IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンゼルプレイングカード株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-テーブルゲームシステム 図1
  • 特開-テーブルゲームシステム 図2
  • 特開-テーブルゲームシステム 図3
  • 特開-テーブルゲームシステム 図4
  • 特開-テーブルゲームシステム 図5
  • 特開-テーブルゲームシステム 図6
  • 特開-テーブルゲームシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009481
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】テーブルゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20220106BHJP
   A63F 1/10 20060101ALI20220106BHJP
   A63F 1/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/10
A63F1/06 B
A63F1/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174289
(22)【出願日】2021-10-26
(62)【分割の表示】P 2020135841の分割
【原出願日】2012-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カードシュータ装置に問題が発生した時に使用しているシャッフルプレイングカードを特定し、問題発生の原因調査や防止策を取ることができるテーブルゲームシステムを提供する。
【解決手段】テーブルゲームシステムのカードシュータ装置2は、シャッフルプレイングカード1sに付与されたシャッフルカードIDを読み取るバーコードリーダ100を備えている。制御部は、シャッフルカードIDに関連付けて以下のセキュリティ項目を記憶する機能を備えている。(1)カード読取部においてカード1のコードに読み取りミスがあったこと(カード1のコードは偽カードなどの場合存在しないか、正規でないコードが印刷され、カード読取部においてはこれを異常と判断する)、(2)シャッフルプレイングカード1sの交換があったこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の並び順を有するようシャッフルされたプレイングカードの複数のデッキから構成されるシャッフルプレイングカードであって、シャッフルカードIDが前記シャッフルプレイングカードに付与されている、シャッフルプレイングカードと、
制御ユニットと、
保持された前記シャッフルプレイングカードがゲームテーブル上に1枚ずつ手動で配られるように、前記シャッフルプレイングカードを保持するカードシュー装置であって、
前記シャッフルプレイングカードを収納するカード収納ユニットと、
前記シャッフルプレイングカードを前記カード収納ユニットから1枚ずつ引き出すことを可能とする開口部と、
前記カード収納ユニットから前記ゲームテーブルに引き出された各カードからランクに関する情報を読み取るためのカード読み取りユニットと、
前記カード読み取りユニットによって読み取られた情報に基づいて、カードゲームの勝者/敗者を決定するための勝者/敗者決定ユニットと、
前記収納ユニットから引き出されたプレイングカードを検知し、少なくとも1つの検知結果を出力するための少なくとも1つのセンサと、
前記勝者/敗者決定ユニットによる前記勝者/敗者決定の結果を出力するための表示ユニットと、を有するカードシュー装置と、
前記カードシュー装置にセットされる前記シャッフルプレイングカードのシャッフルカードIDを取得することができる取得手段と、
前記カードシュー装置および前記取得手段にアクセス可能に接続されたデータベースと、を備え、
前記制御ユニットは、前記少なくとも1つのセンサから出力された前記少なくとも1つの検知結果に基づいて、セキュリティ項目の発生を判定し、
前記制御ユニットは、
シャッフルプレイングカードが現在使用されている前記ゲームテーブルの1つを示すゲームテーブル情報と、
前記取得手段によって取得された前記シャッフルプレイングカードの前記シャッフルカードIDと、
前記シャッフルIDが前記取得手段によって取得された時間と、
前記セキュリティ項目の発生と、を互いに関連付けて前記データベースに格納する、テーブルゲームシステム。
【請求項2】
前記セキュリティ項目は、前記シャッフルプレイングカードの使用中に発生した以下の特定イベントのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のテーブルゲームシステム
(1)前記カード読み取りユニットによる、前記シャッフルプレイングカードにおけるプレイングカードの読み取りエラー、
(2)前記カードシュー装置に現在セットされている前記シャッフルプレイングカードの使用を終了するための終了ボタンの操作による、または、前記カードシュー装置に現在セットされている前記シャッフルプレイングカードからカットカードが引かれたことによる、ゲームの終了、
(3)前記カードゲームのルールに従ってカードを引くべきではないときにカードを引こうとした試み、
(4)前記開口部でのカードの引き抜き方向と反対の方向にカードを移動または挿入しようとする試み、
(5)前記カードシュー装置によってイレギュラーであると判断される、予め設定されたイレギュラーな動作の発生。
【請求項3】
さらに、前記取得手段と前記カードシュー装置とを通信可能に接続する通信手段を備える、請求項1または2に記載のテーブルゲームシステム。
【請求項4】
さらに、前記カードシュー装置内に設けられ、前記カードのいずれも前記開口部を介して前記カード収納ユニット内へ/から移動するのを選択的に制限するカード制限ユニットを備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のテーブルゲームシステム。
【請求項5】
前記シャッフルカードIDは、前記シャッフルプレイングカードのパッケージに取り付けられ、
前記取得手段は、前記シャッフルプレイングカードの前記パッケージに取り付けられた前記シャッフルカードIDを読み取るリーダーである、請求項1乃至4のいずれかに記載のテーブルゲームシステム。
【請求項6】
前記取得手段は、オペレータが手動で前記シャッフルカードIDを入力可能な入力デバイスである、請求項1乃至4のいずれかに記載のテーブルゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイングカード(以下、単にカードという。)を使用するバカラ等のカードゲームにおけるセキュリティ機能を備えたテーブルゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のプレイングゲームにおいては、ディーラーが、1デッキもしくは複数デッキのプレイングカードをカードシュータ等にセットし、そこから一枚ずつ繰り出して、ゲーム参加者にカードを配る。このとき、ゲームの公平性を担保するために、それらのカードをランダムに配る必要があるので、ゲーム主催者は、カードシュータにセットする前に、プレイングカードを十分にランダムにシャッフルしてプレイングカードの配列をそれぞれ異なるものにして置かなければならない。ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のプレイングゲームにおいて使用するシャッフルされたプレイングカードは、通常8デッキのものであれば416枚のカードで構成される。
【0003】
カードをシャッフルするための従来のカードシャッフル装置が、例えば特許文献1に開示されている。シャッフルプレイングカードは、シャッフル装置でシャッフルされた結果、個別にユニークなカード並びで提供され、個別に特定可能なシャッフルカードIDをバーコードとして包装等に付されて提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO 2009/069708号公報(BSS)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャッフルプレイングカードがゲームのために配布され、配布された各カードのランクがカウントされ、残り少ないカードのランクが予測されるのを防止するために、カットカードが用いられる。通常カットカードが最初のゲーム前にシャッフルプレイングカードに挿入され、ディーラ等により1枚ずつゲームテーブルにカードが順次配布される。カードシュータ装置からカットカードが出現すると、シャッフルプレイングカードは以降使用せずに交換される。このようにシャッフルプレイングカードは頻繁に交換されるので、現在ゲームテーブルで使用中のシャッフルプレイングカードを特定することが出来なかった。このためカードシュータ装置に異常がおこったり、異常なカードが混入していた場合、問題発生の原因調査や防止策が取りにくいという問題があった。
【0006】
本発明は上記背景の下でなされたものであり、その目的は、現在ゲームテーブルで使用中のシャッフルプレイングカードを特定することを可能とし、カードシュータ装置に異常がおこったり、異常なカードが混入していた場合に、その問題が発生した時に使用されていたシャッフルプレイングカードを特定することが可能で、問題発生の原因調査や防止策を取ることが可能なテーブルゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテーブルゲームシステムは、上記課題を解決するため、
所定数のデッキを構成するプレイングカードがシャッフルされ個別にユニークなカード並びで提供され、個別に特定可能なシャッフルカードIDがIDコードとして付されたシャッフルプレイングカードと、
前記シャッフルカードIDを特定することができるバーコードリーダあるいは入力手段を備え、前記シャッフルプレイングカードを収納し、収納されたシャッフルプレイングカードを一枚ずつゲームテーブルに手動で配るためのカードシュータ装置と、
からなるテーブルゲームシステムであり、
前記カードシュータ装置は、
前記シャッフルプレイングカードを収納するカード収納部と、
前記シャッフルプレイングカードの出し入れを可能にする蓋と、
前記カード収納部からカードを1枚毎に取り出す開口部と、
前記カード収納部からゲームテーブル上に引出されるカードに付されたカードのランクに関する情報を前記カードから読み取るカード読取部と、
カードゲームのルールを記憶するとともに前記カード読取部において読取った前記カードのランクに関する情報に基づいて、前記カードゲームの勝敗を判定する勝敗判定部を備える制御部と、
前記勝敗判定部により判定された勝敗結果を出力する表示部と、
を有し、
前記制御部は、前記バーコードリーダにより読取った前記個別に特定可能なシャッフルカードIDを記憶すると共に、前記シャッフルカードIDに関連付けて現在ゲームに使用するカードセットとして前記シャッフルプレイングカードを特定し、特定された前記シャッフルプレイングカードのゲームテーブルでの使用中に発生した特定発生事項を発生事項毎に記憶する機能を備えたものであり、
前記シャッフルカードIDに関連付けて記憶する特定発生事項の項目は、
(1)前記カード読取部において前記特定されたシャッフルプレイングカードのカードの読み取りミスがあったこと、
(2)前記カードシュータ装置内に現在ある前記シャッフルプレイングカードの使用を終了する終了ボタンの操作によるゲーム終了もしくは現在ある前記シャッフルプレイングカードからカットカードが出現したことによるゲーム終了となったこと
(3)前記カードゲームのルールに従ってカードが引出されるべきでない時にカードが引き出されようとしたこと、
(4)前記開口部においてカードが引出し方向とは逆の方向に移動もしくは挿入されようとしたこと、
(5)前記カードシュータ装置が異常と判断するよう予め設定した異常動作が発生したこと、
のすくなくとも1つを含む、構成を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カードシュータ装置に異常が発生したり、異常なカードが混入していた場合に、その問題が発生した時に使用されたシャッフルプレイングカードを特定することが可能で、シャッフルプレイングカードを特定することにより、問題発生の原因調査や防止策を取ることが可能なテーブルゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態のテーブルゲームシステムの全体の概要を示す斜視図。
図2】本実施の形態のテーブルゲームシステムに使用するシャッフルプレイングカードの斜視図。
図3】同カードシュータ装置の全体構成図。
図4】本発明の実施の形態のカードの平面図。
図5】同カードシュータ装置のカードガイドを一部破断した状態の要部拡大平面図。
図6】同カードシュータ装置におけるセンサ類の出力波形とマークの関係を示す図。
図7】(a)同カードシュータ装置におけるカード収納部からのカードの出入を制限するカード出入制限手段を示す拡大断面図、(b)カード出入制限手段の変形例を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明テーブルゲームシステムの実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のテーブルゲームシステムの全体の概要を示す斜視図である。図2は、本実施の形態のテーブルゲームシステムに使用するシャッフルプレイングカードの斜視図である。本実施の形態のテーブルゲームシステムにおいては、シャッフルプレイングカード1sは包装されているが、ゲームで使用する時は、包装が解かれた状態でカードシュータ装置2に収納され、シャッフルプレイングカード1sのカード1を一枚ずつ配布できる状態となる。ゲーム中はカードシュータ装置2よりゲームテーブルにカード1がディーラにより配られる。シャッフルプレイングカード1sは、所定数のデッキ(通常は6、8もしくは10デッキ)を構成するカード1がランダムな並びとなるようシャッフルされ個別にユニークなカード並びで包装され、個別に特定可能なシャッフルカードIDがバーコード3(IDコードとして)により包装箱4に付されている。
【0011】
シャッフルプレイングカード1sの包装箱4は、図2に示すように組立てた状態においてシャッフルプレイングカード1sの全周を包むように直方体形状を有している。包装箱4は、直方体形状の長手方向に平行にジッパー状のカット線を備えるジッパー5を所定の間隔をおいて2か所に備え、2か所のジッパー5により区画される中央部分に中央帯6を備えている。中央帯6は他の部分と判別しやすいように着色されている(図2では着色を省略している)。2つのジッパー5をカット線に沿って取除くことにより、包装箱4の左右の側面がそれぞれ外れてシャッフルプレイングカード1sの両側面が露出可能な構成となっている(図1の状態)。図2に示すようにジッパー5を取除く順番(1)から(3)が各ジッパー5に印刷(丸印の番号で示す)されている。
【0012】
シャッフルプレイングカード1sには、カードシュータ装置2にセットされる前にカットカード1cが挿入されている。カットカード1cは、シャッフルプレイングカード1sをゲームに使用する際、シャッフルプレイングカード1sの後半部分(残りが4分の1あるいは5分の1程度)に挿入される。カットカード1cは、ゲーム中に配布された各カード1のランクがプレーヤ等によりカウントされ、残り少ないカードのランクが予測されるのを防止するためカード1をカードシュータ装置2に約20枚から40枚残した状態でそのゲームテーブルのゲームを終了するため使用される。通常、カットカード1cが引き出されるとそのゲーム以降、もしくは数ゲームの後に使用中のシャッフルプレイングカード1sの使用が終了し、ゲーム終了となる。カードシュータ装置2のシャッフルプレイングカード1sは新しいものに交換され、新たなゲームが開始される。
【0013】
図1において、本実施の形態のテーブルゲームシステムにおいては、所定数のデッキを構成するカード1がシャッフルされ個別にユニークなカード並びで提供され、個別に特定可能なシャッフルカードIDがバーコード3として付されたシャッフルプレイングカード1sと、シャッフルカードIDを特定することができるバーコードリーダ100もしくは入力手段200を備え、シャッフルプレイングカード1sを収納し、収納されたカード1を一枚ずつゲームテーブルに手動で配るためのカードシュータ装置2とからなるテーブルゲームシステムである。
【0014】
図3において、本発明テーブルゲームシステムの実施のカードシュータ装置2には、シャッフルプレイングカード1sの出し入れを可能にする蓋2fが設けられ、蓋2fの開閉を検出するセンサSが蓋2fの下に設けられ、蓋2fの開閉を検知してシャッフルプレイングカード1sが交換されたことを検出する。さらにカードシュータ装置2は、カード収
容部2Cから1枚ずつ手動で引出されるカード1をゲームテーブル上に向けて案内するカードガイド部7と、カード収容部2Cからカード1がカジノのディーラー等により手動で引出される際にカード1の数字(数、ランク)を表すコードCを読み取るコード読取部8と、コード読取部8により順次読み取られるカード1の数(ランク)に基づいてカードゲームの勝敗を判定する勝敗判定部10と、勝敗判定部10の判定結果を出力する出力手段11とを備える。
【0015】
図4はシャッフルプレイングカード1sを構成するカード1を示す。バカラ等のテーブルゲームに使用されるカード1には、数字がコード化され通常では目に見えないUVインク等でマークMとして印刷されている。マークMで構成されるコードCが、カード1の上辺と、下辺に点対称に設けられている。コードCは、紫外光を受けることにより可視化される塗料で印刷され、カードの種類表記やインデックスと重ならない位置に印刷されていることが望ましい。
【0016】
次に、カード収容部2Cからカード1が手動で引出される際にカード1の数字(数、ランク)を表すコードCをカード1から読み取るコード読取部8の詳細について図5により説明する。図5は、カードシュータ装置2の要部平面図である。図において、コード読取部8はカード収納部2Cの前方の開口部13から1枚ずつ手動で取出されるカード1をゲームテーブルの上に案内するカードガイド部7に設けられている。カードガイド部7は、傾斜面であり、両側の縁部には、センサカバーを兼ねたカードガイドカバー14が取り付けられている。また、2本のカードガイドカバー14の各々は、ねじ等(図示せず)で取り付け着脱可能となっている。カードガイドカバー14を取り外すと、コード読取部8のセンサ群15が露出する。センサ群15は、4つのセンサからなり、2つの紫外線反応センサ(UVセンサ)20,21と、対象物検出センサ22,23とで構成される。なお、2つの紫外線反応センサ(UVセンサ)20,21の近くには、組コードSCを読み取る紫外線反応センサ24が設けられており、紫外線反応センサ20,21と同様の機能を有し組コードSCの有無により出力信号を出す。
【0017】
対象物検出センサ22,23は、カード1の有無を検知する光ファイバ式のセンサでありカード1の動きを検出することができる。対象物検出センサ22は、カードガイド部7の、カード1の流れ方向に(矢印F)沿った上流側に位置し、もう一方の対象物検出センサ23は下流側に位置している。図に示すように、両対象物検出センサ22,23は、UVセンサ20,21を挟んで上流側と下流側に設けられている。UVセンサ20,21は、紫外線を発するLED(紫外LED)と検知器を備えている。カード1には、紫外線が当たると発色する紫外線発光インクでマークMが印刷されており、紫外線(ブラックライト)がカード1に照射され、カード1のコードCのマークMの反射光が検知器で検知される。UVセンサ20,21は、ケーブルを介してコード読取部8の制御部12に接続されている。コード読取部8では、UVセンサ20,21の検知器の出力信号から、マークMの組み合わせが判定され各コードCに対応する数(ランク)が判定される。
【0018】
コード読取部8は、対象物検出センサ22、23の検出信号に基づいて、UVセンサ20、21の読取の開始と終了が制御部12により制御される。また、制御部12は、カード1が正常にカードガイド部7を通過したか否かを対象物検出センサ22、23の検出信号に基づいて判定する。図4に示すように、カードのランク(数)およびスート(ハートやスペードなど)を表す四角形のマークMがカード1の縁に2列、4行で配列されている。UVセンサ20,21は、マークMを検知すると、オン信号を出力する。コード読取部8では、2つのUVセンサ20,21から入力される両信号の相対関係を判定する。これにより、2つのUVセンサ20,21で検知された2つのマークMの相対的な相違等によりコード読取部8は、コードを特定し、対応するカード1の数(ランク)と種類(スート)を特定する。
【0019】
コードCと2つのUVセンサ20,21のオン信号の出力との関係を図6に示す。UVセンサ20,21のオン信号の出力の相対変化の比較結果に基づいて、マークMの所定の組み合わせが特定できる。結果として、上下2列のマークMの組み合わせとして4種、これを4列印刷すると、4種の4乗で256種のコードが構成可能となる。トランプカードの52種のカードを256種のコードのどれかにそれぞれ割り当てて、これを対照表としてメモリあるいはプログラムで記憶おき、コード読取部8は、各コードCを特定することで、あらかじめ定めた対照表(図示せず)からカード1の数(ランク)と種類(スート)が特定される。また、256種のコードは、52種のカードに自由な組み合わせで対応付けて対照表により記憶することできるので、組み合わせを複雑にでき、時間や場所により256種のコードCと52種のカードのスートおよびランクの組み合わせを変えることが出来る。コードCは、紫外光を受けることにより可視化される塗料で印刷され、カードの種類表記やインデックスと重ならない位置に印刷されていることが望ましい。
【0020】
次に制御部12について詳細を説明する。制御部12は、コンピュータ装置であり、例えばゲームの勝敗を自動的に判定する勝敗判定部10を含み、これらの処理機能(制御部12中)は、勝敗判定用のプログラムをコンピュータに組み込むことにより実現されており、このプログラムがコンピュータのプロセッサで実行される。また、バーコードリーダ100により読取ったバーコード3からシャッフルプレイングカード1sを個別に特定可能なシャッフルカードIDを読み取りメモリ12Mに記憶する。制御部12は、バーコードリーダ100によりバーコード3を読取り、個別に特定可能なシャッフルカードIDを記憶すると共に、シャッフルカードIDに関連付けて現在ゲームに使用しているカードセットとしてのシャッフルプレイングカード1sを現在時刻と共に特定し記憶する。制御部12は、さらにシャッフルカードIDにより特定されたシャッフルプレイングカード1sのゲームテーブルでの使用中に発生した以下の特定発生事項を特定発生事項毎に現在時刻と共にシャッフルカードIDと関連付けてメモリ12Mに記憶させる。また、特定発生事項の発生が、カードシュータ装置内に現在あるシャッフルプレイングカード1sの何枚目に発生したか、あるいはシャッフルプレイングカード1sを使用した個別のゲーム(個別のゲーム毎にプレーヤが勝つか、バンカーが勝つかの勝敗判定が為され賭けチップの清算後次の個別ゲームが始まる)の何ゲーム目に発生したかを記憶する。
【0021】
シャッフルカードIDに関連付けて記憶する特定発生事項の項目としては、以下のもののうち少なくとも一を含む。
(1)カード読取部8において前記特定されたシャッフルプレイングカードのカードの読み取りミスがあったこと、
(2)カードシュータ装置2内に現在あるシャッフルプレイングカード1sの使用を終了する終了ボタン53の操作によるゲーム終了もしくは現在あるシャッフルプレイングカード1sからカットカード1cが出現したことによるゲーム終了となったこと
(3)カードゲームのルールに従ってカードが引出されるべきでない時にカードが引き出されようとしたこと、
(4)開口部13においてカードが引出し方向とは逆の方向に移動もしくは挿入されようとしたこと、
(5)カードシュータ装置2が異常と判断するよう予め設定した異常動作が発生したこと、
のすくなくとも1つを含む、構成を有するものである。
【0022】
なお、(1)の読み取りミスは、カード1の2つのマークMを読むコード読取部8において、コードが所定のコードでなく対照表等から特定できなかったり、コードに対応するカード1の数(ランク)と種類(スート)が特定できなかったことを意味する。(2)カードシュータ装置2内に現在あるシャッフルプレイングカード1sの使用を終了する際に
は終了ボタン53が押される。この操作によりゲーム終了をカードシュータ装置2に登録する。また、現在カードシュータ装置2に存在するシャッフルプレイングカード1sからカットカード1cが出現した場合、そのカットカード1cが出現したゲームの次もしくは数ゲーム後にゲーム終了とし、以後残りのシャッフルプレイングカード1sはゲームに使用されない。(3)の、カードゲームのルールに従ってカードが引出されるべきでない時にカードが引き出されようとしたこと、については後に説明する。(4)の開口部13からカードが逆方向に挿入されようとしたこと、とは、対象物検出センサ22,23が、状態時のカード1の動き(矢印F)とは逆方向にカードが挿入されるような不正行為を検出するものである。対象物検出センサ22,23により矢印Fの逆の方向のカード1の動きを検出した時を想定している。(5)に示すカードシュータ装置2が予め異常と判断するよう記憶した異常事態とは、例えばカード1が対象物検出センサ22,23上に所定時間異常に停滞したとき、などを意味し、メモリ12Mに予めプログラムとして入力され、記憶されている。
【0023】
メモリ12Mはバーコード3より読み取ったシャッフルカードID毎にこのシャッフルカードIDに関連付けてセキュリティ項目が発生したことを記憶するとともに、セキュリティ項目を記憶する際にセキュリティ項目の発生した時刻を記憶する。このため現在時刻を知る時計12tを備えている。またセキュリティ項目が発生したことをシャッフルカードIDと共に外部に送信する送信装置300をさらに備えている。外部送信装置300を介してカジノの管理部門やピットに、シャッフルカードID毎にシャッフルカードIDに関連付けてセキュリティ項目が発生したことと、セキュリティ項目の発生した時刻とが通知される。カジノの管理部門においては、これら送信された項目をデータベース400にシャッフルカードIDに関連付けて記憶登録する。さらにセキュリティ項目の発生したことは、ランプ51および液晶表示部52により表示してディーラ等に知らせる。
【0024】
次に、シャッフルカードIDを特定することができるバーコードリーダ100に代えて入力手段200を備えた変形例について、説明する。バーコードリーダ100により、バーコード3を読取り、現在使用中のシャッフルカードIDを特定する代わりに、ゲームテーブルに備え付けた別の機器(例えばカード1の廃棄装置や廃棄されるカードの確認機器)にバーコードリーダを設けておき、このバーコードリーダによって、使用を開始するシャッフルカードID取得し、これらの機器と通信201することで、シャッフルカードIDが、カードシュータ装置2に入力されることとしてもよい。この場合バーコードリーダを備えた別の機器がシャッフルカードIDを特定することができる入力装置となる。
【0025】
次に、カード収納部2Cからのカード1の出入を制限するカード出入制限手段30について、図7により説明する。カードガイド部7には、カード収納部2Cからのカード1の出入を制限するカード出入制限手段30が設けられている。図7(a)において、カード出入制限手段30は、カード収納部2Cの前方の開口13から1枚ずつ取り出されるカード1をゲームテーブルの上に案内するカードガイド部7のカードガイドカバー14に設けられている。カード出入制限手段30は、カード1がカードガイド部7とカードガイドカバー14との間のスロット33を通過する際に、ロック部材34がカード1を押圧してスロット33内のカード1の出入を阻止する構造を備えている。ロック部材34は、電磁ソレノイドや圧電素子などの駆動部35により、カード1を押圧する位置(制限位置)と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態を取り得るように矢印Moに示すように移動する。駆動部35は制御部12により制御され、ロック部材34をカード1を押圧する位置と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態に移動させる。制御部12にはバカラゲームのルールが予めプログラムされ記憶されている。
【0026】
次に、カード出入制限手段30の変形例について、図7(b)により説明する。変形例における、カード出入制限手段40は、カード1がカードガイド部7とカードガイドカバ
ー14との間のスロット33を通過する際にロック部材36がスロット33内に突出てカード1の移動を阻止する構造を備えている。ロック部材36は、電磁ソレノイドや圧電素子などの駆動部37により、カード1の移動を阻止する位置(制限位置)と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態を取り得るように矢印Moに示すように移動する。駆動部37は制御部12により制御され、ロック部材36をカード1を押圧する位置と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態に移動させる。
【0027】
制御部12のプログラムにより、カード1の不正な出入りを防止するよう駆動部35,37を制御することで、カード出入制限手段30(40)を機能させる。カード出入制限手段30(40)は、カード1の動きを検出するセンサとして、対象物検出センサ22,23が設けられており、このセンサによりカード1の動きを検出してカード1の動きを制限する機能を有する。カード1の不正な出入りとして制御対象となる内容(プログラムされている内容)は、少なくとも以下を含む。
【0028】
1)外部から開口部13を介してカード収納部2cに向かって矢印Fの方向とは逆の方向に挿入もしくは移動されるカード1の挿入を阻止する機能。この場合、不正目的のカード1の挿入はカード1がカードガイド部7とカードガイドカバー14との間のスロット33を通過するが、対象物検出センサ22、23の検出信号に基づいて、カード1の通常とは逆の方向の動き(図3矢印Fの逆の方向)を検出し、制御部12のプログラムにより駆動部35,37がカード1を押圧もしくは阻止する位置にロック部材34,36を移動する。この場合は、セキュリティ項目の(4)開口部からカードが逆方向に挿入もしくは移動されようとしたとき、と制御部12は判断する。
【0029】
2)カード読取部(カード収容部5からカード1が引出される際にカード1の数字(数、ランク)を表すコードCをカード1から読み取るコード読取部8を意味する)において読取ったカード1のスートトランクの情報に基づいて、カード収容部2cから引出されるべきでない時にカード1が引かれようとした時これを阻止する機能。この場合、予め制御部12には、前述のようにバカラゲームのルールがプログラムされている。バカラゲームにおいては、バンカーとプレーヤがカード1を各2枚以上引くべきか否かは、バンカーとプレーヤの既に配布された2枚のカードのランク(数)のトータルによって一義的に決まっている。このため、3枚目のカードを引くべきでない時に、各テーブルのディーラーがカード1を配布しようとすると、ルール違反となるので、カード1の動きが制限される。引かれるべきでないタイミング、状況でカード1が引かれようとすると、対象物検出センサ22のカード1の検出信号に基づいて、カード1の動きが検出され、制御部12のプログラムにより駆動部35,37がカード1を押圧もしくは阻止する位置にロック部材34,36を移動する。これによりカード1を押圧もしくは阻止する位置にロック部材34,36が移動し、カード1の更なる配布を阻止する(図4に示す位置)。この場合、セキュリティ項目の(3)カードゲームのルールに従ってカードが引き出されるべきでない時にカードが引き出されようとしたとき、と制御部12は判断する。これは、前述したシャッフルカードIDに関連付けて記憶する特定発生事項の項目の(3)に該当する。すなわち、前述の項目(3)では、カードゲームのルールに従ってカードが引出されるべきでない時にカードが引き出されようとしたこと、が制御部12に登録される。
【0030】
上記特定発生事項(セキュリティ項目)に該当する事象が発生すると、外部送信装置300を介してカジノの管理部門やピットに、各シャッフルプレイングカード1sのシャッフルカードID毎にシャッフルカードIDに関連付けてセキュリティ項目が発生したことと、セキュリティ項目の発生した時刻とが通知され、データベース400に接続され記憶される。さらにセキュリティ項目の発生したことは、ランプ51および液晶表示部52により表示してディーラ等に知らせる。
カジノの管理部門においては、これら送信された項目をデータベース400において、現
在ゲームに使用するカードセットに関して特定されたシャッフルプレイングカードIDに関連して、以下の少なくとも一に該当する項目がデータベースに関連して登録されてカジノの業務全体のコントロール等や効率化に供される。
【0031】
カジノの業務全体のコントロール等や効率化に供されるため、カジノ管理部門では、以下のようなデータが共にデータベースに登録され共に活用される。
(1)使用されるゲームテーブル、
(2)使用されるゲームテーブルの担当ディーラ(カードを引く者)、
(3)特定された前記シャッフルプレイングカードの使用開始時刻、
(4)特定された前記シャッフルプレイングカードの使用終了時刻、
(5)特定された前記シャッフルプレイングカードがゲームテーブル上に存在していた時間、
(6)特定された前記シャッフルプレイングカードが使用されるゲームテーブルに運ばれる前段階の管理するピットあるいはカードルームに関する情報、
(7)特定された前記シャッフルプレイングカードがゲームテーブルで使用された後に廃棄されるまでの廃棄工程に関する情報、
(8)特定された前記シャッフルプレイングカードが全て廃棄装置に至った否かに関する情報、
(9)予め特定された前記シャッフルプレイングカードがゲームテーブルに運ばれる前段階の管理ピットあるいはカードルームに関する情報、
(10)特定された前記シャッフルプレイングカードが使用されたゲームテーブルでの勝敗に関する情報、
(11)特定された前記シャッフルプレイングカードを用いたゲームが終了し、次のシャッフルプレイングカードに交換されて次のゲームが開始されるまでの時間、
(12)特定された前記シャッフルプレイングカードを用いたゲームの開始からゲーム終了までの時間、
(13)特定された前記シャッフルプレイングカードの購入あるいは仕入れに関する情報。
【符号の説明】
【0032】
1 カード
1s シャッフルプレイングカード
2 カードシュータ装置
2C カード収容部
3 バーコード
8 コード読取部
10 勝敗判定部
12 制御部
13 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7