(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094841
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】機械式駐車装置、及びその入出庫方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
E04H6/18 611
E04H6/18 601G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207957
(22)【出願日】2020-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(57)【要約】
【課題】乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降機を対応させても、入出庫作業時間が長引くことを抑制する。
【解決手段】車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降する昇降機42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間に昇降可能に配置される昇降台10と、を有する入出庫部1と、を備え、昇降機42は、乗降室2における入出庫作業中に、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さL1と、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さL2と、に対応して停止位置の変更が許容され、昇降機42が下方の搬送高さL2に位置するとき、下方に位置するトレー8は、入出庫作業中に乗降室2と昇降機42との間で搬送が許容される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置するトレーと、
前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間に昇降可能に配置される昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、
前記昇降機は、前記乗降室における入出庫作業中に、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さと、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、前記昇降機が前記下方の搬送高さに位置するとき、前記下方に位置する前記トレーは、前記入出庫作業中に、前記乗降室と前記昇降機との間で搬送が許容される、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記乗降室における前記下方に位置する前記トレーは、前記入出庫作業中に、前記昇降機に搭載されて、前記昇降室と格納部との間で搬送が許容される、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記乗降室は、前記トレーを昇降させる昇降手段を有する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記乗降室は、前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーを、前記乗降室と前記昇降機との間で水平方向に搬送する移送装置を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記トレーは、前記トレーの下面に水平方向の走行を許容する第一方向車輪と第二方向車輪とを有し、前記トレーが前記乗降室と前記昇降機との間で移載される際、前記昇降機において前記第一方向車輪が前記昇降機に支持される、請求項1から4のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記乗降室は、前記乗降室における前記トレーのうちの上側に位置する前記トレーの一方と該一方に対向する他方との両端部と、前記昇降台の一方と該一方に対向する他方との両端部と、を支持するとともに、前記トレーを前記乗降室と前記昇降機との間で水平移動させる搬送手段を有し、
前記搬送手段は、前記トレーと前記昇降台とを支持する支持位置と前記トレーと前記昇降台とを支持しない退避位置との間で水平方向に旋回する複数の支持ローラと、
前記複数の前記支持ローラのそれぞれに連結され、前記支持ローラを同期して旋回させる旋回機構と、
前記トレーを水平方向に搬送する搬送装置と、
前記昇降台と前記昇降機との間に設けられ、前記トレーの前記両端部を搬送可能に支持する位置に固定される固定ローラと、を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
車両を載置するトレーと、
前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間に昇降可能に設けられる昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、
前記昇降機が、前記乗降室における入出庫作業中に、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さに停止する工程と、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さに停止する工程と、を有し、前記入出庫作業中に、前記昇降機を前記下方の搬送高さに位置させて、前記下方に位置する前記トレーを前記乗降室と前記昇降機との間で搬送する工程を有する、
機械式駐車装置の入出庫方法。
【請求項8】
前記入出庫作業中に、前記下方に位置する前記トレーを前記昇降機に搭載して前記昇降室と格納部との間で搬送する工程を有する、請求項7に記載の機械式駐車装置の入出庫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置、及びその入出庫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車が入出庫し、自動車を載せたパレットを横送りするパレット受渡し設備を設置した乗降室と、自動車を格納する格納層と、前記乗降室と各格納層との間で自動車を載せたパレットを搬送する搬送装置を設けた搬送室を備え、前記乗降室と前記搬送室は隣接して配置されており、前記パレット受渡し設備は、搭載したパレットを横送りする横送り機構と旋回させるターンテーブルを有し、該ターンテーブルの旋回位置は、パレットの旋回軌跡の一部が乗降室から搬送室側にはみ出す位置であり、自動車を入出庫させる際のパレットの入出庫位置は、前記旋回位置を境にして反搬送室側に位置することを特徴とする機械式駐車場の乗降室構造が記載されている。
【0003】
特許文献2には、乗降室リフターを設置した入出庫乗降室と、台車を走行させる台車走行レーンと、該台車走行レーンに隣接して多数の車棚を1列に並べた前側駐車レーンと、その奥側で多数の車棚を1列に並べた奥側駐車レーンの2列を並設した駐車スペースと、台車走行レーンに隣接する前側駐車レーンに設置された駐車室リフターとからなり、前記台車は、実車パレットを載せる上段パレット支持部と空パレットを載せる下段パレット支持部を、上下に設けており、かつ上段パレットを払い出しおよび引き込み操作するためのパレット移載手段と、空パレットを払い出しおよび引き込み操作するための空パレット送り機構を備えており、前記乗降室リフターは、前記台車と同じレベルの上段パレット支持部およびパレットを昇降させるパレット昇降機構と、パレットを前記台車との間で払い出しおよび引き込み操作するためのパレット送り機構を備えており、前記駐車室リフターは、パレットを昇降させるパレット昇降機構と、パレットを前記台車との間で払い出しおよび引き込み操作するためのパレット送り機構を備えており、前側駐車レーンの各車棚は、前記台車と同レベルの上段パレット支持部および下段パレット支持部を備えており、奥側駐車レーンの各車棚は、前側駐車レーンと同レベルの上段パレット支持部を備えており、前記駐車スペースには、奥側駐車レーンと前側駐車レーンとの間で実車パレットを移動させるパレット移動装置が設けられていることを特徴とする機械式立体駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-303444号公報
【特許文献2】特許第2880115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明は、自動車を載せたパレットを横送りするパレット受渡し設備を設置した乗降室と、乗降室と各格納層との間で自動車を載せたパレットを搬送する搬送装置を設けた搬送室とを備えているものの、入出庫作業中にパレットの入れ替えは行われず、エレベータは上下二段にパレットを搭載する形式を採用していることで、乗降室と搬送室との間でのパレットの受け渡し動作が複雑化するとともに、エレベータは2台のパレットを搭載して重量が大きくなることから、エレベータ及びその駆動装置は該重量に耐え得る構造にしなければならない。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、入出庫乗降室とリフトとの間でパレットを受け渡す乗降室リフターを設置しているが、入庫用及び出庫用リフトは上下二段にパレットを搭載する形式を採用しているものの、入出庫作業中にパレットの入れ替えは行われず、入出庫乗降室とリフトとの間でのパレットの受け渡し動作が複雑化するとともに、リフトは2台のパレットを搭載して重量が大きくなることから、リフト及びその駆動装置は該重量に耐え得る構造にしなければならない。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するもので、乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降機を対応させても、入出庫作業の時間が長引くことが抑制される機械式駐車装置及びその入出庫方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置は、車両を載置するトレーと、前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間に昇降可能に配置される昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、前記昇降機は、前記乗降室における入出庫作業中に、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さと、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、前記昇降機が前記下方の搬送高さに位置するとき、前記下方に位置する前記トレーは、前記入出庫作業中に、前記乗降室と前記昇降機との間で搬送が許容される。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記乗降室における前記下方に位置する前記トレーは、前記入出庫作業中に、前記昇降機に搭載されて、前記昇降室と格納部との間で搬送が許容される。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記乗降室は、前記トレーを昇降させる昇降手段を有する。
【0011】
第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様から第3態様のいずれか1態様に係る機械式駐車装置において、前記乗降室は、前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーを、前記乗降室と前記昇降機との間で水平方向に搬送する移送装置を有する。
【0012】
第5態様に係る機械式駐車装置は、第1態様から第4態様のいずれか1態様に係る機械式駐車装置において、前記トレーは、前記トレーの下面に水平方向の走行を許容する第一方向車輪と第二方向車輪とを有し、前記トレーが前記乗降室と前記昇降機との間で移載される際、前記昇降機において前記第一方向車輪が前記昇降機に支持される。
【0013】
第6態様に係る機械式駐車装置は、第1態様から第5態様のいずれか1態様に係る機械式駐車装置において、前記乗降室は、前記乗降室における前記トレーのうちの上側に位置する前記トレーの一方と該一方に対向する他方との両端部と、前記昇降台の一方と該一方に対向する他方との両端部と、を支持するとともに、前記トレーを前記乗降室と前記昇降機との間で水平移動させる搬送手段を有し、前記搬送手段は、前記トレーと前記昇降台とを支持する支持位置と前記トレーと前記昇降台とを支持しない退避位置との間で水平方向に旋回する複数の支持ローラと、前記複数の前記支持ローラのそれぞれに連結され、前記支持ローラを同期して旋回させる旋回機構と、前記トレーを水平方向に搬送する搬送装置と、前記昇降台と前記昇降機との間に設けられ、前記トレーの前記両端部を搬送可能に支持する位置に固定される固定ローラと、を備える。
【0014】
第7態様に係る機械式駐車装置の入出庫方法は、車両を載置するトレーと、前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間に昇降可能に設けられる昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、前記昇降機が、前記乗降室における入出庫作業中に、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さに停止する工程と、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さに停止する工程と、を有し、前記入出庫作業中に、前記昇降機を前記下方の搬送高さに位置させて、前記下方に位置する前記トレーを前記乗降室と前記昇降機との間で搬送する工程を有する。
【0015】
第8態様に係る機械式駐車装置の入出庫方法は、第7態様に係る機械式駐車装置の入出庫方法において、前記入出庫作業中に、前記下方に位置する前記トレーを前記昇降機に搭載して前記昇降室と格納部との間で搬送する工程を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、入出庫作業中に昇降機の停止位置が固定されているものに比べて、入出庫作業中にトレーの入れ替えが可能となり、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0017】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、入出庫作業中に昇降機が稼働されないものに比べて、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0018】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降台が固定されているものに比べて、上方又は下方のトレーを、リフト42に対して選択的に入れ替えを行い得ることから、次の入出庫作業への待ち時間が長引くことが抑制される。
【0019】
第4態様に係る機械式駐車装置によれば、乗降室に配置される2台のトレーの両方に対して該トレーの両端部を支持する支持ローラを有するものに比べて、構造の複雑化が抑制される。
【0020】
第5態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機に支持ローラを備えるものに比べて、昇降機の構造の複雑化が抑制される。
【0021】
第6態様に係る機械式駐車装置によれば、複数の支持ローラが、トレー又は昇降台に対して直進方向に進退するものに比べて、支持ローラの支持構造が上下方向を向く回転軸での支持になることで、支持ローラの設置スペースの拡大が抑制される。
【0022】
第7態様に係る機械式駐車装置の入出庫方法によれば、入出庫作業中に昇降機の停止位置が固定されているものに比べて、入出庫作業中にトレーの入れ替えが可能となり、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0023】
第8態様に係る機械式駐車装置の入出庫方法によれば、入出庫作業中に昇降機が稼働されないものに比べて、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0024】
このように、本発明によれば、乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降機を対応させても、入出庫作業中にトレーの入れ替えができるため、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態における入庫室の概要を示す平面図である。
【
図2】本実施形態における機械式駐車装置の概要を示す断面図である。
【
図5】
図1における乗降室及び昇降室の概要を示す平面図である。
【
図6】
図5において、トレーを支持する支持ローラが退避状態とされた平面図である。
【
図8A】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8B】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8C】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8D】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8E】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8F】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図8G】本実施形態における入庫時の一連の動作図である。
【
図9】本実施形態における入庫時の動作を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態における出庫室の概要を示す平面図である。
【
図11A】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図11B】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図11C】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図11D】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図11E】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図11F】本実施形態における出庫時の一連の動作図である。
【
図12】本実施形態における出庫時の動作を示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態における連続出庫の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施形態]
本実施形態に係る機械式駐車装置及びその入出庫方法の一例について、
図1から
図13を用いて説明する。
なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wは「トレーの短手方向」と、また、装置奥行方向Dは「トレーの長手方向」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、それぞれ言い換えることがある。
【0027】
<機械式駐車装置の全体構成>
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る機械式駐車装置は、車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降する昇降機42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間に昇降可能に設けられる昇降台10と、を有する入出庫部1と、を備え、リフト42は、乗降室2における入手庫作業中に、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さL1と、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さL2と、に対応して停止位置の変更が許容され、リフト42が下方の搬送高さL2に位置するとき、下方に位置するトレー8は、入出庫作業中に乗降室2と昇降機42との間で搬送が許容される。ここで、リフト42は昇降機の一例である。
【0028】
具体的には、本実施形態に係る機械式駐車装置は、建物内に、装置高さ方向Hの上方で装置奥行方向Dに間隔を隔てて配置される2か所の入出庫部1、11と、入出庫部の装置高さ方向Hの下方に形成される車両の格納部6と、を有し、入出庫部のひとつは入庫部1とされ、入庫部1と装置奥行方向Dに間隔を隔てて配置される出庫部11とされている。また、格納部6には、車両Mが載置される複数のトレー8が、装置高さ方向Hからみて縦横に個々独立して搬送可能に隣り合って配置された1層が装置高さ方向Hに2層に形成された格納装置60として設置されている。この格納装置60は、一例として、平面循環式駐車装置としているが、その形式はいずれの形式でもよく、例えば、平面往復式駐車装置など、他の形式の駐車装置であってもよい。
【0029】
[トレー]
トレー8は、
図1、
図3及び
図4に示すように、平面視、一方が他方より長い矩形であり、上面8Aと下面8Bとを有する。上面8Aは平面形状とされ、車両Mが載置される大きさを有する。下面8Bは、昇降機42及び格納装置60に設置されるレール上を搬送可能とする横送りローラ82及び縦送りローラ84が一組とされ、それぞれ、トレー8の四隅に近い部分に取付けられている。本実施形態では、一例として、装置幅方向Wの方向に走行可能なローラを横送りローラ82とし、装置奥行方向Dの方向に走行可能なローラを縦送りローラ84としている。また、下面8Bには、図示しない搬送レールがトレー8の装置奥行方向Dの方向(長手方向)と装置幅方向Wの方向(短手方向)とにそれぞれ設けられ、トレー8は、後述する移送ローラ52及び駆動ローラ46に支持されて長手方向又は短手方向に搬送可能となっている。ここで、横送りローラ82は第一方向車輪の一例であり、縦送りローラ84は第二方向車輪の一例である。
【0030】
[入出庫部]
入庫部1は、
図1に示すように、装置幅方向Wに、乗降室2と昇降室4とが隣接して配置されている。具体的には、本実施形態における機械式駐車装置は、車両Mを格納部6との間で昇降搬送する部分である昇降室4と、車両Mがトレー8に載置されて利用者が車両Mに対して乗降するとともに、利用者が入退室を行う部分である乗降室2と、が分離して配置される形式のものである。なお、入庫部1と出庫部11とは、入出庫部として同一の構成を有することから、ここでは、入庫部1について説明する。
【0031】
〔乗降室〕
乗降室2は、
図1から
図3に示すように、平面視、中央部分にトレー8が配置され、トレー8の装置幅方向Wの後述する昇降室4の側に隣接して昇降台10が配置されている。また、乗降室2は、トレー8の乗込面に対向して車両Mが進入するための出入口ドア20と、乗降室2と昇降室4とを仕切る仕切ドア22と、利用者が機械式駐車装置を操作する操作盤28と、を有する。また、車両Mが進入するトレー8の上面8Aに対応する乗込面となる床と、床から装置高さ方向Hの下方に向けて深さを有するピット24とが形成されている。出入口ドア20は、本実施形態では一例として、乗降室2の階高が低い場合、又は出入口ドア20の周囲に建物の梁、空調設備、又は消火設備等の障害物がある場合も設置可能なように3枚の昇降式の扉とされているが、建物の側の障害物の程度に合わせて、2枚或いは4枚以上の昇降式の扉としてもよく、また、2枚又は3枚以上の横開き式の扉としてもよいことは勿論である。
【0032】
また、乗降室2は、
図3及び
図4に示すように、装置高さ方向Hに、2台のトレー8がそれぞれ間隔を隔てて配置されている。具体的には、乗降室2には、乗込面にトレー8の上面8Aが位置する上部のトレー8が、乗降室2と昇降室4との間で搬送可能に支持される支持ローラ32を有する後述する搬送手段30がトレー8の長手方向の両端部に配置されている。また、ピット24の装置高さ方向Hの上を向く面であるピット24の床面には、トレー8の下面8Bに設けられる図示しない2本の搬送レールに対応する位置に、搬送レールが支持される移送ローラ52を有する移送装置50がトレー8の搬送方向(本実施形態では装置幅方向W)に間隔を隔てて複数配置されている。
【0033】
また、
図4に示すように、ピット24には、トレー8が、上部のトレー8の位置と下部のトレー8の位置との間で昇降される昇降手段26を備える。本実施形態では、一例として、昇降手段26は、トレー8が載置される支持台26と、支持台26を昇降させる図示しないパンタグラフ式昇降装置と、を含んで構成されている。
【0034】
(搬送手段)
搬送手段30は、
図3から
図7に示すように、乗降室2におけるトレー8のうちの上側に位置するトレー8の長手方向の両端部と、昇降台10の長手方向の両端部とを支持するとともに、トレー8を乗降室2と昇降機42との間で水平移動させる装置である。また、搬送手段30は、トレー8と昇降台10とを支持する支持位置と、トレー8と昇降台10とを支持しない退避位置との間で水平方向に旋回する複数の支持ローラ32と、複数の支持ローラ32のそれぞれに連結され、各支持ローラ32を同期して旋回させるリンク機構34と、トレー8を水平方向に搬送する搬送装置36と、昇降台10と昇降機42との間に設けられ、トレー8の長手方向の両端部を搬送可能に回転支持する位置に固定される固定式の固定ローラ32Aと、を有する。ここで、リンク機構34は旋回機構の一例である。
【0035】
搬送手段30に設けられる複数の支持ローラ32は、具体的には、トレー8の長手方向の両端部における下面8Bを支持し、トレー8が乗降室2と昇降室4に配置される後述するリフト42との間で搬送される方向(装置幅方向Wの方向)に回転する支持位置と、トレー8の下面8Bから退避させて、トレー8が乗降室2の乗込面とピット24の床に設置される後述する移送装置50との間で昇降可能とされる待避位置との間で水平に旋回駆動される。本実施形態では、支持ローラ32は、装置高さ方向Hを向く図示しない回転軸に支持されて水平方向に旋回するように設けられる旋回アームに回転可能に設けられ、また、各支持ローラ32は駆動されずにトレー8の移動に伴い自由回転される形式とされている。
【0036】
支持ローラ32は、支持位置と退避位置との間で旋回させるためのリンク機構34を有する。リンク機構34は、図示しない駆動手段によって駆動され、支持ローラ32を、トレー8を支持する支持位置と、トレー8を支持しない退避位置とに切り換える。
【0037】
搬送装置36は、
図5及び
図6に示すように、トレー8の長手方向の両端部に接触してトレー8をトレー8の短手方向に搬送する搬送ローラ38と、搬送ローラ38を回転駆動する図示しない駆動装置と、搬送ローラ38をトレー8に対して接触する接触位置と、トレー8から離間する離間位置と、の間で進退させる図示しない進退装置と、を含んで構成されている。搬送装置36は、搬送ローラ38をトレー8に接触させて駆動することにより、トレー8が乗降室2と昇降室4との間で搬送される。また、搬送装置36は、搬送ローラ38をトレー8から離間させる離間位置に退避させることにより、トレー8が乗降室2において上方のトレー位置と下方のトレー位置との間で昇降可能とされる。
【0038】
(移送装置)
移送装置50は、
図5から
図7に示すように、乗降室2のピット24の床面と、昇降室4に格納室6から立ち上がる昇降フレーム40の乗降室2の側に設けられた搬送フレーム40Aと、に複数設置されている。移送装置50は、乗降室2において、乗込面に配置されるトレー8の下方に間隔を隔てて重ねて配置されるトレー8を、回転して搬送可能とされる移送ローラ52によって支持する。具体的には、移送装置50は、トレー8の下面8Bにおいて長手方向に間隔を隔ててトレー8の短手方向に沿って設けられる図示しない2本の搬送レールに対応する位置に配置されている。
【0039】
移送ローラ52は、装置奥行方向Dに沿う回転軸に支持されて回転可能に固定され、トレー8を乗降室2と昇降室4のリフト42との間を搬送可能に配置されている。これにより、トレー8は、移送ローラ52に支持され、乗降室2における乗込面より下側で、乗降室2と昇降室4に配置されるリフト42との間を搬送可能とされている。移送ローラ52によるトレー8の搬送は、乗降室2において車両Mの入出庫作業中に行われることが許容される。
【0040】
(可動デッキ)
可動デッキ10は、
図1及び
図7に示すように、乗降室2に配置されるトレー8と昇降室4との間に配置されている。可動デッキ10は、平面視で矩形に形成され、利用者が車両Mの乗降に際して乗る上面10Aと、後述する昇降案内部材10Dを設ける下面10Bと、装置奥行方向Dの両端部に設けられ、支持ローラ32に支持される際に支持ローラ32が装置高さ方向Hの下方から支持される支持部材10Cと、後述する昇降部材16の昇降ローラ16Bが接触する昇降案内部材10Dと、を含んで構成されている。可動デッキ10は、その上面10Aが、乗込面となるトレー8の上面8Aと同一の上方の高さと、乗込面に位置するトレー8が支持ローラ32に支持されて昇降室4との間で移動する際に該トレー8の横送りローラ82及び縦送りローラ84と干渉しない下方の高さとの間で昇降可能とされている。ここで、可動デッキ10は昇降台の一例である。
【0041】
また、可動デッキ10は、下降の際に、移送ローラ52を有する移送装置50よりも装置高さ方向Hの下方まで下降しないので、上面10Aに移送装置50との干渉を避ける開口及び該開口を塞ぐ開閉蓋を設ける必要がなく、該上面10Aは平坦な板状体とされている。
【0042】
また、ピット24の床面には、可動デッキ10を昇降させる昇降部材16が配置されている。昇降部材16は、本実施形態では一例として、該床面の側が回転軸16Aに支持されて旋回可能に設けられる旋回腕と、旋回時の自由端となる側に設けられる昇降ローラ16Bと、図示しない旋回駆動装置と、を含んで構成されている。
可動デッキ10は、上方の高さである乗込面となるトレー8の上面8Aと同じ高さに位置するときは、支持部材10Cが支持ローラ32に支持され、下方の高さに位置するときは、移送ローラ52を有する移送装置50に支持される。
【0043】
〔昇降室〕
昇降室4は、
図2、3及び
図5に示すように、装置幅方向Wにおいて、乗降室2の可動デッキ10の側に隣接して配置され、格納部6と連通している。昇降室4には、格納部6に設置される格納装置60から立ち上がる4本の昇降フレーム40と、昇降フレーム40に図示しないリンクチェーンに昇降可能に支持されるリフト42と、昇降フレーム40の乗降室2側に設けられた搬送フレーム40Aと、リフト42を昇降室4と格納部6との間で昇降可能にリンクチェーンを駆動する駆動装置49と、を有する。
【0044】
また、
図5に示すように、乗降室2と昇降室4とを隔てる壁には、仕切ドア22が装置高さ方向Hに沿って開閉可能に設けられている。仕切ドア22は、本実施形態では一例として、昇降室4の階高が低い場合、又は仕切ドア22の直上に建物の梁等の障害物がある場合にも設置可能なように3枚扉とされている。仕切ドア22は、本実施形態では一例として、昇降室4の階高が低い場合、又は仕切ドア22の周囲に建物の梁、空調設備、又は消火設備等の障害物がある場合も設置可能なように3枚の昇降式の扉とされているが、建物の側の障害物の程度に合わせて、2枚或いは4枚以上の昇降式の扉としてもよく、また、2枚又は3枚以上の横開き式の扉としてもよいことは勿論である。
【0045】
(リフト)
リフト40は、
図5に示すように、リフト42の装置幅方向Wの中央部に、トレー8を装置幅方向W及び装置奥行方向Dの方向に搬送する縦横搬送装置44を有する。一例として示す縦横搬送装置44は、トレー8の下面8Bに設けられ、図示しないトレー8の短手方向に沿って間隔を隔てて設けられる2本の横送りレールと、トレー8の長手方向に沿って短手方向の中央に設けられる1本の縦送りレールと、に対応するよう水平旋回されるように配置されている。この縦横搬送装置44は、2つの駆動ローラ46を水平に旋回されるようにそれぞれ支持する回転台に設けられ、2つの回転台は、リンク機構48に連結されて同期して水平に旋回される。ここで、リフト42は昇降機の一例である。
【0046】
<入庫動作>
ここで、入庫動作を
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図8では、図面の複雑化を避けるために、トレー8及び可動デッキ10の搬送及び昇降に係る各装置、及び出入口ドア20の図示を省略している。
【0047】
入庫動作の初期段階として、トレー8と可動デッキ10とリフト42の配置を
図8Aに示す。乗降室2には、上下2枚のトレー8が配置され、また、可動デッキ10の上面10Aは上側のトレー8の上面8A(乗込面)と同じ位置に配置され、仕切ドア22は閉鎖されており、昇降室4には、上側のトレー8の搬送レベルL1にリフト42に設けられたレール42Aの上面が位置している。
【0048】
図9に示すように、先ず、利用者により入庫操作が開始(ステップS101)されると、
図8で図示しない各位置検出センサの作動により、乗降室2に下側のトレー8(以下、「次トレー8」という。)である次トレーの有無を判断する(ステップS102)。乗降室2に次トレー8が存在している場合は、次トレー8はそのまま待機する(ステップS103)。乗降室2に次トレー8が存在していない場合は、後述するステップ113からステップS118が同時に実行される。
【0049】
次に、入庫作業を説明する。ここで、出入口ドア20は、車両Mの入庫となるため入口ドア20と言い換えることがある。乗降室2の入口ドア20が開かれ(ステップS104)、車両Mの入庫作業が行われる(ステップS105)。車両Mの入庫が完了し、利用者が乗降室2を退出(ステップS106)すると、利用者が、乗降室2内の安全を確認し、乗降室2の外側に設置された操作盤28(
図1を参照)にて入口ドア20の閉操作を行うことで入口ドア20が閉まる(ステップS107)。これらの状態を
図8Aに示している。
【0050】
次に、入庫された車両Mを昇降室4に移動する。
図8Bに示すように、仕切ドア22が矢印R1方向に開かれ(ステップS108)、これと同時に可動デッキ10が矢印Q1方向に下降する(ステップS109)。
【0051】
図8Cに示すように、入庫された車両Mはトレー8に載置されて、支持ローラ32(
図5参照)によって昇降室4に待機しているリフト42に向けて矢印S1方向に搬送される(ステップS110)。リフト上にさしかかったトレー8は、
図5に示す駆動ローラ46によってリフト42上の停止位置まで駆動されて停止する。
【0052】
図8Dに示すように、リフト42は矢印U1方向に下降して(ステップS112)、入庫した車両Mを載置したトレー8を格納部6の格納装置60に格納するとともに、乗降室2では、仕切ドア22が矢印R2方向に閉まり、可動デッキ10が矢印Q2方向に上昇し、次トレー8が矢印T2方向に上昇して、次の入庫作業に使用される(ステップS111)。また、次の利用者が存在するときは、ここで次の利用者による次の入庫動作が行われる。
【0053】
図8Eに示すように、下降していたリフト42は、車両Mが載置されていない空トレー8を搭載して矢印U2方向に上昇し、乗降室2における下側の次トレー8が搬送されるレベルL2に停止する。これは、
図9において、ステップS113からステップS115の動作を行ったもので、空トレー8の準備が開始され(ステップS113)、格納部6では、空トレー8がリフト42に搭載され(ステップS114)、リフト42が上昇される(ステップS115)。これにより、空トレー8を搭載したリフト42が
図8Eに示すレベルL2に停止される。
【0054】
次いで、
図8Fに示すように、空トレー8は、リフト42から矢印S2方向に搬送され、乗降室2における下側のトレー位置に次トレー8として待機する(ステップS116)。空トレー8を搬送し終わったリフト42は、
図8Gに示すように、レベルL2から矢印U3方向に上昇し、乗込面に位置するトレー8を受け取れるレベルL1(乗込レベル(
図8A参照))で待機する(ステップS117)。この間、乗降室2では、次の入庫作業がある場合は、ステップS101からステップS108までの車両Mの入庫に係る作業を同時に行う。また、この入庫操作がある場合は、ステップS109からステップS112の動作を行い、入庫操作が無い場合は、
図8Gに示す配置で次の入庫に備えて待機する(ステップS118)。
【0055】
以上が、入庫作業の際の動作である。このように、本実施形態では、入庫作業が行われている状態でも次トレー8の準備ができ、また、リフト42が格納部6に下降している状態でも次トレー8を上昇させて次の入庫に備えることができる。
【0056】
<出庫動作>
次に、出庫動作について、
図10から
図12を用いて説明する。ここで、出入口ドア120は、車両Mの出庫となるため出口ドア120と言い換えることがある。なお、
図11では、図面の複雑化を避けるために、トレー8及び可動デッキ10の搬送及び昇降に係る各装置、及び出口ドア120の図示を省略している。また、本実施形態では、出庫を行う乗降室12及び昇降室14は、入庫を行う乗降室2及び昇降室4と異なる位置に配置しているため、
図10及び
図11では、出庫側の乗降室12及び昇降室14として、符号の頭に1を付して説明するが、その構造は、前述した入庫室2及び昇降室4と同一である。一方、トレー8は格納部6において循環搬送されるものであり、同一の符号で説明する。
【0057】
先ず、
図10は、出庫側の乗降室12及び昇降室14において、車両Mが乗降室12から矢印P2方向に出庫した状態を示す。この後、出庫操作が開始された際の動作を説明する。
【0058】
図10で示す車両Mが乗降室12を出庫した状態を
図11Aに断面で示す。
図11Aに示すように、車両Mが出庫すれば、乗降室12には、乗込面に空トレー8が残り、リフトはトレー8を搭載しないまま矢印U1方向に下降して格納部6に至る。この状態で次の出庫操作が行われると(ステップS201)、
図11Bに示すように、出庫の車両Mを載置したトレー8(実車トレー)がリフト142に搭載されて、リフト142は、トレー8が乗込面に位置されるレベルL1の位置まで上昇される(ステップS202)。
【0059】
ここで、ステップS203で乗降室12の乗込面に空トレー8が位置している場合(
図11Bに示す状態)は、
図11Cに示すように、仕切ドア122を矢印R1方向に開き、可動デッキを矢印Q1方向に下降させ、空トレー8を次トレー8が待機する位置まで矢印T1方向に下降させる(ステップS204)。一方、ステップS203で乗降室12の乗込面に空トレー8が位置していない場合は、仕切ドア122を開き、可動デッキ110を下降させる(ステップS211)。
【0060】
次いで、
図11Dに示すように、出庫の車両Mが載置されたトレー8(実車トレー)をリフト142から矢印S2方向に搬送して、乗降室12に停止させる(ステップS205)。
【0061】
次いで、
図11Eに示すように、仕切ドア122を閉め、可動デッキ110を上昇させ(ステップS206)、出口ドア120(
図10参照)が自動で開かれる(ステップS207)。
【0062】
このとき、車両Mの出庫作業(ステップS208)と並行して、ステップS212で乗降室12の下側にトレー8(空トレー)が位置している場合は、当該トレー8の格納部6への返却が開始され(ステップS213)、リフト142が
図11Eに示すレベルL2まで下降される。
【0063】
そして、
図11Fに示すように、当該トレー8を矢印S1方向に搬送してリフト142に搭載し(ステップS214)、リフト142が格納部6に下降して当該トレー8が格納装置60に格納される(ステップS215)。
【0064】
この間に車両Mが乗降室12から出庫でき、利用者は、乗降室12内の安全を確認して、乗降室12の外部に設けられた操作盤128(
図10参照)にて出口ドア120の閉操作を行うことで出口ドア120が閉じられる(ステップS209)。
【0065】
次いで、次の出庫がある場合は、ステップ202に戻り、次の出庫の車両Mを載置したトレー8(実車トレー)の呼出しを行い、次の出庫がない場合は、
図11Aの状態に戻り、待機する(ステップS210)。
【0066】
以上が、出庫作業の際の動作である。このように、本実施形態では、出庫作業が行われている状態でも空トレー8の返却ができる。
【0067】
[連続出庫]
次に、連続出庫の場合を
図13に示す。上記出庫動作の説明のとおり、出庫作業と並行して、空トレー8を返却することができるので、連続出庫の場合の次の出庫の車両M2の昇降室14への搬送が迅速に行える。このため、車両Mの出庫作業が完了すれば、ただちに、仕切ドア122を開き、可動デッキ110を下降させ、車両Mが出庫した後のトレー8を矢印T1方向に下降させることで、次の出庫の車両M2を矢印S2方向に搬送させて乗降室12に停止させることができる。
【0068】
このように、本実施形態に係る機械式駐車装置は、車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降するリフト42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間に昇降可能に配置される可動デッキ10と、を有する入出庫部1と、を備え、リフト42は、乗降室2における入手庫作業中に、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さL1と、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さL2と、に対応して停止位置の変更が許容され、リフト42が下方の搬送高さL2に位置するとき、下方に位置するトレー8は、入出庫作業中に、乗降室2と前記昇降機42との間で搬送が許容される。
【0069】
これにより、入出庫作業中に昇降機の停止位置が固定されているものに比べて、乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降台の停止位置を変更できるため、入出庫作業中にトレーの入れ替えが可能となり、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0070】
また、乗降室における下方に位置するトレー8は、入出庫作業中に、リフト42に搭載されて、昇降室4と格納部6との間で搬送が許容される。
【0071】
これにより、入出庫作業中に昇降機が稼働されないものに比べて、車両の入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0072】
また、乗降室2は、トレー8を昇降させる昇降手段26を有する。
【0073】
これにより、可動デッキ10が固定されているものに比べて、乗降室2における上方又は下方のトレーを、リフト42に対して選択的に入れ替えを行うことができることから、次の入出庫作業への待ち時間が長引くことが抑制される。
【0074】
また、乗降室2は、トレー8のうちの下方に位置するトレー8を、乗降室2とリフト42との間で水平方向に搬送する移送装置50を有する。
【0075】
これにより、乗降室に配置される2台のトレーの両方に対して該トレーの両端部を支持する支持ローラを有するものに比べて、移送装置における構造の複雑化が抑制される。
【0076】
また、トレー8は、トレー8の下面8Bに水平方向の走行を許容する横送りローラ82と縦送りローラ84とを有し、トレー8が乗降室2とリフト42との間で移載される際、リフト42において横送りローラ82がリフト42に支持される。
【0077】
これにより、リフト42に支持ローラ32を備えるものに比べて、リフト42における構造の複雑化が抑制される。
【0078】
また、乗降室2は、乗降室2におけるトレー8のうちの上側に位置するトレー8の長手方向の両端部と、可動デッキ10の長手方向の両端部と、を支持するとともに、トレー8を乗降室2とリフト42との間で水平移動させる搬送手段30を有し、搬送手段30は、トレー8と可動デッキ10とを支持する支持位置とトレー8と可動デッキ10とを支持しない退避位置との間で水平方向に旋回する複数の支持ローラ32と、複数の支持ローラ32のそれぞれに連結され、支持ローラ32を同期して旋回させるリンク機構34と、トレー8を水平方向に搬送する搬送装置36と、可動デッキ10とリフト42との間に設けられ、トレー8の両端部を搬送可能に支持する位置に固定される固定ローラ32Aと、を備える。
【0079】
これにより、複数の支持ローラが、トレー又は昇降台に対して直進方向に進退するものに比べて、支持ローラの支持構造が上下方向を向く回転軸での支持になることで、支持ローラの設置スペースの拡大が抑制される。
【0080】
また、本実施形態に係る機械式駐車装置の入出庫方法は、車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降するリフト42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間に昇降可能に設けられる可動デッキ10と、を有する入出庫部1と、を備え、リフト42が、乗降室2における入出庫作業中に、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さL1に停止する工程と、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さL2に停止する工程と、を有し、入出庫作業中に、リフト42を下方の搬送高さL2に位置させて、下方に位置するトレー8を乗降室2とリフト42との間で搬送する工程を有する。
【0081】
これにより、入出庫作業中に昇降機の停止位置が固定されているものに比べて、入出庫作業中にトレーの入れ替えができるため、車両Mの入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0082】
また、入出庫作業中に、下方に位置するトレー8をリフト42に搭載して昇降室4と格納部6との間で搬送する工程を有する。
【0083】
これにより、入出庫作業中にリフトが稼働されないものに比べて、車両Mの入出庫時間が長引くことが抑制される。
【0084】
以上、一実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0085】
例えば、移送装置50は、移送ローラ52を有して複数配置されていると説明したが、これに限らず、ベルトコンベヤ等のトレー8を搬送できる機能を有するものであれば、いずれの形式のものでもよい。
【0086】
また、昇降部材16は、ピット24の床面の側が回転軸16Aに支持されて旋回可能に設けられる旋回腕16と、旋回時の自由端となる側に設けられる昇降ローラ16Bと、図示しない旋回駆動装置と、を含んで構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、トレー8の移動と干渉しない位置にラック・ピニオン式の昇降手段等を設けてもよく、可動デッキ10が昇降され得る機能を有するものであればいずれの手段を用いてもよい。
【0087】
また、旋回機構はリンク機構34であると説明したが、旋回機構は、これに限らず、一例として、支持ローラ32の旋回アームの周囲にラック又は歯が形成され、該ラック又は歯に噛合するピニオンの回転によるラック・ピニオン式(歯車式)のものでもよく、支持ローラを旋回させる機能を有するものであればいずれの機構を採用してもよい。
【0088】
また、昇降手段26は、トレー8が載置される支持台26と、支持台26を昇降させる図示しないパンタグラフ式昇降装置と、を含んで構成されていると説明したが、昇降手段26は、これに限らず、例えば、支持台26を昇降させる装置高さ方向Hに沿うラック・ピニオン式としてもよく、また、ボールナット式等としてもよく、支持台26を昇降させる機能を有するものであれば、その形式は問わない。
【0089】
また、リフト42は、昇降フレーム40に図示しないリンクチェーンに昇降可能に支持され、リフト42を昇降室4と格納部6との間で昇降可能にリンクチェーンを駆動する駆動装置49とを有すると説明したが、支持・駆動装置は、これに限らず、例えば、昇降フレーム40を昇降させる油圧シリンダ式等としてもよく、昇降フレーム40を昇降させる機能を有するものであれば、その形式は問わない。
【0090】
また、縦横搬送装置44は、2つの駆動ローラ46を水平に旋回されるようにそれぞれ支持する回転台に設けられ、2つの回転台は、リンク機構48に連結されていると説明したが、縦横搬送装置は、これに限らず、例えば、トレー8を縦横に搬送する複数のベルトコンベア式としてもよく、また、トレー8にラックを装備してピニオンで駆動する形式としてもよく、さらに、トレー8の端面を駆動する摩擦ローラ駆動形式等としてもよく、トレー8を縦横に搬送する機能を有するものでれば、その形式は問わない。
【符号の説明】
【0091】
1 入庫部(入出庫部の一例)
10 可動デッキ(昇降台の一例)
11 出庫部(入出庫部の一例)
2 乗降室
26 昇降手段(支持台)
30 搬送手段
32 支持ローラ
32A 固定ローラ
34 リンク機構(旋回機構の一例)
36 搬送装置
4 昇降室
42 リフト(昇降機の一例)
50 移送装置
6 格納部
8 トレー
82 横送りローラ(第一方向車輪の一例)
84 縦送りローラ(第二方向車輪の一例)