアドレスが変化してしまうという場合も想定される。このような状態では、火災感知器に宛てて送信されたデータを、データの宛先アドレスに対応する火災感知器が受信できないという場合が生じる。また、他の火災感知器に宛てて送信されたデータを受信してしまい、火災感知器が誤動作をしてしまうという場合も想定される。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、火災感知器等の端末が自身宛てのデータを正しく受信することができる確率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の火災報知システムは、複数の端末と、前記複数の端末と通信線を介して通信する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の端末に関連付けて、前記複数の端末それぞれに固有の第1ユニークデータと、前記第1ユニークデータと異なるアドレスデータとを関連付けて記憶する装置記憶部と、前記端末に送信する送信データを作成する送信データ作成部と、前記送信データと前記第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する検出用データ作成部と、前記送信データと前記エラー検出用データとを関連付けた制御データを、前記アドレスデータとともに前記端末に送信するデータ送信部と、を有し、前記端末は、自端末に割り当てられた第2ユニークデータと端末アドレスデータとを記憶する端末記憶部と、前記端末アドレスデータと一致する前記アドレスデータとともに送信された前記制御データを受信するデータ受信部と、前記第2ユニークデータと、前記制御データに含まれる前記エラー検出用データとに基づいて、前記データ受信部が受信した前記制御データにエラーが生じているか否かを検出するエラー検出部と、を有する。
【0007】
前記制御装置は、前記データ送信部が前記制御データを送信する前に、前記端末から送信された前記第2ユニークデータを受信し、受信した前記第2ユニークデータを前記第1ユニークデータとして前記装置記憶部に記憶させるユニークデータ受信部をさらに有してもよい。
【0008】
前記ユニークデータ受信部は、前記第1ユニークデータが前記装置記憶部に記憶されていない状態で前記端末からデータを受信した場合に、前記第2ユニークデータを送信するように前記端末に要求してもよい。
【0009】
前記検出用データ作成部は、前記送信データに基づいて作成したチェックサムに前記第1ユニークデータに所定の演算を行うことにより、前記エラー検出用データを作成してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様の通信方法は、端末と、前記端末と通信線を介して通信する制御装置と、が実行する通信方法であって、前記制御装置が実行する、前記端末に送信する送信データを作成するステップと、前記送信データと、前記端末に固有の第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成するステップと、前記送信データと前記エラー検出用データとを関連付けた制御データを、前記第1ユニークデータと異なるアドレスデータとともに前記端末に送信するステップと、前記端末が実行する、自端末に割り当てられた端末アドレスデータと一致する前記アドレスデータとともに送信された前記制御データを受信するステップと、自端末に割り当てられた第2ユニークデータと、前記制御データに含まれる前記エラー検出用データとに基づいて、受信した前記制御データにエラーが生じているか否かを検出するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、火災感知器等の端末が自身宛てのデータを正しく受信することができる確率が高まるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】火災報知システムSの構成例を示す図である。
図2】制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。
図3】制御装置1及び端末2の構成を示す図である。
図4】代表端末が切り替わった後のポーリング周期における制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。
図5】アドレス管理テーブルの一例を示す図である。
図6】アドレス管理テーブルの他の例を示す図である。
図7】代理応答をする場合の制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。
図8】代理応答をする場合の制御装置1と複数の端末2との間の通信方法の他の例を示す図である。
図9】制御装置1が代理で応答信号を送信する場合の通信方法を示す図である。
図10】通信線Lの品質に基づいて通信速度を変化させることが可能な制御装置1aの構成を示す図である。
図11】通信速度を変更する場合の処理を示す図である。
図12】トレンドデータを表示する機能を有する制御装置1bの構成を示す図である。
図13】出力部12に表示されるトレンドデータの一例を示す図である。
図14】ユニークデータを送受信する制御装置1cの構成を示す図である。
図15】ユニークデータを送受信する端末2aの構成を示す図である。
図16】制御装置1と端末2との間で伝送されるデータの通信フォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[火災報知システムSの概要]
図1は、火災報知システムSの構成例を示す図である。火災報知システムSは、制御装置1と、複数の端末2と、を備える。制御装置1は、火災受信機に含まれており、制御盤として機能する。制御装置1は、複数の通信線Lに接続されており、通信線Lを介して複数の端末2と接続されている。
【0014】
複数の端末2は、例えば煙感知器2A又は熱感知器2Bのように、火災報知システムSが設置された施設内の火災、発煙又は異臭等の異常な状態を感知するための状態検出端末である。図1に示すように、複数の端末2には複数の防排煙端末器ERに接続された中継器2Cが含まれていてもよい。
【0015】
制御装置1は、通信線Lを介して複数の端末2のうちの少なくとも一部の端末2に順次ポーリングすることにより、複数の端末2それぞれが感知した端末2の周囲の状態を示す状態情報を収集する。まず、火災報知システムSにおけるポーリングを用いた通信方法の概要を説明する。
【0016】
図2は、制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。図2に示す例においては、制御装置1が256台の端末2と接続されていることが想定されている。複数の端末2のそれぞれには固有の識別情報が割り当てられている。例えば、複数の端末2それぞれには固有のアドレス00~FFが割り当てられている。図2においては16進数でアドレスを示しているが、10進数、2進数又は他の形式でアドレスが表されてもよい。端末2は、アドレスを設定するための設定処理部(不図示)を有しており、例えば端末2が設置される際に、設置者によって端末2のアドレスが設定される。
【0017】
複数の端末2は、複数のグループに分けられている。図2に示す例では、256台の端末2が、それぞれ8台の端末2を含む32のグループに分けられている。第1グループには、アドレス00からアドレス07までの端末2が属しており、第2グループには、アドレス08からアドレス0Fまでの端末2が属しており、第32グループには、アドレスF8からアドレスFFまでの端末2が属している。
【0018】
制御装置1は、複数のグループそれぞれの代表端末にポーリング信号を送信することによりポーリングする。代表端末は、それぞれのグループに属する複数の端末2から選択された1台の端末2である。図2に示す例では、第1グループの代表端末はアドレス00であり、第2グループの代表端末はアドレス08の端末2であり、第32グループの代表端末はアドレスF8の端末2である。制御装置1は、順次全てのグループの代表アドレスにポーリング信号を送信し、第32グループの代表端末にポーリング信号を送信した後には第1グループに戻って、各グループの代表端末へのポーリング信号の送信を繰り返す。各グループの代表端末は、ポーリング信号を受信すると、自端末の状態情報を制御装置1に送信する。
【0019】
代表端末が状態情報を送信する期間の後には、各グループに属する代表端末以外の端末2が状態情報を制御装置1に送信することが可能な割込受付期間Tintが設けられている。割込受付期間には、グループに属する代表端末以外の複数の端末2の数のタイムスロットが設けられている。代表端末以外の複数の端末2のそれぞれはいずれかのタイムスロットに割り当てられている。
【0020】
図2に示す例の第1グループには7つのタイムスロットが設けられており、アドレス01からアドレス07までの7台の端末2にそれぞれのタイムスロットが割り当てられている。第2グループの代表端末が状態情報を送信する期間の後には、アドレス09からアドレス0Fまでの7台の端末2に対応するタイムスロットを含む割込受付期間Tintが設けられている。端末2は、制御装置1に通知するべき状態情報がある場合、自端末に割り当てられたタイムスロットのタイミングにおいて状態情報を送信することができる。なお、端末2は、自端末に割り当てられたタイムスロットにおいて常に状態情報を送信してもよい。
【0021】
以上説明したように、火災報知システムSにおいては、複数の端末2が複数のグループに分けられており、各グループの代表端末がポーリング信号に応じて状態情報を送信した後に、各グループの他の端末2が状態情報を送信できる割込受付期間Tintが設けられている。このように構成されていることで、制御装置1が全ての端末2にポーリング信号を順次送信する場合に比べて、ポーリング信号を送信する周期を短くすることができる。
【0022】
さらに、代表端末以外の端末2が異常を感知した場合には、割込受付期間Tintにおいて速やかに状態情報を送信することができる。また、代表端末以外の端末2は、自端末に割り当てられたタイムスロットで状態情報を送信するので、複数の端末2が状態情報を送信することによる衝突が発生しない。その結果、制御装置1は、通信する端末2の数が増加しても、状態情報を早期に取得可能にすることが可能になる。以下、制御装置1及び端末2の構成及び動作を詳細に説明する。
【0023】
[制御装置1及び端末2の構成]
図3は、制御装置1及び端末2の構成を示す図である。制御装置1は、通信部11と、出力部12と、記憶部13と、制御部14と、を有する。制御部14は、ポーリング信号送信部141と、状態情報受信部142と、情報出力部143と、を有する。
【0024】
端末2は、通信部21と、入力部22と、出力部23と、記憶部24と、制御部25と、を有する。制御部25は、ポーリング信号受信部251と、状態情報送信部252と、情報出力部253と、を有する。
【0025】
通信部11は、通信線Lを介して端末2との間で通信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、ポーリング信号送信部141が生成したポーリング信号を、通信線Lを介して端末2に送信し、端末2が送信した状態情報を受信し、受信した状態情報を状態情報受信部142に入力する。
【0026】
出力部12は、各種の情報を出力するデバイスであり、例えば表示装置として機能するディスプレイ、発光ダイオード又はスピーカの少なくともいずれかを含む。
【0027】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部13は、複数の端末2に関する情報を記憶する。記憶部13は、例えば複数の端末2それぞれのアドレスを記憶したり、複数の端末2から送信された状態情報を記憶したりする。さらに、記憶部13は、代表端末として動作する端末2のアドレスを記憶する。
【0028】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有しており、各種の処理を実行する。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、ポーリング信号送信部141、状態情報受信部142及び情報出力部143として機能する。
【0029】
ポーリング信号送信部141は、複数のグループに属する複数の端末2のうち、代表端末に対してポーリング信号を送信する。ポーリング信号送信部141は、複数のグループのうちの第1グループの代表端末にポーリング信号を送信してから、第1グループに対応する応答信号の送信期間が経過した後に、第1グループと異なる第2グループの代表端末にポーリング信号を送信する。
【0030】
ポーリング信号送信部141は、タイマによりポーリング信号を送信するタイミングを管理しており、ポーリング信号を送信するタイミングになると、記憶部13に代表端末として記憶された端末2のアドレス宛てにポーリング信号を送信する。ポーリング信号には、スタートデータ、アドレスデータ、コマンドデータ、パラメータ、チェックデータ、及びストップデータが含まれる。チェックデータは、アドレスデータ、コマンドデータ及びパラメータの値が正しく受信できているか否かを端末2が確認するために設けられており、例えばチェックサム又はCRC(Cyclic Redundancy Check)データである。
【0031】
状態情報受信部142は、通信部11を介して、複数の端末2の状態を示す状態情報を複数の端末2から受信する。状態情報受信部142は、代表端末として動作する端末2から、ポーリング信号を送信したことに応じて送信される応答信号に含まれる状態情報を受信する。応答信号には、スタートデータ、アドレスデータ、パラメータ、チェックデータ、及びストップデータが含まれる。
【0032】
また、状態情報受信部142は、代表端末として動作しない端末2から、割込受付期間に送信された状態情報を受信する。状態情報受信部142は、例えば状態情報を受信したタイムスロットの位置に基づいて、状態情報を送信した端末2を特定する。端末2が送信する状態情報に端末2のアドレスが含まれてもよく、状態情報受信部142は、当該アドレスに基づいて、状態情報を送信した端末2を特定してもよい。状態情報受信部142は、端末2のアドレスに関連付けて、受信した状態情報を記憶部13に記憶させる。状態情報受信部142は、状態情報を受信したこと、又は状態情報を情報出力部143に通知する。
【0033】
情報出力部143は、状態情報受信部142が受信した状態情報に基づく報知情報を出力する。情報出力部143は、例えば、状態情報が異常な状態を示している場合に、当該状態情報を送信した端末2を特定する情報に関連付けて、異常が発生したことを示す報知情報を、表示部として機能する出力部12に表示させる。情報出力部143は、テキスト情報又は画像情報を出力部12に表示させてもよく、出力部12が有する発光デバイスに発光させてもよい。また、情報出力部143は、出力部12が有するスピーカから報知情報として音を出力させてもよい。
【0034】
続いて、端末2について説明する。通信部21は、通信線Lを介して制御装置1との間で通信するための通信インターフェースを有する。通信部21は、制御装置1が送信したポーリング信号を受信し、受信したポーリング信号をポーリング信号受信部251に入力する。また、通信部21は、状態情報送信部252から入力された状態情報を制御装置1に送信する。
【0035】
入力部22は、端末2の周辺の状態を検出したり、端末2を動作させるための情報の入力を受けたりする。入力部22は、例えば、熱感知センサ、煙感知センサ、炎センサ若しくは照度センサである。入力部22は、防排煙端末器を動作させるための情報の入力を受けてもよい。
【0036】
出力部23は、情報を表示する表示装置(例えば発光ダイオード)を含む。出力部23は、情報出力部253から入力された情報に基づいて表示態様を変化させる。
【0037】
記憶部24は、ROM及びRAM等の記憶媒体を有する。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶する。記憶部24は、予め設定された端末2のアドレスを記憶する。また、記憶部24は、端末2が代表端末であるか否かを特定するためのデータ、及び代表端末でない場合に状態情報を送信可能なタイムスロットの番号等を記憶する。さらに、記憶部24は、入力部22が検出した端末2の周辺の状態を示す状態情報を時刻に関連付けて記憶する。
【0038】
制御部25は、例えばCPUを有する。制御部25は、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、ポーリング信号受信部251及び状態情報送信部252として機能する。
【0039】
ポーリング信号受信部251は、通信部21を介して、制御装置1が送信したポーリング信号を受信する。ポーリング信号受信部251は、ポーリング信号を受信したことを状態情報送信部252に通知する。ポーリング信号受信部251は、記憶部24に記憶されたアドレスと一致する宛先アドレスとともに送信されたポーリング信号を受信する。ポーリング信号受信部251は、記憶部24に記憶された自端末のアドレスとポーリング信号に含まれる宛先アドレスとを照合することにより、自端末宛てのポーリング信号であるか否かを判定してもよい。この場合、ポーリング信号受信部251は、自端末宛てのポーリング信号を受信したと判定した場合に、ポーリング信号を受信したことを状態情報送信部252に通知する。
【0040】
状態情報送信部252は、代表端末として動作する場合に、ポーリング信号に応じて状態情報を含む応答信号を送信する。状態情報送信部252は、記憶部24に記憶されたデータが、自端末が代表端末であることを示している場合に、記憶部24に記憶された状態情報を読み出して、状態情報を含む応答信号を送信する。
【0041】
状態情報送信部252は、代表端末として動作しない場合であり、かつ状態情報を制御装置1に送信する必要がある場合に、代表端末が応答信号を送信した後に状態情報を送信する。状態情報送信部252は、代表端末として動作しない場合に、代表端末が応答信号を送信した後の複数のタイムスロットのうち、自端末に割り当てられているタイムスロットにおいて状態情報を送信する。具体的には、状態情報送信部252は、記憶部24に記憶されたデータが、自端末が代表端末でないことを示している場合に、記憶部24に記憶された自端末のタイムスロット番号を参照することにより、自端末に割り当てられているタイムスロットのタイミングで状態情報を送信する。状態情報送信部252は、過去に送信した状態情報から更新された状態情報が記憶部24に記憶されていることを条件として状態情報を送信してもよい。
【0042】
ところで、代表端末が固定されていると、割込受付期間に状態情報を送信しない端末2が正常に動作しているかどうかを制御装置1が確認できない。そこで、火災報知システムSにおいては、第1グループから第32グループまでポーリング信号が送信されるポーリング周期ごとに、代表端末を切り替えてもよい。
【0043】
図4は、代表端末が切り替わった後のポーリング周期における制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。図4に示す例においては、第1グループの代表端末はアドレス01の端末2であり、第2グループの代表端末はアドレス09の端末2であり、図2に示した代表端末からアドレスが変更されている。このように、ポーリング信号送信部141は、第1期間(すなわち第1のポーリング周期)における複数の代表端末である複数の第1期間代表端末にポーリング信号を送信した後に、第1期間の後の第2期間(すなわち第2のポーリング周期)における複数の代表端末である複数の第2期間代表端末にポーリング信号を送信する。
【0044】
複数の第1期間代表端末は、例えば図2に示したアドレス00、08、・・・、F8の端末2であり、複数の第2期間代表端末は、例えば図3に示すアドレス01、09、・・・、F9の端末2である。ポーリング信号送信部141は、第2期間において、第1期間代表端末の第1アドレスと所定の関係を有する第2アドレスが割り当てられた第2期間代表端末にポーリング信号を送信する。所定の関係は、例えば、第1アドレスと第2アドレスとの差が所定の値であるという関係である。或いは、所定の関係だけでなく、端末の設置場所に基づいて複数の端末2をグループ化して管理テーブルに登録して、各期間においてポーリング信号を送信するアドレスを管理テーブルで管理してもよい。
【0045】
図4に示すように、ポーリング周期ごとに、割込受付期間の複数のタイムスロットに割り当てられる端末2も切り替わる。すなわち、状態情報送信部252は、第1期間において、自端末に割り当てられた第1タイムスロットにおいて応答信号を送信し、第2期間において、第1タイムスロットと異なる第2タイムスロットにおいて応答信号を送信する。図4に示す例において、第1グループの割込受付期間においては、アドレス02、アドレス03、・・・、アドレス00の順にタイムスロットが割り当てられている。
【0046】
図5は、ポーリング周期ごとに代表端末のアドレス及び各タイムスロットに割り当てられた端末2のアドレスを示すアドレス管理テーブルの一例を示す図である。ポーリング周期が変わるたびに、代表端末のアドレス及び各タイムスロットに割り当てられた端末2のアドレスが1ずつ増加していることがわかる。ポーリング周期ごとにアドレスを変化させるルールは任意である。
【0047】
制御装置1及び端末2は、図5に示すようにポーリング周期と、代表端末のアドレスと、各タイムスロットに割り当てられた端末2のアドレスと、が関連付けられたアドレス管理データを記憶している。制御装置1のポーリング信号送信部141は、アドレス管理データを参照して、ポーリング周期に対応する代表端末宛てにポーリング信号を送信する。
【0048】
端末2のポーリング信号受信部251は、自端末宛てのポーリング信号を受信した場合に、自端末が代表端末であることを認識して応答信号を送信する。代表端末でない端末2の状態情報送信部252は、ポーリング信号受信部251が受信した他端末宛てのポーリング信号に含まれている宛先アドレスを特定し、アドレス管理データを参照することにより、宛先アドレスが代表端末になっているポーリング周期の番号を特定する。そして、状態情報送信部252は、アドレス管理データを参照することにより、特定したポーリング周期の番号において自端末割り当てられているタイムスロットを特定し、特定したタイムスロットにおいて状態情報を送信する。
【0049】
図6は、アドレス管理テーブルの他の例を示す図である。図6に示すアドレス管理テーブルにおいては、割込受付期間内にグループ内の端末2の数と同一の数のタイムスロットが含まれている。また、各タイムスロットに割り当てられた端末2のアドレスは、ポーリング周期によらず固定されている。各ポーリング周期において代表端末になっている端末2に対応するタイムスロットは「空き」と示されており使用されない。火災報知システムSがこのようなアドレス管理テーブルに基づいて動作する場合、端末2は、ポーリング周期ごとにタイムスロットを変更する必要がないので、処理負荷が低減する。
【0050】
以上の説明においては、ポーリング信号を受信した代表端末が応答信号を送信した後に、代表端末以外の端末2が状態情報を送信するという通信方法を例示したが、代表端末が取り外されていたり故障したりしていることにより、応答信号を送信できないという場合がある。このような場合、代表端末が応答信号を送信するべき期間が経過した後に、他の端末2が代表端末の代理で応答信号を送信してもよい。代理で応答信号を送信する端末2の状態情報送信部252は、代表端末として動作しない場合に、応答信号を送信する期間に代表端末が応答信号を送信しないことを検出すると、代理応答信号を制御装置1に送信する。
【0051】
図7は、代理応答をする場合の制御装置1と複数の端末2との間の通信方法を示す図である。図7(a)においては、代表端末であるアドレス00の端末2が応答信号を送信しなかったために、アドレス01の端末2が代理で応答信号を送信している。
【0052】
図7(b)に示すように、代表端末以外の端末2が代理で応答信号を送信可能な代理応答受付期間が設けられており、代理応答受付期間内に、グループ内の複数の端末2が代理で応答信号を送信可能な複数のタイムスロットが設けられていてもよい。この場合、例えば、制御装置1に通知するべき状態情報を有している端末2が、自身に割り当てられたタイムスロットを用いて、状態情報を含む応答信号を送信してもよい。
【0053】
図8は、代理応答をする場合の制御装置1と複数の端末2との間の通信方法の他の例を示す図である。図8においては、代表端末がアドレス01の端末2であり、アドレス02の端末2が代表端末の代理で応答信号を送信している。このように、代表端末の次のアドレスの端末2が代理で応答信号を送信するというルールに基づいて複数の端末2が動作してもよい。
【0054】
なお、端末2が代理応答をする代わりに、制御装置1が代理応答をしてもよい。具体的には、制御装置1は、応答信号を送信する期間に代表端末が応答信号を送信しないことを検出した場合、又は応答信号を送信する期間に代表端末が応答信号を送信しないこと(すなわち、応答信号するタイムスロットに割り当てられた端末2がないこと)が予め登録されている場合に、状態情報受信部142が受信可能な代理応答信号を送信する代理応答信号送信部(不図示)をさらに有してもよい。代表端末が応答信号を送信しないことは、例えば、制御装置1の管理者の操作に応じて記憶部13に記憶されている。制御装置1が代理で応答する場合、状態情報を送信する必要がある端末2が次のポーリング周期まで待つ必要がないので、制御装置1が状態情報を早く取得でき、火災報知システムSの信頼性が向上する。
【0055】
図9は、制御装置1が代理で応答信号を送信する場合の通信方法を示す図である。この場合、代理応答信号送信部は、代表端末が応答信号を送信するべき期間が経過すると、代表端末のアドレスを送信元アドレスとして含む代理応答信号を通信線Lに送信する。制御装置1が代理応答信号を送信することで、代表端末以外の端末2が代理応答信号をしなくても、代表端末以外の端末2は、代表端末が応答信号を送信したとみなして、自端末のタイムスロットで状態情報を送信することが可能になる。
【0056】
[通信線Lの品質チェック]
通信線Lの絶縁性の低下、ノイズ源となる他の機器の設置、太陽嵐による電磁波の異常に起因して通信線Lの品質が低下すると、制御装置1と端末2との間で送受信されるデータにエラーが生じる場合がある。エラーが発生する頻度が高いと、端末2が送信した状態情報が制御装置1に正しく伝わらないため、火災等の異常が発生したことを制御装置1が報知できないという問題が生じてしまう。そこで、制御装置1は、通信線Lの品質が悪い場合に、制御装置1と端末2との間の通信速度を変更(例えば、低下)させるための構成を有していてもよい。
【0057】
図10は、通信線Lの品質に基づいて通信速度を変化させることが可能な制御装置1aの構成を示す図である。図10に示す制御装置1aは、フィルタ15と、切替部16と、状態検出部17と、指示信号送信部144とをさらに有するという点で、図3に示した制御装置1と異なり、他の点で同じである。
【0058】
フィルタ15は、端末2が送信した信号に含まれるノイズを除去する。フィルタ15は、例えば、制御装置1が送信する信号及び端末2が送信する信号に含まれる主要な周波数成分を通過させ、通信線Lに重畳された高周波ノイズを除去する低域通過フィルタである。フィルタ15は、制御装置1が送信する信号及び端末2が送信する信号に含まれる主要な周波数成分を通過させるバンドパスフィルタであってもよい。
【0059】
切替部16は、フィルタ15に対して通信線Lと反対側における信号(例えばフィルタ15を通った後の信号)を状態検出部17に入力するか、フィルタ15に対して通信線Lの側における信号(例えばフィルタ15を通る前の信号)を状態検出部17に入力するかを切り替える。切替部16は、例えば指示信号送信部144の制御に基づいて接続状態を切り替える。
【0060】
状態検出部17は、フィルタ15に入力された応答信号がフィルタ15から出力された信号とフィルタ15に入力されていない信号との双方に基づいて通信線Lの状態を検出する。状態検出部17は、通信線Lの状態を検出し、検出した状態を指示信号送信部144に通知する。状態検出部17は、切替部16を介して、フィルタ15に対して通信線Lの側における信号、又はフィルタ15に対して通信線Lと反対側における信号を受けて、受けた信号の状態を検出する。状態検出部17は、例えば、入力された信号をフーリエ変換により周波数領域の信号に変換して周波数解析することで、通信線Lの状態として、通信線Lに重畳された高周波ノイズの大きさを検出する。制御装置1は、フィルタ15として、特定の異なる複数種類のフィルタを有しており、それぞれを切り替えて使用してもよい。制御装置1は、切替部16を用いず、状態検出部17に入力ポートを2つ設けて、状態検出部17が、フィルタ15を通過した信号と通過させない信号のそれぞれを各入力ポートに取り込んで状態を判断してもよい。
【0061】
指示信号送信部144は、通信線Lの状態が劣化したことを状態検出部17が検出した場合に、応答信号の通信速度を低下させることを示すパルス幅の指示信号を、状態の劣化を検出した通信線Lに接続された複数の端末2に送信する。図11は、通信速度を変更する場合の処理を示す図である。図11において、指示信号CMDが送信された後に、制御装置1が送信するポーリング信号の時間長、及び端末2が送信する応答信号の時間長が、指示信号CMDが送信される前よりも長くなっている。これにより、伝送時にエラーが発生する確率が低下するので、火災報知システムSの信頼性が向上する。
【0062】
一例として、指示信号送信部144は、切替部16の接続状態を切り替えて、フィルタ15に対して通信線Lと反対側における信号の状態と、フィルタ15に対して通信線Lの側における信号の状態とを比較し、これらの信号の状態の差が基準レベル以上に大きい場合に、通信線Lの状態が劣化したことを検出する。指示信号送信部144は、通信線Lの状態が劣化したことを検出した場合に、変更後の通信速度を示すパルス幅の指示信号を送信してもよい。指示信号送信部144は、例えば、変更後の通信速度が遅ければ遅いほど長いパルス幅の指示信号を複数の端末2に送信する。指示信号送信部144がこのような指示信号を送信することで、通信線Lの状態が劣化した場合に通信速度を容易に低下させて、伝送誤りが発生しづらくすることができる。
【0063】
指示信号送信部144は、通信線Lの状態が改善したことを状態検出部17が検出した場合に、応答信号の通信速度を上昇させることを示すパルス幅の指示信号を、状態の改善を検出した通信線Lに接続された複数の端末2に送信してもよい。指示信号送信部144がこのような指示信号を送信することで、通信線Lの状態が良好な場合に通信速度が上昇して、端末2から制御装置1に状態情報を迅速に通知することが可能になる。
【0064】
なお、以上の説明では、制御装置1がフィルタ15を有しており、通信線Lの通信状態を検出する場合を例示したが、端末20がフィルタ15に相当するフィルタと、状態検出部17に相当する状態検出部を有していてもよい。この場合、当該状態検出部は、フィルタに入力されたポーリング信号がフィルタから出力された信号とフィルタに入力されていないポーリング信号との双方に基づいて通信線Lの状態を検出する。端末20は、通信線Lの状態が劣化した場合に、送信する応答信号の通信速度を変更したり、検出した通信線Lの状態を制御装置1に通知することにより、通信速度を制御装置1に変更させたりする。
【0065】
通信線Lの状態が劣化している場合、端末20が、通信線Lの状態が劣化していることを制御装置1に通知できないという可能性もある。そこで、端末20が通信線Lの状態の劣化を検出した場合、端末20が有する表示装置(例えば発光ダイオード)を駆動して、点滅周期、点滅パターン、点灯色等を変更することで、通信線Lの状態が劣化していることを火災報知システムSの利用者に通知してもよい。このように端末20が構成されていることにより、保守作業員による修理作業が迅速に行われるとともに、修理作業の効率化が可能になる。
【0066】
[トレンドデータの表示]
制御装置1は、端末2が検出した周辺の状態を時系列に並べてグラフ化することにより、制御装置1の管理者が端末2の周辺の状態の変化の傾向を知ることができるようにするトレンドデータ表示機能を有する。従来、制御装置1は、ポーリングをするたびに取得した状態情報を記憶部13に記憶させ、トレンドデータを表示させる必要がある場合に、記憶部13に記憶された複数の状態情報を読み出していた。
【0067】
しかしながら、本実施形態に係る火災報知システムSにおいては、複数の端末2がグループに分けられており、制御装置1がポーリング信号を送信したことに応じて状態情報を制御装置1に送信しない端末2も存在する。したがって、制御装置1が、端末2の状態情報を時系列に記憶しておくことが困難である。そこで、端末2が、状態情報を所定の時間間隔で時系列に記憶しておき、トレンドデータを表示させる必要がある場合に、端末2に時系列に記憶された状態情報を端末2から制御装置1に送信するようにしてもよい。所定の時間間隔は、端末2が検出する対象に基づいて定められており、例えば5秒である。
【0068】
図12は、トレンドデータを表示する機能を有する制御装置1bの構成を示す図である。図12に示す制御装置1bは、操作部18及び要求信号送信部145をさらに有するという点で図3に示した制御装置1と異なり、他の点で同じである。
【0069】
操作部18は、制御装置1の管理者による操作を受け付けるためのデバイスであり、例えば出力部12が有するディスプレイに重ねて設けられたタッチパネルである。要求信号送信部145は、複数の時刻に関連付けられた複数の状態情報を要求する要求信号を複数の端末2から選択した選択端末に送信する。要求信号送信部145は、例えば操作部18において指定された端末2を選択する。
【0070】
要求信号を受信した端末2は、要求信号を受信すると、記憶部24に所定の時間間隔で時系列に記憶している複数の状態情報を順次制御装置1に送信する。端末2は、例えば、状態情報を取得した時刻と状態情報とを関連付けて、時刻の順番に複数の状態情報を送信する。
【0071】
情報出力部143は、要求信号送信部145が送信した要求信号に応じて選択端末が送信した複数の状態情報に基づいて、選択端末の状態の変化を示すグラフを出力部12に表示させる。図13は、出力部12に表示されるトレンドデータの一例を示す図である。図13の横軸は時間を示し、縦軸は端末2が検出した状態を示す値(例えば煙濃度)を示している。制御装置1及び端末2がこのように構成されていることで、制御装置1がポーリング信号を送信するたびに全ての端末2が状態情報を送信しない場合であっても、制御装置1がトレンドデータを出力することが可能になる。
【0072】
[アドレス誤りによる影響の抑制]
通信線Lが設置された環境によっては、通信線Lに重畳するノイズが多いことにより、伝送データ内のアドレスに誤りが生じてしまう場合がある。また、端末2に不具合が発生して端末2が記憶しているアドレスが変化してしまうという場合も想定される。このような状態では、端末2に宛てて送信されたデータを、データの宛先アドレスに対応する端末2が受信できないという場合が生じる。また、他の端末2に宛てて送信されたデータを不具合が生じている端末2が受信してしまい、端末2が誤動作をしてしまうという場合も想定される。端末2が防火シャッター又は消火装置を駆動する端末である場合、誤って防火シャッター又は消火装置が起動してしまうという問題も生じかねない。
【0073】
端末2は、端末2のアドレスの他に、製造時に設定されたユニークなデータ(例えば製造番号又はMACアドレス)を有しているので、このユニークなデータを伝送データに含めるという方法も考えられる。しかし、アドレスに加えてユニークなデータを伝送すると、伝送データ長が大きくなり、通信時間が長くなってしまうという問題が生じる。
【0074】
そこで、火災報知システムSにおいては、伝送データの誤りの検出に用いられるチェックサム、パリティーチェックコード又はCRCコード等を、予め取得した端末2のユニークデータを用いて算出することにより、エラー検出用コードを生成してもよい。伝送データにこのようなエラー検出用コードが含まれている場合、端末2が他の端末2に宛てたデータを受信したとしても、エラー検出用コードに用いられたユニークデータを使用できない。そして、当該端末2は、自端末用のユニークデータを使用してエラーを検出する処理を実行するため、伝送データにエラーが発生しているものとして処理する。したがって、端末2の故障によって端末2が記憶しているアドレスが変化したとしても、端末2が誤ってデータを受信して誤動作してしまうことを防止できる。
【0075】
図14は、ユニークデータを送受信する制御装置1cの構成を示す図である。図14に示す制御装置1cは、ユニークデータ受信部146、送信データ作成部147及び検出用データ作成部148を有するという点で図3に示した制御装置1と異なり、他の点で同じである。
【0076】
図15は、ユニークデータを送受信する端末2aの構成を示す図である。図15に示す端末2aは、エラー検出部254をさらに有するという点で、図3に示した端末2と異なり、他の点で同じである。
【0077】
図16は、制御装置1と端末2との間で伝送されるデータの通信フォーマットの一例を示す図である。図16におけるSTはスタートデータを示し、ADDは宛先アドレスを示し、DATAはデータ本文を示し、CHKはエラー検出用コードを示し、SPはストップデータを示している。
【0078】
まず、図14を参照しながら制御装置1cの構成を説明する。記憶部13は、複数の端末2に関連付けて、複数の端末2それぞれに固有の第1ユニークデータを記憶する装置記憶部として機能する。記憶部13は、複数の端末2それぞれのアドレスデータと第1ユニークデータとを関連付けて記憶する。第1ユニークデータは、制御装置1が記憶する端末2のユニークデータである。
【0079】
ユニークデータ受信部146は、ポーリング信号送信部141が制御データ(例えばポーリング用のデータ)を端末2に送信する前に、端末2から送信された第2ユニークデータを受信し、受信した第2ユニークデータを第1ユニークデータとして記憶部13に記憶させる。第2ユニークデータは、端末2が記憶する端末2のユニークデータである。ユニークデータ受信部146は、例えば、端末2が起動した直後に第2ユニークデータを受信する。ユニークデータ受信部146は、第2ユニークデータとともに送信された端末2のアドレスに関連付けて、第2ユニークデータを記憶部13に記憶させる。
【0080】
ユニークデータ受信部146は、第1ユニークデータが記憶部13に記憶されていない状態で端末2からデータを受信した場合に、第2ユニークデータを送信するように端末2に要求してもよい。ユニークデータ受信部146は、例えば、端末2からデータを受信した場合に記憶部13を参照し、受信したデータに含まれている端末2のアドレスに関連付けて第1ユニークデータが記憶部13に記憶されているか否かを確認する。ユニークデータ受信部146は、第1ユニークデータが記憶部13に記憶されていない場合、次に端末2に対して送信するポーリング信号において、第2ユニークデータを要求する。
【0081】
送信データ作成部147は、端末2に送信する送信データを作成する。送信データ作成部147は、例えば、宛先アドレス及びデータ本文を含む送信データを作成する。データ本文には、例えばポーリング用のデータが含まれている。送信データ作成部147は、作成した送信データをポーリング信号送信部141及び検出用データ作成部148に入力する。
【0082】
検出用データ作成部148は、送信データと第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する。検出用データ作成部148は、例えば、送信データに基づいて作成したチェックサムに第1ユニークデータを加算、減算、乗算又は除算する等の所定の演算により、エラー検出用データを作成する。
【0083】
検出用データ作成部148は、例えば送信データに含まれる宛先アドレスに関連付けて記憶部13に記憶された第1ユニークデータを特定し、送信データと、特定した第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する。一例として、検出用データ作成部148は、送信データ及び第1ユニークデータを加算し、加算した結果の下位の所定数のデータをエラー検出用データとする。検出用データ作成部148は、例えば送信データ及び第1ユニークデータをワード(16ビット)単位で加算し、加算して得られた総和の下位1ワードをエラー検出用データとする。
【0084】
検出用データ作成部148は、所定のCRC多項式を用いてエラー検出用データを作成してもよい。この場合、検出用データ作成部148は、例えば、送信データ及び第1ユニークワードから構成されるデータ列をCRC多項式で除算して得られた剰余に基づくデータをエラー検出用データとして作成する。検出用データ作成部148は、作成したエラー検出用データをポーリング信号送信部141に入力する。
【0085】
ポーリング信号送信部141は、送信データ作成部147から入力された送信データと検出用データ作成部148から入力されたエラー検出用データとを関連付けた制御データ(例えばポーリング用のデータ)を、第1ユニークデータと異なるアドレスデータとともに端末2に送信するデータ送信部として機能する。具体的には、ポーリング信号送信部141は、図16に示した通信フォーマットの制御データを組み立てて、当該制御データを端末2に送信する。
【0086】
続いて、図15を参照しながら端末2aの構成について説明する。記憶部24は、自端末に割り当てられた第2ユニークデータを記憶する。記憶部24は、例えば、製造時に不図示の外部機器インターフェースを介して入力されたデータを第2ユニークデータとして記憶する。
【0087】
上述のとおり、ポーリング信号受信部251は、制御装置1が送信した制御データ(例えばポーリング用のデータ)を受信する。ポーリング信号受信部251は、受信した制御データをエラー検出部254に入力する。エラー検出部254は、第2ユニークデータと、入力された制御データに含まれるエラー検出用データとに基づいて、ポーリング信号受信部251が受信した制御データにエラーが生じているか否かを検出する。
【0088】
エラー検出部254は、例えば、制御データに含まれる送信データに含まれるデータ及び第2ユニークデータをワード単位で加算し、加算して得られた総和の下位1ワードを、制御データに含まれるエラー検出用データと照合する。照合した結果、加算して得られた総和がエラー検出用データと一致している場合、エラー検出部254は、制御データを正常に受信したと判定し、一致していない場合、制御データを正常に受信できなかったと判定する。エラー検出部254は、制御データを正常に受信できなかったと判定した場合、状態情報送信部252を介して、再送要求を制御装置1に送信するようにしてもよい。
【0089】
なお、制御装置1の状態情報受信部142は、制御データを送信した端末2から再送要求を受信した場合、ポーリング信号送信部141に制御データを再送させる。一方、状態情報受信部142、制御データを送信していない端末2から再送要求を受信した場合、ポーリング信号送信部141に制御データを再送させず、情報出力部143にエラー情報を出力させる。この際、情報出力部143は、再送要求を送信した端末2を特定するための情報(例えばアドレス)に関連付けてエラー情報を出力部12に出力する。情報出力部143がこのようなエラー情報を出力することで、火災報知システムSの管理者が、故障した端末2を特定することができる。
【0090】
以上の説明においては、制御装置1が、ユニークデータに基づいて作成したエラー検出用データを含む制御データを送信するという場合を例示したが、端末2が、ユニークデータに基づいて作成したエラー検出用データを含むデータ(例えば状態情報又は応答信号)を送信してもよい。この場合、端末2は、記憶部24に記憶している第2ユニークデータに基づいてエラー検出用データを作成する。
【0091】
また、制御装置1は、端末2からデータを受信すると、受信したデータに含まれている送信元アドレスに関連付けて記憶部13に記憶された第1ユニークデータを用いてエラーが発生しているか否かを確認する。制御装置1及び端末2がこのように動作することで、端末2が故障して誤ったアドレスを入れたデータを送信した場合に、制御装置1が、他の端末2からデータを受信したと誤認識することを防止できる。
【0092】
なお、ユニークデータを用いて作成したエラー検出用データを伝送データに含めるという方法は、本火災報知システムSが使用するポーリングを用いた通信方法に限らず、任意の通信方法に適用することができる。
【0093】
[端末20の動作タイミングの分散]
通信線Lに接続される火災感知器又は中継器などの端末20は、通信線Lから、自身が必要な電力と通信情報を得ている。火災感知器や中継器は、自身の周辺の環境の状態(例えば、温度、煙の有無)を検出し、検出した状態を示す状態情報を制御装置1に送信する。火災感知器の種類としては、散乱光散乱光式煙感知器、減光式熱感知器、熱感知器等がある。散乱光式煙感知器は、感知器内検煙部の発光素子を発光させ、検煙部内の煙濃度を受光素子が入力する信号として煙量を検出する。減光式煙感知器は、送光部の発光量と受光部の受光量との差として煙量を検出する。熱感知器は、感熱素子(主にサーミスター)の抵抗値を測定し温度を検出する。また、通信線Lに接続される中継器として入力中継器があり、入力中継器は、入力ポートの入力信号状態を検出する。
【0094】
このような端末20が動作をする際には、電力を消費する。特に、散乱光式煙感知器は発光素子を作動させるため、発光時に消費電流が増加する。このような煙感知器が多数ある場合、発光タイミングによっては、複数の感知器の発光が重なり、通信線Lを介して伝送される電流が過大になることにより通信信号の波形が乱れ、制御装置1と端末20との間の通信に異常が生じる場合がある。そこで、同時に発光し得る発光素子の数を想定して、制御装置1の通信ドライバーの容量を決定する必要があった。
【0095】
端末20に時計を設けて、その時計の計測により各端末20が発光タイミングを少しずつずらすことにより、電流を消費するタイミングを分散させることも可能であるが、各端末20に高精度の時計が必要になり、コストアップとなっていた。
【0096】
このような課題を解決するために、端末20は所定のタイミングで、自身が設置された位置の周辺環境の状態を検出し、検出した状態を記憶してもよい。具体的には、ポーリングを受けたグループに属する各端末20は、代表端末がポーリングを受けたタイミングで、周辺環境の状態を検出し、検出した状態を記憶する。複数の端末20は、ポーリング信号受信部251が、同じグループに属する代表端末に宛てたポーリング信号を受信したことに応じて、自身の周辺の状態を検出し、検出した状態を記憶部24に記憶させる。状態情報送信部252は、記憶部24に記憶された状態に基づいて状態情報を作成し、制御装置1に送信する。
【0097】
端末20が散乱光式煙感知器である場合は、感知器内検煙部の発光素子を発光させ、受光素子に入力する信号に基づいて検煙部内の煙濃度を検出する。端末20が熱感知器である場合は、感熱素子(主にサーミスター)の抵抗値を測定することにより温度を検出する。端末20が入力中継器である場合は、入力ポートの入力信号を検出する。
【0098】
端末20が代表端末である場合、ポーリングに応答する際に、記憶している状態を示す状態情報を送信する。端末20が代表端末ではない場合、代表端末が状態情報を送信した後に、記憶した状態が緊急性のある状態である場合にのみ割込受付期間内に状態情報を送信する。端末20がこのように構成されていることで、制御装置1の通信ドライバーの容量は、1グループに属する端末20の最大数が同時に動作した場合の消費電流に対応して定められる容量にすることができる。その結果、制御装置1のコストが低減し、且つ常に安定的な通信が可能になる。
【0099】
[火災報知システムSによる効果]
以上説明したように、火災報知システムSにおいては、制御装置1が、複数の端末2に関連付けて、複数の端末2それぞれに固有の第1ユニークデータを記憶し、検出用データ作成部148が、送信データと第1ユニークデータとに基づいてエラー検出用データを作成する。そして、ポーリング信号送信部141は、送信データ作成部147から入力された送信データと検出用データ作成部148から入力されたエラー検出用データとを関連付けた制御データを、第1ユニークデータと異なるアドレスデータとともに端末2に送信する。端末2は、自端末に割り当てられた第2ユニークデータを記憶しており、第2ユニークデータと、制御データに含まれるエラー検出用データとに基づいて、受信した制御データにエラーが生じているか否かを検出する。火災報知システムSがこのように構成されていることで、火災感知器等の端末が自身宛てのデータを正しく受信することができる確率を高めることができる。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0101】
1 制御装置
2 端末
11 通信部
12 出力部
13 記憶部
14 制御部
15 フィルタ
16 切替部
17 状態検出部
18 操作部
21 通信部
22 入力部
23 出力部
24 記憶部
25 制御部
141 ポーリング信号送信部
142 状態情報受信部
143 情報出力部
144 指示信号送信部
145 要求信号送信部
146 ユニークデータ受信部
147 送信データ作成部
148 検出用データ作成部
251 ポーリング信号受信部
252 状態情報送信部
253 情報出力部
254 エラー検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16