(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095043
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】砂地盤改良工法及び地盤改良用掘削装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/08 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
E02D3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208131
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】502126921
【氏名又は名称】株式会社エムエルティーソイル
(71)【出願人】
【識別番号】503364146
【氏名又は名称】本間技建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】畠山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043DA07
2D043DB02
2D043DB05
2D043EA02
2D043EB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】砂地盤の液状対策として砕石によるドレン孔(砕石杭)を圧密に且つ効率的に構築する砂地盤改良工法並びに地盤改良用掘削装置を提供する。
【解決手段】所定長のケーシング1と、ケーシング1に内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部22を設けた掘削ロッド2と、ケーシング1上端に着脱自在に被冠装着すると共に、掘削ロッド2上端との連結部を設けたキャップ体3とで構成した掘削装置を、掘削機体Aに装着して掘削部22による無排土穿孔掘削によってケーシング1の立て込みを行い、しかる後キャップ体3を分離してケーシング1上端から砕石Cを投入し、投入された砕石Cを掘削ロッド2の上下動による砕石Cの圧密充填を行い、掘削装置を引き抜いて砂地盤Bに砕石杭Dを構築する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長のケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に被冠装着すると共に、掘削ロッド上端との連結部を設けたキャップ体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して掘削部による無排土穿孔掘削によって、砂地盤にケーシングの立て込みを行い、しかる後キャップ体を分離して開口したケーシング上端から砕石を投入し、投入された砕石を掘削部の上下動による砕石の圧密充填を行い、掘削装置を引き抜いて砂地盤に砕石杭を構築してなる砂地盤改良工法。
【請求項2】
掘削装置の引き抜き途中に、ケーシングとの連結を解除して掘削ロッド単体、若しくはケーシングを連結した状態のままで掘削ロッドの上下動による砕石圧密充填を行ってなる請求項1記載の砂地盤改良工法。
【請求項3】
ケーシングと、ケーシングに内装される掘削ロッドと、ケーシング上端に被冠して掘削ロッド及びケーシングと連結するキャップ体で構成され、ケーシングは、所定長の筒状部を備えると共に、前記筒状部の上端に着脱自在に被冠嵌合されるキャップ体とのキャップ連結部を設けてなり、掘削ロッドは、ケーシングに対応する所定長さの軸長を有する軸部の下端に、掘削ビット及び前記掘削ビットの直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設け、軸部上端にケーシングと組み合わせた際にケーシング上端より突出する連結軸部を設けてなり、キャップ体は、ケーシング上端に嵌合着脱自在に装着するキャップ部の上面に、掘削機体と連結する駆動連結部を設けると共に、キャップ体内に突出状態で位置する掘削ロッド上端とのロッド連結部と、ケーシングのキャップ連結部に対応するケーシング連結部を設けてなることを特徴とする地盤改良用掘削装置。
【請求項4】
キャップ体のケーシング連結部とケーシングのキャップ連結部は、キャップ体の掘削方向の回転で連結され、且つ逆回転で連結解除可能な構造としてなる請求項3記載の地盤改良用掘削装置。
【請求項5】
掘削ロッドの上方部分に、軸部の長さを伸縮可能とした伸縮機構を設けてなる請求項3又は4記載の地盤改良用掘削装置。
【請求項6】
掘削部に、掘削方向回転でケーシング外周径より突出し、逆方向回転でケーシング内径内に縮経する拡経ビットを設けてなる請求項3乃至5記載のいずれかの地盤改良用掘削装置。
【請求項7】
ケーシングの外周面適宜箇所に、掘削回転方向に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部を設けてなる請求項3乃至6記載のいずれかの地盤改良用掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂地盤の液状化対策のための砂地盤改良工法及び前記工法に使用する掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液状化対策を目的とした砂地盤改良手段として、軟弱砂地盤に砕石杭(ドレン孔)を形成し、地盤の排水性を高め、地震時の完全液状化を軽減することが知られている。前記の砕石杭を砂地盤に構築するためには、地盤中にケーシングを立て込み、ケーシング内に充填材(砕石)を投入充填し、砕石を砂地盤に残してケーシングを引き抜き、砕石杭を構築しているものである。
【0003】
一般的に軟弱地盤の改良手段としてドレン孔(主として砂杭)を構築する際に採用されているケーシングの立て込み工は、先端に掘削ビットを設けたケーシングと、ケーシング内に配置した排土用オーガを組み合わせて排土穿孔する手段(特許文献1)、先端に圧縮カム形状の掘削羽根を設けたケーシングを採用して、無排土掘削でケーシングを立て込む手段(特許文献2)、先端に開閉可能な円錐状開閉扉を設けたケーシングを非掘削でスパイラル圧入する手段(特許文献3)が知られている。
【0004】
また砕石・砂等の充填材の充填工は、排土オーガの逆回転で充填材の下方押し込みを行う手段(特許文献1)、螺旋羽根を備えた搬送部で充填材の下方搬送を行う手段(特許文献2)、ケーシング内に投入した充填材(砂)をウオーターへジェットで押し込む手段(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-154532号公報。
【特許文献2】特開2006-316592号公報。
【特許文献3】特開2000-110156号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、砂地地盤に液状化対策として砂地盤に立て込んだケーシング内に砕石を投入してドレン孔となる砕石杭で構築することを目的とするもので、上記した従前の地盤改良工法はドレン孔となる砂杭の構築を前提としているため、投入砂のケーシング内への充填は、掘削土排出オーガの逆転(特許文献1)や搬送用螺旋羽根(特許文献2)を採用しているが、砂に比較して砕石は流動性が低くいため、ケーシング内への砕石投入に際してオーガや搬送用の螺旋羽根部分が邪魔になり砕石投入が効率的になされない。
【0007】
また砕石杭においては砕石が十分に圧密されていることが必要である。このため特許文献3に記載のようにケーシング内の空間に単に砕石を投入するのみでは砕石の圧密を実現することができない。
【0008】
そこで本発明は、砕石杭構築作業を効率的に行えると共に、投入砕石並びに圧密充填を実現する新規な砂地盤改良工法及びその掘削装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る砂地盤改良工法は、所定長のケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に被冠装着すると共に、掘削ロッド上端との連結部を設けたキャップ体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して掘削部による無排土穿孔掘削によってケーシングの立て込みを行い、しかる後キャップ体を分離して開口したケーシング上端から砕石を投入し、投入された砕石を掘削部の上下動による砕石の圧密充填を行い、掘削装置を引き抜いて砂地盤に砕石杭を構築してなるものである。
【0010】
また本発明の請求項2記載に係る砂地盤改良工法は、上記工法において、砕石の圧密充填を、掘削装置の引き抜き途中で、ケーシングとの連結を解除して掘削ロッド単体、若しくはケーシングを連結した状態で掘削ロッドを上下動させて行うものである。
【0011】
本発明の請求項3記載に係る地盤改良装置は、上記工法を実現するもので、ケーシングと、ケーシングに内装される掘削ロッドと、ケーシング上端に被冠して掘削ロッド及びケーシングと連結するキャップ体で構成され、ケーシングは、所定長の筒状部を備えると共に、前記筒状部の上端に着脱自在に被冠嵌合されるキャップ体とのキャップ連結部を設けてなり、掘削ロッドは、ケーシングに対応する所定長さの軸長を有する軸部の下端に、掘削ビット及び前記掘削ビットの直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設け、軸部上端にケーシングと組み合わせた際にケーシング上端より突出する連結軸部を設けてなり、キャップ体は、ケーシング上端に嵌合着脱自在に装着するキャップ部の上面に、掘削機体との駆動連結部を設けると共に、キャップ体内に突出状態で位置する掘削ロッド上端とのロッド連結部と、ケーシングのキャップ連結部に対応するケーシング連結部を設けてなるものである。
【0012】
而して掘削ロッドの上端をキャップ体に連結し、掘削ロッドをケーシング内に配置してケーシングとキャップ体を連結して掘削装置を一体とし、キャップ体の駆動連結部を、所定の掘削機体(走行機体にリーダマストを備え、リーダマストに沿って上下動する回転駆動機構を有する周知の掘削機体)の回転駆動機構に連結して掘削装置を吊下げ装着し、所定の地盤改良工事を行うものである。
【0013】
地盤改良工事は、砂地盤のドレン孔となる砕石杭を構築するもので、掘削機体に本発明の掘削装置を装着し、掘削装置を回転駆動して掘削穿孔し、砂地盤中に掘削装置全体を挿入する。特に前記の掘削穿孔においては、掘削部の掘削ビットで砂地掘削を行うと共に、掘削土砂を抑え込み螺旋羽根で掘進方向に押し出し、ケーシング内への侵入を阻止するので、効率的な無排土穿孔掘削が実現する。
【0014】
次にキャップ体をケーシング及び掘削ロッドから離脱して開口したケーシング上端から砕石を投入する。前記の砕石投入はケーシング先端に装着した掘削部まで邪魔になる部材が存在しないのでケーシングを満杯状態まで効率的な砕石投入がなされる。砕石投入後に掘削ロッドの掘削部を上下動(掘削ロッドの伸長、掘削ロッドを掘削方向に回転させながら上下動させる。また前記の上下動に際してケーシングから分離しているキャップ体を連結した状態でも良い)させて掘削部下方に位置する砕石を押圧して圧密充填する。
【0015】
砕石がケーシング内に満杯に投入して適宜な砕石の圧密充填操作を行った後に、一体とした掘削装置を掘削方向と同回転方向に回転させながら地盤から引き抜くもので、特に前記の引き抜き途中において、ケーシングとの連結を解除して掘削ロッド単体、若しくはケーシングを連結した状態で上下動(掘削装置非回転でも、掘削方向回転を伴っても良い)させ、砕石の圧密を実施する。掘削装置の引き抜きが終了すると砂地盤にドレン孔となる砕石杭が構築され、前記砕石杭を所定の間隔で構築することで砂地盤に液状化対策が施されることになる。
【0016】
また本発明の請求項4記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記の掘削装置において、キャップ体のケーシング連結部とケーシングのキャップ連結部が、キャップ体の掘削方向の回転で連結され、且つ逆回転で連結解除可能な構造としたもので、キャップ体に掘削ロッドを連結した状態で、ケーシングへの着脱が容易になり、掘削装置の組立時、また工事途中におけるケーシングを非動のままでの掘削ロッドの独自動作への移行を簡単に行える。
【0017】
また本発明の請求項5記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記のいずれかの掘削装置において、掘削ロッドの上方部分に、軸部の長さを伸縮可能とした伸縮機構を付設してなるもので、掘削作業の終了後に掘削ロッドを伸長し、砕石投入後に掘削ロッドを押し込む(回転もしくは非回転で)ことで、砕石杭底部となる砕石の圧密充填を容易に実現できる。
【0018】
また本発明の請求項6記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記のいずれかの掘削装置において、掘削部に掘削方向回転でケーシング外周径より突出し、逆方向回転でケーシング内径内に縮経する拡経ビットを設けてなるもので、掘削作業において、掘削部をケーシング下端より突出した状態で設定しておくと、拡径ビットによってケーシング外周径より大きい掘削断面で穿孔することになり、掘削効率が高められる。また砕石圧密時に掘削部をケーシング下端より突出した状態に設定すると、掘削部の掘削方向回転で砕石を孔壁に押し付けることになり、砕石圧密が効率的になされる。
【0019】
また本発明の請求項7記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記のいずれかの掘削装置において、ケーシングの外周面適宜箇所に、掘削回転方向に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部を設けてなるもので、掘削時に掘削孔の孔壁を効率的に圧密状態とし、掘削時及び引き抜き時のケーシングの孔壁による抵抗を軽減する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記のとおり、ケーシング内に先端に所定の掘削部を備えた掘削ロッドを配置した掘削装置を使用して、掘削作業の効率を高めると共に、前記掘削部によって投入砕石の圧密を行うようにしたもので、地盤改良のための砕石が圧密充填された砕石杭を効率的に構築することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態の工事過程の説明図(掘削工・ひらがな表示は施工順を示す)。
【
図4】同実施形態に使用する装置のキャップ体の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した掘削装置は、ケーシング1と、掘削ロッド2と、キャップ体3で構成される。
【0023】
ケーシング1は、例えば約5m長(構築する砕石杭長より適宜長くする)、直径50cm程度の筒状部11で形成したもので、筒状部11の上端にキャップ連結部12を設け、筒状部下端に掘削刃13を垂設し、下方外周面に掘削用螺旋突条(掘削回転:以下「正回転」でケーシングをねじ込むスパイラル突条)14を周設し、筒状部11の外周面全体に掘削回転方向(正回転方向)に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部15を、上下及び放射状に適宜間隔で設けてなるものである。特に前記キャップ連結部12は、後述するケーシング連結部(突部)33が差し込まれ、キャップ体3の正回転方向移動で係止状態となるL状溝で形成されているものである。
【0024】
掘削ロッド2は、所定長さの軸部21の下端に掘削部22を連結し、上端に上端連結軸部23を設けたものである。軸部21は、適宜長さの管を連繋して所定の長さとしたもので、特に上方管21aには、調整杆211を挿入して伸縮可能とし、その連結固定は、調整杆211の適宜位置に係止受部(凹部)212を形成し、他方上方管21aの適宜位置に前記係止受部212に係止する係止ピン213を挿着可能とした差込孔214を設けてなり、係止ピン213の着脱と、調整杆211の上下位置の設定で、軸部21の全長を調整できるようにしたものである。
【0025】
掘削部22は、軸部21の連結する掘削軸221に掘削方向回転で掘削物を下方に押し込む螺旋羽根222(ケーシング1の掘削用螺旋突条14とは逆方向のスパイラル)を設け、螺旋羽根222の下端面に掘削ビット223を垂設し、更に拡径ビット224を付設したものである。拡径ビット224は、掘削軸221に平行に添設した基軸225に基部を枢結してケーシング1の外周側に突出回動可能に設けてなり、更に前記拡径ビット224の突出回動を所定位置(突出時)で制止する制止部226を設けてなる。
【0026】
上端連結軸部23は、調整杆211の上端に設けたもので、回転伝達可能な角軸で、側面に連結用凹部231を設けた周知形状のものである。
【0027】
キャップ体3は、ケーシング1の上端に嵌合する大きさのキャップ部31の上面に掘削機体Aの回転駆動機構bと連結する駆動連結部32を設け、キャップ部31の下方外周にケーシング1のキャップ連結部(L状溝)12に対応するケーシング連結部(突部)33を設け、キャップ部31の上方部分には、キャップ部31の内部に突出状態で位置する掘削ロッド2の上端連結軸部23の連結用凹部231に対応する位置に、着脱自在として係止ピンを備えるロッド連結部34を備えてなる。
【0028】
本発明工法は、上記の各部材を組み合わせて構成した掘削装置を、所定の掘削機体Aに装着し、砂地盤Bに砕石Cで形成したドレン孔(砕石杭)Dを構築に際して、砕石の圧密を実現するものである。
【0029】
使用する掘削機体Aは、リーダマストaを備えた走行機体で、掘削装置を連結して回転駆動する回転駆動機構bを、前記リーダマストaに装着し、回転駆動機構bに掘削装置を吊下げ連結してリーダマストaに沿って上下動させ掘削作業を行うものである。
【0030】
掘削装置は、ケーシング1内に掘削ロッド2を配置すると共に、掘削ロッド2の上端の上端連結軸部23をキャップ部31内に進出させて、係止ピン(ロッド連結部)34を装着して掘削ロッド2とキャップ体3とを連結し、更にキャップ体3をケーシング1に押し込み、キャップ体3のケーシング連結部(突部)33をケーシングのキャップ連結部(L状溝)12に侵入させ、更にキャップ体3を掘削方向回転(正方向回転)させて掘削装置を一体とする。
【0031】
前記の掘削装置を使用して、ケーシング1を砂地盤Bに挿入する掘削工、ケーシング1内に砕石Cを投入する投入工、砕石を圧密しケーシング1を砂地盤Bから引き抜く圧密引き抜き工を順次行い、所定のドレン孔(砕石杭)Dを構築する。
【0032】
掘削工は、一体とした掘削装置の駆動連結部32を掘削機体Aの回転駆動機構bに連結して取り付けて(
図1あ)、従前の地盤掘削と同様に掘削装置全体(ケーシング1、掘削ロッド2、キャップ体3)を回転沈下させて地盤穿孔を行う(
図1い)。
【0033】
前記の掘削工において、掘削ビット223で下方砂地盤を掘削し、掘削砂を螺旋羽根222で抑え込み、掘削砂のケーシング1内への侵入を阻止しながら掘削して、無排土掘削を行う。更にケーシンク1の掘削用螺旋突条14によってケーシング1の回転も掘進力として作用し、且つ孔壁押圧部15によってケーシング1と孔壁との抵抗が軽減される。
【0034】
尚、
図1に示した掘削工は、掘削部22の位置を、
図7(イ)に示したように掘削ビット223部分のみがケーシング1の下端より突出している状態となるように掘削ロッドの軸部21の長さを設定したものであるが、
図7(ロ)に示したように、螺旋羽根222の作用で掘削砂がケーシング1内への侵入を阻止出る範囲で、掘削部22をケーシング1の下端より突出させても良い。その場合には、拡経ビット224が掘削砂の抵抗によってケーシング外周方向に突出し、ケーシング1の外周径に一致するか、若しくはそれより大径の穿孔がなされ、ケーシング1の砂地盤Bへの挿入抵抗が軽減して、掘削工を効率的に行うことができる。
【0035】
掘削工を終了すると砕石投入工を行う。砕石投入工は
図2(う)に示すようにキャップ体3をケーシング1と掘削ロッド2との連結を解除して、ケーシング1の上端を開口する。開講したケーシング1の上端に適宜なホッパーEを装着し、砕石Cを投入する。
【0036】
砕石Cの投入を行った後に、掘削装置(ケーシング1)を引き抜き(引き抜き工)及び砕石の充填圧密(圧密充填工)を行うものであるが、前記投入工の直後に充填圧密工を行い、更に引き抜き工と合わせて圧密充填工を行うものである。
【0037】
引き抜き工は砂地盤Bに挿入した掘削装置を砂地盤Bから引き抜くものであるが、ケーシング1内に砕石Cが存在し、且つ掘削ロッド2には、螺旋羽根222が存在しているので、掘削装置の引き抜きは、掘削方向回転で行う必要がある。このため掘削用螺旋突条14は逆螺旋となって抵抗となるが、砂地盤であり孔壁押圧部15によって孔壁が保持されるため特に支障とはならない。引き抜き工を終了すると砂地盤Bにドレン孔となる砕石杭Dが構築され(
図3か)、前記砕石杭を所定の間隔で構築することで砂地盤Bに液状化対策が施されることになる。
【0038】
充填圧密工は、掘削ロッド2の上下動で行うもので、単に掘削ロッド2とキャップ体3をわずかに逆回転して上方に移動させてキャップ体3とケーシングの連結を解除し、更に正回転を行いながら掘削ロッド2を上方に引き上げ、引き上げた掘削ロッド2に回転駆動機構cの自重を加えて砕石Cを圧密充填する。この際に掘削ロッド2の正回転駆動を行うと螺旋羽根222の作用で砕石をさらに押し込むことになる。
【0039】
また掘削ロッド2は、伸長機構を備えているものであるから、投入工の前若しくは投入工の後に掘削ロッド2を上方に伸長すると、投入工の後に伸長した掘削ロッド2にキャップ体3を装着すると、前記の掘削ロッド2の引き上げ作業を行うことなく砕石Cの圧密充填を行うことができる。
【0040】
すなわち伸長した掘削ロッド2にキャップ体3を装着し、ケーシング1をそのままで掘削ロッド2の下降で砕石の圧密充填が実現する(
図3え)。特に掘削部22がケーシング1の下端より突出している場合には、拡径ビット224で砕石Cを孔壁に押し付けることになり、砕石の圧密が効果的になされる。
【0041】
また引き抜き工の途中においても、掘削装置全体の上下動(回転駆動機構の動作による)を行うことで、螺旋羽根222の砕石下圧作用(砕石の下方送り込み作用)で砕石の圧密充填がなされる(
図3お)。
【0042】
掘削装置全体の上下動による圧密充填のほか、キャップ体3とケーシング1の連結解除は、僅かな逆回転と引き上げでなされるので、ケーシングをそのままにしての掘削ロッド2の上下動が可能であり、それによって砕石圧密充填を行うこともできる。
【0043】
従って砂地盤Bへのドレン孔(砕石杭)Dの構築に際し、砕石の圧密充填が確実になされ、所望機能(堅牢性・排水保水性の設計値)を備えた地盤改良を実現するものである。
【符号の説明】
【0044】
1 ケーシング
11 筒状部
12 キャップ連結部(L状溝)
13 掘削刃
14 掘削用螺旋突条
15 孔壁押圧部
2 掘削ロッド
21 軸部
211 調整杆
212 係止受部(凹部)
213 係止ピン
214 差込孔
22 掘削部
221 掘削軸
222 螺旋羽根
223 掘削ビット
224 拡径ビット
225 基軸
226 制止部
23 上端連結軸部
231 連結用凹部
3 キャップ体
31 キャップ部
32 駆動連結部
33 ケーシング連結部(突部)
34 ロッド連結部(係止ピン)
A 掘削機体
a リーダマスト
b 回転駆動機構
B 砂地盤
C 砕石
D ドレン孔(砕石杭)