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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095068
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220621BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220621BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220621BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20220621BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20220621BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20220621BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20220621BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220621BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/38 150
H02J3/38 170
H01M8/00 Z
H01M8/04858
H01M8/12 101
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208170
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000241902
【氏名又は名称】北海道瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 篤
(72)【発明者】
【氏名】長尾 泰気
(72)【発明者】
【氏名】安田 まちよ
(72)【発明者】
【氏名】神谷 洋
(72)【発明者】
【氏名】白井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】亀田 享
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 雅史
【テーマコード(参考)】
5G066
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5G066HA06
5G066HA11
5G066HA13
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JB03
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB27
5H127AB29
5H127AC01
5H127BB02
5H127DA01
5H127DC42
5H127DC43
5H127DC47
5H127DC89
(57)【要約】
【課題】発電装置を適切に作動させて自立運転時にシステム保護を図る。
【解決手段】電力供給システム10では、パワーコンディショナ20は、DCポート21a,21cに接続される太陽電池12などの電力出力機器に最大電力点追従制御を行う。また、連系運転時には電力系統1と連系して負荷に電力供給する系統連系ライン36に発電装置40の発電電力が出力させ、自立運転時にはパワーコンディショナ20のDCポート21cに電力供給する自立出力ライン37に発電装置40の発電電力が出力させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、蓄電池と、発電装置と、前記蓄電池が接続される充放電用ポートと前記太陽電池を含む制御対象が接続される複数の制御用ポートとを有し該制御用ポートに接続された前記制御対象を最大電力点追従制御するパワーコンディショナと、を備え、電力系統と連系して負荷に電力供給する連系運転と、該電力系統から独立して電力供給する自立運転とを行う電力供給システムであって、
前記発電装置の発電電力を前記電力系統と連系して負荷に供給する第1電力ラインと、
前記発電装置の発電電力を前記制御用ポートに供給する第2電力ラインと、
前記発電装置が前記第1電力ラインおよび前記第2電力ラインのいずれに発電電力を出力するかを切り替える切替部と、
前記連系運転時には前記発電装置の発電電力が前記第1電力ラインに出力されるように前記切替部を制御し、前記自立運転時には前記発電装置の発電電力が前記第2電力ラインに出力されるように前記切替部を制御する制御部と、
を備える電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給システムであって、
前記制御部は、前記連系運転時には前記発電装置を負荷追従制御または定格出力制御で作動させ、前記自立運転時には前記発電装置を定電圧制御で作動させる
電力供給システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力供給システムであって、
前記発電装置は、発電電力を前記電力系統と連系可能な交流電力として出力するものであり、
前記発電装置から前記第2電力ラインに出力された交流電力を直流電力に変換して前記制御用ポートに供給するコンバータを備える
電力供給システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力供給システムであって、
前記自立運転時に前記パワーコンディショナから出力される交流電力の電圧を、前記発電装置の起動に必要な電圧に昇圧して該発電装置に供給可能な昇圧トランスを備え、
前記制御部は、前記発電装置の運転停止中に前記自立運転が開始される場合、前記昇圧トランスから供給される電力により前記発電装置を起動させる
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光エネルギを直流電力に変換する太陽電池と、直流電力を充放電可能な蓄電池と、燃料電池やガス発電機などの発電装置と、直流電力を電力系統と連系可能な交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備える電力供給システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、通常は電力系統との連系運転を行って負荷に電力を供給し、停電などにより電力系統からの電力供給がない場合は電力系統から独立して自立運転を行う。また、連系運転時および自立運転時には、負荷の消費電力に追従する負荷追従制御または定格出力値に基づく定格出力制御のいずれかで発電装置を運転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-212655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシステムでは、自立運転時に発電装置を定格出力制御している際に、負荷の消費電力を上回る余剰電力を蓄電池に充電する。しかし、自立運転時は余剰電力を逆潮流させることができず、蓄電池が満充電になったり負荷消費が少なくなった場合には、余剰電力の行き場がなくなり電力供給システムが停止または故障するおそれがある。
【0005】
本発明は、発電装置を適切に作動させて自立運転時にシステム保護を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電力供給システムは、
太陽電池と、蓄電池と、発電装置と、前記蓄電池が接続される充放電用ポートと前記太陽電池を含む制御対象が接続される複数の制御用ポートとを有し該制御用ポートに接続された前記制御対象を最大電力点追従制御するパワーコンディショナと、を備え、電力系統と連系して負荷に電力供給する連系運転と、該電力系統から独立して電力供給する自立運転とを行う電力供給システムであって、
前記発電装置の発電電力を前記電力系統と連系して負荷に供給する第1電力ラインと、
前記発電装置の発電電力を前記制御用ポートに供給する第2電力ラインと、
前記発電装置が前記第1電力ラインおよび前記第2電力ラインのいずれに発電電力を出力するかを切り替える切替部と、
前記連系運転時には前記発電装置の発電電力が前記第1電力ラインに出力されるように前記切替部を制御し、前記自立運転時には前記発電装置の発電電力が前記第2電力ラインに出力されるように前記切替部を制御する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の電力供給システムは、連系運転時には、電力系統と連系して負荷に電力供給する第1電力ラインに発電装置の発電電力が出力されるように切替部を制御し、自立運転時には、パワーコンディショナの制御用ポートに電力供給する第2電力ラインに発電装置の発電電力が出力されるように切替部を制御する。また、パワーコンディショナは、制御用ポートに接続された制御対象を最大電力点追従制御する。これにより、連系運転時には、発電装置の発電電力を負荷に供給して消費させることができ、電力系統の停電などによる自立運転時には、パワーコンディショナにより発電装置を最大電力点追従制御するから過剰な発電電力となるのを防止することができる。このため、自立運転時に負荷消費が少なくなったり蓄電池が満充電状態となっても、余剰電力の行き場がなくなってパワーコンディショナが停止したり故障したりするのを防止することができる。したがって、発電装置を適切に作動させて自立運転時にシステム保護を図ることができる。
【0009】
本発明の電力供給システムにおいて、前記制御部は、前記連系運転時には前記発電装置を負荷追従制御または定格出力制御で作動させ、前記自立運転時には前記発電装置を定電圧制御で作動させるものとしてもよい。こうすれば、連系運転時には、発電装置を負荷消費に応じて発電させたり、定格電力を出力させて余剰電力を売電することができるから、発電電力を有効利用することができる。また、自立運転時に負荷消費が少なくなったり蓄電池が満充電状態となった場合には、発電装置をアイドリング状態として発電を抑えつつ再び電力が必要になった際に速やかに発電することができる。
【0010】
本発明の電力供給システムにおいて、前記発電装置は、発電電力を前記電力系統と連系可能な交流電力として出力するものであり、前記発電装置から前記第2電力ラインに出力された交流電力を直流電力に変換して前記制御用ポートに供給するコンバータを備えるものとしてもよい。こうすれば、連系運転から自立運転になる場合には、発電装置の発電電力の出力先を第1電力ラインから第2電力ラインに切り替えて交流電力をそのまま出力すればよいから、簡易な処理で自立運転時のシステム保護を図ることができる。
【0011】
本発明の電力供給システムにおいて、前記自立運転時に前記パワーコンディショナから出力される交流電力の電圧を、前記発電装置の起動に必要な電圧に昇圧して該発電装置に供給可能な昇圧トランスを備え、前記制御部は、前記発電装置の運転停止中に前記自立運転が開始される場合、前記昇圧トランスから供給される電力により前記発電装置を起動させるものとしてもよい。こうすれば、発電装置の運転停止中に前記自立運転が開始されても、発電装置を適切に作動させて発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電力供給システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】発電装置40の構成の概略を示す構成図である。
図3】電力供給制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】自立運転の一例を示すフローチャートである。
図5】電力供給システム10の自立運転時の状態を示す説明図である。
図6】発電装置40の自立運転時の状態を示す説明図である。
図7】変形例の電力供給システム10Bの構成の概略を示す構成図である。
図8】変形例の発電装置40Bの構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、電力供給システム10の構成の概略を示す構成図である。図2は、発電装置40の構成の概略を示す構成図である。電力供給システム10は、単相3線式の電力系統1(AC100V/200V)から電力を受電する住宅等に設置され、電力系統1と連系した連系運転と、電力系統1から独立した自立運転とにより、負荷に電力供給が可能なシステムとして構成されている。
【0014】
電力供給システム10は、図1に示すように、太陽電池12と、蓄電池14と、パワーコンディショナ20と、分電盤30と、発電装置40と、操作パネル50とを備える。また、電力供給システム10は、発電装置40から出力された交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ16や、パワーコンディショナ20の出力(例えばAC100V)を発電装置40の起動に必要な電圧(例えばAC200V)に昇圧する昇圧トランス33とを備える。なお、電力供給システム10は、電力系統1に対して逆潮流が許容されており、太陽電池12や蓄電池14、発電装置40などの分散型電源から出力され負荷L1,L2で消費された残りの余剰電力を電力系統1に逆潮流させて売電することもできる。
【0015】
太陽電池12は、太陽光などの光エネルギを受けて直流電力に変換する複数の太陽電池セルを有し、変換した直流電力をパワーコンディショナ20に出力する。太陽電池12は、例えば単結晶シリコンや多結晶シリコンなどのシリコン系太陽電池や、CISやCIGSなどの化合物系太陽電池として構成されている。
【0016】
蓄電池14は、例えばニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池として構成されている。蓄電池14は、太陽電池12や発電装置40で発電されパワーコンディショナ20を経て供給される直流電力を充電したり、充電した直流電力をパワーコンディショナ20に放電したりする。
【0017】
パワーコンディショナ20は、直流電力の電圧を変換する複数(例えば3つ)のDC/DCコンバータ22a~22cと、DC/DCコンバータ22a~22cから出力される直流電力を交流電力に変換(DC/AC)するインバータ24と、パワーコンディショナ20を含むシステム全体を制御する制御部28とを備える。また、パワーコンディショナ20は、電力を入出力する複数のポートが設けられており、図1では3つのDCポート21a~21cと2つのACポート21d,21eとを例示する。
【0018】
DCポート21aには太陽電池12が接続され、DCポート21bには蓄電池14が接続され、DCポート21cにはAC/DCコンバータ16(後述する自立出力ライン37)が接続されている。DC/DCコンバータ22aは、DCポート21aを介して入力した太陽電池12からの直流電力の電圧を変換してインバータ24に出力する。DC/DCコンバータ22bは、DCポート21bを介して入力した蓄電池14からの直流電力の電圧を変換してインバータ24に出力したり、インバータ24からの直流電力の電圧を変換しDCポート21bを介して蓄電池14に出力したりする。また、DC/DCコンバータ22cは、DCポート21cを介して入力したAC/DCコンバータ16からの直流電力の電圧を変換してインバータ24に出力する。なお、各コンバータは、汎用のスイッチングDC電源としもよいし、半波整流回路や全波整流回路により構成されてもよい。
【0019】
また、ACポート21dには、系統連系用の電力ラインである系統連系ライン31が接続され、ACポート21eには、自立出力用の電力ラインである自立出力ライン32が接続されている。また、パワーコンディショナ20は、インバータ24の出力側とACポート21dとを接続する電力ラインに取り付けられた第1連系スイッチ25と、インバータ24の出力側とACポート21eとを接続する電力ラインに取り付けられた第1自立スイッチ26とを備える。
【0020】
制御部28は、図示しないCPUやROM,RAM,入出力ポートなどを備え、発電装置40の後述する制御部48や、操作パネル50などと通信可能である。制御部28は、系統連系ライン31との連系点よりも電力系統1側に取り付けられる電流センサCT1からの検出電流や図示しない電圧センサからの検出電圧、操作パネル50からの操作信号などを受信して、電力系統1の停電を検出したり、操作信号に基づいて太陽電池12や発電装置40などに各種指示を出力したり、パワーコンディショナ20の作動を制御する。なお、住宅の居住者等は、操作パネル50を操作することにより、太陽電池12や発電装置40の運転(制御モード)や蓄電池14への充放電に関する各種設定などが可能となっている。また、制御部28は、操作パネル50に表示信号を送信して、太陽電池12や発電装置40の運転状態や蓄電池14の充放電状態などの各種情報を表示する。
【0021】
また、パワーコンディショナ20は、太陽電池12が接続されるDCポート21aと、AC/DCコンバータ16が接続されるDCポート21cとが太陽電池用の制御を行う制御用ポートとして構成され、蓄電池14が接続されるDCポート21bが充放電用ポートとして構成されている。パワーコンディショナ20は、太陽電池用の制御として、太陽電池12からの直流電力即ちDCポート21aへの入力電力が最大電力点となるように太陽電池12の動作点を変動させる最大電力点追従制御(MPPT制御)を行う。また、パワーコンディショナ20は、DCポート21a,21cに接続された各制御対象(電力出力機器)を、太陽電池12として最大電力点追従制御を行うように構成されている。即ち、DCポート21a,21cに接続された制御対象は、太陽電池12であるか否かに拘わらず、最大電力点追従制御で制御されることになる。
【0022】
発電装置40は、例えば固体酸化物形燃料電池として構成され、燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電する複数の燃料電池セルを有する発電部41と、発電部41で発電された直流電力を交流電力に変換するインバータ42と、装置全体を制御する制御部48とを備える。また、発電装置40は、インバータ42から電力の出力有無を切り替える切替スイッチ44と、系統連系用の電力ラインである系統連系ライン36と切替スイッチ44との間に取り付けられた第2連系スイッチ45と、自立出力用の電力ラインである自立出力ライン37と切替スイッチ44との間に取り付けられた第2自立スイッチ46とを備える。系統連系ライン36は、後述するトランス用切替スイッチ34を介して電力系統1(分電盤30)側に発電装置40の発電電力を供給するためのラインである。また、自立出力ライン37は、AC/DCコンバータ16を経てパワーコンディショナ20のDCポート21cに発電電力を供給するためのラインである。
【0023】
制御部48は、図示しないCPUやROM,RAM,入出力ポートなどを備え、パワーコンディショナ20の制御部28と通信可能である。制御部48は、連系点よりも分電盤30側に取り付けられる電流センサCT2からの検出電流や制御部28からの運転指示などを受信して、発電部41の起動や運転、インバータ42の駆動を制御したり、切替スイッチ44や第2連系スイッチ45,第2自立スイッチ46を切り替えたりする。なお、発電装置40は、固体高分子形など他の種類の燃料電池であってもよい。また、発電装置40は、燃料電池に限られず、原動機(ガスエンジンなど)からの動力により発電するものなど他の種類の発電装置であってもよい。なお、電流センサCT2が、電流センサCT1と同様に、連系点よりも電力系統1側に取り付けられていてもよい。
【0024】
電力供給システム10は、その他に、トランス用切替スイッチ34と、負荷用切替スイッチ35とを備える。トランス用切替スイッチ34は、昇圧トランス33をバイパスして系統連系ライン36を電力系統1側(分電盤30側)と接続するか、系統連系ライン36を昇圧トランス33側と接続するかを切り替える。負荷用切替スイッチ35は、負荷L2を、電力系統1側と接続するか、パワーコンディショナ20の自立出力ライン32側と接続するかを切り替える。なお、これらの切替スイッチは、手動で切り替えられてもよいし、マグネットスイッチなどにより自動で切り替わってもよい。
【0025】
なお、電力供給システム10は、パワーコンディショナ20の自立出力ライン32と負荷L1とを接続してないため自立運転時に負荷L1に電力を供給しないものとなり、負荷用切替スイッチ35の切り替えにより自立出力ライン32と負荷L2とを接続するため自立運転時に負荷L2に電力を供給可能である。このため、負荷L2は、電力系統1の停電時における作動の必要性が負荷L1よりも高い電気機器などとすることができる。
【0026】
次に、こうして構成された電力供給システム10の動作について説明する。図3は、電力供給制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。パワーコンディショナ20の制御部28は、電力系統1の停電を検出していない通常時には(S100でNO)、電力供給システム10が電力系統1と連系して電力供給する連系運転を行う(S110)。連系運転は、図1図2に示す回路状態、即ち第1連系スイッチ25と第2連系スイッチ45と切替スイッチ44とをオンとすると共に第1自立スイッチ26と第2自立スイッチ46とをオフとし、負荷用切替スイッチ35とトランス用切替スイッチ34とをいずれも電力系統1側に切り替えた状態で行われる。また、連系運転では、発電装置40の制御部48は、電流センサCT2からの検出電流などに基づいて、負荷L1,L2の消費電力の変動に発電量を追従させる負荷追従制御で発電装置40を運転させる。あるいは、連系運転では、発電装置40を定格出力(最大出力)で発電させる定格出力制御で発電装置40を運転させ、余剰電力を逆潮流させて売電してもよい。
【0027】
一方、制御部28は、電力系統1の停電を検出すると(S100でYES)、電力供給システム10を電力系統1と切り離して電力供給する自立運転を行う(S120)。図4は、自立運転の一例を示すフローチャートである。自立運転では、制御部28は、まず、第1連系スイッチ25をオフとすると共に第1自立スイッチ26をオンとし、負荷用切替スイッチ35を自立出力ライン32側に切り替える(S200)。これにより、電力供給システム10が図5に示す状態となる。なお、上述したように、負荷用切替スイッチ35は手動で切り替えられてもよいし、停電発生直後に自動で切り替わってもよい。
【0028】
次に、制御部28は、発電装置40が運転中であるか否かを判定し(S210)、運転中であると判定すると、発電装置40の制御部48に第2連系スイッチ45をオフとすると共に第2自立スイッチ46をオンとするように指示を出力して(S220)、S270に進む。これにより、発電装置40が図6に示す状態となる。このため、発電装置40の発電電力が自立出力ライン37に出力される。なお、制御部28が、第2連系スイッチ45や第2自立スイッチ46をオンオフしてもよい。
【0029】
一方、制御部28は、S210で発電装置40が運転中でなく運転停止中であると判定すると、トランス用切替スイッチ34を昇圧トランス33側に切り替える(S230)。なお、上述したように、トランス用切替スイッチ34は手動で切り替えられてもよいし、自動で切り替わってもよい。また、既に第1自立スイッチ26がオンされてパワーコンディショナ20の自立出力ライン32に交流電力が供給されているから、その交流電力の電圧を昇圧トランス33が昇圧して発電装置40に供給することができる。このため、制御部28は、昇圧トランス33で昇圧された交流電力を電源として発電装置40を起動させ(S240)、発電装置40の起動が完了するのを待つ(S250)。
【0030】
制御部28は、起動が完了したと判定すると、発電装置40の制御部48に第2連系スイッチ45をオフとすると共に第2自立スイッチ46をオンとするように指示を出力し、トランス用切替スイッチ34を電力系統1側に切り替えて(S260)、S270に進む。これにより、電力供給システム10が図5に示す状態となり、発電装置40が図6に示す状態となる。
【0031】
自立運転時には、制御部28は、制御部48に定電圧制御(例えばAC100V)で発電装置40を運転させながら(S270)、復電を検知するのを待つ(S280)。発電装置40から自立出力ライン37に出力された交流電力は、AC/DCコンバータ16により直流電力に変換されてパワーコンディショナ20のDCポート21cに入力される。パワーコンディショナ20は、負荷L2の消費電力の変動に応じて、入力された電力を太陽電池12からの電力と同様に変換して自立出力ライン32から負荷L2へ供給し、その余剰分を蓄電池14へ充電する。また、上述したように、パワーコンディショナ20は、DCポート21cに入力された電力が最大電力となるように最大電力点追従制御を行う。このため、例えばパワーコンディショナ20が電流を掃引し、AC/DCコンバータ16の最大電流を超えると入力電圧が低下し始めて電力が小さくなるが、最大電力点に追従させるため掃引する電流が小さくなるように調整される。最大電力点追従制御では、このような処理を繰り返すから、AC/DCコンバータ16が過負荷となるのを防止しつつDCポート21cに安定的に電力を入力させることができる。このため、電力供給システム10(パワーコンディショナ20)を適切に保護することができる。
【0032】
そして、制御部28は、S280で復電を検知すると、自立運転を終了して連系運転に移行するため、第1自立スイッチ26と第2自立スイッチ46とをオフとすると共に第1連系スイッチ25と第2連系スイッチ45とをオンとし、負荷用切替スイッチ35を電力系統1側に切り替えて(S290)、自立運転を終了する。これにより、電力供給システム10が図1に示す状態となり、発電装置40が図2に示す状態となる。即ち、上述した連系運転時の状態となるから、発電装置40は系統連系ライン36を介して負荷L1,L2に発電電力を供給可能となる。
【0033】
以上説明した電力供給システム10は、連系運転時には、発電装置40の発電電力を系統連系ライン36に出力して負荷に供給して消費させることができる。また、電力系統1の停電などによる自立運転時には、発電装置40の発電電力を自立出力ライン37に出力してパワーコンディショナ20のDCポート21cに入力して太陽電池12からの電力と同様に最大電力点追従制御するから、入力電力が過剰な電力となるのを抑制することができる。このため、自立運転時に負荷消費が少なくなったり蓄電池14が満充電状態となっても、パワーコンディショナ20が停止したり故障したりするのを防止してシステム保護を図ることができる。また、例えば夜間や雨天時など太陽電池12から電力が十分に出力されない場合でも、発電装置40の発電電力を自立出力ライン32から負荷L2に供給して、余剰電力を蓄電池14に充電することができるから、発電装置40の発電電力を有効利用することができる。
【0034】
また、連系運転時には発電装置40を負荷追従制御または定格出力制御するから、発電電力をより有効に利用することができる。自立運転時には発電装置40を定電圧制御するから、負荷消費が少なくなったり蓄電池14が満充電状態となったりして発電出力が必要ない場合に、発電装置40をアイドリング状態として発電を抑えることができる。また、発電装置40を運転停止すると再起動に時間がかかるが、アイドリング状態とすることで、電力が必要となった場合に速やかに発電電力を供給することができる。
【0035】
また、自立出力ライン37に出力された交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ16を備えるから、連系運転から自立運転になった場合に、発電装置40の発電電力の出力先を自立出力ライン37に切り替えて交流電力をそのまま出力すればよいから、簡易な処理で自立運転時のシステム保護を図ることができる。
【0036】
また、パワーコンディショナ20から自立出力ライン32に出力された直流電圧を昇圧トランス33で昇圧して発電装置40に供給可能であるから、発電装置40の運転停止中に自立運転が開始される場合でも、発電装置40を起動させて発電電力を適切に出力することができる。
【0037】
上述した実施形態では、自立出力ライン37の交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ16を備えたが、これに限られず、AC/DCコンバータ16を備えなくてもよい。例えば、発電装置40が自立出力を直流電力で出力するように構成しておき、DCポート21cへの入力の必要に応じて電圧を変換するDC/DCコンバータを自立出力ライン37に備えてもよい。あるいは、そのDC/DCコンバータの機能を発電装置40が備えるものとし、自立出力ライン37に出力された直流電力をそのままDCポート21cへ入力してもよい。
【0038】
実施形態では、昇圧トランス33とトランス用切替スイッチ34とを備えたが、これに限られず、昇圧トランス33とトランス用切替スイッチ34とを備えなくてもよい。
【0039】
実施形態では、連系運転時に発電装置40を負荷追従制御または定格出力制御し、自立運転時に定電圧制御したが、これに限られず、連系運転時または自立運転時のいずれか一方または両方において、実施形態とは異なる制御としてもよいし、自立運転中の電力消費の状況などに基づいて制御を適宜切り替えてもよい。
【0040】
実施形態では、第2連系スイッチ45と第2自立スイッチ46とが発電装置40内に設けられるものとしたが、これに限られず、発電装置40外に設けられてもよく、制御部28が第2連系スイッチ45と第2自立スイッチ46とを切り替えてもよい。また、2つのスイッチで構成するものに限られず、発電装置40が系統連系ライン36および自立出力ライン37のいずれに発電電力を出力するかを切り替え可能な構成であればよい。
【0041】
実施形態では、パワーコンディショナ20の制御部28と発電装置40の制御部48とが通信する構成としたが、これに限られず、通信しない構成としてもよい。この変形例の構成について説明する。図7は、変形例の電力供給システム10Bの構成の概略を示す構成図であり、図8は、変形例の発電装置40Bの構成の概略を示す構成図である。変形例の電力供給システム10Bでは、図示するように、制御部28と制御部48とが通信線(図1の点線参照)で接続されておらず、発電装置40B(制御部48)には、発電装置用のリモコン55からの操作信号が入力される。リモコン55は、通常時の起動ボタン(連係出力用)と、停電時の起動ボタン(自立出力用)とを備える。なお、リモコン55は、少なくともそれらのボタンを備えればよく、リモコン50と同様の構成でもよい。また、リモコン55は、電源線が負荷L2の系統に接続されており、停電中でもパワーコンディショナ20の自立出力によって動作可能となっている。変形例の発電装置40Bは、電流センサCT2からの検出電流や系統の電圧に基づいて制御部48が停電や復電を検知して、第2連系スイッチ45と第2自立スイッチ46を切り替えることで、実施形態と同様に動作する。
【0042】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、太陽電池12が「太陽電池」に相当し、蓄電池14が「蓄電池」に相当し、発電装置40が「発電装置」に相当し、パワーコンディショナ20が「パワーコンディショナ」に相当し、DCポート21bが「充放電用ポート」に相当し、DCポート21a,21cが「制御用ポート」に相当し、系統連系ライン36が「第1電力ライン」に相当し、自立出力ライン37が「第2電力ライン」に相当し、第2連系スイッチ45と第2自立スイッチ46とが「切替部」に相当し、制御部28と制御部48とが「制御部」に相当する。AC/DCコンバータ16が「コンバータ」に相当する。昇圧トランス33が「昇圧トランス」に相当する。
【0043】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0044】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、電力供給システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 電力系統、10,10B 電力供給システム、12 太陽電池、14 蓄電池、16 AC/DCコンバータ、20 パワーコンディショナ、21a,21b,21c DCポート、21d,21e ACポート、22a,22b,22c DC/DCコンバータ、24 インバータ、25 第1連系スイッチ、26 第1自立スイッチ、28 制御部、30 分電盤、31,36 系統連系ライン、32,37 自立出力ライン、33 昇圧トランス、34 トランス用切替スイッチ、35 負荷用切替スイッチ、40,40B 発電装置、41 発電部、42 インバータ、44 切替スイッチ、45 第2連系スイッチ、46 第2自立スイッチ、48 制御部、50,55 リモコン、CT1,CT2 電流センサ、L1,L2 負荷。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8