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特開2022-94928風力タービン発電機用の電機子および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094928
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】風力タービン発電機用の電機子および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20220620BHJP
   F03D 80/80 20160101ALI20220620BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20220620BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H02K7/18 A
F03D80/80
H02K15/02 A
H02K15/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186788
(22)【出願日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】20383091.4
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】フリオ・セサル・ウレスティ
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル・ルケ・クラビホ
【テーマコード(参考)】
3H178
5H607
5H615
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB41
3H178BB90
3H178CC25
3H178DD12X
5H607AA05
5H607BB02
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD04
5H607FF26
5H615AA05
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP12
5H615SS24
5H615SS46
(57)【要約】
【課題】風力タービンの発電機、例えば、永久磁石発電機用の電機子、ならびにそのような電機子、発電機、および風力タービンを動作させるための方法を提供する。
【解決手段】本開示は、風力タービン発電機用の電機子に関する。発電機は、永久磁石発電機であってもよい。本開示はさらに、そのような電機子、発電機、および風力タービンを動作させるための方法に関する。方法は、第1のスイッチを閉じることによって電機子巻線を部分的に短絡することと、風力タービンブレードに作用する風によって電機子巻線に電流を誘導することとを含むことができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の風力タービンブレード(120)を含むロータ(115)と、電機子(300)を含む発電機(162)とを備える風力タービン(160)を動作させるための方法(700、1100)であって、
前記電機子(300)は、3つ以上の巻線(310)を備え、3つ以上の電気位相(340)を提供するように構成され、第1の巻線(311)は、第1の電気位相(341)を提供するように構成され、第2の巻線(312)は、第2の電気位相(342)を提供するように構成され、前記第2の電気位相(342)および前記第1の電気位相(341)は、位相がずれており、前記方法(700、1100)は、
前記第1の巻線(311)の出力ワイヤ(330)と前記第2の巻線(312)の出力ワイヤ(330)との間の第1のスイッチ(321)を閉じることによって前記電機子巻線(310)を部分的に短絡すること(710)と、
前記風力タービンブレード(120)に作用する風によって前記電機子巻線(330)に電流を誘導すること(720)と
を含む、方法(700、1100)。
【請求項2】
前記電機子(300)は、前記電機子(300)の前記電気位相(340)のうちの2つの間の別の電気位相差(350)よりも低い前記電気位相(340)のうちの2つの間の電気位相差(355)を提供するように構成される、請求項1に記載の方法(700、1100)。
【請求項3】
前記第1の電気位相(341)および前記第2の電気位相(342)は、他の電気位相(340)のいずれかの間の任意の電気位相差よりも低い電気位相差(350)を有する、請求項2に記載の方法(700、1100)。
【請求項4】
前記電機子(300)は、2つ以上の巻線グループ(405、410)を備え、各グループ(405、410)は、それ自体の中性ワイヤ(380)を含み、前記方法(700、1100)は、すべての前記中性ワイヤ(380)が電気接点(500)にあることができるように、巻線の各グループ(405、410)の前記中性ワイヤ(380)間に1つまたは複数のスイッチ(320)を接続することをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法(700、1100)。
【請求項5】
複数の対の出力ワイヤ(330)を電気的に接続することをさらに含み、前記対の出力ワイヤ(330)によって提供される前記電気位相(340)の間の前記電気位相差(355)は、同じである、請求項4に記載の方法(700、1100)。
【請求項6】
前記3つ以上の巻線(310)の各々を通して短絡電流を循環させることをさらに含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法(700、1100)。
【請求項7】
3時間未満の間、前記電機子巻線(330)を通して短絡電流を循環させることをさらに含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法(700、1100)。
【請求項8】
短絡された前記出力ワイヤ(330)間の電流の通過を無効にすることをさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法(700、1100)。
【請求項9】
前記発電機(162)の動作を開始することをさらに含む、請求項8に記載の方法(700、1100)。
【請求項10】
風力タービン発電機(162)用の電機子(300)であって、
3つ以上の電気位相(340)を提供するように構成された3つ以上の巻線(311、312、313)であって、第1の巻線(311)は、第1の電気位相(341)を提供するように構成され、第2の巻線(312)は、第2の電気位相(342)を提供するように構成され、前記第1の電気位相(341)および前記第2の電気位相(342)は、位相がずれている3つ以上の巻線(311、312、313)と、
前記第1の巻線(311)の出力ワイヤ(330)と前記第2の巻線(312)の出力ワイヤ(330)を選択的に接続するように構成された第1のスイッチ(321)と
を備える、電機子(300)。
【請求項11】
前記第1の電気位相(341)および前記第2の電気位相(342)は、他の、特に任意の他の前記電気位相(340)の間の電気位相差(350、350’)よりも低い電気位相差(450)を有する、請求項10に記載の電機子(300)。
【請求項12】
異なる対の出力ワイヤ(330)間に電気接続(500)を提供するように構成された1つまたは複数のスイッチ(320)を備え、各電気接続(500)は、同じ電気位相差(350)を有する電気位相(340)を提供するように構成された対の出力ワイヤ(330)間に提供される、請求項10または11に記載の電機子(300)。
【請求項13】
前記電機子(300)は、六相電機子または九相電機子である、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の電機子(300)。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の電機子(300)を備える、風力タービン(160)用の発電機(162)。
【請求項15】
風力タービンタワー(170)と、前記タワー(170)の上部のナセル(161)と、前記ナセル(161)に装着された1つまたは複数の風力タービンブレード(120)を含むロータ(115)と、請求項14に記載の発電機(162)とを備える、風力タービン(160)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機械用の電機子に関する。より詳細には、本開示は、風力タービンの発電機、例えば、永久磁石発電機用の電機子、ならびにそのような電機子、発電機、および風力タービンを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、現代の風力タービンは、電気を送電網に供給するために使用されている。この種の風力タービンは、一般に、タワーと、タワー上に配置されたロータとを備える。典型的にはハブおよび複数のブレードを備えるロータは、ブレードへの風の影響下で回転するようになっている。回転は、通常、ロータシャフトを通して発電機に直接またはギアボックスを使用して伝達されるトルクを生成する。このようにして、発電機は、送電網に供給することができる電気を発生する。
【0003】
風力タービンハブは、ナセルの前部に回転可能に結合されてもよい。風力タービンハブは、ロータシャフトに接続することができ、次いでロータシャフトは、ナセルの内側のフレームに配置された1つまたは複数のロータシャフト軸受を使用してナセル内に回転可能に装着することができる。ナセルは、風力タービンタワーの上部に配置されたハウジングである。ナセルは、例えば、ギアボックス(存在する場合)および任意選択的に発電機、ならびに風力タービンに応じて、電力変換器、および補助システムなどのさらなる構成要素を収容および保護することができる。
【0004】
風力タービンの発電機は、磁場発生器および電機子を有することができ、磁場発生器は、磁場を生成するように構成され、電機子は、回転中の変動磁場の影響によりその巻線に誘導される電流を伝導するように構成される。
【0005】
発電機は、発電機の信頼性および耐用年数を高めるのに役立ち得る絶縁体を含むことができる。絶縁体は、例えば、熱および電圧スパイク保護を提供することができる。絶縁体は、例えば、発電機の電機子のコイル間に載置されてもよい。
【0006】
何らかの理由で風力タービン発電機が停止すると、発電機の絶縁体が濡れたり湿ったりすることがある。例えば、グリッド停止期間中、発電機内の湿度の量は制御されない可能性があり、特に風力タービンが沖合風力タービンである場合、結露または吸湿が発生する可能性がある。絶縁体内の結露は、地面に対する追跡面を形成する可能性があり、これは、発電機を再始動する前に絶縁体が乾燥しない場合、地絡を引き起こす場合がある。絶縁体による吸湿により、蒸気膨張により絶縁体が剥離し、長期的には絶縁体が劣化するおそれがある。また、吸水は、絶縁体の誘電特性を著しく減少させる可能性がある。これにより、絶縁体を乾燥させることなく再び発電機を初期化する際、電気的破壊が生じる場合がある。
【0007】
そのため、発電機を安全に再始動するためには、絶縁体内の湿度を避けることが重要である。場合によっては、発電機の絶縁体を最初に乾燥させる必要があり得る。例えば、発電機を再始動するために絶縁体が適合しているかどうかをチェックするために手動検査を実施することは、陸上風力タービンで行われることが知られている。これは面倒な作業であり、さらに、同様の検査は、アクセス性の制限のために沖合風力タービンではかなり困難であり得る。そのような場合、絶縁体が乾燥し、発電機が安全に再始動され得ることを確実にするための可能な方法は、特定の期間中に電機子を通して温風を吹き付けることである。そのような期間は、例えば8~24時間であり得る。これは、加熱および乾燥が行われるまで、風力タービンの動作を遅らせる必要があり得ることを意味する。
【0008】
別の選択肢は、電流を発電機の巻線に提供し、したがって熱損失により露点より上の絶縁体を加熱するために、低電圧で風力タービンの電力変換器を使用することであり得る。しかし、この選択肢は、電力変換器が存在し、完全に動作可能である場合にのみ可能であり得、これは設置またはメンテナンス中には当てはまらない可能性がある。加えて、発電機絶縁体を乾燥させるために電力変換器を使用する前に、電力変換器の絶縁体を乾燥させることが必要な場合がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様では、風力タービンを動作させるための方法が提供される。風力タービンは、1つまたは複数の風力タービンブレードを含むロータと、電機子を含む発電機とを備える。電機子は、3つ以上の巻線を備え、3つ以上の電気位相を提供するように構成される。第1の巻線は、第1の電気位相を提供するように構成され、第2の巻線は、第2の電気位相を提供するように構成され、第2の電気位相および第1の電気位相は、電気位相がずれている。方法は、第1の巻線の出力ワイヤと第2の巻線の出力ワイヤとの間の第1のスイッチを閉じることによって電機子巻線を部分的に短絡することを含む。方法は、風力タービンブレードに作用する風によって電機子巻線に電流を誘導することをさらに含む。
【0010】
この態様によれば、少なくとも第1のスイッチが存在することで、電機子が部分的に短絡し得る。したがって、発電機絶縁体は、風力タービンブレードの移動および発電機ロータの対応する回転に起因して部分的に短絡された電機子巻線に誘導される電流によって加熱され得る。すなわち、電力変換器を使用する必要なく、発電機絶縁体を乾燥させることができる。
【0011】
特に、例えば、発電機電機子の巻線の3つの電気位相のうちの2つの間の部分短絡は、発電機電機子に誘導される電流を減少させ、したがって発電機ロータを回転させるために達成するのに必要であり得るトルクを減少させることができる。これは、生成される磁場の大きさが変動し得ず、電機子に誘導される電流が風力タービンブレードの周りを流れる風およびその速度に依存し得る永久磁石発電機にとって特に有利であり得る。
【0012】
加えて、発電機絶縁体を加熱する時間は、発電機冷却システムによって温風が吹き付けられる場合と比較して大幅に短縮され得る。そのような時間は、例えば、1時間または2時間に短縮することができる。
【0013】
本開示を通して、巻線は、発電機電機子に含まれる導電体、例えば、ワイヤであることが理解されよう。巻線は、例えば、電機子歯の周りにターンを形成するように巻回されてもよい。ターンのグループは、コイルと呼ばれることがある。いくつかの例では、コイルは、1ターンのみを含むことができる。したがって、巻線は、1つまたは複数のコイルを備えることができる。例えば、巻線は、3つのコイルを備えてもよく、各コイルは、電機子歯の周りに巻回されてもよい。
【0014】
巻線は、出力ワイヤを含んでもよい。本明細書では、出力ワイヤは、巻線に誘導された電流を、例えば、風力タービンに含まれる場合には電力変換器に向かって、または送電網に向かって直接運ぶように構成されることが理解されよう。出力ワイヤは、対応する巻線と一体的に形成されてもよく、例えば、巻線の端部は、出力ワイヤであってもよく、または巻線に接続された別個の要素として提供されてもよい。
【0015】
変化する磁場、例えば、永久磁石を含むロータの回転によって引き起こされる回転磁場は、電機子巻線に交流電圧(したがって交流電流も)を誘導し得る。本開示を通して、電気位相は、巻線に誘導される交流電圧であってもよいことが理解されよう。このような電圧は、正弦波形を有してもよい。したがって、電機子が例えば3つの巻線を有する場合、各巻線は、変動磁場の存在下で電気位相を提供することができる。
【0016】
したがって、本開示を通して電気位相を提供する巻線への言及は、交流電圧が変動磁場によって巻線(例えば、巻線の1つまたは複数のコイルにおいて)に誘導されるという事実を指し得る。
【0017】
2つの電気位相は、それらの間に電気位相差を有し得る。本明細書では、電気位相差は、2つの電気位相の間の角度差として理解することができる。2つの電気位相の間の電気位相差が0であるとき、2つの電気位相は同相であると言える。2つの電気位相の間の電気位相差が0でないとき(または360°の倍数、すなわち、n・360°であり、n=1、2、3、…)、2つの電気位相は位相がずれていると言える。三相電機子、すなわち、3つの巻線を有し、各巻線が電気位相を提供する電機子では、3つの電気位相のうちのいずれか2つの間の電気位相差は、例えば120°であり得る。
【0018】
本開示を通して、短絡は、低抵抗の電気接続を提供するものとして理解することができる。例えば、2つの巻線を、ワイヤまたはスイッチなどを通して電気的に接続することによって短絡することができる。したがって、短絡後、すなわち、新しい電気経路を形成した後、電流はそのような電気経路を通って進行することができる。
【0019】
本明細書では、スイッチは、電気回路内の導電路を電気的に接続または切断することができる任意の電気素子を指すことができることが理解されよう。スイッチは、電流が、スイッチが接続されている(例えば、取り付けられている)ワイヤ間を通過することを選択的に可能にすることができる。スイッチは、電流が進行することができる1つまたは複数の電気接続を提供することができる。
【0020】
「電流(current)」および「電流(currents)」という用語は、本開示を通して互換的に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】風力タービンの一例の斜視図である。
図2図1の風力タービンのナセルの一例の簡略化された内部図である。
図3A】発電機電機子の一例を概略的に示す図である。
図3B】一例による、図3Aの電機子が提供することができる電気位相出力を概略的に表す図である。
図4】ロータの速度の関数として図3Aの電機子に誘導され得る短絡電流の一例を示す図である。
図5図4の例の回転速度および誘導電流を達成するために必要であり得るトルクの一例を示す図である。
図6図5のトルク値に達するために必要とされ得る風速の一例を示す図である。
図7】風力タービンを動作させるための方法のフローチャートである。
図8】本発明による発電機電機子の一例を概略的に示す図である。
図9】一例による、図8の電機子が提供することができる電気位相出力を概略的に表す図である。
図10A】本発明による発電機電機子の別の例を概略的に示す図である。
図10B】一例による、図10Aの電機子が提供することができる電気位相出力を概略的に表す図である。
図11】風力タービンの発電機の絶縁体を加熱するための方法のフローチャートである。
図12】ロータ回転速度の関数として図10Aの例の巻線に循環することができる短絡電流の一例を示し、図4の短絡電流と比較している図である。
図13図12に示す電流値に達するために必要であり得るロータ速度の関数としてのトルクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本発明を説明するものとして提示されており、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変更が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるそのような修正および変更を包含することを意図している。
【0023】
風力タービンの発電機用の電機子モジュールおよび電機子の例が特に示されているが、同じ電機子モジュールおよび電機子を他の電気機械および/または他の用途にも使用することができる。
【0024】
図1は、風力タービン160の一例の斜視図を示している。図示するように、風力タービン160は、支持面150から延びるタワー170と、タワー170に装着されたナセル161と、ナセル161に結合されたロータ115とを含む。ロータ115は、回転可能なハブ110と、ハブ110に結合され、ハブ110から外側に延びる少なくとも1つのロータブレード120とを含む。例えば、図示の実施形態では、ロータ115は、3つのロータブレード120を含む。しかし、代替の実施形態では、ロータ115は、3つよりも多いまたは少ない数のロータブレード120を含んでもよい。各ロータブレード120は、ロータ115の回転を容易にし、風から運動エネルギーが使用可能な機械的エネルギー、続いて電気エネルギーに変換され得るように、ハブ110の周りに間隔を置いて配置され得る。いくつかの例では、ハブ110は、ナセル161内に位置決めされた発電機162(図2)に回転可能に結合され、電気エネルギーの発生を可能にし得る。
【0025】
図2は、図1の風力タービン160のナセル161の一例の簡略化された内部図を示している。この例に図示するように、発電機162は、ナセル161内に配置されてもよい。一般に、発電機162は、ロータ115によって生成された回転エネルギーから電力を生成するために、風力タービン160のロータ115に結合され得る。例えば、ロータ115は、ハブ110と共に回転するためにハブ110に結合された主ロータシャフト163を含むことができる。次に、発電機162は、ロータシャフト163の回転が発電機162を駆動するように、ロータシャフト163に結合され得る。例えば、図示の実施形態では、発電機162は、ギアボックス164を通してロータシャフト163に回転可能に結合された発電機シャフト166を含む。
【0026】
この例では、ロータシャフト163、ギアボックス164、および発電機162は、風力タービンタワー170の頂部に位置決めされた支持フレームまたはベッドプレート165によってナセル161内に支持され得る。
【0027】
ナセル161は、ナセル161がヨー軸YAの周りを回転することができるように、ヨーシステム20によってタワー170に回転可能に結合されてもよい。ヨーシステム20は、他方に対して回転するように構成された2つの軸受構成要素を有するヨー軸受を備える。タワー170が軸受構成要素の一方に結合され、ナセル161のベッドプレートまたは支持フレーム165が他方の軸受構成要素に結合される。ヨーシステム20は、環状ギア21と、モータ23を有する複数のヨー駆動装置22と、ギアボックス24と、軸受構成要素の一方を他方に対して回転させるように環状ギア21と噛み合うためのピニオン25とを備える。
【0028】
いくつかの他の例では、発電機162は、ナセル161内になくてもよい。例えば、発電機162は、直接駆動風力タービンにおいてロータ115とナセル161との間に配置することができる。
【0029】
ブレード120は、ブレード120とハブ110との間にピッチ軸受100を介してハブ110に結合される。ピッチ軸受100は、内側リングと、外側リングとを備える。風力タービンブレードは、内側軸受リングまたは外側軸受リングのいずれかに取り付けることができ、ハブは他方に接続される。ブレード120は、ピッチシステム107が作動されると、ハブ110に対して相対回転運動を行うことができる。したがって、内側軸受リングは、外側軸受リングに対して回転運動を行うことができる。図2のピッチシステム107は、風力タービンブレードをピッチ軸PAの周りで回転させるために内側軸受リングに設けられた環状ギア109と噛み合うピニオン108を備える。
【0030】
例えば、停止した後に発電機162を安全に始動するために、発電機絶縁体を乾燥させることが必要な場合がある。この目的に適した装置および方法が、本明細書に開示される。
【0031】
その全体が短絡され得る、すなわち、すべての電機子巻線の間に電気接続を提供することによって短絡され得る電機子300の一例が、図3Aに示されている。この例では、電機子300は、三相電機子(すなわち、3つの電気位相を提供するように構成された電機子)であり、並列に接続された3つの巻線310を備える。他の例では、巻線は、直列に接続されてもよい。これらの状況は両方とも、図3Aに表されていると見なされるべきである。
【0032】
各巻線310は、出力ワイヤ330を有する。巻線310に誘導された電流は、出力ワイヤ330を通して、風力タービンに含まれる場合には電力変換器に向かって、または送電網に向かって直接伝導されてもよい。電機子300は、この例では星型、Y字状回路、またはY型の構成で接続されている。
【0033】
各巻線310は、3つ以上の電気位相340を提供するように構成されてもよい。例えば、図3Bに示されるように、第1の巻線311は、第1の電気位相341を提供するように構成されてもよく、第2の巻線312は、第2の電気位相342を提供するように構成されてもよく、第3の巻線313は、第3の電気位相343を提供するように構成されてもよい。図3Bは、これらの電気位相340およびそれらの間の電気位相差350を概略的に表す。
【0034】
図3Bの例では、すべての電気位相340は、それらの間に実質的に同じ電気位相差350を有する。すなわち、各対の電気位相340間の電気位相差350は、実質的に同じである。したがって、電気位相差350は、図3Bでは120°である。
【0035】
変換器のような別個の駆動装置がない場合、電機子巻線310内の特定のレベルの電流に達するために、発電機ロータは、風力タービンブレード120上の風の作用によって特定の回転速度で回転する必要がある。同様に、十分な回転速度を達成するために、一定期間にわたって一定の風速を超えることが必要とされる。図4図6は、これを説明する例である。
【0036】
図4は、図3Aのもののような三相電機子全体が短絡されている、すなわち、3つの出力ワイヤ330が電気接点に置かれたときの風力タービン、例えば、永久磁石発電機を備える風力タービンのロータの速度の関数としての電機子巻線310を通って流れる短絡電流の発生の例示的な例を示す。巻線310の総短絡は、図3では370として示されている。この図に示すように、所与の磁場(ロータの永久磁石構成によって決定される)に対して、ロータの回転速度が高いほど、短絡巻線における誘導電流は高くなり得る。
【0037】
短絡電流は、本明細書では、1つまたは複数のスイッチ320によって提供される電気経路を通って(少なくとも)進行する電機子巻線に誘導される電流を指すことができ、経路は、発電機162の通常動作中には提供されない。また、本開示を通して、短絡は、以前には利用できなかった電気経路を可能にするそのような接続を提供することを指すことができる。例えば、スイッチを閉じることによって、1つまたは複数の電気経路または電気接続を提供することができる。
【0038】
図5は、図4の例の回転速度および誘導電流を達成するために必要であり得るトルクの例示的な例である。図5は、トルクが回転速度と共に急速に増加し得ること、および一般に、例えば、0.4~0.6pu(基準値としての公称トルクに関する単位値当たり)の高いトルク値が、例えば、0.1または0.2rpmにおけるロータの非常に低い回転速度で既に達し得ることを示す。
【0039】
図6の例に示すように、短絡された電機子巻線310に電流を誘導するために十分な速度でロータを回転させるのに必要なトルクを得るために、かなり高い風速が必要とされ得る。例えば、0.4~0.6puのトルクを提供するために、7~9m/sの風速が必要とされ得る。これは、風力タービンを起動する前に、一般的な風速が、固定子に電流を誘導し、巻線および周囲の絶縁体を加熱するのに十分な期間にわたってこのレベルを上回る必要があることを意味する。これは、所与の瞬間において、風力タービンが安全に起動することができない可能性があること、または起動を数時間、数日、または数週間遅らせる必要がある可能性があることを意味し得る。
【0040】
しかし、電機子巻線310を部分的に短絡すると、所与の回転速度に対して巻線310に誘導される電流が少なくなる可能性がある。同様に、そのようなロータ速度でロータを回転させるためには、より少ないトルク、したがってより少ない風速が必要であり得る。したがって、中断後の風力タービンの起動に必要な時間は、短くなり得る。
【0041】
本開示を通して、部分短絡は、すべての電機子巻線が同時に電気接点に置かれるわけではないように、巻線の間の1つまたは複数の電気経路を可能にすることを指すことができる。一例では、電機子は、3つの巻線を含むことができ、巻線のうちの2つの間に電気接続を提供することによって部分的に短絡することができる。
【0042】
別の例では、電機子は、6つの巻線、例えば、巻線1~6を含むことができる。6つの巻線は、3対の巻線、例えば、巻線1および2を含む対1、巻線3および4を含む対2、ならびに巻線5および6を含む対3と考えることができる。そのような電機子は、例えば、一対の巻線ごとに1つ、すなわち、巻線1と2との間に1つ、巻線3と4との間に1つ、および巻線5と6との間に1つの3つの電気接続を提供することによって部分的に短絡されてもよい。したがって、すべての巻線が実際に短絡する可能性があるが、図3Aのようにすべての巻線が電気接点に置かれているわけではないため、電機子(または電機子巻線)は依然として部分的に短絡し得、完全に短絡することはできない。
【0043】
したがって、本発明の一態様では、風力タービン、例えば、図1の風力タービン160を動作させるための方法700を提供することができる。図7は、そのような方法のフローチャートを示す。風力タービン160は、1つまたは複数の風力タービンブレード120を含むロータ115と、電機子300を含む発電機162とを備える。
【0044】
電機子300は、3つ以上の巻線310を備え、3つ以上の電気位相340を提供するように構成され、第1の巻線311は、第1の電気位相341を提供するように構成され、第2の巻線312は、第2の電気位相342を提供するように構成され、第2の電気位相342および第1の電気位相341は、位相がずれている。
【0045】
方法は、ブロック710において、第1の巻線311の出力ワイヤ331と第2の巻線312の出力ワイヤ332との間の第1のスイッチ321を閉じることによって電機子巻線310を部分的に短絡することを含む。すなわち、第1のスイッチ321は、第1の巻線311の出力ワイヤ331と第2の巻線312の出力ワイヤ332との間の電気接続を提供する。
【0046】
出力ワイヤ330は、いくつかの例では、対応する巻線310と一体的に形成されてもよい。他の例では、出力ワイヤ330および巻線310は、互いに接続された、例えば、物理的に接続された別個の要素として提供されてもよい。
【0047】
そのような電機子300の一例は、図8に見ることができる。図8の電機子は、図3Aの三相電機子に対応することができるが、スイッチ320が出力ワイヤ331と332との間に接続されている。したがってこの図では、スイッチ320は、ワイヤ331と332との間の電気接続を可能にすることができ、むしろ図3Aのように3つの出力ワイヤ331、332、333すべての間の電気接続を可能にすることができる。
【0048】
スイッチ320、例えば、第1のスイッチ321は、電流が、スイッチが接続されている(例えば、取り付けられている)ワイヤ間を通過することを可能にするのに適した任意の電気素子であってもよい。
【0049】
方法は、ブロック720において、風力タービンブレード120に作用する風によって電機子巻線310に電流を誘導することをさらに含む。
【0050】
このように電機子300を部分的に短絡することにより、迅速かつ効率的な発電機絶縁体の乾燥を容易にすることができる。これは、発電機絶縁体が電力変換器なしで、かつ高い風速なしで加熱され得るという事実に起因する。特に、例えば、絶縁体を乾燥させるために温風が吹き付けられる場合と比較して、加温時間を短縮することができる。いくつかの例では、発電機162を始動する前に、1時間または2時間の加温期間で十分であり得る。固定子巻線310に誘導される磁場は永久磁石発電機において変動し得ないので、この方法は、そのような発電機にとって特に有利であり得る。
【0051】
したがって、図3Aに示すように、発電機電機子300の巻線310を完全に短絡する代わりに、例えば、図8に示されるように、それらを部分的に短絡することができる。
【0052】
いくつかの例では、方法は、1つまたは複数のスイッチ320を提供することと、第1の電機子巻線311の出力ワイヤ331と第2の電機子巻線312の出力ワイヤ332との間に第1のスイッチ321を接続することとをさらに含んでもよい。
【0053】
上述したように、発電機電機子300は、すべての電気位相差350が実質的に同じである電気位相出力を提供するように構成することができる。しかし、いくつかの他の例では、電機子300は、電機子の別の電気位相差350よりも低い電気位相340のうちの2つの間の電気位相差355を提供するように構成されてもよい。
【0054】
これらの例のいくつかでは、図9の電気位相出力360に表されるように、電機子は、電機子が提供するように構成される他の電気位相差のいずれよりも低い電気位相差を提供するように構成されてもよい。この図に見られるように、異なる巻線の間の2つの電気位相差は別々である。いくつかの他の例では、巻線の間の3つ以上の電気位相差が異なっていてもよい。電気位相差350は、異なる電気位相340を提供する巻線310に含まれるコイル間の距離(方位角に関して)を調整することによって構成することができる。
【0055】
いくつかの例では、第1の電気位相341および第2の電気位相342は、任意の他の電気位相の間の電気位相差よりも低い電気位相差355を有してもよい。
【0056】
電気位相340の数および電気位相差350の値に応じて、他のまたは任意の他の出力ワイヤ330よりも低い電気位相差を提供するように構成された出力ワイヤ330を接続するための複数の選択肢があり得る。
【0057】
例えば、図9では、電気位相340間に明確に識別された最も低い電気位相差355がある。本明細書では、「最も低い」は、電気位相差355が他の電気位相差350よりも低いという事実を指す。したがって、いくつかの例では、電機子は、最も低い電気位相差355を提供するように構成されてもよいと言える。この最も低い電気位相差355は、例えば80°であってもよく、他の2つの電気位相差350は、例えば140°であってもよい。
【0058】
しかし、別の三相の例では、一方の電気位相差は、例えば、180°であってもよく、最も低い電気位相差355は、例えば、90°であってもよい。すなわち、複数の最も低い電気位相差355が可能である。この例では、スイッチ320は、90°の電気位相差のいずれかを提供する2つの出力ワイヤ間に接続することができる。あるいは、スイッチ320は、3つの出力ワイヤ330間に接続されてもよいが、ある時点において、90°の電気位相差355を提供する一方の対のワイヤ間、または90°の電気位相差355を提供する他方の対のワイヤ間に電気接続が提供されてもよい。
【0059】
最も低い電気位相差355を提供するように構成された巻線310間の短絡は、ロータが風力タービンブレード120への風の作用によって回転するときに誘導電流を再び減少させることができる。したがって、特に発電機巻線310のすべての出力ワイヤ330が図3Aのように短絡されているかどうかの場合と比較して、発電機絶縁体の加熱を効率的に実施することができる。
【0060】
いくつかの例では、図10Aに関して以下でさらに説明するように、3つ以上の巻線310は、例えば、3つの巻線からなる巻線のグループ405、410に配置されてもよい。これらの例のいくつかでは、各グループ405、410は、それ自体の中性ワイヤ380に接続されてもよい。いくつかの他の例では、各グループ405、410は、同じ中性ワイヤ380に接続されてもよく、すなわち、巻線グループ405、410の数に等しい数の中性ワイヤ380の代わりに、唯一の中性ワイヤ380が存在してもよい。
【0061】
電機子が2つ以上の巻線グループ405、410を備えることができ、各グループがそれ自体の中性ワイヤ380を含むいくつかの例では、方法は、すべての中性ワイヤ380が電気接点にあることができるように、巻線の各グループ405、410の中性ワイヤ380間に1つまたは複数のスイッチ320を接続することをさらに含むことができる。このようなスイッチ320は、巻線310の出力ワイヤ330を電気接点に置くことができるスイッチと区別するために、本明細書では中性スイッチ322と呼ぶことができる。これらの例のいくつかでは、電機子300は、六相電機子(すなわち、6つの電気位相を提供するように構成された電機子)であってもよく、例えば、図10Bに関して説明されるように、電機子の他の電気位相差よりも低い電気位相差が存在するように構成されてもよい。
【0062】
いくつかの例では、方法は、複数の対の出力ワイヤ330を電気的に接続すること(500)をさらに含むことができ、対の出力ワイヤ330によって提供される電気位相340間の電気位相差355は、同じである。本明細書では、「同じである」は、電気位相差が、他の電気位相の間の電気位相差よりも低い電気位相差355と同じであるという事実を指す。他の、例えば、任意の他の電気位相差よりも低い電気位相差355を提供するように構成された対の出力ワイヤ330の一部またはすべての出力ワイヤ330は、電気的に接続されてもよい(500)。
【0063】
例えば、図10Aでは、ワイヤ331および331’を含む第1の対、ワイヤ332および332’を含む第2の対、ならびにワイヤ333および333’を含む第3の対の3対の出力ワイヤを提供することができる。これらの対の出力ワイヤ330の各々は、最も低い電気差355を提供するように構成することができる。したがって、いくつかの例では、これらの対のうちの1つまたは複数の出力ワイヤ330は、電気的に接続されてもよい(500)。一例では、ワイヤ331および331’(または332および332’、または333および333’)を電気接点500に置くことができる。別の例では、ワイヤ331は、ワイヤ331’と電気的に接続されてもよく、ワイヤ332は、ワイヤ332’と電気的に接続されてもよく、ワイヤ333は、ワイヤ333’と電気的に接続されてもよい。
【0064】
したがって、方法は、電機子300が提供するように構成される可能な最も低い利用可能な電気位相差355の数に等しい数の電気接続500を提供することを含むことができる。このように短絡電流の後の循環を可能にすることは、電流がすべての巻線310を進行することができるため、均一かつ迅速な発電機絶縁体の加熱を容易にすることができる。さらに、短絡は部分的であり得るため(すべての出力ワイヤ330が図3Aのようにそれらの間で電気的に接続されるわけではないため)、必要なロータ回転速度および風力タービンブレード120に作用する風速は、例えば、すべての出力ワイヤ330を図3Aなどのように電気接点に置くことができる短絡状況全体と比較して減少され得る。
【0065】
いくつかの例では、方法は、最初に1つまたは複数の電気接続500を提供し、後で1つまたは複数の電気接続500を提供することを含むことができる。このようにして、短絡電流を使用して、最初に電機子巻線の一部を加熱し、次に電機子巻線の別の部分を加熱することができる。いくつかの例では、一部を2回以上加熱してもよい。一例では、出力ワイヤ331および331’、ならびに出力ワイヤ332および332’は、最初に電気接点500に置かれ(図10A参照)、その後に短絡電流がそれらを通過することができる。後に、出力ワイヤ331と331’との間の電気接続を停止することができ、出力ワイヤ333および333’を電気接点500に置くことができる(図10A参照)。したがって、短絡電流は、その後にワイヤ332および332’ならびにワイヤ333および333’を通過することができる。
【0066】
一般に、どの電気接続500を、いつ、どのくらいの期間実施するかを調整することができる。いずれの場合も、短絡電流が電気接点500に置かれたワイヤを通って流れ、発電機絶縁体を加熱することができる。
【0067】
いくつかの例では、短絡電流は、3つ以上、すなわち、すべての巻線310の各々を通って循環されてもよい。例えば、スイッチ320内の3つの電気接続500が図10Aに提供される場合、短絡電流は、例えば、実質的に同じ期間中にワイヤ331および331’を通って、ワイヤ332および332’を通って、ならびにワイヤ333および333’を通って流れることができる。いくつかの他の例では、スイッチ320内の対応する電気接続500が、ワイヤ332と332’との間およびワイヤ333と333’との間ではなく、ワイヤ331および331’間の電流通過を可能にする場合、短絡電流は、ワイヤ331および331’を通って流れることができる。
【0068】
いくつかの例では、方法は、3時間未満、好ましくは2時間未満の間、電機子巻線310を通して短絡電流を循環させることをさらに含んでもよい。
【0069】
いくつかの例では、方法は、短絡された出力ワイヤ330間の電流の通過を無効にすることをさらに含むことができる。いくつかの例では、発電機巻線310の出力ワイヤ330間に接続されたスイッチ320を非アクティブ化することができ、すなわち、スイッチ320が提供することができるすべての電気接続を中断することができる。スイッチ322が2つのグループの巻線310の中性ワイヤ380間に接続される場合、発電機162の始動前にこのスイッチ322を無効にする必要はない。
【0070】
いくつかの例では、方法は、発電機162を始動することをさらに含むことができる。例えば、1つまたは複数のスイッチ320を含む電機子巻線310に電流が流れ始めてから一定時間が経過すると、発電機162を再び送電網に接続することができる。
【0071】
本発明のさらなる態様では、風力タービン160の発電機162の絶縁体を加熱するための方法1100が図11に提供される。風力タービンは、1つまたは複数の風力タービンブレード120を含むロータ115と、電機子300を含む発電機162とを備える。
【0072】
方法は、ブロック1110において、電機子300の第1の出力ワイヤ331を電機子300の第2の出力ワイヤ332と電気的に接続することを含み、電機子300は、3つ以上の巻線310を備え、各巻線310は、出力ワイヤ330を有し、電機子の出力ワイヤ間の電気位相差350は、すべて同じではない。すなわち、電機子310は、電機子310が提供するように構成される他の電気位相差よりも低い電気位相差355を提供するように構成される。
【0073】
電機子300は、例えば、図8または図10Aの電機子であってもよい。
【0074】
いくつかの例では、電機子巻線310は、星型またはY字状回路の構成で接続されてもよい。
【0075】
いくつかの例では、電機子300は、六相電機子(すなわち、6つの電気位相を提供するように構成された電機子)または九相電機子(すなわち、9つの電気位相を提供するように構成された電機子)であってもよい。これらの例のいくつかでは、6つの巻線310は、同じ中性ワイヤ380に接続されてもよい。これらの例のいくつかの他の例では、6つの巻線310は、2つのグループ405、410にグループ化することができ、各グループ405、410は、3つの巻線310を備え、それ自体の中性ワイヤ380に接続される。これらの例では、方法は、例えば、巻線310の各グループ405、410の中性ワイヤ380間に中性スイッチ322を接続することによって、電気接続500を提供することをさらに含むことができる。
【0076】
いくつかの例では、第1の出力ワイヤ331および第2の出力ワイヤ332は、(それぞれ)第1の電気位相341および第2の電気位相342を提供してもよく、第1の電気位相341および第2の電気位相342は、それらの間に、他の、特に任意の他の電気位相340間の電気位相差350よりも低い電気位相差355を有する。
【0077】
いくつかの例では、方法は、他の、例えば、任意の他の電気位相差350よりも低い電気位相差355を提供するように構成されたすべての対の出力ワイヤ330の出力ワイヤ間に電気接続500を提供することをさらに含むことができる。図10Aに関する説明は、本明細書に適用され得る。
【0078】
方法は、ブロック1120において、少なくとも電気的に接続された第1の出力ワイヤ331および第2の出力ワイヤ332に電流を誘導するために、風がロータ115を回転させることを可能にすることを含む。
【0079】
いくつかの例では、電機子300のすべての巻線310に(部分的な)短絡電流を誘導することができる。いくつかの例では、短絡電流は、同じ期間にわたって電機子300のすべての巻線310に循環されてもよい。これらの例のいくつかでは、電流を3時間未満循環させることができる。
【0080】
本明細書に記載の2つの方法700、1100は組み合わされてもよく、すなわち、方法は、他の方法からの特徴を含んでもよい。例えば、方法1100(図11)は、方法700(図7)に関して説明した特徴を含むことができる。これらの方法はいずれも、後述する電機子300に使用されてもよい。
【0081】
本発明のさらなる態様では、発電機用の電機子300が提供される。発電機は、風力タービン160の発電機162であってもよく、特に永久磁石発電機であってもよい。電機子300は、図8および図10Aに関して説明した電機子300のいずれかであってもよい。
【0082】
図8に示すように、電機子300は、異なる電気位相340を有する3つ以上の出力を提供するように構成された3つ以上の巻線310を備え、第1の巻線は、第1の電気位相341を提供するように構成され、第2の巻線は、第2の電気位相342を提供するように構成され、第1の電気位相および第2の電気位相は、位相がずれている。
【0083】
電機子300は、第1の巻線311の出力ワイヤ331と第2の巻線312の出力ワイヤ332を選択的に(電気的に)接続するように構成された第1のスイッチ321をさらに備える。第1のスイッチ321、または一般に任意のスイッチ320は、1つまたは複数の電気接続500を提供してもよい。
【0084】
このように接続された少なくとも1つのスイッチ320を有する電機子300を有することにより、電力変換器を使用する必要なく、発電機ロータを回転させることによって電機子巻線310を部分的に短絡し、発電機絶縁体を加熱することが可能であり得る。これはまた、風が風力タービンブレード120上を流れる必要があり得る速度を減少させることもできる。
【0085】
電機子300は、いくつかの例では、六相電機子(すなわち、6つの電気位相を提供するように構成された電機子)または九相電気位相電機子(すなわち、9つの電気位相を提供するように構成された電機子)であってもよい。
【0086】
上記の第1の方法(方法700)に関して述べたように、いくつかの例では、電機子300は、電機子の他の電気位相差よりも低い電気位相差355を提供するように構成されてもよい。これらの例のいくつかでは、第1の電気位相341および第2の電気位相342は、他の、特に任意の他の電気位相340間の電気位相差350よりも低い電気位相差355を有してもよい。電機子300は、最も低い電気位相差355である第1の電気位相341と第2の電気位相342との間の電気位相差350、すなわち、任意の他の電気位相340間の電気位相差350よりも低い電気位相差355を提供するように構成することができる。
【0087】
これらの例のいくつかでは、電機子300は、異なる対の出力ワイヤ330間に電気接続500を提供するように構成された1つまたは複数のスイッチ320を備えることができ、各電気接続500は、対の出力ワイヤ330間に提供され、各電気接続500は、図10Aを参照して説明したように、同じ電気位相差350、すなわち、他の、例えば、任意の他の電気位相340間の電気位相差350よりも低い電気位相差355を有する電気位相340を提供するように構成された対の出力ワイヤ330間に提供される。
【0088】
また、図8に示されるように、いくつかの例では、電機子巻線310は、星型の構成で接続されてもよい。例えば、図8のようなこれらの例のいくつかでは、3つ以上の巻線310は、同じ中性ワイヤ380に接続されてもよい。
【0089】
いくつかの他の例では、3つ以上の巻線310は、例えば、3つの巻線からなる巻線のグループに配置されてもよく、各グループ405、410は、それ自体の中性ワイヤ380に接続されてもよい。これらの例のいくつかでは、中性ワイヤ380を選択的に(電気的に)接続するために、グループの中性ワイヤ380間に1つまたは複数のスイッチ320(中性スイッチ322)を接続することができる。
【0090】
この点に関する一例は、図10Aに見ることができる。図10Aは、三相巻線の2つのグループ405、410に配置された6つの巻線310を備える六相電機子300を概略的に表す。各グループ405、410は、それ自体の中性ワイヤ380に接続され、スイッチ320(中性スイッチ322)は、2つの中性ワイヤ380を接続する。いくつかの他の例では、巻線310のグループは、同じ中性ワイヤ380に接続されてもよく、中性ワイヤ380を接続するスイッチ320、322は、必要でなくてもよい。
【0091】
図10Aでは、スイッチ320は、巻線310の出力330間の電気接続500を可能にすることができる。特に、巻線310の出力330を接続するスイッチ320は、第1のスイッチ321であってもよい。第1のスイッチ321は、どの出力ワイヤ330がいつ電気接点500に置かれるかを調節してもよい。
【0092】
出力ワイヤ331、332、333、331’、332’、333’の各々は、電気位相340を提供することができる。いくつかの例では、電気位相出力は、電気位相差355が他の電気位相角よりも低くなるようなものであってもよい。図10Bは、図10Aの電機子巻線310によって提供されるそのような電気位相出力360の一例を概略的に表すことができる。この例では、巻線の各グループ405、410は、実質的に等しい位相差を有する三相電気位相出力490、490’を提供する。これらの三相電気位相出力490のうちの一方、例えば、グループ405によって提供される電気位相出力は、連続線341、342、343で示され、他方の三相電気位相出力490’、例えば、グループ410によって提供される電気位相出力は、一点鎖線341’、342’、343’で示される。2つの三相電気位相出力490、490’は、この例では他の電気位相差のいずれよりも低い電気位相差450によって分離される。すなわち、電気位相差450は、この例では最も低い電気位相差355である。
【0093】
したがって、図10Aの出力ワイヤを接続するスイッチ320は、他の電気位相差よりも低い電気位相差355を提供するように構成された出力ワイヤ間の電気接続500を提供するように構成することができる。例えば、出力ワイヤ331、332、333、331’、332’、333’がそれぞれ電気位相341、342、343、341’、342’、343’を提供する場合、第1のスイッチ321は、図10Aに示すように、ワイヤ331と331’、ワイヤ332と332’、333と333’との間の電気接続500を可能にすることができる。したがって、電機子300が提供するように構成することができる他の電気位相角350のいずれよりも低い可能な電気位相差355の数に等しい数の電気接続500は、第1のスイッチ321によって提供または有効化することができる。
【0094】
いくつかの他の例では、巻線310の出力ワイヤ間のすべての電気接続500を提供するための1つのスイッチ321を有する代わりに、複数のスイッチ320を提供することができる。例えば、1つの電気接続500を可能にするために、1つのスイッチが提供されてもよい。すなわち、一例では、3つの接続500の各々を提供するために、図10Aに3つのスイッチ320を含めることができる。
【0095】
図12は、最も低い電気位相を提供する出力ワイヤ、例えば、331と331’、332と332’、333と333’が接点に置かれるとき、図10Aのものなどの六相電機子300の巻線310を通って循環することができる短絡電流の一例を示す(下の曲線)。この曲線は、三相電機子全体が短絡されている場合の図4に示す短絡電流と比較される。
【0096】
図13は、図12に図示する電流に達するのに必要なトルクをロータの回転速度の関数としてプロットしたグラフを示す(下の曲線)。この曲線は、三相電機子全体が短絡されている場合の図4に示すトルクと比較される。分かるように、本明細書に開示された例を用いることによって、必要なトルクを大幅に減少することができる。したがって、そのようなトルク値を生成するために必要であり得る風力タービンブレード120の周りの風速は、図6に示すものよりも小さくてもよく、1つまたは複数のスイッチ320を有する電機子および本開示を通して説明される方法は、発電機巻線310の短絡全体が電流を誘導することができない風速では電力変換器を必要とせずに効率的な発電機絶縁体を提供することができる。
【0097】
一般に、例えば、図8図10Bに関する説明による、本発明による電機子300を組み立てるための任意のステップは、本明細書に記載の方法のいずれかに組み込むことができる。
【0098】
本発明による電機子300は、発電機162に含まれてもよい。したがって、本明細書に開示される電機子300を備える、例えば、風力タービン160用の発電機162を提供することができる。いくつかの例では、発電機162は、永久磁石発電機であってもよい。
【0099】
いくつかの例では、本発明による電機子300を含む発電機162は、風力タービン160に含まれてもよい。したがって、風力タービンタワー170と、タワー170の上部のナセル161と、ナセル161に装着された1つまたは複数の風力タービンブレード120を含むロータと、ナセル161の内側の本開示を通して説明した電機子300を含む発電機162とを備える風力タービン160を提供することができる。
【0100】
本明細書は、実施例を用いて、好ましい実施形態を含む本発明を開示し、また、当業者が、任意の装置またはシステムを作製し使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、本発明を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。当業者であれば、上述の種々の実施形態からの態様ならびに各々のそのような態様についての他の公知の均等物を混ぜ合わせて適合させることで、本出願の原理に従ったさらなる実施形態および技術を構築することができる。図面に関連する参照符号が特許請求の範囲の括弧内に配置されている場合、それらの参照符号は単に特許請求の範囲の明瞭性を高めるためのものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0101】
1 巻線
2 巻線
3 巻線
4 巻線
5 巻線
6 巻線
20 ヨーシステム
21 環状ギア
22 ヨー駆動装置
23 モータ
24 ギアボックス
25 ピニオン
100 ピッチ軸受
107 ピッチシステム
108 ピニオン
109 環状ギア
110 ハブ
115 ロータ
120 風力タービンブレード、ロータブレード
150 支持面
160 風力タービン
161 ナセル
162 発電機
163 主ロータシャフト
164 ギアボックス
165 支持フレーム、ベッドプレート
166 発電機シャフト
170 風力タービンタワー
300 発電機電機子、六相電機子
310 電機子巻線、発電機巻線、固定子巻線、電機子
311 第1の巻線、第1の電機子巻線
312 第2の巻線、第2の電機子巻線
313 第3の巻線
320 スイッチ
321 第1のスイッチ
322 中性スイッチ
330 出力ワイヤ、出力
331 第1の出力ワイヤ
331’ 出力ワイヤ
332 第2の出力ワイヤ
332’ 出力ワイヤ
333 出力ワイヤ
333’ 出力ワイヤ
340 電気位相
341 第1の電気位相、連続線
341’ 電気位相、一点鎖線
342 第2の電気位相、一点鎖線、連続線
342’ 電気位相、一点鎖線
343 第3の電気位相、電気位相、連続線
343’ 電気位相、一点鎖線
350 電気位相差、電気位相角
350’ 電気位相差
355 電気位相差、電気差
360 電気位相出力
370 巻線の総短絡
380 中性ワイヤ
405 巻線グループ
410 巻線グループ
450 電気位相差
490 三相電気位相出力
490’ 三相電気位相出力
500 電気接点、電気接続
700 方法
1100 方法
PA ピッチ軸
YA ヨー軸
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
【外国語明細書】