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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095048
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/24 20060101AFI20220621BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220621BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220621BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A61K8/24
A61K8/41
A61K8/9789
A61Q17/04
A61K8/25
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208137
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】木崎 寿美子
(72)【発明者】
【氏名】野中 麻由
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB332
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC252
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC531
4C083AC542
4C083AC552
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD492
4C083BB26
4C083CC04
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD08
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE12
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、大気汚染物質や酸性液体などの様々な外的刺激から肌を有効に保護することができる皮膚外用剤を提供することである。
【解決手段】
ヒドロキシアパタイトとポリアミンを含有する皮膚外用剤。ポリアミンとしては、スペルミン、プトレシン、スペルミジンおよびこれらのアセチル化体、並びにこれらの2つ以上の重合体からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく、ダイズ芽エキスを用いてもよい。また皮膚外用剤としては日焼け止め化粧料として用いることもできる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシアパタイトとポリアミンを含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
ポリアミンが、スペルミン、プトレシン、スペルミジンおよびこれらのアセチル化体、並びにこれらの2つ以上の重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
ポリアミンがダイズ芽エキス由来である、請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
日焼け止め化粧料である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
さらに球状粉体を含有する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
球状粉体がホウケイ酸塩である、請求項1~請求項5のいずれ1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚や毛髪は常に外的刺激に曝されており、外的環境から様々なダメージを受けている。特に最近注目されている微小粒子状物質等の大気汚染物質や酸性雨等の酸性液体は、皮膚に付着することにより肌に悪影響を及ぼすことが知られている。これらの外的刺激から肌を保護するためには、ダメージの原因となり得る物質を肌に付着させないこと及び/又は付着した刺激原因物質による悪影響を緩和(酸化防止又は中和)すること等が考えられる。
【0003】
化粧品に前記のような肌を保護する機能を持たせた、いわゆる「アンチポリューション化粧料」として、従来は、油性の被膜剤を配合して肌を密に被覆する化粧料などが提案されていたが、刺激原因物質を肌に付着させないという側面では有効であるものの、緊密な膜で肌を被覆するために使用感触が悪く、全ての刺激原因物質に対して有効であるか否かは不明であった。
【0004】
特許文献1には、大気汚染物質に含まれる重金属から皮膚又は毛髪を保護するための組成物(化粧料)が記載されており、重金属をキレートするキレート化剤とスフィンゴリピドとを配合したことを特徴としている。
特許文献2には、ラン科シラン属植物の抽出物を配合した皮膚・毛髪保護剤が記載されており、当該抽出物の抗酸化作用に基づいて刺激物質による悪影響を緩和しようとするものである。
特許文献3には、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを有効成分とするアンチポリューション化粧料が記載されている。
【0005】
このように、大気汚染物質などの刺激物質を捕捉したり酸化作用を抑制したりすることにより肌を保護することを意図した化粧料等も提案されているが、その効果は限られたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-244423号公報
【特許文献2】特開2004-262894号公報
【特許文献3】国際公開WO2014/136993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明は、大気汚染物質や酸性液体などの様々な外的刺激から肌を有効に保護することができる皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、本発明を完成するにいたった。すなわち本発明は次のとおりである。
(1)
ヒドロキシアパタイトとポリアミンを含有する皮膚外用剤。
(2)
ポリアミンが、スペルミン、プトレシン、スペルミジンおよびこれらのアセチル化体、並びにこれらの2つ以上の重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)
ポリアミンがダイズ芽エキス由来である、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)
日焼け止め化粧料である、(1)~(3)のいずれか1に記載の皮膚外用剤。
(5)
さらに球状粉体を含有する(1)~(4)のいずれか1に記載の皮膚外用剤。
(6)
球状粉体がホウケイ酸塩である、(1)~(5)のいずれか1に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、大気汚染物質や酸性液体などの様々な外的刺激から肌を有効に保護することができる皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
ヒドロキシアパタイトは燐灰石のうち、1価の陰イオンとして水酸基を主として含むものを指し、脊椎動物の歯や骨といった硬組織の主要成分である。化粧品原料としては、合成物を用いる場合が多く、乾式合成、湿式合成等の様々な合成方法があるが、いずれの合成方法で得られたものでも用いることができる。また、天然物由来のヒドロキシアパタイトを用いることもできる。天然物由来のヒドロキシアパタイトとしては、アコヤ貝の貝殻や真珠由来のヒドロキシアパタイト、化石サンゴ由来のヒドロキシアパタイト、ホタテ貝殻由来のヒドロキシアパタイト等を用いることができる。
【0012】
係るヒドロキシアパタイトの市販品としては、SP-1、球状ハイドロキシアパタイト(以上株式会社サンギ製)、FL-HAP(太平化学産業株式会社製)、DN-HAP(SH)(大日本化成株式会社製)、バイオアパタイト(株式会社日本バリアフリー製)、コーラルアパタイト(コーラルインターナショナル株式会社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明においては、その外的刺激防止の点から、ホタテ貝殻由来のヒドロキシアパタイト又は化石サンゴ由来のヒドロキシアパタイトから選択される1種又は2種を用いることが好ましく、さらには化石サンゴ由来のヒドロキシアパタイトを用いることが最も好ましい。
【0014】
ヒドロキシアパタイトの配合量は、皮膚外用剤の0.0001~20質量%、好ましくは0.001~10質量%である。
【0015】
ポリアミンは、第1級アミノ基を2つ以上もつ脂肪族炭化水素の総称で生体内に普遍的に存在する天然物であり、20種類以上のポリアミンが見いだされている。代表的なポリアミンとしてはプトレシン、スペルミジン、スペルミンがある。本発明において、ポリアミンとして、スペルミン、プトレシン、スペルミジンおよびこれらのアセチル化体、並びにこれらの2つ以上の重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。これらは、化学的合成されたものであっても、天然物由来のものであってもよい。特にダイズ芽エキス由来のポリアミンを用いることがより好ましい。
【0016】
ポリアミンの配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対し、0.00005~1質量%、好ましくは0.00005~0.1質量%配合する。
【0017】
本発明の皮膚外用剤においては、ポリアミンをヒドロキシアパタイトに被覆した複合粉体を用いることができる。かかる複合粉体は、ヒドロキシアパタイト1質量部に対し、ポリアミンを0.001~1質量部、好ましくは0.001~0.5質量部被覆することにより調製する。
【0018】
被覆方法としては、これまで知られた各種方法、例えば物理化学的な混合摩砕法(乾式、湿式)や化学的な沈着法等が選択され実施されるが、ポリアミンの安定配合の点から、乾式の混合摩砕法が有利に用いられる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤の用途は特に限定されないが、メイクアップの仕上げに用いるフィニッシュ化粧水又は日焼け止め化粧料として用いることが好ましい。
【0020】
特に日焼け止め化粧料として用いることにより、紫外線防御と外的刺激の両方の用途を兼ね備えることができるため好ましい。
【0021】
日焼け止め化粧料として用いる場合、紫外線散乱剤又は紫外線吸収剤を配合する。
【0022】
紫外線散乱剤としては、微粒子金属酸化物を用いることが好ましい。本発明において、微粒子とは平均粒子径が、約10nm~200nmの範囲にあるものをいう。なお平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。本発明の化粧料に配合される微粒子金属酸化物としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウム等が挙げられる。紫外線散乱効果に優れることから微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛から選択される1種又は2種が好ましく、さらにUVA遮断効果に優れることから微粒子酸化亜鉛が特に好ましい。また、微粒子金属酸化物の形状は特に限定されず、親水化処理又は疎水化処理されたものであってもよい。
【0023】
微粒子酸化チタンは、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。微粒子酸化チタンの形状は特に限定されない。また、微粒子酸化チタンの粒子径としては、例えば、一次粒子の平均粒子径が100nm以下、さらには80nm以下のものが好ましく用いられる。微粒子酸化チタンの平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常は30nm程度である。微粒子酸化チタンは、例えば、硫酸法や塩素法等の常法により製造することが可能であり、市販品を用いることも可能である。市販の微粒子酸化チタンとしては、例えば、SIVシリーズ、TTO-55シリーズ、TTO-Sシリーズ(以上、石原産業社製)、MT-100TV、MT-500V、MT-01(以上、テイカ社製)等が挙げられる。
【0024】
微粒子酸化チタンは、必要に応じて表面を親水化処理、又は疎水化処理したものを用いることができる。親水化処理手段としては、例えば、グリセリン等の多価アルコール処理、ヒアルロン酸処理等の表面処理が例示される。また、疎水化処理手段としては、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられる。
【0025】
微粒子酸化チタン及び/又はその表面処理微粒子酸化チタンは、そのまま化粧料に配合することができるが、必要に応じて、タルク、マイカ、セリサイト等の板状粉体、シリカ、球状粉体等他の粉体の表面に被覆したものを用いることができる。板状粉体や球状粉体に微粒子酸化チタンを被覆することにより、微粒子酸化チタンの凝集が減少し、高い紫外線防御効果が得られる。また、板状粉体や球状粉体に微粒子酸化チタンを被覆することにより、微粒子酸化チタン特有の使用感上の軋みが減少し、良好な使用感の化粧料を得ることができる。
【0026】
微粒子酸化チタン及び/又はその表面処理微粒子酸化チタンは、粉体をそのまま粉体含有化粧料に配合することができるが、シリコーン油、炭化水素油等の油剤や、水性成分に予め分散させたものを使用することもできる。
【0027】
微粒子酸化亜鉛は、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。微粒子酸化亜鉛の形状は特に限定されない。また、市販の微粒子酸化亜鉛としては、例えば、FINEX-25、FINEX-30、FINEX-50(以上、堺化学工業社製)、MZ-300、MZ-500(以上、テイカ社製)等が挙げられる。
【0028】
微粒子酸化亜鉛は、必要に応じて表面を親水化処理、又は疎水化処理したものを用いることができる。親水化処理手段としては、例えば、グリセリン等の多価アルコール処理、ヒアルロン酸処理等の表面処理が例示される。また、疎水化処理手段としては、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられる。
【0029】
微粒子酸化亜鉛及び/又はその表面処理微粒子酸化亜鉛は、そのまま化粧料に配合することができるが、必要に応じて、タルク、マイカ、セリサイト等の板状粉体、シリカ、球状粉体等他の粉体の表面に被覆したものを用いることができる。
【0030】
微粒子酸化亜鉛及び/又はその表面処理微粒子酸化亜鉛は、粉体をそのまま化粧料に配合することができるが、シリコーン油、炭化水素油等の油剤や、水性成分に予め分散させたものを使用することもできる。
【0031】
上記した微粒子金属酸化物は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
紫外線吸収剤としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されない。例えば、パラメトキシケイヒ酸エチルオキシル、メトキシケイヒ酸イソプロピル、メトキシケイヒ酸イソアミル、メトキシケイヒ酸エチルへキシル等の桂皮酸誘導体;パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12等のベンゾフェノン誘導体;3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4-ビス-〔{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル〕-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン等の4,4-ジアリールブタジエン誘導体;オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。これらの有機紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0033】
本発明の皮膚外用剤には、球状粉体を配合することが好ましい。球状粉体を配合することにより、化粧落としが容易になる。
【0034】
球状粉体は、通常の皮膚外用剤に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができ、無機粉体、有機粉体のいずれでも良い。具体的には、無機球状粉体として、例えば、ホウケイ酸(Ca/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、有機球状粉体として、例えば、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、オルガノポリシロキサンエラストマー、メチルシロキサン網状重合体、架橋型メチルポリシロキサン、ウレタン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、シルク、セルロース等が挙げられる。本発明においては、その化粧落とし効果の点からホウケイ酸(Ca/Na)を用いることが好ましい。
【0035】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内で、必要に応じて、さらに、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、色素、保湿剤、ポリアミン以外の抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤、消臭剤、固着剤等を配合することができる。
【実施例0036】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に指定しない限り質量%で記載した。
【0037】
[ヒドロキシアパタイトによる大気汚染物質吸着効果]
表1に示す組成で、大気汚染物質分散液を調製した。30mL容量の保存用蓋付ガラス瓶に分注して静置し、汚染物質の沈降スピードと沈降後の上澄み液の透明度を比較した。なお、以下の試験においては大気汚染物質として、国立研究開発法人国立環境研究所より提供された名称Urban Aerosol(ID No.:NIES CRM No.28、以下同様。)を使用した。
【0038】
試験例1~6を、50mL容量の蓋付ガラス瓶にそれぞれ40mLずつ分注し、同時に振蕩した後の、沈降スピード、沈降後の上澄液の透明度を比較評価した。
[沈降スピード]
非常に速い:◎
早い:〇
中程度:△
遅い:×
[沈降後の上澄液の透明度]
透明度が非常に高い:◎
透明度が高い:〇
透明度が中程度:△
透明度が低い:×
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示した通り、ヒドロキシアパタイトは、ホウケイ酸(Ca/Na)やシリカと比較して、沈降後の上澄液の透明度が高く、沈降スピードも速かった。
【0041】
[過酸化脂質(POV)生成抑制効果]
表2に示す組成により試料を調製した。試料に紫外線を照射し、照射前後のPOV量を標準色と比較して数値化することにより、過酸化脂質生成抑制効果を確認した。POV値が高いほど、POVの生成量が多いことを示している。結果を表2に合わせて示す。
【0042】
[ダイズ芽エキス被覆ヒドロキシアパタイト]
ヒドロキシアパタイト[コーラルアパタイト(コーラル インターナショナル製)]とダイズ芽エキス[フィトポリアミン-S(東洋紡績株式会社製)]とを、ブレンダーを用いて2時間混合することにより、ダイズ芽エキス被覆ヒドロキシアパタイトを得た。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表2に示した通り、ポリアミンを含有するダイズ芽エキスは、人工皮脂による過酸化脂質の生成を抑制する効果を有することが示された。また、ダイズ芽エキスを表面に被覆したヒドロキシアパタイトにおいても、人工皮脂による過酸化脂質の精製を抑制する効果を有することが示された。
【0046】
表4に示す処方で油中水乳化型ファンデーションを調製し、クレンジング剤での洗浄性を比較した。
【0047】
【表4】
【0048】
注7:ビーズミル分散液は、平均粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを5質量%のアルミニウムステアレートで被覆したものを9質量部に、ジメチコンコポリオール2質量部、ジメチコン12質量部を添加し、ビーズミルを用いて混合したものを用いた。
注8:疎水化処理シリカ被覆微粒子酸化亜鉛は、平均粒子径0.02μmの微粒子酸化亜鉛100質量部の表面を、3質量部のシリカで被覆した後、5質量部のハイドロゲンジメチコンで処理することにより疎水化したものを用いた。
【0049】
表4に示した通り、ポリアミンとヒドロキシアパタイトを含有する化粧料に球状粉体であるホウケイ酸(Ca/Na)を添加することにより、洗浄しやすさが改善することが示された。
【0050】
実施例1 ミストスプレー
ダイズ芽エキス被覆ヒドロキシアパタイト 1.0
エタノール 10.0
PEG-50水添ヒマシ油 0.8
精製水 残 部
【0051】
実施例2 ローション
ダイズ芽エキス 0.01
マリンアパタイト(株式会社日本バリアフリー製) 2.0
エタノール 20.0
精製水 残 部
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】