(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095109
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】茶加工方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/06 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A23F3/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208246
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】520496121
【氏名又は名称】株式会社佐近コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】今橋 秀夫
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB02
4B027FC10
4B027FE05
4B027FE06
4B027FK01
4B027FP01
(57)【要約】
【課題】生産性向上に寄与する茶加工方法を提供すること。
【解決手段】茶加工方法は、銅イオン水に水を加え希釈銅イオン水を作成し、希釈銅イオン水に茶葉を添加し、撹拌するものであり、希釈銅イオン水の銅濃度は、40PPM~60PPMであり、茶葉の大きさは、1.5cm以下あり、希釈銅イオン水及び茶葉の重量比は、茶葉が1に対して、前記希釈銅イオン水が15~25である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅イオン水に水を加え希釈銅イオン水を作成し、前記希釈銅イオン水に茶葉を添加し、撹拌するものであり、
前記希釈銅イオン水の銅濃度は、40PPM~60PPMであり、
前記茶葉の大きさは、1.5cm以下あり、
前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記希釈銅イオン水が15~25であることを特徴とする茶加工方法。
【請求項2】
前記希釈銅イオン水の銅濃度は、45PPM~55PPMであり、
前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記希釈銅イオン水が19~21であることを特徴とする請求項1に記載の茶加工方法。
【請求項3】
前記撹拌後、半固形状のペースト及び液状の濃縮液に分離することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の茶加工方法。
【請求項4】
銅イオン水に水を加え希釈銅イオン水を作成し、前記希釈銅イオン水に茶葉を添加し、撹拌するものであり、
前記希釈銅イオン水の銅濃度は、300PPM~500PPMであり、
前記茶葉の粒径は、5μm~20μmであり、
前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記水が3.5~4.5であることを特徴とする茶加工方法。
【請求項5】
前記希釈銅イオン水の銅濃度は、400PPM~500PPMであり、
前記茶葉の粒径は、15μm~20μmであり、
前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記水が3.8~4.2であることを特徴とする請求項4に記載の茶加工方法。
【請求項6】
前記茶葉は、前記撹拌を行いながら、前記希釈銅イオン水に少しずつ添加され、
前記撹拌は、前記茶葉を添加後にも行われることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の茶加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から茶葉に銅を添加する茶加工方法が開示されている。例えば、特許文献1の茶加工方法は、茶葉及び銅の含有量を把握した銅イオン水を混合した後に加熱することで作成される茶加工製品の退色(色合いの褐色化)を防止しつつ、銅の含有量を把握することができる茶加工方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
茶加工製品は、光や酸化等に弱く、時間の経過により、退色が起きる場合が多かった。そこで、茶加工製品の退色防止のため、茶葉に銅及び亜鉛等の金属を添加する茶加工方法が実施されてきたが、茶葉の大きさ、加熱時間及び添加物濃度等が適切でない場合、茶加工製品の退色が防げないばかりか、加工処理に要する時間が多くかかってしまい、生産性が低下してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、生産性向上に寄与する茶加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の茶加工方法は、銅イオン水に水を加え希釈銅イオン水を作成し、前記希釈銅イオン水に茶葉を添加し、撹拌するものであり、前記希釈銅イオン水の銅濃度は、40PPM~60PPMであり、前記茶葉の大きさは、1.5cm以下あり、前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記希釈銅イオン水が15~25であることを特徴とする。
【0007】
本発明の茶加工方法は、銅イオン水に水を加え希釈銅イオン水を作成し、前記希釈銅イオン水に茶葉を添加し、撹拌するものであり、前記希釈銅イオン水の銅濃度は、300PPM~500PPMであり、前記茶葉の粒径は、5μm~20μmであり、前記希釈銅イオン水及び前記茶葉の重量比は、前記茶葉が1に対して、前記水が3.5~4.5であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産性向上に寄与する茶加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る茶加工方法を示すフロー図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る茶加工方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態で示す発明は、茶葉を銅イオン水により加工し、茶ペースト及び茶濃縮液の2つの茶加工製品を作成する茶加工方法である。以下に、本実施形態において示す茶加工方法において用いられる各材料について説明する。
【0011】
茶葉は、茶の木の葉である。茶葉の大きさは、好ましくは縦横1.5cm以下の大きさである。茶葉の大きさが縦横1.5cmより大きいと、粉砕する際に要する時間が増加する。
【0012】
銅イオン水は、銅イオンが水に溶解した液体であり、例えば、銅を水中で電気分解して作成することができる。ここで、銅イオンは、茶葉と接触することで、茶葉の葉緑体に含まれる緑色色素であるクロロフィルの構成元素であるマグネシウムを銅に置換する。銅イオンは、この反応により、クロロフィルを安定化させ、茶葉の緑色を保持すること(茶葉の緑色の退色防止)に寄与する。さらに、銅イオン水は、水道水や蒸留水等の水を加え希釈することで、任意の銅濃度の希釈銅イオン水を作成することができる。希釈銅イオン水の銅濃度は、低すぎると茶葉に添加しても効果が現れず、茶葉が変色することが多くなる。また、銅には人間が一日に摂取できる摂取上限量(耐用上限量)が定められているため、希釈銅イオン水の銅濃度が高すぎると、過量摂取の恐れが高まる。即ち、摂取上限量の観点から見れば、希釈銅イオン水の銅濃度は、可能な限り抑えることが望ましい。従って、希釈銅イオン水の銅濃度は、茶葉の変色を抑えることが可能な値以上であるが好ましいが、その値が高くなりすぎないように抑えることが好ましい。
【0013】
茶葉入り銅イオン水は、希釈銅イオン水及び茶葉が入った水であり、希釈銅イオン水及び茶葉を混合することで作成される。茶葉入り銅イオン水は、本発明である茶加工方法において用いられ、希釈銅イオン水及び茶葉の配合比率により、作成される茶ペーストの固さが変化する。茶葉入り銅イオン水は、希釈銅イオン水に含まれる水分量が多いほど、作成される茶ペーストの固さは柔らかくなり、希釈銅イオン水に含まれる水分量が少ないほど、作成される茶ペーストの固さは固くなる。なお、希釈銅イオン水に含まれる水分量は、希釈銅イオン水の量に比例する。また、茶葉入り銅イオン水は、その希釈銅イオン水及び茶葉の配合比率が、茶葉の緑色の保持力(茶葉の緑色の退色防止能力)に影響を及ぼすこともある。
【0014】
次に、本実施形態の茶加工方法について説明する。本実施形態の茶加工方法は、
図1に示すように、ステップS101~ステップS106のステップにより、行われるものである。以下に、各ステップについて説明する。
【0015】
まず、ステップS101は、希釈銅イオン水作成工程として、銅イオン水に水道水や蒸留水等の水を加え、任意の銅濃度の希釈銅イオン水を作成する。ここで、希釈銅イオン水の銅濃度は、好ましくは40PPM~60PPMであり、より好ましくは45PPM~55PPMである。
【0016】
次に、ステップS102は、茶葉添加工程として、希釈銅イオン水に茶葉を加え、希釈銅イオン水及び茶葉を混合することで、茶葉入り銅イオン水を作成する。ここで、茶葉入り銅イオン水を作成する際、茶葉及び希釈銅イオン水との配合比率(重量比)は、茶葉を1に対して、好ましくは希釈銅イオン水を15~25であり、より好ましくは希釈銅イオン水を19~21である。
【0017】
次に、ステップS103は、第1撹拌工程として、茶葉入り銅イオン水を撹拌(第1撹拌)する。例えば、ステップS103は、撹拌機を備えるタンクなどの容器に、茶葉入り銅イオン水を入れ、撹拌することで行うことができる。
【0018】
次に、ステップS104は、粉砕工程として、第1撹拌を経た茶葉入り銅イオン水(撹拌茶葉銅水)に含まれる茶葉を粉砕する。この粉砕により、茶葉の大きさは、粒径40μm~50μmとなる。例えば、ステップS104は、撹拌茶葉銅水を、撹拌茶葉銅水の容器からポンプなどの移送装置により、内部に入れられたものを粉砕する摩砕機(粉砕機)へ移送し、摩砕機により、撹拌茶葉銅水に含まれる茶葉を粉砕することで行うことができる。
【0019】
次に、ステップS105は、第2撹拌工程として、茶葉の粉砕を経た撹拌茶葉銅水(粉砕茶葉銅水)を撹拌(第2撹拌)する。例えば、ステップS105は、撹拌茶葉銅水の茶葉を粉砕された粉砕茶葉銅水とする摩砕機の出口にタンクなどの容器を設け、容器内に貯まった粉砕茶葉銅水を撹拌機で撹拌することで行うことができる。ここで、ステップS104における粉砕の前後(ステップS103及びステップS105)で撹拌(第1撹拌及び第2撹拌)を行うことで、循環不足による銅や茶葉の固形分の沈殿を防止することができる。また、ステップS105の第2撹拌工程を行った後に、再度ステップS103の第1撹拌工程に戻り、ステップS103~ステップS105を繰り返すこともできる。ステップS103~ステップS105を繰り返すことで、より循環不足による銅や茶葉の固形分の沈殿を防止することができる。ステップS103~ステップS105を繰り返すことは、例えば、摩砕機の入口及び出口に、それぞれ撹拌機を備える容器を設け、摩砕機の出口側の容器に入った粉砕茶葉銅水を撹拌しながら、摩砕機の入口側の容器へポンプなどの移送装置で順次移送し、摩砕機の入口側の容器においても粉砕茶葉銅水を撹拌しながら、摩砕機へ順次入れることで可能である。
【0020】
そして、ステップS106は、遠心分離工程として、第2撹拌を経た粉砕茶葉銅水(粒状茶葉銅水)を遠心分離(固液分離)し、流動性のある半固形状(ペースト状)の茶ペースト及び液状の茶濃縮液を得る。例えば、ステップS106は、粉砕茶葉銅水をポンプなどの移送装置で遠心分離機に移送し、遠心分離機により、固液分離をすることで行うことができる。以上のように、本実施形態の茶加工方法は、茶ペースト及び茶濃縮液を作成(製造)することができる。
【0021】
また、本実施形態の茶加工方法は、ステップS101に当たる希釈銅イオン水を予め作成しておき、ステップS102~ステップS106により行うこともできる。その場合、ステップS102~ステップS104を約1時間、ステップS105及びステップS106を約30分、合計約1時間30分で行うことができる。そして、ステップS106において得られる茶ペースト及び茶濃縮液は、それぞれ充填されるが、その際に充填前撹拌を行うことで、前述の循環不足をさらに防止することができる。
【0022】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、前述の実施形態と同様の事項については、その説明を省略又は簡素化する。本実施形態で示す発明は、茶葉を銅イオン水により加工し、茶ペーストを作成する茶加工方法である。以下に、本実施形態において示す茶加工方法において用いられる各材料について説明する。
【0023】
茶葉の大きさは、第1実施形態で用いる茶葉よりも小さく、その粒径が、好ましくは5μm~20μmであり、より好ましくは15μm~20μm弱である。茶葉の粒径が5μm以下であると、銅イオン水(希釈銅イオン水)に含まれる銅イオンとの反応が鈍くなってしまい、銅イオン水(希釈銅イオン水)の銅濃度を増やしても茶葉が鮮やかな緑色にはなりにくい傾向がある。また、茶葉の粒径が、5μm以下又は20μm以上であると、希釈銅イオン水と混ざりにくくなってしまい、加工時間が増えてしまう。
【0024】
次に、本実施形態の茶加工方法について説明する。本実施形態の茶加工方法は、
図2に示すように、ステップS201~ステップS203のステップにより、行われるものである。以下に、各ステップについて説明する。
【0025】
まず、ステップS201は、希釈銅イオン水作成工程として、銅イオン水に水道水や蒸留水等の水を加え、任意の銅濃度の希釈銅イオン水を作成する。ここで、希釈銅イオン水の銅濃度は、好ましくは300PPM~500PPMであり、より好ましくは400PPM~500PPMである。
【0026】
次に、ステップS202は、茶葉添加及び撹拌工程として、希釈銅イオン水に茶葉を少しずつ加えながら、希釈銅イオン水及び茶葉を撹拌(茶葉添加中撹拌)することで、茶葉入り銅イオン水を作成する。ステップS202の所要時間としては、約3分であり、比較的短時間で行うことができる。また、本実施形態の茶加工方法では遠心分離(固液分離)を行わないため、ここで作成される茶葉入り銅イオン水は、第1の実施形態の茶葉入り銅イオン水と比して、希釈銅イオン水の配合量を低くして作られる。本実施形態の茶葉入り銅イオン水を作成する際、茶葉及び希釈銅イオン水との配合比率(重量比)は、茶葉を1に対して、好ましくは希釈銅イオン水を3.5~4.5であり、より好ましくは希釈銅イオン水を3.8~4.2である。そして、本実施形態で用いる茶葉は、前述のように比較的小さいため、一度に全て加えると、茶葉同士が固まったダマが発生しやすくなってしまう。茶葉同士が固まり、ダマになってしまうと、銅イオンとの反応が悪くなってしまう。そこで、ステップS202は、希釈銅イオン水に茶葉を少しずつ加えることで、茶葉同士が固まりダマになってしまうことを防止する。
【0027】
次に、ステップS203は、茶葉添加後の撹拌工程として、希釈銅イオン水に茶葉を加え終わった後、撹拌(茶葉添加後撹拌)を行うことで、茶ペーストを得る。ステップS203の所要時間としては、約2分であり、ステップS202に加えステップS203も比較的短時間で行うことができる。以上のように、本実施形態の茶加工方法は、茶ペーストを作成(製造)することができる。
【0028】
ここで、ステップS201の希釈銅イオン水の作成及びステップS202の希釈銅イオン水への茶葉の添加は、容器があれば可能であり、ステップS202及びステップS203の撹拌は、ハンドミキサーなどの撹拌機であっても可能であるため、ステップS201~ステップS203による本実施形態の茶加工方法は、容易に茶ペーストを作成可能な茶加工方法である。また、本実施形態の茶加工方法は、ステップS201に当たる希釈銅イオン水を予め作成しておき、ステップS202及びステップS203により行うこともできる。その場合、本実施形態の茶加工方法は、ステップS202及びステップS203を合計約5分で行うことが可能であるため、短時間で茶ペーストを作成できる。そして、ステップS203において得られる茶ペーストは、その後充填されるが、ステップS203終了後から充填まで撹拌(充填前撹拌)を行うことで、前述の循環不足をさらに防止することができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。