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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094962
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】布の細菌濾過効率をテストする方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/06 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
C12Q1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021203025
(22)【出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】20214273.3
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】メフメト エルカン オズセイハン
(72)【発明者】
【氏名】ハリル アクバス
(72)【発明者】
【氏名】ファティー コヌコウルー
(72)【発明者】
【氏名】マフムト オズデミル
(72)【発明者】
【氏名】エスィン キリジェカン
(72)【発明者】
【氏名】アドナン コジャメル
(72)【発明者】
【氏名】アフメト オズカン
(72)【発明者】
【氏名】オルハン ヤイラ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ06
(57)【要約】
【課題】 布の細菌濾過効率を測定する方法を提供する。
【解決手段】 方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液を調製する工程、細菌を含む前記溶液をネブライザーに供給する工程、前記細菌溶液のエアロゾルを発生させる工程、及びカスケードインパクターを通って前記溶液を流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記細菌溶液を調製するために使用するペプトン水におけるNaClの濃度が30~150 g/lの範囲内であり、前記カスケードインパクターの温度が-15~15℃の範囲内であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布の細菌濾過効率をテストする方法であって、前記方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液を調製する工程、細菌を含む前記溶液をネブライザーに供給する工程、前記細菌溶液のエアロゾルを発生させる工程、及びカスケードインパクターを通って前記溶液を流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記細菌溶液を調製するために使用するペプトン水におけるNaClの濃度が30~150 g/lの範囲内であり、前記カスケードインパクターの温度が-15~15℃の範囲内であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチド水のNaCl濃度及びカスケードインパクターの冷却を提供するように変更したEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
NaClの濃度が、60~150 g/lの範囲、好ましくは、60~120 g/lの範囲内であり、さらに好ましくは、100 g/lである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
カスケードインパクターの温度が、-4~15℃の範囲、好ましくは、0~12℃の範囲内である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
テスト条件において、ネブライザーは、2.7~3.3μmの範囲の平均粒径を有する、細菌を含まない塩水溶液のエアロゾルを発生できる請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ネブライザーが、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、及びメッシュネブライザーから選ばれるものである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲にする方法であって、前記装置は、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなり、前記方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液のエアロゾルを発生させる工程、カスケードインパクターを通って前記エアロゾルを流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記エアロゾルを前記カスケードインパクターに供給することによってポジティブコントロールランを行う工程;生じた細菌コロニーの数に基づいてエアロゾル粒子の平均粒径を測定する工程;得られた平均粒径を、所望の平均粒径の範囲と比較する工程;コントロールランの条件を、前記細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又は前記カスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更する工程;前記変更した条件下において、少なくとも他のポジティブコントロールランを行い、得られる平均粒径が所望の範囲内となるまで前記工程を繰り返し行う工程を含んでなることを特徴とする方法。
【請求項8】
平均粒径の所望の範囲が2.7~3.3μmである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
方法をEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行い、任意に、ランの条件を、細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又はカスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更する請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
細菌が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及び大腸菌(Escherichia coli)からなる群から選ばれ、好ましくは、黄色ブドウ球菌であり、さらに好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 6538である請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
布のサンプルを、カスケードインパクターの第1の段階と入口コーンとの間に設置する請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
布の細菌濾過効率をテストする装置であって、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなり、前記カスケードインパクターを冷却する冷却手段を含んでなることを特徴とする装置。
【請求項13】
好ましくは、カスケードインパクターを冷却する冷却手段を具備するEN 14683:2019+AC:2019 Eによる装置である請求項12に記載の装置。
【請求項14】
冷却手段がカスケードインパクターの出口部に設けられる請求項12又は13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布、特に、呼吸用フェースマスクの製造に適する布の細菌濾過効率をテストする方法に係る。さらに詳しくは、本発明は、布の細菌濾過効率(BFE)をテストする方法に係る。
【背景技術】
【0002】
個人用の呼吸用マスク(「フェースマスク」、「呼吸用マスク」、又は「濾過フェースマスク」としても知られている)は、着用者の呼吸器系を浮遊微細粒子から保護するために使用される保護器具である。フェースマスクは、事実、空気中に浮遊する望ましくない物質から使用者を保護するために、使用者の鼻及び口を覆うように装着される。いくつかの具体例(すなわち、息をマスク外に排出させるバルブを持たないもの)では、マスクは、使用者の息に浮遊する各種の粒子の漏出を阻止又は低減して、マスクを装着する者の可能な感染から他者を保護するためのフィルターとしても機能する。公知のマスクは、一般的には、2つの形、すなわち、カップ型又はフラット型の不織布製であり、不織布は、装着時に顔の形状に適合できるように、それ自体、部分的に折り重ねられる。フラットマスクの1つのタイプは、「サージカルマスク」として知られている。織布製のフラットマスクも知られている。
【0003】
マスクは、好ましくは、弾性材料のストラップ又はバンドの存在を要求し、これらは、一般的に、使用者の顔の所望位置にマスクを保持するように、使用者の耳の周り又は使用者の頭部の周りを通るループ形である。ストラップ又は同等の保持手段は、代表的には、別々に作製され、例えば、縫い付け、接着、超音波溶着、ステープリング、又は当業者に周知の他の手段によってマスク本体に取り付けられる。保持手段がマスク本体の折り返し部分に取り付けられた弾性材料のループである保護装置も知られている。
【0004】
フェースマスクは、代表的には、弾性的に曲げ可能な材料のストリップ、一般に、金属ストリップの存在を要求し、ストリップは、マスクの上方縁部、すなわち、マスクが装着される際に、使用者の鼻梁に横方向でかかるマスクの側に配置される。この、いわゆる、「ノーズクリップ」は、実際には、マスクの気密性を改善するように、使用者の鼻梁に適合する形で容易に曲げられものであれば、各種の材料で作製される。
【0005】
マスクの濾過効率をテストするためには、一般に、EN 14683:2019+AC:2019 (EN 14683)による標準法が適用される。EN 14683によれば、マスクの細菌濾過効率は、6段階のカスケードインパクター及びエアロゾルチャンバーを使用してテストされる。マスク材料のサンプルを、6段階カスケードインパクターと、エアロゾルチャンバーとの間に固定する。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)のエアロゾルを、ネブライザーによって生成し、エアロゾルチャンバーに導入し、及び真空下、マスク材料及びインパクターを通して吸引する。マスクの細菌濾過効率(BFE)は、マスク材料のサンプルを通過するコロニー形成ユニットの数によって与えられ、チャレンジエアロゾルに存在するコロニー形成ユニットの数の百分率として表示される。EN 14683は、細菌チャレンジの平均粒径(MPS)、すなわち、細菌を含有する液滴の平均粒径が、カスケードインパクターと接触する際、2.7~3.3μmの範囲に維持されることを必要とする。細菌を含有する液滴の平均粒径は、直接、マスクの細菌濾過効率を算定するために使用されるデータに影響を及ぼす。それ故、要求範囲内に入らない平均粒径は、信頼できないマスク細菌濾過効率の評価を提供することなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
EN 14683についてはいくつかの課題がある。1つの課題は、EN 14683は、織布製のマスクをテストするために使用されるが、同一の布でも、他のものとは異なるテスト結果を与えうることである。さらに、EN 14683に従ってテストを実施する際、細菌を含有する液滴のMPSを所定の範囲に維持することが困難である。所定のMPSよりも小さいMPS(例えば、1.5~2.3μmの範囲)は、標準EN 14683の要件を満足しないであろう。さらに、液滴の平均粒径を維持する課題を考慮すると、インパクターのペトリ皿における個々の細菌コロニーの形成、及びその結果としてのコロニーの算定も困難であるものとなり、MPSが所定のものでないものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、信頼できる方法で布の細菌濾過効率を測定する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、液滴の平均粒径を所定範囲に維持することを可能にする布の細菌濾過効率の測定法を提供することある。
【0009】
本発明の更なる目的は、織布、例えば、織布製の呼吸用マスクをテストするに適する布の細菌濾過効率の測定法を提供することにある。
【0010】
これらの及び他の目的は本発明によって達成され、本発明は、請求項1に記載の、布の細菌濾過効率をテストする方法に係る。本発明は、請求項7に記載の、布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲にする方法、及び請求項12に記載の、布の細菌濾過効率をテストする装置にも係る。発明の好適な具体例は、従属項の対象である。
【0011】
1具体例では、本発明は、特に、カスケードインパクターにおいて、布の細菌濾過効率をテストする方法に関し、当該方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液を調製する工程、細菌を含む前記溶液をネブライザーに供給する工程、前記細菌溶液のエアロゾルを発生させる工程、及びカスケードインパクターを通って前記溶液を流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記細菌溶液を調製するために使用するペプトン水におけるNaClの濃度が30~150 g/lの範囲であり、前記カスケードインパクターの温度が-15~15℃の範囲であることを特徴とする。
【0012】
具体例では、方法は、上記ペプチド水のNaCl濃度及びカスケードインパクターの冷却を提供するように変更したEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。
【0013】
具体例では、NaClの濃度は、60~150 g/lの範囲、好ましくは、60~120 g/lの範囲であり、さらに好ましくは、100 g/lである。
【0014】
具体例では、カスケードインパクターの温度は、-4~15℃の範囲、好ましくは、0~12℃の範囲である。
【0015】
具体例において、ネブライザーは、テスト条件下で、2.7~3.3μmの範囲の平均粒径を有する、細菌を含まない食塩水溶液のエアロゾルを発生できる。
【0016】
具体例において、ネブライザーは、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、及びメッシュネブライザーから選ばれる。
【0017】
具体例において、本発明は、さらに、布の細菌濾過効率テストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲内にする方法であって、前記装置は、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなるものである方法に関し、当該方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液のエアロゾルを発生させる工程、カスケードインパクターを通って前記エアロゾルを流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記エアロゾルを前記カスケードインパクターに供給することによってポジティブコントロールランを行う工程;生じた細菌コロニーの数に基づいてエアロゾル粒子の平均粒径を測定する工程;得られた平均粒径を、所望の平均粒径の範囲と比較する工程;コントロールランの条件を、前記細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又は前記カスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更する工程;前記変更した条件下において、少なくとも他のポジティブコントロールランを行い、得られる平均粒径が所望の範囲内となるまで、前記工程を繰り返し行う工程を含んでなることを特徴とする。
【0018】
具体例において、平均粒径の所望の範囲は2.7~3.3μmである。
【0019】
具体例によれば、布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲内とする方法は、EN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われ、任意に、ランの条件は、細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又はカスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更される。
【0020】
具体例では、細菌は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、黄色ブドウ球菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、及び大腸菌(Escherichia coli)からなる群から選ばれ、好ましくは、黄色ブドウ球菌であり、さらに好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 6538である。
【0021】
具体例において、布のサンプルは、カスケードインパクターの第1の段階と入口コーンとの間に配置される。
【0022】
1具体例では、本発明は、さらに、布の細菌濾過効率をテストする装置にも係り、当該装置は、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなり、前記カスケードインパクターを冷却する冷却手段を含んでなることを特徴とする。
【0023】
具体例において、装置は、好ましくは、カスケードインパクターを冷却する冷却手段を具備するEN 14683:2019+AC:2019 Eによる装置である。
【0024】
具体例では、冷却手段は、カスケードインパクターの出口部に設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、布の細菌濾過効率をテストする方法に係り、当該方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液を調製する工程、細菌を含む前記溶液をネブライザーに供給する工程、前記細菌溶液のエアロゾルを発生させる工程、及びカスケードインパクターを通って前記溶液を流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記細菌溶液を調製するために使用するペプトン水におけるNaClの濃度が30~150 g/lの範囲、好ましくは、60~120 g/lの範囲内であり、前記カスケードインパクターの温度が-15~15℃の範囲、好ましくは、-4~15℃の範囲、さらに好ましくは、0~12℃の範囲内であることを特徴とする。
【0026】
ここで使用するように、用語「細菌濾過効率」又は「BFE」は、フェースマスク、例えば、フェースマスクを形成する布の、細菌侵入に対するバリヤーとして機能する効率をいう。EN 14683によれば、細菌濾過効率は、タイプIのマスクについては、≧95%、タイプII/タイプIIIのマスクについては、≧98%でなければならない。
【0027】
本発明の態様によれば、ペプトン水及びNaClを含む溶液に細菌を希釈するが、細菌溶液を調製するために使用するペプトン水におけるNaClの濃度は、30~150 g/lの範囲内であり、好ましくは、60~150 g/lの範囲内であり、さらに好ましくは、60~120 g/lの範囲内である。
【0028】
本発明の態様によれば、カスケードインパクターの温度は、-15~15℃の範囲、好ましくは、-4~15℃の範囲、さらに好ましくは、0~12℃の範囲内である。具体例では、カスケードインパクターの温度は5~15℃の範囲内である。
【0029】
ペプトン水において3~150 g/lのNaCl濃度を使用し、同時に、カスケードインパクターを-15~15℃の範囲内の温度で使用することによって、再現可能な及び信頼できる方法で、2.7~3.3μmの範囲内のMPSを有する粒子を得ることができ、このようにして、布によって、すなわち、マスクによってブロックされる細菌の量の正確な評価が可能になることが観察された。さらに、ペプトン水におけるNaClの上記濃度と、上記温度に冷却したインパクターとの併用のみで、所望の、すなわち、2.7~3.3μmの範囲内のMPSを得ることが可能になるとの知見を得た。実際、30~150 g/lの範囲内のNaClを含んでなるペプトン水を使用する場合でも、カスケードインパクターを冷却しなければ、得られるMPSは、2.4~2.7μmの範囲であり、これは、一般的には許容されず、得られるMPSが正確に2.7μmであるケースから外れていることが観察された。それ故、カスケードインパクターを冷却することなく、30~150 g/lの範囲のNaClを含んでなるペプトン水を使用しても、十分な信頼性を持つ結果は提供されないことが観察された。また、公知のペプトン水におけるNaCl濃度を使用して、冷却したカスケードインパクターを使用する場合、得られるMPSは、2.4~2.6μmの範囲であり、これは許容されるものではないことも観察された。
【0030】
具体例によれば、方法は、織布の細菌濾過効率をテストする方法である。
【0031】
具体例によれば、細菌溶液のエアロゾルは、エアロゾルチャンバー内で発生され、このエアロゾルチャンバーはカスケードインパクターと連通している。
【0032】
具体例によれば、本発明の方法は、異なる細菌についてのBFEをテストするために適する。具体例によれば、細菌は、空中浮遊細菌(すなわち、大気中に存在する細菌)から選ばれる。具体例によれば、細菌は、結核菌、肺炎連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、黄色ブドウ球菌、枯草菌、及び大腸菌からなる群から選ばれる。好ましい具体例では、細菌は黄色ブドウ球菌であり、さらに好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 6538である。
【0033】
具体例によれば、上述のようなペプトン水のNaCl濃度及びカスケードインパクターの冷却を提供するように変更したEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。具体例によれば、方法は、黄色ブドウ球菌とは異なる細菌をテストするように変更されたEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。例えば、方法を、黄色ブドウ球菌に加えて、結核菌、肺炎連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、枯草菌、及び大腸菌からなる群から選ばれる細菌をテストするように変更されたEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。具体例によれば、方法は、任意に、黄色ブドウ球菌とは異なる細菌を使用するとともに、上述のようなペプトン水のNaCl濃度及びカスケードインパクターの冷却を提供するように変更したEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。
【0034】
本発明の方法の具体例では、細菌溶液は、ネブライザーに送達され、エアロゾルチャンバーに導入され、真空下、インパクターを通して吸引される。
【0035】
布の細菌濾過効率をテストする方法は、一般に、次のように行われる。第1のポジティブコントロールを、布サンプルを使用しないで行う。インパクターのペトリ皿を取り出し、新しいプレートと交換する。布サンプルを、カスケードインパクターの第1段階と入口コーンとの間に配置する。テストされるサンプルの全てがチャレンジされた後、布なしの更なるポジティブコントロール行う。細菌のチャレンジを追加することなく、カスケードインパクターを通して空気を通過させることによって、布なしのネガティブコントロールも実施する。得られた全てのプレートを、好ましくは35~39℃、20~52時間の範囲内の時間でインキュベートする。ついで、各サンプルについて、平均粒径及び細菌濾過効率を測定する。
【0036】
具体例では、各サンプル及びコントロールランについて、各プレートにおけるコロニーの数をカウントし、合計して、カスケードインパクターによって収集されたCFUの総数を得る。段階3~6についてのカウントを収集するため、カスケードインパクターの製造者のインストラクションに従って、「ポジティブホール」換算表を使用する。例えば、カスケードインパクターがAndersenインパクターである場合、Ariel A. Andersenの論文「空中浮遊細菌の収集、選別、及び列挙のための新規のサンプラー」, J Bacteriol. 1958 Nov; 76(5): 471-484の474頁に報告された「表1:ポジティブホール換算表」を使用する。
【0037】
2つのポジティブコントロールランについて、下記の式に示されるように、「換算ポジティブコントロールの平均値」を得るために、合計の平均値を算定する。
【0038】
ポジティブコントロールプレートから、細菌溶液エアロゾルの平均粒径(MPS)を算定する。
【0039】
本発明の方法の具体例によれば、MPSは、上述のように2つのポジティブコントロールのコロニーをカウントすることによって測定される。各プレートについて得られたカウント数(該当する場合に、ポジティブホール換算表を使用して換算される)に、各段階で異なるカスケードインパクターのホールサイズ係数(例えば、段階(プレート)1について、7;段階(プレート)2について、4.7;段階(プレート)3について、3.3;段階(プレート)4について、2.1;段階(プレート)5について、1.1;及び段階(プレート)6について、0.65)を掛ける。
【0040】
各ポジティブコントロールの掛け算、換算したカウントの総数を得るために、各ポジティブコントロールについて、各プレートの掛け算した数を合計する。各ポジティブコントロールランについてのMPSを得るために、各ポジティブコントロールについて得られた、前記のポジティブコントロールの掛け算、換算したカウントの総数を、ホールサイズ係数を掛け算する前に得られた各ポジティブコントロールのカウントの合計で割る。このようにして得らえた2つのMPS値の平均値が、細菌溶液エアロゾルの粒子のMPSである。
【0041】
具体例によれば、ついで、細菌濾過効率を算定する。
【0042】
下記の式に示すように、「換算マスク値」を得るため、布サンプルから得られた各プレートのコロニーをカウントし(及び該当する場合に、ポジティブホール換算表を使用して換算する)、及び合計する。換算したポジティブコントロールカウントの平均値(すなわち、上記の「換算ポジティブコントロールの平均値」)と、布の換算カウント総数(上記の「換算マスク値」)との差を、「換算ポジティブコントロールの平均値」で割る。得られた結果に100を掛けて、チャレンジエアロゾルに存在するコロニー形成単位の数の百分率としてBFEを得る。
【0043】
具体例によれば、細菌濾過効率は、次式によって算定される。
【数1】
【0044】
上述のように、本発明の方法は、細菌溶液を調製するために使用されるペプトン水におけるNaClの濃度が、30~150 g/lの範囲内であり、カスケードインパクターの温度が、-15~15℃の範囲内であることを特徴とする。
【0045】
具体例によれば、NaClの濃度は、60~150 g/lの範囲、好ましくは、60~120 g/lの範囲内であり、さらに好ましくは、100 g/lである。
【0046】
具体例によれば、カスケードインパクターの温度は、-4~15℃の範囲、好ましくは、0~12℃の範囲内である。
【0047】
具体例によれば、カスケードインパクターの温度を、カスケードインパクターを冷却装置内でインキュベートすることによって調整できる。例えば、カスケードインパクターを、-80℃冷却装置内で、少なくとも5分間、又は-20℃において、少なくとも15分間、又は+4℃において、少なくとも1時間インキュベートする。
【0048】
具体例によれば、テスト条件において、ネブライザーは、平均粒径3.0±0.3μmを有する、細菌フリーの塩水溶液のエアロゾルを発生できる。例えば、塩水溶液は、NaCl又はNaF(フッ化ナトリウム)溶液である。
【0049】
好適なネブライザーの例は、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、及びメッシュネブライザーである。例えば、好適なネブライザーは、OMRON HEALTHCARE Co. Ltd.(日本)、モデルNE-C28P-Eネブライザーである。これはジェットネブライザーであり、細菌フリーの塩溶液を使用して測定して、噴霧速度0.05 ml/分、及びエアロゾルの平均粒径3μmを提供する。
【0050】
具体例によれば、カスケードインパクターは、6段階カスケードインパクター、好ましくは、Andersen6段階カスケードインパクターである。Andersen6段階カスケードインパクターは、Ariel A. Anderse, 「空中浮遊細菌の収集、選別、及び列挙のための新規のサンプラー」, J Bacteriol. 1958 Nov; 76(5): 471-484に開示されている。インパクターの6段階の各々はペトリ皿を含む。
【0051】
また、本発明の目的は、布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲内にする方法であって、前記装置は、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなり、前記方法は、細菌、ペプトン水、及びNaClを含む溶液のエアロゾルを発生させる工程、カスケードインパクターを通って前記エアロゾルを流動させて、前記カスケードインパクターの複数の段階に存在する複数のプレートにおいて、複数の細菌コロニーを提供する工程を含み、前記エアロゾルを前記カスケードインパクターに供給することによって、少なくとも1のポジティブコントロールランを行う工程;生じた細菌コロニーの数に基づいて、エアロゾル粒子の平均粒径を測定する工程;得られた平均粒径を、所望の平均粒径範囲と比較する工程;コントロールランの条件を、前記細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又は前記カスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更する工程;変更した条件下において、少なくとも他のポジティブコントロールランを行い、得られる平均粒径、すなわち、得られる平均粒径の値が、所望の範囲内となるまで前記工程を繰り返し行う工程を含んでなることと特徴とする。具体例によれば、平均粒径の所望の範囲は、2.7~3.3μmである。
【0052】
具体例によれば、布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲内にする方法は、EN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。具体例では、布の細菌濾過効率をテストする装置において、ネブライザーによって発生される粒子の平均粒径を所望のサイズ範囲内にする方法がEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる場合、ラン条件は、任意に、細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又は前記カスケードインパクターの温度を増大又は低減することによって変更される。具体例では、方法は、黄色ブドウ球菌とは異なる細菌(例えば、結核菌、肺炎連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、枯草菌、及び大腸菌からなる群から選ばれる細菌を使用する)をテストするために、任意に、変更されたEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。具体例によれば、方法は、細菌溶液におけるNaClの濃度及び/又はカスケードインパクターの温度の増大又は低減する、及び/又は任意に黄色ブドウ球菌とは異なる細菌を使用するように変更されたEN 14683:2019+AC:2019 Eに従って行われる。具体例によれば、細菌は、黄色ブドウ球菌、好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 6538である。
【0053】
本発明の更なる目的は、布の細菌濾過効率をテストする装置にあり、当該装置は、細菌溶液のエアロゾルを発生させるネブライザー及び複数の段階を含むカスケードインパクターを含んでなり、前記カスケードインパクターを冷却する冷却手段を含んでなることを特徴とする。
【0054】
具体例によれば、装置は、EN 14683:2019+AC:2019 Eによる装置である。換言すれば、具体例では、EN 14683:2019+AC:2019 Eによる装置は、カスケードインパクターを冷却する冷却手段を具備できる。例えば、冷却手段は、冷却プレート又はコンテナーであり、その上又はその中に、カスケードインパクターが配置される。
【0055】
具体例によれば、冷却手段は、カスケードインパクターの出口部分に設けられる。
【0056】
[実施例]
下記の実施例は、本発明の例示的な具体例に係り、本発明の範囲に関して、単なる説明的及び非制限的として理解されなければならない。
【実施例0057】
試薬及び材料
トリプチケースソイ寒天培地(TSA)
トリプチケースソイ寒天培地は固形培養培地である。固形培地を生成するために使用する液体溶液に関連して、組成を表1に示す。
【表1】

大豆カゼイン消化物ブロス(TBS)
大豆カゼイン消化物ブロスは液体培養培地である。組成を表2に報告する。
【表2】

ペプトン水(標準法EN 14683による)
ペプトン水は、標準法EN 14683によるテストも前に、細菌培養物を希釈するために使用する液体培地である。組成を表3に報告する。
【表3】

ペプトン水(本発明による)
本発明によるペプトン水は、本発明によるテスト前に、細菌倍量物を希釈するために使用する液体培地である。例示的な具体例の組成を表4に報告する。
【表4】
【実施例0058】
例示的方法
本発明に従って、例えば、冷却装置において、インパクターを、少なくとも5分間、-80℃に維持することによって、カスケードインパクターを-15~15℃の範囲の温度に冷却する。さらに、本発明に従って、ペプトン水は、30~150 g/lの範囲の濃度でNaClを含む。
【0059】
1)培地の調製
a.液体培地
i. 大豆カゼイン消化物ブロス(TSB)
ii. ペプトン水
b.固形培地
i. 大豆カゼイン消化物寒天培地(TSA)
【0060】
2)細菌増殖
a.細菌黄色ブドウ球菌の蘇生
i. TSB培地、37℃、一夜での黄色ブドウ球菌の生育する。
b.条痕板法を使用する細菌黄色ブドウ球菌の接種
i. TSA培地、37℃、一夜での黄色ブドウ球菌の生育する。
【0061】
3)試験段階
a.テスト布の調整
1. 一定の温度(21±5℃)及び相対湿度(85±5%)を提供する人工気候室内において、少なくとも4時間、テスト布を吊り下げる。
b.TSB培地における黄色ブドウ球菌の接種
i. 白金耳を使用してる細菌黄色ブドウ球菌の単一コロニーを選別し、当該コロニーをTSB培地に添加し、及び37℃において、4時間、細菌を生育する。
c.細菌黄色ブドウ球菌の希釈
i. McFarland密度計及びOD600分光光度計を使用して細菌溶液の濁度を測定することによって、細菌の適切な生育を確認する。
ii. 5×105コロニー形成単位(cfu)を得るために、細菌溶液をペプトン水にて希釈する。
d.試験操作
i. 真空流量を28.3 l/分(1フィート/分)にセットし、2分間、作動する(細菌チャレンジについては2分、及び他については、ネブライザーを作動することなく、空気流を維持するために1分)ことによって、細菌濾過効率(BFE)を算定する。
ii. 細菌濾過効率テストの順序は下記のとおりである(表5)。
【表5】

iii. TSAペトリプレートを、パーマネントペンによって、「コントロール1‐1」から「コントロール1-6」までナンバリングし、及びついで、それらをAndersenカスケードインパクター(ACI)へ設置する。
iv. 細菌溶液をネブライザーチャンバーに注入する。
v. ポジティブコントロールを得るため、テスト布なしのテストを2分間行う。
vi. ACIからペトリプレートを取り出す。
vii. 人工気候室からテスト布(すなわち、マスク)を取得する。
viii. 耳ひもを除去し、及びテスト布(すなわち、テストマスク)のプリーツ部分を開放するため、両サイドを切断する。テスト面積は、最小、49cm2である。
ix. TSAペトリプレートを、パーマネントペンによって、「マスク1.1」から「マスク1.6」までナンバリングし、及びついで、それらをAndersenカスケードインパクター(ACI)へ設置する。
x. ACIの頂部へテスト布を配置し、及び漏れを回避するため堅く固定する。
xi. マスク1の結果を得るため、2分間、テスト布を使用するテストの行う(細菌のチャレンジのため1分、及びネブライザーを作動せずに気流を維持するため他の1分)
xii. 5番目のマスクまで、同じプロトコルを繰り返す。
xiii. 第2の布(マスク)なしのポジティブコントロールを行う。
xiv. ネブライザーを細菌溶液から浄化し、ついで、マスク及び細菌なしのネガティブコントロールを行う。
e.インキュベーターでの黄色ブドウ球菌の生育
i. インキュベーターに、全てのペトリプレート(8セット×プレート6枚=プレート48枚)を配置し、37±2℃、20~50時間でインキュベートする。
【0062】
4)レポートの作成
a.細菌黄色ブドウ球菌の計数
i. TSAペトリプレートを黒体面に置き、ついで、緊急性に応じて、パーマネントマーカー又はPromega Colony Counterアプリによって係数を開始する。
ii. 全ての細菌数をレポート紙に書き留める。
iii. 全てのデータをExcelに移し、ついで、カスケードインパクターマニュアルからのポジティブホール換算表に従って、ペトリ1及びペトリ2を除き、全てのデータを換算する。この例では、Andersenカスケードインパクター及び関連するAriel A. Andersenの論文「空中浮遊細菌の収集、選別、及び列挙のための新規のサンプラー」, J Bacteriol. 1958 Nov; 76(5): 471-484の474頁に報告された「表1:ポジティブホール換算表」を使用した。この表では、実際の細菌数を「r」として、換算した細菌数を「P」として表されている。例えば、実際の細菌数が121であり、ついで、変換された細菌数が144である。
iv. イタリック体の数字は未換算を表し、下線は、換算したポジティブコントロールの合計を表す。
【表6】

v. 平均総細菌数を算定する。
1. 換算したポジティブコントロール1を合計する。
2. 換算したポジティブコントロール2を合計する。
3. 2つの換算したコントロールの平均値を算定する。
4. 標準EN14683に従って、2つの換算ポジティブコントロールの平均値は、1700~3000 cfuの範囲内でなければならない。
【表7】

【数2】

【表8】

【数3】

【数4】

vi. 平均粒径を算定する。
1. ポジティブホール換算表を使用して、2つのポジティブコントロールの実際の細菌数を換算する(この実施例では、上述のAriel A. Andersenの論文において報告された「表1:ポジティブホール換算表」を使用した)。
2. ポジティブコントロール1~6から換算した細菌数に、各ホールサイズ係数を掛ける(すなわち、このケースでは、それぞれ、7、4.7、3.3、2.1、1.1、及び0.65)。
3. ポジティブコントロール1の掛け算した数を合計する。
4. ポジティブコントロール2の掛け算した数を合計する。
5. 2つのコントロールランの2つの掛け算した数の合計値を、2つの換算したポジティブコントロールの合計数で割り、各ポジティブコントロールのMPSを得る。
6. ポジティブコントロールについて2つのMPSの間の平均値を算定する。
7. 標準14683によれば、平均粒径は2.7~3.3μmの範囲内でなければならない。
【表9】

【数5】

【数6】

vii. 細菌濾過効率を算定する。
1. 全ての細菌数をレポート紙に書き留める。
2. 全てのデータをExcelに移し、ついで、上述のように、「表1:ポジティブホール換算表」に従って、ペトリ1及びペトリ2を除き全てのデータを換算する。
3. テストした各布(マスク)について、BFE(%)を算定するために、換算したマスクデータ、及び平均の換算ポジティブコントロールを使用する(1つのマスクのための布データの例を表9に報告する。表において、イタリック体の数字は未換算を表し、下線は換算した布の値の合計を表す。)。最終のBFEの結果を得るために、マスク5個(すなわち、布サンプル5個)を使用し、平均すべきである。
4. 標準EN 14683によれば、細菌濾過効率は、タイプIのマスクについては≧95%、タイプII/タイプIIRのマスクについては≧98%でなければならない。
【実施例0063】
EN 14683と本発明との比較
この実施例では、同一の織布のいくつかのサンプルをテストした。
本発明に従って実施したテストでは、ペプトン水におけるNaClの濃度及びインパクターの温度(本発明による)を除き、EN 14683に従って実施するテストと同一の条件を使用した。
EN 14683によるBFEテスト
溶液及び条件は、全て、EN 14683による。平均粒径の平均値が1.81μmであり、平均のBFEの結果が78.15%であることが知見された。
【表10】

【表11】

【表12】
【0064】
本発明の方法によるBFEトライアル
上述のように、本発明の方法は、平均粒径を2.7~3.3μmの範囲内に維持することができる。本発明の方法は、ペプトン水におけるNaClの割合(%)及びAndersenカスケードインパクターの温度の点で、標準EN14683とは相違する。
本発明の方法の実施例において:
ペプトン水の調製:上記において報告する表4に開示する組成を有する本発明によるペプトン水を使用した。特に、市販のペプトン水製品(Condalabにより供給)を使用した。この製品の処方によれば、粉末1.5gは、NaCl0.5g及びペプトン1gを含有し、溶液にNaCl9.5gを添加して10g/100 mlのNaCl溶液を作成した(NaClの最終濃度10%)。温度溶液を121℃において、溶液を15分間、高圧滅菌した。
Andersenカスケードインパクターの調製:-80℃の冷却装置において、5分間、6段階Andersen Cascadeを冷却した。
【表13】

【表14】

【表15】

平均粒径の平均値が3.06μmであり、平均のBFEの結果が90.15%であることが知見された。
【0065】
結論
標準EN 14683と本発明による方法との間のBFE結果の誤差12%が観察された。
【表16】
【外国語明細書】