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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095036
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】水熱処理システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20220621BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20220621BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20220621BHJP
   C02F 11/08 20060101ALI20220621BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20220621BHJP
   C02F 11/13 20190101ALI20220621BHJP
【FI】
B09B3/00 D ZAB
C02F11/00 M
C02F11/04
C02F11/08
C02F11/121
C02F11/13
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208120
(22)【出願日】2020-12-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】ハルディ フラビアヌス
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AC05
4D004BA03
4D004CA18
4D004CA22
4D004CB02
4D004CB05
4D004CC07
4D059AA01
4D059AA07
4D059AA30
4D059BA12
4D059BA17
4D059BB01
4D059BC03
4D059BE12
4D059BE26
4D059BF02
4D059CA06
4D059CA22
4D059CB01
(57)【要約】
【課題】有機物含有廃棄物に含まれる各内容物の比率によらず、安定的にガスを生成する。
【解決手段】水熱処理システム1は、有機物含有廃棄物を水熱反応させる水熱処理装置10と、水熱反応された水熱処理物を加湿する調整槽11と、調整槽11で加湿された水熱処理物を移送する第一移送装置21と、第一移送装置21で移送された水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物とに分離する加圧分離装置12と、加圧分離装置12で分離された水熱処理液を貯留して加温する可溶化槽13と、可溶化槽13で加温され且つ可溶化された水熱処理液を調整槽11に返送する第二移送装置22と、可溶化槽13に貯留された水熱処理液を用いてガスを生成するガス生成装置14とを有する。第二移送装置22は、可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が所定濃度の場合に、ガス生成装置14に水熱処理液を移送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物含有廃棄物を水熱反応させる水熱処理装置と、
前記水熱反応された水熱処理物を加湿する調整槽と、
前記調整槽で加湿された水熱処理物を移送する第一移送装置と、
前記第一移送装置で移送された水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物とに分離する加圧分離装置と、
前記加圧分離装置で分離された水熱処理液を貯留して加温する可溶化槽と、
前記可溶化槽で加温され且つ可溶化された水熱処理液を前記調整槽に返送する第二移送装置と、
前記可溶化槽に貯留された水熱処理液を用いてガスを生成するガス生成装置と
を有し、
前記第二移送装置は、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が所定濃度の場合に、前記ガス生成装置に前記水熱処理液を移送する水熱処理システム。
【請求項2】
前記ガス生成装置で排出された廃液から再利用水を生成する廃液処理装置をさらに有し、
前記廃液処理装置で生成された再利用水を前記調整槽に供給する請求項1に記載の水熱処理システム。
【請求項3】
前記ガス生成装置で生成されたガスを移送する第三移送装置と、
前記第三移送装置で移送されたガスを利用するガス利用施設と
をさらに有する請求項2に記載の水熱処理システム。
【請求項4】
前記加圧分離装置で分離された残余物を移送する第四移送装置と、
前記第四移送装置で移送された残余物を焼却する廃棄物焼却施設と
をさらに有する請求項3に記載の水熱処理システム。
【請求項5】
前記ガス利用施設及び前記廃棄物焼却施設の少なくとも一方は蒸気タービンを備え、
前記蒸気タービンで発電に利用された水蒸気を、前記水熱処理装置及び前記可溶化槽の少なくとも一方に供給する請求項4に記載の水熱処理システム。
【請求項6】
前記水熱処理装置及び前記調整槽と、前記加圧分離装置及び前記可溶化槽とが、近接して設置されている場合、前記第一移送装置は破砕ポンプを備えたパイプラインであり、前記第二移送装置はポンプを備えたパイプラインであり、
前記水熱処理装置及び前記調整槽と、前記加圧分離装置及び前記可溶化槽とが、互いに遠方に設置されている場合、前記第一移送装置及び前記第二移送装置は、いずれも自動車である請求項5に記載の水熱処理システム。
【請求項7】
前記ガス生成装置と前記ガス利用施設とが、近接して設置されている場合、前記第三移送装置はパイプラインであり、
前記ガス生成装置と前記ガス利用施設とが、互いに遠方に設置されている場合、前記第三移送装置は自動車であり、
前記廃棄物焼却施設と、前記加圧分離装置及び前記可溶化槽とが、近接して設置されている場合、前記第四移送装置はコンベヤであり、
前記廃棄物焼却施設と、前記加圧分離装置及び前記可溶化槽とが、互いに遠方に設置されている場合、前記第四移送装置は自動車である請求項6に記載の水熱処理システム。
【請求項8】
前記加圧分離装置は、
前段に回転式ドラムスクリーン及び後段にスクリュープレスを備え、
前記回転式ドラムスクリーンで分離される水熱処理液と、前記スクリュープレスで分離される水熱処理液とが、前記可溶化槽に貯留される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の水熱処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有廃棄物からガスを生成する水熱処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみなどの家庭から排出される厨芥(生ごみ)、紙や草木などの木質系廃棄物、家畜糞尿、汚泥といった有機物含有廃棄物を高温高圧の水蒸気で水熱反応させて可溶化(水熱処理)し、水熱処理された有機物含有廃棄物(水熱処理物)から溶液やスラリー等の液体(水熱処理液)を分離し、当該液体を用いて微生物や菌によるガス生成、例えば、メタン発酵を行うシステムが開発されている(例えば特許文献1、2)。水熱処理物から水熱処理液を分離するために、このシステムでは、例えばスクリーンや、特許文献3に記載されているようなスクリュープレスを使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-119378号公報
【特許文献2】特開2019-181397号公報
【特許文献3】特開2011-200836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ゴミ収集車で回収される有機物含有廃棄物やごみ清掃工場のごみピットに貯留された有機物含有廃棄物には、ガス発生に寄与する有機物の他に、ガス発生に寄与しない又は寄与しづらい有機物(例えばプラスチック)や、金属やガラス等の無機物も完全には除去されずに残留している。また、地域、季節、日時によっても、回収され又は貯留された有機物含有廃棄物に含まれる有機物と無機物の比率や、有機物であっても厨芥と紙の比率や、ガス発生に寄与する有機物とほとんど寄与しない有機物との比率など(すなわち、所定量の有機物含有廃棄物に占める複数の内容物の各々の比率)が異なる。
【0005】
また、一般的に、有機物含有廃棄物に占める各内容物の比率がどのようなものであっても、水熱処理装置では、所定量の有機物含有廃棄物が、予め定められた一定の時間(所定時間)だけ水熱処理され、当該所定時間が終了し次第、水熱処理を終了し、水熱処理装置から水熱処理物が取り出される。このため、有機物含有廃棄物に占める各内容物の比率によって、取り出される水熱処理物の性状が異なる。例えば、水分が少なく砂状または粉末状の水熱処理物が得られる場合もあれば、水分が多く泥状または液状の水熱処理物が得られる場合もある。
【0006】
一方で、水熱処理液を用いて微生物や菌によるガス生成、例えば、メタン発酵によるメタン生成を行う場合、水熱処理物に含まれる微細な有機物が、水熱処理液に可能な限り多く含有していることが望ましい。このため、特許文献3に記載されているように、水熱処理物から水熱処理液を分離する際に、加圧式のスクリュープレスを使用するのが好適である。しかし、低水分量(例えば、砂状)の水熱処理物をスクリュープレスで加圧することは電力消費量を増大させ、また、故障を誘発する恐れがあるので好ましくない。
【0007】
さらに、水熱処理液を用いて微生物や菌によるガス生成を行う場合、水熱処理液に含有される微細な有機物の濃度はガス生成効率を上げるために重要な要素である。しかし、当該有機物の濃度が、水分の多い水熱処理物と水分の少ない水熱処理物とでは大きく異なるため、メタン発酵装置などのガス生成装置において、安定的にガスを生成することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明では、有機物含有廃棄物に含まれる各内容物の比率によらず、安定的にガスを生成できる水熱処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水熱処理システムは、有機物含有廃棄物を水熱反応させる水熱処理装置と、前記水熱反応された水熱処理物を加湿する調整槽と、前記調整槽で加湿された水熱処理物を移送する第一移送装置と、前記第一移送装置で移送された水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物とに分離する加圧分離装置と、前記加圧分離装置で分離された水熱処理液を貯留して加温する可溶化槽と、前記可溶化槽で加温され且つ可溶化された水熱処理液を前記調整槽に返送する第二移送装置と、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液を用いてガスを生成するガス生成装置とを有し、前記第二移送装置は、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が所定濃度の場合に、前記ガス生成装置に前記水熱処理液を移送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機物含有廃棄物に含まれる各内容物の比率によらず、安定的にガスを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る水熱処理システムを示す模式図である。
図2】実施形態に係る水熱処理システムの第二設備の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の水熱処理システムについて説明する。以下に示す構成等はあくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下に示す構成等は、本発明における必須の構成要件及びその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0013】
図1は、本実施形態の水熱処理システム1を示す模式図である。水熱処理システム1は、有機物含有廃棄物を高温高圧の水蒸気で水熱反応させて可溶化(以下「水熱処理」という)し、水熱処理された有機物含有廃棄物(以下「水熱処理物」という)から分離される溶液、混合液、またはスラリー等の液体(以下「水熱処理液」という)を用いて、微生物や菌によるガス生成を行うシステムである。
水熱処理システム1は、水熱処理装置10と、調整槽11と、第一移送装置21と、加圧分離装置12と、可溶化槽13と、第二移送装置22と、ガス生成装置14とを、少なくとも含んで構成される。
では、図1に示す水熱処理システム1の全ての構成につき、以下に詳述する。
【0014】
水熱処理装置10は、有機物含有廃棄物を水熱処理する装置である。水熱処理装置10に投入される有機物含有廃棄物としては、家庭から排出される厨芥(生ごみ)、木質系廃棄物、家畜糞尿、汚泥などが挙げられる。ごみ収集車で回収された有機物含有廃棄物やごみ清掃工場のごみピットに貯留された有機物含有廃棄物をそのまま水熱処理装置10に投入してもよいし、これらの有機物含有廃棄物から無機物を取り除いた後、水熱処理装置10に投入してもよい。これらの有機物含有廃棄物の中から、ガス生成に適した有機物を含有する厨芥類、紙類、草木類を選択的に取り出し、取り出した厨芥類、紙類または草木類を水熱処理装置10に投入してもよい。水熱処理装置10は、近年、高齢者施設等で処分の問題が生じている紙おむつも水熱処理することができる。
後程明らかになるが、水熱処理システム1においては、水熱処理装置10が1回の水熱処理で取り扱う所定量の有機物含有廃棄物に占める各々の内容物の比率が、複数回実施される各々の水熱処理で取り扱うそれぞれの有機物含有廃棄物ごとに大きく異なっていても、後述のガス生成装置14で安定的にガスを生成することができる。
水熱処理装置10で所定時間の水熱処理が行われ、水熱処理装置10から排出された水熱処理物は、調整槽11に貯留される。
【0015】
調整槽11は、水熱処理装置10から排出された水熱処理物を加湿して、水熱処理物の性状を調整する装置である。なお、ここでは、水熱処理物を「加湿」するとは、水熱処理物を水や液体で湿らせる意味のほか、水熱処理物を水や液体に浸す意味も含む。
調整槽11には、後述する可溶化槽13に貯留された水熱処理液が注液されるので、調整槽11に貯留された水熱処理物が加湿される。調整槽11には、当該水熱処理液に加え、適宜、水道水(図示省略)や後述の再利用水を注水してもよい。
また、調整槽11に撹拌装置を設置し、調整槽11に貯留された水熱処理物と、注液または注水されるこれらの液または水とを攪拌して混合してもよい。撹拌装置を設置した場合は、調整槽11は、短時間で水熱処理物の性状を調整することができる。例えば、調整槽11に貯留された水熱処理物が砂状であった場合、上記注液または上記注水を行いつつ撹拌装置を動作させることにより、当該水熱処理物を短時間でスラリー状に変化させることができる。
撹拌装置は、空気撹拌や機械撹拌など、調整槽11に貯留された水熱処理物と、注液または注水されるこれらの液または水とを攪拌して混合する装置であれば、いかような装置であってもよい。
【0016】
なお、水熱処理装置10及び調整槽11は、有機物含有廃棄物を水熱処理し、且つ、水熱処理して得られた水熱処理物に加湿して貯留する設備であり、水熱処理システム1における第一段階の処理を行う第一設備2の構成要素である。
また、後述するが、第一設備2で貯留された水熱処理物を加圧して水熱処理液を分離(以下「加圧分離」という)し、当該加圧分離により得られた水熱処理液を可溶化する設備は、水熱処理システム1における第二段階の処理を行う第二設備3である。さらに、第二設備3で可溶化された水熱処理液を用いてガス生成する設備は、水熱処理システム1における第三段階の処理を行う第三設備4である。
【0017】
第一移送装置21は、第一設備2の調整槽11で加湿された水熱処理物を第二設備3へ移送する装置である。
第一設備2と第二設備3とが互いに近接して設置されている場合、例えば、第一設備2と第二設備3との距離が約500m未満である同一または近隣の敷地に設置されている場合、第一移送装置21は、第一設備2の調整槽11と第二設備3の加圧分離装置12とに接続し、且つ、調整槽11で性状が調整された水熱処理物を加圧分離装置12へ圧送する破砕ポンプを備えたパイプラインが望ましい。パイプラインは、一般的に、一つの経路を形成するよう複数の配管が接続されて構成される。
この場合は、パイプラインを通じて、第一設備2の調整槽11に貯留された水熱処理物を、破砕ポンプにより破砕しながら第二設備3の加圧分離装置12へ移送する。水熱処理物の移送の際に、破砕ポンプで水熱処理物を細かくすることができるので、後述の加圧分離装置12(例えば、スクリュープレス)の負荷を低減できる。
【0018】
なお、以下、第一設備2、第二設備3、及び第三設備4のうち2つの設備が「近接」して設置されるという場合には、当該2つの設備同士の距離が約500m未満の同一または異なる敷地に設置されることを意味する。
【0019】
一方、第一設備2と第二設備3とが互いに遠方に設置されている場合、第一移送装置21は、貯留タンク等を備えた自動車(例えば、バキュームカー等)が望ましい。例えば、第一設備2と第二設備3とが互いに約500m以上離れて設置されていれば、同一の敷地であっても異なる敷地であっても、これらは「遠方」に設置されているといえる。この場合は、第一設備2の調整槽11に貯留された水熱処理物を自動車に積載して、第二設備3の加圧分離装置12まで運搬し、運搬した水熱処理物を加圧分離装置12へ投入する。
【0020】
ここで、自動車は、人が運転する自動車でもよいし、人ではなく人工知能(Artificial Intelligence、いわゆるAI)などのコンピュータが運転を制御する自動運転の自動車であってもよい。
また、水熱処理システム1に中央制御室を設け、監視カメラを利用して人が遠隔監視しながら、自動車の運転を制御してもよい。この場合、水熱処理システム1に含まれる設備、装置、並びに施設に監視カメラを設置すれば、中央制御室でこれらの遠隔監視をすることができ、水熱処理システム1の運転の安全性を向上することができる。
さらに、水熱処理システム1は、中央制御室で、水熱処理システム1に含まれる設備、装置、並びに施設のそれぞれの運転を制御するよう構成することもでき、AIを利用することで水熱処理システム1の運転を全自動化することも可能である。
【0021】
なお、以下、第一設備2、第二設備3、及び第三設備4のうち2つの設備が「遠方」に設置されるという場合には、当該2つの設備同士の距離が約500m以上の同一または異なる敷地に設置されることを意味する。
また、以下、「自動車」という場合には、当該自動車は、人が運転する自動車であっても、当該自動運転の自動車であってもよい。当該自動車は、人が遠隔監視して運転を制御する自動車であってもよい。
【0022】
第二設備3の加圧分離装置12は、第一設備2の調整槽11から第一移送装置21で移送された水熱処理物を加圧して、水熱処理液と残余物(水熱処理物から水熱処理液が分離されて残った物)とに分離する装置である。なお、水熱処理液は発酵適物、残余物は発酵不適物ともいわれる。
加圧分離装置12は、例えば、図2に示すように、前段に回転式ドラムスクリーン12Aを配置し、後段にスクリュープレス12Bを配置した構成とすることができる。回転式ドラムスクリーン12Aは、例えば、三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社の特許第6384015号の登録公報に記載のパンチングメタルドラムスクリーン装置であってもよい。また、スクリュープレス12Bは、例えば、三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社の特許第6734496号の登録公報の図13に記載の脱水システムであってもよい。
加圧分離装置12は、水熱処理物の含水率や粘性等により、水熱処理液の回収率や発酵不適物の除去率に影響があるため、目開きや開口率、スクリューピッチ(スクリューと排出口との距離)などが慎重に設定される。上記特許第6734496号の登録公報の図13に記載の脱水システムは、水熱処理物の性状の変化に対応して目開きを変更するので、加圧分離装置12に好適である。加圧分離装置12は、水熱処理物の性状の変化に対応して、例えば、排出口の大きさを増減させて、装置内の圧力を変更してもよい。
また、加圧分離装置12は、図2と異なり、スクリュープレスのみの単体で構成してもよい。
【0023】
図2の加圧分離装置12では、第一設備2の調整槽11から第一移送装置21で移送された水熱処理物は、まず、回転式ドラムスクリーン12Aに投入される。そして、回転式ドラムスクリーン12Aで、水熱処理物から一部の水熱処理液が分離される。その後、回転式ドラムスクリーン12Aから排出された水熱処理物は、スクリュープレス12Bに投入される。
従って、前段に回転式ドラムスクリーン12Aを配置しない場合(加圧分離装置12がスクリュープレスのみの単体の場合)に比べ、後段のスクリュープレス12Bは、第一移送装置21で移送された水熱処理物の総量よりも減量した水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物に分離する。このため、図2の加圧分離装置12は、スクリュープレス12Bの動力低減(電力の省力化)が可能である。
なお、回転式ドラムスクリーン12Aで分離された一部の水熱処理液と、スクリュープレス12Bで分離された水熱処理液とは、いずれも第二設備3の可溶化槽13に貯留される。
【0024】
第二設備3の可溶化槽13は、加圧分離装置12で分離された水熱処理液を貯留して加温し、水熱処理液を可溶化する装置である。加温の温度は、例えば、約40℃~60℃とすることができる。
可溶化槽13で水熱処理液を可溶化することで、水熱処理液に浮遊している不溶性の固形物(Suspended Solids、以下「SS」という)が、水熱処理液に溶解している固形物(Dissolved Solids、以下「DS」という)に変化する。このため、可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる固形物全体量(Total Solids、以下「TS」という。TS=SS+DS)に占めるSSが減少する。従って、可溶化槽13は、貯留している水熱処理液のSSを減量し、DSを増量し、酸発酵を促進する装置ともいえる。
一般的に、TSにおける有機物のDSの量が多い方が、微生物や菌によるガス生成に望ましい。可溶化槽13に貯留された水熱処理液のTS、SS、またはDSは、専用の測定装置(図示省略)で計測することができる。
また、可溶化槽13には、調整槽11と同様に、撹拌装置を設置して、可溶化槽13に貯留された水熱処理液を攪拌し、水熱処理液の可溶化を促進してもよい。
【0025】
第二移送装置22は、第二設備3の可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が所定濃度(例えば、TSが約10%、DSが約6%)未満の場合に、当該水熱処理液を可溶化槽13から第一設備2の調整槽11へ返送し、当該所定濃度に達した場合(実質的に当該所定濃度以上の場合を含む。また、当該所定濃度は、例えば、TSが約10%~12%、DSが約6%~8%など、範囲のある濃度であってもよい)に、当該水熱処理液を可溶化槽13から第三設備4のガス生成装置14に移送する装置である。
第二移送装置22は、先述の測定装置の測定結果に基づき、調整槽11とガス生成装置14のいずれか一方を移送先として自動的に選択し、可溶化槽13に貯留された水熱処理液を当該選択した移送先へ移送する構成としてもよい。
なお、当該所定濃度は、後述のガス生成装置14で、微生物または菌によるガス生成に適した有機物の濃度に設定される。当該所定濃度においては、可溶化槽13に貯留された水熱処理液のpH値(ペーハー値)は7未満の酸性となっており、pH値が5以下であることが望ましい。
【0026】
第二移送装置22は、第一移送装置21と同様に、第一設備2と第二設備3とが互いに近接して設置されている場合、第一設備2の調整槽11と第二設備3の可溶化槽13とに接続し、且つ、可溶化槽13の水熱処理液を調整槽11へ圧送するポンプを備えたパイプラインが望ましい。
一方、第一設備2と第二設備3とが互いに遠方に設置されている場合、第二移送装置22は、貯留タンク等を備えた自動車(例えば、バキュームカー等)が望ましい。この場合は、自動車によって可溶化槽13から調整槽11へ水熱処理液を運搬する。
いずれの場合も、第二移送装置22により、水熱処理液は、第一設備2と第二設備3との間を循環することになる。
【0027】
また、第二移送装置22は、第二設備3と第三設備4とが互いに近接して設置されている場合、第二設備3の可溶化槽13と第三設備4のガス生成装置14とに接続し、且つ、可溶化槽13の水熱処理液をガス生成装置14の投入口へ圧送するポンプを備えたパイプラインが望ましい。
【0028】
なお、第一設備2と第二設備3と第三設備4とが互いに近接して設置されている場合、第二移送装置22は、例えば、第二設備3の可溶化槽13と第一設備2の調整槽11とを接続するパイプラインの途中に切替装置を備え、当該パイプラインから分岐した別のパイプラインを、当該切替装置と第三設備4のガス生成装置14の投入口とに接続する構成としてもよい。
上述したように、第二設備3の可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度に応じて、第二設備3の可溶化槽13と第一設備2の調整槽11とを接続するパイプラインと、上記別のパイプラインとのいずれか一方で、可溶化槽13に貯留された水熱処理液を移送するよう、第二移送装置22は、切替装置で択一的に選択することができる。
【0029】
一方、第二設備3と第三設備4とが互いに遠方に設置されている場合、第二移送装置22は、貯留タンク等を備えた自動車(例えば、バキュームカー等)が望ましい。この場合は、自動車によって可溶化槽13からガス生成装置14へ水熱処理液を運搬し、ガス生成装置14の投入口へ当該水熱処理液が投入される。
なお、第一設備2と第二設備3とが互いに近接して設置され、且つ、第二設備3と第三設備4とが互いに遠方に設置されている場合、第二移送装置22としては、第一設備2と第二設備3との間の水熱処理液の移送はパイプライン、また、第二設備3と第三設備4との間の水熱処理液の移送は自動車であってもよい。すなわち、第二移送装置22は、パイプラインと自動車の2種類の移送装置を兼ね備えてよい。
同様に、第一設備2と第二設備3とが互いに遠方に設置され、且つ、第二設備3と第三設備4とが互いに近接して設置されている場合、第二移送装置22としては、第一設備2と第二設備3との間の水熱処理液の移送は自動車、また、第二設備3と第三設備4との間の水熱処理液の移送はパイプラインであってもよい。
【0030】
第二移送装置22は、第二設備3の可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が、上述した所定濃度になるまで、当該水熱処理液を第一設備2の調整槽11に返送する。
従って、第一設備2の調整槽11に貯留された水熱処理物を加湿することができるので、第一移送装置21による水熱処理物の移送を容易にし、第二設備3の加圧分離装置12の動力を低減することができる。
【0031】
また、第二設備3の可溶化槽13から第一設備2の調整槽11へ返送される水熱処理液は、可溶化槽13で加温されているので、当該加温された温度のまま又は自然放熱等で少々冷却されたとしても常温より高い温度を維持したまま調整槽11へ注液することが可能である。
この場合、当該返送される水熱処理液は、調整槽11に貯留された水熱処理物の少なくとも一部の可溶化を促進するなどして当該水熱処理物の性状の調整に寄与することができる。
【0032】
その上、水熱処理システム1では、時間的に順次、複数回の水熱処理が行われるが、第一設備2の水熱処理装置10が水熱処理する有機物含有廃棄物に占める各々の内容物の比率が水熱処理のたびに大きく異なり、各水熱処理で得られる水熱処理液に含まれる有機物の濃度に大きなばらつきがあっても、上記返送により、第一設備2と第二設備3との間を水熱処理液が循環することで、可溶化槽13に貯留される水熱処理液に含まれる有機物の濃度を平均化することができる。
そして、可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が所定濃度になった場合、当該所定濃度の水熱処理液が第二移送装置22によりガス生成装置14に移送される。このため、ガス生成装置14に投入される水熱処理液に含まれる有機物の濃度は実質的に常に一定でばらつきが少なく、且つ、当該水熱処理液はガス発生に寄与する有機物を多く含有している。従って、ガス生成装置14は安定的にガスを生成することができる。
【0033】
水熱処理液を原料として微生物や菌によりガスを生成する一般的なガス生成装置では、その装置内部で、可溶化と酸発酵を行う必要がある。
しかし、水熱処理システム1では、可溶化槽13に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が当該所定濃度になった場合、可溶化槽13において、既に可溶化と酸発酵が当該ガスの生成に適した状態となっている。従って、ガス生成装置14は、一般的なガス生成装置が行う可溶化と酸発酵を省略できるので、当該一般的なガス生成装置と比べて高速にガスを生成することができる。
【0034】
第三設備4のガス生成装置14は、第二設備3の可溶化槽13に貯留された水熱処理液を用いて微生物や菌によるガス生成をする装置である。ガス生成装置14は、水熱処理液を原料にして微生物または菌でガスを生成する装置であればよく、メタン発酵によりメタンガスを生成するメタン発酵装置であってもよいし、水素等のガスを生成する装置であってもよい。ガス生成装置14は、当該水熱処理液を加温してガスを生成する。
【0035】
以上、水熱処理システム1が少なくとも備える構成について説明した。しかし、水熱処理システム1は、図1に示すように、さらに、以下の装置や施設を備えてもよい。
【0036】
廃液処理装置15は、ガス生成装置14においてガスが生成される際に排出される廃液(例えば、消化液)を浄化して再利用水を生成する装置である。廃液処理装置15は、例えば、廃液に対して硝化及び脱窒素の処理、すなわち生物処理を行う装置である。
廃液処理装置15でガス生成装置14の廃液が浄化されて生成された再利用水は、パイプラインで形成された供給路19を通じて第一設備2の調整槽11に供給することができる。
水熱処理システム1の運転開始直後は、第二設備3の可溶化槽13に水熱処理液が貯留されていないため、水熱処理システム1は当該水熱処理液を調整槽11に返送することができず、当該水熱処理液で調整槽11に貯留された水熱処理物を加湿することができない。そこで、この場合に、水熱処理システム1は、再利用水を廃液処理装置15から調整槽11に供給することで、調整槽11に貯留された水熱処理物を加湿することができ、水熱処理システム1の運転開始直後から第一移送装置21による水熱処理物の移送や第二設備3の加圧分離装置12の運転を円滑に行うことができる。
上述の返送ができない場合に、水熱処理システム1は、水道水を調整槽11に注水して水熱処理物を加湿することもできる。しかし、水熱処理システム1のコストパフォーマンスを良好にするために、水道水ではなく再利用水を使用するのが望ましい。
【0037】
第三移送装置23は、第三設備4のガス生成装置14で生成されたガスを、後述のガス利用施設16へ移送する装置である。
ガス生成装置14とガス利用施設16とが互いに近接して設置されている場合、第三移送装置23は、ガス生成装置14とガス利用施設16とに接続し、且つ、ガス生成装置14で生成したガスをガス利用施設16へ移送するパイプラインが望ましい。
一方、ガス生成装置14とガス利用施設16とが互いに遠方に設置されている場合、第三移送装置23は、ガスボンベを積載する荷台を備えた自動車(トラック)やガスタンクを搭載した自動車が望ましい。この場合は、ガス生成装置14で生成されたガスをガスボンベやガスタンクに充填して自動車に積載または搭載し、ガス利用施設16へ移送することができる。
【0038】
ガス利用施設16は、第三設備4のガス生成装置14で生成されたガスを利用する施設である。ガス利用施設16は、例えば、当該ガスをボイラーで燃焼して生じた熱により水蒸気を生成し、この水蒸気で蒸気タービンを回すことで発電する発電プラントである。ガス利用施設16は、ガスタービン、ガスエンジン、または燃料電池などを備えた発電プラントや、当該ガスを改質して都市ガス等を生成する施設などでもよい。
ガス利用施設16が、ガスエンジンを備えた発電プラントである場合、一般的に、ガスエンジンで生じる排ガスの熱回収装置を備えている。当該熱回収装置は、当該排ガスから温水を生成することができる。
【0039】
ガス利用施設16が蒸気タービンで発電する発電プラントであり、且つ、第一設備2及び第二設備3の少なくとも一方とガス利用施設16とが互いに近接して設置されている場合、ガス利用施設16の蒸気タービンで発電に利用された後の高温の水蒸気である廃水蒸気を当該近接している第一設備2や第二設備3で利用することができる。
例えば、蒸気タービンを備えたガス利用施設16が、第一設備2に近接して設置されている場合、ガス利用施設16と第一設備2とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して廃水蒸気を第一設備2の水熱処理装置10に移送し、水熱処理装置10が使用する高温高圧の水蒸気として又はその一部として利用することができる。
また、蒸気タービンを備えたガス利用施設16が、第二設備3に近接して設置されている場合、ガス利用施設16と第二設備3とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して廃水蒸気を第二設備3の可溶化槽13に移送し、可溶化槽13に貯留された水熱処理液の加温に利用することができる。
さらに、蒸気タービンを備えたガス利用施設16が、第三設備4に近接して設置されている場合、ガス利用施設16と第三設備4とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して廃水蒸気を第三設備4のガス生成装置14に移送し、ガス生成装置14に貯留された水熱処理液の加温に利用することができる。
【0040】
さらに、ガスエンジンを備えたガス利用施設16が、第二設備3に近接して設置されている場合、ガス利用施設16と第二設備3とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して上記熱回収装置で生成された温水を第二設備3の可溶化槽13に移送し、可溶化槽13に貯留された水熱処理液の加温に利用することができる。また、ガス利用施設16と第三設備4とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して当該温水を第三設備4のガス生成装置14に移送し、ガス生成装置14に貯留された水熱処理液の加温に利用することができる。
【0041】
このように、ガス利用施設16が蒸気タービンを備えている場合、蒸気タービンから排出される廃水蒸気を熱源として水熱処理システム1内で利用でき、また、ガス利用施設16がガスエンジンを備えている場合、上記熱回収装置で生成される温水を熱源として水熱処理システム1内で利用できるため、水熱処理システム1のコストパフォーマンスをさらに向上することができる。
【0042】
第四移送装置24は、第二設備3の加圧分離装置12で分離された残余物を、後述の廃棄物焼却施設17へ移送する装置である。
第二設備3と廃棄物焼却施設17とが互いに近接して設置されている場合、第四移送装置24は、加圧分離装置12の残余物の排出口と廃棄物焼却施設17のごみピットとに接続し、且つ、加圧分離装置12から排出された残余物をごみピットへ移送するコンベヤが望ましい。
一方、第二設備3と廃棄物焼却施設17とが互いに遠方に設置されている場合、第四移送装置24は、トラックやゴミ収集車などの自動車が望ましい。この場合は、加圧分離装置12から排出された残余物をトラックの荷台やごみ収集車内へ積載または貯留し、廃棄物焼却施設17へ移送することができる。
【0043】
廃棄物焼却施設17は、廃棄物を焼却炉で焼却する施設であり、第二設備3の加圧分離装置12から排出された残余物も焼却することができる。廃棄物焼却施設17は、焼却炉で生じた熱により、ボイラーで高温高圧の水蒸気を生成し、この高温高圧の水蒸気で蒸気タービンを回すことで、発電することができる。
第一設備2及び第二設備3の少なくとも一方と廃棄物焼却施設17とが互いに近接して設置されている場合、廃棄物焼却施設17の蒸気タービンで発電に利用された後の高温の水蒸気である廃水蒸気を当該近接している第一設備2や第二設備3で利用することができる。
例えば、廃棄物焼却施設17が、第一設備2に近接して設置されている場合、廃棄物焼却施設17と第一設備2とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して廃水蒸気を第一設備2の水熱処理装置10に移送し、水熱処理装置10が使用する高温高圧の水蒸気として又はその一部として利用することができる。また、廃棄物焼却施設17が、第二設備3に近接して設置されている場合、廃棄物焼却施設17と第二設備3とをパイプラインで接続して、当該パイプラインを介して廃水蒸気を第二設備3の可溶化槽13に移送し、可溶化槽13に貯留された水熱処理液の加温に利用することができる。
このように、廃棄物焼却施設17の廃水蒸気を熱源として水熱処理システム1内で有効に利用できるため、水熱処理システム1のコストパフォーマンスをさらに向上することができる。
【0044】
なお、水熱処理システム1は、(1)廃液処理装置15、(2)第三移送装置23及びガス利用施設16、(3)第四移送装置24及び廃棄物焼却施設17の三つのうち、いずれも具備しないシステムであってもよいし、いずれか一つまたは二つのみ具備するシステムであってもよいし、三つ全てを具備するシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 水熱処理システム
2 第一設備
3 第二設備
4 第三設備
10 水熱処理装置
11 調整槽
12 加圧分離装置
12A 回転式ドラムスクリーン
12B スクリュープレス
13 可溶化槽
14 ガス生成装置
15 廃液処理装置
16 ガス利用施設
17 廃棄物焼却施設
19 供給路
21 第一移送装置
22 第二移送装置
23 第三移送装置
24 第四移送装置
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
有機物含有廃棄物を水熱反応させる水熱処理装置と、
前記水熱反応された水熱処理物を加湿する調整槽と、
前記調整槽で加湿された水熱処理物を移送する第一移送装置と、
前記第一移送装置で移送された水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物とに分離する加圧分離装置と、
前記加圧分離装置で分離された水熱処理液を貯留して加温する可溶化槽と、
前記可溶化槽で加温され且つ可溶化された水熱処理液を前記調整槽に返送する第二移送装置と、
前記可溶化槽に貯留された水熱処理液を用いてガスを生成するガス生成装置と
を有し、
前記第二移送装置は、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が微生物または菌によるガス生成に適した有機物の濃度である所定濃度未満の場合に、前記調整槽に前記水熱処理液を返送し、前記有機物の濃度が前記所定濃度以上の場合に、前記ガス生成装置に前記水熱処理液を移送する水熱処理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の水熱処理システムは、有機物含有廃棄物を水熱反応させる水熱処理装置と、前記水熱反応された水熱処理物を加湿する調整槽と、前記調整槽で加湿された水熱処理物を移送する第一移送装置と、前記第一移送装置で移送された水熱処理物を加圧して水熱処理液と残余物とに分離する加圧分離装置と、前記加圧分離装置で分離された水熱処理液を貯留して加温する可溶化槽と、前記可溶化槽で加温され且つ可溶化された水熱処理液を前記調整槽に返送する第二移送装置と、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液を用いてガスを生成するガス生成装置とを有し、前記第二移送装置は、前記可溶化槽に貯留された水熱処理液に含まれる有機物の濃度が微生物または菌によるガス生成に適した有機物の濃度である所定濃度未満の場合に、前記調整槽に前記水熱処理液を返送し、前記有機物の濃度が前記所定濃度以上の場合に、前記ガス生成装置に前記水熱処理液を移送する。