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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095103
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】玄関庇ユニットとその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
E04B7/02 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208228
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(72)【発明者】
【氏名】木村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 隆
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 智裕
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】玄関扉の上端と張出梁との高低差が小さい場合でも張出梁に容易に設置でき、上枠と張出梁の間のシール部を覆って意匠性を高め、容易かつ短時間にシール部を露出させてメンテナンスでき、かつメンテナンス時の保管場所が不要である玄関庇ユニットとその施工方法を提供する。
【解決手段】玄関庇ユニット100が、梁下面3aに取り付けられた一対のガイドレール10と、ガイドレールに支持される庇本体20と、固定具30と、を備える。一対のガイドレールは、梁下面3aから梁前面3bより外側まで前後方向に延び、水平かつ互いに平行に位置する。庇本体20は、上面が梁下面に近接し、ガイドレールに沿って前後方向に移動させて着脱可能である。固定具30は、庇本体20の設置位置において、庇本体20のチリ部上面Tをガイドレールに固定する。庇本体20は、設置位置からメンテナンス位置まで、ガイドレールに支持されこれに沿って移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関扉の上枠の上部に位置し前記玄関扉の前方に張り出した張出梁の梁下面に取り付ける玄関庇ユニットであって、
前記梁下面に取り付けられ、前記張出梁の梁前面より外側まで前後方向に延び、水平かつ互いに平行に位置する一対のガイドレールと、
一対の前記ガイドレールに支持され、上面が前記梁下面に近接し、前記ガイドレールに沿って前後方向に移動させて着脱可能な庇本体と、
前記庇本体の庇内端が前記上枠に近接する設置位置において、前記庇本体のチリ部上面を前記ガイドレールに分離可能に固定する固定具と、を備え、
前記庇本体は、前記設置位置から、前記庇内端が前記上枠から施工離隔を有するメンテナンス位置まで、前記ガイドレールに支持され前記ガイドレールに沿って移動可能に構成されている、玄関庇ユニット。
【請求項2】
前記ガイドレールは、前記梁下面から第1隙間を隔てて下方に位置し前後方向に延びる支持面を有し、
前記庇本体は、前記第1隙間に嵌合し前記支持面で支持され前後方向に延びる第1水平部と、前記ガイドレールに近接して前記第1水平部の幅方向位置を保持する第1鉛直部とを有する、請求項1に記載の玄関庇ユニット。
【請求項3】
前記庇本体の前記チリ部上面は、前記設置位置において前記支持面の上部に位置する第2水平部である、請求項2に記載の玄関庇ユニット。
【請求項4】
前記庇本体は、庇上面、庇下面、庇前面、庇背面、及び左右の庇側面を有する中空かつ平板状の矩形体であり、
前記庇上面の中央部は開口し、
前記第1水平部は、前記庇上面の幅方向両端部に設けられ、
前記第2水平部は、前記庇上面の前面近傍に設けられ、
前記庇背面は、前記ガイドレールを水平に通す背面開口を有する、請求項3に記載の玄関庇ユニット。
【請求項5】
前記庇本体は、連続し部分的に折り曲げられた金属板からなる金属製化粧パネルである、請求項3に記載の玄関庇ユニット。
【請求項6】
玄関扉の上枠の上部に位置し前記玄関扉の前方に張り出した張出梁の梁下面に玄関庇ユニットを取り付ける玄関庇ユニットの施工方法であって、
(A)一対のガイドレールを、前記梁下面から前記張出梁の梁前面より外側まで前後方向に延びる状態で、水平かつ互いに平行に位置決めして前記梁下面に取り付け、
(B)一対の前記ガイドレールに沿って前後方向に移動可能な庇本体を、上面が前記梁下面に近接し、前記ガイドレールに支持させて取り付け、
(C)前記庇本体の庇内端が前記上枠に近接する設置位置まで、前記庇本体を前記ガイドレールに沿って移動させ、
(D)前記設置位置において、固定具により前記庇本体のチリ部上面を前記ガイドレールに分離可能に固定する、玄関庇ユニットの施工方法。
【請求項7】
メンテナンス時において、前記設置位置から、前記庇内端が前記上枠から施工離隔を有するメンテナンス位置まで、前記庇本体を、前記ガイドレールに沿って移動させる、請求項6に記載の玄関庇ユニットの施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関扉の前面上部に設置する玄関庇ユニットとその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関前の意匠性及び商品性の向上を目的に、玄関扉の直上(前面上部)に庇状化粧パネル(玄関庇ユニット)を設置する場合がある。かかる玄関庇ユニットは、例えば特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-11122号公報
【特許文献2】特開2012-36607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玄関庇は、玄関扉の上枠に連続するように玄関扉の前方に張り出した梁部材に固定することが好ましい。これにより、玄関庇の設置状態において、上枠や上枠と躯体(梁部材)との取り合い箇所に施すシール部は、玄関庇に覆われた納まりとなり、意匠性を高めることができる。
【0005】
一方、大規模修繕時等に、上枠の再塗装やシールの打ち替え等を行う際に、玄関庇に覆われたシール部を露出させる必要がある。
【0006】
なお、上枠の再塗装やシールの打ち替えを容易にするため、玄関庇の設置状態において、シール部を玄関庇で覆わずに露出させ、修繕・補修作業を可能とする施工離隔を上枠と玄関庇の間に常に確保することも考えられる。しかしその場合、日常生活における玄関廻りの意匠性が損なわれてしまう。
【0007】
特許文献1の玄関庇ユニットは、上階の外壁(すなわち玄関扉の前方に張り出した梁部材)よりも屋外側に突出した部分のみに設置されるため、梁部材と玄関庇ユニットの下方に庇受け梁が露出する。
そのため、特許文献1の玄関庇ユニットでは、露出した庇受け梁を覆って庇全体の意匠性を高めるために、梁部材と玄関庇ユニットの下方に別個に玄関軒天井を設ける必要がある。この場合、玄関軒天井及び玄関庇ユニットの取り外し及び復旧が必要となり、熟練した作業者と取り外した部品の保管場所が必要になり、かつ作業時間と費用が過大となる。
【0008】
特許文献2の玄関庇ユニットは、玄関上部を被覆する庇本体部と、庇本体部から上部方向に立ち上がる躯体接続部とを有する。躯体接続部は、庇本体部の後方部に接続されている。
そのため、特許文献2の玄関庇ユニットでは、玄関扉の前方に張り出した梁部材の下面に躯体接続部と庇本体部が重なって位置するため、梁部材の下面から庇本体部の下面までの高低差が大きくなる。その結果、玄関扉の上端から梁部材の下面までの高低差が小さい(例えば40~60mm)場合、庇本体部が玄関扉の開閉と干渉する可能性があり、梁部材の高さを大きく再構築する必要が生じる。
【0009】
また、玄関扉の上端から梁部材の下面までの高低差が小さい(例えば40~60mm)場合に、この高低差より薄い庇本体を、予め梁部材の下面に固定したブラケットにビス又はボルトで固定することが考えられる。
しかし、この場合、庇本体の下面又は側面にビス又はボルトが露出するため、日常生活における玄関廻りの意匠性が損なわれてしまう。また、上枠の再塗装やシールの打ち替え等を行う際に、庇本体の取り外し及び復旧が必要となり、熟練した作業者と取り外した部品の保管場所が必要になり、かつ作業時間と費用が過大となる。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、玄関扉の上端と梁部材との高低差が小さい場合でも梁部材に容易に設置でき、上枠と梁部材の間のシール部を覆って意匠性を高め、容易かつ短時間にシール部を露出させてメンテナンスでき、かつメンテナンス時の保管場所が不要である玄関庇ユニットとその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、玄関扉の上枠の上部に位置し前記玄関扉の前方に張り出した張出梁の梁下面に取り付ける玄関庇ユニットであって、
前記梁下面に取り付けられ、前記張出梁の梁前面より外側まで前後方向に延び、水平かつ互いに平行に位置する一対のガイドレールと、
一対の前記ガイドレールに支持され、上面が前記梁下面に近接し、前記ガイドレールに沿って前後方向に移動させて着脱可能な庇本体と、
前記庇本体の庇内端が前記上枠に近接する設置位置において、前記庇本体のチリ部上面を前記ガイドレールに分離可能に固定する固定具と、を備え、
前記庇本体は、前記設置位置から、前記庇内端が前記上枠から施工離隔を有するメンテナンス位置まで、前記ガイドレールに支持され前記ガイドレールに沿って移動可能に構成されている、玄関庇ユニットが提供される。
【0012】
また本発明によれば、玄関扉の上枠の上部に位置し前記玄関扉の前方に張り出した張出梁の梁下面に玄関庇ユニットを取り付ける玄関庇ユニットの施工方法であって、
(A)一対のガイドレールを、前記梁下面から前記張出梁の梁前面より外側まで前後方向に延びる状態で、水平かつ互いに平行に位置決めして前記梁下面に取り付け、
(B)一対の前記ガイドレールに沿って前後方向に移動可能な庇本体を、上面が前記梁下面に近接し、前記ガイドレールに支持させて取り付け、
(C)前記庇本体の庇内端が前記上枠に近接する設置位置まで、前記庇本体を前記ガイドレールに沿って移動させ、
(D)前記設置位置において、固定具により前記庇本体のチリ部上面を前記ガイドレールに分離可能に固定する、玄関庇ユニットの施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の構成によれば、庇本体が、一対のガイドレールに支持され、上面が梁下面に近接し、ガイドレールに沿って前後方向に移動させて着脱可能に構成されている。これにより、ガイドレールを梁下面に取り付けるだけで、玄関扉の上端から張出梁の下面までの高低差が小さい場合であっても張出梁に庇本体を容易に設置できる。
【0014】
また、一対のガイドレールに支持された状態で、庇本体をガイドレールに沿って後方向に移動させることで庇内端が上枠に近接し上面が梁下面に近接した設置位置に庇本体を位置決めできる。さらに、設置位置において、固定具により庇本体のチリ部上面をガイドレールに分離可能に固定することができる。従って、設置位置において上枠と張出梁の間のシール部を庇本体で覆うことができ、かつ固定具が庇本体のチリ部上面に位置するので、日常生活における玄関廻りの意匠性を高めることができる。
【0015】
また、庇本体は、設置位置から、庇内端が上枠から施工離隔を有するメンテナンス位置まで、ガイドレールに支持されガイドレールに沿って移動可能に構成されている。従って、固定具を外し、庇本体をメンテナンス位置に移動させるだけで、容易かつ短時間にシール部を露出させて上枠の再塗装やシールの打ち替え等ができる。また、この際に、庇本体はガイドレールに支持されてメンテナンス位置にあるので、メンテナンス時の庇本体の保管場所を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の玄関庇ユニットの全体斜視図である。
図2図1のX-X断面図である。
図3図1のY-Y断面図である。
図4】本発明による玄関庇ユニットの設置時の施工方法を示す模式図である。
図5】本発明による玄関庇ユニットのメンテナンス時の施工方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の玄関庇ユニット100の全体斜視図である。また、図2は、図1のX-X断面図である。
【0019】
図2において、1は玄関扉、2は玄関扉の上枠、3は玄関扉の前方に張り出した張出梁、4は上枠と張出梁3の間のシールである。
また、この図において、矢印Aの方向を「前方」、矢印Bの方向を「後方」、矢印Aと矢印Bの方向を「前後方向」とする。
この例で、玄関扉1の上端から張出梁3の梁下面3aまでの高低差は例えば約50mmであり、張出梁3の上枠2の前面からの前後方向長さは例えば約800mmである。
【0020】
図2において、張出梁3は、玄関扉1の上枠2の上部に位置し玄関扉1の前方に張り出しており、本発明の玄関庇ユニット100は、張出梁3の下面(以下、梁下面3a)に取り付けるようになっている。
玄関庇ユニット100は、梁下面3aに取り付けられた一対のガイドレール10と、一対のガイドレール10に支持される庇本体20と、庇本体20をガイドレール10に分離可能に固定する固定具30と、を備える。
【0021】
一対のガイドレール10は、梁下面3aから張出梁3の前面(以下、梁前面3b)より外側まで前後方向に延び、水平かつ互いに平行に位置する。
また、ガイドレール10の前端は、庇前面20c(後述する)に干渉しない限りで庇本体20のチリ部まで延びている。
【0022】
庇本体20は、上面が梁下面3aに近接し、ガイドレール10に沿って前後方向に移動させてガイドレール10に着脱可能に構成されている。この移動は、ガイドレール10の支持面10a(後述する)に沿うスライド(摺動)であることが好ましい。
【0023】
固定具30は、庇本体20の内端(以下、庇内端21)が上枠2に近接する設置位置において、庇本体20のチリ部上面Tをガイドレール10に分離可能に固定する。なお庇本体20のチリ部とは、梁前面3bより前方部分を意味する。
庇本体20の設置位置は、玄関扉1の前に位置する人から見上げて、庇内端21によりシール4が、直視できない位置に設定する。設置位置における庇内端21の位置F、すなわち庇内端21の上枠2からの水平間隔は、例えば、0~10mmである。
また設置位置において、チリ部上面Tの前後方向長さは、例えば、30~100mm(好ましくは約50mm)であるのがよい。
【0024】
庇本体20は、設置位置から、庇内端21が上枠2から施工離隔Lを有するメンテナンス位置まで、上面が梁下面3aに近接し、ガイドレール10に支持されガイドレール10に沿って移動可能に構成されている。この移動も、ガイドレール10の支持面10a(後述する)に沿うスライド(摺動)であることが好ましい。
メンテナンス位置における庇内端21の位置M、すなわち庇内端21の上枠2からの施工離隔Lは、上枠2の再塗装やシール4の打ち替え等が容易に実施できる距離であり、例えば100~300mmである。
【0025】
図3は、図1のY-Y断面図である。
この図において、1対のガイドレール10は、梁下面3aから第1隙間Cを隔てて下方に位置し前後方向に延びる支持面10aを有する。第1隙間Cは、第1水平部22a(後述する)の厚さよりも大きく、例えば4~10mmであるのがよい。
この例で12は、第1隙間Cに相当する厚さを有するパッキンである。また、この例でガイドレール10は厚さが一定の細長い板材である。パッキン12を梁下面3aとガイドレール10の間に挟み、アンカー14をガイドレール10、パッキン12、及び梁下面3aを通して張出梁3に固定することで、第1隙間Cを形成している。
なおこの構成は必須ではなく、例えばガイドレール10の断面に第1隙間Cに相当する段差を設け、ガイドレール10を張出梁3に直接固定してもよい。また、ガイドレール10は平板に限定されず、例えば型鋼であってもよい。
【0026】
図3において、庇本体20は、第1隙間Cに嵌合し支持面10aで支持され前後方向に延びる第1水平部22aと、ガイドレール10に近接して第1水平部22aの幅方向位置を保持する第1鉛直部23aと、を有する。
【0027】
この例で、1対のガイドレール10が、幅方向(図3の左右方向)に一定の間隔を隔てて張出梁3の梁下面3aに固定されている。
1対の第1鉛直部23aは、庇本体20の左右の庇側面20e(後述する)の上部であり、1対のガイドレール10の左右方向の外面に近接して庇本体20の幅方向位置を保持している。
また、1対の第1水平部22aは、庇本体20の庇上面20a(後述する)の幅方向両端部であり、ガイドレール10の1対の支持面10aの上部の第1隙間Cに左右方向の外側から嵌合し、庇本体20の上面を梁下面3aに近接する一定高さに保持している。
【0028】
図2において、庇本体20のチリ部上面Tは、設置位置において支持面10aの上部に位置する第2水平部22bである。
固定具30は、この例ではボルト又はビスであり、第2水平部22bには固定具30のネジ部を通す貫通孔24が設けられている。また、庇内端21が上枠2に近接する庇本体20の設置位置において、ガイドレール10の前方部には、第2水平部22bの貫通孔24に対向する位置に、固定具30のネジ部と螺合する雌ネジ11が設けられている。
この構成により、庇本体20の設置位置において、固定具30を第2水平部22bの貫通孔24を通してガイドレール10の雌ネジ11と螺合させることで、庇本体20を上面が梁下面3aに近接した設置位置に固定することができる。
なお、固定具30は、ボルト又はビスに限定されず、その他の固定手段、例えばピンであってもよい。
【0029】
図1図3において、庇本体20は、庇上面20a、庇下面20b、庇前面20c、庇背面20d、及び左右の庇側面20eを有する中空かつ平板状の矩形体である。
平板状の矩形体の厚さ(高さ)は、その内部にガイドレール10、パッキン12、及びアンカー14を収容できる限りで薄く設定されている。
玄関扉1の上端から張出梁3の梁下面3aまでの高低差が例えば約50mmである場合、庇本体20の厚さは、約50mm未満であり、例えば15~30mm(好ましくは20mm)であるのが良い。
【0030】
この例で、庇上面20aの中央部は開口し、第1水平部22aは、庇上面20aの幅方向両端部に設けられ、第2水平部22bは、庇上面20aの前面近傍に設けられている。
また、庇背面20dは、ガイドレール10を水平に通す背面開口25を有する。
【0031】
またこの例で、庇本体20は、連続し部分的に折り曲げられた金属板からなる金属製化粧パネルである。金属板の厚さは、例えば1.6~3mmであるのがよい。
【0032】
庇前面20c及び左右の庇側面20eは、この例では、剛性を高めるために部分的にコの字型に折り曲げているが、折り曲げ部なしに平坦であってもよい。
庇上面20aの第1水平部22aと第2水平部22bは、この例では一体であり、同一の厚さを有する。この厚さは、第1隙間Cよりも小さく、例えば庇本体20の全体と同じである。なお、水密性を高めるために第1水平部22aと第2水平部22bの上面に薄いシール板を付加してもよい。
またこの例では、庇本体20の庇背面20dの全体が背面開口25となっている。なおこの構成は必須ではなく、庇背面20dの上部のみにガイドレール10とアンカー14を水平に通す背面開口25を設け、その下方部は金属板で閉じてもよい。
【0033】
図4は、本発明による玄関庇ユニット100の設置時の施工方法を示す模式図である。
この図は、(A)~(D)の順で張出梁3の梁下面3aに玄関庇ユニット100を設置する方法を示している。なお張出梁3は、玄関扉1の上枠2の上部に位置し玄関扉1の前方に張り出している。
【0034】
図4(A)では、一対のガイドレール10を、梁下面3aから張出梁3の梁前面3bより外側まで前後方向に延びる状態で、水平かつ互いに平行に位置決めして梁下面3aに取り付ける。
この際、上述したパッキン12とアンカー14を用い、ガイドレール10の支持面10aを梁下面3aから第1隙間Cを隔てて位置決めする。
また、ガイドレール10の前方部には、上述した雌ネジ11を設けておく。
【0035】
図4(B)では、一対のガイドレール10に沿って前後方向に移動可能な庇本体20を、ガイドレール10に支持させて取り付ける。
この際、庇本体20には、上述した第1水平部22a、第2水平部22b、第1鉛直部23a、及び貫通孔24を設けておく。
【0036】
図4(C)では、庇内端21が上枠2に近接する設置位置まで、庇本体20をガイドレール10に沿って移動(例えばスライド)させる。
【0037】
図4(D)では、設置位置において、固定具30により庇本体20のチリ部上面Tをガイドレール10に分離可能に固定する。
【0038】
図5は、本発明による玄関庇ユニット100のメンテナンス時の施工方法を示す模式図である。
この図において、(D)は、図4(D)と同じ設置状態であり、(E)はメンテナンス時の状態を示している。
【0039】
本発明では、メンテナンス時において、図5(D)の設置位置において、固定具30を庇本体20及びガイドレール10から取り外し、庇本体20を前後方向に移動可能にする。
次いで、庇内端21が上枠2から施工離隔Lを有するメンテナンス位置まで、図5(E)に示すように庇本体20を、ガイドレール10に沿って移動(例えばスライド)させる。
【0040】
これにより、メンテナンス位置において、シール4を露出させることができ、上枠2の再塗装やシール4の打ち替えが容易にできる。また、庇本体20はメンテナンス位置にそのまま保持されるので、メンテナンス時の庇本体20の保管場所を不要にできる。
さらに、上枠2の再塗装やシール4の打ち替えの後、庇本体20をガイドレール10に沿って設置位置まで移動させ、固定具30により庇本体20のチリ部上面Tをガイドレール10に固定することで、庇本体20を設置位置に再度固定することができる。
【0041】
上述した本発明の実施形態によれば、庇本体20が、一対のガイドレール10に支持され、上面が梁下面3aに近接し、ガイドレール10に沿って前後方向に移動させて着脱可能に構成されている。この構成により、ガイドレール10を梁下面3aに取り付けるだけで、玄関扉1の上端から梁部材(張出梁3)の梁下面3aまでの高低差が小さい場合であっても張出梁3に庇本体20を容易に設置できる。
【0042】
また、一対のガイドレール10に支持された状態で、庇本体20をガイドレール10に沿って後方向に移動(例えばスライド)させることで庇内端21が上枠2に近接し上面が梁下面3aに近接した設置位置に庇本体20を位置決めできる。さらに、設置位置において、固定具30により庇本体20のチリ部上面Tをガイドレール10に分離可能に固定できる。従って、設置位置において上枠2と張出梁3の間のシール部を庇本体20で覆うことができ、かつ固定具30が庇本体20のチリ部上面Tに位置するので、日常生活における玄関廻りの意匠性を高めることができる。
【0043】
また、庇本体20は、設置位置から、庇内端21が上枠2から施工離隔Lを有するメンテナンス位置まで、ガイドレール10に支持されガイドレール10に沿って移動可能に構成されている。従って、固定具30を外し、庇本体20をメンテナンス位置に移動(例えばスライド)させるだけで、容易かつ短時間にシール4を露出させて上枠2の再塗装やシール4の打ち替え等ができる。また、この際に、庇本体20はガイドレール10に支持されてメンテナンス位置にあるので、メンテナンス時の庇本体20の保管場所を不要にできる。
【0044】
なお、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0045】
C 第1隙間、F 設置位置における庇内端の位置、
L 施工離隔、M メンテナンス位置における庇内端の位置、T チリ部上面、
1 玄関扉、2 上枠、3 張出梁、3a 梁下面、3b 梁前面、4 シール、
10 ガイドレール、10a 支持面、11 雌ネジ、12 パッキン、
14 アンカー、20 庇本体、20a 庇上面、20b 庇下面、20c 庇前面、
20d 庇背面、20e 庇側面、21 庇内端、22a 第1水平部、
22b 第2水平部、23a 第1鉛直部、24 貫通孔、25 背面開口、
30 固定具、100 玄関庇ユニット
図1
図2
図3
図4
図5