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特開2022-94871ミニバックホーアタッチメント型薪割機
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  • 特開-ミニバックホーアタッチメント型薪割機 図1
  • 特開-ミニバックホーアタッチメント型薪割機 図2
  • 特開-ミニバックホーアタッチメント型薪割機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094871
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ミニバックホーアタッチメント型薪割機
(51)【国際特許分類】
   B27L 7/00 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B27L7/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020219995
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】521010805
【氏名又は名称】遠藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
【テーマコード(参考)】
2B241
【Fターム(参考)】
2B241DA14
2B241DA21
2B241DA33
2B241DA39
2B241DB13
(57)【要約】
【課題】 1 現在市販されている薪割り機は,原木材を割る動力元と油圧装置又は自走装置が必要で,部品点数が多く高額であることから,これらを解決して安価に提供する。
2 薪割時,原木材を作業者が自らの手で載置部に固定しがちになった状態で薪割レバーを操作することから,うっかり手を可動部に挟み怪我をするおそれがある。これを解決して安全を提供する。
【解決手段】 1 ミニバックホーに取り付けて使用するため,薪割機として必要最小限の部品(本体,当板,ゲタ及びレバー)のみで,製造コストが安価であること。また,ミニバックホーと一体であることから,移動が容易であることを特徴とする。
2 原木材を載置部に置き薪を割るレバーを操作する際,同レバーに1歩移動して近づかなければならず,この移動で身体が可動部から離れることになり,接触事故を防ぐことができることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニバックホーのアーム部にアタッチメントとして取り付けたことを特徴とする薪割機
【請求項2】
原木材を固定する爪を取り付けたことを特徴とする薪割機
【請求項3】
原木材を押し出すためのゲタが装備されたことを特徴とする薪割機
【請求項4】
ミニバックホーのバッケト操作レバーに,薪割動作を操作する操作レバーを接続したことを特徴とする薪割機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,ミニバックホーのバッケトを取り外した箇所に,薪割機をアタッチメントとして取り付け,バッケトを動作させる油圧シリンダの伸縮を利用して原木材を押し割る薪割機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,薪ストーブ用の薪は,玉切りにした木(以下,「原木材」と言う。)を斧で割っていたが,楢・椚及び柿等の広葉樹は,相応の腕力があっても斧で割ることは相当困難である。
そこで近年,油圧を利用した手動式,電動モーター式及びエンジン式の薪割機が使用されるようになった。
また,エンジン式の薪割機は自走するものも市販されている。
その仕様は,手動,電動モーター及びエンジンを動力源として油圧を発生させ,その油圧で油圧シリンダ(以下「シリンダ」という。)を伸縮動作させ,動作部の先端の当板(金属製の楔状の刃)と原木材載置部に設けた金属製の楔状の刃(当板)の間に原木材を載置し,原木材を押し割って薪を作るものである。
いづれにしても,単体の薪割機械が既存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-098589 自走式薪割機
【特許文献2】特開2014-201020 薪割機
【特許文献3】特開2013-001057 薪割機
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1 既存の薪割機は,次のような欠点があった。
(イ)文献1の薪割機は,原木材を割る動力元と油圧装置及び自走するための装置が必要であり,そのため部品点数が多く,結果として製造コストが高額になる。
(ロ)文献2及び3の薪割機は,原木材を割る装置以外に動力元と油圧装置が必要であり,部品点数が多く結果として文献1よりは低額ではあるが,相応に製造コストが高額になる。
(ハ)文献1ないし3の薪割機は,原木材を原木材載置部に置いて薪割作業をする際,原木材が通常丸みを帯びて載置部から転がりやすいことから,同原木材を作業者自らの片手で載置部に固定し,もう片方の手でシリンダを伸縮させるレバー(以下単に「レバー」という。)を操作することになる。
そうすると,ヒューマンエラーとして同じ動作を何度も繰り返す内に原木材を固定していた手を原木材とシリンダの伸縮部に挟み込み,重篤な怪我を引き起こすという作業事故の危険性が存在する。
(二)文献1ないし3の薪割機は,薪割機の躯体が大きく重量物となり,また,保管場所も相応に必要となる。
(ホ)文献2及び3について,薪割機を移動させる際,運搬車に積載するか人力で行わなければならず,新たな輸送手段若しくは人の労力が必要となる。
本件発明は,以上のような欠点をなくすためになされたものである。
2 上記の他,本発明はミニバックホーのアーム部に薪割機を取り付けて使用することから,薪を割るシリンダの伸縮について,一般的な薪割機と比較して,伸縮の可動範囲が小さい。そのため,原木材も短いものしか割れなくなる。
これを補うのが,図1斜視図に記載したゲタ4である。
通常は,図2の位置において使用するが,原木材の長さが28センチ以下の場合,もしくは,原木材が42センチあったとしても,コブがあり割り切れないときは,図3の位置にして使用すると割り切ることができる便利なものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1 (イ),(ロ)及び(ホ)の製造コストの低減と自走装置の省略について
(1) 本件発明の薪割機は,ミニバックホーにアタッチメントとして取り付けて使用するため,薪割機の部品点数は,図1斜視図に示した本体1,原木材を押す当板2,原木材が小さい場合に使用するゲタ4及びレバー12の4点に過ぎず,構造上製造コストが非常に安価である。
(2) 文献2及び3の薪割機の移動の問題については,薪割機がミニバックホーと一体になっていることから,一般道を走行することが可能であり,また,悪路及び雑木林等であっても何ら支障がなく移動ができる。
当然ながら文献1の移動式薪割機以上の機動力を有している。
2 (ハ)の作業事故の危険性を払拭することについて
(1)前提条件として,本件発明で薪割作業をする際,ミニバックホーのアーム部の角度は,地面に対し45度が最も作業効率が良くなる。
すなわち,アームを水平にすると,原木材載置部13とレバー12の間の距離が長くなり,作業者が一歩移動しただけではレバーに手が届かず,作業能率が低下する。
また,アームを垂直にした場合は,原木材を固定する爪7が2本あるものの,原木材が短くこの爪7に届かない場合は,原木材を押し割る楔状の刃が下方にあるため,原木材の載置がやや安定しにくくなり作業効率が低下する。
(2)次に,原木材を原木材載置部13に置いて薪割りする際,レバー12を操作するためには,本件発明の構造上,同レバー12に1歩移動して近づく必要がある。
この1歩移動することが作業事故を未然に防ぐことに役立っている。
すなわち,レバー12を操作する立ち位置が,作業者の両手を含む身体のどこも可動している当板4,原木材及び楔状の刃3に触れることはないからである。
仮に意識的に原木材等に触れようとしても届かない位置にある。
結果として,確実にヒューマンエラーから起きる事故を防ぐことができる。
3 (二)について,本件発明の薪割機は,部品点数が極端に少ないことから,薪割機本体の重量は約30キログラム程度しかなく,持ち運びと保管に有利である。
以上の通り,本発明はミニバックホーのアーム部に薪割機を取り付けた構成からなるミニバックホーアタッチメント型薪割機である。
【発明の効果】
【0006】
(イ)部品点数が極端に少なく,製造コストを大幅に減少することができた。
(ロ)本体に付随している爪7の2本は,原木材を原木材載置部13に載置した際,原木材に食い込んで安定させて転がりを防ぐことに効果がある。
(ハ)薪割機がミニバックホーと一体となっているため,移動が安易になり,一般道及び悪路等でも機動性が備わったことにある。
(二)原木材を原木材載置部13に置き,次にレバー12を操作する際,同レバー位置まで半歩移動することより,手等を,原木材とシリンダの可動部に挟み込むなどして,重篤な怪我を引き起こすという危険性がなくなった。
(ホ)ミニバックホーの本来の掘削及び整地以外,これまでにない薪割という全く新たな分野が加わったことにより,ミニバックホーの有用性が追加され,商品価値が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】斜視図
図2】本発明の三角法による面図である。
図3】本発明のゲタ使用時の三角法による面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下,本発明を実施するための形態について説明する。
(イ)本発明は,ミニバックホーの掘削バケットを取り外し,取り外した部位に薪割機を取り付け,原木材を同薪割機に載置し,バッケト操作のレバーに接続させた薪割機用レバーを操作して薪を割る機械である。
(ロ)薪割機本体は,約30キログラム,押板部分は約9キログラム及びゲタ部分は約4キログラム,薪割機全体の大きさも75センチメートル×33センチメートル×23センチメートルとコンパクトにできており,大人が一人で持ち運ぶことができる構造である。
(ハ)この薪割機は,ミニバックホーにアタッチメントとして取り付けて使用することから一般道を走行することが可能であり,また,悪路及び雑木林等であっても何ら支障がなく移動ができ,機動性に勝っている。
(二)薪割機の部品点数は,図1に示した本体1,原木材を押す当板2,原木材が小さい場合に使用するゲタ4及びレバー12の4点に過ぎず,構造上至ってシンプルであり,従って製造コストが非常に安価である。
(ホ)手を挟むなどしてけがの危険性を払拭することについて
原木材を原木材載置部13に置いて薪割りする際,レバー12を操作するためには,構造上1歩移動して同レバーに近づく必要がある。
この1歩移動することが作業事故を未然に防ぐことに役立っている。
すなわち,レバー12を操作する立ち位置が,可動する当板2,原木材及び楔状の刃3に触れない位置にあるためである。
仮に意識的にレバー操作中に原木材等に触れようとしても届かない位置にある。
結果として,確実にヒューマンエラーから起きるけがを防ぐことができる。
(ヘ)この薪割機で薪を割る際,ミニバックホーのアーム部の角度を地面に対して45度程度にした場合,作業効率が最も良くなる。
すなわち,アーム部を水平にすると,原木材載置部13とレバー12の間の距離が長くなり,原木材を載置してからレバー12を操作するためには,作業者が一歩移動しただけではレバーに手が届かず,作業効率が低下する。
また,アーム部を垂直にした場合は,原木材を押し割る楔状の刃が下方にあるため,原木材の載置が安定しにくくなる。加えて原木材が短く原木材を固定する図1の7に示した爪2本に届かない場合,原木材の載置が安定しなくなるためである。
(ト)以上(イ)から(ヘ)に述べたとおり,本発明はミニバックホーにアタッチメントとして取り付けるという既存の機種にない画期的なものである。
また,安価でコンパクトかつ機動性に優れた薪割機であり,ミニバックホーの新たな活躍の場を提供したものでもある。
【符号の説明】
【0009】
図1
図2
図3