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  • 特開-車両内装部品の取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095044
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】車両内装部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/24 20060101AFI20220621BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20220621BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B60H1/24 631
B60H1/34 651B
B60K37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208132
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 公大
(72)【発明者】
【氏名】安田 友明
【テーマコード(参考)】
3D344
3L211
【Fターム(参考)】
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC07
3L211BA05
3L211BA12
3L211DA14
3L211DA17
3L211DA95
(57)【要約】
【課題】インストルメントパネルの開口軸方向の荷重がレジスタに掛かり、その荷重が、係止孔に係止爪を差し込むときの荷重以上となっても、レジスタのインストルメントパネルからの脱落を抑制可能とする。
【解決手段】インストルメントパネル10の後壁部14に設けられた取付開口20は、後壁部14の車幅方向側端が開放された切り欠き孔である。後壁部14の隠れ面14Bであって取付開口20の周辺部には、パネル側係止孔18が車幅方向に穿孔されたアーム16が車両前方に延設される。サイドパネル30の隠れ面30Bには、パネル側係止爪32が車幅方向に延設される。サイドレジスタ40の内側面44には、車幅方向に延びパネル側係止孔18に挿入されるレジスタ側係止爪48が設けられ、サイドレジスタ40の外側面46には、車幅方向に穿孔されパネル側係止爪32が挿入されるレジスタ側係止孔52が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両高さ方向に面する上壁部と、前記上壁部の後端に接続され車両前後方向に面する後壁部を備え、車室前方に設けられるインストルメントパネルと、
車室の車幅方向側方に設けられ、前記インストルメントパネルの前記上壁部及び前記後壁部の車幅方向側端と当接して車幅方向に面するサイドパネルと、
前記インストルメントパネルの前記後壁部に取り付けられるレジスタと、
を備え、
前記後壁部の車幅方向側方部分には、壁厚方向に貫通し前記レジスタが配置される取付開口が設けられた、
車両内装部品の取付構造であって、
前記取付開口は、前記後壁部の前記車幅方向側端が開放された切り欠き孔であって、
前記後壁部の、車室に露出されない隠れ面であって、前記取付開口の周辺部には、パネル側係止孔が車幅方向に穿孔されたアームが車両前方に延設され、
前記サイドパネルの、前記上壁部及び前記後壁部に囲まれ車室には露出されない隠れ面の、前記レジスタと対向する部分には、パネル側係止爪が車幅方向に延設され、
前記レジスタの車幅方向内側面には、車幅方向に延び前記パネル側係止孔に挿入されるレジスタ側係止爪が設けられ、前記レジスタの車幅方向外側面には、車幅方向に穿孔され前記パネル側係止爪が挿入されるレジスタ側係止孔が設けられる、
車両内装部品の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の、車両内装部品の取付構造であって、
前記レジスタ側係止孔は、前記レジスタの前記車幅方向外側面から延設されるとともに当該車幅方向外側面とは離隔して車両前方に延設されるアームに穿孔される、
車両内装部品の取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の、車両内装部品の取付構造であって、
前記パネル側係止孔及び前記レジスタ側係止爪の組、ならびに、前記パネル側係止爪及び前記レジスタ側係止孔の組の少なくとも一方は二組以上設けられる、
車両内装部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両内装部品の取付構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
車両の内装部品は、内装パネルと、当該内装パネルに取り付けられる内装部品とを含む。内装パネルは、車室内装の意匠面の大部分を占めるパネル部材である。例えば、車室前方に設けられるインストルメントパネル、車室側方に設けられるサイドパネル、及び車室天井に設けられるルーフヘッドライニングが内装パネルに含まれる。
【0003】
内装部品は、内装パネルの開口等に取り付けられる小部品である。例えば、空調機構の吹き出し口に取り付けられる風量調節部品であるレジスタ、ルーフヘッドライニングの開口に取り付けられるドームランプ等が内装部品に含まれる。
【0004】
内装パネルと内装部品との一方に係止爪が設けられ、他方に当該係止穴が差し込まれる係止孔が穿孔される。例えばインストルメントパネルには、レジスタが配置される開口が設けられるとともに、この開口周辺に、開口軸に沿った係止孔が穿孔される。またレジスタには、インストルメントパネルの開口軸に沿って係止爪が延設される。レジスタをインストルメントパネルに取り付ける際には、開口軸に沿ってレジスタが開口内に挿入される。この過程で係止爪が係止孔に挿入、係止される。
【0005】
一旦内装パネルに取り付けられた内装部品の脱落を防ぐために、例えば特許文献1では、係止爪が臨む挿通開口を跨いで弾性変形させた状態で弾性体が差し込まれる。また特許文献2では、車両衝突時等の緊急時、言い換えると内装パネルの変形時に、内装パネルに設けられた脱落防止用受部に収容される差込片を、パネル部品に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-223970号公報
【特許文献2】特開2009-286163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インストルメントパネルの開口軸に沿って係止孔が穿孔され、また当該開口軸に沿って延設される係止爪をレジスタに設ける場合に、レジスタに加わる開口軸方向の荷重(抜け荷重)を受けるのは、係止孔を通過した係止爪の先端部分となる。例えば車両の後突時等に、この係止爪の先端部分に、係止孔挿入時以上の開口軸方向の荷重、特に後方への荷重が加わると、当該先端部分が変形して係止孔から抜けるおそれがある。
【0008】
そこで本明細書では、インストルメントパネルの開口軸方向の荷重がレジスタに掛かったときの、レジスタのインストルメントパネルからの脱落を抑制可能な、車両内装部品の取付構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される車両内装部品の取付構造は、インストルメントパネル、サイドパネル、及びレジスタを含む。インストルメントパネルは、車両高さ方向に面する上壁部と、上壁部の後端に接続され車両前後方向に面する後壁部を備え、車室前方に設けられる。サイドパネルは、車室の車幅方向側方に設けられ、インストルメントパネルの上壁部及び後壁部の車幅方向側端と当接して車幅方向に面する。レジスタは、インストルメントパネルの後壁部に取り付けられる。後壁部の車幅方向側方部分には、壁厚方向に貫通しレジスタが配置される取付開口が設けられる。取付開口は、後壁部の車幅方向側端が開放された切り欠き孔である。後壁部の、車室に露出されない隠れ面であって、取付開口の周辺部には、パネル側係止孔が車幅方向に穿孔されたアームが車両前方に延設される。サイドパネルの、上記上壁部及び後壁部に囲まれ車室には露出されない隠れ面の、レジスタと対向する部分には、パネル側係止爪が車幅方向に延設される。レジスタの車幅方向内側面には、車幅方向に延びパネル側係止孔に挿入されるレジスタ側係止爪が設けられ、レジスタの車幅方向外側面には、車幅方向に穿孔されパネル側係止爪が挿入されるレジスタ側係止孔が設けられる。
【0010】
上記構成によれば、インストルメントパネルの開口軸に直交するようにして、係止爪が設けられる。したがって開口軸方向の荷重がレジスタに掛かっても、係止爪の係止孔からの抜けが抑制される。
【0011】
また上記構成において、レジスタ側係止孔は、レジスタの車幅方向外側面から延設されるとともに当該車幅方向外側面とは離隔して車両前方に延設されるアームに穿孔されてよい。
【0012】
レジスタ側面に直接係止孔を穿孔すると、係止爪と係止孔との隙間から空調空気が漏れるおそれがあるが、レジスタ側面にアームを設けて、いわば間接的にレジスタ側面に係止孔を設けることで、空調空気の漏れが抑制される。
【0013】
また上記構成において、パネル側係止孔及びレジスタ側係止爪の組、ならびに、パネル側係止爪及びレジスタ側係止孔の組の少なくとも一方は二組以上設けられてよい。
【0014】
上記構成によれば、3点以上の支持点にてレジスタをインストルメントパネル及びサイドパネルに固定することが可能となり、2点支持の際に生じ得る回転を抑制可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に開示される車両内装部品の取付構造によれば、インストルメントパネルの開口軸方向の荷重がレジスタに掛かったときの、レジスタのインストルメントパネルからの脱落を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】サイドレジスタ周辺の様子を例示する、車室内の斜視図である。
図2図1のA-A断面であって、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造を例示する平面断面図である。
図3】本実施形態に係る車両内装部品の取付構造の組立プロセスを説明するための分解斜視図である。
図4】従来構造に係る車両内装部品の取付構造を例示する平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造が設けられた車室が例示される。なお図1図3において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号LHで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号LHはLeft Handの略であり、幅方向軸LHは左幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
【0018】
図1に示されているように、これらFR軸、LH軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造が説明される。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はLH軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はLH軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
【0019】
<車両内装部品の取付構造の構成部材>
図1には、車室の助手席側の前方部分が例示される。図2には、図1のA-A断面図が例示される。図3には、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造の分解斜視図が例示される。なお、車両構造の対称性から、運転席側にも、図1図3と同様の車両内装部品の取付構造が設けられてよい。
【0020】
図1を参照して、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造は、インストルメントパネル10、サイドパネル30、及びサイドレジスタ40を含んで構成される。
【0021】
インストルメントパネル10は、車室前方に設けられる意匠パネル(内装パネル)であって、速度計等の計器や空調機器等が収容される。インストルメントパネル10は、例えば樹脂成形パネルにウレタン等の発泡材を積層させ、さらに意匠面を構成する表皮層が積層された、3層構造の樹脂パネルから構成される。
【0022】
インストルメントパネル10は、複雑な立体形状が採られているが、その主な構成要素として、上壁部12及び後壁部14を備える。上壁部12は車両高さ方向に面している。上壁部12は曲面形状であってよく、「車両高さ方向に面する」とは、例えば、壁表面の法線ベクトルをUP軸、FR軸、LH軸の3軸に分解したときに、UP軸の成分が最も高い値を持つことを含む。例えば上壁部12には、その前端にウインドデフロスタの吹き出し口であるスリット11が車幅方向に形成される。
【0023】
後壁部14は、インストルメントパネル10の後端部材であって、上壁部12の後端に接続され車両前後方向に面する。上壁部12と同様にして、後壁部14は曲面形状であってよい。「車両前後方向に面する」とは、例えば、壁表面の法線ベクトルをUP軸、FR軸、LH軸の3軸に分解したときに、FR軸の成分が最も高い値を持つことを含む。
【0024】
上壁部12及び後壁部14に囲まれた、車室より前方の空間には、空調機器、操舵機器、及び、これらの機器を支持する骨格部材であるインストルメントパネルリーンフォースメント(インパネR/F)が収容される。
【0025】
後壁部14は、助手席または運転席の乗員と対面するような配置となる。この後壁部14には、壁厚方向に貫通しサイドレジスタ40が配置される取付開口20(図3参照)が形成される。取付開口20は、後壁部14の車幅方向側方部分に設けられ、車幅方向側端が開放された切り欠き孔となっている。図1に例示されるように、サイドレジスタ40は、後壁部14の車幅方向側端とサイドパネル30とに挟まれるようにして配置される。図2を参照して、取付開口20の開口軸L1は、車両前後方向(FR軸方向)に沿って(例えば平行に)設けられる。
【0026】
図2を参照して、後壁部14は露出面14A及び隠れ面14Bを備える。露出面14Aは車室内に露出される面であって、後壁部14の後面に当たる。隠れ面14Bは、露出面14Aの対向面(裏面)であって、車室内には露出されない。この隠れ面14Bは、後壁部14の前面に当たる。
【0027】
図2図3を参照して、後壁部14の隠れ面14Bには、当該隠れ面14Bから突出するアーム16が設けられる。アーム16は、隠れ面14Bから例えば垂直に、つまり車両前方に延設される板部材である。アーム16には、パネル側係止孔18が車幅方向に穿孔される。後述されるように、パネル側係止孔18には、サイドレジスタ40のレジスタ側係止爪48が挿入、係止される。
【0028】
アーム16は、隠れ面14Bの、取付開口20の周辺部に設けられる。例えば、取付開口20を区画するエッジから10cm以内の範囲に、アーム16が突設される。
【0029】
図1を参照して、サイドパネル30は車幅方向側方に設けられ、車幅方向に面する。サイドパネル30は曲面形状であってよい。「車幅方向に面する」とは、例えば、壁表面の法線ベクトルをUP軸、FR軸、LH軸の3軸に分解したときに、LH軸の成分が最も高い値を持つことを含む。また、サイドパネル30の後端部分は、車幅方向内側に屈曲されていてよい。
【0030】
サイドパネル30は、インストルメントパネル10の上壁部12及び後壁部14の車幅方向側端と当接して、上壁部12及び後壁部14とで囲まれた空間を側方から覆う。図2を参照して、サイドパネル30は、露出面30A及び隠れ面30Bを備える。露出面30Aは、車室に露出される意匠面である。隠れ面30Bは、露出面30Aの対向面(裏面)であって、インストルメントパネル10の上壁部12及び後壁部14に囲まれ、車室には露出されない。
【0031】
サイドパネル30の隠れ面30Bには、当該隠れ面30Bから車幅方向に延設されるパネル側係止爪32が設けられる。パネル側係止爪32は、隠れ面30Bの、サイドレジスタ40と対向する部分に設けられる。
【0032】
図1を参照して、サイドレジスタ40は車室向け空調機器の吹き出し口に設けられる、風量調節部品である。サイドレジスタ40は、インストルメントパネル10の後壁部14に取り付けられる。サイドレジスタ40の後面、つまり、車室への露出面には、吹き出し口42が設けられる。吹き出し口42には、図示しない風量調節機構が設けられる。
【0033】
図3を参照して、サイドレジスタ40の前端は図示しない空調機器のダクトに接続される。またサイドレジスタ40の前端(ダクト接続部)と後端(吹き出し口42)との間には略角筒状のケーシング41が設けられる。
【0034】
図2図3を参照して、サイドレジスタ40のケーシング41の、車幅方向内側面44には、レジスタ側係止爪48が車幅方向内側に延設される。また、ケーシング41の、車幅方向外側面46には、レジスタ側係止孔52が車幅方向に穿孔される。図2図3の例では、車幅方向外側面46には、アーム50を介して間接的に、レジスタ側係止孔52が穿孔される。
【0035】
なお以下では、適宜、車幅方向内側面44が単に内側面44と記載され、車幅方向外側面46が、単に外側面46と記載される。要するにサイドレジスタ40が取付開口20(図3参照)に取り付けられたときに、相対的に車幅方向内側となるケーシング41の側面が内側面44となり、相対的に車幅方向外側となるケーシング41の側面が外側面46となる。
【0036】
図2図3を参照して、アーム50は、ケーシング41の外側面46から車幅方向外側に延設されるとともに、外側面46に車幅方向に離隔された状態で車両前方に延設される板部材である。さらにこのアーム50の前端部分には、レジスタ側係止孔52が車幅方向に穿孔される。
【0037】
図2を参照して、サイドレジスタ40を取付開口20に取り付けるに当たり、パネル側係止孔18にレジスタ側係止爪48が挿入、係止され、レジスタ側係止孔52にパネル側係止爪32が挿入、係止される。上述のように、レジスタ側係止爪48及びパネル側係止爪32は開口軸L1とは直交する方向に延設される。
【0038】
さらにパネル側係止爪32が挿入されるアーム50と、レジスタ側係止爪48とは、取付開口20の外側まで延設される。このような構造を備えることで、サイドレジスタ40に車両前後方向、特に車両後突時等に生じる車両後方の荷重が加えられた際に、レジスタ側係止爪48及びアーム50が引っ掛かりとなって、サイドレジスタ40の取付開口20からの脱落が抑制される。
【0039】
言い換えると本実施形態に係る車両内装部品の取付構造では、サイドレジスタ40の係止孔に係止されている係止爪の弾性力に加えて、取付開口20から外側に張り出すレジスタ側係止爪48及びアーム50が取付開口20の枠に引っ掛かることで、サイドレジスタ40の取付開口20からの脱落が抑制される。
【0040】
また、インストルメントパネル10は、車両前後方向寸法と比較して車幅方向寸法が長い、いわゆる横長の構造となっている。レジスタ側係止爪48の延設方向が、インストルメントパネル10の長手方向に沿っていることから、レジスタ側係止爪48の延設長に対する制約は、インストルメントパネル10の短手方向に延設する場合と比較して緩いものとなる。したがって、例えば取付開口20から離隔した領域にまで、レジスタ側係止爪48を延設させることが可能となる。このように、取付開口20に対する引っ掛け長さが長くなることで、より効果的に、サイドレジスタ40の取付開口20からの脱落が抑制される。
【0041】
例えば、インストルメントパネル10内には、図示しないエアバッグが設けられ、エアバッグの展開時にインストルメントパネル10が変形する。この変形により、取付開口20の開口形状も変形する。本実施形態に係る車両内装部品の取付構造においては、レジスタ側係止爪48のパネル側係止孔18への嵌合代b(引っ掛け長さ)が、従来構造と比較して長く取ることが出来るため、取付開口20の変形時においても、サイドレジスタ40の取付開口20からの脱落が効果的に抑制される。
【0042】
例えば図4には、従来構造に係るインストルメントパネル100及びサイドレジスタ140が例示される。この例では、サイドレジスタ140がインストルメントパネル100に、車両前後方向に係止される。より具体的には、サイドレジスタ140には係止爪132が設けられる。係止爪132は、車両前後方向に延設される軸132Aと、その先端に設けられ車幅方向に突出する鉤132Bを備える。またインストルメントパネル100には、車両前後方向に延設される側壁101に、車幅方向に突出し係止爪132の鉤132Bと係合する突起102が設けられる。
【0043】
このような場合に、係止爪132の突起102への嵌合代aは、係止爪132の鉤132Bの張り出し長さに制約される。これに対して図2に例示されるように、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造においては、レジスタ側係止爪48のパネル側係止孔18への嵌合代b(引っ掛け長さ)が、レジスタ側係止爪48の軸48Aの長さとなるため、従来構造の嵌合代aと比較して長く取ることが出来る。同様にして、パネル側係止爪32のレジスタ側係止孔52への嵌合代c(引っ掛け長さ)も、パネル側係止爪32の軸32Aの長さとなるため、従来構造の嵌合代aと比較して長く取ることが出来る。したがって、取付開口20の変形時においても、サイドレジスタ40の取付開口20からの脱落が効果的に抑制される。
【0044】
また、エアバッグの展開時に、インストルメントパネル10だけでなくサイドレジスタ40も変形させられる。本実施形態に係るサイドレジスタ40では、従来構造と比較して変形が抑制される。
【0045】
例えば図4を参照して、従来のサイドレジスタ140は、エアバッグの展開時や悪路走行時に、破線で示されるように撓み変形させられ、その結果、破線の矢印で示されるように、ダクト110との接続点において空調空気がダクト110外に漏れるおそれがある。これに対して図2に例示されるサイドレジスタ40は、車両前後方向に延設されるケーシング41によって撓み変形が抑制される。また、サイドレジスタ40の変形量が従来構造よりも少ないことから、組立時の変形も少なく、いわゆる建付け性が向上する。
【0046】
なお、図2図3では、パネル側係止孔18及びレジスタ側係止爪48の組、ならびに、レジスタ側係止孔52及びパネル側係止爪32の組が、それぞれ一組ずつ示されていたが、少なくともどちらかの組を二組以上設け、サイドレジスタ40の、インストルメントパネル10及びサイドパネル30との支持点を3点以上としてもよい。
【0047】
サイドレジスタ40の支持点が2点である場合に、この2点を結ぶ線を回転軸としてサイドレジスタ40が回転(回動)するおそれがあるが、支持点を3点以上とすることで、そのような回転を抑制可能となる。
【0048】
<車両内装部品の取付構造の組立プロセス>
図3を参照して、本実施形態に係る車両内装部品の取付構造の組立プロセスを説明する。上述のように、インストルメントパネル10の取付開口20は、車幅方向側端が開放された切り欠き孔となっている。車幅方向に突出するレジスタ側係止爪48及びアーム50を備えるサイドレジスタ40を、取付開口20に取り付けるに当たり、取付開口20の開放部分から車幅方向側方にサイドレジスタ40が嵌め込まれる。この際に、レジスタ側係止爪48がインストルメントパネル10のパネル側係止孔18に挿入、係止される。
【0049】
サイドレジスタ40が取付開口20内に収容されると、サイドパネル30がインストルメントパネル10の側端を閉じるようにして車幅方向外側から内側に付勢される。この際に、アーム50のレジスタ側係止孔52に、パネル側係止爪32が挿入、係止される。
【符号の説明】
【0050】
10 インストルメントパネル、12 上壁部、14 後壁部、14A インストルメントパネルの露出面、14B インストルメントパネルの隠れ面、16 インストルメントパネルのアーム、18 パネル側係止孔、20 取付開口、30 サイドパネル、30A サイドパネルの露出面、30B サイドパネルの隠れ面、32 パネル側係止爪、40 サイドレジスタ、41 ケーシング、42 吹き出し口、44 内側面、46 外側面、48 レジスタ側係止爪、50 サイドレジスタのアーム、52 レジスタ側係止孔。
図1
図2
図3
図4