IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エアバス オペレーションズ リミティドの特許一覧 ▶ メギット ソシエテ アノニムの特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図1
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図2
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図3
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図4
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図5
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図6
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図7
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図8
  • 特開-タイヤ監視装置のステータスの決定 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094949
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】タイヤ監視装置のステータスの決定
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B60C23/04 120A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201875
(22)【出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】2019794.3
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】508305926
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】521545374
【氏名又は名称】メギット ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ビル
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ フィチェーラ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン スタンレー-アダムス
(57)【要約】
【課題】タイヤ監視装置のステータスを決定する方法が開示される。
【解決手段】タイヤ監視装置は電源を含んでいる。方法は、電源の消費量を示す値を決定することと、電源の消費量を示す値に基づいて、タイヤ監視装置のステータスを決定することと、決定されたステータスに基づく指標を提供することを含んでいる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を備えているタイヤ監視装置のステータスを決定する方法であって、
前記電源の消費量を示す値を決定することと、
前記電源の消費量を示す前記値に基づいて、前記タイヤ監視装置のステータスを決定することと、
前記決定されたステータスに基づく指標を提供することを備える、方法。
【請求項2】
前記タイヤ監視装置の前記ステータスは、前記タイヤ監視装置の推定された残りの稼働寿命である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電源の消費量を示す現在値と、以前に決定された前記電源の消費量を示す値を使用して、前記タイヤ監視装置の前記残りの稼働寿命を推定することを備える、請求項2の方法。
【請求項4】
前記タイヤ監視装置の前記推定された残りの稼働寿命を、前記タイヤ監視装置が設置されている車輪と関連付けられているタイヤに対する所定のタイヤ交換サイクルと比較することと、
前記比較に基づく指標を提供することを備える、請求項3の方法。
【請求項5】
前記タイヤ監視装置の前記推定された残りの稼働寿命は、前記所定のタイヤ交換サイクルの、第1タイヤ取り替えに対して計画された時間と、第2タイヤ取り替えに対して計画された時間との間で終了すると決定することを更に備え、
前記指標は、前記タイヤ監視装置は前記第1タイヤ取り替えの際に交換すべきであることを示す、請求項3または4の方法。
【請求項6】
前記指標は、前記タイヤ監視装置の前記ステータスについての警告を提供する、請求項1~5のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステータスの指標に応答して、前記タイヤ監視装置に関する行動を開始することを更に備える、請求項1~6のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電源の消費量を示す前記値を決定することは、
前記タイヤ監視装置の動作のモードを決定することと、
前記動作の決定されたモードに依存する消費量値を割り当てることと、
前記消費量値に基づいて、以前に決定された前記電源の容量を示す値を修正することを備える、請求項1~7のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電源の消費量を示す前記値を決定することは、
前記タイヤ監視装置の前記動作のモードの実行時間を決定することと、
前記実行時間に基づく前記消費量値を割り当てることと、
前記消費量値に基づいて、前記電源の容量を示す以前に決定された値を修正することを備える、請求項8の方法。
【請求項10】
前記電源の消費量を示す前記値を決定することは、
前記電源の残りの電力を示す値を直接測定することと、
前記電源の残りの電力を示す前記値に基づいて、以前に決定された前記電源の残りの電力を示す値を修正することを備える、請求項1~7のうち何れかの方法。
【請求項11】
前記電源の消費量を示す前記値を決定することは、
前記電源からの電流の流れを監視することと、
前記電源からの前記監視された電流の流れに基づいて、以前に決定された前記電源の容量を示す値を修正することを備える、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
車輪に搭載されるように構成されているタイヤ監視装置であって、
無線通信インタフェースと、
電源と、
請求項1~11のうち何れか1項の方法を実行するように構成されている処理システムを備える、タイヤ監視装置。
【請求項13】
前記指標は、前記無線通信インタフェースを使用して他の装置に送信されたメッセージを有する、請求項12に記載のタイヤ監視装置。
【請求項14】
タイヤ監視システムであって、
少なくとも1つのタイヤ監視装置と、
前記少なくとも1つのタイヤ監視装置に対する請求項1~11のうち何れか1項に
記載の方法を実行するように構成されている処理システムを備える、タイヤ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ監視システムとその動作の方法に関する。例においては、本開示は、航空機タイヤ圧監視システムなどのような航空機タイヤ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ圧を確認することは、車両の保守の重要な一部である。製造業者により意図されたような性能をタイヤが示すことを確実にするために、タイヤ圧は所定の圧力に維持すべきである。正しくないタイヤ圧はタイヤの欠陥、おそらくは破裂、そして、車両に対する損傷および/または制御不可を引き起こす可能性が高い。航空機着陸装置のタイヤは高速に晒されるので、圧力は定期的に、おそらくは1日に1回またはもっと頻繁に確認される。タイヤ圧の手動による確認は時間がかかるので、この時間を削減することは有益なことである。
【0003】
タイヤ圧の測定値を提供するように無線で指示できる感知装置を車輪に取り付けることによりタイヤ圧測定を自動化することが提案されている。これは要求される時間を手動で測定値を読み取ることに比べて削減できるが、車輪から車輪へと移動して圧力を測定する必要があるので依然として時間が掛る場合がある。
【0004】
これらの点の幾つか、またはすべてに対処するタイヤ圧測定システムを提供することは望ましいことであろう。
【発明の概要】
【0005】
発明に第1態様によれば、電源を備えるタイヤ監視装置のステータスを決定する方法が提供され、方法は、電源の消費量を示す値を決定することと、電源の消費量を示す値に基づいてタイヤ監視装置のステータスを決定することと、決定されたステータスに基づく指標を提供することを備えている。
【0006】
随意的に、タイヤ監視装置のステータスは、タイヤ監視装置の推定された残りの稼働寿命である。
【0007】
随意的に、方法は、電源の消費量を示す現在の値と、電源の消費量を示す以前に決定された値を使用して、タイヤ監視装置の残りの稼働寿命を推定することを備えている。
【0008】
随意的に、方法は、タイヤ監視装置の推定された残りの稼働寿命を、タイヤ監視装置が設置されている車輪に接続されているタイヤについての所定のタイヤ交換サイクルに対して比較することと、比較に基づく指標を提供することを備えている。
【0009】
随意的に、方法は、タイヤ監視装置の推定された残りの稼働寿命は、所定のタイヤ交換サイクルの、第1タイヤ取り替えに対して計画された時間と、第2タイヤ取り替えに対して計画された時間との間で終了すると決定することを備え、指標は、タイヤ監視装置は第1タイヤ取り替えの際に交換すべきことを示す。
【0010】
随意的に、指標は、タイヤ監視装置のステータスについての警告を提供する。
【0011】
随意的に、方法は、ステータスの指標に応答して、タイヤ監視装置に関する行動を開始することを備えている。
【0012】
随意的に、電源の消費量を示す値を決定することは、タイヤ監視装置の動作のモードを決定することと、動作の決定されたモードに依存する消費量値を割り当てることと、消費量値に基づいて、以前に決定された電源の容量を示す値を修正することを備えている。
【0013】
随意的に、電源の消費量を示す値を決定することは、タイヤ監視装置の動作のモードの実行時間を決定することと、実行時間に基づく消費量値を割り当てることと、消費量値に基づいて、以前に決定された電源の容量を示す値を修正することを備えている。
【0014】
随意的に、電源の消費量を示す値を決定することは、電源の残りの電力を示す値を直接測定することと、電源の残りの電力を示す値に基づいて、以前に決定された電源の残りの電力を示す値を修正することを備えている。
【0015】
随意的に、電源の消費量を示す値を決定することは、電源からの電流の流れを監視することと、電源からの電流の監視された流れに基づいて、決定された電源の容量を示す以前に値を修正することを備えている。
【0016】
発明の第2態様によれば、車輪に搭載されるように構成されており、無線通信インタフェース、電源、および発明の第1態様の方法を実行するように構成されている処理システムを備えているタイヤ監視装置が提供される。
【0017】
随意的に、指標は、無線通信インタフェースを使用して他の装置に送信されたメッセージを備えている。
【0018】
発明の第3態様によれば、少なくとも1つのタイヤ監視装置と、少なくとも1つのタイヤ監視装置に対して、請求項1から10の何れか1項の方法を実行するように構成されている処理システムを備えているタイヤ監視システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここで、発明の実施形態を、付随する図面を参照して、例示の目的のためにのみ、記述する。
【0020】
図1図1は、発明の第1例に係るタイヤ圧センサシステムの模式図を示している。
【0021】
図2図2は、図1の例における使用のためのタイヤ監視装置の模式図を示している。
【0022】
図3図3は、図1の例における使用のための制御装置の模式図を示している。
【0023】
図4図4は、図1の例における使用のための構成装置の模式図を示している。
【0024】
図5図5は、航空機に設置されているタイヤ圧センサネットワークの模式図を示している。
【0025】
図6図6は、図1の例と共に使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。
【0026】
図7図7は、図2のタイヤ監視装置が使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。
【0027】
図8図8は、図1の例における使用のためのタイヤ監視装置の模式図を示している。
【0028】
図9図9は、タイヤ監視装置の残りの寿命を決定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
下記の記述においては、説明の目的のために、ある例の多数の具体的な詳細が記述される。仕様書における「1つの例」または類似の語句への言及は、その例と関連して記述される特別な特徴、構造、または特性は、少なくともその1つの例に含まれているが、他の例においては必ずしも含まれていないということを意味する。
【0030】
ここにおいて記述されているある方法とシステムは、航空機におけるセンサネットワークの動作に関する。ここにおいて記述されている例においては、「航空機」への言及は、例えば、軍事用または商用航空機などのような固定した翼の航空機、または、無人航空機(UAV)、および、例えば、ヘリコプターのような回転翼の航空機などのようなすべての種類の航空機を含んでいる。
【0031】
[例としてのタイヤ監視システム]
図1は、タイヤ監視システムの模式図を示しており、この場合は、第1例に係る圧力センサシステムである。システムは、複数のタイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14を備えており、これらすべては無線通信を介して通信するように配置されている。タイヤ監視装置は、この場合は航空機である車両の各車輪に搭載されている(図5を参照して下記により詳細に説明される)。制御装置12は、タイヤ圧センサ10とは別個であり、タイヤ圧センサシステムにおいてのみ機能する専用制御装置であってよく、または、タイヤ圧センサシステムにおける目的以外の他の目的に対しても使用できる演算装置であってよい。例としての演算装置には、ラップトップ、タブレット、携帯電話、および無線通信装置などのようなモバイル装置が含まれる。
【0032】
図1のタイヤ圧センサシステムにおける無線通信は、ローカルエリアネットワークまたはパーソナルエリアネットワークを使用でき、中央集中型および無線メッシュシステムを含む任意の適切な形態を有することができる。中央集中型システムにおいては、単一の装置が通信を調整するためのマスタ装置に設定され、または、1つ以上の追加的な無線アクセスポイント、ゲートウェイ、またはコントローラ(示されていない)を使用できる。幾つかの例においては、タイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14はすべて同じ無線技術を使用して通信でき、単一のネットワークを形成できる。他の例においては、タイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14の1つ以上をシステムの他の要素から分離できる。そのような分離は、例えば、適切なファイヤウォールを提供することにより、および/または、異なるネットワークIDと暗号化キーの使用により、ソフトウェアにおいて提供できる。そのような分離はまた、例えば、異なる無線通信技術により、ハードウェアにより提供できる。ハードウェアによる分離とソフトウェアによる分離は組み合わせることができる。例えば、図1のシステムにおいては、制御装置は構成装置とは異なる無線通信技術でタイヤ感知装置と通信し、それは、システムのセキュリティを向上できる。
【0033】
図2は、図1のタイヤ圧センサシステムにおける使用のためのタイヤ監視装置10の模式図を示している。タイヤ監視装置10は、例えば、タイヤへのアクセスを提供する車輪上の開口部への機械的接続により、車輪に搭載されるように構成されている。タイヤ監視装置10は、プロセッサ200、無線通信インタフェース202、表示計器204、電源206、圧力センサ208、温度センサ209、第1ストレージ210、および第2ストレージ211を含んでいる。
【0034】
プロセッサ200は、1つ以上の処理コアを有するマイクロプロセッサを含んでいる任意の適切な処理装置であってよい。使用においては、プロセッサ200は他の構成要素を調整および制御し、コンピュータプログラム命令およびデータを、ストレージ210と211から読み込み、および/または、ストレージ210と211に書き込むように動作できる。プロセッサは、低電力動作のために最適化でき、または、幾つかの例においては、低電力動作のために最適化されている少なくとも1つの処理コアを有することができる。
【0035】
無線通信インタフェース202はプロセッサ200に接続され、タイヤ圧センサシステムの他の装置にデータを送受信するために使用される。この例においては、無線通信インタフェースは、異なる無線技術を使用する2つのトランシーバ212と214を含んでいる。第1トランシーバ212は、約50mまたは約100mまでの相対的に長い距離の通信用に提供される。例えば、第1トランシーバは、2.4GHzまたは5GHzの産業科学医療用(ISM)帯域、または、航空機内データ通信(WAIC)規格の何れかに基づくIEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11(Wi-Fi)などのような、モバイル装置に対して適切な通信規格を使用できる。第1トランシーバはまた、例えば、事前共有キー(pre-shared key)を利用する高度暗号化規格(AES)に準拠して、送られるデータを暗号化し、受信データを復号化するための暗号化モジュールも含んでいる。第2トランシーバ214は、相対的に短い距離の通信用に提供される。例えば、第2トランシーバ214は、IEEE 802.15.4などのようなIEEE 802.15、RFID、または近距離無線通信(NFC)に準拠する規格を使用できる。第2トランシーバは、5m未満、3m未満、1m未満、50cm未満、25cm未満、10cm未満、5cm未満、1cm未満の距離で動作でき、または、動作するために装置間の接触を必要とする。第1トランシーバ212と類似して、第2トランシーバもまた、送られるデータを暗号化し、受信データを復号化するための暗号化モジュールを含んでいる。
【0036】
幾つかの例においては、単一の無線トランシーバを無線通信インタフェースに設けることができる。その場合、単一のトランシーバは相対的に短い距離の、または相対的に長い距離の通信を使用でき、または必要であれば、距離を調整できる(例えば、送信電力を制御することで調整できる)。
【0037】
表示計器204はプロセッサ200に接続され、タイヤ圧センサシステムのユーザに指標を提供するようにプロセッサ200により制御される。この例においては、表示計器はLEDであるが、他の例においては、表示計器はライトの他の形状、LCDまたは電子インクディスプレイなどのようなディスプレイ、または、視覚指標の任意の他の形状である。他の例においては、表示計器は、ブザー、音を出す装置、スピーカ、または任意の他の音生成構成要素などのような可聴表示計器である。更なる例においては、表示計器は、可聴および視覚指標構成要素の両者を備えることができる。表示計器は少なくとも第1および第2指標、例えば、出射された光の第1色と第2色を提供する。点灯している光または点滅している光などのような更なる指標もまた提供できる。タイヤ監視装置はハウジング(示されていない)を有しており、表示計器204は、ハウジングの外に指標を提供でき、例えば、LEDをハウジングの外部に搭載でき、または、ハウジングを通して見えるように搭載でき、または、音をハウジング内から発することができる。
【0038】
電源206は電力を感知装置の要素に提供する。電源206はリチウム電池などのような電池であってよい。この例においては、電源は、センサを約2~3年の間、正常に動作させるのに十分な電力を有しているリチウム電池である。他の例においては、電源は例えば、コンデンサまたは電池を充電し、そして装置に電力を供給するために使用される、振動および/または電磁放射を取り込む環境発電システム(power harvesting system)を備えることができる。
【0039】
使用においては、無線感知装置はその動作寿命の多くを「スリープ(休止状態)」または低電力モードでいることができ、プロセッサと無線通信インタフェース以外の構成要素のほとんどには電力は供給されない。これにより電池寿命を維持することができる。例えば、タイヤ監視装置はデフォルトとして低電力モードであることができ、タイヤ圧を測定または報告するコマンドを検出すべく待機している。タイヤ圧の表示値は相対的にまれにしか要求されず、おそらくは10日に1度、5日に1度、3日に1度、または1日に1度と少なく、これは有用な省電力を提供できる。他の例においては、圧力はより頻繁に感知され、例えば、10分毎、15分毎、20分毎、30分毎、1時間毎、または2時間毎に感知され、傾向監視における使用のために保存できる。
【0040】
圧力センサ208はプロセッサ200に接続され、圧力を測定するための任意の適切なセンサであってよく、例えば、容量性センサであってよい。同様に、温度センサ209はプロセッサ200に接続され、熱電対などのような温度を測定するための任意の適切なセンサであってよい。温度センサ209は車輪の温度を測定するために配置でき、または、タイヤの内部の気体の温度を直接測定するために配置できる。温度センサ209が車輪の温度を測定する場合、この温度はタイヤ中の気体の温度を決定するために演算処理できる。例えば、アルゴリズムまたはルックアップテーブルを使用できる。
【0041】
圧力センサ208と温度センサ209のプロセッサ200への接続はデジタル接続であってよく、センサ自身におけるアナログ/デジタル変換器(ADC)からの測定された圧力および/または温度のデジタル表現が提供される。或いは、アナログ接続であってよく、その場合は、プロセッサは受信信号をサンプリングするためにADCを含むことができる。圧力センサと温度センサの両者を含むことは、温度補償された圧力値を決定するために有用である。この例は圧力センサと温度センサを含んでいるが、他の例は圧力センサのみを含むことができ、または更なるセンサを含むことができる。
【0042】
この例は2つの格納素子210と211を含んでいる。ストレージ210はこの例においては、フラッシュメモリなどのように印加電力を必要とせずにデータを保持できる書き換え可能な不揮発性ストレージである。他の例は、電源により電力が供給される状態が保たれている揮発性ストレージ、または、読み出し専用ストレージ及び書き換え可能なストレージの組み合わせを含むことができる。ストレージ210は、プロセッサ200に接続され、プロセッサによる実行のためのコンピュータプログラム命令と、圧力センサ208からのデータ、または、無線通信インタフェース202を介して受信されたデータなどのようなデータの両者を格納するために使用される。幾つかの例においてストレージ210は、圧力センサ208と温度センサ209により感知された圧力および/または温度の表示値の履歴を格納できる。例えば、10日前からの表示値を格納でき、ストレージが満杯になると最も新しいデータが最も古いデータに取って代わる。
【0043】
ストレージ211は、そこへの書き込みおよび/または読み込みアクセスが制限されている安全なストレージであり、例えば、プロセッサ200上で起動しているあるプロセスのみがアクセス可能である。無線暗号化キーなどのような構成データをストレージ211に格納できる。他の例においては、単一のストレージのみが設けられていてもよく、またはストレージ210と211は、ストレージ210とストレージ211との間を論理的にパーティションして、単一の物理的装置において提供できる。
【0044】
図3は、図1の例における使用のための制御装置12の模式図を示している。制御装置12は、プロセッサ300、ディスプレイ302、入力システム304、電源306、無線インタフェース308、ストレージ310、および有線通信インタフェース312を含んでいる。この例において制御装置は、携帯電話またはタブレットコンピュータなどのようなモバイル装置である。
【0045】
プロセッサ300は任意の適切な処理装置、例えば、多目的マイクロプロセッサ、システムオンチップ、またはシステムインパッケージであり、1つ以上の処理コアを含むことができる。プロセッサ300は、情報を制御装置のユーザに表示するために、LCD、OLED、または電子インクディスプレイなどのようなディスプレイ302に接続されている。
【0046】
入力システム304は、この例においてはタッチスクリーンインタフェースを含んでおり、ユーザがスクリーン上のユーザインタフェース要素にタッチすることにより制御装置と対話することを可能にする。入力システム304は、音声認識のためのマイクロフォンおよび画像入力のためのカメラなどのような他の入力装置と共に、タッチスクリーンに加えて1つ以上のボタンを含むことができる。他の例はタッチスクリーンインタフェースを含まなくてもよい。
【0047】
制御装置は、この例においては充電式リチウムイオン電池である電源306により電力が供給される。他の例は、他のバッテリ技術、主電源(商用電源)、または太陽電力などのような環境発電などのような代替の電源を使用できる。
【0048】
無線インタフェース308は、タイヤ圧センサシステムにおける他の装置と通信するために制御装置12に含まれている。この例においては、タイヤ監視装置10と通信するように構成されている単一無線インタフェース308が提供される。例えば、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、またはIEEE 802.11に準拠している無線通信技術などのような、相対的に長い距離の無線通信技術を使用できる。これは、制御装置12が相対的に長い距離からタイヤ監視装置と情報をやりとりすることを可能にする。
【0049】
他の例においては、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11(Wi-Fi_33)、WAIC、RFID、およびNFCの少なくとも2つなどのような、異なる無線技術で動作する複数の無線通信インタフェースまたはトランシーバを制御装置に提供できる。例えば制御装置は、1つが他方よりもより長い通信距離を有している2つのトランシーバを有することができる。
【0050】
ストレージ310はフラッシュメモリなどのような不揮発性素子と、RAMなどのような揮発性素子を含んでいる。不揮発性素子は、オペレーティングシステムソフトウェアとアプリケーションソフトウェアを格納するために使用される。この例においては、制御装置は標準オペレーティングシステムソフトウェアを起動し、タイヤ圧センサシステムと情報をやりとりするためにアプリケーションソフトウェアが搭載されている。タイヤ圧センサネットワークへのアクセスを制限するために、アプリケーションソフトウェアは安全なソースから提供でき、一般には利用可能ではなく、および/または、操作の前に資格証明を入力することを要求できる。
【0051】
有線通信インタフェース312は演算システムへの接続のために提供される。有線通信インタフェース312は、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのようなシリアルデータ接続、パラレルデータ接続、またはイーサネット(登録商標)などのようなネットワーク接続であることができる。有線通信インタフェース312は、制御装置がタイヤ監視装置からの読まれた値および/または他のステータス情報を、例えば、長期的動向を格納し、フリート管理を支援するために演算システムに通信で送ることを可能にできる。代替的に、または追加的に、無線通信インタフェース308は演算システムとの通信のために使用できる。幾つかの例においては、制御装置は有線通信インタフェースを含まなくてもよい。
【0052】
図4図1の例における使用のための構成装置14の模式図を示している。構成装置14は制御装置12とほぼ同じ要素を含んでいる。つまり、プロセッサ400、ディスプレイ402、入力システム404、電源406、無線インタフェース408、ストレージ410、および有線通信インタフェース412を含んでおり、これらは下記に別途記述されない限り、制御装置に対して上述したものとほぼ同じである。この例においては、構成装置はモバイル装置であるが、タイヤ監視システムとのみ動作するように限定されている。例えば、構成装置は、タイヤ監視システムとの情報のやりとりのためのソフトウェアを起動できるだけの演算装置またはタブレットであってよい。
【0053】
この例における構成装置の無線通信インタフェース408は、例えば、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、NFC、またはRFIDのような相対的に短い距離の通信システムである。これは、タイヤ監視装置を構成するときに、構成装置が追加的認証ファクタとして動作することを可能にし、例えば、タイヤ監視装置は、構成装置から受信した構成コマンドに応答できるだけであり、または、構成装置から受信したコマンドの後に、制御装置から受信した構成コマンドに応答できるだけである。
【0054】
他の例においては、構成装置は複数の無線通信インタフェースまたはトランシーバを含むことができる。例えば構成装置は、上記で検討したように、相対的に短い距離の通信のためのトランシーバと、IEEE 802.11に準拠しているトランシーバなどのような、相対的に長い距離の通信のためのトランシーバを含むことができる。
【0055】
構成装置の有線通信インタフェース412は、安全な方法で構成装置に情報を提供するために使用でき、例えば、無線インタフェースではなく、シリアルデータ接続などのような有線インタフェースを介して幾つかの暗号化キーが更新されることを可能にする。
【0056】
幾つかの例においては構成装置14を省略することができ、制御装置12が取って代わることができる。制御装置12は、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、RFID、またはNFCに準拠している無線通信インタフェースなどのような、短距離無線通信インタフェースを備えることができる。アプリケーションソフトウェアを制御装置に搭載することができ、それにより、構成コマンドの送信のための短距離無線通信インタフェースの動作を制御するために、おそらくは適切な資格証明によってのみアクセスできる暗号化キーの維持を通して、制御装置が追加的認証ファクタとしても機能することを可能にする。これらの例においては、別個のアプリケーションソフトウェアを制御装置に備えてもよく、このソフトウェアを、制御装置を構成装置として機能するように実行できる。
【0057】
図5は、航空機に設置されているタイヤ圧センサネットワークの模式図を示している。航空機500は、胴体510、翼520、主脚(主着陸装置)530、および前脚540を備えている。1つの例によれば、航空機500は、ここにおいて記述されている例の何れにも係るセンサネットワークを備えている。航空機500は、ここにおいて記述されている方法の何れとも連携して使用できる。1つの例によれば、複数の無線ノードが航空機500の周りの種々の位置に分散されている。例えば、主脚530と前脚540、翼520、および胴体510において分散されている。タイヤ監視装置は、主脚530と前脚540の各車輪に設置されている。
【0058】
1つの例においては、タイヤ監視装置10はまた、操縦室のパイロットにタイヤ圧情報を提供するためにコックピットシステムと通信している。これらの例においては、操縦室のコンソールはまた制御装置としても機能できる。
【0059】
例としてのタイヤ圧確認プロセス]
図6は、図1の例と共に使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。まず、ブロック602において、ユーザは、制御装置12でタイヤ監視制御アプリケーションを起動する。アプリケーションの初期化の間に、監視装置との通信のための無線通信インタフェース308が制御装置上で動作していることが確認され、動作していなければ、ユーザはそれを動作させるように催促される。
【0060】
次にブロック604において、制御装置は近くのタイヤ監視装置を調べる。例えば、制御装置は無線通信インタフェースを介してプローブを送出でき、それにより、近くの何れのタイヤ監視装置にも、タイヤ監視装置が取り付けてある航空機のテール識別子などのような車両識別子の指標を応答させる。この調査は、各タイヤ監視装置との直接の二地点間接触、または、例えば、メッシュネットワークにおけるアクセスポイント、マスターデバイス、または任意の装置を通して、タイヤ監視装置のネットワークを介しての接触を確立することを含んでもよい。調査は、タイヤ監視装置を低電力モードから活性状態にすることを含んでもよい。調査は、センサネットワークと通信するためのセキュアネットワークキーを使用することを備えることができる。
【0061】
通信距離と位置によっては、2台以上の車両と関連付けられているタイヤ監視装置を検出できる。例えば、数機の航空機が制御装置の近くの同じ格納庫内にあってもよい。次にブロック606において、入力を使用することを要求せずに識別子は自動的に選択されるべきかどうかが決定される。例えば、アプリケーションは、識別子は自動的に選択されるべきか否かの構成オプションを格納できる。自動選択が要求されなければ、プロセスはブロック608に進む。自動選択が要求されれば、プロセスはブロック612に進む。幾つかの例においては、ブロック606は含まれない。これらの例においては、下記に説明されるようにプロセスは手動選択または自動選択で継続できる。
【0062】
手動選択に対しては、ブロック608において、制御装置は検出された車両の識別子を表示する。ブロック610において、例えば所望の識別子のユーザ選択からの選択された識別子の入力が受信される。
【0063】
自動選択に対しては、ブロック612において、車両識別子が、受信した応答において示されている識別子の中から自動的に選択される。これは種々の方法で行うことができる。例えば、近くの各タイヤ監視装置が個別に制御装置に応答したときは、少なくとも2つの応答は、同じ車両識別子と関連付けられているタイヤ監視装置からであってよい。その場合、最大数の応答と関連付けられている車両識別子は、圧力測定が要求されている制御装置に最も近い車両である可能性が高いので、それを自動的に選択してもよい。他の例においては、制御装置に最も近いタイヤ監視装置の車両識別子、例えば、受信信号強度指標(RSSI)の最大値を有している応答を選択してもよい。更なる例においては、すべての検出されたタイヤ監視装置を同じ車両識別子と関連付けてもよく、その場合はそれが選択される。
【0064】
次に、ブロック614において、選択された識別子に対応するタイヤ監視装置に圧力を読ませ、それを制御装置に報告させるためにコマンドがタイヤ監視装置に送られ、例えば、タイヤ監視装置は、図7を参照して下記に記述されるようなプロセスを実行してもよい。
【0065】
応答は、ブロック616でタイヤ監視装置から受信され、ブロック618で制御装置に表示される。圧力の表示は、数値と、「OK」または「低圧」などのようなステータス指標の何れか、または両者を含むことができる。
【0066】
ブロック620において、データの整合性を確実にするために受信データの照合確認を行うことができる。そして、プロセスは終了する。
【0067】
図6のプロセスの間、制御装置とセンサ装置との間の通信は、例えば、ネットワークキーで暗号化されて安全であることができる。制御装置との通信のためのネットワークキーは、システムのセキュリティを高めるために、センサ装置間の通信に使用されるネットワークキーとは異なっていてもよい。
【0068】
セキュリティは、安全キーを交換するときに、制限された送信距離で無線通信技術を使用することにより高めることができ、例えば、802.11(Wi-Fi)規格は、見通しのきく空間においては50mを超える距離の通信を可能にできる。幾つかの例においては、暗号化キーを送信するときは、暗号化されたデータ自身の送信と比べて、送信電力を削減することにより、または、NFC/RFIDなどのような近距離技術を使用することによりセキュリティを高めることができ、これは、最初のキー交換プロセスに対しては、より近い近接を要求する。距離を制限する技術もまた導入することができ、これが超広帯域無線通信と組み合わされると、通信機器の距離を安全に測定でき、機器の安全な周辺内で相互作用が起こっていることを確実にする。
【0069】
図7は、図2のタイヤ監視装置が使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。このプロセスは、例えば、制御装置における不正操作またはエラーを監視するために、システムからの圧力測定値における追加的保証と耐故障性を提供するために設けられている。このプロセスを通して、監視装置は、制御装置とは独立しているタイヤ圧ステータスの指標を提供するためにその表示計器を使用する。幾つかの例においては、監視装置によるタイヤ圧ステータスの指標は、制御装置で提供される指標よりも高い開発保証レベル(DAL)を有することができる。例えば、制御装置を、タイヤ圧測定を開始し、ユーザが測定の結果を理解するための便利な手段を提供するために使用できるが、それはDALの保証を有することができず、一方、監視装置の表示計器を使用して指標を提供するための監視装置の動作は、開発保証レベルBを保証することができる。これは、それらの装置のDALに対する保証は要求されないので、システムが制御装置の広い範囲と共に動作することを可能にできるが、システムが全体として、要求される安全規格を満たすことを依然として確実にできる。同様に、幾つかの例においては、監視装置は、制御装置よりも高いセキュリティ保証レベル(SAL)を有してもよい。
【0070】
まず、ブロック702において、タイヤ監視装置は、制御装置から無線通信インタフェースを介して圧力を確認するコマンドを受信する。これに応答して、ブロック704において、プロセッサはタイヤにおける圧力を測定するために圧力センサを使用する。そして測定された圧力は、タイヤ圧が低いかどうかを決定するために、ブロック706において基準圧力と比較される。この例においては、圧力センサにより感知された圧力が基準圧力の89%未満のときに低圧が発生する。他の例では、測定された圧力が基準圧力の95%未満、90%未満、または85%未満のときに低圧を決定できる。更なる例では、測定された圧力が基準圧力よりも少なくとも約207kPa(約30psi)低いときに低圧を決定できる。他の例では、測定された圧力が基準圧力よりも少なくとも約138kPa(約20psi)、または約69kPa(約10psi)低いときに低圧を決定できる。低圧が検出されると、実行処理はブロック708に進み、それ以外のときはブロック712に進む。
【0071】
ブロック708において、プロセッサは、例えば、所定の時間の間は点灯している赤色のライトを設けることにより欠陥状況を示すために表示計器を使用する。所定の時間は、例えば、5分、2分、1分、または30秒であってよい。プロセッサはまた無線通信インタフェースを再び使用して、欠陥を示す指標をブロック712において他のタイヤ監視装置に一斉送信する。
【0072】
ブロック712においてプロセッサは、他のタイヤ監視装置からの何らかの欠陥を示すメッセージが無線通信インタフェースを介して受信されたかどうかを確認する。そのような欠陥を示すメッセージは直接受信でき、または、他のタイヤ監視装置を介して受信でき、または、ハブまたはアクセスポイントを介して受信できる。この例においては、そのような欠陥を示すメッセージは、ブロック704におけるコマンドの受信に続いて、最初に要求されることなく受信される。他の例においては、タイヤ監視装置により他のタイヤ監視装置に送られたステータスの問い合わせに応答して欠陥を示すメッセージを受信できる。何らかの欠陥を示すメッセージが受信されると、実行処理はブロック714に進み、そこにおいてプロセッサは、欠陥状況を表示するために表示計器を使用する。例えば、欠陥を示す指標はブロック708で使用されたものと同じであってよい。他の例においては、欠陥を示す指標はブロック708で使用されたものとは異なっていてもよく、例えば、所定の時間の間の点滅している赤色のライトなどのような第2の欠陥を示す指標であってよい。第2の欠陥を示す指標を使用することにより、タイヤ監視装置は他のタイヤにおける欠陥を示すことができ、それ自身の測定された圧力は低くないということを知らせることができる。
【0073】
ブロック712において欠陥を示すメッセージが受信されない場合は、実行処理はブロック716に進み、そこにおいてプロセッサは、表示計器を使用して「OK」を示す指標を提供する。例えば、点灯している緑色のライトを所定の時間の間提供することにより、「OK」を示す指標を提供する。所定の時間は、例えば、5分、2分、1分、または30秒であってよい。このようにして、「OK」を示す指標は、すべてのタイヤ監視装置がそれらと関連付けられているタイヤの圧力は低くなく、他のタイヤ監視装置から欠陥を示す指標を受信していないということを決定したときのみ与えられる。
【0074】
最終的にブロック718において、測定されたタイヤ圧のデータは、コマンドに応答して制御装置に送信される。このデータは更に、格納されている基準圧力、決定されたステータス、および車輪の位置などのような情報を含むことができる。追加的な情報の送信は、タイヤ監視装置の正しい動作の検証、およびストレージに格納されている構成データが変化していない、または正しく設定されているという確認を可能にできる。ブロック718における送信は、制御装置12に直接、または転送のために他のタイヤ監視装置10に、またはアクセスポイントまたは他の無線ノードに対して行うことができる。
【0075】
図7の方法では、タイヤ圧ステータスの確認はタイヤ監視装置自身により提供される。何れのセンサにおける欠陥もすべてのセンサに欠陥を示させる。このようにしてタイヤ監視装置は、制御装置もまた保証されることを必要とせずに、タイヤ監視装置自身の指標を使用して、要求されたDALおよび/またはSALに従って保証され得る。
【0076】
他の例においては、ブロック710において欠陥を示す指標を送信するのではなく、その代わりに、すべてのタイヤ監視装置がそれら自身の測定された圧力を他のタイヤ監視装置に送信してもよい。そして、受信された圧力は欠陥が存在するかどうかを決定するために、各独立したタイヤ監視装置により独立して確認してもよい。これにより、例えば、格納されている基準圧力が正しくないものになった場合に低圧状況を示さないセンサにおける欠陥を監視できる。
【0077】
更なる例においては、ブロック706でタイヤ圧は低くないと決定されたときに、タイヤ監視装置は「OK」ステータス通知を送信してもよい。そのような例は、他のタイヤ監視装置の1つからデータが受信されない場合は、そのタイヤ監視装置における機能不全または欠陥を示しているので、すべてのセンサが正しく動作しているという保証を提供できる。
【0078】
上記のプロセスは、一般的なモバイル装置を制御装置として使用することを記述しているが、制御装置はまた、タイヤ監視システムとの使用のみに、またはより一般的に車両との使用のみに提供される専用装置であってもよい。これは、より高いレベルの制御が可能になるのでセキュリティを向上できる。
【0079】
上記のプロセスは、ライトである表示計器の使用を記述しているが、他の例は、ディスプレイおよび/またはオーディオ構成要素などのような他の表示計器を使用できる。例えば、点灯または点滅している色を単に表示するのではなく、ディスプレイはまた、測定された圧力自身の情報も表示できる。オーディオおよび視覚表示計器の両者が提供されていても、幾つかの指標はオーディオおよび視覚表示計器の両者を使用しなくてもよい。例えば、「OK」指標は視覚表示計器のみを使用でき、オーディオ表示計器は欠陥があるときだけに起動させることができる。
【0080】
[タイヤ監視装置をいつ交換するかを決定する]
図8は、図1の例における使用のためのタイヤ監視装置の模式図を示している。図8のタイヤ監視装置10は,
図2のタイヤ監視装置10と同じであるが、追加的構成要素である消費量推定器215を有している。消費量推定器215は多くの形状を取ることができ、プロセッサ200に結合されている。消費量推定器215は、タイヤ監視装置10の起動の後の電源206の消費量を示す値を決定するように構成されている。ここではプロセッサ200とは別個の構成要素として示されているが、実際には、消費量推定器215はプロセッサ200の一部を形成できるということは認識されるであろう。
【0081】
1つの例においては、消費量推定器215はタイヤ監視装置10の動作のモードを決定し、決定された動作のモードに依存する消費量値を割り当てる。例えば、スタンバイ、公示、または測定などのような、装置の異なる動作のモードは、電源206からの電力の異なる量を消費することを知ることができ、そこで消費量推定器215は、タイヤ監視装置10の動作のモードに基づく消費量値を割り当てる。ここで、動作のモード毎の正確な消費量値は変わり得るが、例えば、動作の測定モードは、動作のスタンバイモードよりも大きな消費量値を有する可能性があるということは認識されるであろう。
【0082】
取得された消費量値を使用して、消費量推定器215またはプロセッサ200は消費量値に基づいて、電源206の容量を示す以前に決定された値を修正する。例えば、タイヤ監視装置10の最初の始動時には、電源の容量は100%と決定でき、タイヤ監視装置10が動作の新しいモードで動作するたびに、電源206の容量は設定された量だけ減少し、消費量値に対応する、動作の特定のモードに基づく値を、電源206の容量を示す値から累積的に減算できる。他の例においては、0%の値をタイヤ監視装置10の始動時に利用でき、各決定された消費量値を、容量の値が所定の閾値に到達するまで電源206の容量の値に累積的に加算してもよい。
【0083】
他の例においては、消費量推定器215は、タイヤ監視装置の動作のモードの時間を計測するように構成されているタイマを備えている。プロセッサ200は、動作のモードの時間を取得して、時間と動作のモードを、予め決定された実験またはシミュレーションデータに基づく消費量値に変換する。例えば、スタンバイまたは測定などのような装置の動作の異なるモードは、その動作のモードで異なる時間だけ動作させられたときに、電源206からの電力の異なる量を消費することを知ることができる。これは、動作のモードのみに基づく消費量値よりも、より正確な消費量値を提供できる。
【0084】
例えば温度などのような他のパラメータもまた、動作のモードに基づく消費量値を割り当てるときに考慮してもよい。
【0085】
1つの例においては、消費量推定器215は、電源206の残りの電力を示す値を直接測定し、例えば、電源206の残りの電圧値を直接測定し、電源206の残りの電力を示す値に基づいて、以前に決定された電源206の残りの電力を示す値を修正する。例えば、タイヤ監視装置10の最初の始動時に、電源206の容量をある値であると判定して、電源206の容量が減少するにつれて、電源206の残りの電力を示す値を監視して更新してもよい。
【0086】
他の例においては、消費量推定器215は、電源206からの電流の流れを監視し、消費量推定器215またはプロセッサ200は、電源206からの電流の監視された流れに基づいて、以前に決定された電源206の容量を示す値を修正する。例えば、消費量推定器215は、クーロンカウンティングを実行でき、電源206からの電流の流れが、電源206の充電の状態の推定を提供するために、時間の経過とともに測定されて集積される。そのような例においては、電源の消費量を示す値は、電源の充電の状態を示す値を含んでもよい。
【0087】
1つの例においては、タイヤ監視装置の最初の使用は、タイヤ監視装置がタイヤを監視する稼働において、使用のために通常動作モードに入る時点に対応する。通常動作モードに入るのは、プロセッサと無線通信インタフェース以外の構成要素には電力が供給されないストレージモードからであってよい。通常動作モードに入ることは、タイヤを監視するために初めて使用される前の初期化などのような、タイヤ監視装置の初期化時に起こり得る。従って、タイヤ監視装置の稼働寿命は、装置の初めての使用から、低電力または間欠的な電力供給の後続する任意の期間を経て、タイヤ監視装置が動作を停止するまで、または交換されるまでの期間と理解することができる。
【0088】
タイヤ監視装置は、所定の最低稼働寿命を有しており、例えば、電池容量は、タイヤ監視装置に少なくとも3年は電力を供給するのに十分なエネルギー容量を有することができ、稼働寿命は少なくとも3年である。他の例においては、電池を充電するための振動ハーベスティングなどのような環境発電を使用するものなどのように、所定の最低稼働寿命は、3年などのように、タイヤ監視装置における構成要素の予期される最低寿命に基づいてもよい。ここでは例として3年としたが、所定の最低寿命は、1年、2年、4年、または5年などのように、より長くても、または、より短くてもよい。装置は、少なくともこの所定の稼働寿命の間は正確であるように設計されているが、装置が晒される極端な環境のために構成要素が摩耗するので、永遠に正確であることはできない。所定の最低稼働寿命の最後に装置を交換することは、装置がその能力を超えて使用されないことを確実にする。
【0089】
タイヤ監視装置10のプロセッサ200は、消費量推定器215を介して、電源206の消費量を示す値を決定する。幾つかの例においては、これは、無線通信インタフェース202を介して受信した、制御装置12などのような他の装置からの命令に応答して行われる。これに続いてプロセッサ200は、無線通信インタフェース202を使用して他の装置に、電源206の消費量を示す値を含んでいる第1応答を送信し、他の装置にその値に基づいてタイヤ監視装置10のステータスを決定させること;および/または、電源206の消費量を示す値に基づいてタイヤ監視装置10のステータスを決定し、無線通信インタフェース202を使用して他の装置に、ステータスに基づく第2応答を送信すること、の何れかを行う。
【0090】
タイヤ監視装置10から制御装置12に送られた各通信は、電源206の消費量を示す値を含んでもよい。このようにして、感知された温度または圧力などのような、制御装置12に送られた何れの表示値にも値が伴い、時間の経過と共に表示値が取得されるので、温度および/または圧力履歴を含んでいるイベントログを、問題となっている装置に対して確立することを可能にする。幾つかの例においては、電源206の消費量を示す現在値に加えて、事象の履歴、例えば、圧力および/または温度の表示値の履歴を、タイヤ監視装置から制御装置12に送信できる。
【0091】
1つの例においては、タイヤ監視装置10から制御装置12が受信した如何なるデータも、例えば、電源206の消費量を示す現在値は、処理のために、制御装置12から、中央管理システムなどのような他のエンティティ(entity)に送ることができる。そして中央管理システムは、関連するタイヤ監視装置のステータスを決定してもよい。つまり、制御装置12は、タイヤ監視装置から受信したデータを処理のために中央管理システムに転送できる。そのような中央管理システムは、全航空機に対するデータなどのような全車両に対するデータが監視および解析されることを可能にできる。例えば、中央管理システムは、航空会社、幾つかの航空会社に保守サービスを提供する航空機保守会社、または航空機製造会社などのような航空機事業者と関連付けることができる。
【0092】
図9は、タイヤ監視装置の残りの寿命を決定するフローチャートである。図9の方法は、制御装置12のプロセッサ、タイヤ監視装置10のプロセッサ、または、中央管理システムなどのような他のエンティティにより実行できる。
【0093】
まずブロック902において、電源206の消費量を示す現在値が決定される。この決定は、制御装置12からの命令などのような命令の受信、タイヤ監視装置による、例えば圧力センサの読み取り、または温度センサの読み取りなどのような読み取りの完了、例えば一連の確認の一部としての確認、または正規の定期的測定プロセスを実行するための予め設定されている時間への到達、または、タイヤ監視装置10が動作の新しいモードに入ることなどによりトリガされてもよい。
【0094】
次にブロック904において、タイヤ監視装置10のステータスが、電源206の消費量を示す現在値に基づいて決定され、1つの例においては、ステータスは、装置の経過した稼働寿命の持続時間を示すことができる。
【0095】
タイヤ監視装置10のステータスは、下記のものであってよい。
・電源206の消費量を示す無修正の値;
・時間の経過における平均消費量を計算し、これを残りの電源容量に適用することなどにより、時間数、日数、または月数に関して有用に表現できる、タイヤ監視装置10の残りの稼働寿命の推定値。例えば、所定の稼働寿命が3年で、電源206の消費量を示す値が、3分の2の消費量で2年の経過した稼働寿命を示す場合、残りの稼働寿命は1年、または12か月、または365日である。
・百分率による寿命の残り、または使用された寿命などのような、その全体の稼働寿命の推定値と関連してのタイヤ監視装置10のステータスの分類。
・例えば、電源206の消費量を示す値が所定の閾値を超えたときに、電源206の消費量を示す値に基づいてタイヤ監視装置10を交換すべきという指標。
【0096】
ブロック906において、方法は、ステータスに基づく指標または通知を提供することを備えている。タイヤ監視装置により生成された指標は、制御装置12に送信できる。制御装置12により生成された指標は、中央管理システムまたはサーバなどのような他の装置に送信でき、または、指標のグラフィックスによる表現が装置12のユーザに提示されるようにするために、例えば、プロセッサ300からディスプレイ302に、制御装置12内で内部的に送信できる。指標は、ステータスの警告、例えば、交換を計画すべき、また、稼働寿命の終了が近づいているという警告を提供できる。
【0097】
指標に応答して行動を開始できる。例えば、方法が中央管理サーバで実行されるときは、タイヤ監視装置の交換を、将来のある特別な時期に実行させるために命令を送信できる。命令は更に、交換部品を、交換の実行が計画されている場所に提供させることができる。
【0098】
ステータスが、タイヤ監視装置10に対する推定された残りの稼働寿命であるときは、タイヤ監視装置10が設置されている車輪と関連付けられているタイヤに対する所定のタイヤ交換サイクルと比較してもよい。この比較に基づいて、タイヤ監視装置10の稼働寿命が終了する、タイヤ交換サイクルにおける時点を識別してもよい。そのような識別の結果は、通知の基盤を形成でき、例えば、通知は、交換を計画させる命令を送信することを有してもよい。
【0099】
加えて、そのような比較は、タイヤ監視装置10の推定された残りの稼働寿命は、所定のタイヤ交換サイクルの第1タイヤ取り替えに対して計画された時間と、第2タイヤ取り替えに対して計画された時間との間で終了するという決定をもたらしてもよい。そのようなシナリオにおいては、タイヤ監視装置10は、第1タイヤの取り替えのときに交換されるべきであると決定される。言い換えると、タイヤ監視装置10は、当該タイヤ監視装置10の稼働寿命が終了する前に起こるように計画されているタイヤ取り替えのとき、特には、前記終了に最も近く、それに先行して計画されているタイヤ取り替えのときに取り替えられるように計画してもよい。これは、タイヤ監視装置が対応する車輪に取り付けられたときに、その稼働寿命内において動作可能に留まることを確実にする。数字による例を挙げれば、通常のタイヤ交換周期が60日で、推定された残りの稼働寿命が61日と120日との間である場合、タイヤ監視装置の交換は、60日後の時期の次のタイヤ交換で計画できる。幾つかの例においては、更なる考慮は、交換計画、例えば、将来のタイヤ取り替えのための車両の予期される位置に関する情報に影響を与えることができる。これは、すべてのサービス提供場所が同じ設備を有しているわけではないときに有用であり得る。
【0100】
ここにおいて使用されているように、「または」という用語は、そうでないと明記されない限り「および/または」を意味していると解釈されるべきであるということに留意すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】