(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095085
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】内接歯車ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20220621BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F04C2/10 341B
F04C15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208197
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【テーマコード(参考)】
3H041
3H044
【Fターム(参考)】
3H041AA01
3H041AA02
3H041BB03
3H041CC03
3H041CC20
3H041DD05
3H044AA01
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC03
3H044CC19
3H044DD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吐出ポートから吸入ポートへの漏れを低減して容積効率の低下を抑制し得る内接歯車ポンプを提供する。
【解決手段】内歯歯車5の内歯5Aと外歯歯車6の外歯6Aとによりポンプ室Tを区画形成し、ポンプ室Tは両歯車5、6の回転により吸入域空間Sで容積を増加して吸入ポート10より液体を吸入すると共に、吐出域空間Pで容積を減少して吐出ポート12に液体を吐出する。両歯車5、6は一側面を軸方向に窪ませて環状の凹部5C、6Cを形成する。凹部5C、6Cには周方向へ間隙を有して複数個の梁5G、6Gを形成する。各梁5G、6Gは環状の凹部5C、6Cを周方向へ分割する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジングの収容孔に内歯を有するリング状の内歯歯車を回転自在に収容し、内歯歯車の内歯と内接噛み合いする外歯を有する外歯歯車を内歯歯車の内部に偏心して収容し、両歯車間には両歯車の回転により両歯間の噛み合い隙間が増加する領域に液体を吸入する吸入ポートに連通して吸入域空間を形成し、両歯車の回転により両歯間の噛み合い隙間が減少する領域に液体を吐出する吐出ポートに連通して吐出域空間を形成し、内歯歯車の内歯と外歯歯車の外歯とによりポンプ室を区画形成し、ポンプ室は両歯車の回転により吸入域空間で容積を増加して吸入ポートより液体を吸入すると共に、吐出域空間で容積を減少して吐出ポートに液体を吐出して設け、両歯車は一側面を軸方向に窪ませて環状の凹部を形成し、凹部には周方向へ間隙を有して複数個の梁を形成し、各梁は環状の凹部を周方向へ分割したことを特徴とする内接歯車ポンプ。
【請求項2】
前記両歯車は前記一側面と対向する他側面を平坦に形成し、前記ポンプハウジングは前記両歯車の前記一側面が摺接する一摺接面を平坦に形成すると共に、前記両歯車の他側面が摺接する他摺接面に前記吸入ポートと前記吐出ポートとを開口したことを特徴とする請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項3】
前記両歯車を合成樹脂製としたことを特徴とする請求項1または2に記載の内接歯車ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状の内歯歯車の内部に偏心して外歯歯車を収容し、両歯車を回転駆動して液体を吸入吐出する内接歯車ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の内接歯車ポンプは、リング状の内歯歯車の内部に偏心して外歯歯車を収容し、両歯車の回転駆動で液体を吸入ポートより吸入して吐出ポートより吐出している。そして、外歯歯車は両側面を軸方向に窪ませて環状の凹部を形成し、軽量化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来の内接歯車ポンプでは、ポンプハウジングに弧状に形成した吸入ポートと吐出ポートに環状の凹部が連通しないよう凹部の外周縁でシールしているため、外周縁は薄肉で両ポートと凹部との間のシール性が満足のいくものでなく、吐出ポートから凹部を経て吸入ポートへの漏れが増加して容積効率が低下する恐れがあった。
【0005】
本発明の課題は、吐出ポートから吸入ポートへの漏れを低減して容積効率の低下を抑制し得る内接歯車ポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
ポンプハウジングの収容孔に内歯を有するリング状の内歯歯車を回転自在に収容し、内歯歯車の内歯と内接噛み合いする外歯を有する外歯歯車を内歯歯車の内部に偏心して収容し、両歯車間には両歯車の回転により両歯間の噛み合い隙間が増加する領域に液体を吸入する吸入ポートに連通して吸入域空間を形成し、両歯車の回転により両歯間の噛み合い隙間が減少する領域に液体を吐出する吐出ポートに連通して吐出域空間を形成し、内歯歯車の内歯と外歯歯車の外歯とによりポンプ室を区画形成し、ポンプ室は両歯車の回転により吸入域空間で容積を増加して吸入ポートより液体を吸入すると共に、吐出域空間で容積を減少して吐出ポートに液体を吐出して設け、両歯車は一側面を軸方向に窪ませて環状の凹部を形成し、凹部には周方向へ間隙を有して複数個の梁を形成し、各梁は環状の凹部を周方向へ分割したことを特徴とする内接歯車ポンプがそれである。
【0007】
この場合、前記両歯車は前記一側面と対向する他側面を平坦に形成し、前記ポンプハウジングは前記両歯車の前記一側面が摺接する一摺接面を平坦に形成すると共に、前記両歯車の他側面が摺接する他摺接面に前記吸入ポートと前記吐出ポートとを開口してもよい。また、前記両歯車を合成樹脂製としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、内歯歯車の内歯と外歯歯車の外歯とによりポンプ室を区画形成し、ポンプ室は両歯車の回転により吸入域空間で容積を増加して吸入ポートより液体を吸入すると共に、吐出域空間で容積を減少して吐出ポートに液体を吐出して設け、両歯車は一側面を軸方向に窪ませて環状の凹部を形成し、凹部には周方向へ間隙を有して複数個の梁を形成し、各梁は環状の凹部を周方向へ分割した。このため、両歯車には吐出ポートと吸入ポートとの間で複数個の梁が有るから、吐出ポートから吸入ポートに漏れる液体は複数個の梁て吸入ポートへの漏れを抑制でき、吐出ポートから吸入ポートへの漏れを低減できて容積効率の低下を抑制できる。そして、両歯車は凹部を形成して軽量化を図ることができる。また、両歯車は凹部に複数個の梁を形成したから、強度を向上することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、両歯車は一側面と対向する他側面を平坦に形成し、ポンプハウジングは両歯車の一側面が摺接する一摺接面を平坦に形成すると共に、両歯車の他側面が摺接する他摺接面に吸入ポートと吐出ポートとを開口した。このため、吸入ポートと吐出ポートとを開口したポンプハウジングの他摺接面には両歯車の平坦に形成した他側面が摺接するから、吸入ポートと吐出ポートが両歯車の一側面に窪み形成した凹部に露呈することなくでき、吐出ポートから吸入ポートへの漏れをより低減できて容積効率の低下を一層抑制できる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、両歯車を合成樹脂製とした。このため、両歯車をより一層の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示した内接歯車ポンプの
図2の線A-Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1および
図2において、1はポンプ本体で、有底の収容孔2を形成している。3は蓋部材で、収容孔2の開口を閉じるようポンプ本体1に取付けている。そして、ポンプ本体1と蓋部材3は金属製であり、ポンプ本体1と蓋部材3とでポンプハウジング4を構成している。5はリング状の内歯歯車で、8個の内歯5Aを有し、収容孔2へ回転自在に収容している。6は外歯歯車で、内歯5Aと内接噛み合いする7個の外歯6Aを有し、内歯歯車5の内部に偏心して収容している。両歯車5、6はそれぞれ合成樹脂の成形品である。内歯歯車5の軸方向の一側面5Bおよび外歯歯車6の軸方向の一側面6Bは、収容孔2の底面にそれぞれ摺接可能とし、この底面をポンプハウジング4の一摺接面4Aとし、平坦に形成している。
【0013】
両歯車5、6は一側面5B、6Bを軸方向に窪ませて凹部5C、6Cを形成している。内歯歯車5に形成の凹部5Cは環状に形成し、外周を内歯歯車5の外周より若干小径に設けている。また、凹部5Cは内周を内歯5Aに沿った形状で内歯5Aより若干大きく設けている。また、凹部5Cは軸方向の深さ寸法を内歯歯車5の幅寸法より若干小さく設けている。内歯歯車5は、凹部5C外周に外周薄肉部5Dを形成し、凹部5C内周に内周薄肉部5Eを形成し、凹部5C底面に底面薄肉部5Fを形成し、各薄肉部5D、5E、5Fの厚さ寸法を略同一に設けている。
【0014】
5Gは凹部5Cに形成した梁で、周方向へ等間隔に8個を設けている。各梁5Gは内歯歯車5の径方向中心から径方向外方へ放射状に形成し、内周薄肉部5Eにおける内歯5Aの各歯先部と外周薄肉部5Dとの間を接続し、凹部5Cを周方向へ8個に分割している。そして、各梁5Gは軸方向の幅寸法を凹部5Cの軸方向の深さ寸法と略同一に設けると共に、厚さ寸法を各薄肉部5D、5E、5Fの厚さ寸法と略同一に設けている。
【0015】
外歯歯車6に形成の凹部6Cは環状に形成し、外周を外歯6Aに沿った形状で外歯6Aより若干小さく設けている。また、凹部6Cは内周を径方向中心に軸方向へ貫通形成の貫通孔7より大径に設けている。また、凹部6Cは軸方向の深さ寸法を外歯歯車6の幅寸法より若干小さく設けている。外歯歯車6は、凹部6C外周に外周薄肉部6Dを形成し、凹部6C内周にボス部6Eを形成し、凹部6C底面に底面薄肉部6Fを形成している。貫通孔7は縦断面で略D字形状で、先端部の縦断面を略D字形状にした駆動軸8を嵌合している。駆動軸8はポンプ本体1に配置したシール部材9で軸封し、外歯歯車6を回転駆動する。
【0016】
6Gは凹部6Cに形成した梁で、周方向へ等間隔に7個を設けている。各梁6Gは外歯歯車6の径方向中心から径方向外方へ放射状に形成し、ボス部6Eと外周薄肉部6Dにおける外歯6Aの各歯先部との間を接続し、凹部6Cを周方向へ7個に分割している。そして、各梁6Gは軸方向の幅寸法を凹部6Cの軸方向の深さ寸法と略同一に設けると共に、厚さ寸法を各薄肉部6D、6Fの厚さ寸法と略同一に設けている。
【0017】
両歯車5、6は一側面5B、6Bと対向する他側面5H、6Hを平坦に形成している。両歯車5、6の他側面5H、6Hは収容孔2の開口を閉じる蓋部材3の側面に摺接し、この側面をポンプハウジング4の他摺接面4Bとし、平坦に形成している。Sは吸入域空間、Pは吐出域空間でそれぞれ両歯車5、6間に備え、吸入域空間Sは両歯車5、6の回転により両歯5A、6A間の噛み合い隙間が増加する領域に形成している。また、吐出域空間Pは両歯車5、6の回転により両歯5A、6A間の噛み合い隙間が減少する領域に形成している。Tはポンプ室で、内歯歯車5の内歯5Aと外歯歯車6の外歯6Aとにより複数個を区画形成し、両歯車5、6の回転により吸入域空間Sで容積を増加すると共に、吐出域空間Pで容積を減少して設ける。
【0018】
10は吸入域空間Sに連通する吸入ポートで、ポンプハウジング4の他摺接面4Bに半円弧状に窪み形成して開口している。11は吸入ポート10に接続する吸入流路で、蓋部材3に形成し、低圧側から吸入する液体を流通する。12は吐出域空間Pに連通する吐出ポートで、ポンプハウジング4の他摺接面4Bに半円弧状に窪み形成し、吸入ポート10と径方向の対称位置に開口している。13は吐出ポート12に接続する吐出流路で、蓋部材3に形成し、負荷側に吐出する液体を流通する。
【0019】
凹部5Cの周方向へ8個に分割したそれぞれは、吐出域空間Pでは吐出ポート12に吐出する液体の一部(微量)が、内周薄肉部5E先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して内部に導入すると共に、吸入域空間Sでは内部の液体の一部が内周薄肉部5E先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吸入ポート10へ導出する。このため、凹部5Cの周方向へ8個に分割したそれぞれは、吐出域空間Pでは吐出ポート12の圧力より若干低い中間圧力となり、吸入域空間Sでは吸入ポート10の圧力より若干高い中間圧力となる。
【0020】
凹部6Cの周方向へ7個に分割したそれぞれは、吐出域空間Pでは吐出ポート12に吐出する液体の一部(微量)が、外周薄肉部6D先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して内部に導入すると共に、吸入域空間Sでは内部の液体の一部が外周薄肉部6D先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吸入ポート10へ導出する。このため、凹部6Cの周方向へ7個に分割したそれぞれは、吐出域空間Pでは吐出ポート12の圧力より若干低い中間圧力となり、吸入域空間Sでは吸入ポート10の圧力より若干高い中間圧力となる。
【0021】
次に、かかる構成の作動を説明する。
駆動軸8により外歯歯車6を回転駆動すると、外歯歯車6と内接噛み合いする内歯歯車5が回転駆動され、低圧側から液体が吸入流路11を流れ、吸入ポート10から吸入域空間Sに吸入されて吐出域空間Pに搬送され、吐出ポート12より吐出流路13を流れて吐出される。
【0022】
このとき、吐出域空間Pより吐出ポート12を流れて吐出する液体の一部(微量)は、内歯歯車5の内周薄肉部5E先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吐出域空間Pに位置する凹部5Cに導入すると共に、外歯歯車6の外周薄肉部6D先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吐出域空間Pに位置する凹部6Cに導入する。よって、吐出域空間Pに位置する凹部5C、6Cは吐出ポート12の圧力より若干低い中間圧力となる。
【0023】
また、吸入域空間Sに位置する凹部5Cの液体の一部(微量)は、内周薄肉部5E先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吸入域空間Sから吸入ポート10に導出する。また、吸入域空間Sに位置する凹部6Cの液体の一部(微量)は、外周薄肉部6D先端とポンプハウジング4の一摺接面4Aとの間を介して吸入ポート10に導出する。よって、吸入域空間Sに位置する凹部5C、6Cは吸入ポート10の圧力より若干高い中間圧力となる。
【0024】
かかる作動において、内歯歯車5の内歯5Aと外歯歯車6の外歯6Aとによりポンプ室Tを区画形成し、ポンプ室Tは両歯車5、6の回転により吸入域空間Sで容積を増加して吸入ポート10より液体を吸入すると共に、吐出域空間Pで容積を減少して吐出ポート12に液体を吐出して設け、両歯車5、6は一側面5B、6Bを軸方向に窪ませて環状の凹部5C、6Cを形成し、凹部5C、6Cには周方向へ間隙を有して複数個の梁5G、6Gを形成し、各梁5G、6Gは環状の凹部5C、6Cを周方向へ分割した。このため、両歯車5、6には吐出ポート12と吸入ポート10との間で複数個の梁5G、6Gが有るから、吐出ポート12から吸入ポート10に漏れる液体は複数個の梁5G、6Gて吸入ポート10への漏れを抑制でき、吐出ポート12から吸入ポート10への漏れを低減できて容積効率の低下を抑制できる。そして、両歯車5、6は凹部5C、6Cを形成して軽量化を図ることができる。また、両歯車5、6は凹部5C、6Cに複数個の梁5G、6Gを形成したから、強度を向上することができる。
【0025】
また、両歯車5、6は一側面5B、6Bと対向する他側面5H、6Hを平坦に形成し、ポンプハウジング4は両歯車5、6の一側面5B、6Bが摺接する一摺接面4Aを平坦に形成すると共に、両歯車5、6の他側面5H、6Hが摺接する他摺接面4Bに吸入ポート10と吐出ポート12とを開口した。このため、吸入ポート10と吐出ポート12とを開口したポンプハウジング4の他摺接面4Bには両歯車5、6の平坦に形成した他側面5H、6Hが摺接するから、吸入ポート10と吐出ポート12が両歯車5、6の一側面5B、6Bに窪み形成した凹部5C、6Cに露呈することなくでき、吐出ポート12から吸入ポート10への漏れをより低減できて容積効率の低下を一層抑制できる。、
【0026】
また、両歯車5、6を合成樹脂製とした。このため、両歯車5、6をより一層の軽量化を図ることができる。
【0027】
また、吐出域空間Pに位置する凹部5C、6Cは吐出ポート12の圧力より若干低い中間圧力となり、吸入域空間Sに位置する凹部5C、6Cは吸入ポート10の圧力より若干高い中間圧力となる。このため、両歯車5、6には、吐出域空間Pに位置する凹部5C、6Cの圧力と吐出ポート12の圧力とが軸方向に対向作用すると共に、吸入域空間Sに位置する凹部5C、6Cの圧力と吸入ポート10の圧力とが軸方向に対向作用するから、両歯車5、6を軸方向へ良好に略圧力平衡することができる。
【0028】
図3は本発明の他実施形態を示し、一実施形態と同一個所については同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
内歯歯車5の凹部5Cに形成した梁14は、周方向へ等間隔に8個を設け、内周薄肉部5Eにおける内歯5Aの各歯底部と外周薄肉部5Dとの間を接続し、凹部5Cを周方向へ8個に分割している。外歯歯車6の凹部6Cに形成した梁15は、周方向へ等間隔に7個を設け、ボス部6Eと外周薄肉部6Dにおける外歯6Aの各歯底部との間を接続し、凹部6Cを周方向へ7個に分割している。外歯歯車6を回転駆動する駆動軸16は、先端部の縦断面を略二面幅形状にしている。駆動軸16を嵌合する貫通孔17は、縦断面で略二面幅形状にしている。
【0029】
作動は、一実施形態と略同様に、駆動軸16で外歯歯車6を回転駆動し、液体を吸入ポート10から吸入して吐出ポート12より吐出する。
【0030】
このとき、吐出域空間Pに位置する凹部5C、6Cは吐出ポート12の圧力より若干低い中間圧力となる。また、吸入域空間Sに位置する凹部5C、6Cは吸入ポート10の圧力より若干高い中間圧力となる。このため、両歯車5、6には、吐出域空間Pに位置する凹部5C、6Cの圧力と吐出ポート12の圧力とが軸方向に対向作用すると共に、吸入域空間Sに位置する凹部5C、6Cの圧力と吸入ポート10の圧力とが軸方向に対向作用するから、両歯車5、6を軸方向へ良好に略圧力平衡することができる。
【0031】
かかる作動において、凹部5C、6Cには周方向へ間隙を有して複数個の梁14、15を形成し、各梁14、15は環状の凹部5C、6Cを周方向へ分割した。このため、両歯車5、6には吐出ポート12と吸入ポート10との間で複数個の梁14、15が有るから、吐出ポート12から吸入ポート10に漏れる液体は複数個の梁14、15て吸入ポート10への漏れを抑制でき、吐出ポート12から吸入ポート10への漏れを低減できて容積効率の低下を抑制できる。そして、両歯車5、6は凹部5C、6Cを形成して軽量化を図ることができる。また、両歯車5、6は凹部5C、6Cに複数個の梁14、15を形成したから、強度を向上することができる。
【0032】
また、一実施形態と略同様に、両歯車5、6の平坦に形成した他側面5H、6H(
図2に図示)が摺接するポンプハウジング4の他摺接面4B(
図2に図示)に吸入ポート10と吐出ポート12とを開口した。このため、吸入ポート10と吐出ポート12が両歯車5、6の一側面5B、6B(
図2に図示)に窪み形成した凹部5C、6Cに露呈することなくでき、吐出ポート12から吸入ポート10への漏れをより低減できて容積効率の低下を一層抑制できる。、また、両歯車5、6を合成樹脂製としたため、両歯車5、6をより一層の軽量化を図ることができる。
【0033】
なお、前述の各実施形態では、梁5G、6Gを内歯5A、外歯6Aの各歯先部に接続したり、梁14、15を内歯5A、外歯6Aの各歯底部に接続したりしたが、梁を内歯、外歯の各歯先部と各歯底部の両方に接続してもよい。また、ポンプハウジング4をポンプ本体1と蓋部材3とで構成したが、ポンプハウジングを両歯車を収容する収容孔を貫通形成する第1部材と第1部材の一方側に取付けて両歯車の一側面が摺接する第2部材と第1部材の他方側に取付けて両歯車の他側面が摺接する第3部材との3つの部材で構成してもよい。また、外歯歯車6を回転駆動する駆動軸8、16を嵌合する貫通孔7、17は縦断面で略D字形状や略二面幅形状に形成したが、貫通孔を縦断面でスプライン形状に形成してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
2:収容孔
4:ポンプハウジング
4A:一摺接面
4B:他摺接面
5:内歯歯車
5A:内歯
5B、6B:一側面
5C、6C:凹部
5G、6G、14、15:梁
5H、6H:他側面
6:外歯歯車
6A:外歯
10:吸入ポート
12:吐出ポート
S:吸入域空間
P:吐出域空間
T:ポンプ室