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特開2022-94997中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置
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  • 特開-中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置 図1
  • 特開-中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置 図2
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  • 特開-中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094997
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/50 20160101AFI20220621BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220621BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20220621BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220621BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20220621BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/10
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208061
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】井上 実
(57)【要約】
【課題】
送電装置及び受電装置の数が減少したり、余ったりしても、それらの装置を十分に活用可能な中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置を提供する。
【解決手段】
非接触で送電された電力を受電し、中継してさらに非接触で送電する中継コイル装置において、少なくとも一つ以上の受電コイルを備えた受電部と、前記受電コイルの数と異なる、一つ以上の送電コイルを備えた送電部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で送電された電力を受電し、中継してさらに非接触で送電する中継コイル装置において、
少なくとも一つ以上の受電コイルを有する受電部と、
前記受電コイルの数と異なる、一つ以上の送電コイルを有する送電部と、
を備えた中継コイル装置。
【請求項2】
前記送電部は、前記受電コイルの数より少なくとも一つ以上多い前記送電コイルを有する、
請求項1に記載の中継コイル装置。
【請求項3】
前記受電部は、少なくとも二つ以上の前記受電コイルを有し、
前記送電部は、前記受電コイルの数よりも一つ以上少ない前記送電コイルを有する、
請求項1に記載の中継コイル装置。
【請求項4】
前記送電コイルは、前記受電部との接続を遮断するスイッチが設けられている、
請求項1から3いずれか一項に記載の中継コイル装置。
【請求項5】
非接触で電力を送電する少なくとも一つ以上の送電装置と、送電された電力を受電し、中継してさらに非接触で送電する中継コイル装置と、中継された電力を受電する少なくとも一つ以上の受電装置とを備えたワイヤレス給電装置において、
前記中継コイルは少なくとも一つ以上の受電コイルを有する受電部と、
前記受電コイルの数と異なる一つ以上の送電コイルを有する送電部と、
を備えたワイヤレス給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレス給電装置では、送電距離を延ばすために、送電装置と受電装置の間に中継コイル装置を配するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、送電装置の送電コイルと、受電装置の受電コイルの間に中継コイル装置を配置することにより、送電装置から送電された電力を、中継コイル装置が中継し、受電装置へと送電することにより、水平方向及び垂直方向へと給電領域を広げている。これにより、本来送電装置の送電面に対し、所定距離内で対面していなければならない受電装置は、中継コイルの形状に合わせて自由に配置可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-68507
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の中継コイルにおいては、一つの給電装置から、一つの受電装置へと電力を送電している。そのため、複数の受電装置に給電する場合、同じだけの数の中継コイル装置及び送電装置が必要となり、大型化や、コストの増加につながった。また、複数の送電装置を用意しても、受電側の機器の減少などにより、使用しない中継コイル装置、送電装置及び受電装置が発生するなどの無駄が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、送電装置及び受電装置の数が減ったり、余ったりしても、それらの装置を十分に活用可能な中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による中継コイル装置は、非接触で送電された電力を受電し、中継してさらに非接触で送電する中継コイル装置において、少なくとも一つ以上の受電コイルを有する受電部と、前記受電コイルの数と異なる、一つ以上の送電コイルを有する送電部を備える。
【0007】
この態様によれば、送電装置と受電装置の数が一致していなくても、中継コイル装置によって、電力を分岐または集約することにより、全ての送電装置から、全ての受電装置に送電が可能となり、送電装置及び受電装置に余りが生じない。
【0008】
上記態様において、前記送電部は、前記受電コイルの数より少なくとも一つ以上多い前記送電コイルを有していてもよい。
【0009】
この態様によれば、中継コイル装置によって電力を分岐させることが可能となり、送電装置より多い数の受電装置に送電が可能となる。
【0010】
上記態様において、前記受電部は、少なくとも二つ以上の前記受電コイルを有し、前記送電部は、前記受電コイルの数よりも一つ以上少ない前記送電コイルを有していてもよい。
【0011】
この態様によれば、中継コイル装置によって電力を集約させることが可能となり、複数の送電装置から、送電装置より少ない数の受電装置に送電が可能となり、かつ、一台の送電装置で送電するよりも大きな電力で送電可能となり、受電装置に接続されている負荷に大きな電力で送電が可能となる。
【0012】
上記態様において、前記送電コイルは、前記受電部との接続を遮断するスイッチが設けられていてもよい。
【0013】
この態様によれば、中継コイル装置が複数の送電コイルを備えているにも関わらず、全ての送電コイルに相対する受電機器が無い場合に、送電コイルに無負荷電力が印加されるのを防ぐことができ、送電装置内の素子に負担を掛けることが無くなる。、送電装置に無負荷電力が印加されて、送電装置内の素子に負担を掛けることがなくなる。
【0014】
本発明の一態様によるワイヤレス給電装置は、非接触で電力を送電する少なくとも一つ以上の送電装置と、送電された電力を受電し、中継してさらに非接触で送電する中継コイル装置と、中継された電力を受電する少なくとも一つ以上の受電装置とを備えたワイヤレス給電装置において、前記中継コイルは少なくとも一つ以上の受電コイルを有する受電部と、前記受電コイルの数と異なる一つ以上の送電コイルを有する送電部とを備える。
【0015】
この態様によれば、送電装置と受電装置の数が一致していなくても、中継コイル装置によって、電力を分岐または集約することにより、全ての送電装置から、全ての受電装置に送電が可能となり、送電装置及び受電装置に余りが生じない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送電装置及び受電装置の数が減ったり、余ったりしても、それらの装置を十分に活用可能な中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る、受電装置が送電装置より多い場合の非接触給電システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る、図1の中継コイル装置の回路構成を示す回路図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る、受電装置が送電装置より少ない場合の非接触給電システムの一例を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る、図3の中継コイル装置の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0019】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るワイヤレス給電システム100について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤレス給電システム100の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るワイヤレス給電システム100は、送電装置1、中継コイル装置2、受電装置3、受電装置4を備え、送電装置に対して受電装置の数が多い構成となる。
【0020】
送電装置1は、電力を非接触で送電するための装置であり、送電ユニット11、送電コイル12、通信部13、制御部14を備える。なお、非接触での送電方式は、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、マイクロ波放電方式等、送電方式は問わないものとする。
【0021】
送電ユニット11は、交流電源と電力変換部を備え、交流電源から発せられる交流電力を電力変換部で高周波電力へ変換して出力する。
【0022】
送電コイル12は送電ユニット11から出力された高周波電力が印加され、電磁波を発生させることで、所定距離離れた対面に配置された中継コイル装置2の受電コイル21に電力を送電する。なお、送電コイル12はスイッチを設けていて、当該スイッチは送電ユニット11から出力された電力を接続または遮断することで、送電の開始または停止を行う。
【0023】
通信部13は、赤外線通信等の無線通信機器であり、制御部14からの通知に従って、中継コイル装置2の通信部22に対して送電開始または送電停止の信号を出力する。また、通信部13は、中継コイル2の通信部22からの返信をもって通信成功、失敗を判断し、その結果を制御部14に通知する。
【0024】
制御部14は、非接触の送電の開始と停止を制御する機器であり、送電コイル12からの高周波電力の出力を開始または停止するとともに、通信部13に送電開始または送電停止の信号を出力するように通知する。なお、通信部13が、通信失敗の通知を受け取った場合、送電コイル12のスイッチを遮断し、送電前であれば送電開始を取りやめ、送電中であれば送電を停止しても良い。
【0025】
中継コイル装置2は、非接触で送電された電力を中継するための装置であり、受電コイル21、送電コイル23、25、通信部22、24、26、制御部27を備える。
【0026】
受電コイル21は、送電コイル12から送電された電力を受電する。受電コイル21は、送電装置1の送電コイル12と所定距離離れた対面に配置される。また、受電コイル21には、並列に接続された送電コイル23、25が接続され、受電した電力がそれぞれの送電コイルに印加される。送電コイル23、25は、電力が印加されると電磁波を発生させ、送電コイル23は受電装置3の受電コイル32に、送電コイル25は受電装置4の受電コイル42に電力を送電する。なお、送電コイル23、25は、それぞれ、制御部27に接続されたスイッチを設けていて、当該スイッチは送電コイル21から受電した電力を遮断する。これにより、送電対象である受電装置3、4が無い場合に送電を行うことで、送電装置に無負荷電力が印加されることを防ぎ、送電装置の素子に過剰な電力が印加されることを防ぐことができる。
【0027】
このときの回路構成を図2に示す。受電コイル21と並列に送電コイル23、25が接続され、送電コイル23、25にそれぞれスイッチ28、29が接続される。スイッチ28、29は、図示外の接続線により制御部27と接続され、制御部27からスイッチの接続、遮断が制御される。なお、スイッチ28は送電コイル23、25の前段にそれぞれ設けているが、受電コイル21の後段に一つ設けることとしても良い。
【0028】
通信部22は、送電装置1の通信部13から電力の送電開始、送電停止の信号を受け取る。通信部22が送電開始、送電停止の信号の受信に成功した場合、返信を行ったうえで、制御部27に当該通知を通知する。
【0029】
通信部24、26は、制御部27から通知された送電開始、送電停止の通知を、それぞれ、通信部24は受電装置3の通信部33に、通信部25は受電装置4の通信部43に出力する。このとき通信部24、26は通信相手からの返信をもって通信成功、失敗を判断し、その結果を制御部27に通知しても良い。
【0030】
制御部27は、通信部22、24、26の通知に応じた処理を行う。通信部22が、送電装置1の通信部13から送電開始、送電停止の通知を受信した場合、制御部27は、通信部24、26に、当該通知の出力を指令する。このとき、通信停止の通知を受信するか、通信部24、26のいずれか、または両方から通信失敗の通知を受信した場合、当該通信部に対応した送電コイル23、25のいずれか、または両方のスイッチを遮断し、受電装置3、4への送電を停止しても良い。
【0031】
受電装置3、4は、中継コイル装置2から中継された電力を受電する装置である。受電装置3は、受電ユニット31、受電コイル32、通信部33、制御部34を備え、受電装置4も同様に、受電ユニット41、受電コイル42、通信部43、制御部44を備える。
【0032】
受電コイル32、42は、それぞれ送電コイル23、25と所定距離離れた対面に配置され、送電コイル23、25から送電された電力を受電し、受電ユニット31に出力する。
【0033】
受電ユニット31、41は、電力変換装置を備え、受電コイル32、42から出力された電力を、高周波電力から直流電力等の電力に変換する。また、受電ユニット31、41には図示外の負荷が接続され、当該負荷に変換した電力を供給する。
【0034】
通信部33、43は、それぞれ中継コイル装置2の通信部24、26から送電開始、送電停止の信号を受信し、受信に成功したら返信を返す。
【0035】
上記構成により、一台の送電装置から、複数の受電装置に送電可能な中継コイル装置が実現可能となる。なお、本実施例では、受電装置は二台であったが、受電装置が三台以上の場合、中継コイル装置の送電コイルの接続数を増やすことにより、送電装置の数よりも多い受電装置に送電可能となる。また、送電装置が複数で、かつ、受電装置の数の方が多い場合も、中継コイルの受電コイルを並列に接続することにより、すべての送電装置からすべての受電装置に送電が可能となる。
【0036】
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るワイヤレス給電システム200について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るワイヤレス給電システム200の概略を示す図である。図3に示すように、本実施形態に係るワイヤレス給電システム200は、送電装置1、5、中継コイル装置2、受電装置3を備え、送電装置に対して受電装置の数が少ない構成となる。なお、図1と同じ番号の構成については、特に断りが無い限り同じ構成とする。
【0037】
送電装置5は図1で示した送電装置1と同じ構成の送電装置であり、送電ユニット51、送電コイル52、通信部53、制御部54を備える。送電装置1の受電コイル12は中継コイル装置の受電コイル21に、送電装置5の送電コイル52は中継コイル装置2の受電コイル28に電力を非接触で送電する。また、送電を開始、または停止する際に、通信部13は中継コイル装置2の通信部22に、通信部53は中継コイル装置2の通信部29に、それぞれ送電開始、または送電停止の信号を出力する。
【0038】
中継コイル装置2は、受電コイル21、28、送電コイル23、通信部22、24、29、制御部27を備える。受電コイル21、28は並列に接続され、受電コイル21は送電装置1の送電コイル12、受電コイル28は送電装置5の送電コイル52から、それぞれ非接触で電力を受電し、二つの電力を合成して送電コイル23に電力を供給する。
【0039】
送電コイル23は、受電コイル21、28から供給された、合成された電力が印加されると、受電装置3の受電コイル32に非接触で電力を送電する。また、送電コイル23はスイッチを設けていても良く、制御部27の制御によって受電コイル21、28との接続を遮断することで送電を停止しても良い。
【0040】
このときの、回路構成を図4に示す。受電コイル21、28が並列に送電コイル23に接続され、送電コイル23にスイッチ28が接続される。スイッチ28は図示外の接続線により制御部27と接続され、制御部27からスイッチの接続、遮断が制御される。なお、スイッチ28は送電コイル23の前段に一つ設けているが、受電コイル21、28の後段にそれぞれ設けることとしても良い。
【0041】
通信部22は送電装置1の通信部13から、通信部29は送電装置5の通信部53から、それぞれ電力の送電開始、送電停止の信号を受け取る。通信部22、29が送電開始、送電停止の信号の受信に成功した場合、返信を行ったうえで、制御部27に当該通知を通知する。
【0042】
通信部24は、制御部27から通知された送電開始、送電停止の通知を、受電装置3の通信部33に出力する。このとき通信部24は通信相手からの返信をもって通信成功、失敗を判断し、その結果を制御部27に通知しても良い。
【0043】
制御部27は、通信部22、24、29の通知に応じた処理を行う。通信部22、29のいずれか、または両方が、送電開始、送電停止の通知を受信した場合、制御部27は、通信部24に、当該通知の出力を指令する。このとき、通信部22または通信部29から通信停止の通知を受信するか、通信部24から通信失敗の通知を受信した場合、送電コイル23のスイッチを遮断し、受電装置3への送電を停止しても良い。
【0044】
上記構成により、複数台の送電装置から、一台の受電装置に、合成された大きな電力で送電可能となる。なお、本実施例では、送電装置は二台であったが、送電装置が三台以上の場合、中継コイル装置の受電コイルの接続数を増やすことにより、すべての送電装置の電力を用いて受電装置に送電可能となる。また、受電装置が複数で、かつ、送電装置の数の方が多い場合も、中継コイルの送電コイルを並列に接続することにより、すべての送電装置からすべての受電装置に送電が可能となる。
【0045】
以上より、本発明による中継コイル装置及びワイヤレス給電装置によれば、送電装置及び受電装置の数が減ったり、余ったりしても、それらの装置を十分に活用可能な中継コイル装置、及びワイヤレス給電装置を提供することができる。

【符号の説明】
【0046】
1、5 送電装置
2 中継コイル装置
3、4 受電装置
11、51 送電ユニット
12、23、25、52 送電コイル
21、28、32、42 受電コイル
13、22、24、26、29、33、43 通信部
14、27 制御部
31、41 受電ユニット
図1
図2
図3
図4