(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095092
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L57/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208216
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000151597
【氏名又は名称】株式会社東郷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】木戸 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】細川 昇平
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA03
3H024AB02
3H024CA03
(57)【要約】
【課題】コンパクトに設けられかつコネクタを保護できるプロテクタが従来必要とされている。
【解決手段】プロテクタ30は、コネクタ20のチューブ接続部23の外周に嵌め込まれたチューブ11とコネクタ20との接続箇所を保護する。プロテクタ30は、チューブ11を覆う筒状のプロテクタ本体31を有する。プロテクタ本体31は、コネクタ20のチューブ接続部23を覆いかつチューブ接続部23よりも強度が強い第1領域P1と、チューブ接続部23を覆わずかつチューブ接続部23よりも強度が強い第2領域P2を有する。プロテクタ本体31は、第2領域P2内に位置しかつチューブ接続部23よりも強度が弱いV字溝36を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの接続部外周に嵌め込まれた配管と前記コネクタとの接続箇所を保護するプロテクタであって、
前記配管を覆う筒状のプロテクタ本体を有し、
前記プロテクタ本体は、前記コネクタの前記接続部を覆いかつ前記接続部よりも強度が強い第1領域と、前記接続部を覆わずかつ前記接続部よりも強度が強い第2領域と、前記第2領域内に位置しかつ前記接続部よりも強度が弱い脆弱部を有するプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記脆弱部は、前記第2領域よりも厚さが薄いプロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロテクタであって、
前記脆弱部は、前記プロテクタ本体の周方向全周に設けられるプロテクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプロテクタであって、
前記脆弱部は、前記プロテクタ本体の内周側に形成される溝を有するプロテクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプロテクタであって、
前記溝は、断面V字形状であるプロテクタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記プロテクタ本体は、前記接続部の周方向に分割されかつ相互に係合可能な第1カバーと第2カバーを有するプロテクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロテクタであって、
前記第1カバーは、周方向端部に嵌合爪を有し、
前記嵌合爪は、前記周方向端部において接線方向に延びる基部と、前記基部の先端において前記第1カバーの径方向に鉤状に張出した鉤爪を有し、
前記第2カバーは、前記嵌合爪と係合可能な嵌合開口部を有し、
前記嵌合開口部は、前記嵌合爪が進入可能な貫通孔と、前記貫通孔を形成するループ状でありかつ前記鉤爪が前記貫通孔に進入する際に弾性的に変形可能である嵌合枠を有するプロテクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプロテクタであって、
前記第2カバーは、周方向端部に前記嵌合爪を有し、
前記第1カバーは、前記第2カバーが具備する前記嵌合爪と係合可能な前記嵌合開口部を有するプロテクタ。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記第1カバーと前記第2カバーは、同じ形状であるプロテクタ。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記第1カバーと前記第2カバーは、周方向に延びる前記脆弱部をそれぞれ有し、
前記第1カバーと前記第2カバーは、相互に係合することで円筒形状を形成し、
前記第1カバーが具備する前記脆弱部と前記第2カバーが具備する前記脆弱部は、相互に連なることで円環形状を形成するプロテクタ。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
前記プロテクタ本体は、一部材であるプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパイプやチューブ等の配管と、配管を接続するためのコネクタを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプロテクタを具備する配管接続構造として、例えば特許文献1に記載されたものがある。配管接続構造は、例えば車両に配設される配管と、配管同士を接続するコネクタと、コネクタを覆って保護するプロテクタを有する。配管は、例えば金属製のパイプ、樹脂製やゴム製のチューブ、ホース等である。一つの配管(例えばパイプ)の端部をコネクタに差し込んで接続する。さらに他の配管(例えばチューブ)の端部をコネクタの接続部の外周に嵌め込む。これによりパイプとチューブが連通し、例えば燃料、水、気体等を、配管接続構造を介して送ることができる。
【0003】
コネクタは、製品の組付け作業時、製品の運搬時、または製品の使用時等において、配管が引っ張られる等の理由によって衝撃を受ける場合がある。プロテクタは、コネクタを衝撃から保護するために、コネクタの周囲を覆いかつコネクタの別部材で設けられる。プロテクタには、コネクタよりも高い強度が求められる。そのためプロテクタは、高い剛性の材料で設けられ、しかも厚肉に形成される。そのためプロテクタが大型になり易い。これにより配管やプロテクタを限られたスペース内に収めて配置することが難しい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述するようにプロテクタの大型化の防止が従来望まれていた。一方、コネクタと配管が衝撃によって破損しないように好適に保護できるプロテクタについても従来から望まれていた。そこでコンパクトに設けられかつコネクタを保護できるプロテクタが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴は、コネクタの接続部外周に嵌め込まれた配管とコネクタとの接続箇所を保護するプロテクタに関する。プロテクタは、配管を覆う筒状のプロテクタ本体を有する。プロテクタ本体は、コネクタの接続部を覆いかつ接続部よりも強度が強い第1領域と、接続部を覆わずかつ接続部よりも強度が強い第2領域を有する。プロテクタ本体は、第2領域内に位置しかつ接続部よりも強度が弱い脆弱部を有する。
【0007】
したがってプロテクタが強い衝撃を受ける際に、第1領域、第2領域、またはコネクタの接続部よりも先に強度が弱い脆弱部が破壊される。脆弱部が破壊される際に衝撃が吸収される。そのため第1領域、第2領域、またはコネクタの接続部が衝撃によって変形、破損することを防止できる。そのためプロテクタを従来のように強度が強い大型に設ける必要がない。これによりプロテクタをコンパクトに設けることができる。また、脆弱部が先に破壊されて衝撃を吸収するため、プロテクタを必要以上に剛性の高い材料で設ける必要がない。そのためプロテクタの製造コストが高くなることを抑制できる。
【0008】
本開示の他の特徴によると脆弱部は、第2領域よりも厚さが薄い。したがって第2領域の厚さに基づいて脆弱部の厚さを薄く設定できる。そのため脆弱部の強度の設定が容易になる。これにより、例えば所定の強さの衝撃で脆弱部が破壊されるように脆弱部の厚さを設定できる。そのためコネクタの接続部が衝撃によって受けるダメージが最小限になるように脆弱部を設けることができる。
【0009】
本開示の他の特徴によると脆弱部は、プロテクタ本体の周方向全周に設けられる。したがって衝撃を受ける方向によらず、脆弱部が同じ態様で破壊される。そのため様々な方向からの衝撃が脆弱部の破壊によって同じ態様で吸収される。これによりコネクタの接続部を様々な方向の衝撃から好適に保護できる。
【0010】
本開示の他の特徴によると脆弱部は、プロテクタ本体の内周側に形成される溝を有する。したがって脆弱部が破壊される際に、プロテクタ本体の内周側から外周側に向けて溝に沿って亀裂が入る。そのため折れた脆弱部のエッジは、プロテクタ本体の外周側に位置する。これによりエッジが配管を傷つけることを防止できる。
【0011】
本開示の他の特徴によると溝は、断面V字形状である。したがって脆弱部は、溝の深さ方向に沿ってV字形状の谷部分に亀裂が入り易い構造である。そのため脆弱部が破壊される位置のばらつきを抑制できる。これによりコネクタの接続部が衝撃によって受けるダメージが最小限になるように、脆弱部を好適に破壊させることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によるとプロテクタ本体は、接続部の周方向に分割されかつ相互に係合可能な第1カバーと第2カバーを有する。したがってコネクタの接続部を第1カバーと第2カバーで両側から挟み込むことでプロテクタを組付けることができる。そのためプロテクタの組付け作業が容易になる。また、第1カバーと第2カバーは、例えば金型成形で設けられる。そのため脆弱部を形成する際に、材料を切削する等の作業が増えることを抑制できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると第1カバーは、周方向端部に嵌合爪を有する。嵌合爪は、周方向端部において接線方向に延びる基部と、基部の先端において第1カバーの径方向に鉤状に張出した鉤爪を有する。第2カバーは、嵌合爪と係合可能な嵌合開口部を有する。嵌合開口部は、嵌合爪が進入可能な貫通孔と、貫通孔を形成するループ状でありかつ鉤爪が貫通孔に進入する際に弾性的に変形可能である嵌合枠を有する。
【0014】
したがって嵌合爪が貫通孔に進入した後の鉤爪と嵌合枠は、基部の延出方向(プロテクタ本体の接線方向)に相互に当接する。一方、嵌合枠が弾性的に変形する方向は、プロテクタ本体の径方向である。そのため、例えば嵌合爪が貫通孔から引き抜かれる方向に力を受ける場合に、嵌合枠が力によって弾性変形し難い。これにより鉤爪が貫通孔から抜けることを好適に防止できる。そのためプロテクタが衝撃を受ける際に、嵌合爪と嵌合開口部が分離することを防止できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると第2カバーは、周方向端部に嵌合爪を有する。第1カバーは、第2カバーが具備する嵌合爪と係合可能な嵌合開口部を有する。したがって第1カバーと第2カバーを係合状態を強固にすることができる。そのためプロテクタが衝撃を受ける際に、第1カバーと第2カバーが分離することを抑制できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると第1カバーと第2カバーは、同じ形状である。したがって同じ金型を用いて第1カバーと第2カバーを形成できる。そのため製作コストを抑えることができる。
【0017】
本開示の他の特徴によると第1カバーと第2カバーは、周方向に延びる脆弱部をそれぞれ有する。第1カバーと第2カバーは、相互に係合することで円筒形状を形成する。第1カバーが具備する脆弱部と第2カバーが具備する脆弱部は、相互に連なることで円環形状を形成する。したがって円筒形状のプロテクタ本体と円環形状の脆弱部は、周方向において方向性を有さず、もしくは方向性が小さい。そのため様々な方向からの衝撃に対して脆弱部が同じ態様で破壊される。これにより様々な方向の衝撃が同じ態様で吸収される。そのためコネクタの接続部を様々な方向の衝撃から好適に保護できる。
【0018】
本開示の他の特徴によるとプロテクタ本体は、一部材である。したがってプロテクタ本体の第1の領域と第2の領域について材料を変えることなく強度を強くできる。そのため強度が弱い脆弱部と、第1の領域および第2の領域との強度の差が明確に出るように設定できる。これにより衝撃によって先ず脆弱部が破壊されるようにプロテクタの構造を設定できる。かくしてコネクタの接続部を衝撃から好適に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係るプロテクタをコネクタに装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】チューブとパイプを接続する前の配管接続構造を示す斜視図である。
【
図3】半割のプロテクタ本体を内周側から見た斜視図である。
【
図4】半割のプロテクタ本体を外周側から見た斜視図である。
【
図5】半割のプロテクタ本体の内周側を示す平面図である。
【
図6】プロテクタを装着する前の配管接続構造を示す側面図である。
【
図7】プロテクタを装着する前の配管接続構造を示す正面図である。
【
図8】コネクタと、コネクタに装着したプロテクタの部分断面を示す側面図である。
【
図9】プロテクタを装着した状態の配管接続構造を示す正面図である。
【
図10】第2実施形態に係る配管接続構造を示す部分断面を含んだ側面図である。
【
図11】第3実施形態に係る配管接続構造を示す部分断面を含んだ側面図である。
【
図12】第4実施形態に係る配管接続構造を示す側面図である。
【
図13】第5実施形態に係る配管接続構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示に係る第1実施形態を
図1~9に基づいて説明する。本実施形態では、例えば自動車等の車両の燃料タンクに設けられたパイプと、燃料配管系のチューブを接続するコネクタを保護するプロテクタについて例示する。
図1に示すように配管接続構造1は、パイプ10とチューブ11と、両配管を相互に接続するコネクタ20と、コネクタ20を覆うプロテクタ30を有する。コネクタ20を介してパイプ10とチューブ11が流体的に接続されることで、例えば燃料、水、気体等の流体を送ることができる。以下の説明においてパイプ10が位置する側を前方、チューブ11が位置する側を後方と規定するが、これは流体の流れる方向や各構成の配置方向を特定するものではない。
【0021】
図2に示すようにパイプ10は、例えば金属製であり、パイプ本体10aとバルジ部10bを有する。パイプ本体10aは、円筒形状に形成されている。バルジ部10bは、パイプ本体10aの先端から所定の間隔を隔てた位置のパイプ本体10aの外周に設けられている。バルジ部10bは、周方向全周にわたって径方向に張出したフランジ状に形成されている。なおパイプ10は、樹脂製であってもよい。チューブ11は、例えば樹脂製でありかつ弾性を有する単一チューブである。なおチューブ11は、例えば内チューブ部材とゴム製の外チューブ部材からなる二重チューブ、もしくは三重以上の多重チューブでもよい。
【0022】
図2に示すようにコネクタ20は、コネクタ本体21とリテーナ26を有する。コネクタ本体21は、例えば樹脂製であり、前側にパイプ接続部22を有し、後側にチューブ接続部23を有する。パイプ接続部22は、パイプ本体10aの外径よりもわずかに大きい内径を有する筒形状である。パイプ接続部22の内周には不図示のOリングが内装されている。Oリングは、パイプ接続部22に挿入されたパイプ本体10aの外周面と密着する。これによりパイプ接続部22に挿入されたパイプ10から流体が漏れることが防止される。
【0023】
図2に示すようにパイプ接続部22の外周には、パイプ10が挿入される前後方向と直交する方向(上下方向)に直線状に延出する凹溝22aが設けられている。凹溝22aの底面は、上下方向および前後方向に延出する仮想平面と平行な平面状に形成されている。凹溝22aの底面は、例えば製品番号等を刻印可能な個所として設けられている。
【0024】
図1に示すようにパイプ接続部22の前部には、外形が略矩形箱形であるリテーナ装着部25が設けられている。リテーナ装着部25の中央部分は、バルジ部10bの最大径部分よりもわずかに大きい内径の中空部に設けられている。リテーナ装着部25は、パイプ10が挿入される方向と直交する方向(
図1において上下方向)に延出する板状の案内片25aを有する。
【0025】
図1に示すようにリテーナ26は、例えば弾性を有する樹脂製であって、前後方向から見て略C字形状に形成されている。リテーナ26の外周面(上面、左右側面)は、リテーナ装着部25の外周面に倣う略矩形箱形である。リテーナ26の内周側には、パイプ本体10aの外径よりわずかに大きくかつバルジ部10bの最大径部分よりも小さい内径の略円形の内周面が設けられている。リテーナ26の外周面には、案内片25aが進入可能に上下方向に延出する案内溝26aが設けられている。案内片25aと案内溝26aが係合することにより、リテーナ26がリテーナ装着部25に対して上下方向に変位可能である。
【0026】
図1に示すリテーナ26の位置は、リテーナ装着部25に対して上方に変位している仮係止位置である。リテーナ26の本係止位置は、リテーナ26の外周面がリテーナ装着部25の外周面に倣うようにリテーナ26が仮係止位置よりも下方に変位した位置である。リテーナ26は、パイプ10がパイプ接続部22に挿入されていない使用前の状態においては仮係止位置で保持されている。リテーナ26は、パイプ10がパイプ接続部22の正規深さまで挿入された状態で、仮係止位置から本係止位置に変位できる。リテーナ26の先端には、径方向に弾性的に変位可能でありかつリテーナ装着部25の所定箇所と嵌合可能な係止爪が設けられている。リテーナ26が本係止位置に変位した際に、係止爪がリテーナ装着部25と嵌合する。これによりリテーナ26は、本係止位置に位置保持される。リテーナ26の内周部後面は、リテーナ26が本係止位置に位置する場合、バルジ部10bの前面と当接する。これによりバルジ部10bは、パイプ接続部22に対して後方へ移動することが防止される。これによりパイプ10は、パイプ接続部22に対して正規の挿入深さで位置決めされかつ抜け止めされる。
【0027】
図6に示すようにリテーナ装着部25の前部には、チェッカー27が設けられている。チェッカー27は、例えば樹脂製であって、前後方向から見て略C字形状に形成されている。チェッカー27は、リテーナ26が仮係止位置に保持されている使用前の状態では、リテーナ装着部25から抜いて外すことができない。チェッカー27は、パイプ10がパイプ接続部22の正規の深さまで挿入されかつリテーナ26が本係止位置まで移動した状態で、リテーナ装着部25から抜いて外すことができる。チェッカー27を利用して、パイプ10がパイプ接続部22に対して抜けないように接続されているか否かの正否を確認できる。なお、
図1,2ではチェッカーを図示省略している。
【0028】
図2,6に示すようにチューブ接続部23は、いわゆるファーツリー形状に形成されている。すなわちチューブ接続部23には、周方向全周にわたって径方向に張出したフランジ形状が形成されており、しかもフランジ形状が軸方向に複数個並んでいる。フランジ形状は、径方向に張出した断面略直角三角形であり、前方領域が後方領域よりも張出している。チューブ11の先端領域の拡径部11aは、チューブ接続部23に接続する際に弾性的に拡径される。拡径部11aは、チューブ接続部23の外周を覆うように嵌め込まれる。拡径部11aは、チューブ接続部23の複数のフランジ形状と引掛かる。これにより拡径部11aは、チューブ接続部23から抜け止めされる。なお、拡径部11aの後方領域の拡径されていないチューブ11については非拡径部11bと称する。
【0029】
図1,6,7に示すようにプロテクタ30は、略円筒形状のプロテクタ本体31を有する。プロテクタ本体31は、例えば樹脂製でありかつチューブ接続部23よりも強度が強い材料で設けられている。プロテクタ本体31は、第1カバー31aと第2カバー31bの2部品で構成される。第1カバー31aと第2カバー31bは、相互に同じ形状であり円筒を直径で半割した半円筒形状である。第1カバー31aを前後方向に延びる軸中心に180°回転させると第2カバー31bと同形状かつ同じ姿勢になる。第1カバー31aと第2カバー31bは、互いの内周側を対向させた姿勢で嵌合させて略円筒形状に組付けることができる。以下の説明においてはチューブ接続部23に対して第1カバー31aが装着される側を上側、第2カバー31bが装着される側を下側とする。また、第1カバー31aと第2カバー31bで共通する構成を説明する際には、第1カバー31aと第2カバー31bそれぞれを半円筒形状のプロテクタ本体31として説明する。
【0030】
図3,6,7に示すようにプロテクタ本体31は、周方向端部の外周面側に嵌合爪32と嵌合開口部33を有する。第1カバー31aは、第2カバー31bが具備する嵌合爪32と対向する位置に嵌合開口部33を有する。また、第1カバー31aは、第2カバー31bが具備する嵌合開口部33と対向する位置に嵌合爪32を有する。具体的には、第1カバー31aの右側の周方向端部には、前方から後方に向けて略等間隔に嵌合爪32、嵌合開口部33、嵌合開口部33、嵌合爪32が順に並んで設けられている。第2カバー31bの右側の周方向端部には、前方から後方に向けて略等間隔に嵌合開口部33、嵌合爪32、嵌合爪32、嵌合開口部33が順に並んで設けられている。第1カバー31aと第2カバー31bそれぞれの左側の周方向端部には、右側の周方向端部に設けられた嵌合爪32と同じ前後位置に嵌合開口部33が設けられている。第1カバー31aと第2カバー31bそれぞれの左側の周方向端部には、右側の周方向端部に設けられた嵌合開口部33と同じ前後位置に嵌合爪32が設けられている。
【0031】
図4~7に示すように嵌合爪32は、プロテクタ本体31から延出する矩形平板状の基部32aと、基部32aの先端に設けられた鉤爪32bを有する。基部32aは、プロテクタ本体31の周方向端部における接線方向に延出する。基部32aは、前後方向が長手方向でありかつプロテクタ本体31の径方向が板厚方向である。鉤爪32bは、基部32aの前後方向の略中央に設けられている。鉤爪32bは、基部32aからプロテクタ本体31の径方向外方に張出している。鉤爪32bは、前後方向から見て略直角三角形である。鉤爪32bは、基部32aの基端側が基部32aの先端側よりも張出している。
【0032】
図4,5,9に示すように嵌合開口部33は、プロテクタ本体31の周方向端部から接線方向に延出する嵌合枠33aと、嵌合枠33aを貫通する貫通孔33bを有する。嵌合枠33aは、前後方向を長手方向としかつプロテクタ本体31の径方向に薄い略矩形箱形である。貫通孔33bは、嵌合枠33aをプロテクタ本体31の周方向端部における接線方向(上下方向)に貫通する。貫通孔33bは、基部32aが進入可能な前後方向長さおよびプロテクタ本体31の径方向(左右方向)の幅を有する断面略矩形である。貫通孔33bの左右方向の幅は、基部32aの左右方向の厚みと同じもしくはわずかに大きい。貫通孔33bは、前後方向に対向する位置に設けられた嵌合爪32の基部32aと前後位置が揃うように設けられている。上記構成により嵌合枠33aは、貫通孔33bを囲む前後方向に延びたループ形状である。
【0033】
図4,9に示すように貫通孔33bには、嵌合枠33aの先端側かつ前後方向の略中央において左右方向の幅が拡がった拡幅部33cが設けられている。拡幅部33cは、前後方向に対向する位置に設けられた嵌合爪32の鉤爪32bと前後位置が揃うように設けられ、鉤爪32bと嵌合可能である。
【0034】
図9に示すように嵌合爪32を嵌合開口部33の貫通孔33bに挿入する際、鉤爪32bは、貫通孔33bに進入できるように貫通孔33bを拡げようとする。嵌合枠33aの外周側領域は、プロテクタ本体31の径方向において薄い。そのため嵌合枠33aの外周側領域は、鉤爪32bに押しのけられて径方向外方へ弾性的に変形する。さらに嵌合爪32を貫通孔33bに進入させると、第1カバー31aと第2カバー31bの周方向端部が互いに当接する。この際に鉤爪32bは、拡幅部33cに進入して拡幅部33cと嵌合する。鉤爪32bが拡幅部33cと嵌合することで、弾性変形していた嵌合枠33aの外周側領域が元に戻る。
【0035】
嵌合爪32を貫通孔33bから引き抜こうとする場合、鉤爪32bと拡幅部33cは、プロテクタ本体31の接線方向(上下方向)に相互に力を受ける。この力の方向は、嵌合枠33aの厚み方向であるプロテクタ本体31の径方向と略直交する。そのため嵌合枠33aは、嵌合爪32を貫通孔33bから引き抜く力では弾性変形し難い。かくして鉤爪32bを拡幅部33cと嵌合させると、嵌合爪32が貫通孔33bから抜けないように保持される。
【0036】
図7~9に示すようにプロテクタ本体31の内周面34は、前後方向から見て円弧状の円筒内周面に形成されている。内周面34の後部には、径方向内方に向けて断面円弧形状で張出した内周張出部35が設けられている。内周張出部35は、第1カバー31aと第2カバー31bが相互に嵌合することで、内周面34の周方向全周にわたって円環状に延出する。内周張出部35は、チューブ11の非拡径部11bの外径と略同じ内径を有する。内周張出部35は、非拡径部11bと密接に当接可能であり、チューブ11を円筒形状のプロテクタ本体31の中央位置に保持させることができる。
【0037】
図5,8に示すように内周面34には、径方向外方に溝深さを有するV字溝36が設けられている。V字溝36は、プロテクタ本体31の径方向外方に向かうにしたがって前後方向の溝幅が小さくなる断面V字形状である。V字溝36は、プロテクタ本体31をチューブ接続部23の周囲に装着した際に、チューブ接続部23の先端(後端)23aよりもわずかに後方に位置するように配置されている。また、V字溝36は、前後方向に横並びする2つの嵌合爪32(または嵌合開口部33)の中間位置に配置されている。換言するとV字溝36は、チューブ接続部23を周方向に覆う第1領域P1よりも後方であって、チューブ接続部23を覆わない第2領域P2に設けられている。V字溝36は、第1カバー31aと第2カバー31bが相互に嵌合することで、プロテクタ本体31の周方向全周にわたって円環状に延出する。
【0038】
図8に示すようにV字溝36が設けられたプロテクタ本体31の領域は、プロテクタ本体31の他の領域よりも径方向の厚みが薄くなる。プロテクタ本体31は、全体が同じ材料で形成されている。そのためV字溝36が設けられた領域は、プロテクタ本体31の他の領域よりも強度が弱い。V字溝36が設けられた領域は、本願における脆弱部に相当する。V字溝36の溝深さおよび幅は、V字溝36が設けられた領域の強度がチューブ接続部23のいずれの部分よりも弱くなるように設定される。
【0039】
本開示において脆弱部は、V字溝36に限らず、プロテクタ本体31の他の領域およびチューブ接続部23のいずれの部分よりも強度が弱い構造を指す。そのため脆弱部は、例えばU字溝や、プロテクタ本体31の周方向全周ではなく部分的に設けられた切欠き部あるいは貫通孔であっても良い。あるいは脆弱部は、例えばプロテクタ本体31よりも剛性の弱い材料で設けられた環状部や、プロテクタ本体31を前後方向に接着する接着部あるいは所定強度で分離可能に係合する係合部等であっても良い。
【0040】
図3~6に示すように内周面34の前部には、径方向内方に張出した係合リブ37が設けられている。係合リブ37は、第1カバー31aと第2カバー31bにおいて相互に同じ前後位置に設けられている。第1カバー31aと第2カバー31bに設けられた係合リブ37は、相互に周方向に繋がって一つの略矩形柱状のリブを形成する。係合リブ37は、プロテクタ本体31をチューブ接続部23の周囲に装着した際にパイプ接続部22の凹溝22aと係合可能である。これにより第1カバー31aと第2カバー31bは、パイプ接続部22に対して前後方向に移動不能に位置決めされる。さらに第1カバー31aと第2カバー31bは、係合リブ37と凹溝22aの係合によって周方向の回転が規制される。
【0041】
図8を参照して、例えばチューブ11が上下の方向に引張られることにより配管接続構造1がチューブ接続部23の径方向に沿った衝撃を受ける場合を考える。衝撃は、配管接続構造1のうち特に強度が弱くて塑性変形し易い箇所に集中する。本願においては脆弱部に相当するV字溝36に衝撃が集中する。V字溝36の周囲の脆弱部は、衝撃によって瞬間的に破壊される。脆弱部は、破壊されることで瞬間的な衝撃に対するクッションとして機能する。これによりチューブ接続部23、チューブ11、プロテクタ本体31の他の領域等は、衝撃によるダメージから保護される。しかもV字溝36は、谷部分から径方向外方に向けて亀裂が入るように破壊される。そのため破壊によってV字溝36に形成されるエッジは、チューブ接続部23およびチューブ11から離れた径方向外周側に形成される。これによりチューブ接続部23とチューブ11は、V字溝36のエッジによって傷つけられないように保護される。
【0042】
上述するようにプロテクタ30は、
図8に示すようにコネクタ20のチューブ接続部23の外周に嵌め込まれたチューブ11とコネクタ20との接続箇所を保護する。プロテクタ30は、チューブ11を覆う筒状のプロテクタ本体31を有する。プロテクタ本体31は、コネクタ20のチューブ接続部23を覆いかつチューブ接続部23よりも強度が強い第1領域P1と、チューブ接続部23を覆わずかつチューブ接続部23よりも強度が強い第2領域P2を有する。プロテクタ本体31は、第2領域P2内に位置しかつチューブ接続部23よりも強度が弱いV字溝36を有する。
【0043】
したがってプロテクタ30が強い衝撃を受ける際に、第1領域P1、第2領域P2、またはコネクタ20のチューブ接続部23よりも先に強度が弱いV字溝36が破壊される。V字溝36が破壊される際に衝撃が吸収される。そのため第1領域P1、第2領域P2、またはコネクタ20のチューブ接続部23が衝撃によって変形、破損することを防止できる。そのためプロテクタ30を従来のように強度が強い大型に設ける必要がない。これによりプロテクタ30をコンパクトに設けることができる。また、V字溝36が先に破壊されて衝撃を吸収するため、プロテクタ30を必要以上に剛性の高い材料で設ける必要がない。そのためプロテクタ30の製造コストが高くなることを抑制できる。
【0044】
図8に示すようにV字溝36が設けられた脆弱部は、プロテクタ本体31の第2領域P2における脆弱部以外の部分よりも厚さが薄い。したがって第2領域P2の厚さに基づいてV字溝36の深さを設定できる。そのためV字溝36の周囲の強度の設定が容易になる。これにより、例えば所定の強さの衝撃でV字溝36が破壊されるようにV字溝36の深さを設定できる。そのためコネクタ20のチューブ接続部23が衝撃によって受けるダメージが最小限になるようにV字溝36を設けることができる。
【0045】
図6,8に示すようにV字溝36は、プロテクタ本体31の周方向全周に設けられる。したがって衝撃を受ける方向によらず、V字溝36が同じ態様で破壊される。そのため様々な方向からの衝撃がV字溝36の破壊によって同じ態様で吸収される。これによりコネクタ20のチューブ接続部23を様々な方向の衝撃から好適に保護できる。
【0046】
図8に示すように脆弱部は、プロテクタ本体31の内周側に形成されるV字溝36を有する。したがってV字溝36が破壊される際に、プロテクタ本体31の内周側から外周側に向けてV字溝36に沿って亀裂が入る。そのため折れたV字溝36のエッジは、プロテクタ本体31の外周側に位置する。これによりエッジがチューブ接続部23やチューブ11を傷つけることを防止できる。
【0047】
図8に示すようにV字溝36は、断面V字形状である。したがってV字溝36は、溝深さ方向に沿ってV字形状の谷部分に亀裂が入り易い構造である。そのためV字溝36が破壊される位置のばらつきを抑制できる。これによりコネクタ20のチューブ接続部23が衝撃によって受けるダメージが最小限になるように、V字溝36を好適に破壊させることができる。
【0048】
図6,7に示すようにプロテクタ本体31は、チューブ接続部23の周方向に分割されかつ相互に係合可能な第1カバー31aと第2カバー31bを有する。したがってコネクタ20のチューブ接続部23を第1カバー31aと第2カバー31bで両側から挟み込むことでプロテクタ30を組付けることができる。そのためプロテクタ30の組付け作業が容易になる。また、第1カバー31aと第2カバー31bは、例えば金型成形で設けられる。そのためV字溝36を形成する際に、材料を切削する等の作業が増えることを抑制できる。
【0049】
図3~6に示すように第1カバー31aと第2カバー31bは、周方向端部に嵌合爪32を有する。嵌合爪32は、周方向端部において接線方向に延びる基部32aと、基部32aの先端において第1カバー31aの径方向に鉤状に張出した鉤爪32bを有する。第1カバー31aと第2カバー31bは、嵌合爪32と係合可能な嵌合開口部33を有する。嵌合開口部33は、嵌合爪32が進入可能な貫通孔33bと、貫通孔33bを形成するループ状でありかつ鉤爪32bが貫通孔33bに進入する際に弾性的に変形可能である嵌合枠33aを有する。
【0050】
したがって嵌合爪32が貫通孔33bに進入した後の鉤爪32bと嵌合枠33aは、基部32aの延出方向(プロテクタ本体31の接線方向)に相互に当接する。一方、嵌合枠33aが弾性的に変形する方向は、プロテクタ本体31の径方向である。そのため、例えば嵌合爪32が貫通孔33bから引き抜かれる方向に力を受ける場合に、嵌合枠33aが力によって弾性変形し難い。これにより鉤爪32bが貫通孔33bから抜けることを好適に防止できる。そのためプロテクタ30が衝撃を受ける際に、嵌合爪32と嵌合開口部33が分離することを防止できる。さらに第1カバー31aと第2カバー31bの係合状態を強固にして、プロテクタ30が衝撃を受ける際に分離することを抑制できる。
【0051】
図6,7に示すように第1カバー31aと第2カバー31bは、同じ形状である。したがって同じ金型を用いて第1カバー31aと第2カバー31bを形成できる。そのため製作コストを抑えることができる。
【0052】
図8,9に示すように第1カバー31aと第2カバー31bは、周方向に延びるV字溝36をそれぞれ有する。第1カバー31aと第2カバー31bは、相互に係合することで円筒形状を形成する。第1カバー31aが具備するV字溝36と第2カバー31bが具備するV字溝36は、相互に連なることで円環形状を形成する。したがって円筒形状のプロテクタ本体31と円環形状のV字溝36は、周方向において方向性を有さず、もしくは方向性が小さい。そのため様々な方向からの衝撃に対してV字溝36が同じ態様で破壊される。これにより様々な方向の衝撃が同じ態様で吸収される。そのためコネクタ20のチューブ接続部23を様々な方向の衝撃から好適に保護できる。
【0053】
次に本開示に係る第2実施形態を
図10に基づいて説明する。
図10に示す配管接続構造40は、
図8に示す配管接続構造1のコネクタ20とプロテクタ30に代えて、コネクタ41とプロテクタ50を有する。プロテクタ50は、例えば樹脂製でありかつチューブ接続部23よりも強度が強い材料で形成されたプロテクタ本体51を有する。プロテクタ本体51は、同形状の第1カバーと第2カバーで構成される半割構造である。
図10においては紙面奥側のプロテクタ本体(第1カバー)51のみが記載されており、紙面手前側のプロテクタ本体(第2カバー)51は図示省略されている。以下の説明において、上下方向については図に示した向きを基に規定し、左右方向については紙面奥方向を左方、紙面手前方向を右方とする。以下の説明においては、上述した第1実施形態と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0054】
図10に示すようにコネクタ41は、例えば樹脂製のコネクタ本体42を有する。コネクタ本体42は、不図示のパイプを上下方向に接続可能なパイプ接続部43と、チューブ11と前後方向に接続可能なチューブ接続部23を有する。パイプ接続部43とチューブ接続部23は、L字形状のエルボ管44によって相互に流体的に接続されている。パイプ接続部43の外周には、凹溝22a(
図8参照)と同様に前後方向に直線状に延出する凹溝43aが設けられている。
【0055】
図10に示すようにプロテクタ本体51は、左右方向から見てT字形状の筒状であり、左右方向の中央で半割される。プロテクタ本体51は、周方向端部の外周面側に嵌合爪52と嵌合開口部53を有する。嵌合爪52と嵌合開口部53は、プロテクタ本体51をチューブ接続部23の軸中心に180°回転させたときに相互に対向する位置に設けられている。具体的には、プロテクタ本体51の前部において上方に延びる管部の前端に嵌合開口部53が設けられる。プロテクタ本体51の前部において下方に延びる管部の前端に嵌合爪52が設けられる。プロテクタ本体51の後部において前後方向に延びる管部の上端には、前方から後方に向けて略等間隔に嵌合開口部53、嵌合開口部53、嵌合爪52が順に並んで設けられている。同じ管部の下端には、上端の構成と対向して同じ前後位置に、前方から後方に向けて嵌合爪52、嵌合爪52、嵌合開口部53が順に並んで設けられている。
【0056】
図10に示すように嵌合爪52は、嵌合爪32(
図5,6参照)と同様の構成を有する。嵌合爪52は、左右方向に延出する矩形平板状の基部52aと、基部52aの先端に設けられた鉤爪52bを有する。鉤爪52bは、基部52aの前後方向の略中央に設けられている。鉤爪52bは、基部52aからプロテクタ本体51の径方向外方に張出している。鉤爪52bは、基部52aの基端側が基部52aの先端側よりも張出している。
【0057】
図10に示すように嵌合開口部53は、嵌合開口部33(
図5,6参照)と同様の構成を有する。嵌合開口部53は、左右方向に延出しかつ薄い略矩形箱形である嵌合枠53aと、嵌合枠53aを左右方向に貫通する貫通孔53bを有する。嵌合枠53aは、貫通孔53bを囲むループ形状である。プロテクタ本体51の径方向における貫通孔53bの幅は、基部52aの板厚と同じもしくはわずかに大きい。貫通孔53bには、嵌合枠53aの先端側かつ前後方向の略中央においてプロテクタ本体51の径方向に幅が拡がった拡幅部53cが設けられている。拡幅部53cは、鉤爪52bを進入させて鉤爪52bと嵌合可能である。
【0058】
図10に示すようにプロテクタ本体51の円弧状の内周面54の後部には、径方向内方に向けて断面円弧形状で張出した内周張出部55が設けられている。内周張出部55は、一対の半割のプロテクタ本体51を相互に組付けることで、内周面54の周方向全周にわたって円環状に延出する。内周張出部55は、チューブ11の非拡径部11bの外径と略同じ内径を有する。
【0059】
図10に示すように内周面54の前後方向の中央部には、径方向外方に溝深さを有する断面V字形状のV字溝56が設けられている。V字溝56が設けられた領域は、プロテクタ本体51の他の領域よりも強度が弱い脆弱部に相当する。V字溝56は、チューブ接続部23を周方向に覆う第1領域P1よりも後方の第2領域P2において、チューブ接続部23の先端23aよりもわずかに後方位置に設けられている。また、V字溝56は、前後方向に横並びする2つの嵌合爪52(または嵌合開口部53)の中間位置に配置されている。V字溝56は、一対の半割のプロテクタ本体51を相互に組付けることで、プロテクタ本体51の周方向全周にわたって円環状に延出する。
【0060】
図10に示すようにプロテクタ本体51の前部において上下方向に延出する管部の内周面54には、径方向内方に略矩形柱状に張出した係合リブ57が設けられている。係合リブ57は、プロテクタ本体51をチューブ接続部23の周囲に装着した際にパイプ接続部43の凹溝43aと係合可能である。これによりプロテクタ本体51は、パイプ接続部43に対して移動不能に位置決めされる。
【0061】
上述するようにプロテクタ本体51は、
図10に示すようにチューブ接続部23を覆わずかつチューブ接続部23よりも強度が強い領域に、チューブ接続部23よりも強度が弱いV字溝56を有する。したがってV字溝56の周囲は、第1実施形態のV字溝36(
図8参照)と同様に、プロテクタ本体51の他の領域またはチューブ接続部23よりも先に衝撃によって破壊される。この破壊により衝撃が吸収される。そのためプロテクタ本体51の他の領域またはチューブ接続部23が衝撃によって変形、破損することを防止できる。
【0062】
次に本開示に係る第3実施形態を
図11に基づいて説明する。
図11に示す配管接続構造60は、
図10に示す配管接続構造40のプロテクタ50に代えて、プロテクタ61を有する。プロテクタ61は、例えば樹脂製でありかつチューブ接続部23よりも強度が強い材料で形成されたプロテクタ本体62を有する。プロテクタ本体62は、プロテクタ本体51(
図10参照)と形状のみが異なる。
図11においては半割のプロテクタ本体62の片側のみが記載されている。以下の説明においては、上述した第2実施形態と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0063】
図11に示すようにプロテクタ本体62は、左右方向から見てエルボ形状の筒状であり、左右方向の中央で半割される。プロテクタ本体62は、周方向端部の外周面側に嵌合爪63と嵌合開口部64を有する。プロテクタ本体62の前端には嵌合爪63が設けられている。プロテクタ本体62の後部において前後方向に延びる管部の上端には、前方から後方に向けて略等間隔に嵌合開口部64、嵌合開口部64、嵌合爪63が順に並んで設けられている。同じ管部の下端には、上端の構成と同じ前後位置に、前方から後方に向けて嵌合爪63、嵌合爪63、嵌合開口部64が順に並んで設けられている。なお、不図示の右側のプロテクタ本体62には、左側のプロテクタ本体62の嵌合爪63と対向する位置に嵌合開口部64が設けられる。また、不図示の右側のプロテクタ本体62には、左側のプロテクタ本体62の嵌合開口部64と対向する位置に嵌合爪63が設けられている。
【0064】
図11に示すように嵌合爪63は、嵌合爪52(
図10参照)と同様の構成を有する。すなわち嵌合爪63は、左右方向に延出する矩形平板状の基部63aと、基部63aの先端中央から径方向外方に張出した鉤爪63bを有する。嵌合開口部64は、嵌合開口部53(
図10参照)と同様の構成を有する。すなわち嵌合開口部64は、左右方向に延出した嵌合枠64aと、嵌合枠64aを左右方向に貫通する貫通孔64bと、貫通孔64bの先端中央において幅が拡がった拡幅部64cを有する。貫通孔64bには基部63aが進入可能である。拡幅部64cには鉤爪63bが進入して嵌合可能である。
【0065】
図11に示すようにプロテクタ本体62の円弧状の内周面65の後部には、径方向内方に向けて張出した内周張出部66が設けられている。内周面65の前後方向の中央部には、径方向外方に溝深さを有するV字溝67が設けられている。内周張出部66とV字溝67は、内周張出部55とV字溝56(
図10参照)と同じ形状で同じ前後位置に設けられている。すなわちV字溝67は、チューブ接続部23を周方向に覆う第1領域P1よりも後方の第2領域P2において、チューブ接続部23の先端23aよりもわずかに後方位置に設けられている。また、V字溝67は、前後方向に横並びする2つの嵌合爪63(または嵌合開口部64)の中間位置に配置されている。V字溝67が設けられた領域は、プロテクタ本体62の他の領域よりも強度が弱い脆弱部に相当する。
【0066】
図11に示すように内周面65の前部には、径方向内方に向けて断面円弧形状に張出したエルボ管当接部68が設けられている。内周面65の前側壁面から後方に向けて延出する1つのエルボ管当接部68と、内周面65の上側壁面から下方に向けて延出するエルボ管当接部68が設けられている。2つのエルボ管当接部68とエルボ管44の外周面が当接することで、プロテクタ本体62に対してコネクタ41が上方または前方に移動不能に位置決めされる。
【0067】
上述するようにプロテクタ本体62は、
図11に示すようにチューブ接続部23を覆わずかつチューブ接続部23よりも強度が強い領域に、チューブ接続部23よりも強度が弱いV字溝67を有する。したがってV字溝67の周囲は、第1実施形態のV字溝36(
図8参照)と同様に、プロテクタ本体62の他の領域またはチューブ接続部23よりも先に衝撃によって破壊される。この破壊により衝撃が吸収される。そのためプロテクタ本体62の他の領域またはチューブ接続部23が衝撃によって変形、破損することを防止できる。
【0068】
次に本開示に係る第4実施形態を
図12に基づいて説明する。
図12に示す配管接続構造70は、
図8に示す配管接続構造1のコネクタ20とプロテクタ30に代えて、コネクタ71とプロテクタ80を有する。プロテクタ80は、例えば樹脂製でありかつコネクタ71が具備するチューブ接続部23よりも強度が強い材料で形成されたプロテクタ本体81を有する。以下の説明においては、上述した第1実施形態と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0069】
図12に示すようにコネクタ71は、例えば樹脂製のコネクタ本体72を有する。コネクタ本体72は、不図示のパイプを上下方向に接続可能なパイプ接続部73と、チューブ11と前後方向に接続可能なチューブ接続部23を有する。パイプ接続部73とチューブ接続部23は、相互に流体的に接続されている。パイプ接続部73の左右外周には、凹溝22a(
図8参照)と同様に前後方向に直線状に延出する凹溝73aが設けられている。パイプ接続部73の上下外周には、径方向外方に張出した張出爪73bが計2つ設けられている。
【0070】
図12に示すようにプロテクタ本体81は、一部品で構成された略円筒形状である。プロテクタ本体81の円弧状の内周面83の後部には、径方向内方に向けて張出した内周張出部84が設けられている。内周張出部84は、内周張出部35(
図8参照)と同じ形状で同じ前後位置に設けられている。プロテクタ本体81の円弧状の外周面85の前後方向の中央部には、径方向内方に向けて溝深さを有する断面V字形状のV字溝86が設けられている。V字溝86は、V字溝36(
図8参照)と同様に、チューブ接続部23を周方向に覆う第1領域P1よりも後方の第2領域P2において、チューブ接続部23の先端23aよりもわずかに後方位置に設けられている。V字溝86が設けられた領域は、プロテクタ本体81の他の領域よりも径方向の厚みが小さく強度が弱い脆弱部に相当する。
【0071】
図12に示すようにプロテクタ本体81の前部の上下壁面には、径方向に貫通する透孔87が設けられている。2つの透孔87は、パイプ接続部73が具備する2つの張出爪73bと嵌合可能である。先ずチューブ接続部23とパイプ接続部73を前方からプロテクタ本体81に挿入する。張出爪73bは、内周面83を径方向外方に弾性的に押しのけつつプロテクタ本体81内に進入する。張出爪73bは、透孔87と同じ前後位置まで移動する際に透孔87と嵌合する。これによりチューブ接続部23とパイプ接続部73は、プロテクタ本体81に対して正規の前後深さで保持される。また、張出爪73bと透孔87の嵌合によって、パイプ接続部73に対するプロテクタ本体81の周方向の回転が規制される。
【0072】
上述するようにプロテクタ本体81は、
図12に示すように一部材である。したがってプロテクタ本体81は、材料を変えることなく強い強度で設けられる。そのため強度が弱いV字溝86と、プロテクタ本体81の他の領域との強度の差が明確に出るように設定できる。これにより衝撃によって先ずV字溝86の周囲が破壊されるようにプロテクタ80の構造を設定できる。かくしてチューブ接続部23を衝撃から好適に保護できる。
【0073】
次に本開示に係る第5実施形態を
図13に基づいて説明する。
図13に示す配管接続構造90は、
図10に示す配管接続構造40のプロテクタ50に代えて、プロテクタ91を有する。プロテクタ91は、例えば樹脂製でありかつチューブ接続部23よりも強度が強い材料で形成されたプロテクタ本体92を有する。以下の説明においては、上述した第2実施形態と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0074】
図13に示すようにプロテクタ本体92は、一部品で構成されたエルボ形状の筒状である。プロテクタ本体92の内周面93の後部には、径方向内方に向けて断面円弧形状で張出した内周張出部94が設けられている。内周張出部94は、内周張出部55(
図10参照)と同じ形状で同じ前後位置に設けられている。プロテクタ本体92の外周面95の前後方向の中央部には、径方向内方に向けて溝深さを有する断面V字形状のV字溝96が設けられている。V字溝96は、V字溝56(
図10参照)と同様に、チューブ接続部23を周方向に覆う第1領域P1よりも後方の第2領域P2において、チューブ接続部23の先端23aよりもわずかに後方位置に設けられている。V字溝96が設けられた領域は、プロテクタ本体92の領域よりも径方向の厚みが小さく強度が弱い脆弱部に相当する。
【0075】
図13に示すようにプロテクタ本体92の前端には、略平板形状の蓋97を着脱させることができる。蓋97を外すことで、コネクタ本体42(チューブ接続部23、エルボ管44、パイプ接続部43)をプロテクタ本体92の内部に進入させることができる。コネクタ本体42をプロテクタ本体92の内部に進入させ、チューブ接続部23にチューブ11を嵌合させた状態で、蓋97をプロテクタ本体92の前端に装着させる。蓋97は、前後方向を厚み方向とする上下方向に延出した姿勢で装着される。装着した蓋97の後面の張出部97aがエルボ管44と当接する。これによりコネクタ本体42は、プロテクタ本体92の内部で移動不能に位置保持される。
【0076】
上述するようにプロテクタ本体92は、
図13に示すように一部材である。したがってプロテクタ本体92は、材料を変えることなく強い強度で設けられる。そのため強度が弱いV字溝96と、プロテクタ本体92の他の領域との強度の差が明確に出るように設定できる。これにより衝撃によって先ずV字溝96の周囲が破壊されるようにプロテクタ91の構造を設定できる。かくしてチューブ接続部23を衝撃から好適に保護できる。
【0077】
以上説明した各実施形態の配管接続構造1,40,60,70,90には種々変更を加えることができる。配管接続構造で接続される配管の種類は、例示したものに限らず、例えばチューブよりも径の大きいホース等であっても良い。接続される配管の組合せについても、例示したものに限らず、例えばパイプ同士、チューブ同士を接続する構造であっても良い。脆弱部を複数箇所に設けても良く、例えばコネクタが具備する2つの接続部それぞれに対して、接続部を覆わない近傍位置に脆弱部を設けても良い。チューブ接続部やプロテクタ本体は、樹脂製に限らず、例えば金属製であっても良い。
【0078】
プロテクタ本体の内周面または外周面のいずれかにV字溝を形成して脆弱部を設ける構成を例示した。これに代えて、例えばプロテクタ本体の内周面と外周面の両方にV字溝を形成して脆弱部を設ける構成としても良い。この場合に内周面側のV字溝と外周面側のV字溝は、径方向に見て並んでおり前後位置が同じ配置であっても良く、あるいは前後位置が相互にずれた配置であっても良い。
【0079】
コネクタの接続部に対する脆弱部の位置は、想定される衝撃の大きさや方向によって適宜変更しても良い。例えばV字溝は、例示したものよりもチューブ接続部の先端に対して近づけて配置されていても良い。あるいはV字溝は、例示したものよりもチューブ接続部の先端から遠ざけて配置されていても良い。例えば特定の方向から衝撃を受ける可能性が高い場合は、特定の方向と略直交する面のみに溝を設けても良い。これにより衝撃を受ける特定の方向に向けて脆弱部が折れ易くなり、衝撃を好適に吸収できる。
【符号の説明】
【0080】
1…配管接続構造(第1実施形態)
10…パイプ、10a…パイプ本体、10b…バルジ部
11…チューブ、11a…拡径部、11b…非拡径部
20…コネクタ
21…コネクタ本体
22…パイプ接続部、22a…凹溝
23…チューブ接続部、23a…先端
25…リテーナ装着部、25a…案内片
26…リテーナ、26a…案内溝
27…チェッカー
30…プロテクタ
31…プロテクタ本体、31a…第1カバー、31b…第2カバー
32…嵌合爪、32a…基部、32b…鉤爪
33…嵌合開口部、33a…嵌合枠、33b…貫通孔、33c…拡幅部
34…内周面
35…内周張出部
36…V字溝(脆弱部)
37…係合リブ
40…配管接続構造(第2実施形態)
41…コネクタ
42…コネクタ本体
43…パイプ接続部、43a…凹溝
44…エルボ管
50…プロテクタ
51…プロテクタ本体
52…嵌合爪、52a…基部、52b…鉤爪
53…嵌合開口部、53a…嵌合枠、53b…貫通孔、53c…拡幅部
54…内周面
55…内周張出部
56…V字溝(脆弱部)
57…係合リブ
60…配管接続構造(第3実施形態)
61…プロテクタ
62…プロテクタ本体
63…嵌合爪、63a…基部、63b…鉤爪
64…嵌合開口部、64a…嵌合枠、64b…貫通孔、64c…拡幅部
65…内周面
66…内周張出部
67…V字溝(脆弱部)
68…エルボ管当接部
70…配管接続構造(第4実施形態)
71…コネクタ
72…コネクタ本体
73…パイプ接続部、73a…凹溝、73b…張出爪
80…プロテクタ
81…プロテクタ本体
83…内周面
84…内周張出部
85…外周面
86…V字溝(脆弱部)
87…透孔
90…配管接続構造(第5実施形態)
91…プロテクタ
92…プロテクタ本体
93…内周面
94…内周張出部
95…外周面
96…V字溝(脆弱部)
97…蓋、97a…張出部
P1…第1領域
P2…第2領域