IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用シート 図1
  • 特開-車両用シート 図2
  • 特開-車両用シート 図3
  • 特開-車両用シート 図4
  • 特開-車両用シート 図5
  • 特開-車両用シート 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095023
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20220621BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20220621BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220621BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/16
B60N2/06
B60N2/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208100
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】楠田 寛之
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BB25
3B087BD01
3B087CA12
3B087CB12
3B087DE06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シートが収納状態では、シートベルトバックルがシートクッション上を移動可能な状態となることを抑制できる車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートは、シートベルトバックル4と、帯状部材と、規制部材10と、を備える。シートベルトバックル4は、シートクッション2aの上面に凹設された収容部に収容される。帯状部材は、シートベルトバックル4から収容部2dを貫通してシートクッション2aの下方に延び、車体側に固定されたアンカー部6に連結される。規制部材10は、帯状部材のアンカー部6の近傍から帯状部材の長手方向に沿って所定の長さで設けられ、帯状部材の折れ曲がりを規制する。シートベルトバックル4は、展開状態ではアンカー部6から車両前方に離間された第1の位置に配置され、収納状態では第1の位置からアンカー部6に近づくよう後退されて規制部材10の前端よりも後方の第2の位置に配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックをシートクッション上に折り畳む動作に連動して、前記シートクッションが車両後方かつ下方に移動されて、乗員が着座可能な展開状態から折り畳み収納された収納状態へ変位される車両用シートであって、
前記シートクッションの上面に凹設された収容部に収容されるシートベルトバックルと、
前記シートベルトバックルから前記収容部を貫通して前記シートクッションの下方に延び、車体側に固定されたアンカー部に連結される帯状部材と、
前記帯状部材の前記アンカー部の近傍から前記帯状部材の長手方向に沿って所定の長さで設けられ、前記帯状部材の折れ曲がりを規制する規制部材と、
を備え、
前記シートベルトバックルは、前記展開状態において前記アンカー部から車両前方に離間された第1の位置に配置され、前記収納状態において前記第1の位置から前記アンカー部に近づくよう後退されて前記規制部材の前端よりも後方の第2の位置に配置される、
車両用シート。
【請求項2】
前記帯状部材は、前記展開状態のときに前記アンカー部から車両前方に延びて前記シートベルトバックルが前記収容部から抜け出さない長さに設定されており、
前記車両用シートが前記収納状態のときには、前記規制部材で規制されていない第1の部分が前記規制部材で規制された第2の部分の上方で後方に折り返された状態となる、
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記規制部材は、前記帯状部材が挿通可能な筒状に形成され、当該規制部材の前記アンカー部側の端部が前記アンカー部と重なるように設けられている、
請求項1または2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記収納状態において、前記シートベルトバックルが前記規制部材に対して前記第1の部分を介して当接している、
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記帯状部材は、前記収容部に収容された際の前記シートベルトバックルとの連結部における面の向きが車幅方向であって、前記アンカー部との連結部における面の向きが上下方向であって、前記アンカー部との連結部から前記シートベルトバックルとの連結部に至るまでに90度回転し、
前記シートベルトバックルは、前記収容部が前記シートクッションの車幅方向一端側に設けられていた場合、前記規制部材の車幅方向他端側にオフセットされて配置され、前記収容部が前記シートクッションの車幅方向他端側に設けられていた場合、前記規制部材の車幅方向一端側にオフセットされて配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のユーザが着座可能な展開状態から、シートクッションが移動することによって収納状態となる車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、シートベルト(特許文献1では、ショルダーベルト)を係止するシートベルトバックルと、を備える。シートベルトバックルは、シートクッション上に配置され、帯状部材(特許文献1では、安全ベルト)およびアンカー部を介して床に固定される。特許文献1の車両用シートでは、ユーザが、収納時に、シートクッションを前側のヒンジ回りに倒立位置に移動させ、シートバックが後側のヒンジ回りに略水平位置に移動させる。これによって、シートが着座可能な展開状態から着座不能な収納状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-24291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用シートでは、シートクッションが倒立位置に移動すると、シートクッションがアンカー部から離れる。このため、帯状部材の長さが不足し、シートベルトバックルがシートクッション上から落下するおそれがある。特許文献1の車両用シートは、シートベルトバックルが床に落下することを防止するため、ボックスを備える。ボックスは、シートクッションが倒立位置に移動した場合、シートベルトに係止されていないシートベルトバックルを収納する。
【0005】
しかし、シートを収納状態にする場合、シートクッションがアンカー部に近づく場合もある。このような場合、帯状部材の長さが余り、シートベルトバックルがシートクッション上を移動可能な状態となる。このような状態で、シートを展開状態に戻す場合、シートベルトバックルが帯状部材に引っ張られて移動し、シートクッション上の障害物、またはシートバックに引っ掛かるおそれがある。
【0006】
本開示の課題は、シートが収納状態の場合において、シートベルトバックルがシートクッション上を移動可能な状態となることを抑制できる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両用シートは、シートバックをシートクッション上に折り畳む動作に連動して、シートクッションが車両後方かつ下方に移動されて、乗員が着座可能な展開状態から折り畳み収納された収納状態へ変位される車両用シートである。車両用シートは、シートベルトバックルと、帯状部材と、規制部材と、を備える。シートベルトバックルは、シートクッションの上面に凹設された収容部に収容される。帯状部材は、シートベルトバックルから収容部を貫通してシートクッションの下方に延び、車体側に固定されたアンカー部に連結される。規制部材は、帯状部材のアンカー部の近傍から帯状部材の長手方向に沿って所定の長さで設けられ、帯状部材の折れ曲がりを規制する。シートベルトバックルは、展開状態においてアンカー部から車両前方に離間された第1の位置に配置され、収納状態において第1の位置からアンカー部に近づくよう後退されて規制部材の前端よりも後方の第2の位置に配置される。
【0008】
この車両用シートによれば、シートバックルが第2の位置に配置されることによって、帯状部材が規制部材の端部で折り曲げられ、規制部が帯状部材の余長を吸収する。このため、シートの収納状態において、帯状部材の余長によってシートベルトバックルがシートクッションの上面に飛び出し、移動することを抑制できる。
【0009】
帯状部材は、展開状態のときにアンカー部から車両前方に延びてシートベルトバックルが収納部から抜け出さない長さに設定されていてもよい。車両用シートが収納状態のときには、規制部材で規制されていない第1の部分が規制部材で規制された第2の部分の上方で後方に折り返された状態となってもよい。
【0010】
この構成によれば、展開状態および収納状態において、収容部からシートクッション上にシートベルトバックルが抜け出ることをより確実に防止することができる。
【0011】
規制部材は、帯状部材が挿通可能な筒状に形成されてもよい。規制部材のアンカー部側の端部がアンカー部と重なるように設けられてもよい。
【0012】
この構成によれば、アンカー部によって規制部材の動きを規制することができるため、規制部材の向きの変化を抑制することができる。これによって、特に収納状態において、規制部材のずれに伴う帯状部材の動きの発生を防止することができる。また、帯状部材が規制部材に挿通されることにより、上下左右方向への帯状部材の動きをより抑制することができる。
【0013】
収納状態において、シートベルトバックルが規制部材に対して第1の部分を介して当接していてもよい。
【0014】
この構成によれば、シートベルトバックルによって規制部材を上方から押さえつけることができるため、収納状態における規制部材の向きの変化をより確実に抑制することができる。
【0015】
帯状部材は、収容部に収容された際のシートベルトバックルとの連結部における面の向きが車幅方向であってもよい。帯状部材は、アンカー部との連結部における面の向きが上下方向であってもよい。帯状部材は、アンカー部との連結部からシートベルトバックルとの連結部に至るまでに90度回転してもよい。シートベルトバックルは、収容部がシートクッションの車幅方向一端側に設けられていた場合、規制部材の車幅方向他端側にオフセットされて配置され、収容部がシートクッションの車幅方向他端側に設けられていた場合、規制部材の車幅方向一端側にオフセットされて配置されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、回転部の急激なねじれを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、シートが収納状態の場合において、シートベルトバックルがシートクッション上を移動可能な状態となることを抑制できる車両用シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施形態による車両用シートのシート展開状態における概略構成を示す図。
図2】本開示の実施形態による車両用シートのシート展開状態における挿通孔中央付近の断面視を示す図。
図3】本開示の実施形態によるシートベルトバックル、帯状部材およびアンカー部の部品上面図。
図4】本開示の実施形態によるシートベルトバックル、帯状部材およびアンカー部の部品側面図。
図5】本開示の実施形態による車両用シートのシート収納状態における挿通孔中央付近の断面視を示す図、およびシートベルトバックル分の拡大図。
図6】本開示の実施形態によるシート収納状態におけるシートベルトバックルと規制部材の位置関係を示す上面図、およびシートベルトバックル分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下明細書において、車両の前後方向をQと図面に記し、前方をFと記す。また、車両の車幅方向(左右方向)をPと図面に記し、車両の後方からみて右側をRと記す。さらに、車両の上下方向をGと図面に記し、上方をUと記す。
【0020】
図1および図2に示すように、車両Cに搭載される車両用シート1は、シート本体2と、シートベルトバックル4と、アンカー部6と、帯状部材8と、規制部材10と、を備える。図1に示すように、本実施形態の車両Cは、車両Cの図示しない一番前に配置される1列目シートと、1列目シートの後方に配置される2列目シート7と、2列目シート7の後方に配置されるシート本体2と、を備える3列シートの車両である。
【0021】
車両Cは、後部に凹部5を有する。凹部5は、車両Cのフロアパネル3が下方に凹ませて設けられる。凹部5には、シート本体2と、シート本体2の下方に配置されるスペアタイヤ12が設けられる。本実施形態ではシート本体2は、車幅方向Pに並んで2つ配置され、車幅方向Pの車両内側に、シートベルトバックル4がそれぞれ配置される(図6参照)。
【0022】
シート本体2は、シートクッション2aと、シートバック2bと、を有する。シートクッション2aは、車両Cのユーザが着座する座面として機能する。本実施形態では、シートクッション2aの後部は、シートフレーム2cに後部リンク機構14を介して支持される。シートクッション2aの前部は、前部リンク機構16を介してフロアパネル3に支持される。後部リンク機構14および前部リンク機構16は、シート本体2のシートクッション2aがアンカー部6に移動可能に支持する。また、本実施形態ではシート本体2は、前部リンク機構16を支点としてシート本体2の後部およびシートフレーム2cが上方に回動する。このように、シート本体2およびシートフレーム2cが回動することで、シート本体2の下方にあるスペアタイヤ12をユーザが取り出すことができる。
【0023】
図2に示すように、シートクッション2aは、上面に凹設されシートベルトバックル4が収容可能な収容部2dを含む。収容部2dは、シートクッション2aがシートベルトバックル4の形状に合わせて繰りぬかれて形成されるとともに、下部に帯状部材8が挿通可能なスリットが設けられる。収容部2dは、シートベルトバックル4の前後方向Qおよび車幅方向Pを保持するとともに、シートベルトバックル4を収納するポケットとして機能する。シートバック2bは、リクライニング機構2fを介してシートクッション2aに支持され、シートクッション2aに対し回動可能に設けられる。
【0024】
シートベルトバックル4は、図示しないショルダーベルトに接続されるタングプレートを係止するために設けられる。図3および図4に示すように、シートベルトバックル4は、断面略長方形の樹脂部材であり、上面4aに開口してタングプレートが差し込まれるスリット4bが設けられる。シートベルトバックル4内部には、タングプレートをロックするための図示しないロック機構が設けられ、スリット4bに差し込まれたタングプレートを係止する。図2に示すように、シートベルトバックル4は、シートクッション2aに着座した車両Cのユーザがタングプレートを差し込み操作しやすいように、シートベルトバックル4の上面4aがシートクッション2aの上面2eに臨んで配置される。また、シートベルトバックル4は、断面長方形の長手方向が前後方向Qに沿って配置される。すなわち、スリット4bが前後方向Qに沿って配置される(図6参照)。
【0025】
図3および図4に示すように、アンカー部6には、L字型の板状の金属部材にアンカーボルト6a(図2参照)を差し込むための貫通孔6bが設けられる。アンカー部6は、車両Cが衝突した際にシートベルトバックル4にかかる負荷を車両Cに伝達する。本実施形態ではアンカー部6は、シートフレーム2cに固定される。しかし、アンカー部6は、車両Cのフロアパネル3に直接固定されてもよい。図2に示すように、アンカー部6は、シートフレーム2cに固定された状態において、シートクッション2aよりも後方かつ下方に配置される。
【0026】
帯状部材8は、シートベルトバックル4から収容部2dおよび収容部2dの下部のスリットを貫通してシートクッション2aの下方に延び、車体側に固定されたアンカー部6に連結される。帯状部材8は、ポリエステルなどの高強度繊維を編み込んで帯状(ベルト状)に形成される。本実施形態では、帯状部材8は、車両用シート1が展開状態のときにアンカー部6から車両前方に延びてシートベルトバックル4が収納部から抜け出さない長さに設定されている。図3および図4に示すように、帯状部材8の一端8aは、シートベルトバックル4に長円形に設けられたバックル側ベルト挿通孔4cに帯状部材8を掛け回すことで、シートベルトバックル4と接続される。帯状部材8の他端8bは、アンカー部6に設けられたアンカー側ベルト挿通孔6cに帯状部材8を掛け回すことで、アンカー部6と接続される。
【0027】
帯状部材8は、収容部2dに収容された際のシートベルトバックル4との連結部における面の向きが車幅方向Pである。帯状部材8は、アンカー部6との連結部における面の向きが上下方向Gである。帯状部材8は、アンカー部6との連結部からシートベルトバックル4との連結部に至るまでに90度回転する。より具体的には、帯状部材8は、車両Cに配置された状態において、帯面8cが前後方向Qに延びる状態でシートベルトバックル4に連結部を介して接続される。一方、帯状部材8は、アンカー部6と帯面8cが車幅方向Pに延びる状態で連結部を介して接続される。このため、帯状部材8は、90度回転して配置される。
【0028】
規制部材10は、帯状部材8のアンカー部6の近傍から帯状部材8の長手方向に沿って所定の長さで設けられ、帯状部材8の折れ曲がりを規制する。規制部材10は、角筒状の樹脂で形成され、帯状部材8を覆う。規制部材10は、上面10aに貫通孔10bを有する。規制部材10は、帯状部材8と縫い合わされた糸が貫通孔10bを通ることで、帯状部材8と固定される。帯状部材8は、規制部材10の筒の内部に挿通することで、帯状部材8の折れ曲がりが規制される。本実施形態では、規制部材10のアンカー側端部(後方端部)10cが、アンカー部6と重ねて配置され、規制部材10がアンカー部6に当接することで、規制部材10の上下方向Gの移動が規制される。これによって、特にシート本体2の収納状態において、規制部材10のずれに伴う帯状部材8の動きの発生を防止することができる。また、帯状部材8が規制部材10に挿通されることにより、上下方向Gおよび車幅方向(左右方向)Pへの帯状部材8の動きをより抑制することができる。
【0029】
規制部材10の長さ(帯状部材8に沿った方向の長さ)は、帯状部材8の長さよりも短い。すなわち、規制部材10が車両Cに配置された状態では、規制部材10のバックル側端部10dは、帯状部材8の一端8аよりも後方となる。帯状部材8は、規制部材10のバックル側端部10dから帯面8cが上下方向Gから車幅方向Pに向くように90度回転して延び、シートクッション2aの収容部2dに配置されたシートベルトバックル4に連結部を介して接続される。
【0030】
図5に示すように、車両用シート1は、シート本体2のシートバック2bをシートクッション2a上に折り畳む動作に連動して、シートクッション2aが車両後方かつ下方に移動されて、乗員が着座可能な展開状態から折り畳み収納された収納状態へ変位される。このため、シート本体2は、収納状態においてシートバック2bがシートクッション2aに向けて倒れることによって、シートバック2bの背面2gが荷室床面として機能する。
【0031】
シートベルトバックル4は、シート本体2の展開状態においてアンカー部6から車両前方に離間された第1の位置に配置される(図2参照)。一方、シートベルトバックル4は、シート本体2が収納状態において第1の位置からアンカー部に近づくよう後退されて規制部材10の前端(バックル側端部10d)よりも後方の第2の位置に配置される。
【0032】
図5に拡大して示すように、シート本体2が収納状態の場合、規制部材10は、シートベルトバックル4の下方に配置される。帯状部材は、シート本体2が収納状態のときには、規制部材10で規制されていない第1の部分が規制部材10で規制された第2の部分の上方で後方に折り返された状態となる。より具体的には、帯状部材8は、アンカー部6から前方Fに向けて延び、規制部材10のバックル側端部10dにおいて第1の部分が規制部材10の上面10aに向けて折り返す。帯状部材8は、シートベルトバックル4に向けて上方に90度回転して伸び、シートベルトバックル4に接続される。このように、帯状部材8が規制部材10のバックル側端部10dにおいて折り返して延びることで、シート本体2が収納状態の場合に帯状部材8の余長を吸収できる。
【0033】
また、シートベルトバックル4が規制部材10に対して第1の部分を介して当接する。これによって、シートベルトバックル4によって規制部材10を上方から押さえつけることができるため、収納状態における規制部材10の向きの変化をより確実に抑制できる。
【0034】
図6に示すように、シートベルトバックル4は、収容部2dがシートクッション2aの車幅方向一端側に設けられていた場合、規制部材10の車幅方向他端側にオフセットされて配置され、収容部2dがシートクッション2aの車幅方向他端側に設けられていた場合、規制部材10の車幅方向一端側にオフセットされて配置されている。本実施形態では、車幅方向Pの右側のシート本体2のシートベルトバックル4は、上面視において規制部材10の車幅方向Pの中央に対し、車幅方向Pの左側にオフセットして配置される。一方、車幅方向Pの左側のシート本体2のシートベルトバックル4は、上面視において規制部材10の車幅方向Pの中央に対し、車幅方向Pの右側にオフセットして配置される。このように、シートベルトバックル4が車幅方向Pのいずれか一方にオフセットして配置されることによって、帯状部材8が90度回転する回転部において、急激なねじれを防止できる。この結果、帯状部材8の規制部材10のバックル側端部10dからシートベルトバックル4までの間(第1の部分)において、帯状部材8の余長を吸収しやすい。
【0035】
また、規制部材10の上面10aの車幅方向Pの長さは、収容部2dのスリットの車幅方向Pの長さよりも長い。さらに、規制部材10の上面10aの前後方向Qの長さは、収容部2dのスリットの前後方向Qの長さよりも長い。すなわち、規制部材10の上面10aの面積は、収容部2dのスリットの断面積より大きい。これによって、規制部材10は収容部2dのスリットに引っ掛かる。この結果、規制部材10が収容部2dに進入することがない。
【0036】
このように、帯状部材8の余長が吸収されることによって、シートベルトバックル4が収容部2dから飛び出すことを防止できる。これによって、シートベルトバックル4がシートクッション2aの上面2eを移動することを抑制できる。この結果、シート本体2の収納時にシートベルトバックル4がシートバック2bに挟まれることを防止できる。また、シート本体2を収納状態から展開状態に戻す時に、シートベルトバックル4が移動し、シートクッション2aの上面2eに置かれた障害物やシートバック2bに引っ掛かることを防止できる。
【0037】
以上説明した通り、本開示によれば、シート本体2が収納状態の場合において、シートベルトバックル4がシートクッション2a上を移動可能な状態となることを抑制できる車両用シート1を提供できる。
【0038】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0039】
(a)上記実施形態では、アンカー部6は、シートフレーム2cに固定された状態において、シートクッション2aよりも後方かつ下方に配置される例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。アンカー部6がシートクッション2aよりも下方にあり、かつ車両用シートを展開状態から収納状態にした際に帯状部材8に余長が発生する位置にアンカー部6が配置される場合、本開示の車両用シート1を用いてもよい。
【0040】
(b)上記実施形態では、3列目のシート本体2を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示の車両用シート1を2列目シート7に用いてもよい。
【0041】
(c)上記実施形態では、3列目のシート本体2が荷室の利便性を向上させるために、左右方向に分割されて配置されたが、シート本体2は、左右方向に一体的に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:車両用シート,2a:シートクッション,2b:シートバック
2d:収容部,2e:上面,4:シートベルトバックル
6:アンカー部,8:帯状部材,8c:帯面
10:規制部材,C:車両,P:車幅方向,Q:前後方向,G:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6