(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094950
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】通信に対して範囲制限を強制するタイヤ圧監視装置
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20220620BHJP
B64C 25/36 20060101ALI20220620BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B60C23/04 220A
B64C25/36
B64D45/00 A
B60C23/04 220B
B60C23/04 140Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201997
(22)【出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】2019744.8
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】508305926
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】521545374
【氏名又は名称】メギット ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ビル
(72)【発明者】
【氏名】ケビン スタンリー-アダムス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ブルエ
(57)【要約】
【課題】タイヤ監視装置、タイヤ監視システムおよび方法の提供。
【解決手段】1つの例においては、タイヤ監視装置は範囲決定機能を有する無線インタフェースとプロセッサを備えている。プロセッサは、タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してコマンド受信し、第2装置までの距離を決定し、第2装置までの距離が所定の閾値未満の場合はコマンドを実行するように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ監視システムにおける使用のためのタイヤ監視装置であって、
範囲決定機能を有している無線インタフェースと、
プロセッサであって、
前記タイヤ監視システムの第2装置から前記無線インタフェースを介してコマンドを受信し、
前記第2装置までの距離を決定し、
前記第2装置までの前記距離が所定の閾値未満の場合は前記コマンドを実行するように構成されているプロセッサを備えている、タイヤ監視装置。
【請求項2】
タイヤ監視システムにおける使用のためのタイヤ監視装置であって、
範囲決定機能を有している無線インタフェースと、
プロセッサであって、
前記タイヤ監視システムの第2装置から前記無線インタフェースを介してデータを受信し、
前記第2装置までの距離を決定し、
前記第2装置までの前記距離が所定の閾値を超えている場合は前記データを拒絶するように構成されているプロセッサを備えている、タイヤ監視装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記タイヤ監視システムの第3装置から前記無線インタフェースを介してコマンドを受信し、
前記第3装置までの距離を決定し、
前記第3装置までの前記距離が所定の閾値未満の場合は前記コマンドを実施するように構成されている、請求項2に記載のタイヤ監視装置。
【請求項4】
前記無線インタフェースは超広帯域(UWB)インタフェースを備えている、請求項1、2、または3に記載のタイヤ監視装置。
【請求項5】
前記所定の閾値は40m以下である、請求項1から4のうち何れか1項に記載のタイヤ監視装置。
【請求項6】
航空機の車輪に搭載されるように構成されている、請求項1から5のうち何れか1項に記載のタイヤ監視装置。
【請求項7】
請求項1から6のうち何れか1項に記載のタイヤ監視装置を複数備えている、タイヤ監視システム。
【請求項8】
範囲決定機能を有している無線通信インタフェースを備えている制御装置を備えている、請求項7に記載のタイヤ監視システム。
【請求項9】
無線タイヤ監視装置のための方法であって、
タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してコマンドを受信することと、
前記第2装置までの距離を決定することと、
前記第2装置までの前記距離が所定の閾値未満の場合は前記コマンドを実施することを備えている、方法。
【請求項10】
無線タイヤ監視装置のための方法であって、
タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してデータを受信することと、
前記第2装置までの距離を決定することと、
前記第2装置までの前記距離が所定の閾値を超えている場合は前記データを拒絶することを備えている、方法。
【請求項11】
前記タイヤ監視システムの第3装置から前記無線インタフェースを介してコマンドを受信することと、
前記第3装置までの距離を決定することと、
前記第3装置までの前記距離が所定の閾値未満の場合は前記コマンドを実施することを備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記無線インタフェースは超広帯域(UWB)インタフェースを備えている、請求項9、10、または11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の閾値は40m以下である、請求項9から12のうち何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ監視システムとその動作の方法に関する。例においては、本開示は、航空機タイヤ圧監視システムなどのような航空機タイヤ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ圧を確認することは、車両の保守の重要な一部である。製造業者により意図されたような性能をタイヤが示すことを確実にするために、タイヤ圧は所定の圧力に維持すべきである。正しくないタイヤ圧はタイヤの欠陥、おそらくは破裂、そして、車両に対する損傷および/または制御不可を引き起こす可能性が高い。航空機着陸装置のタイヤは高速に晒されるので、圧力は定期的に、おそらくは1日に1回またはもっと頻繁に確認される。タイヤ圧の手動による確認は時間がかかるので、この時間を削減することは有益なことである。
【0003】
タイヤ圧の測定値を提供するように無線で指示できる感知装置を車輪に取り付けることによりタイヤ圧測定を自動化することが提案されてきている。これは要求される時間を手動で測定値を読み取ることに比べて削減できるが、無線チャネルは航空機の外側で一斉送信されるので、暗号化キーなどのようなセキュリティ対策が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
第1態様によれば、タイヤ監視システムにおける使用のためのタイヤ監視装置が提供される。タイヤ監視装置は、範囲決定機能を有している無線インタフェースと、プロセッサを備えている。プロセッサは、タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してコマンドを受信し、第2装置までの距離を決定し、第2装置までの距離が所定の閾値未満の場合はコマンドを実行するように構成されている。
【0005】
第2態様によれば、タイヤ監視システムにおける使用のためのタイヤ監視装置が提供される。タイヤ監視装置は、範囲決定機能を有している無線インタフェースと、プロセッサを備えている。プロセッサは、タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してデータを受信し、第2装置までの距離を決定し、第2装置までの距離が所定の閾値を超えている場合はデータを拒絶するように構成されている。随意的に、プロセッサは、タイヤ監視システムの第3装置から無線インタフェースを介してコマンドを受信し、第3装置までの距離を決定し、第3装置までの距離が所定の閾値未満の場合はコマンドを実施するように構成されている。
【0006】
随意的に、タイヤ監視装置は航空機の車輪に搭載されるように構成されている。
【0007】
第3態様によれば、随意の特徴を有する、または有していない、上記に検討したようなタイヤ監視装置を複数備えているタイヤ監視システムが提供される。
【0008】
随意的に、タイヤ監視システムは範囲決定機能を有している無線通信インタフェースを備えている制御装置を備えている。
【0009】
第4態様によれば、無線タイヤ監視装置のための方法が提供される。方法は、タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してコマンドを受信することと、第2装置までの距離を決定することと、第2装置までの距離が所定の閾値未満の場合はコマンドを実施することを備えている。
【0010】
第5態様によれば、無線タイヤ監視装置のための方法が提供される。方法は、タイヤ監視システムの第2装置から無線インタフェースを介してデータを受信することと、第2装置までの距離を決定することと、第2装置までの距離が所定の閾値を超えている場合はデータを拒絶することを備えている。随意的に、方法は更に、タイヤ監視システムの第3装置から無線インタフェースを介してコマンドを受信することと、第3装置までの距離を決定することと、第3装置までの距離が所定の閾値未満の場合はコマンドを実施することを備えている。
【0011】
随意的に、上記の態様の何れにおいても、無線インタフェースは超広帯域(UWB)インタフェースを備えている。
【0012】
随意的に、上記の態様の何れにおいても、所定の閾値は40m以下である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】発明の第1例に係るタイヤ監視システムの模式図を示している。
【0014】
【
図2】
図1の例における使用のためのタイヤ監視装置の模式図を示している。
【0015】
【
図3】
図1の例における使用のための制御装置の模式図を示している。
【0016】
【
図4】
図1の例における使用のための構成装置の模式図を示している。
【0017】
【
図5】航空機に設置されているタイヤ圧センサネットワークの模式図を示している。
【0018】
【
図6】
図1の例と共に使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。
【0019】
【
図7】
図2のタイヤ監視装置が使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。
【0020】
【
図8】受信コマンドまたはデータに対して通信範囲を強制するためのプロセスのフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
下記の記述においては、説明の目的のために、ある例の多数の具体的な詳細が記述される。仕様書における「1つの例」または類似の語句への言及は、その例と関連して記述される特別な特徴、構造、または特性は、少なくともその1つの例に含まれているが、他の例においては必ずしも含まれていないということを意味する。
【0022】
ここにおいて記述されているある方法とシステムは、タイヤ監視装置のネットワークなどのような、航空機におけるセンサネットワークの動作に関する。ここにおいて記述されている例においては、「航空機」への言及は、例えば、軍事用または商用航空機などのような固定した翼の航空機、または、無人航空機(UAV)、および、例えば、ヘリコプターのような回転翼の航空機などのようなすべての種類の航空機を含んでいる。
【0023】
ここにおける例によれば、タイヤ監視システムの一部を形成するタイヤ監視装置は、タイヤ監視装置自身についてのステータスの指標を提供する。例えば、ステータスの指標は、ステータスの情報を与えるライトの色を有しているライトにより提供できる。タイヤ監視装置において示されているステータスの確認は、制御装置への入力として提供され、それは制御装置において、タイヤ監視装置自身から受信したステータスデータと比較できる。このようにして、システムの使用において種々の人的要因に対処できる。入力がシステムのユーザからのものであるときは、それは、ユーザは、制御装置に表示される情報だけではなく、装置自身の指標にも注意を払わなければならないこと意味している。これは、タイヤ監視装置の指標が所望の設計保証レベル(DAL)と保証されたが、制御装置の指標が保証されていないときに重要であり得る。それはまた、数機が非常に接近しているときに、正しくない航空機を見るような人的エラー要因にも対処できる。更なる利点として、ユーザ入力が装置自身に表示されているものと一致しない場合にエラーを識別できる。
【0024】
幾つかの例においては、タイヤ監視装置の表示計器のステータスが入力により確認されると(言い換えると、タイヤ監視装置の表示計器と入力の両者が同じステータスを表わしていると決定されると)、タイヤ監視装置の表示計器はスイッチを切ることができる。これは、表示計器を長時間動作させる必要がないので省電力という結果にすることができる。例えば、表示計器は、明るい太陽光のもとでも見ることを可能にするために高強度LEDであってよい。高強度LEDの例としては、Vishay社から市場で入手可能な赤色LEDであるVishay TLCR5200がある。このLEDは、4,000mcdの典型的な光度を有しているが、135mW消費するので、システム全体のタイムアウトよりも早く動作を停止することにより有用な省エネルギーを達成できる。そのような省エネルギーは、タイヤ監視装置の電源が電池などのような有限のエネルギー容量を有しているときは、タイヤ監視装置の寿命に直接的な影響を与えるので特に有用であり得る。
【0025】
[例としてのタイヤ監視システム]
図1は、タイヤ監視システムの模式図を示しており、この場合は、第1例に係る圧力センサシステムである。システムは、複数のタイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14を備えており、これらすべては無線通信を介して通信するように配置されている。タイヤ監視装置は、この場合は航空機である車両の各車輪に搭載されている(
図5を参照して下記により詳細に説明される)。制御装置12は、タイヤ圧センサ10とは別個であり、タイヤ圧センサシステムにおいてのみ機能する専用制御装置であってよく、または、タイヤ圧センサシステムにおける目的以外の他の目的に対しても使用できる演算装置であってよい。例としての演算装置には、ラップトップ、タブレット、携帯電話、および無線通信装置などのようなモバイル装置が含まれる。
【0026】
図1のタイヤ圧センサシステムにおける無線通信は、ローカルエリアネットワークまたはパーソナルエリアネットワークを使用でき、中央集中型および無線メッシュシステムを含む任意の適切な形態を有することができる。中央集中型システムにおいては、単一の装置が通信を調整するためのマスタ装置に設定され、または、1つ以上の追加的な無線アクセスポイント、ゲートウェイ、またはコントローラ(示されていない)を使用できる。幾つかの例においては、タイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14はすべて同じ無線技術を使用して通信でき、単一のネットワークを形成できる。他の例においては、タイヤ監視装置10、制御装置12、および構成装置14の1つ以上をシステムの他の要素から分離できる。そのような分離は、例えば、適切なファイヤウォールを提供することにより、および/または、異なるネットワークIDと暗号化キーの使用により、ソフトウェアにおいて提供できる。そのような分離はまた、例えば、異なる無線通信技術により、ハードウェアにより提供できる。ハードウェアによる分離とソフトウェアによる分離は組み合わせることができる。例えば、
図1のシステムにおいては、制御装置は構成装置とは異なる無線通信技術でタイヤ感知装置と通信し、それは、システムのセキュリティを向上できる。
【0027】
図2は、
図1のタイヤ圧センサシステムにおける使用のためのタイヤ監視装置10の模式図を示している。タイヤ監視装置10は、例えば、タイヤへのアクセスを提供する車輪上の開口部への機械的接続により、車輪に搭載されるように構成されている。タイヤ監視装置10は、プロセッサ200、無線通信インタフェース202、表示計器204、電源206、圧力センサ208、温度センサ209、第1ストレージ210、および第2ストレージ211を含んでいる。
【0028】
プロセッサ200は、1つ以上の処理コアを有するマイクロプロセッサを含んでいる任意の適切な処理装置であってよい。使用においては、プロセッサ200は他の構成要素を調整および制御し、コンピュータプログラム命令およびデータを、ストレージ210と211から読み込み、および/または、ストレージ210と211に書き込むように動作できる。プロセッサは、低電力動作のために最適化でき、または、幾つかの例においては、低電力動作のために最適化されている少なくとも1つの処理コアを有することができる。
【0029】
無線通信インタフェース202はプロセッサ200に接続され、タイヤ圧センサシステムの他の装置にデータを送受信するために使用される。この例においては、無線通信インタフェースは、異なる無線技術を使用する2つのトランシーバ212と214を含んでいる。第1トランシーバ212は、約50mまたは約100mまでの相対的に長い距離の通信用に提供される。例えば、第1トランシーバは、2.4GHzまたは5GHzの産業科学医療用(ISM)帯域、または、航空機内データ通信(WAIC)規格の何れかに基づくIEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11(Wi-Fi)などのような、モバイル装置に関して適切な通信規格を使用できる。第1トランシーバはまた、例えば、事前共有キー(pre-shared key)を利用する高度暗号化規格(AES)に準拠して、送られるデータを暗号化し、受信データを復号化するための暗号化モジュールも含んでいる。第2トランシーバ214は、相対的に短い距離の通信用に提供される。例えば、第2トランシーバ214は、IEEE 802.15.4などのようなIEEE 802.15、RFID、または近距離無線通信(NFC)に準拠する規格を使用できる。第2トランシーバは、5m未満、3m未満、1m未満、50cm未満、25cm未満、10cm未満、5cm未満、1cm未満の距離で動作でき、または、動作するために装置間の接触を必要とする。第1トランシーバ212と類似して、第2トランシーバもまた、送られるデータを暗号化し、受信データを復号化するための暗号化モジュールを含んでいる。
【0030】
幾つかの例においては、単一の無線トランシーバを無線通信インタフェースに設けることができる。その場合、単一のトランシーバは相対的に短い距離の、または相対的に長い距離の通信を使用でき、または必要であれば、距離を調整できる(例えば、送信電力を制御することで調整できる)。
【0031】
表示計器204はプロセッサ200に接続され、タイヤ圧センサシステムのユーザに指標を提供するようにプロセッサ200により制御される。この例においては、表示計器はLEDであるが、他の例においては、表示計器はライトの他の形状、LCDまたは電子インクディスプレイなどのようなディスプレイ、または、視覚指標の任意の他の形態である。他の例においては、表示計器は、ブザー、音を出す装置、スピーカ、または任意の他の音生成構成要素などのような可聴表示計器である。更なる例においては、表示計器は、可聴および視覚指標構成要素の両者を備えることができる。表示計器は少なくとも第1および第2指標、例えば、出射された光の第1色と第2色を提供する。点灯している光または点滅している光などのような更なる指標もまた提供できる。タイヤ監視装置はハウジング(示されていない)を有しており、表示計器204は、ハウジングの外に指標を提供でき、例えば、LEDをハウジングの外部に搭載でき、または、ハウジングを通して見えるように搭載でき、または、音をハウジング内から発することができる。
【0032】
電源206は電力を感知装置の要素に提供する。電源206はリチウム電池などのような電池であってよい。この例においては、電源は、センサを約2~3年の間、正常に動作させるのに十分な電力を有しているリチウム電池である。他の例においては、電源は例えば、コンデンサまたは電池を充電し、そして装置に電力を供給するために使用される、振動および/または電磁放射を取り込む環境発電システム(power harvesting system)を備えることができる。
【0033】
使用においては、無線感知装置はその動作寿命の多くを「スリープ(休止状態)」または低電力モードでいることができ、プロセッサと無線通信インタフェース以外の構成要素のほとんどには電力は供給されない。これにより電池寿命を維持することができる。例えば、タイヤ監視装置はデフォルトとして低電力モードであることができ、タイヤ圧を測定または報告するコマンドを検出すべく待機している。タイヤ圧の表示値は相対的にまれにしか要求されず、おそらくは10日に1度、5日に1度、3日に1度、または1日に1度と少なく、これは有用な省電力を提供できる。他の例においては、圧力はより頻繁に感知され、例えば、10分毎、15分毎、20分毎、30分毎、1時間毎、または2時間毎に感知され、傾向監視における使用のために保存できる。
【0034】
圧力センサ208はプロセッサ200に接続され、圧力を測定するための任意の適切なセンサであってよく、例えば、容量性センサであってよい。同様に、温度センサ209はプロセッサ200に接続され、熱電対などのような温度を測定するための任意の適切なセンサであってよい。温度センサ209は車輪の温度を測定するために配置でき、または、タイヤの内部の気体の温度を直接測定するために配置できる。温度センサ209が車輪の温度を測定する場合、この温度はタイヤ中の気体の温度を決定するために演算処理できる。例えば、アルゴリズムまたはルックアップテーブルを使用できる。
【0035】
圧力センサ208と温度センサ209のプロセッサ200への接続はデジタル接続であってよく、センサ自身におけるアナログ/デジタル変換器(ADC)からの測定された圧力および/または温度のデジタル表現が提供される。或いは、アナログ接続であってよく、その場合は、プロセッサは受信信号をサンプリングするためにADCを含むことができる。圧力センサと温度センサの両者を含むことは、温度補償された圧力値を決定するために有用である。この例は圧力センサと温度センサを含んでいるが、他の例は圧力センサのみを含むことができ、または更なるセンサを含むことができる。
【0036】
この例は2つの格納素子210と211を含んでいる。ストレージ210はこの例においては、フラッシュメモリなどのように印加電力を必要とせずにデータを保持できる書き換え可能な不揮発性ストレージである。他の例は、電源により電力が供給される状態が保たれている揮発性ストレージ、または、読み出し専用ストレージ及び書き換え可能なストレージの組み合わせを含むことができる。ストレージ210は、プロセッサ200に接続され、プロセッサによる実行のためのコンピュータプログラム命令と、圧力センサ208からのデータ、または、無線通信インタフェース202を介して受信されたデータなどのようなデータの両者を格納するために使用される。幾つかの例においてストレージ210は、圧力センサ208と温度センサ209により感知された圧力および/または温度の表示値の履歴を格納できる。例えば、10日前からの表示値を格納でき、ストレージが満杯になると最も新しいデータが最も古いデータに取って代わる。
【0037】
ストレージ211は、そこへの書き込みおよび/または読み込みアクセスが制限されている安全なストレージであり、例えば、プロセッサ200上で起動しているあるプロセスのみがアクセス可能である。無線暗号化キーなどのような構成データをストレージ211に格納できる。他の例においては、単一のストレージのみが設けられていてもよく、またはストレージ210と211は、ストレージ210とストレージ211との間を論理的にパーティションして、単一の物理的装置において提供できる。
【0038】
図3は、
図1の例における使用のための制御装置12の模式図を示している。制御装置12は、プロセッサ300、ディスプレイ302、入力システム304、電源306、無線インタフェース308、ストレージ310、および有線通信インタフェース312を含んでいる。この例において制御装置は、携帯電話またはタブレットコンピュータなどのようなモバイル装置である。
【0039】
プロセッサ300は任意の適切な処理装置、例えば、多目的マイクロプロセッサ、システムオンチップ、またはシステムインパッケージであり、1つ以上の処理コアを含むことができる。プロセッサ300は、情報を制御装置のユーザに表示するために、LCD、OLED、または電子インクディスプレイなどのようなディスプレイ302に接続されている。
【0040】
入力システム304は、この例においてはタッチスクリーンインタフェースを含んでおり、ユーザがスクリーン上のユーザインタフェース要素にタッチすることにより制御装置と対話することを可能にする。入力システム304は、音声認識のためのマイクロフォンおよび画像入力のためのカメラなどのような他の入力装置と共に、タッチスクリーンに加えて1つ以上のボタンを含むことができる。他の例はタッチスクリーンインタフェースを含まなくてもよい。
【0041】
制御装置は、この例においては充電式リチウムイオン電池である電源306により電力が供給される。他の例は、他のバッテリ技術、主電源(商用電源)、または太陽電力などのような環境発電などのような代替の電源を使用できる。
【0042】
無線インタフェース308は、タイヤ圧センサシステムにおける他の装置と通信するために制御装置12に含まれている。この例においては、タイヤ監視装置10と通信するように構成されている単一無線インタフェース308が設けられる。例えば、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、またはIEEE 802.11に準拠している無線通信技術などのような、相対的に長い距離の無線通信技術を使用できる。これは、制御装置12が相対的に長い距離からタイヤ監視装置と情報をやりとりすることを可能にする。
【0043】
他の例においては、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11(Wi-Fi_33)、WAIC、RFID、およびNFCの少なくとも2つなどのような、異なる無線技術で動作する複数の無線通信インタフェースまたはトランシーバを制御装置に提供できる。例えば制御装置は、1つが他方よりもより長い通信距離を有している2つのトランシーバを有することができる。
【0044】
ストレージ310はフラッシュメモリなどのような不揮発性素子と、RAMなどのような揮発性素子を含んでいる。不揮発性素子は、オペレーティングシステムソフトウェアとアプリケーションソフトウェアを格納するために使用される。この例においては、制御装置は標準オペレーティングシステムソフトウェアを起動し、タイヤ圧センサシステムと情報をやりとりするためにアプリケーションソフトウェアが搭載されている。タイヤ圧センサネットワークへのアクセスを制限するために、アプリケーションソフトウェアは安全なソースから提供でき、一般には利用可能ではなく、および/または、操作の前に資格証明を入力することを要求できる。
【0045】
有線通信インタフェース312は演算システムへの接続のために設けられる。有線通信インタフェース312は、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのようなシリアルデータ接続、パラレルデータ接続、またはイーサネット(登録商標)などのようなネットワーク接続であることができる。有線通信インタフェース312は、制御装置がタイヤ監視装置からの読まれた値および/または他のステータス情報を、例えば、長期的動向を格納し、フリート管理を支援するために演算システムに通信で送ることを可能にできる。代替的に、または追加的に、無線通信インタフェース308は演算システムとの通信のために使用できる。幾つかの例においては、制御装置は有線通信インタフェースを含まなくてもよい。
【0046】
図4は
図1の例における使用のための構成装置14の模式図を示している。構成装置14は制御装置12とほぼ同じ要素を含んでいる。つまり、プロセッサ400、ディスプレイ402、入力システム404、電源406、無線インタフェース408、ストレージ410、および有線通信インタフェース412を含んでおり、これらは下記に別途記述されない限り、制御装置に関して上述したものとほぼ同じである。この例においては、構成装置はモバイル装置であるが、タイヤ監視システムとのみ動作するように限定されている。例えば、構成装置は、タイヤ監視システムとの情報のやりとりのためのソフトウェアを起動できるだけの演算装置またはタブレットであってよい。
【0047】
この例における構成装置の無線通信インタフェース408は、例えば、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、NFC、またはRFIDのような相対的に短い距離の通信システムである。これは、タイヤ監視装置を構成するときに、構成装置が追加的認証ファクタとして動作することを可能にし、例えば、タイヤ監視装置は、構成装置から受信した構成コマンドに応答できるだけであり、または、構成装置から受信したコマンドの後に、制御装置から受信した構成コマンドに応答できるだけである。
【0048】
他の例においては、構成装置は複数の無線通信インタフェースまたはトランシーバを含むことができる。例えば構成装置は、上記で検討したように、相対的に短い距離の通信のためのトランシーバと、IEEE 802.11に準拠しているトランシーバなどのような、相対的に長い距離の通信のためのトランシーバを含むことができる。
【0049】
構成装置の有線通信インタフェース412は、安全な方法で構成装置に情報を提供するために使用でき、例えば、無線インタフェースではなく、シリアルデータ接続などのような有線インタフェースを介して幾つかの暗号化キーが更新されることを可能にする。
【0050】
幾つかの例においては構成装置14を省略することができ、制御装置12が取って代わることができる。制御装置12は、IEEE 802.15.1、IEEE 802.15.4、RFID、またはNFCに準拠している無線通信インタフェースなどのような、短距離無線通信インタフェースを備えることができる。アプリケーションソフトウェアを制御装置に搭載することができ、それにより、構成コマンドの送信のための短距離無線通信インタフェースの動作を制御するために、おそらくは適切な資格証明によってのみアクセスできる暗号化キーの維持を通して、制御装置が追加的認証ファクタとしても機能することを可能にする。これらの例においては、別個のアプリケーションソフトウェアを制御装置に備えてもよく、このソフトウェアを、制御装置が構成装置として機能するように実行できる。
【0051】
図5は、航空機に設置されているタイヤ圧センサネットワークの模式図を示している。航空機500は、胴体510、翼520、主脚(主着陸装置)530、および前脚540を備えている。1つの例によれば、航空機500は、ここにおいて記述されている例の何れにも係るセンサネットワークを備えている。航空機500は、ここにおいて記述されている方法の何れとも連携して使用できる。1つの例によれば、複数の無線ノードが航空機500の周りの種々の位置に分散されている。例えば、主脚530と前脚540、翼520、および胴体510において分散されている。タイヤ監視装置は、主脚530と前脚540の各車輪に設置されている。
【0052】
1つの例においては、タイヤ監視装置10はまた、操縦室のパイロットにタイヤ圧情報を提供するためにコックピットシステムと通信している。これらの例においては、操縦室のコンソールはまた制御装置としても機能できる。
【0053】
[例としてのタイヤ圧確認プロセス]
図6は、
図1の例と共に使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。まず、ブロック602において、ユーザは、制御装置12でタイヤ監視制御アプリケーションを起動する。アプリケーションの初期化の間に、監視装置との通信のための無線通信インタフェース308が制御装置上で動作していることが確認され、動作していなければ、ユーザはそれを動作させるように催促される。
【0054】
次にブロック604において、制御装置は近くのタイヤ監視装置を調べる。例えば、制御装置は無線通信インタフェースを介してプローブを送出でき、それにより、近くの何れのタイヤ監視装置にも、タイヤ監視装置が取り付けてある航空機のテール識別子などのような車両識別子の指標を応答させる。この調査は、各タイヤ監視装置との直接の二地点間接触、または、例えば、メッシュネットワークにおけるアクセスポイント、マスターデバイス、または任意の装置を通して、タイヤ監視装置のネットワークを介しての接触を確立することを含んでもよい。調査は、タイヤ監視装置を低電力モードから活性状態にすることを含んでもよい。調査は、センサネットワークと通信するためのセキュアネットワークキーを使用することを含んでもよい。
【0055】
通信距離と位置によっては、2台以上の車両と関連付けられているタイヤ監視装置を検出できる。例えば、数機の航空機が制御装置の近くの同じ格納庫内にあってもよい。次にブロック606において、入力を使用することを要求せずに識別子は自動的に選択されるべきかどうかが決定される。例えば、アプリケーションは、識別子は自動的に選択されるべきか否かの構成オプションを格納できる。自動選択が要求されなければ、プロセスはブロック608に進む。自動選択が要求されれば、プロセスはブロック612に進む。幾つかの例においては、ブロック606は含まれない。これらの例においては、下記に説明されるようにプロセスは手動選択または自動選択で継続できる。
【0056】
手動選択に対しては、ブロック608において、制御装置は検出された車両の識別子を表示する。ブロック610において、例えば所望の識別子のユーザ選択からの選択された識別子の入力が受信される。
【0057】
自動選択に対しては、ブロック612において、車両識別子が、受信した応答において示されている識別子の中から自動的に選択される。これは種々の方法で行うことができる。例えば、近くの各タイヤ監視装置が個別に制御装置に応答したときは、少なくとも2つの応答は、同じ車両識別子と関連付けられているタイヤ監視装置からであってよい。その場合、最大数の応答と関連付けられている車両識別子は、圧力測定が要求されている制御装置に最も近い車両である可能性が高いので、それを自動的に選択してもよい。他の例においては、制御装置に最も近いタイヤ監視装置の車両識別子、例えば、受信信号強度指標(RSSI)の最大値を有している応答を選択してもよい。更なる例においては、すべての検出されたタイヤ監視装置を同じ車両識別子と関連付けてもよく、その場合はそれが選択される。
【0058】
次に、ブロック614において、選択された識別子に対応するタイヤ監視装置に圧力を読ませ、それを制御装置に報告させるためにコマンドがタイヤ監視装置に送られ、例えば、タイヤ監視装置は、
図7を参照して下記に記述されるようなプロセスを実行してもよい。
【0059】
応答は、ブロック616でタイヤ監視装置から受信され、ブロック618で制御装置に表示される。圧力の表示は、数値と、「OK」または「低圧」などのようなステータス指標の何れか、または両者を含むことができる。
【0060】
ブロック620において、データの整合性を確実にするために受信データの照合確認を行うことができる。そして、プロセスは終了する。
【0061】
図6のプロセスの間、制御装置とセンサ装置との間の通信は、例えば、ネットワークキーで暗号化されて安全であることができる。制御装置との通信のためのネットワークキーは、システムのセキュリティを高めるために、センサ装置間の通信に使用されるネットワークキーとは異なっていてもよい。
【0062】
セキュリティは、安全キーを交換するときに、制限された送信距離で無線通信技術を使用することにより高めることができ、例えば、802.11(Wi-Fi)規格は、見通しのきく空間においては50mを超える距離の通信を可能にできる。幾つかの例においては、暗号化キーを送信するときは、暗号化されたデータ自身の送信と比べて、送信電力を削減することにより、または、NFCやRFIDなどのような近距離技術を使用することによりセキュリティを高めることができ、これは、最初のキー交換プロセスに対しては、より近い近接を要求する。距離を制限する技術もまた導入することができ、これが超広帯域無線通信と組み合わされると、通信機器の距離を安全に測定でき、機器の安全な周辺内で情報のやりとりが起こっていることを確実にする。これについては、下記に
図8を参照して更に検討する。
【0063】
図7は、
図2のタイヤ監視装置が使用できるタイヤ圧確認プロセスのフローチャートを示している。このプロセスは、例えば、制御装置における不正操作またはエラーを監視するために、システムからの圧力測定値における追加的保証と耐故障性を提供するために設けられている。このプロセスを通して、監視装置は、制御装置とは独立しているタイヤ圧ステータスの指標を提供するためにその表示計器を使用する。幾つかの例においては、監視装置によるタイヤ圧ステータスの指標は、制御装置で提供される指標よりも高い設計保証レベル(DAL)を有することができる。例えば、制御装置を、タイヤ圧測定を開始し、ユーザが測定の結果を理解するための便利な手段を提供するために使用できるが、それはDALの保証を有することができず、一方、監視装置の表示計器を使用して指標を提供するための監視装置の動作は、設計保証レベルBを保証することができる。これは、それらの装置のDALに対する保証は要求されないので、システムが制御装置の広い範囲と共に動作することを可能にできるが、システムが全体として、要求される安全規格を満たすことを依然として確実にできる。同様に、幾つかの例においては、監視装置は、制御装置よりも高いセキュリティ保証レベル(SAL)を有してもよい。
【0064】
まず、ブロック702において、タイヤ監視装置は、制御装置から無線通信インタフェースを介して圧力を確認するコマンドを受信する。これに応答して、ブロック704において、プロセッサはタイヤにおける圧力を測定するために圧力センサを使用する。そして測定された圧力は、タイヤ圧が低いかどうかを決定するために、ブロック706において基準圧力と比較される。この例においては、圧力センサにより感知された圧力が基準圧力の89%未満のときに低圧が発生する。他の例では、測定された圧力が基準圧力の95%未満、90%未満、または85%未満のときに低圧を決定できる。更なる例では、測定された圧力が基準圧力よりも少なくとも約207kPa(約30psi)低いときに低圧を決定できる。他の例では、測定された圧力が基準圧力よりも少なくとも約138kPa(約20psi)、または約69kPa(約10psi)低いときに低圧を決定できる。低圧が検出されると、実行処理はブロック708に進み、それ以外のときはブロック712に進む。
【0065】
ブロック708において、プロセッサは、例えば、所定の時間の間は点灯している赤色のライトを設けることにより欠陥状況を示すために表示計器を使用する。所定の時間は、例えば、5分、2分、1分、または30秒であってよい。プロセッサはまた無線通信インタフェースを再び使用して、欠陥を示す指標をブロック712において他のタイヤ監視装置に一斉送信する。
【0066】
ブロック712においてプロセッサは、他のタイヤ監視装置からの何らかの欠陥を示すメッセージが無線通信インタフェースを介して受信されたかどうかを確認する。そのような欠陥を示すメッセージは直接受信でき、または、他のタイヤ監視装置を介して受信でき、または、ハブまたはアクセスポイントを介して受信できる。この例においては、そのような欠陥を示すメッセージは、ブロック704におけるコマンドの受信に続いて、最初に要求されることなく受信される。他の例においては、タイヤ監視装置により他のタイヤ監視装置に送られたステータスの問い合わせに応答して欠陥を示すメッセージを受信できる。何らかの欠陥を示すメッセージが受信されると、実行処理はブロック714に進み、そこにおいてプロセッサは、欠陥状況を表示するために表示計器を使用する。例えば、欠陥を示す指標はブロック708で使用されたものと同じであってよい。他の例においては、欠陥を示す指標はブロック708で使用されたものとは異なっていてもよく、例えば、所定の時間の間は点滅している赤色のライトなどのような第2の欠陥を示す指標であってよい。第2の欠陥を示す指標を使用することにより、タイヤ監視装置は他のタイヤにおける欠陥を示すことができ、それ自身の測定された圧力は低くないということを知らせることができる。
【0067】
ブロック712において欠陥を示すメッセージが受信されない場合は、実行処理はブロック716に進み、そこにおいてプロセッサは、表示計器を使用して「OK」を示す指標を提供する。例えば、所定の時間の間は点灯している緑色のライトを設けることにより、「OK」を示す指標を提供する。所定の時間は、例えば、5分、2分、1分、または30秒であってよい。このようにして、「OK」を示す指標は、すべてのタイヤ監視装置がそれらと関連付けられているタイヤの圧力は低くなく、他のタイヤ監視装置から欠陥を示す指標を受信していないということを決定したときのみ与えられる。
【0068】
最終的にブロック718において、測定されたタイヤ圧のデータは、コマンドに応答して制御装置に送信される。このデータは更に、格納されている基準圧力、決定されたステータス、および車輪の位置などのような情報を含むことができる。追加的な情報の送信は、タイヤ監視装置の正しい動作の検証、およびストレージに格納されている構成データが変化していない、または正しく設定されているという確認を可能にできる。ブロック718における送信は、制御装置12に直接、または転送のために他のタイヤ監視装置10に、またはアクセスポイントまたは他の無線ノードに対して行うことができる。
【0069】
図7の方法では、タイヤ圧ステータスの確認は、タイヤ監視装置自身により行われる。何れのセンサにおける欠陥もすべてのセンサに欠陥を示させる。このようにしてタイヤ監視装置は、制御装置もまた保証されることを必要とせずに、タイヤ監視装置自身の指標を使用して、要求されたDALおよび/またはSALに従って保証され得る。
【0070】
他の例においては、ブロック710において欠陥を示す指標を送信するのではなく、その代わりに、すべてのタイヤ監視装置がそれら自身の測定された圧力を他のタイヤ監視装置に送信してもよい。そして、受信された圧力は欠陥が存在するかどうかを決定するために、各独立したタイヤ監視装置により独立して確認してもよい。これにより、例えば、格納されている基準圧力が正しくないものになった場合に低圧状況を示さないセンサにおける欠陥を監視できる。
【0071】
更なる例においては、ブロック706でタイヤ圧は低くないと決定されたときに、タイヤ監視装置は「OK」ステータス通知を送信してもよい。そのような例は、他のタイヤ監視装置の1つからデータが受信されない場合は、そのタイヤ監視装置における機能不全または欠陥を示しているので、すべてのセンサが正しく動作しているという保証を提供できる。
【0072】
上記のプロセスは、一般的なモバイル装置を制御装置として使用することを記述しているが、制御装置はまた、タイヤ監視システムとの使用のみに、またはより一般的に車両との使用のみに提供される専用装置であってもよい。これは、より高いレベルの制御が可能になるのでセキュリティを向上できる。
【0073】
上記のプロセスは、ライトである表示計器の使用を記述しているが、他の例は、ディスプレイおよび/またはオーディオ構成要素などのような他の表示計器を使用できる。例えば、点灯または点滅している色を単に表示するのではなく、ディスプレイはまた、測定された圧力自身の情報も表示できる。オーディオおよび視覚表示計器の両者が提供されていても、幾つかの指標はオーディオおよび視覚表示計器の両者を使用しなくてもよい。例えば、「OK」指標は視覚表示計器のみを使用でき、オーディオ表示計器は欠陥があるときだけに起動させることができる。
【0074】
[高められたセキュリティのための距離制限]
無線チャネルには第三者がより容易にアクセス可能なので、無線通信の使用はセキュリティのリスクを増大し得る。タイヤ監視システムにおける装置間で交換されるメッセージの暗号化は、不正な装置が盗聴すること、または、暗号化キーについて知識なしに不正なコマンドまたはデータを注入することをより困難にする。上述したように、通信の距離を制限することもまたセキュリティを向上できる。距離におけるそのような制限は、無線通信プロトコルにおいては固有のものであることができ、例えば、NFCとRFIDは、典型的には30cm未満の範囲で動作する。WiFiまたは802.11プロトコルなどのような他の無線通信プロトコルは、見通しがきく空間においては約50mの範囲を有することができ、送信電力が制限された場合はそれより範囲は狭くなる。それにも拘わらず、送信電力が通信範囲を制限しても、それは明確に定義された境界を提示することにはならない。範囲は、例えば、感度を上げるために指向性アンテナを使用することにより拡張できる。
【0075】
この実施形態においては、距離基準がタイヤ監視装置において使用される。通信が始まると、通信している装置までの範囲または距離が決定され、距離基準に対して評価される。範囲が閾値距離よりも広いと通信は停止され、受信された何れのコマンドまたはデータも処理されない。代替的に、受信されたコマンドまたはデータは、範囲が閾値距離より狭いときに処理できるだけである。タイヤ監視システムの一般的な使用に対しては、適切な閾値距離は40m、30m、または25mである。物理的近接が強制されるので、不正な攻撃に対するセキュリティは向上される。
【0076】
構成コマンドおよび/または暗号化キーの交換などのような特別なタイプのコマンドに対しては、より短い閾値距離を使用できる。この場合、距離閾値は、例えば、1m、50cm、25cm、または5cmであってよい。
【0077】
任意の適切な技術を、範囲を決定するために使用できる。無線通信プロトコル自体が測距技術を含むことができる。例えば、超広帯域(UWB)通信は、プロトコルスタックの一部として範囲決定を含んでいる。範囲または距離は、IEEE 802.15.4aまたはIEEE 802.15.4zにおいて定義されているように、送信装置と受信装置との間の範囲データの交換と共に、飛行時間の測定を使用して能動的に決定されるのが好ましい。
【0078】
図7を参照して記述された方法などのような、タイヤ圧確認プロセスのセキュリティを向上するために、強制された距離制限を使用する例としての方法をここで説明する。この方法は、ブロック702において、無線インタフェースを介して受信されたコマンドを実行または実施するかどうか、またはブロック712における欠陥を示すメッセージなどのような、他のセンサから受信されたデータを処理すべきか、または拒絶すべきかを決定するために使用できる。
【0079】
図8は、距離制限を強制するために使用できる例としての方法を示している。まず、ブロック802において、タイヤ監視装置はタイヤ監視システムの他の装置から無線インタフェースを介してコマンドおよび/またはデータを受信する。これは他のタイヤ監視装置(受信したデータに対するような)または制御装置(コマンドに対するような)からであってよい。この例においては、データはUWB無線インタフェースを介して受信される。
【0080】
次にブロック804において、第2装置までの距離が決定される。任意の適切な距離測定技術を使用できる。例えば、装置が距離測定データを交換し、飛行時間を計算し、距離を計算する飛行時間(Time-of-Flight)方法は、匹敵するものを見つけるのが難しいほどの正確な距離測定値を提供する。
【0081】
距離が決定されると、ブロック806において、距離が所定の距離閾値より短いかどうかが決定される。距離が閾値より短いと実行処理はブロック808に進み、そこにおいて適切にコマンドが実施され、またはデータが処理される。距離が閾値を超えていると、方法はブロック810で終了する。幾つかの例においては、方法がブロック810で終了する前に、表示計器を点滅させなどして警報を提供でき、またはタイヤ監視装置が潜在的に不正なコマンドまたはデータが受信されたことを示すことができる。
【0082】
ここにおいて使用されているように、「または」という用語は、そうでないと明記されない限り「および/または」を意味していると解釈されるべきであるということに留意すべきである。
【0083】
上記の例は、発明の例として理解されるべきである。任意の1つの例と関連して記述されている任意の特徴は、単独で使用でき、または、記述されている他の特徴と組み合わせて使用でき、および任意の他の例の1つ以上の特徴と組み合わせて使用でき、または、任意の他の例の任意の組み合わせと組み合わせて使用できるということは理解されるべきである。更に、上述されていない等価物および修正例もまた、付随する請求項において定義される発明の範囲から逸脱することなく採用できる。
【外国語明細書】