(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094854
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】開栓キャップ
(51)【国際特許分類】
B67B 7/16 20060101AFI20220620BHJP
B67B 7/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B67B7/16
B67B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207975
(22)【出願日】2020-12-15
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520495179
【氏名又は名称】藤木 裕治
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】藤木 裕治
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA10
3E081AA15
3E081AB06
3E081AC01
3E081AC04
3E081BB43
3E081BC04
(57)【要約】
【課題】酒類等の瓶容器の中栓を開栓する際に、中栓のフランジや栓体、或いは瓶口を傷付けにくく、中栓の密閉性の不具合や瓶容器の内容物への異物混入が生じることを抑止しながら、開栓を容易に行うことができる開栓キャップを提供する。
【解決手段】開栓キャップC1は、キャップ部1と、キャップ部1に設けられ、栓体31とフランジ30から成る瓶口用中栓3のフランジ30の外周部に嵌め込んで取り付け及び取り外しが可能なフランジ嵌合部11と、フランジ嵌合部11の近傍の所要箇所に設けられ、フランジ30の表面に当接可能な当接面131と、フランジ嵌合部11の近傍の所要箇所に設けられ、フランジ30の裏面に係止可能な係止片16とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶口用中栓のフランジに嵌め込まれるキャップ部に設けられ、嵌合口を有し、該嵌合口を前記フランジの外周部に嵌め込んで取り付け及び取り外しが可能なフランジ嵌合部と、
前記フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、前記取り付け時において前記フランジの表面に当接可能なフランジ当接部と、
前記フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、前記取り付け時において前記フランジの裏面に係止可能なフランジ係止部とを備える
開栓キャップ。
【請求項2】
前記フランジ嵌合部は、その周方向における一部を欠如して形成されることで、撓み性を以て拡大変形が可能に構成され、
前記フランジ嵌合部が拡大変形する際に、前記フランジ嵌合部に抵抗を加える加抵抗部材を備える
請求項1記載の開栓キャップ。
【請求項3】
前記フランジ係止部は、前記フランジ嵌合部を一旦は拡大方向に変形させる前記取り付け時において、縮小方向へ復元しようとする応力を以て前記フランジの裏面に係止可能に構成されている
請求項2記載の開栓キャップ。
【請求項4】
前記取り付け時において、前記フランジの外周部を案内する案内部を備える
請求項1、2又は3記載の開栓キャップ。
【請求項5】
前記キャップ部の所定の箇所に指掛け部を備える
請求項1、2、3又は4記載の開栓キャップ。
【請求項6】
前記フランジ嵌合部は、その表裏方向へ貫通した窓穴を設けて形成され、
前記キャップ部に前記窓穴の前記嵌合口とは反対側を塞ぐ蓋部を備える
請求項1、2、3、4又は5記載の開栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開栓キャップに関するものである。詳しくは、酒類等の瓶容器の中栓を開栓する際に、中栓のフランジや栓体、或いは瓶口を傷付けにくく、中栓の密閉性の不具合や瓶容器の内容物への異物混入が生じることを抑止しながら、開栓を容易に行うことができる開栓キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、日本酒の瓶容器には、瓶口に中栓が打栓されているものがある。中栓は、通常はアルミシート製の封緘を剥がすことにより、瓶口を閉栓した状態で現れる。瓶の中の日本酒を移すときには、中栓を抜き取って開栓する必要があるが、当初、中栓はきつく打栓されているため、抜き取ることは容易ではない。また、高齢者や女性であれば、開栓は尚更大変で、開けにくいとか、爪が割れるなどの不満の声も多くあり、従前より、改善が望まれていた。
【0003】
この対策として、非特許文献1に記載のボトルオープナーが提案されている。このボトルオープナーは、一端側に通常の王冠用栓抜きを設け、他端側にはU字型の日本酒栓(中栓)用栓抜きを設けた構造であり、中栓、王冠栓、及びプルタブの開栓に使用することができる。なお、中栓については、ボトルオープナーのU字型の内縁部分を中栓のフランジ体と瓶口上面との間に、栓体を挟むように嵌め入れればよく、この操作が固い場合もU字型部分を少し抉(こじ)れば開栓が可能となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】八海山3WAYボトルオープナー(令和2年11月12日検索)https://www.hakkaisan.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/ad71d29b50f60a83a0444f5b5a828926.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1記載のボトルオープナーには、次のような課題があった。
すなわち、ボトルオープナーによる中栓の開栓は、特に難しい作業ではないが、上記したように、U字型の内縁部分を中栓のフランジと瓶口上面との間に、栓体を挟むように嵌め入れる開栓作業では、実際にはいくつかの問題が生じていた。
【0006】
まず、上記作業では、U字型部分を、隙間があまりない瓶口用中栓のフランジと瓶口の上面との間に入れるとき、固くて相当に入れにくい。このため、ボトルオープナーが金属製であることも相俟って、中栓のフランジや栓体、或いは瓶口部を傷付けることがあり、内容物が入っている間、これが繰り返されると、中栓による瓶口の封止に、気密性や液密性の点で支障が出る可能性があった。
【0007】
また、ボトルオープナーを、同じボトルの開栓に繰り返し使用することにより、特に中栓のフランジや栓体が傷付いたときには、フランジの塗装部分や栓体のプラスチック部分が削れて微細な異物となり、ボトル内へ落下して内容物に混入する恐れもあった。
【0008】
更には、開栓をする際に、U字型部分を瓶口用中栓のフランジと瓶口の上面との間に入れようとして、過って瓶口より下側の括れ部に滑り落ちてしまうことが多くあり、瓶を傷付けたり、瓶首を掴んでいる手に当てて怪我をしたりする危険があった。なお、開栓の後で、中栓を保持した状態で栓体を上向きにして置きにくい(置こうとすると、中栓がU字型部分から外れて落ちてしまう)という衛生面での問題もあった。
【0009】
また、ボトルオープナーは、一旦開栓した後の閉栓状態の中栓にU字型部分を嵌め込んで取り付けておき、例えば流し台の引き出し等から必要時に取り出す手間を省くような使い方も可能である。しかし、この場合、中栓はボトルオープナー自身の重さも手伝って、知らない間に中栓が緩んで開栓されてしまうことがあり、注意を要していた。
【0010】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、酒類等の瓶容器の中栓を開栓する際に、中栓のフランジや栓体、或いは瓶口を傷付けにくく、中栓の密閉性の不具合や瓶容器の内容物への異物混入が生じることを抑止しながら、開栓を容易に行うことができる開栓キャップを提供することを目的とする。
また、中栓を抜いたときに栓体を他所に触れさせない衛生的な取り扱いがしやすく、一旦開栓し閉栓した中栓に取り付けておく場合も、中栓が不用意に緩んだり開栓されたりすることを抑止できる開栓キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の開栓キャップは、瓶口用中栓のフランジに嵌め込まれるキャップ部に設けられ、嵌合口を有し、該嵌合口を前記フランジの外周部に嵌め込んで取り付け及び取り外しが可能なフランジ嵌合部と、前記フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、前記取り付け時において前記フランジの表面に当接可能なフランジ当接部と、前記フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、前記取り付け時において前記フランジの裏面に係止可能なフランジ係止部とを備える。
【0012】
開栓キャップは、瓶口用中栓のフランジに嵌め込まれるキャップ部に設けられ、フランジの外周部に嵌め込んで取り付け及び取り外しが可能なフランジ嵌合部を備えるので、開栓キャップをフランジ嵌合部によって瓶口用中栓のフランジに取り付けることができる。また、開栓キャップを瓶口用中栓のフランジに取り付けた状態から取り外すこともできる。
【0013】
上記取り付けが可能であることにより、一旦開栓した後の瓶口を閉栓している瓶口用中栓のフランジに開栓キャップを取り付けておくことができ、しかも、その取り付けがフランジへの嵌め込みによるものであり、瓶口用中栓を緩めることにはならないので、不用意に緩んだり開栓されたりする心配もない。したがって、開栓キャップを瓶口用中栓のフランジに取り付けておいて、流し台の引き出し等から必要時に取り出す手間を省くような使い方も可能である。
【0014】
また、開栓キャップは、フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、取り付け時においてフランジの表面に当接可能なフランジ当接部を備えるので、フランジ当接部によって、フランジの表面を押さえることができる。
【0015】
更に、前記フランジ嵌合部の近傍の所要箇所に設けられ、前記取り付け時において前記フランジの裏面に係止可能なフランジ係止部を備えるので、フランジ係止部をフランジの裏面に係止して、引き上げることができる。
【0016】
これにより、酒類等の瓶容器の中栓を開栓する際に、開栓キャップは、フランジ嵌合部を閉栓状態の瓶口用中栓のフランジの外周部に嵌め込んで取り付けるので、瓶口用中栓のフランジや栓体、或いは瓶口を傷付けにくく、瓶口用中栓の密閉性の不具合が発生することを抑止できる。また、開栓時、開栓キャップを、閉栓したままの瓶口用中栓に嵌めるために、このときの瓶の内部への異物混入は生じない。
【0017】
そして、瓶口用中栓のフランジの裏面に、フランジ係止部を係止し、これを抉るように引き上げれば、梃子の原理で、すなわちキャップ部を力点とし、フランジ当接部を支点とし、フランジ係止部を作用点として作用させれば、瓶口用中栓を瓶口から抜き取って、容易に開栓することができる。
【0018】
なお、瓶口用中栓からの開栓キャップの取り外す場合は、上記と逆の操作、すなわちキャップ部を力点とし、フランジ係止部を支点としてフランジ当接部を上方へ回動させれば、フランジ嵌合部のフランジに対する嵌合を解除することで簡単にできる。
【0019】
また、瓶口から抜き取った瓶口用中栓は、フランジ嵌合部がフランジに取り付けられた状態で、開栓キャップと一体となっており、簡単に分離してしまうことはない。これにより、例えば瓶口から抜き取った瓶口用中栓を一旦仮置きするような場合も、一体となっている開栓キャップを持って裏返しにすれば、栓体を他所に触れないようにして置いておくことができ、瓶口用中栓を衛生的に取り扱うことが簡単にできる。
【0020】
(2)本発明に係る開栓キャップは、前記フランジ嵌合部は、その周方向における一部を欠如して形成されることで、撓み性を以て拡大変形が可能に構成され、前記フランジ嵌合部が拡大変形する際に、前記フランジ嵌合部に抵抗を加える加抵抗部材を備える構成とすることもできる。
【0021】
この場合、開栓キャップは、フランジ嵌合部が周方向における一部を欠如して形成され、撓み性を以て拡大変形が可能であることにより、フランジ嵌合部の変形の範囲は比較的大きい。これにより、瓶口用中栓のフランジの径の大きさの違いにも柔軟に対応して、取り付けることができる。
【0022】
また、フランジ嵌合部が拡大変形する際に、フランジ嵌合部に抵抗を加える加抵抗部材を備えるので、フランジ嵌合部が拡大する方向に変形するときに、加抵抗部材がフランジ嵌合部を周りからその変形を抑えるように作用し、フランジ嵌合部をフランジの外周部に嵌め込んだとき、フランジ嵌合部の縮小による取り付け力がより強く作用する。
【0023】
(3)本発明に係る開栓キャップは、前記フランジ係止部は、前記フランジ嵌合部を一旦は拡大方向に変形させる前記取り付け時において、縮小方向へ復元しようとする応力を以て前記フランジの裏面に係止可能に構成されていてもよい。
【0024】
この場合、開栓キャップは、フランジ嵌合部をフランジの外周部に嵌め込んで取り付けるときに、縮小方向へ復元しようとする応力を以て、フランジ係止部がフランジの裏面に自動的に係止される。したがって、フランジ嵌合部をフランジの外周部に取り付けたときには、既に上記したような、梃子を利用して瓶口用中栓を抜き取って開栓する体勢(又は準備)が整うので、開栓作業を手早く容易に行うことができる。
【0025】
(4)本発明に係る開栓キャップは、前記取り付け時において、前記フランジの外周部を案内する案内部を備える構成とすることもできる。
【0026】
この場合、開栓キャップは、フランジ嵌合部を瓶口用中栓のフランジの外周部に嵌め込む際に、フランジの外周部を案内する案内部を備えるので、フランジ嵌合部の位置をフランジの位置に合わせて細かく調整しなくても、大体の位置合わせだけで、フランジ嵌合部は相対的には案内部に案内される形で位置が調整されるため、使用時、垂直に近い位置からもフランジに容易に嵌め込むことが可能で、使いやすい。
【0027】
(5)本発明に係る開栓キャップは、前記キャップ部の所定の箇所に指掛け部を備える構成とすることもできる。
【0028】
この場合、開栓キャップは、キャップ部の所定の箇所に指掛け部を備えるので、上記開栓作業や瓶口用中栓からの取り外し作業を指掛け部に指を掛けた状態で行うことができ、作業において開栓キャップを過って取り落としたりすることを抑止できるため、作業がしやすい。
【0029】
(6)本発明に係る開栓キャップは、前記フランジ嵌合部が、その表裏方向へ貫通した窓穴を設けて形成され、前記キャップ部に前記窓穴の前記嵌合口とは反対側を塞ぐ蓋部を備える構成とすることもできる。
【0030】
この場合、開栓キャップは、前記フランジ嵌合部が、その表裏方向へ貫通した窓穴を設けて形成され、キャップ部に窓穴の嵌合口とは反対側を塞ぐ蓋部を備えるので、蓋部は、キャップ部の剛性を高めるのに寄与することができる。つまり、開栓時の梃子の作用による強い力により開栓キャップが変形して開栓作業に支障が出ることを抑止できる。また、開栓キャップを使用した瓶口用中栓の開栓時や閉栓時に、瓶口用中栓に触れてしまう衛生上のリスクの対策になり得る利点もある。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、酒類等の瓶容器の中栓を開栓する際に、中栓のフランジや栓体、或いは瓶口を傷付けにくく、中栓の密閉性の不具合や瓶容器の内容物への異物混入が生じることを抑止しながら、開栓を容易に行うことができる開栓キャップを提供することができる。また、中栓を抜いたときに栓体を他所に触れさせない衛生的な取り扱いがしやすく、一旦開栓し閉栓した中栓に取り付けておく場合も、中栓が不用意に緩んだり開栓されたりすることを抑止できる開栓キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る開栓キャップの第1の実施形態を示す斜視説明図である。
【
図2】
図1に示す開栓キャップを示し、(a)は上面図、(b)は下面図である。
【
図3】
図1に示す開栓キャップの、閉栓状態の瓶口用中栓への取り付けと、瓶口用中栓からの取り外しの方法を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す開栓キャップの、閉栓状態の瓶口用中栓の開栓する方法を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る開栓キャップの第2の実施形態を示す斜視説明図である。
【
図7】本発明に係る開栓キャップの第3の実施形態を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明では、位置や方向を示す「前後」、「左右」、「上下」について、
図1において左側を前、右側を後とし、
図2(a)において左側を左、右側を右とし、更に
図3、
図4において上側を上、下側を下として説明する。なお、これについては、後述する開栓キャップC2、C3の説明にも援用する。
【0034】
開栓キャップC1は、キャップ部1と指掛け部2を備えており、比較的高い剛性と可撓性を有するABS樹脂(acrylonitrile butadiene styrene, ABS resin)により形成されている。なお、材料となる合成樹脂の種類は特に限定しないが、ABS樹脂の他、ASA樹脂(acrylate styrene acrylonitrile)、PA樹脂(polyamide)、PP樹脂(polypropylene)等の採用が可能である。これについては、後述する開栓キャップC2、C3も同様である。
【0035】
キャップ部1は、開栓する対象となる後述する瓶口用中栓3のフランジ30の外周部に外嵌めが可能なフランジ嵌合部11を有している。フランジ嵌合部11は、キャップ部1の後部の半円形状の基部10(
図1、
図2参照)と、基部10の左右二箇所の前端から前方へ延長して、撓み性を以て所定の変移量で拡大変形(又は拡縮変形とも表現できる)が可能に設けてある円弧形状の二本の内輪部材13の、それぞれの内周面に全長に渡り設けられている。
【0036】
各内輪部材13は、基部10と共に、上面の内縁部で略円形の窓穴12を形成するように円弧状に形成され、それらの先端部間には、所定の幅の空隙14が設けられている。窓穴12(後述する窓穴12a、12bも同様)は、瓶口用中栓3のフランジ30の上面に銘柄が表示してある場合に、開栓キャップC1の
取り付け状態で、銘柄を確認できるメリットがある。
【0037】
窓穴12の内径は、フランジ30の外径よりやや径小に形成されている。各内輪部材13は、断面形状が略L字状となるように形成され、内面側の下から立ち上がる面が、凹部である上記フランジ嵌合部11へ向かい、かつ窓穴12の中心方向へ傾斜した案内部である案内面130となっている(
図1乃至
図4参照)。
【0038】
また、各内輪部材13の案内面130に続く上部側には、窓穴12の内縁部に向かい、かつ案内面130より緩やかに同方向へ傾斜したフランジ当接部である当接面131となっている(
図1乃至
図4参照)。当接面131は、フランジ嵌合部11と同様に、基部10と各内輪部材13の全長に渡り設けられ、案内面130は、ほぼ各内輪部材13にのみ設けられている。
【0039】
なお、案内面130は、上記フランジ30に嵌め込むときにフランジ30の外周部を案内すると共に、内径が窄まる所定の位置(フランジ嵌合部11の位置、又はそこに近い位置)で、各内輪部材13の拡大変形時に生じる縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以て、取り外し可能に実質的に固定される。
【0040】
また、フランジ嵌合部11の内径は、常態(外力が作用しない状態)では、フランジ30の外周部の直径よりやや小さくなるように設定されている。また、当接面131は、フランジ30の外周部に近い上面部分に当接して、この部分を抜け外れることなく押さえることができる。
【0041】
基部10の下面側には、内縁部で半円形を形成するように、フランジ係止部である係止片16が形成されている。係止片16の内縁部は、平面視で窓穴12の内縁部より内方へ向けやや突出して設けてある(
図2参照)。
【0042】
係止片16は、開栓キャップC1の前後方向において、各内輪部材13の前端部とは反対側に設けられ、円弧状の先端部へ向けて傾斜面160を設け、次第に薄く形成された爪状となっている。これにより、基部10の縦断面形状は、内周面側が凹んだ形状で、フランジ30の外周部が収まるようになっている。
【0043】
また、係止片16は、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間に先端161を差し入れて、フランジ30の裏面に係止することができる(
図1、
図3、
図4参照)。なお、係止片16は、基部側にかけては肉厚になっており、係止部として充分な強度を有している。
【0044】
上記各内輪部材13の外側には、加抵抗部材15が形成されている。加抵抗部材15は、各内輪部材13と同様に、基部10の左右二箇所の前端から前方へ延長して、略半楕円形状に設けられている。加抵抗部材15の内面は、上方へ向け径小となるように傾斜した傾斜面150となっている。
【0045】
加抵抗部材15は、フランジ嵌合部11が設けてある各内輪部材13と所要間隔をおいて沿うように、かつ空隙14を跨ぐように設けてある。加抵抗部材15は、両基端部の内面が各内輪部材13の基端部の外面に密接することにより、又はフランジ嵌合部11を有する各内輪部材13の拡大方向の変形による応力が伝わることにより、各内輪部材13の拡大方向の変形の抵抗となるものである。また、加抵抗部材15の内面と各内輪部材13の外面の基端部における間隔をより小さくすることで、各内輪部材13の変形する際の固さの調整も可能である。
【0046】
また、基部10、各内輪部材13、及び加抵抗部材15の上面(何れも符号省略)は同一平面上にあり、面一となっている。また、同じく下面(何れも符号省略)も同一平面上にあり、面一となっている。これらの上面と下面は平行であり、キャップ部1は全体に同じ厚さである。
【0047】
そして、キャップ部1の後部には、指掛け部2が設けられている。指掛け部2は、キャップ部1の後壁面にキャップ部1の上面と平行、かつ面一に固定された、キャップ部1の略半分の厚さのアーム板20を有している。アーム板20には、上下面を貫通して、円形の指掛け穴21が形成されている。
【0048】
(作用)
図1乃至
図4を参照して、開栓キャップC1の使用方法、及び作用を説明する。
【0049】
〔1〕取り付け
瓶4の瓶口に打栓されている瓶口用中栓3に開栓キャップC1を取り付ける方法を、
図3を参照して説明する。
まず、指掛け部2を持ち、キャップ部1の係止片16の先端161を、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間の入り口に位置させる。
【0050】
次に、一部がフランジ30の裏面に当たった先端161を支点として、キャップ部1を上から押し込み、矢印a1方向へ回動させながら、フランジ嵌合部11をフランジ30の外周部に、外嵌めにより嵌め込む。これにより、キャップ部1は、キャップ部1の拡大変形時に生じる復元使用とする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以てフランジ30の外周部に、取り外し可能に実質的に固定される。
【0051】
このとき、案内面130は、フランジ30の外周部に当たり、案内面130の形状に沿って動きが制限され、フランジ嵌合部11がフランジ30の外周部に嵌まる位置まで案内される。このように、フランジ嵌合部11は、その位置をフランジ30の位置に合わせて細かく調整しなくても、大体の位置合わせだけで、相対的には案内面130に案内される形で位置が調整されるため、使用時、垂直(真上)に近い位置からもフランジ30に容易に嵌め込むことが可能で、使いやすい。
【0052】
また、フランジ嵌合部11が設けてある各内輪部材13は、反対側の係止片16の先端161がフランジ30の裏面に係止しているため、一旦は案内面130がフランジ30の外周部に案内され、その位置に合わせて拡大方向、すなわち空隙14の間隔が拡がる方向に変形する。
【0053】
このとき、各内輪部材13には加抵抗部材15によって所定の抵抗力が加えられており、各内輪部材13はその抵抗力に抗して変形し、フランジ30の外周部に嵌め込まれる。そして、このときの各内輪部材13の拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力によって、係止片16が各内輪部材13側へ引き寄せられ、先端161がフランジ30の裏面の適正位置の隙間(フランジ30と瓶口の上面との隙間)に自動的に係止される。
【0054】
そして、同時に各内輪部材13に、上記復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以て、各内輪部材13のフランジ嵌合部11はフランジ30を保持することができる。なお、各内輪部材13が撓み性を以て拡大変形できることにより、フランジの直径にバラツキがある場合でも、所定の範囲内であれば嵌め込みが可能である。
【0055】
したがって、フランジ嵌合部11をフランジ30の外周部に取り付けたときには、既に上記したような、梃子を利用して瓶口用中栓3を抜き取って開栓する準備が整うので、開栓作業を手早く容易に行うことができる。
【0056】
また、このような取り付けが可能であることにより、一旦開栓した後の瓶口を閉栓している瓶口用中栓3のフランジ30に開栓キャップC1を取り付けておくことができる。しかも、その取り付けがフランジ30への嵌め込みによるものであり、瓶口用中栓3を緩めることにはならないので、不用意に緩んだり開栓されたりする心配もない。したがって、開栓キャップC1を瓶口用中栓3のフランジ30に取り付けておいて、流し台の引き出し等から必要時に取り出す手間を省くような使い方も可能である。
【0057】
また、開栓キャップC1は、フランジ嵌合部11を閉栓状態の瓶口用中栓3のフランジ30の外周部に嵌め込んで取り付けるので、フランジ30や栓体31、或いは瓶口を傷付けにくく、瓶口用中栓3の密閉性の不具合が発生することを抑止できる。また、開栓時、開栓キャップC1を、閉栓したままの瓶口用中栓3に嵌めるために、このときの瓶4の内部への異物混入は生じない。
【0058】
〔2〕開栓
上記開栓キャップC1の取り付け状態から、使用者が指を指掛け穴21に掛ける等して、
図4に示すように指掛け部2を矢印a2方向へ引き上げて傾けると、キャップ部1も同方向に傾き、キャップ部1につながる指掛け部2を力点とし、当接面131を支点とし、係止片161を作用点として梃子の原理で作用させれば、瓶口から栓体31の部分を抜き取って、瓶口用中栓3を容易に開栓することができる。
【0059】
この際、開栓作業や瓶口用中栓3からの取り外し作業を指掛け部2の指掛け穴21に指を掛けた状態で行うことができ、作業において開栓キャップC1を過って取り落としたりすることを抑止できる。
【0060】
〔3〕仮置き
瓶口用中栓3の開栓後は、通常は、フランジ嵌合部11がフランジ30に取り付けられた状態で開栓キャップC1と一体となっており、簡単に分離してしまうことはない。一体となっている開栓キャップC1と瓶口用中栓3をテーブル上面等に仮置きをして、瓶4から酒等の内容物を他に移すときは、仮置きをするときに、開栓キャップC1を持って裏返しにすれば、栓体31が他所に触れないようにして置いておくことができ、瓶口用中栓3を衛生的に取り扱うことが簡単にできる。
【0061】
〔4〕取り外し
開栓キャップC1と瓶口用中栓3を分離する場合は、使用者が片手で瓶口用中栓3をつまみ、他方の手で開栓キャップC1を抉ることにより瓶口用中栓3から取り外すことができる。しかし、例えば様々な感染症の罹患を防ぐため、特に瓶口用中栓3の栓体31に触れないようにして、開栓キャップC1を異なる方法で取り外すこともできる。
【0062】
この場合は、まず、一体となったままの開栓キャップC1と瓶口用中栓3のうち、開栓キャップC1を片手で持ち、他方の手でフランジ30のみに触れて瓶口に押し込んで閉栓する。そして、開栓キャップC1の指掛け部2を持ち、
図3に示すように、これを矢印a3方向へ押し下げる。
【0063】
これにより、開栓キャップC1は、指掛け部2を力点とし、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間でフランジ30の裏面に係止している先端161を支点として回動する。このとき、瓶口用中栓3はきつく閉栓されているため、上方向へ動くフランジ嵌合部11は保持状態を維持できず、フランジ30に対するフランジ嵌合部11の固定状態は容易に解除されるので、開栓キャップC1を取り外すことができる。
【0064】
図5、
図6を参照して、本発明に係る開栓キャップの第2の実施形態を説明する。
開栓キャップC2は、キャップ部1aと指掛け部2aを備えている。キャップ部1aは、瓶口用中栓3のフランジ30の外周部に、内輪部材13bの拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以て、外嵌めによる取り付けが可能なフランジ嵌合部11aを有している。フランジ嵌合部11aは、キャップ部1aの後部の半円形状の基部10aと、基部10aの左右二箇所の前端から前方へ延長して設けてあり、前部がつながったループ状の内輪部材13aの後述する欠如部17を除く内周面に設けられている。
【0065】
内輪部材13aは、先端部分が前方へ突出して設けられている。基部10aから内輪部材13aにかけて、その上面側の略中央に所要径の平面視で略円形の窓穴12aが基部10a側に設けてある。窓穴12aの内径は、フランジ30の外径よりやや径小に形成されている。内輪部材13aの前部中央には、窓穴12aにつながるように平面視で内縁部が略U字型の欠如部17が設けてある。
【0066】
欠如部17は、窓穴12aの縁を一部欠如する形で上記のように形成されている。内輪部材13aは、窓穴12aと欠如部17が設けられていることで、撓み性を以て所定の変移量で拡大変形が可能である。なお、欠如部17の両側の内方に突出した箇所は、図に示すように太く肉厚に形成されており、高強度で開栓時の変形に耐えることができる。
【0067】
また、内輪部材13aの窓穴12aの下面側には、欠如部17の基部にかけて、内面側の下から立ち上がる面が、凹部であるフランジ嵌合部11aへ向かい、窓穴12aの中心方向へ傾斜した案内部である案内面130aとなっている。
【0068】
内輪部材13aの案内面130aに続く上部側には、窓穴12aの内縁部に向かい、かつ案内面130aより緩やかに同方向へ傾斜したフランジ当接部である当接面131aとなっている。当接面131aは、フランジ嵌合部11aと同様に、基部10aと内輪部材13aの全長に渡り設けられ、案内面130aは、ほぼ各内輪部材13aにのみ設けられている。
【0069】
なお、案内面130aは、上記フランジ30に嵌め込むときにフランジ30の外周部を案内すると共に、内径が窄まる所定の位置(フランジ嵌合部11aの位置、又はそこに近い位置)で、内輪部材13の拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以て、取り外し可能に実質的に固定される。
【0070】
また、フランジ嵌合部11aの内径は、常態では、フランジ30の外周部の直径よりやや小さくなるように設定されている。また、当接面131aは、フランジ30の外周部に近い上面部分に当接して、この部分を抜け外れることなく押さえることができる。
【0071】
基部10aの下面側には、内縁部で半円形を形成するように、フランジ係止部である係止片16aが形成されている。係止片16aの内縁部は、上記開栓キャップC1と同様に平面視で窓穴12aの内縁部より内方へ向けやや突出して設けてある。
【0072】
係止片16aは、開栓キャップC2の前後方向において、内輪部材13aの前端部とは反対側に設けられ、円弧状の先端部へ向けて傾斜面160aを設け、次第に薄く形成された爪状となっている。これにより、基部10aの縦断面形状は、内周面側が凹んだ形状で、フランジ30の外周部が収まるようになっている。また、係止片16aは、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間に先端161aを差し入れて、フランジ30の裏面に係止することができる。
【0073】
内輪部材13aの先端部のU字部分は、加抵抗部132となっている。加抵抗部132は、内輪部材13aの拡大方向の変形の抵抗となるものである。なお、基部10a、内輪部材13aの上面(何れも符号省略)は同一平面上にあり、面一となっている。また、同じく下面(何れも符号省略)も同一平面上にあり、面一となっている。これらの上面と下面は平行であり、キャップ部1aは全体に同じ厚さである。
【0074】
そして、キャップ部1aの後部には、指掛け部2aが設けられている。指掛け部2aは、キャップ部1aの後壁面にキャップ部1aの上面と平行、かつ面一に固定された、キャップ部1aの略半分の厚さのアーム板20aを有している。アーム板20aには、上下面を貫通して、円形の指掛け穴21aが形成されている。
【0075】
(作用)
図5、
図6を参照し、開栓キャップC2の使用方法、及び作用を説明する。
〔1〕取り付け
瓶4の瓶口に打栓されている瓶口用中栓3に開栓キャップC2を取り付ける方法を説明する。まず、開栓キャップC2の指掛け部2aを持ち、瓶口用中栓3のフランジ30に後部の下部側を一部被せるようにして、キャップ部1aの係止片16aの先端161aを、フランジ30と瓶口の上面との隙間の入り口に位置させる。
【0076】
次に、一部がフランジ30の裏面に当たった先端161aを支点として、キャップ部1aを上から押し込み、下方向へ回動させながら、フランジ嵌合部11aをフランジ30の外周部に、外嵌めにより嵌め込む。これにより、キャップ部1aは、キャップ部1aの拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以てフランジ30の外周部に、取り外し可能に実質的に固定される。
【0077】
このとき、案内面130aは、フランジ30の外周部に当たり、案内面130aの形状に沿って動きが制限され、フランジ嵌合部11aがフランジ30の外周部に嵌まる位置まで案内される。このように、フランジ嵌合部11aは、その位置をフランジ30の位置に合わせて細かく調整しなくても、大体の位置合わせだけで、相対的には案内面130aに案内される形で位置が調整されるため、使用時、垂直(真上)に近い位置からもフランジ30に容易に嵌め込むことが可能で、使いやすい。
【0078】
また、フランジ嵌合部11aが設けてある内輪部材13aは、反対側の係止片16aの先端161aがフランジ30の裏面に係止しているため、一旦は案内面130aがフランジ30の外周部に案内され、その位置に合わせて拡大方向、すなわち欠如部17の間隔が拡がる方向へ変形する。このとき、内輪部材13aには加抵抗部132によって所定の抵抗が加えられているので、拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以てフランジ30を保持する。
【0079】
そして、内輪部材13aが拡大変形後に上記応力を以て、係止片16aが内輪部材13a側へ引き寄せられ、先端161aがフランジ30の裏面の適正位置に自動的に係止される。
【0080】
〔2〕開栓
上記開栓キャップC2の取り付け状態から、使用者が指を指掛け穴21aに掛ける等して、指掛け部2aを引き上げて傾けると、キャップ部1aも同方向に傾き、キャップ部1aにつながる指掛け部2aを力点とし、当接面131aを支点とし、係止片161aを作用点として梃子の原理で作用させれば、瓶口から栓体31aの部分を抜き取って、瓶口用中栓3を容易に開栓することができる。
【0081】
この際、開栓作業や瓶口用中栓3からの取り外し作業を指掛け部2の指掛け穴21に指を掛けた状態で行うことができ、作業において開栓キャップC1を過って取り落としたりすることを抑止できる。
【0082】
〔3〕仮置き
瓶口用中栓3の開栓後は、通常は、フランジ嵌合部11aがフランジ30に取り付けられた状態で開栓キャップC2と一体となっており、簡単に分離してしまうことはない。一体となった開栓キャップC2と瓶口用中栓3をテーブル上面等に仮置きをして、瓶4から酒等の内容物を他に移すときは、仮置きをするときに、開栓キャップC2を持って裏返しにすれば、栓体31を他所に触れないようにして置いておくことができ、瓶口用中栓3を衛生的に取り扱うことが簡単にできる。
【0083】
〔4〕取り外し
開栓キャップC2と瓶口用中栓3を分離する場合は、使用者が片手で瓶口用中栓3をつまみ、他方の手で開栓キャップC2を抉ることにより瓶口用中栓3から取り外すことができるのは上記開栓キャップC1の場合と同様であるが、瓶口用中栓3の栓体31に触れないようにして、開栓キャップC2を取り外す場合は次のように行う。
【0084】
この場合は、まず、一体となったままの開栓キャップC2と瓶口用中栓3のうち、開栓キャップC2を片手で持ち、他方の手でフランジ30のみに触れて瓶口に押し込んで閉栓する。そして、開栓キャップC2の指掛け部2aを持ち、これを下方向へ押し下げる。
【0085】
これにより、開栓キャップC2は、指掛け部2aを力点とし、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間でフランジ30の裏面に係止している先端161aを支点として回動する。このとき、瓶口用中栓3はきつく閉栓されているため、上方向へ動くフランジ嵌合部11aは保持状態を維持できず、フランジ30に対するフランジ嵌合部11aの固定状態は容易に解除されるので、開栓キャップC2を取り外すことができる。
【0086】
図7を参照して、本発明に係る開栓キャップの第3の実施形態を説明する。
開栓キャップC3は、上記開栓キャップC1、及び開栓キャップC2と比較して最も簡易的な形態である。
【0087】
開栓キャップC3は、キャップ体1bを備えている。キャップ体1bは、全体が略リング状に形成されており、その上面側の略中央には円形の窓穴12bが設けられている。窓穴12bの内径は、フランジ30の外径よりやや径小に形成されている。また、キャップ体1bの下側は、前部側の略半分が半円筒状に形成されており、半円筒部分は、内周壁が窓穴12bよりやや径大な同心円であり、フランジ嵌合部11bとなっている。
【0088】
また、キャップ体1bの後部には半円形状の基部10bが設けられ、その下面側には、内縁部で半円形を形成するように、フランジ係止部である係止片16bが形成されている。係止片16bの内縁部は、上記開栓キャップC1と同様に平面視で窓穴12bの内縁部より内方へ向けやや突出して設けてある。
【0089】
係止片16aは、キャップ体1bの前部とは反対側に設けられ、円弧状の先端部へ向けて傾斜面160bを設け、次第に薄く形成された爪状となっている。これにより、キャップ体1bの後部の縦断面形状は、内周面側が凹んだ形状で、この凹んだ部分と上記半円筒状部分には、フランジ30の外周部がややきつく嵌合して収まるようになっている。
【0090】
そして、窓穴12bを形成する部分は、所定の厚さに形成され、所定の幅の上記開栓キャップC1の当接面131と同様に傾斜した(
図3、
図4参照)、フランジ当接部である当接面18が形成されている。また、基部10bの上面側の後部は、後方へ平面視で半楕円形状にやや突出してツマミ部19が形成されている。
なお、開栓キャップC3において、ツマミ部19、すなわち指掛け部を設けない、より簡易な構成を採用することもできるし、開栓キャップC1、C2において、指掛け部2、2aを設けない構成を採用することもできる。
【0091】
(作用)
図7を参照し、開栓キャップC3の使用方法、及び作用を説明する。
〔1〕取り付け
瓶4の瓶口に打栓されている瓶口用中栓3に開栓キャップC3を取り付ける方法を説明する。まず、開栓キャップC3を持ち、瓶口用中栓3のフランジ30に後部の下部側を一部被せるようにして、キャップ部1bの係止片16bの先端161bを、フランジ30と瓶口の上面との隙間の入り口に位置させる。
【0092】
次に、一部がフランジ30の裏面に当たった先端161bを支点として、キャップ部1bを上から押し込み、下方向へ回動させながら、フランジ嵌合部11bをフランジ30の外周部に、外嵌めにより嵌め込む。これにより、キャップ部1bは、キャップ部1bの拡大変形時の縮小方向へ復元しようとする応力の発生に伴う所定の摩擦力を以てフランジ30の外周部に、取り外し可能に実質的に固定される。
【0093】
このとき、フランジ嵌合部11bが設けてあるキャップ部1bは、フランジ嵌合部11bと反対側の係止片16bの先端161bがフランジ30の裏面に係止しているため、一旦はキャップ部1bの前部がフランジ30の位置に合わせて拡大方向へやや変形する。そして、キャップ部1bの前部は上記応力を以て、係止片16bが前部側へ引き寄せられ、先端161bがフランジ30の裏面の適正位置に自動的に係止される。
【0094】
〔2〕開栓
上記開栓キャップC3の取り付け状態から、使用者が指をツマミ部19に掛ける等して引き上げて傾けると、キャップ部1bも同方向に傾き、キャップ部1bにつながるツマミ部19を力点とし、当接面18を支点とし、係止片161bを作用点として梃子の原理で作用させれば、瓶口から栓体31の部分を抜き取って、瓶口用中栓3を容易に開栓することができる。
【0095】
〔3〕仮置き
瓶口用中栓3の開栓後は、通常は、フランジ嵌合部11bがフランジ30に取り付けられた状態で開栓キャップC3と一体となっており、簡単に分離してしまうことはない。一体となっている開栓キャップC3と瓶口用中栓3をテーブル上面等に仮置きをして、瓶4から酒等の内容物を他に移すときは、仮置きをするときに、開栓キャップC3を持って裏返しにすれば、栓体31が他所に触れないようにして置いておくことができ、瓶口用中栓3を衛生的に取り扱うことが簡単にできる。
【0096】
〔4〕取り外し
開栓キャップC3と瓶口用中栓3を分離する場合は、使用者が片手で瓶口用中栓3をつまみ、他方の手で開栓キャップC3を抉ることにより瓶口用中栓3から取り外すことができるのは上記開栓キャップC1の場合と同様であるが、瓶口用中栓3の栓体31に触れないようにして、開栓キャップC2を取り外す場合は次のように行う。
【0097】
この場合は、まず、一体となったままの開栓キャップC3と瓶口用中栓3のうち、開栓キャップC3を片手で持ち、他方の手でフランジ30のみに触れて瓶口に押し込んで閉栓する。そして、開栓キャップC3をつまみ、ツマミ部19側が下方向へ移動するように抉る。
【0098】
これにより、開栓キャップC3は、キャップ部1bの所定の箇所を力点とし、瓶口用中栓3のフランジ30と瓶口の上面との隙間でフランジ30の裏面に係止している先端161bを支点として回動する。このとき、瓶口用中栓3はきつく閉栓されているため、上方向へ動くフランジ嵌合部11bは保持状態を維持できず、フランジ30に対するフランジ嵌合部11bの固定状態は容易に解除されるので、開栓キャップC3を取り外すことができる。
【0099】
次に、本発明に係る開栓キャップの変形例について説明する。
開栓キャップは、上記したフランジ嵌合部11、11a、11b、フランジ当接部(当接面131、131a、19)、及びフランジ係止部(係止片16、16a、16b)を備えることを基本構造とし、開栓キャップとして同等の機能性を維持しながら、その形態を様々に変形させることが可能である。
【0100】
(変形例1)
開栓キャップC1で、内輪部材13と加抵抗部材15を別体として形成し、これらを嵌め合いにより組み合わせて一体化した構造を採用することができる。これによれば、開栓キャップC1と同等の機能性を有すると共に、製造がしやすくなるメリットがある。
【0101】
(変形例2)
開栓キャップC2で、加抵抗部132を中央で切断した形状を採用することができる。これによれば、開栓キャップC2と比較して、キャップ部1aの前部側の拡大変形がしやすくなり、キャップ部1aの前部側の必要充分な剛性を確保することにより、フランジへの嵌合がより簡単にできると共に、充分な保持力が得られるメリットがある。
【0102】
(変形例3)
開栓キャップC1、C2、C3のキャップ部1、1a、1bの当接面131、131a、18にマグネットを設けた構成を採用することができる。これによれば、マグネットを鉄製のフランジ30に磁着することにより、フランジ30に対する保持力を補助することができるので、磁力を適正に設定することにより、確実な保持が可能になる。
【0103】
(変形例4)
開栓キャップC1、C2、C3で、窓穴12、12a、12bをキャップ部1、1a、1bに備えた蓋部(図示省略)で塞ぐ構成を採用することができる。これによれば、蓋部は、キャップ部1、1a、1bの剛性、特に縦方向(支点と作用点を結ぶ方向)の剛性を高めるのに寄与することができる。
【0104】
つまり、この変形例では、開栓時の梃子の作用による強い力により開栓キャップC1、C2、C3が変形して、開栓作業に支障が出ることを抑止できる。また、開栓キャップC1、C2、C3を使用した瓶口用中栓の開栓時や閉栓時に、瓶口用中栓3に触れてしまう衛生上のリスクの対策になり得る利点もある。
【0105】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
C1 開栓キャップ
1 キャップ部
10 基部
11 フランジ嵌合部
12 窓穴
13 内輪部材
130 案内面
131 当接面
14 空隙
15 加抵抗部材
150 傾斜面
16 係止片
160 傾斜面
161 先端
2 指掛け部
20 アーム板
21 指掛け穴
3 瓶口用中栓
30 フランジ
31 栓体
C2 開栓キャップ
1a キャップ部
10a 基部
11a フランジ嵌合部
12a 窓穴
13a 内輪部材
130a 案内面
131a 当接面
132 加抵抗部
16a 係止片
160a 傾斜面
161a 先端
17 欠如部
2a 指掛け部
20a アーム板
21a 掛け穴
C3 開栓キャップ
1b キャップ部
10b 基部
11b フランジ嵌合部
12b 窓穴
16b 係止片
160b 傾斜面
161b 先端
18 当接面
19 ツマミ部