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特開2022-94946高飽和出力を有する半導体光増幅器の利得媒体構造
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  • 特開-高飽和出力を有する半導体光増幅器の利得媒体構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094946
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】高飽和出力を有する半導体光増幅器の利得媒体構造
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/50 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
H01S5/50 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201661
(22)【出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】17/122,583
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520078248
【氏名又は名称】マーベル アジア ピーティーイー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオグアン、ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ラダクリシュナン エル. ナカラジャン
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA42
5F173AF04
5F173AF18
5F173AF53
5F173AH12
5F173AJ45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高出力高温動作の半導体光増幅器の利得媒体構造を提供する。
【解決手段】高出力動作の半導体光増幅器の利得媒体は、n型ドーピングされた基板と、基板を覆って形成された下側クラッド層と、下側クラッド層を覆って形成された下側光閉じ込めスタックと、約-0.1%~-0.5%の引張歪みを有することを特徴とする複数のバリア層によってそれぞれ隔てられた、約0.8%~1.2%の圧縮歪みを有することを特徴とする複数の井戸層を有する多重量子井戸ヘテロ構造を備えた活性層と、を含む。活性層は、下側光閉じ込めスタックを覆っている。利得媒体はさらに、活性層を覆う上側光閉じ込めスタック(上側光閉じ込めスタックは、下側光閉じ込めスタックよりも薄く設定されている)と、上側光閉じ込めスタックを覆う上側クラッド層と、上側クラッド層を覆うp型コンタクト層と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光増幅器であって、
電磁放射を発生させるように構成された活性層と、
前記活性層の第1の面に配置された第1の光閉じ込め層と、
前記活性層の第2の面に配置された第2の光閉じ込め層であって、前記第2の光閉じ込め層は、前記第1の光閉じ込め層とは異なる厚さを有し、前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層のそれぞれの前記異なる厚さは、前記活性層の光閉じ込め係数を減少させ、前記活性層の飽和出力電力を増加させるように構成されている、前記第2の光閉じ込め層と
を備える、光増幅器。
【請求項2】
前記活性層ならびに前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層が異なる半導体材料で形成されている、請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
前記活性層がGaIn1-xAs1-yを含み、前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層がGaIn1-xAs1-yを含み、前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層のxおよびyの値が、前記活性層のそれぞれの前記値と異なる、請求項2に記載の光増幅器。
【請求項4】
第1の厚さを有する前記第1の光閉じ込め層には、第1の種類のドーピングがドープされており、第2の厚さを有する前記第2の光閉じ込め層には、第2の種類のドーピングがドープされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項5】
前記第1の光閉じ込め層がn型ドーピングでドープされており、p型ドーピングでドープされた前記第2の光閉じ込め層よりも厚い、請求項1から4のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項6】
前記活性層が、バリア層で隔てられた複数の井戸層を有し、前記複数の井戸層および前記バリア層のそれぞれが複数の半導体材料を含み、前記複数の井戸層が前記バリア層と異なる厚さである、請求項1から5のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項7】
前記複数の半導体材料がGaIn1-xAs1-y系である、請求項6に記載の光増幅器。
【請求項8】
前記複数の井戸層が前記バリア層よりも薄い、請求項6または7に記載の光増幅器。
【請求項9】
前記複数の井戸層が前記バリア層に比べて小さいバンドギャップを有している、請求項6から8のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項10】
前記複数の井戸層の各層がn型材料でドープされている、請求項6から9のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項11】
前記バリア層の各層がn型材料でドープされている、請求項6から10のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項12】
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層が、GaIn1-xAs1-y系の半導体材料から作られた複数の層を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項13】
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層における前記複数の層の各層が異なる厚さを有している、請求項12に記載の光増幅器。
【請求項14】
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層における前記複数の層のそれぞれが異なるバンドギャップを示す、請求項12または13に記載の光増幅器。
【請求項15】
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層における前記複数の層のそれぞれが、前記活性層よりも高いバンドギャップを示す、請求項12から14のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項16】
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層における前記複数の層のうち、連続した各層のバンドギャップが、前記活性層に対する前記連続した各層の距離とともに大きくなる、請求項12から15のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項17】
前記活性層ならびに前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層とは異なる半導体材料で作られた第1のクラッド層および第2のクラッド層をさらに備え、前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層が、前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層にそれぞれ隣接して配置されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項18】
前記活性層がGaIn1-xAs1-yを含み、
前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層がGaIn1-xAs1-yを含み、前記第1の光閉じ込め層および前記第2の光閉じ込め層のxおよびyの値が、前記活性層のそれぞれの前記値と異なり、
前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層がInPを含む、
請求項17に記載の光増幅器。
【請求項19】
前記第1のクラッド層が、第1の厚さと第1の種類のドーピングとを有し、前記第2のクラッド層が、第2の厚さと第2の種類のドーピングとを有する、請求項17または18に記載の光増幅器。
【請求項20】
前記第1のクラッド層がn型ドーピングでドープされており、p型ドーピングでドープされた前記第2のクラッド層よりも薄い、請求項17から19のいずれか一項に記載の光増幅器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、光通信技術に関するものである。より詳細には、本発明は、高出力高温動作の半導体光増幅器の利得媒体構造を提供するものである。
【0002】
ここ数十年の間に、通信ネットワークの利用は爆発的に増加した。インターネットの黎明期には、一般的な用途は、電子メール、掲示板、そしてほとんどが情報やテキストベースのウェブページの閲覧に限られており、転送されるデータ量も比較的少ないのが普通であった。今日、インターネットやモバイル用途では、写真、ビデオ、音楽などのマルチメディアファイルを転送するために膨大な量の帯域が必要されている。例えば、Facebook(登録商標)などのソーシャルネットワークでは、毎日500TB超のデータを処理している。このように、データやデータ転送に対する要求が高いため、既存のデータ通信システムを改善して、これらのニーズに対応する必要がある。
【0003】
40Gbit/s、その次に100Gbit/sのデータレートの広帯域DWDM(高密度波長分割多重)光伝送を既存のシングルモードファイバー上で行うことは、次世代の光ファイバー通信ネットワークの目標である。つい最近では、シリコン基板上に光学部品を集積し、マイクロエレクトロニクスチップと共存する大規模なフォトニック集積回路の製造が行われている。これまでに、フィルタ、(デ)マルチプレクサ、スプリッタ、モジュレータおよび光検出器を含む、非常にさまざまなフォトニック部品が、主にシリコンフォトニクスプラットフォームで実証されてきました。シリコン(n=3.48)とその酸化物であるSiO(n=1.44)はともに透明で、高屈折率・高閉じ込めの導波路を形成し、中・高集積のシリコンフォトニクス集積回路(SPIC)に理想的に適しているため、シリコンオンインシュレータ基板上のシリコンフォトニクスプラットフォームは、1300nmおよび1550nmの標準的なWDM通信帯域に特に適している。
【0004】
シリコンフォトニクスプラットフォームにおける半導体光増幅器は、光通信の多くの用途に実装されている。例えば、半導体光増幅器(SOA)や反射型半導体光増幅器(RSOA)に基づく波長可変レーザが、分光効率を高めた広帯域光通信用のSPICのキーエレメントとして提供されている。しかしながら、広帯域の高速データ通信用途において高温で動作する高出力SOA/RSOAの利得チップを開発するには、技術的な課題が存在する。そのため、技術の向上が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、光通信技術に関するものである。本発明の一態様は、高出力高温用途のチューナブルレーザ用の半導体光増幅器(SOA)および/または反射型半導体光増幅器(RSOA)の利得媒体構造を提供するものである。より詳細には、本発明は、より広いn側の分離閉じ込めヘテロ構造、より狭い量子井戸、およびSOA/RSOAで使用される最適化された活性層閉じ込め係数を有する利得媒体を提供するものであり、高速データ通信用途における広帯域波長可変レーザ用の高温での高飽和出力を有するが、他の用途も可能である。
【0006】
一実施形態では、本発明は、高出力動作の半導体光増幅器の利得媒体を提供するものである。利得媒体は、n型ドーピングを有する基板と、当該基板を覆って形成された下側クラッド層とを含む。利得媒体はさらに、下側クラッド層を覆う下側光閉じ込めスタックを含む。さらに、利得媒体は、約-0.1%~-0.5%の引張歪みを有することを特徴とする複数のバリア層によってそれぞれ隔てられた、約0.8%~1.2%の圧縮歪みを有することを特徴とする複数の井戸層を有する多重量子井戸ヘテロ構造を備えた活性層を含む。活性層は、下側光閉じ込めスタックを覆っている。利得媒体はさらに、活性層を覆う上側光閉じ込めスタックを含み、上側光閉じ込めスタックは、下側光閉じ込めスタックよりも薄く設定されている。さらに、利得媒体は、上側光閉じ込めスタックを覆う上側クラッド層を含む。さらに、利得媒体は、上側クラッド層を覆うp型コンタクト層を含む。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、高出力動作の半導体光増幅器の利得媒体を形成する方法を提供するものである。この方法は、n型ドーピングを有する基板を提供する段階を含む。この方法はさらに、基板を覆って形成された下側クラッド層を形成する段階を含む。さらに、この方法は、下側クラッド層を覆う下側光閉じ込めスタックを形成する段階を含む。この方法はさらに、約-0.1%~-0.5%の引張歪みを有することを特徴とする複数のバリア層によってそれぞれ隔てられた、約0.8%~1.2%の圧縮歪みを有することを特徴とする複数の井戸層を有する多重量子井戸ヘテロ構造を備えた活性層を形成する段階を含む。活性層は、下側光閉じ込めスタックを覆うように構成されている。さらに、この方法は、活性層を覆う上側光閉じ込めスタックを形成する段階を含み、上側光閉じ込めスタックは下側光閉じ込めスタックよりも薄く設定されている。この方法は、さらに、上側光閉じ込めスタックを覆う上側クラッド層を形成する段階を含む。さらに、この方法は、上側クラッド層を覆うp型コンタクト層を形成する段階を含む。本実施形態では、下側光閉じ込めスタックは、上側光閉じ込めスタックよりも大きな厚さで作られている。本実施形態では、活性層は、1mm長のキャビティデバイスの使用時に利得媒体を提供するために、最適化された閉じ込め係数比1.27+/-0.15(1/μm)、利得パラメータ15+/-5(1/cm)で構成されている。
【0008】
本発明は、チューナブルレーザ用の半導体光増幅器の既知の技術に照らして、これらの利点などを達成したものである。しかしながら、本発明の性質および利点の更なる理解を、本明細書の後半部分と添付の図面とを参照することによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図は単なる例示であり、本明細書の特許請求の範囲の範囲を不当に制限するものではない。当業者であれば、他の多くの変形例、修正例、代替案を認識するであろう。また、本明細書に記載されている例および実施形態は、単に例示を目的としたものであり、それを踏まえたさまざまな修正または変更が当業者に示唆され、本プロセスの精神および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることも理解される。
【0010】
図1】本発明の一実施形態による利得媒体を備えたRSOAを上面図と側面図との両方で示した概略図である。
【0011】
図2】本発明の一実施形態による利得媒体を備えたSOAを上面図と側面図との両方で示した概略図である。
【0012】
図3】本発明の一実施形態によるチューナブルレーザ用途のためのRSOA/SOAの利得媒体の簡略化したバンドギャップ図である。
【0013】
図4】本発明の一実施形態による、半導体光増幅器(SOA)と組み合わせた反射型半導体光増幅器(RSOA)に基づくチューナブルレーザの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、光通信技術に関するものである。本発明の一態様は、高出力高温用途のチューナブルレーザ用の半導体光増幅器(SOA)および/または反射型半導体光増幅器(RSOA)の利得媒体構造を提供するものである。より詳細には、本発明は、より広いn側分離閉じ込めヘテロ構造、より狭い量子井戸、およびSOA/RSOAで使用される最適化された活性層閉じ込め係数を有する利得媒体を提供するものであり、高速データ通信用途における広帯域波長可変レーザ用の高温での高飽和出力を有するが、他の用途も可能である。
【0015】
以下の説明は、当業者が本発明を製造および使用し、特定の用途の文脈に組み込むことを可能にするために提示されている。さまざまな修正、および異なる用途での種々の使用は、当業者に容易に明らかであろう。また、本明細書で定義された一般原則は、広範囲の実施形態に適用することができる。このように、本発明は、提示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、ここに開示された原則および新規の特徴に合致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明のより深い理解を提供するために、多数の具体的な内容を記載している。しかしながら、本発明は、必ずしもこれらの具体的な内容に限定されずに実施することができることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の構造およびデバイスを詳細にではなく、ブロック図の形で示している。
【0017】
読者の注意は、この明細書と同時に提出されかつこの明細書とともに公衆の閲覧に付されているすべての書類および文書に向けられており、このようなすべての書類および文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書中に開示されているすべての特徴(添付の任意の請求項、要約書、および図面を含む)は、特に明示しない限り、同じ目的、同等の目的、または類似の目的を果たす代替の特徴で置き換えることができる。したがって、特に明示しない限り、開示された各機能は、同等または類似の特徴の一般的な系列の一例に過ぎない。
【0018】
さらに、特定の機能を実行するための「手段」、または特定の機能を実行するための「段階」を明示していない請求項のいかなる要素も、米国特許法第112条第6パラグラフで規定されている「手段」または「段階」の条項とは解釈されない。特に、本明細書の特許請求の範囲における「~の段階」または「~の作用」の使用は、米国特許法第112条第6パラグラフの規定を引き合いに出すことを意図したものではない。
【0019】
内側、外側、左、右、前、後ろ、上、下、端、正、逆、時計回り、および反時計回りという表示が使用される場合、便宜上使用されているものに過ぎず、いかなる特定の固定方向を意味することを意図したものではないことに留意されたい。その代わり、それらの表示は、対象のさまざまな部分の相対的な位置および/方向を反映するために使用される。
【0020】
一態様では、本開示は、高温での高出力動作性を有するチューナブルレーザ用途の反射型半導体光増幅器(RSOA)および/または半導体光増幅器(SOA)の利得媒体を提供するものである。図1は、本発明の一実施形態による利得媒体を備えたRSOAを上面図と側面図との両方で示した概略図である。本図は単なる例示であり、特許請求の範囲の範囲を不当に制限するものではない。当業者であれば、多くの変形例、代替案、および修正例を認識するであろう。パートA)に示すように、RSOAの利得媒体110の上面図により、反射防止(AR)コーティングを施したフロントファセットと高反射(HR)コーティングを施したバックファセットとの間の光キャビティに線状の活性領域115が配置されていることが明らかになる。
【0021】
利得媒体110がバイアス電流で駆動されると、活性領域115におけるキャリア誘導放出が、フロントファセットからのレーザ出力前に、フロントファセットとバックファセットとの間で発生する。誘導光放出は、光導波路として作用する活性領域115と共に伝達される。具体的には、この上面図では、線状の活性領域115は線状の導波路のように見え、ARコーティングを施したフロントファセットと角度(α)のある交点を形成し、誘導光放出の大部分がそれ自身に反射しないようになっている。一方、線状の活性領域115は、HRコーティングが施されたバックファセットに対して実質的に垂直であり、バックファセットからの誘導光放出の実質的な全反射を可能にしている。最終的には、活性領域115で発生した誘導光放出は、ARコーティングを介してフロントファセットから出ていく。
【0022】
図1のパートB)では、それは、活性領域115が多層構造の中央部分に活性層として現れた多層構造を示す主媒体110の側面断面図である。活性層115は、その上部のp型の上側分離型閉じ込めヘテロ構造(SCH)と、下部のn型の下側SCHとで挟まれている。p型の上側SCHとn型の下側SCHとは、活性層115とともに半導体ダイオードを形成し、この半導体ダイオードはは、p型電極(図示せず)用の上側クラッド層と、下のn型電極(図示せず)用の下側クラッド層とでキャップされている。なお、単に上か下かという用語は、図の説明を参照したものであり、実際のデバイスの向きを1つの設定のみに限定するものではない。任意に、ウェハ基板上でこれらのヘテロ構造を製造する便宜上、下側クラッド層のn型電極を最初に基板0上に形成し、続いて図1のパートBに示す利得媒体110の他の層を形成することができる。任意に、活性層115は、多重量子井戸構造である。動作波長スペクトルに応じて、1種もしくは複数の化合物半導体またはInAsP、GaInNAs、GaInAsP、GaInAs、およびAlGaInAsの組み合わせを含む、異なる半導体材料を用いて、多重量子井戸構造を持つ活性層に多層を形成することができる。任意に、活性層に含まれる各多層には、光増幅の性能を高めるために、例えばn型の電子不純物をドープすることができる。任意に、活性層115の周囲の半導体ダイオードは、利得媒体がRSOAのレーザ源となるために、フロントファセットとバックファセットとの間の光キャビティを備えたレーザダイオードとして構成される。任意に、RSOAは、広帯域のチューナブルレーザ用途にも使用される。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による利得媒体を備えたSOAを上面図と側面図との両方で示した概略図である。本図は単なる例示であり、特許請求の範囲の範囲を不当に制限するものではない。当業者であれば、多くの変形例、代替案、および修正例を認識するであろう。一実施形態では、SOA用の利得媒体は、図1で上述したRSOA用の利得媒体と実質的に同じにすることができる。同様に、パートA)では、SOAの利得媒体160の上面図により、反射防止(AR)コーティングがいずれも施されたバックファセットとフロントファセットとの間のキャビティに線状の活性領域165が配置されていることが明らかになる。具体的には、線状の活性領域165は、光が最小の反射でバックファセットから利得媒体160の活性領域165に入り、活性領域165によって増幅され、反射せずにフロントファセットから出ることができるように、バックファセットと角度(α)のある交点と、フロントファセットと角度(β)のある交点を形成する。
【0024】
図2のパートB)でも同様に、主媒体160の側面断面図により、図1のパートB)に示したものと実質的に同じである、活性領域165が多層構造の中央部分に活性層として示されている多層構造が明らかになる。活性層165は、上部のP型上側SCHと下部のN型SCHとで挟まれており、それによって、上部の上側クラッド層上にp型電極(図示せず)と、下部の下側クラッド層の下にn型電極(図示せず)とを有する半導体ダイオードを形成している。なお、単に上か下かという用語は、図の説明を参照したものであり、実際のデバイスの向きを1つの設定のみに限定するものではない。任意に、活性層165は、多重量子井戸構造である。動作波長スペクトルに応じて、1種もしくは複数の化合物半導体、またはInAsP、GaInNAs、GaInAsP、GaInAs、およびAlGaInAsの組み合わせを含む、異なる半導体材料を用いて、多重量子井戸構造を持つ活性層に多層を形成することができる。任意に、活性層に含まれる各多層には、光増幅の性能を高めるために、例えばn型の電子不純物をドープすることができる。任意に、P型SCHは、P型不純物でドープされた多層光閉じ込め構造を含む。任意に、N型SCHは、N型多層光閉じ込め構造を含む。任意に、p型SCHとn型SCHとで挟まれた活性層165によって形成された半導体ダイオードは、ARコーティングが施されたバックファセットとARコーティングが施されたフロントファセットとの間に光キャビティを持つレーザダイオードとして構成され、SOAに使用される。
【0025】
特定の実施形態では、RSOAとSOAとの両方に多重量子井戸構造の活性層を有する利得媒体は、高温で動作する高出力チューナブルレーザ用の高飽和出力電力をもたらすように構成されている。理論的には、図1および図2に示すような活性層を有する利得媒体の飽和出力電力Psatは、以下のように表すことができる。
【数1】
式(1)において、dは利得媒体の活性層の厚さ、wは活性層の幅、Γは光閉じ込め係数、aは微分利得、τはキャリア寿命である。飽和出力電力Psatを高めるためには、従来の手法には、活性層の幅wを大きくしたり、光閉じ込め係数Γを小さくしたり(もしくはd/Γの比率を大きくしたり)することが含まれていた。閉じ込め係数の低下または活性層の幅の増加は、利得媒体の利得を低下させることにもなる。(SOA/RSOA)デバイスのより高い利得を得るためには、通常、より高い飽和出力電力を達成するのに、より長いキャビティ長とより高い動作電流とが必要である。しかしながら、ほとんどの場合、高い動作電流は高温動作のデバイスには推奨されない。
【0026】
本開示では、適度に高い利得で高い飽和出力Psatを有するSOA(またはRSOA)に使用される改善された利得媒体には、変調されたn型ドーピングの活性層と、キャリア寿命τおよび微分利得aを低下させるために最適化された光閉じ込め係数Γとが備わっている。これにより、高出力チューナブルレーザ用途のSOAまたはRSOAに非常に適した利得媒体になる。
【0027】
本実施形態では、利得媒体は、多重量子井戸構造として構成された活性層を含む多層ヘテロ構造である。任意に、活性層は、n型電子不純物で変調されたドーピングを含む。任意に、活性層はアンドープである。活性層の多重量子井戸構造は、それぞれのバリア層で隔てられた複数の井戸層を含むヘテロ接合構造として提供される。本実施形態では、これらの井戸層およびバリア層の特定の材料の選択、ならびに厚さおよびドーピング特性などの物理的パラメータは、例えば、広帯域(CバンドまたはOバンド)波長で動作するチューナブルレーザ用のRSOAまたはSOAの用途に適合した特定の光スペクトル範囲を提供するために、活性層の多重井戸構造内で異なるバンドギャップおよび誘導光放出の発振特性をもたらすように設計されている。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態によるチューナブルレーザ用途のためのRSOA/SOAの利得媒体の簡略化したバンドギャップ図である。本図は単なる例示であり、特許請求の範囲の範囲を不当に制限するものではない。当業者であれば、多くの変形例、代替案、および修正例を認識するであろう。図示されているように、利得媒体構造の断面プロファイルは、p型コンタクト層14までの基板0上に、上側クラッド、上側光閉じ込めスタック、活性層、下側光閉じ込めスタック、および下側クラッドを含む多層が直列に形成された物理的なスタックで示されている。基板0上に形成された第1の層は、下側クラッドレーザ1に続いて、層2および層3を含む下側光閉じ込めスタックであり、これにより、図1および図2に示す下側分離閉じ込めヘテロ構造(下側SCH)が形成される。さらに、下側光閉じ込めスタックと上側光閉じ込めスタックとの間には、それぞれのバリア層4、6、8、および10で隔てられた複数の井戸層5、7、9を含む多重量子井戸構造が形成され、これにより、図1の活性層115または図3の活性層165が形成される。さらに、上側光閉じ込めスタックは、活性層の上に形成された層11および12を含み、これにより、図1および図2に示す上側分離閉じ込めヘテロ構造(上側SCH)が形成される。最後に、上側クラッド層13が形成され、その上にp型コンタクト層14を追加することができる。
【0029】
図3を参照すると、活性層は上側光閉じ込めスタックと下側光閉じ込めスタックとの間に配置されている。任意に、活性層には、1種もしくは複数の化合物半導体、またはInAsP、GaInNAs、GaInAsP、GaInAs、およびAlGaInAsの組み合わせを含む、異なる半導体材料によって作られたいくつかの井戸層およびバリア層が含まれる。特定の実施形態では、活性層の井戸層5、7、9は、それぞれ5+/-1nmの狭い厚さを有するGaIn1-xAs1-y系の化合物半導体材料によって提供される。井戸層の組成x,yを調整することによって、チューナブルレーザ用のSOAまたはRSOAのバンド幅を決定するための圧縮歪みレベル(例えば、約0.8%~1.2%)とフォトルミネッセンス波長約1570+/-5nmとを達成することができる。本実施形態では、活性層のバリア層4、6、8、10もGaIn1-xAs1-y系材料である。各バリア層は10+/-2nmの厚さを有し、バリアの高さは1.25+/-0.05mである。バリア層の組成x,yを調整することによって、引張歪みレベル(例えば、約-0.1%~-0.5%)とフォトルミネッセンス波長約1200~1300nmとを達成することができ、活性層内でのキャリア分布をより均一にし、キャリア寿命をより短くすることが可能になる。図3を参照すると、断面プロファイルはバンドギャッププロファイルとしても示されており、井戸層はより小さいフォトルミネッセンス波長値に対応する最小のバンドギャップに関連付けられている。バリア層は、フォトルミネッセンスの長波長値に対応する比較的大きなバンドギャップに関連付けられている。
【0030】
任意に、活性層はアンドープである。任意に、活性層、特に井戸層とバリア層とは、n型電子不純物を約1e18cm-3~3e18cm-3でドープして変調させ、キャリア寿命τおよび微分利得aを低下させることで、そこで発生する光放出の飽和出力電力を向上させる。さらに、活性層のより狭い量子井戸を有する設計では、閉じ込め係数Γが小さくなるため、飽和出力電力を低下させることができる(数式(1)を参照)。量子井戸層を増やすことで、活性層の総厚さdを増やし、閉じ込め係数比Γ/dを小さくして出力電力を向上させることができる。任意に、井戸層の数は4つ以上にすることができる。2つの厚さを大きくすることで閉じ込め係数を小さくするようにすることができる。閉じ込め係数比Γ/dは、ROSAまたはSOAに適用される利得媒体に対して適切である必要がある。小さすぎると、SOAでは利得が低くなり、RSOAでは閾値電流が高くなる。大きすぎると、飽和出力が小さくなってしまうことになる。閉じ込め係数比Γ/dの適切な値は、用途で使用されるキャビティ長に依存していた。RSOAまたはSOAのいずれかのデバイスで、キャビティ長が1mmの用途の場合、閉じ込め係数比Γ/dの最適値は1.27+/-0.15(1/μm)となる。これに伴い、デバイスの最適化された利得パラメータGは15+/-5cm-1となり得る。
【0031】
特定の実施形態では、層2および3を含む下側光閉じ込めスタックは、InGaAsP系材料によって作られている。層2は約50+/-10nmの厚さで、層3は約10+/-2nmの厚さで設計されている。図3を参照すると、下側光閉じ込めスタックの物理的パラメータ(材料組成、厚さ、およびドーピングレベル)を調整することで、活性層の上に段階的にどんどん高くなるバンドギャップを与えることができる。層3のバンドギャップはバリア層4よりも高く、層2のバンドギャップは層3よりもさらに高くなっている。任意に、下側光閉じ込めスタックはアンドープである。任意に、下側光閉じ込めスタックをn型不純物でドープして、n型の下側クラッド層の隣にn側分離閉じ込めヘテロ構造を形成する。n側分離閉じ込めヘテロ構造の設計は、フリーキャリアの吸収を低減して、利得媒体の下部から活性層内の光励起を効果的に閉じ込めることができるように、n側により多くのモードを有することになっている。同様に、層11および12を含む上側光閉じ込めスタックは、InGaAsP系の材料で作られている。層11は、バリア層10と同様に10+/-2nmの厚さで設計されているが、バンドギャップが大きいか、またはフォトルミネッセンスの波長が短い(約1200nm)。層12は、約20+/-5nmのより大きな厚さとし、バンドギャップをさらにより大きくするか、またはフォトルミネッセンスの波長を短くした(約1100nm)設計で、利得媒体の上部に光閉じ込め効果を提供している。
【0032】
層2の下には、任意にn型ドーピングレベル>1e18cm-3のInPウェハでもある基板0の上に形成された約1000nmの厚さのInP系材料によって作られた下側クラッド層1がある。任意に、下側クラッド層1は、約1e18cm-3のレベルでn型にドープされる。任意に、基板0の上の下側クラッド層1の下にn型金属を形成したり、基板0の下に形成して電極コンタクトを形成したりしてもよい。層12の上には、約2300nmの厚さのInP系材料によっても作られている上側クラッド層13がある。上側クラッド層13は、1e18cm-3のレベルでp型不純物によりドープされる。任意に、InGaAsに基づく上部電気コンタクト層14が上側クラッド層13の上に形成される。任意に、上部電気コンタクト層14は、約300nmの厚さで、p型ドーピングレベル>1e19cm-3で設計されている。
【0033】
本開示の別の態様では、上記で説明した利得媒体は、チューナブルレーザ用途のために、ARフロントファセットとHRバックファセットとを有する反射型半導体光増幅器(RSOA)、またはフロントファセットとバックファセットとの両方にARコーティングを施した半導体光増幅器を形成するように構成されている。図4は、本発明の一実施形態による、半導体光増幅器(SOA)と組み合わせた反射型半導体光増幅器(RSOA)に基づくチューナブルレーザの概略図である。この図は単なる例示であり、特許請求の範囲の範囲を不当に制限するものではない。当業者であれば、多くの変形例、代替案、および修正例を認識するであろう。図示されているように、チューナブルレーザモジュール100は、シリコンフォトニクス基板1000上の第1の利得媒体110を備え、誘導光放出を発生させるRSOAと、シリコンフォトニクス基板10に形成され、RSOAに結合されて、誘導光放出に基づきチューニングされた広帯域の反射光を受信する波長チューナ170と、シリコンフォトニクス基板1000に形成され、波長チューナ170に結合されて、光の波長をロックする波長ロッカ180と、波長ロッカに結合されて、単一の電力増幅で光を通過させる、出力経路に第2の利得媒体160を備えたSOAと、を含む。
【0034】
任意に、RSOAの第1の利得媒体110は、シリコンフォトニクス基板1000の上に接合されたフリップチップである。このチップは、バックファセット101からフロントファセット102までの光キャビティ長L全体にわたって導波路として構成されたクラッド領域に、光閉じ込めヘテロ構造によってキャップされた活性領域115を含み、その中で誘導放出またはレーザ光が生成される。フロントファセット102は、第1の反射率Rfを有することを特徴とし、バックファセット101は、第2の反射率Rbを有することを特徴とする。任意に、第1の反射率Rfは、フロントファセット102の上の反射防止コーティングによって提供される、非常に低い値、例えば0.005%である。任意に、第2の反射率Rbは、バックファセット101の上の高反射性コーティングによって提供される、非常に高い値、例えば90%超である。任意に、導波路形態の活性領域115は、それによる光の直接的な後方反射を低減するために(図1に見られるように)フロントファセット102に対して非垂直な角度αを持つが、反射を最大化するためにバックファセット101に対して実質的に垂直な角度を持つ曲線形状になるように構成されている。レーザ光は、バックファセット101によって反射され、フロントファセット102からカプラ130を介して第1の導波路191に出射される。第1の導波路191を介して、レーザ光は波長チューナ170に送り出される。高出力動作のチューナブルレーザ用の一実施形態では、RSOAの第1の利得媒体110は、設計上、高温で高い飽和出力Psatが得られるように、レーザダイオードチップに構成されている。高い飽和出力とは、RSOAが高い安定したレーザ出力を生み出すように構成されていることを意味する。しかしながら、より高い飽和出力は、15dBm超の飽和出力で約50℃の高温時に動作させる目的で利得を十分に高く維持するために、より短いキャビティで低い駆動電流を使用することによって達成することができる。
【0035】
図4を参照すると、レーザ光は、波長チューナ170および波長ロッカ180を通過した後、その波長が広帯域スペクトル(Cバンドなど)の特定の値にロックされた状態で、SOAの入力カプラ150を介して入力され、そこでさらに電力増幅された後、出力カプラ140を介して出力される。任意に、SOAの第2の利得媒体160は、シリコンフォトニクス基板1000の上に接合された別のフリップチップである。利得媒体160は、入力カプラ150に結合されたバックファセット142と、出力カプラ140に結合されたフロントファセット141とから増幅キャビティを介して長さLで延在した導波路として構成されたクラッド領域でキャップされた利得領域165を含む。本実施形態では、フロントファセット141は、第1の反射率Rfを有することを特徴とし、バックファセット142は、第2の反射率Rbを有することを特徴とする。任意に、バックファセット142とフロントファセット141との両方は、光が一度通過して電力増幅されることを可能にする対称的な半導体光増幅器を形成するために、第1の反射率Rfおよび第2の反射率Rbの非常に低い値、例えば0.005%を与えるために、反射防止コーティングによってコーティングされる。任意に、導波路形態の活性領域165は、それによる光の直接的な後方反射を低減するために、バックファセット142またはフロントファセット141のいずれかに対して非垂直な角度を有する曲線形状になるように構成されている。入力カプラ150からバックファセット142を介して受信したこの光は、単にキャビティの長さLを通過し、そこで増幅された後に、フロントファセット141を介して出力される。
【0036】
高出力動作のチューナブルレーザ用のRSOA/SOAの一実施形態では、RSOAの第1の利得媒体110は、設計上、高温で高い飽和出力Psatをもたらすレーザダイオードチップとして構成されている。高い飽和出力とは、RSOAが高い安定したレーザ出力を生み出すように構成されていることを意味する。しかしながら、より高い飽和出力は、15dBm超の飽和出力で約50℃の高温時に動作させる目的で利得を十分に高く維持するために、より短いキャビティ(約1mm)で低い駆動電流を使用することによって達成することができる。本実施形態では、SOAの第2の利得媒体160は、設計上、高飽和出力電力Psat>15dBmをもたらすように、つまり、約50℃の高温時に高い増幅された最大出力電力を有するように、チップ内に構成することもできる。
【0037】
本実施形態では、より高い飽和出力を達成するために微分利得を増加させずに、閉じ込め係数をより小さくしてキャリア寿命を短くしたRSOAまたはSOA用のチップを作るために、利得媒体に狭い(5+/-2nm)井戸の多重量子井戸構造を備えた、変調されたn型ドープ活性層スタックが設けられている[数式(1)を参照]。また、活性層のバリア材料であるGaInAsPを、1200nm~1300nmでフォトルミネッセンスを発生させるように調整することで、活性層内のキャリア分布をより均一にし、キャリア寿命をより短くすることが可能になる。同時に、変調されたn型ドープ活性層スタックを含む利得媒体の利得パラメータは、RSOAまたはSOAデバイスが、小さな(~1mm)キャビティ長でより低い注入電流で動作するように、約15+/-5cm-1と十分に高く保たれている。最適化された活性層の閉じ込め係数(Γ/d)は1.27+/-0.15(1/m)に制限されているため、50℃の高温またはそれよりも高い温度でも動作することができる。
【0038】
上記は特定の実施形態の完全な説明であるが、さまざまな修正、代替的な構造および同等物を使用することができる。したがって、上記の説明および図解は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。したがって、上記の説明および図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
他の可能な請求項
1.
高出力動作の半導体光増幅器の利得媒体であって、
n型ドーピングが施された基板と、
前記基板を覆って形成された下側クラッド層と、
前記下側クラッド層を覆う下側光閉じ込めスタックと、
約-0.1%~-0.5%の引張歪みを有することを特徴とする複数のバリア層でそれぞれ隔てられた約0.8%~1.2%の圧縮歪みを有することを特徴とする複数の井戸層を有する多重量子井戸ヘテロ構造を備えた活性層であって、前記下側光閉じ込めスタックを覆う前記活性層と、
前記活性層を覆う上側光閉じ込めスタックであって、前記下側光閉じ込めスタックよりも薄く設定されている前記上側光閉じ込めスタックと、
前記上側光閉じ込めスタックを覆う上側クラッド層と、
前記上側クラッド層を覆うp型コンタクト層と
を備える、利得媒体。
2.
前記多重量子井戸ヘテロ構造が、5~7層のバリア層によってそれぞれ分離または境界画定付けられた3~5層の井戸層を備え、各井戸層が約5±1nmの井戸厚さを有し、各バリア層が約10±2nmのバリア厚さを有する、請求項1に記載の利得媒体。
3.
前記活性層が、フロントファセットとバックファセットとの間に約1mmのキャビティ長が設けられた多重量子井戸ヘテロ構造に基づき最適化された約1.27±0.15μm-1の閉じ込め係数比を有することを特徴とする、請求項2に記載の利得媒体。
4.
前記利得パラメータが、約15±5cm-1の利得媒体を有することを特徴とする、請求項3に記載の利得媒体。
5.
前記利得媒体が、前記フロントファセットに反射防止コーティングでコーティングし、前記バックファセットに高反射性コーティングをコーティングして、最大50℃の動作温度で少なくとも15dBm超の飽和出力を発生させることができる反射型半導体光増幅器を形成するように構成されている、請求項4に記載の利得媒体。
6.前記利得媒体が、前記フロントファセットと前記バックファセットとの両方に反射防止コーティングでコーティングして、最大50℃の動作温度で少なくとも15dBm超の飽和出力を発生させることができる半導体光増幅器を形成するように構成されている、請求項4に記載の利得媒体。
7.
各井戸層が、約1570±5nmのフォトルミネッセンスを発生させるように最適化された相対的な組成を有するInGaAsP材料から作られている、請求項2に記載の利得媒体。
8.
各バリア層が、約1200~1300nmのフォトルミネッセンスを発生させて、前記活性層内でキャリアをより均一に分布させるように最適化された相対的な組成を有するInGaAsP材料から作られている、請求項7に記載の利得媒体。
9.
各バリア層が、1.0×1018cm-3~3.0×1018cm-3のn型ドーパント濃度範囲で、バリア厚さよりも約2nm狭い変調ドーピング領域を備えている、請求項2に記載の利得媒体。
10.
各バリア層が非ドープである、請求項2の利得媒体。
11.
前記下側光閉じ込めスタックが、前記上側光閉じ込めスタックの厚さよりも全体の厚さが大きくなるように構成されている、請求項1に記載の利得媒体。
12.
前記下側光閉じ込めスタックが、前記下側クラッド層を覆う第1の下側光閉じ込め層と、前記下側クラッド層のより遠位にある前記第1の下側光閉じ込め層の面を覆う第2の下側光閉じ込め層とを有する、第1の分離閉じ込めヘテロ構造を備えている、請求項1に記載の利得媒体。
13.
前記第1の下側光閉じ込め層が、約50nmの厚さと、約1100nmのフォトルミネッセンスを発生させるように最適化された相対的な組成とを有するInGaAsP材料で作られており、前記第2の下側光閉じ込め層が、約10nmの厚さと、約1200nmのフォトルミネッセンスを発生させるように最適化された相対的な組成とを有するInGaAsP材料で作られている、請求項12に記載の利得媒体。
14.
前記上側光閉じ込めスタックが、前記活性層のバリア層を覆う第1の上側光閉じ込め層と、前記活性層のより遠位にある前記第1の上側光閉じ込め層の面を覆う第2の上側光閉じ込め層とを有する、第2の分離閉じ込めヘテロ構造を備えている、請求項1に記載の利得媒体。
15.
前記第1の上側光閉じ込め層が、約10nmの厚さと、約1200nmのフォトルミネッセンスを発生させるように最適化された相対的な組成とを有するInGaAsP材料で作られており、前記第2の上側光閉じ込め層が、約20nmの厚さと、約1100nmのフォトルミネッセンスを発生させるように最適化された相対的な組成とを有するInGaAsP材料で作られている、請求項1に記載の利得媒体。
16.
前記下側クラッド層が、約1μmの厚さを有しかつ1.0×1018cm-3でn型ドープされたInP材料で作られている、請求項1に記載の利得媒体です。
17.
上側クラッド層が、約2.3μmの厚さを有しかつ1.0×1018cm-3でp型ドープされたInP材料で作られている、請求項1に記載の利得媒体。
18.
前記基板が、1.0×1018cm-3超のn型ドーピングされたInPウェハで作られている、請求項1に記載の利得媒体。
19.
前記p型コンタクト層が、約300nmの厚さを有しかつ2×1019cm-3超のp型ドーピングされたInGaAs材料で作られている、請求項1に記載の利得媒体です。
20.
高出力動作の半導体光増幅器の利得媒体を形成する方法であって、前記方法は、
n型ドーピングが施された基板を提供する段階と、
前記基板を覆って形成された下側クラッド層を形成する段階と、
前記下側クラッド層を覆う下側光閉じ込めスタックを形成する段階と、
約-0.1%~-0.5%の引張歪みを有することを特徴とする複数のバリア層でそれぞれ隔てられた約0.8%~1.2%の圧縮歪みを有することを特徴とする複数の井戸層を有する多重量子井戸ヘテロ構造を備えた活性層であって、前記下側光閉じ込めスタックを覆う前記活性層を形成する段階と、
前記活性層を覆う上側光閉じ込めスタックであって、前記下側光閉じ込めスタックよりも薄く設定されている前記上側光閉じ込めスタックを形成する段階と、
前記上側光閉じ込めスタックを覆う上側クラッド層を形成する段階と、
前記上側クラッド層を覆うp型コンタクト層を形成する段階と
を含み、
前記下側光閉じ込めスタックは、前記上側光閉じ込めスタックよりも大きな厚さで作られており、
前記活性層は、1mm長のキャビティデバイスを使用して前記利得媒体を提供するために、最適化された閉じ込め係数比1.27+/-0.15(1/μm)および利得パラメータ15+/-5(1/cm)で構成されている、方法。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】