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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094885
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】物品収容具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/14 20060101AFI20220620BHJP
   B42D 1/08 20060101ALI20220620BHJP
   A47G 1/06 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A47G1/14 C
B42D1/08 G
A47G1/06 E
A47G1/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038929
(22)【出願日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2020207291
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】712011666
【氏名又は名称】中辻 大也
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】中辻 大也
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111BB06
3B111BC04
3B111BC05
3B111BE02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造工程での廃棄ロスを抑制しつつ付加価値を高めることができる物品収容具の製造方法を提供する。
【解決手段】シート状に形成された一対の基材11,12の一部をそれぞれ切り抜いて窓部14,15を形成すると共に一対の基材11,12の周縁部同士を部分的に接合することにより第1の収容具10を形成する第1の収容具形成工程と、一対の基材11,12から切り抜かれた一対の切抜片21,22の周縁部同士を部分的に接合することにより第2の収容具20を形成する第2の収容具形成工程と、第2の収容具20を窓部14,15に嵌め込む嵌込工程とを備える物品収容具の製造方法である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成された一対の基材の一部をそれぞれ切り抜いて窓部を形成すると共に一対の前記基材の周縁部同士を部分的に接合することにより第1の収容具を形成する第1の収容具形成工程と、
一対の前記基材から切り抜かれた一対の切抜片の周縁部同士を部分的に接合することにより第2の収容具を形成する第2の収容具形成工程と、
前記第2の収容具を前記窓部に嵌め込む嵌込工程とを備える物品収容具の製造方法。
【請求項2】
前記第1の収容具形成工程は、一対の前記基材の間にシート状の台材を介在させる工程を備え、
前記嵌込工程は、前記台材の一方面を覆うように前記第2の収容具を前記窓部に嵌め込む工程を備えており、
前記台材は、前記第2の収容具で覆われた部分にメッセージが表示されている請求項1に記載の物品収容具の製造方法。
【請求項3】
前記第1の収容具形成工程および第2の収容具形成工程は、前記第1の収容具および第2の収容具をそれぞれ複数形成し、
前記嵌込工程は、一の前記第1の収容具の前記窓部に対し、当該窓部を形成した前記切抜片とは異なる前記切抜片からなる前記第2の収容具を嵌め込む工程を備える請求項1または2に記載の物品収容具の製造方法。
【請求項4】
複数の前記第1の収容具および第2の収容具は、前記基材が皮革の銀面を有する構成と、前記基材が皮革の床面を有する構成とを含む請求項3に記載の物品収容具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品収容具として、収容物を外部から視認できるように窓部を有する構成が知られている。例えば、特許文献1には、表面材の一部を切り抜くことにより写真類が収納される窓部が形成され、この窓部に窓部形成片が嵌め込まれた写真類の収納具が開示されている。この収納具は、写真類の収納時に窓部から窓部形成片を取り外して使用することができ、取り外した窓部形成片は、例えば、写真立ての支片として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-85289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示された収納具は、窓部形成片が単なる切抜片であるため、窓部から取り外した後の用途が限定されてしまい、切抜片を有効に活用することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、製造工程での廃棄ロスを抑制しつつ付加価値を高めることができる物品収容具の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、シート状に形成された一対の基材の一部をそれぞれ切り抜いて窓部を形成すると共に一対の前記基材の周縁部同士を部分的に接合することにより第1の収容具を形成する第1の収容具形成工程と、一対の前記基材から切り抜かれた一対の切抜片の周縁部同士を部分的に接合することにより第2の収容具を形成する第2の収容具形成工程と、前記第2の収容具を前記窓部に嵌め込む嵌込工程とを備える物品収容具の製造方法により達成される。
【0007】
この物品収容具の製造方法において、前記第1の収容具形成工程は、一対の前記基材の間にシート状の台材を介在させる工程を備えることができ、前記嵌込工程は、前記台材の一方面を覆うように前記第2の収容具を前記窓部に嵌め込むことができる。前記台材は、前記第2の収容具で覆われた部分にメッセージが表示されていることが好ましい。
前記第1の収容具形成工程および第2の収容具形成工程は、前記第1の収容具および第2の収容具をそれぞれ複数形成することが可能である。この場合、前記嵌込工程は、一の前記第1の収容具の前記窓部に対し、当該窓部を形成した前記切抜片とは異なる前記切抜片からなる前記第2の収容具を嵌め込む工程を備えることができる。複数の前記第1の収容具および第2の収容具は、前記基材が皮革の銀面を有する構成と、前記基材が皮革の床面を有する構成とを含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造工程での廃棄ロスを抑制しつつ付加価値を高めることができる物品収容具の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る物品収容具の製造方法により得られる物品収容具の平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1に示す物品収容具の製造方法を示す工程斜視図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る物品収容具の製造方法を示す平面図である。
図5図4に示す物品収容具の使用状態を示す平面図である。
図6】本発明の更に実施形態に係る物品収容具の製造方法により得られる物品収容具の平面図である。
図7図6に示す物品収容具の製造方法の一例を示す工程斜視図である。
図8】本発明の更に他の実施形態に係る物品収容具の製造方法を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、物品収容具の平面図であり、図2は、図1のA-A断面図である。図1および図2に示す物品収容具1は、第1の収容具10と、第2の収容具20とを備えており、後述するように、本発明の一実施形態に係る物品収容具の製造方法により製造される。
【0011】
第1の収容具10は、シート状に形成された一対の基材11,12を備えている。一対の基材11,12は、矩形状に形成されており、中央部の同じ箇所が開口して窓部14,15が形成されている。基材11,12の材質は、天然皮革や合成皮革の他に、各種の布地や合成樹脂、紙などを例示することができる。
【0012】
一対の基材11,12は、左右両側の縁部に沿って接合部13が形成されており、縁部同士が接合部13において接合されている。本実施形態の接合部13は、縫合によって形成されているが、接着剤による接着やレーザ接合など他の方法で接合してもよい。
【0013】
第1の収容具10は、一対の基材11,12の上下が接合されずに開口することによって、筒状に形成されている。一対の基材11,12は、被収容物を収容して内部に保持できるように、周縁部同士が部分的に接合されていればよく、接合箇所は特に限定されるものではない。例えば、一対の基材11,12を、左右両側の縁部において接合すると共に、下部縁部においても接合することにより、第1の収容具10を有底筒状に構成することができる。
【0014】
第1の収容具10は、窓部14,15を有するため、写真、絵画、ポスター、色紙、証書、賞状などの被収容物の少なくとも一部を外部から視認する用途に好適に使用することができる。
【0015】
第2の収容具20は、一対の基材11,12にそれぞれ窓部14,15を形成するために切り抜かれた一対の切抜片21,22を備えている。一対の切抜片21,22は、一対の基材11,12と同様に、左右両側が接合部23において接合される一方、上下は接合されずに開口している。これにより、第2の収容具20も筒状に形成されている。本実施形態の第2の収容具20は、花瓶に被せる花瓶カバーとして使用することができ、下部の開口幅に対して上部の開口幅が小さくなるように形成されている。
【0016】
第2の収容具20は、第1の収容具10よりも小さい物品の収容に適しており、用途に応じて形状や接合箇所を定めることで、例えば、キーケース、カードケース、財布、名刺入れ、定期入れ等として使用することができる。
【0017】
図3は、図1に示す物品収容具1の製造方法を示す工程斜視図である。まず、図3(a)に示すように、用意した一対の基材11,12の一部を抜き加工等により切り抜いて、窓部14,15を形成する。窓部14,15の形成箇所は、一対の基材11,12間で同じ箇所であることが好ましいが、異なる箇所であってもよい。また、窓部14,15の形成箇所は、1箇所に限定されず、複数箇所であってもよい。そして、図3(b)に示すように、窓部14,15が形成された一対の基材11,12の周縁部同士を部分的に接合することにより、第1の収容具10を形成する。こうして、第1の収容具形成工程が行われる。
【0018】
第1の収容具形成工程は、本実施形態のように窓部14,15を形成してから基材11,12同士を接合してもよく、あるいは、基材11,12同士を接合した後に、窓部14,15を切り抜くことも可能である。
【0019】
また、図3(c)に示すように、一対の基材11,12から切り抜かれた一対の切抜片21,22の周縁部同士を部分的に接合することにより、第2の収容具20を形成する第2の収容具形成工程が行われる。
【0020】
この後、図3(d)に示すように、第1の収容部10の窓部14,15に、第2の収容具20を嵌め込む嵌込工程を行うことにより、物品収容具1が製造される。
【0021】
本実施形態の物品収容具の製造方法によれば、第1の収容具10を形成する過程で生じた切抜片21,22を利用して、第1の収容具10とは種類や大きさ等が異なる第2の収容具20を形成することができるので、製造工程での廃棄ロスを抑制しつつ、付加価値を高めることができる。第2の収容具20は、第1の収容具10の窓部14,15に嵌め込んで、第1の収容具10と共にコンパクトな状態で流通や保管等を行うことができ、使用時には、第1の収容具10と第2の収容具20とを容易に分離することができる。
【0022】
図4は、本発明の他の実施形態に係る物品収容具の製造方法を示す平面図である。図4に示す物品収容具の製造方法は、図3に示す物品収容具の製造方法と同様に、第1の収容具形成工程、第2の収容具形成工程および嵌込工程を備えるものであるが、第1の収容具形成工程が、図3に示す一対の基材11,12の間に、シート状の台材30を介在させるものである。また、嵌込工程は、第2の収容部20が台材30の一方面を覆うように、一方の基材11の窓部14に嵌め込まれる。なお、図4において、図3と同様の構成部分には、同一の符号を付している。
【0023】
台材30は、厚紙など一対の基材11,12と同様の材料から形成することができ、一方面にメッセージ表示部31を有している。メッセージ表示部31には、物品収容具1を贈答品として使用する場合の送り先へのメッセージや、商品の説明、メモ書きなどを表示することができ、文字だけでなく図形やイラスト等を表示してもよい。本実施形態においては、一対の基材11,12を接合した後に、一対の基材11,12の間に台材30を収容しているが、一対の基材11,12を接合する際に台材30を介在させて、一対の基材11,12と台材30とを一体的に接合してもよい。
【0024】
図4に示す製造方法により製造された物品収容具1は、図5に示すように、使用者が第2の収容具20を第1の収容具10から取り外すことにより、メッセージ表示部31に表示されたメッセージが初めて視認可能になるため、表示内容に対する注意を効果的に促すことができる。
【0025】
図5に示す第2の収容具20は、図4に示す第2の収容具20を裏向けた状態で示しており、一方の切抜片21が矩形状に形成される一方、他方の切抜片22は、矩形状の中央部を切り欠いた形状を有する。この第2の収容具20は、使用時に中央で折り畳むことにより、名刺入れやカード入れ等として使用することができる。
【0026】
図1に示す物品収容具1は、第1の収容具10の窓部14,15に対し、当該窓部14,15を形成した切抜片21,22からなる第2の収容具20を嵌め込んで構成しているが、窓部14,15を形成した切抜片21,22とは異なる切抜片からなる第2の収容具を窓部14,15に嵌め込んで、物品収容具を構成してもよい。この構成によれば、図6に示すように、第1の収容具10および第2の収容具20’の材質、色彩、厚み、硬さ等の種類を互いに異ならせることができるので、種々の組み合わせによって商品のバリエーションを容易に広げることができる。
【0027】
図7は、図6に示す物品収容具1’の製造方法の一例を示す工程斜視図である。図7に示す物品収容具の製造方法は、第1の収容具形成工程および第2の収容具形成工程において、第1の収容具および第2の収容具をそれぞれ複数形成するものである。
【0028】
すなわち、図7(a)に示すように、一対の基材11,12、および、これらの基材11,12から切り抜かれた一対の切抜片21,22を使用して、図3に示す工程と同様の工程により、第1の収容具10および第2の収容具20を形成する。また、図7(b)に示すように、一対の基材11,12とは材質、色彩、厚み、硬さ等の種類が異なる一対の基材11’,12’、および、これらの基材11’,12’から切り抜かれた一対の切抜片21’,22’を使用して、図3に示す工程と同様の工程により、第1の収容具10’および第2の収容具20’を形成する。基材の種類は、一対の基材11,12同士ではそれぞれ同じであってもよく、あるいは互いに相違してもよい。一対の基材11’,12’同士についても同様である。
【0029】
ついで、図7(c)に示すように、一の第1の収容具10の窓部に対して、他の第1の収容具10’の窓部を形成した切抜片からなる第2の収容具20’を嵌め込むことにより、図6に示す物品収容具1’が得られる。また、他の第1の収容具10’の窓部に対して、一の第1の収容具10の窓部を形成した切抜片からなる第2の収容具20を嵌め込むことにより、図6に示す物品収容具1’とは異なる組み合わせの物品収容具1’’が得られる。
【0030】
このように、図7に示す物品収容具の製造方法によれば、第1の収容具10,10’と第2の収容具20,20’との組み合わせパターンが異なる複数の物品収容具1’,1’’を、廃棄ロスが生じることなく容易に製造することができる。第1の収容具および第2の収容具は、それぞれ3つ以上製造して、種類が異なるもの同士を組み合わせて3つ以上の物品収容具を製造することもできる。
【0031】
図7に示すように複数の物品収容具1’,1’’を構成する場合、図8に示すように、皮革Lを、表側の銀面Gを有する層と、裏側の床面Sを有する層とに分割し、銀面Gからなる一対の基材11,12を使用して第1の収容具10および第2の収容具20を形成すると共に、床面Sからなる一対の基材11’,12’を使用して第1の収容具10’および第2の収容具20’を形成してもよい。この構成によれば、原材料となる天然皮革を有効に活用しつつ、質感が互いに異なる第1の収容具および第2の収容具を組み合わせた物品収容具を容易に製造することができる。第1の収容具10および第2の収容具20を構成する一対の基材11,12は、一方に銀面Gを使用し、他方に床面Sを使用してもよい。一対の基材11’,12’についても同様である。
【符号の説明】
【0032】
1 物品収容具
10 第1の収容具
11,12 基材
13 接合部
14,15 窓部
20 第2の収容具
21,22 切抜片
23 接合部
30 台材
31 メッセージ表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8