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特開2022-94959プラズマアークトーチ及び切削システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094959
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】プラズマアークトーチ及び切削システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 10/00 20060101AFI20220620BHJP
   H05H 1/34 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B23K10/00 501A
B23K10/00 504
H05H1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202604
(22)【出願日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】17/121,901
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ.ウィリアムズ
【テーマコード(参考)】
2G084
4E001
【Fターム(参考)】
2G084AA16
2G084BB11
2G084CC23
2G084CC34
2G084DD01
2G084GG03
2G084GG18
2G084GG21
2G084GG28
4E001AA01
4E001AA02
4E001BA04
4E001DD02
4E001DD05
4E001DD08
4E001LA02
4E001LA03
4E001LD03
4E001LH10
(57)【要約】
【課題】 プラズマアークトーチ及び切削システムを提供する。
【解決手段】 プラズマアークトーチは、ノズル本体と、ノズル本体から延びるノズルと、シールドキャップとを含む。外側保持キャップがプラズマアークトーチに取り付けられ、シールドキャップをプラズマアークトーチに固定する。スリーブが外側保持キャップから半径方向外側に配置され、加圧ガス流を受け取るよう構成される。絶縁体が外側保持キャップとスリーブとの間に配置される。スリーブ及び絶縁体のうちの少なくとも1つが、スリーブから外側保持キャップの遠位部へとガス流を導くよう構成されたガス流路を形成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマアークトーチであって、
ノズル本体と、
前記ノズル本体から延びるノズルと、
シールドキャップと、
前記プラズマアークトーチに取り付けられ、前記シールドキャップを前記プラズマアークトーチに固定する外側保持キャップと、
前記外側保持キャップから半径方向外側に配置され、加圧ガス流を受け取るよう構成されたスリーブと、
前記外側保持キャップと前記スリーブとの間に配置された絶縁体と、
を備え、前記スリーブ及び前記絶縁体のうちの少なくとも1つが、前記スリーブから前記外側保持キャップの遠位部へとガス流を導くよう構成されたガス流路を形成する、プラズマアークトーチ。
【請求項2】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記ガス流路が、前記環状プレナムから前記スリーブの遠位端へと延びる、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項3】
前記スリーブに取り付けられ、前記環状プレナムと流体的に連通しているガス継手を更に備える、請求項2に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項4】
前記ガス流路が、前記絶縁体の外面の周りに環状に配列された複数の溝を備える、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項5】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記複数の溝が、前記環状プレナムから前記絶縁体の遠位終端まで軸方向に延びる、請求項4に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項6】
前記スリーブから軸方向に前記外側保持キャップの遠位終端を過ぎて延びるシールドを更に備え、
前記プラズマアークトーチの遠位終端に前記ガス流を導くために、前記シールドと前記外側保持キャップ及び前記シールドキャップの両方との間に空隙を形成するように、前記シールドが、前記外側保持キャップ及び前記シールドキャップから半径方向にオフセットされる、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項7】
プラズマアークトーチと、
前記プラズマアークトーチにプラズマ切削電流を供給するプラズマ切削電源と、
切削作業中に前記プラズマアークトーチを移動させるトーチアクチュエータと、
前記トーチアクチュエータと動作的に接続され、前記切削作業中に前記プラズマアークトーチの移動を制御する移動コントローラと、
前記プラズマアークトーチへのプラズマガス流及び溶融金属除去ガス流を制御するよう構成されたガスコントローラと、
を備え、
前記溶融金属除去ガス流が、前記プラズマアークトーチの穿孔作業中に作動し、前記ガスコントローラが、前記穿孔作業の完了を自動的に決定し、前記穿孔作業の前記完了を決定した際に前記溶融金属除去ガス流を停止するよう構成される、プラズマ切削システム。
【請求項8】
前記溶融金属除去ガス流に添加剤を注入するインジェクタを更に備え、前記添加剤が、前記穿孔作業中に生成される溶融パドルの表面張力を低減するよう構成される、請求項7に記載のプラズマ切削システム。
【請求項9】
前記添加剤がスパッタ防止液であり、前記ガスコントローラが、前記インジェクタの動作を制御するよう前記インジェクタに動作的に接続される、請求項8に記載のプラズマ切削システム。
【請求項10】
前記ガスコントローラが、更に、前記プラズマアークトーチへのスパッタ防止液の放出を制御するよう構成される、請求項7に記載のプラズマ切削システム。
【請求項11】
前記ガスコントローラが、更に、前記プラズマアークトーチへの添加剤の放出を制御するよう構成され、前記添加剤が、前記穿孔作業中に生成される溶融パドルの表面張力を低減するよう構成される、請求項7に記載のプラズマ切削システム。
【請求項12】
前記プラズマ切削電源が、前記ガスコントローラにプラズマ電圧信号を提供し、前記ガスコントローラが、前記プラズマ電圧信号の変化に基づいて前記穿孔作業の前記完了を決定する、請求項7に記載のプラズマ切削システム。
【請求項13】
前記プラズマアークトーチが、
ノズル本体と、
前記ノズル本体から延びるノズルと、
シールドキャップと、
前記プラズマアークトーチに取り付けられ、前記シールドキャップを前記プラズマアークトーチに固定する外側保持キャップと、
前記外側保持キャップから半径方向外側に配置され、前記プラズマアークトーチへの前記溶融金属除去ガス流を受け取るスリーブと、
前記外側保持キャップと前記スリーブとの間に配置された絶縁体と、
を含み、
前記スリーブ及び前記絶縁体のうちの少なくとも1つが、前記スリーブから前記外側保持キャップの遠位部へと前記溶融金属除去ガス流を導くよう構成されたガス流路を形成する、請求項7に記載のプラズマ切削システム。
【請求項14】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記ガス流路が、前記環状プレナムから前記スリーブの遠位端へと延びる、請求項13に記載のプラズマ切削システム。
【請求項15】
前記スリーブに取り付けられ、前記環状プレナムと流体的に連通しているガス継手を更に備える、請求項14に記載のプラズマ切削システム。
【請求項16】
前記ガス流路が、前記絶縁体の外面の周りに環状に配列された複数の溝を備える、請求項13に記載のプラズマ切削システム。
【請求項17】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記複数の溝が前記環状プレナムから前記絶縁体の遠位終端まで軸方向に延びる、請求項16に記載のプラズマ切削システム。
【請求項18】
前記スリーブから軸方向に前記外側保持キャップの遠位終端を過ぎて延びるシールドを更に備え、
前記溶融金属除去ガス流を前記プラズマアークトーチの遠位終端に導くために、前記シールドと前記外側保持キャップ及び前記シールドキャップの両方との間に空隙を形成するように、前記シールドが、前記外側保持キャップ及び前記シールドキャップから半径方向にオフセットされる、請求項13に記載のプラズマ切削システム。
【請求項19】
プラズマアークトーチのアタッチメントであって、
前記プラズマアークトーチに取り付け可能であり、シールドキャップを前記プラズマアークトーチに固定するよう構成された外側保持キャップと、
前記外側保持キャップから半径方向外側に配置され、加圧ガス流を受け取るよう構成されたスリーブと、
前記外側保持キャップと前記スリーブとの間に配置された絶縁体と、
前記スリーブから前記外側保持キャップの遠位部へとガス流を導くよう構成されたガス流路と、
を備えるアタッチメント。
【請求項20】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記ガス流路が前記環状プレナムから前記スリーブの遠位端へと延びる、請求項19に記載のアタッチメント。
【請求項21】
前記スリーブに取り付けられ、前記環状プレナムと流体的に連通しているガス継手を更に備える、請求項20に記載のアタッチメント。
【請求項22】
前記ガス流路が、前記絶縁体の外面の周りに環状に配列された複数の溝を備える、請求項19に記載のアタッチメント。
【請求項23】
前記スリーブが環状プレナムを含み、前記複数の溝が、前記環状プレナムから前記絶縁体の遠位終端まで軸方向に延びる、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項24】
前記スリーブから軸方向に前記外側保持キャップの遠位終端を過ぎて延びるシールドを更に備える、請求項19に記載のアタッチメント。
【請求項25】
前記ガス流を前記プラズマアークトーチの遠位終端に導くために、前記シールドと前記外側保持キャップとの間に空隙を形成するように、前記シールドが、前記外側保持キャップから半径方向にオフセットされる、請求項24に記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマアークを用いてワークピースを切削するためのプラズマアークトーチに関し、ワークピースを穿孔する際に生成される溶融パドル及びトップスパッタを最小化し、高品質な小径の穴の切削を容易にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマアークトーチによるワークピースの初期の穿孔によって、トップドロスとしても知られるトップスパッタがもたらされ得る。ワークピースが穿孔されるにつれて、穿孔穴から溶融物質が取り除けられ、穿孔穴の周囲に溶融パドルとして堆積し得る。溶融物質はトップスパッタとして凝固し、ワークピース上面の穿孔穴の周囲に付着する。トップスパッタは、例えば0.25インチ以上の厚さのワークピースのような厚いワークピースに穿孔する際にしばしば問題となり、そのような厚いワークピースの穿孔は、過剰なトップスパッタをもたらし得る。トップスパッタのために、厚いワークピースにおいて許容可能な品質の小さな穴を切削することが困難になる。トップスパッタは穿孔穴より大きな直径を有し、トーチは、許容可能な品質の切削穴を達成するために、トップスパッタの周囲を切削しなければならない。例えば、1インチの厚さのワークピースの穿孔では、2インチを超える幅又は直径を有するトップスパッタがもたらされ得る。そのようなシナリオでは、2インチ以下の直径を有する許容可能な品質の穴を切削することは不可能であろう。従来のプラズマ切削システムにとって、穴径の材料厚さに対する許容可能な比率は、穿孔中に生成されるトップスパッタの幅のために、典型的に、2:1より大きい。穿孔中に生成される溶融パドル、及び結果として生じるトップスパッタのサイズを最小化し、ワークピースから許容可能な品質の、より小さな穴を切削可能とすることが望まれ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下の要約は、本明細書で論じられる装置、システム及び/又は方法のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された要約を提示する。この要約は、本明細書で論じられる装置、システム及び/又は方法の詳しい概要ではない。必須の要素を特定したり、そのような装置、システム及び/又は方法の範囲を画定したりすることは、意図されていない。本要約の唯一の目的は、以下に提示される更に詳細な説明への前置きとして、簡略化した形で、いくつかの概念を提示することである。
【0004】
本発明の1つの態様によれば、ノズル本体と、ノズル本体から遠位に延びるノズルと、シールドキャップとを有するプラズマアークトーチが提供される。外側保持キャップがプラズマアークトーチに取り付けられ、シールドキャップをプラズマアークトーチに固定する。スリーブは、外側保持キャップから半径方向外側に配置され、加圧ガス流を受け取るよう構成される。絶縁体は、外側保持キャップとスリーブとの間に配置される。スリーブ及び絶縁体のうちの少なくとも1つは、スリーブから外側保持キャップの遠位部へとガス流を導くよう構成されたガス流路を形成する。
【0005】
本発明のもう1つの態様によれば、プラズマ切削装置が提供される。プラズマ切削装置は、プラズマアークトーチと、プラズマアークトーチにプラズマ切削電流を供給するプラズマ切削電源とを含む。トーチアクチュエータが、切削作業中にプラズマアークトーチを移動させる。移動コントローラは、トーチアクチュエータと動作的に接続され、切削作業中にプラズマアークトーチの移動を制御する。ガスコントローラは、プラズマアークトーチへのプラズマガス流及び溶融金属除去ガス流を制御するよう構成される。溶融金属除去ガス流は、プラズマアークトーチの穿孔作業中に作動し、ガスコントローラは、穿孔作業の完了を自動的に決定して、穿孔作業の完了を決定した際に溶融金属除去ガス流を停止するよう構成される。
【0006】
本発明のもう1つの態様によれば、プラズマアークトーチのアタッチメントが提供される。アタッチメントは、プラズマアークトーチに取り付け可能な外側保持キャップであって、シールドキャップをプラズマアークトーチに固定するよう構成された外側保持キャップを含む。スリーブは、外側保持キャップから半径方向外側に配置され、加圧ガス流を受け取るよう構成される。絶縁体は、外側保持キャップとスリーブとの間に配置される。アタッチメントは、スリーブから外側保持キャップの遠位部へとガス流を導くよう構成されたガス流路を含む。
【0007】
本発明の上記の及び他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読む際に、本発明の関連する技術分野の当業者にとって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、プラズマアークトーチを示す。
図2図2は、プラズマアークトーチの部品を示す分解図である。
図3図3は、プラズマアークトーチのアタッチメントの部品を示す分解図である。
図4図4は、プラズマアークトーチのアタッチメントの断面図である。
図5図5は、プラズマアークトーチの部分断面図である。
図6図6は、プラズマアークトーチのアタッチメントの第2の実施形態の断面図である。
図7図7は、プラズマアークトーチのアタッチメントの第2の実施形態の絶縁体を示す。
図8図8は、プラズマアークトーチのアタッチメントの第2の実施形態の絶縁体を示す。
図9図9は、プラズマ切削システムの概略図である。
図10図10は、プラズマアークトーチによるワークピースの穿孔の結果を示す。
図11図11は、プラズマアークトーチによるワークピースの穿孔のもう1つの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、プラズマアークを用いてワークピースを切削するプラズマアークトーチに関し、ワークピースを穿孔する際に生成される溶融パドルを最小化するシステム及び方法に関する。以下に、添付の図面を参照して本発明を説明するが、図面全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を示すものとして用いられる。様々な図面は、必ずしも互いに縮尺が合っていない、又は所定の形状の中に描かれていないこと、そして特に各部品のサイズは図面の理解を助けるために恣意的に描かれていることが理解される。以下の記載において、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、本発明は、これらの特定の詳細なしでも実施され得ることが明らかであろう。更に、本発明の他の実施形態も可能であり、本発明は、記載された以外の方法で実施及び実行されることが可能である。本発明を説明するために使用される専門用語及び表現は、本発明の理解を促進する目的で使用されており、限定的なものと解釈されてはならない。
【0010】
本明細書で使用されるように、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、及び「及び/又は」は、作用において接続的でも離接的でもある開放的な表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ以上」、「A、B又はCのうちの1つ以上」、及び「A、B及び/又はC」という表現のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、A及びB、A及びC、B及びC、或いは、A及びB及びC、を意味する。実施形態の説明、特許請求の範囲又は図面のいずれにあるかに関わらず、2つ以上の選択的な語を提示する任意の離接的な語又はフレーズは、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、又は、用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」というフレーズは、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されるべきである。
【0011】
本明細書において、とりわけ、トーチ上流側の流体及び電気接続、並びにハンドル部と、トーチ下流側又は切端のノズル、シールドキャップ、及び外側保持キャップと、を有し得るプラズマアークトーチが説明される。本明細書で使用される「近位」という用語は、トーチのハンドル部と任意の流体及び電気接続とを有する端に向かう、トーチの上流方向を意味する。本明細書で使用される「遠位」という用語は、トーチの切端に向かう、トーチの下流方向を意味する。
【0012】
本発明は、プラズマガス流及びシールドガス流の外側に溶融金属除去ガス流を作り出すことにより、穿孔中に生成される溶融パドルと、結果として生じるトップスパッタ或いはトップドロスとを低減又は最小化し、穿孔時間をも短縮する。例えば、溶融金属除去ガスは、穿孔中に生成される溶融金属を、穿孔穴を通って吹き飛ばすように、トーチの外側保持キャップの外側遠位部を過ぎて、トーチのシールドキャップの周囲を流れることができる。溶融金属除去ガス流は、穿孔作業中のみ作動し、穿孔作業の完了後は自動的に停止される。特定の実施形態において、穿孔中に生成される溶融材料がワークピースに貼着せずに溶融材料が穿孔穴を貫流するのを助けるために、例えばスパッタ防止液のような添加剤が溶融金属除去ガス流に注入される。本発明は、(例えば、約0.25インチ以上の厚さの)厚いワークピースに対し、従来のプラズマアークシステムより速くワークピースを穿孔する(例えば、穿孔時間を約30%削減する)ことができ、トップスパッタのサイズを材料の厚さの2倍(200%)より大きいものから、材料の厚さの1倍(100%)より小さいものへと低減することができる。本発明は、穿孔中に生成されるトップスパッタの幅を小さくすることで、1:1の穴(穴径の材料厚さに対する比率)及び更に小さな穴を、許容可能な切削品質でワークピースから切削することを可能とする。
【0013】
図1は、例としてのプラズマアークトーチ又はプラズマ切削トーチ100を示す。プラズマアークトーチ100は、液体冷却トーチ又は空気冷却トーチであり得る。トーチは、例えばコンピュータ数値制御(CNC)プラズマ切削台やロボットアームのような自動切削装置にクランプされ得るハンドル部102を有する。ハンドル部102の遠位側は、金属材料で作られ得るトーチ本体104である。シールドキャップをトーチに固定する外側保持キャップが、トーチ本体104に取り付けられる。外側保持キャップは、トーチ100へのアタッチメント106の一部である。アタッチメント106は、穿孔中に生成される溶融パドル及び任意のトップスパッタのサイズを最小化するために、穿孔作業中の溶融金属除去ガス流と、例えばスパッタ防止液のような添加剤のワークピースへの放出とを提供する。
【0014】
溶融金属除去ガス及び例えばスパッタ防止液のような添加剤の供給は、プラズマアークトーチ100へのアタッチメント106の文脈で説明される。しかしながら、溶融金属除去ガス及び添加剤の供給機能は、アタッチメントとしてではなく、トーチ100自体に組み込まれてもよいことが理解される。例えば、溶融金属除去ガス及び添加剤の流路は、トーチ100に直接組み込まれてもよい。溶融金属除去ガス及び添加剤は、シールドガスの周囲に放出されるよう、トーチ本体104中の導管をトーチ100の遠位端に向かって流れてもよい。図に示されたアタッチメント106の実施形態は、トップスパッタが問題にならないような比較的薄いワークピースを切削する際などの必要でないときにトーチ100から取り外し可能であるという利点を提供する。
【0015】
図2は、トーチの軸109に沿って表示された、トーチの様々な部品及び消耗品を示すトーチの分解図である。トーチ本体104、アタッチメント106、及びシールドキャップ108が図2に示される。シールドキャップ108は、トーチ本体104にねじ込まれるアタッチメント106内で、外側保持キャップによりトーチに固定される。アタッチメント106が使われないとき、従来の外側保持キャップがトーチ上でアタッチメントと置き換えられる。アタッチメント106の使用が望まれる際、従来の外側保持キャップがトーチ本体104からねじって外され、アタッチメントと置き換えられる。
【0016】
ノズル本体110又は陽極、並びに冷却チューブ112が、トーチ本体104から延びる。冷却チューブ112は、トーチ内で陰極に取り付けられ、電極114も同様に取り付けられる。トーチは、更に、旋回リング116及びノズル118を含む。トーチに取り付けられた際に、ノズル118は、ノズル本体110から遠位に向かって延びる。旋回リング116及びノズル118は、ノズル本体110に装着される内側保持キャップ120により所定位置に保持される。シールドキャップ108は、ノズル118及び内側保持キャップ120の遠位端を覆う。電極114、旋回リング116、ノズル118、内側保持キャップ120、シールドキャップ108、及び外側保持キャップは、いずれも、プラズマアークトーチの消耗品と考えられてよい。
【0017】
図3は、アタッチメント106の分解図であり、図4は、アタッチメントの断面図である。アタッチメントは、シールドキャップ(図示せず)をトーチに固定する外側保持キャップ122を含む。外側保持キャップ122は、例えば真鍮、或いは他の適切な金属又は合金のような金属材料で作られ得る。スリーブ124が、外側保持キャップ122から半径方向外側に配置される。スリーブ124も、例えばアルミニウム、ステンレススチール、或いは他の適切な金属又は合金のような金属材料で作られ得る。絶縁体126が、外側保持キャップ122とスリーブ124との間に配置される。絶縁体126は、例えばガラス強化PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリエーテルイミド等のようなプラスチック材料で作られ得る。絶縁体126は、スリーブ124を外側保持キャップ122から電気的に絶縁する。絶縁体126は、例えば圧入又は接着によって、外側保持キャップ122に取り付けられる。アタッチメント106は、更に、スリーブ124から軸方向に外側保持キャップ122の遠位端を過ぎて延びるシールド128を含む。図示された実施形態において、シールドをスリーブに取り付けるために、スリーブ124は雄ねじを有し、シールド128は雌ねじを有するが、他の取り付け機構も可能である。シールド128は、アタッチメント106の組立を容易にする(例えば、外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリをスリーブに挿入することを可能とする)ために、スリーブ124から取り外し可能であるが、特定の実施形態においては、スリーブ及びシールドが一体成型され得る。図5に最もよく示されるように、シールドと、外側保持キャップ及びシールドキャップの両方との間に空隙が形成されるように、シールド128は、外側保持キャップ122及びシールドキャップ108から半径方向にオフセットされる。穿孔作業中に、空隙が溶融金属除去ガス流を、外側保持キャップ122及びシールドキャップ108を過ぎてプラズマアークトーチの遠位終端及びプラズマアークの周囲へと導く。シールド128の遠位部が略円錐台形状を有するのに対し、シールドの近位部は略円筒状である。シールド128は、例えば銅又は銅合金、或いは他の適切な金属又は合金のような金属材料から作られ得る。
【0018】
図3及び4に示される実施形態において、スリーブ124は、スリーブの外周の周りに間隔を空けて配置される複数の留め具130により、外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリに取り付けられる。スリーブ124は、例えば、3つの等間隔に配置された位置決めねじ、蝶ねじ等によって取り付けられ得るが、任意の適切な数の留め具が使用され得る。留め具130は、スリーブ124がトーチ及び外側保持キャップ122に対して相対的に回転することを可能とし、それにより、スリーブ124から突出したガス継手132を都合の良い位置に配置することが可能となる。ガス継手132は、ガスホースをスリーブ124に取り付けるための迅速切断型の継手であってよい。ガス継手132をトーチに対して都合の良い位置に置いた状態で、スリーブ124が外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリに取り付けられると、スリーブ及びシールド128は、外側保持キャップ/絶縁体のアセンブリから、めったに取り外される必要がない。トーチの消耗品が交換される必要がある場合、ホースはガス継手132から取り外すことができ、外側保持キャップ122は、スリーブ124及びシールド128を取り付けたまま、トーチからねじって外すことができる。アタッチメント106を取り外すと、シールドキャップ108(図5)が開放され、内側保持キャップ120をトーチから外すことが可能になる。
【0019】
スリーブ124は、穿孔作業中に、ガス継手132を介して、ガス発生源からの加圧溶融金属除去ガス流と、任意選択的に、溶融金属除去ガスに混入された添加剤(例えば、スパッタ防止液)とを受け取る。溶融金属除去ガスは、空気又は他の気体(例えば、窒素、アルゴン等)であり得る。スリーブ124の内面は、溶融金属除去ガスのための環状プレナム134を形成するカウンタボア又は溝を含む。環状プレナム134は、ガス継手132と流体連通している。複数の軸方向に延びたガス流路が、溶融金属除去ガス流をスリーブ124から外側保持キャップ122の遠位部へと導く。シールド128は、更に、溶融金属除去ガス流を外側保持キャップ122の遠位終端の周囲及びシールドキャップ108(図5)の周囲へと導く。軸方向に延びたガス流路は、スリーブ124の内部及び/又は絶縁体126の内部に配置されてよく、環状プレナム134からスリーブ及び/又は絶縁体の遠位終端へと延びてもよい。しかしながら、図3及び4に示された実施形態において、ガス流路は、絶縁体126の外面の周りに環状に配列された複数の溝136又はギザギザ付きスロットとして形成される。溝136は、近位方向には環状プレナム134まで、遠位方向にはスリーブ124及び絶縁体126の終端まで、軸方向に延びる。溝136は、ガスを均等に配給することを助けるよう流れを制限しながら、溶融金属除去ガスの通路として機能する。代替としての実施形態において、ガス流路は、表面の溝又はスロットとして形成されるのではなく、スリーブ124及び/又は絶縁体126の壁の内側に配置されてもよい。
【0020】
スリーブ124の近位端は、内側に突出した環状ショルダー138を形成する。環状ショルダーは、外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリにストップ面を提供する。シールド128を取り外すと、外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリは、絶縁体が環状ショルダー138に接触するまでスリーブ124に滑入され得る。その後、スリーブ124を外側保持キャップ122及び絶縁体126のアセンブリに取り付けるよう、留め具130が締められ得る。それから、プラズマアークトーチのためのアタッチメント106の組み立てを完成させるよう、シールド128が、外側保持キャップ122の遠位終端の上に配置され、スリーブ124にねじ込まれ得る。
【0021】
図5は、トーチ上に取り付けられた溶融除去用アタッチメント106を備えるプラズマアークトーチの遠位端の断面図である。上述の様々な部品が図5に示される。アタッチメント106のシールド128と外側保持キャップ122及びシールドキャップ108との間に形成される、溶融金属除去ガス流及びスパッタ防止液のフロー137を運ぶ空隙が、図5から見て取れる。溶融金属除去ガス及び任意の混入されたスパッタ防止液のフロー137は、穿孔作業中に、プラズマ及びシールドガス流139を取り囲む。シールドキャップ108の遠位終端又は先端は、図示された通り、軸方向にアタッチメント106上のシールド128の端部を過ぎて延びて、シールド128から突出し得る。アタッチメント106上のシールド128からシールドキャップ108が突出することにより、トーチ及びプラズマ切削電源に組み込まれたプレート感知機能が正常に動作可能となる。プレート感知機能は、トーチとワークピースとの間の接触感知を提供する。
【0022】
図6は、スリーブ124を外側保持キャップ122と絶縁体140A、140Bとのアセンブリに取り付けるための上述の留め具を有しない、アタッチメント106の更なる実施形態を示す。図7及び図8に、絶縁体140A、140Bの2つの異なる実施形態が示される。絶縁体140A、140Bは、その遠位終端にフランジ142を有する。シールド128がスリーブ124にねじ込まれるにつれて、シールド上の内側に突出した環状ショルダー144が、絶縁体140A、140B上のフランジ142に接触する。シールド128上の環状ショルダー144、及びスリーブ124上の環状ショルダー138は、スリーブを外側保持キャップ122上の所定の位置に保持するよう、絶縁体140A、140Bを挟持する。絶縁体上のフランジ142は、溶融金属除去ガスが流れることができる溝又はスロットを含み得る。スロットは、渦巻かないガスの流れを提供するために、図7に示されるように略放射状に延び、又は、溶融金属除去ガスに渦巻きを提供するために、図8に示されるように放射状に角度をつけられてもよい。シールド128は、フランジ142を収容し、溶融金属除去ガスのためのプレナムを提供する環状の溝又は刻み目を含んでもよい。
【0023】
図9は、例としてのプラズマ切削システム200の様々な部品を概略的に示す。システム200は、ワークピースWをオープンエアで(水中ではなく)切削する、オープンエア型プラズマ切削作業台202を含む。プラズマ切削作業台202は、切削作業中にトーチを動かす、例えばガントリ204及びトーチキャリッジ206のような、トーチアクチュエータを含む。ガントリ204は、切削作業台本体の長手方向に沿って第1の方向(例えば、Y方向)に往復して移動することができる。ガントリ204は、作業台202の側面に沿って延びる軌道又はレールの上を移動してもよい。プラズマアークトーチ100は、ガントリ204に搭載されたトーチキャリッジ206に取り付けられる。トーチキャリッジ206は、ガントリ204に沿って、第1の方向と垂直な第2の方向(例えば、X方向)に往復して移動することができる。プラズマ切削作業台202は、トーチキャリッジ206及びガントリ204のそれぞれX方向及びY方向への移動を制御することによりワークピースWにおいて精密な切削をするようプログラムされ得る。特定の実施形態において、トーチキャリッジ206は、トーチが3つの垂直な方向に移動可能となるよう、プラズマアークトーチ100を、ワークピースWに近づく又は遠ざかるよう垂直に(例えば、Z方向に)移動させることができる。特定の実施形態において、トーチキャリッジ206は、また、ベベルカットをするために、作業台面に垂直な平面(例えば、X-Z面)において、トーチ100を回転させ又は傾けることができる。
【0024】
プラズマ切削システム200は、ガントリ204に搭載され得るトーチ高さコントローラ208を含み得る。システム200は、また、作業台202に配置されたワークピースWに対するトーチ100の移動を提供するために使用される駆動システム210を含み得る。プラズマ切削電源212は、トーチ100に連結され、プラズマアークを作り出すために使われる所望のプラズマ切削電流を提供する。
【0025】
システム200は、更に、切削作業中にプラズマ及びシールドガスのガス流量及び圧力を調節し、トーチ100に提供される溶融金属除去ガスの流量/圧力と、例えばスパッタ防止液のような任意の添加剤の注入とを制御するように構成されたガスコンソール又はガスコントローラ214を含み得る。プラズマガス、シールドガス及び溶融金属除去ガスには、例えば空気、窒素、酸素等の様々なガスが使用され得る。プラズマガス、シールドガス及び溶融金属除去ガスは、同じガスであっても異なるガスであってもよい。ガスコンソール214は、プラズマガス、シールドガス及び溶融金属除去ガスの圧力及び/又は流量を制御するための比例弁等を含んでもよい。
【0026】
ガスコントローラ214は、穿孔作業の直前又は開始時、並びに穿孔作業の完了まで又は完了直後のような穿孔作業中のみ、溶融金属除去ガス流をトーチ100に提供する。ガスコントローラ214は、プラズマ切削電源212と通信して、いつ穿孔作業が開始及び完了したかを決定する。プラズマ切削電源212が、穿孔作業の開始及び完了についてガスコントローラ214に通知してもよく、又は、(例えば、プラズマ切削電源から受け取ったプラズマ電圧/電流情報に基づいて)ガスコントローラ自らがこれらの状態を決定してもよい。例えば、プラズマ切削電源212は、穿孔中にガスコントローラ214にプラズマ電圧信号を送信してもよく、ガスコントローラは、プラズマ電圧の増加から、いつ穿孔作業が完了したかを自動的に決定してもよい。ガスコントローラ214が、ワークピースWが穿孔されたと決定すると、ガスコントローラは、溶融金属除去ガス流を停止する。
【0027】
溶融金属除去ガスは、穿孔中に生成される溶融物質を、穿孔穴を通して押し出す。溶融金属除去ガスの例としての圧力範囲は、5~70psiであるが、その他の圧力も使用され得る。溶融金属除去ガスの例としての流量範囲は、500~1200scfhであるが、その他の流量も使用され得る。
【0028】
例えばスパッタ防止液のような添加剤が、溶融金属除去ガス流に添加され得る。添加剤は、トップスパッタがワークピースに貼着する力を低減し、及び/又は溶融パドルの表面張力を低減するために、ワークピースWの表面の穿孔位置にスプレーされる。スパッタ防止液は、典型的に、スパッタがワークピースに貼着することを防止するシリコーン、又はしばしば石油ベース又は水ベースの溶剤である類似の成分を含む。スパッタ防止液は、また、溶融パドルの表面張力を低減し、溶融金属除去ガスによるパドルの移動を促進する。スパッタ防止液は既知であり、その組成が詳細に説明される必要はない。特定の実施形態において、添加剤は、エアゾール液体ではなく、溶融金属除去ガスに混入され穿孔位置でワークピースに吹き付けられる粉末であってもよい。溶融金属除去ガスにより提供される添加剤は、トップスパッタがワークピースに貼着する力を低減し、及び/又は溶融パドルの表面張力を低減する任意の物質であり得る。特定の実施形態において、添加剤は、溶融金属除去ガスとは別にワークピースにスプレーされてもよい。そのような実施形態において、アタッチメント又はトーチは、添加剤専用のポート及び導管を含んでもよい。
【0029】
プラズマ切削システム200は、添加剤の貯蔵部を含み得る。貯蔵部は、例えばプラズマ切削電源212内、又はガスコントローラ214内に配置され得る。ガスコントローラ214は、例えばスパッタ防止液インジェクタ216のような、添加剤を溶融金属除去ガス流に注入するインジェクタを含み得る。インジェクタ216は、ポンプと、電気インジェクタ、或いはベンチュリ管インジェクタのような機械装置とを含み得る。ガスコントローラ214は、スパッタ防止液インジェクタ216と動作的に接続され、スパッタ防止液インジェクタ216の動作を制御する。穿孔作業中に、ガスコントローラ214は、スパッタ防止液インジェクタ216を作動させて、スパッタ防止液を溶融金属除去ガス流に、そしてワークピースWに噴射する。スパッタ防止液は、穿孔中に生成された溶融金属が除去ガス流によって押し出される際に、溶融金属が穿孔穴を貫流するのを助ける。
【0030】
プラズマ切削システム200の操作者は、ユーザインタフェース220、222を介して、溶融金属除去ガス及び/又は添加剤を作動/停止させることができる。溶融金属除去ガス又は添加剤が停止される際、トーチアタッチメントは、トーチに取り付けられたままでもよい。
【0031】
プラズマ切削システム200は、CNC移動コントローラ218を含み得る。コントローラ218は、ガントリ204、トーチキャリッジ206、トーチ高さコントローラ208等と動作的に接続し、切削作業中にトーチ100の移動を制御する。コントローラ218は、ユーザ入力/ディスプレイスクリーン又はユーザインタフェース220を含み得る。ユーザインタフェース220及びコントローラ218は、切削作業パラメータ及びデータの入力及び読み取りのためにユーザによって使用され、システム200が自動化されたプログラム可能な切削システムとして動作することを可能とする。トーチ電流、材料の種類、材料厚さ、切削速度、トーチ高さ、プラズマ及びシールドガス組成、穿孔中に溶融金属除去を行うか否か等を含む様々な入力パラメータが、ユーザインタフェース220(又は他の手段)を介して、ユーザによりコントローラ218に入力され得る。作業台202は、また、CNC及び/又はプラズマ切削電源212と動作的に接続されたユーザインタフェース222を含み得る。トーチアクチュエータとして、ガントリ及びトーチキャリッジではなくロボットアームを採用する実施形態において、CNCは、ロボットアームの動作を制御するロボットコントローラであり得る。プラズマ切削システム200は、多くの異なる構成を有してもよく、実施形態は、例であることが意図された図9に示された形態に限定されない。
【0032】
移動コントローラ218、ガスコントローラ214、又はプラズマ切削電源212は、電子制御器を含んでもよく、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。例えば、コントローラは、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理回路等を含み得る。コントローラは、更に、メモリを含んでもよく、コントローラに以下に説明する機能を提供させるプログラム指令を格納し得る。メモリは、例えば読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等の、1つ以上の揮発性、不揮発性、磁気、光学又は電気的な媒体を含み得る。コントローラは、更に、コントローラへの様々なアナログ入力を処理するための、1つ以上のアナログ・デジタル変換器を含んでもよい。移動コントローラ218へのプログラム指令は、切削チャート又はネスティングソフトウェアを含み得る。そのような指令は、典型的に、穴/輪郭のサイズ及び形状、並びに切削される材料を考慮した、様々な穴や輪郭を切削する際のシステム200への指令を含む切削情報を含む。一般的に理解されるように、コントローラは、ユーザが、1つのワークピースにおいて、切削と切削の間に停止することなく、多数の連続した穴、輪郭、又は穴と輪郭の組合せを切削することを可能とする。例えば、操作者は、穴と輪郭の両方の切削指示を含む切削プログラムを選択することが可能であり、移動コントローラ218は、ユーザ入力情報に基づいて、切削の様々なパラメータとともに、切削の順序及び位置を決定する。
【0033】
コントローラは、1つ以上のリモートコンピュータへの論理的及び/又は物理的接続を用いてネットワーク環境で動作し得る。リモートコンピュータの例には、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ等が含まれる。ネットワーク環境には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、及び/又は広域ネットワーク(WAN)が含まれ得る。そのようなネットワーク環境は、オフィス、企業コンピュータネットワーク、イントラネット及びインターネットにおいて一般的である。LANネットワーク環境で使用される場合、コントローラは、ネットワークインターフェース又はアダプタを通して、ローカルネットワークに接続される。WANネットワーク環境で使用される場合、コントローラは、典型的に、モデム又はネットワークインターフェースを含み、或いは、LAN上の通信サーバに接続され、或いは、例えばインターネットのような、WANを介して通信を確立する他の手段を有する。ネットワーク環境において、コントローラにより実装されるプログラムモジュール又はその一部は、リモートのメモリ記憶装置に格納され得る。ここで説明されたネットワーク接続は例であり、装置間の通信リンクを確立する他の手段が使用され得ることが理解される。
【0034】
図10は、従来技術による厚い(例えば、約0.25インチ以上の厚さの)ワークピースにおける穿孔作業、及びワークピースにおける約1:1の穴の切削の結果を示し、図11は、上述のトーチアタッチメントを用いた厚いワークピースにおける穿孔作業、及び約1:1の穴の切削の結果を示す。図10及び図11の左側の図は、スパッタ224、226に囲まれた初期の穿孔穴を示し、右側の図は、穿孔穴の周囲に切削された約1:1の穴228、230を示す。図10におけるトップスパッタ224の幅は、ワークピースの厚さの2倍より大きい。図10において、ワークピースから穴が切削される場合、質の高い切削を保証するために、その直径はトップスパッタの幅より大きくなければならない。この結果、穴径と材料厚さの比率は2:1より大きくなる。約1:1の穴228は、穿孔作業中に生成されたスパッタ224に囲まれていることが見てとれる。図11におけるトップスパッタ226の幅は、穿孔作業中の溶融金属除去ガス流及び少量のスパッタ防止液の注入のおかげで、図10よりはるかに小さい。トップスパッタ226の幅は、材料厚さより小さくなり得る(例えば、材料厚さの40~95%)が、これにより、1:1及びそれより小さい穴がワークピースから切削されることが可能となる。図11の略1:1の穴230には、周囲のスパッタがないことが見てとれる。
【0035】
特定の実施形態において、スパッタ防止液は、切削作業中の穿孔後に、トーチがワークピースに関して移動する際にスプレーされ得る。そのような実施形態において、ガスコントローラは、穿孔作業の完了後も溶融金属除去ガス流を提供し続ける。溶融金属除去ガス流をワークピースに提供する代わりに、トーチアタッチメントは、穿孔中に溶融金属を、穿孔穴を通して押し出すのではなくワークピースから吸い取るよう、掃除機を提供するよう構成されてもよい。掃除機アタッチメントは、非使用時の収納位置からワークピースに隣接又は接触した展開位置へと、トーチに沿って軸方向に移動し得る。ワークピースが穿孔される際、掃除機はオフにされ、アタッチメントはワークピースから収納され得る。穿孔中に生成された溶融材料がワークピースに貼着しないのを助けるために、スパッタ防止液が掃除機アタッチメントからワークピースにスプレーされ得る。
【0036】
本明細書の開示内容は例示であり、詳細を追加、変更又は削除することによって、本明細書に含まれる教示の公正な範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが明らかである。したがって、本発明は、請求項が必然的にそのように限定される場合を除き、本明細書の特定の詳細に限定されない。
【符号の説明】
【0037】
100 プラズマアークトーチ
102 ハンドル部
104 トーチ本体
106 アタッチメント
108 シールドキャップ
110 ノズル本体
112 冷却チューブ
114 電極
116 旋回リング
118 ノズル
120内側保持キャップ
122 外側保持キャップ
124 スリーブ
126 絶縁体
128 シールド
130 留め具
132 ガス継手
134 環状プレナム
136 溝
137 溶融金属除去ガス及びスパッタ防止液のフロー
138 環状ショルダー
139 プラズマ及びシールドガス流
140A、140B 絶縁体
142 フランジ
144 環状ショルダー
200 システム
202 作業台
204 ガントリ
206 トーチキャリッジ
208 トーチ高さコントローラ
210 駆動システム
212 プラズマ切削電源
214 ガスコントローラ
216 スパッタ防止液インジェクタ
218 移動コントローラ
220 ユーザインタフェース
222 ユーザインタフェース
224 トップスパッタ
226 トップスパッタ
228 約1:1の穴
230 約1:1の穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】