(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095139
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】外観検査方法、外観検査装置、構造体に対する加工方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
G01N21/958
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208290
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】504007202
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクファインシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】笠井 啓晃
(72)【発明者】
【氏名】酒井 薫
(72)【発明者】
【氏名】大崎 真由香
(72)【発明者】
【氏名】中須 信昭
(72)【発明者】
【氏名】小坂 淳也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AA42
2G051AB02
2G051AB20
2G051BB03
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA07
2G051EA16
2G051EB01
2G051ED01
2G051ED08
(57)【要約】
【課題】
本発明では、複合部材10のような透過性部材の第1面と第2面それぞれで発生するバリなどの不具合を識別することを課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明では、構造体の外観検査装置20において、カメラ21で複合部材10の透過性部材(ガラス)に対する第1の方向の反射光に対する撮影、もしくは反射光の画素値が一定値以上となる撮影を行い、透過性部材の界面のうち、第1面に関する不具合の形状を認識する。ここで、表面とは、透過性部材の界面のうち、カメラ撮像装置側を意味する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性部材を含む構造体の不具合を検査する外観検査装置を用いた外観検査方法において、
前記外観検査装置は、前記構造体を保持する保持部と、前記保持された構造体を撮影する撮影部と、前記保持された構造体のうち、少なくとも前記透過性部材の第1面に向けて、前記撮影部での撮影のための照明を照射する照明部と、前記保持部、前記撮影部および前記照明部を制御する制御部を有し、
前記制御部が、
前記透過性部材の第1面に対する前記撮影部での撮影において、当該第1面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるように、前記撮影部および前記照明部のうち少なくとも一方を制御し、
画素値が前記予め定めた値以上になった場合、前記構造体の少なくとも一部を、前記第1面に対して第1の方向の反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
撮影された前記構造体の少なくとも一部の撮影情報を用いて、前記構造体の前記第1面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、
前記撮影部での撮影において、当該第1面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるような第1の照明を照射するように、前記照明部を制御し、
前記第1の照明が照射された場合に、前記構造体の少なくとも一部を、前記第1の照明により生じる前記第1の方向の反射光を撮影するよう前記撮影部を制御することを特徴とする外観検査方法。
【請求項3】
請求項2に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、
前記第1の方向の反射光とは異なる方向である第2の方向への反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
前記撮影情報と、前記第2の方向への反射光を撮影した第2の撮影情報を用いて、前記不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査方法。
【請求項4】
請求項3に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、前記構造体の不具合の形状を認識できない場合に、前記第2の方向への反射光を撮影するように、前記撮影部を制御することを特徴とする外観検査方法。
【請求項5】
請求項2に記載の外観検査方法において、
前記保持部が、前記透過性部材の第1面が、前記撮影部および前記照明部が正対する方向となるように、前記構造体を保持し、
前記第1の方向への反射光は、前記透過性部材の第1面における略正反射光であることを特徴とする外観検査方法。
【請求項6】
請求項2に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、前記第1面から透過光の透過方向に存在する第2面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、
前記第1面から透過光の透過方向に存在する第2面の少なくとも一部に対して、第2の照明を照射するように前記照明部を制御し
前記第2の照明が照射された場合、前記構造体の少なくとも一部を、前記第2の照明に対する第3の方向への反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
前記第3の方向への反射光に対する撮影情報を用いて、前記構造体の前記第2面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載の外観検査方法において、
前記制御部が、当該第2面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるように、前記第2の照明を照射するように前記照明部を制御することを特徴とする外観検査方法。
【請求項9】
請求項1に記載の外観検査方法における制御部は、前記構造体を加工する加工装置に対して、前記不具合の形状に対する加工のための制御信号を出力し、
前記加工装置が、前記制御信号に従って、前記構造体を加工することを特徴とする構造体に対する加工方法。
【請求項10】
透過性部材を含む構造体の不具合を検査する外観検査装置において、
前記構造体を保持する保持部と、
前記保持された構造体を撮影する撮影部と、
前記保持された構造体のうち、少なくとも前記透過性部材の第1面に向けて、前記撮影部での撮影のための照明を照射する照明部と、
前記保持部、前記撮影部および前記照明部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記透過性部材の第1面に対する前記撮影部での撮影において、当該第1面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるように、前記撮影部および前記照明部のうち少なくとも一方を制御し、
画素値が前記予め定めた値以上になった場合、前記構造体の少なくとも一部を、前記第1面に対して第1の方向の反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
撮影された前記構造体の少なくとも一部の撮影情報を用いて、前記構造体の前記第1面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の外観検査装置において、
前記制御部が、
前記撮影部での撮影において、当該第1面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるような第1の照明を照射するように、前記照明部を制御し、
前記第1の照明が照射された場合に、前記構造体の少なくとも一部を、前記第1の照明により生じる前記第1の方向の反射光を撮影するよう前記撮影部を制御することを特徴とする外観検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の外観検査装置において、
前記制御部は、
前記第1の方向の反射光とは異なる方向である第2の方向への反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
前記撮影情報と、前記第2の方向への反射光を撮影した第2の撮影情報を用いて、前記不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の外観検査装置において、
前記制御部は、前記構造体の不具合の形状を認識できない場合に、前記第2の方向への反射光を撮影するように、前記撮影部を制御する特徴とする外観検査装置。
【請求項14】
請求項11に記載の外観検査装置において、
前記保持部は、前記透過性部材の第1面が、前記撮影部および前記照明部が正対する方向となるように、前記構造体を保持し、
前記第1の方向への反射光は、前記透過性部材の第1面における略正反射光であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項15】
請求項11に記載の外観検査装置において、
前記制御部は、前記第1面から透過光の透過方向に存在する第2面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査装置。
【請求項16】
請求項15に記載の外観検査装置において、
前記制御部は、
前記第1面から透過光の透過方向に存在する第2面の少なくとも一部に対して、第2の照明を照射するように前記照明部を制御し
前記第2の照明が照射された場合、前記構造体の少なくとも一部を、前記第2の照明に対する第3の方向への反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、
前記第3の方向への反射光に対する撮影情報を用いて、前記構造体の前記第2面に関する不具合の形状を認識することを特徴とする外観検査装置。
【請求項17】
請求項16に記載の外観検査装置において、
前記制御部は、当該第2面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるように、前記第2の照明を照射するように前記照明部を制御することを特徴とする外観検査装置。
【請求項18】
請求項10に記載の外観検査装置の制御部は、前記構造体を加工する加工装置に対して、前記不具合の形状に対する加工のための制御信号を出力し、
前記加工装置が、前記制御信号に従って、前記構造体を加工することを特徴とする構造体に対する加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材で構成される構造体、特に、透過性を有する部材と他の部材を含む構造体の外観を検査する技術に関する。さらに、本発明は、検査結果を用いた構造体の加工技術にも関する。なお、透過性を有する部材とは、検査に用いる検査光を所定以上透過すればよく、いわゆる半透明な部材も含む。
【背景技術】
【0002】
現在、工場などの生産現場で様々な構造体が生産されているが、設計とおり生産されるとは限らない。つまり、構造体に、これを構成する部材に不具合が生じることがある。例えば、パーティングラインやバリと呼ばれる突起が発生することがある。また、設計に対して欠落部分が発生することもある。このため、生産現場においては、その構造体の外観の検査が行われている。この外観の検査においては、撮影装置から入力される画像に対して画像処理(画像認識を含む)を行うことで、検査を実行していることが一般的である。
【0003】
ここで、構造体に透過性を有する部材が含まれると、高精度な外観検査が困難な場合がある。このような構造体の検査においては、透過性を有する部材の存在を考慮する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、「被検物の表面および裏面に付着した異物を高精度で検査しうる異物検査装置」が開示されている。この「異物検査装置は、投光位置から光透過性の被検物に対して検査光が斜入射するように前記検査光を投光する投光部と、前記検査光によって生じる前記異物の散乱光を受光位置で受光する受光部と、前記受光部の受光結果を処理して前記異物の有無を判定する処理部と、を含む」。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、構造体として、透過性を有する部材(透過性部材)のうち、当該部材の境を示す界面のうち、少なくとも2面において、他の部材を含む不具合の検査を行うことが必要なものある。
図1に、この構造体の一例である複合部材10を示す。複合部材10は、ガラス101と、ガラス101の外周面に設けられたゴム枠102が一体成型することで、構成される。
図1(a)は、複合部材10の断面図であり、
図1(b)はその上面図を示す。ここで、
図1(a)に示すように、複合部材10のゴム枠102のガラス101の上面および下面のそれぞれに、バリ1021およびバリ1022の不具合が生じている。このような場合、発生する不具合の検査においては、上面の部材と下面のバリを区別して、認識することが必要である。なお、
図1の例では、ガラス101の上面および下面のバリ、つまり、不具合を認識しているが、このことは、ゴム枠102、つまり、部材を認識することでもある。
【0007】
しかし、特許文献1では、異物の存在を検出することは記載されているものの、部材の形状に関する不具合を認識することは考慮されていない。そこで、本発明では、透過性部材の界面に、他の部材、他の部材を構成する部材もしくは他の部材に関する不具合が生じる構造体の検査に関するものであり、以下の点を課題とする。本発明の課題は、透過性部材と他の部材を有する構造体における形状に関する不具合の形状を認識することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、構造体の外観検査において、撮影部で透過性部材に対する第1の方向の反射光に対する撮影、もしくは反射光の画素値が一定値以上となる撮影を行い、透過性部材の界面のうち、第1面に関する不具合の形状を認識する。ここで、表面とは、透過性部材の界面のうち、撮像部側を意味する。
【0009】
なお、一般の生産においては、バリなどの狭義の不具合が発生しないこともある(設計公差の範囲内)。このような場合も、本発明では、構造体を構成する部材やその部分の形状を認識することが可能である。そこで、本明細書での「不具合」の形状とは、設計公差範囲内の部材や部分も含まれる。
【0010】
より具体的には、本発明は、透過性部材を含む構造体の不具合を検査する外観検査装置を用いた外観検査方法において、前記外観検査装置は、前記構造体を保持する保持部と、前記保持された構造体を撮影する撮影部と、前記保持された構造体のうち、少なくとも前記透過性部材の第1面に向けて、前記撮影部での撮影のための照明を照射する照明部と、前記保持部、前記撮影部および前記照明部を制御する制御部を有し、前記制御部が、前記透過性部材の第1面に対する前記撮影部での撮影において、当該第1面の少なくとも一部の画素値が予め定めた値以上になるように、前記照明部および前記撮影部の少なくとも一方を制御し、前記画素値が前記予め定めた値以上になった場合、前記構造体の少なくとも一部を、前記第1面に対して第1の方向の反射光を撮影するよう前記撮影部を制御し、撮影された前記構造体の少なくとも一部の撮影情報を用いて、前記構造体の前記第1面に関する不具合の形状を認識する外観検査方法である。なお、制御部が、画素値が予め定めた値以上になるように制御することには、(1)照明部が所定の第1の方向から照明を照射すること、(2)照明部が所定以上の輝度の照明を照射すること、(3)撮影部の撮影におけるゲインを制御することの少なくとも1つが含まれる。
【0011】
また、本発明には、上述の外観検査装置、制御部を実現するための情報処理装置も含まれる。さらに、この情報処理装置を機能させるためのコンピュータプログラムやこのプログラムを記憶する記憶媒体も含まれる。
【0012】
またさらに、本発明には、外観検査の結果を用いた加工方法や加工装置も含まれる。ここで、この加工方法を実行するためのコンピュータプログラムやこのプログラムを記憶する記憶媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透過性部材を含む構造体の外観検査をより正確に実現できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】各実施例における検査対象である複合部材を示す図
【
図2】実施例1における外観検査装置の構成を示すブロック図
【
図3】実施例1における制御部の構成を示すブロック図
【
図4】実施例1における処理内容を示すフローチャート
【
図6】(a)実施例1における撮影情報を示す図、(b)撮影条件を用いない場合の画像の一例を示す図
【
図7】(a)実施例1における撮影情報を示す図、(b)撮影情報から切断線を抽出する処理を説明する図、(c)撮影情報における輝度と画素の関係を示す図、(d)極小値の判別が困難な場合の撮影情報における輝度と画素の関係を示す図
【
図8】実施例1における製造システムの構成を示すブロック図
【
図9】実施例2における外観検査装置の構成を示すブロック図
【
図10】実施例2における処理内容を示すフローチャート
【
図12】(a)(b)実施例2および3における撮影情報示す図、(c)実施例2および3における切断線の抽出を説明する図
【
図13】実施例3における外観検査装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施例を、図面を用いて説明するが、まず、各実施例に共通の検査対象について、説明する。各実施例では、
図1に示す複合部材10を検査対象の例として説明する。この複合部材10は、鉄道車両の窓として用いられるものであり、ガラス部分とこれを支える枠を一体的に製造される。そして、この複合部材10は、いわゆるユニット枠として、鉄道車両に設置される。なお、本発明は、複合部材10は、鉄道車両への設置に限定されず、自動車、航空機、船舶などの各種交通手段やビルなどの建造物にも設置可能である。
【0016】
上述のように、検査対象である複合部材10は、透過性部材であるガラス101がゴム枠102で囲まれ、保持されている。そして、
図1(a)に示すように、ゴム枠102には、バリ1021とバリ1022が、ガラス101の上面および下面のそれぞれに発生する。これらバリとしては、厚さ0.1mm程度のとげ状、厚さ0.1~0.3mm程度の帯状、厚さ0.1mm以下の粒状などがある。
【0017】
ここで、この複合部材10の外観を検査する場合、上面側からカメラなどの撮影装置ないし撮影部を用いて撮影することになる。例えば、撮影装置は、
図1(a)に示す矢印の方向から撮影する。この場合、ゴム枠102において、図中上面側にバリ1021が発生している。また、同じく下面側にはバリ1022が発生している。この際、図の矢印方向から観察すると、ガラス101が透過性を有するため、バリ1021とバリ1022が共に観察できる。このため、これらを、撮影装置を用いて撮影すると、バリ1021だけでなく、バリ1022も撮影されてしまう。つまり、撮影装置に正対する側のバリ1021と、ガラス101を介して透過光を通過する方向であるバリ1022の両方が撮影されてしまう。このことは、バリ1021とバリ1022を区別できないことを意味する。このため、バリ1021を抽出ないし認識できない。このことで、バリ1021を除去するための切断位置を特定できない。
【0018】
そこで、本発明の各実施例では、バリ1021を認識、言い換えると、バリ1022を除去するための処理を実行する。このように、各実施例では、ゴム枠102のような検査対象の画像に対し、ガラス101のような透過性部材が与える影響を加味した認識処理を実行する。
【実施例0019】
まず、実施例1について、説明する。
図2は、本実施例における外観検査装置20の構成を示すブロック図である。外観検査装置20は、検査物である複合部材10を撮影するカメラ21、複合部材10に対し照明を照射す同軸落射照明器22、複合部材10保持するXYステージ23およびこれら各構成、つまり外観検査装置20を制御する制御部24を有する。
【0020】
以下、この外観検査装置20の各構成について、説明する。カメラ21は、複合部材10を撮影する機能を有する撮影装置ないし撮影部の一実現手段である。カメラ21の撮影は、静止画に限らず、動画を撮影してもよい。
【0021】
また、同軸落射照明器22は、照明部として機能し、カメラ21で撮影される複合部材10に対し、照明を照射する照明部の一実現手段である。同軸落射照明器22は、光源221からの照明(光)を、ハーフミラーのような反射板222で反射させ、カメラ21の光学軸と平行な照明を発する。この結果、同軸落射照明器22からの照明を、複合部材10の少なくとも一部に照射することが可能になる。なお、本実施例では、カメラ21の光学軸と平行な照明を照射する「同軸落射」照明を用いるが、他の照明であってもよい。
【0022】
次に、XYステージ23は、複合部材10を保持する機能を有する保持部の一実現手段である。XYステージ23は、複合部材10の検査面となる第1面である上面が、カメラ21や同軸落射照明器22に、正対する方向となるように、この複合部材10を保持する。ここで、上面が正対する方向とは、検査面である上面が検査に適した方向を意味する。このため、この方向は、検査対象やその検査面の形状、特性、検査の精度に応じて、適宜決めることができる。また、この方向へ向けるために、後述するように、制御部24に従ってXYステージ23が動作する他、検査員が手作業でその向きとなるようにXYステージ23を操作してもよい。なお、図示しないが、XYステージ23を駆動するためのモーターで代表される駆動機構を有する。
【0023】
最後に、制御部24は、カメラ21、同軸落射照明器22、XYステージ23の動作を制御する。つまり、制御部24は、外観検査装置20の動作を制御する。このため、制御部24は、カメラ21、同軸落射照明器22、XYステージ23のそれぞれと接続されており、制御のための情報を互いに送受信している。
【0024】
また、制御部24は、外観検査装置20と一体として構成としてもよいし、別筐体で構成してもよい。前者の場合、上述の接続は内部通信路で実現できる。また、後者の場合、ネットワークにより接続が可能になる。さらに、後者の場合、制御部24をPC、タブレット、サーバのような情報処理装置で実現できる。このように別筐体で実現される制御部24の構成を、
図3を用いて、説明する。なお、外観検査装置20と一体として構成される場合も基本的な構成は、別筐体で実現される場合と同じであり、その相違点は
図3の説明の中で触れる。
【0025】
図3は、制御部24の構成を示すブロック図である。制御部24は、処理部241、入力部242、表示部243、通信I/F244、主記憶部245および補助記憶部246を有する。これらは、バスのような内部通信路を介して、互いに接続されている。以下、各構成について、説明する。
【0026】
まず、処理部241は、CPUのような演算装置で実現される。つまり、主記憶部245に格納ないし展開された各プログラムに従った処理を実行する。この処理内容については、後述する。なお、本実施例では、制御部24の機能を、プログラム、つまり、ソフトウエアを用いて実現するが、ハードウエアで実現してもよい。つまり、後述する処理を実行する回路により、処理部241を構成してもよい。
【0027】
次に、入力部242は、キーボードやポインティングといった入力デバイスで実現でき、検査員の操作を受け付ける。この操作には、カメラ21など起動、停止などの検査における操作の他、故障時の対処などが含まれる。なお、外観検査装置20を自動運用する場合などは、入力部242を省略してもよい。
【0028】
次に、表示部243はいわゆるディスプレイとして実現可能であり、各種情報を出力する。また、表示部243は入力部242とタッチパネルのように一体成型してもよい。さらに、外観検査装置20を自動運用する場合などは、表示部243は省略してもよい。
【0029】
次に、通信I/F244は、外観検査装置20の各種構成とネットワークを介して接続する機能を有する。本実施例では、外観検査装置20一台と接続しているが、複数台数と接続してもよい。また、制御部24を外観検査装置20と一体で構成する場合、この構成を省略し、他の構成と制御部24を直接接続してもよい。
【0030】
次に、主記憶部245は、メモリといった記憶媒体で実現される。そして、主記憶部245は、処理部241での処理を行うための各プログラムを主記憶部245に展開する。このため、各プログラムは、通常は補助記憶部246など他の記憶部、記憶媒体に格納されていることが望ましい。ここで、プログラムには、外観検査装置20を制御するための各種プログラムが含まれる。これらは、以下のものが例示できる。
カメラ21の起動を制御するカメラ制御プログラム2451
同軸落射照明器22の起動を制御する同軸落射照明器制御プログラム2452
XYステージ23の動作を制御するXYステージ制御プログラム2453
さらに、主記憶部245は、プログラムとして、カメラ21で撮影された撮影情報に対して、各種画像処理を実行するための画像処理プログラム2454も記憶する。これらプログラムの詳細は、後述する。
【0031】
最後に、補助記憶部246は、各種情報を記憶する。各種情報には、複合部材10の設計情報2461やカメラ21で撮影された撮影情報2462が含まれる。また、補助記憶部246は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)や各種光学ディスクなどで実現できる。なお、この補助記憶部246は、上述の各種プログラムも記憶してもよい。さらに、この補助記憶部246に記憶される情報は、通信I/F244を介して接続される外部記憶装置に記憶してもよい。
【0032】
次に、処理部241を用いた各種処理の詳細を、
図4を用いて、説明する。
図4は、本実施例における処理部241を用いた処理内容を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS100において、処理部241は、カメラ制御プログラム2451および同軸落射照明器制御プログラム2452に従って、カメラ21および同軸落射照明器22を起動する。この起動の条件は、入力部242を介した検査員の操作やXYステージ23からの複合部材10を保持したことを示す検知信号の受信が含まれる。この際、XYステージ23で保持された複合部材10を識別する複合部材識別情報が、入力部242に対する操作もしくは検知信号に含まれ、処理部241はこれを特定する。
【0034】
次に、ステップS101において、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、検査対象の複合部材10の撮影条件を特定する。このために、処理部241は、補助記憶部246の設計情報2461から該当する複合部材10の撮影条件を読み出す。この設計情報2461の一例を
図5に示す。設計情報2461は、検査対象である複合部材を識別する複合部材識別情報2461-1、これを構成する各部材を特定する部材2461-2が含まれる。ここで、部材2461-2には、検査対象に影響を与える透過性部材か、また、検査対象か否かを示す情報を付加することが望ましい。
【0035】
また、設計情報2461には、各部材の大きさ、形状を示す寸法2461-3やこの寸法に対して修正加工が必要かを判断するための公差2461-4も含まれる。またさらに、設計情報2461には、複合部材ごとに、その撮影のための条件である撮影条件2461-5も含まれる。この撮影条件2461-5は、その照明輝度やカメラ21におけるカメラゲインを含むことが好適である。さらに、カメラゲインの代わりに、このカメラゲインを実現するためのカメラ21におけるISO感度、絞り、シャッタースピードを格納してもよい。
【0036】
ステップS101においては、ステップS100で特定された複合部材識別情報に対応するレコードを、設計情報2461から特定する。例えば、ステップS100で#1が特定された場合、
図5に示す1レコード目が特定される。そして、処理部241は、特定されたレコードに含まれる撮影条件2461-5を特定する。
図5の例では、処理部241は、照明輝度として「a」が、ガメラゲインとして「b」を特定する。なお、これら撮影条件は、透過性部材における反射光の画素値が一定以上となる条件を示す。この画素値には輝度が含まれる。また、画素値が一定以上の例として、いわゆる白飛びなどのような撮影情報が飽和することが含まれる。
【0037】
次に、ステップS102において、処理部241は、XYステージ制御プログラム2453に従って、XYステージ23に対して、移動するための制御信号を出力する。この際、処理部241は、カメラ21で撮影された複合部材10の位置を特定し、バリを切断するための切断線がカメラ21の視野内に含まれるように、XYステージ23へ制御信号を出力する。この切断線は、処理部241により設計情報2461の寸法を用いて特定可能である。
【0038】
また、本ステップでは、処理部241は、カメラ制御プログラムに従って、カメラの位置を、上述のように切断線がカメラ21の視野内に含まれるように移動する制御信号を、カメラ21に出力してもよい。このように、カメラ21とXYステージ(もしくはこれが保持する複合部材10)の相対位置関係により、切断線がカメラ21の視野内に含まれるように制御すればよい。なお、切断線は、部材を、設計に沿って加工するための加工位置の一種である。
【0039】
次に、ステップS103において、処理部241は、カメラ制御プログラム2451に従って、ステップS101で特定された撮影条件に応じて撮影するための制御信号を、カメラ21に出力する。また、処理部241は、同軸落射照明器制御プログラム2452に従って、ステップS101で特定された撮影条件に応じた照明を行うための制御信号を同軸落射照明器22に出力する。
【0040】
これらの結果、同軸落射照明器22は、ステップS101で特定された撮影条件に含まれる照明条件での照明を照射する。ここで、同軸落射照明器22は、複合部材10ないしガラス101から第1の方向の反射光を発生する。この反射光は、略正反射光であることが望ましい。略正反射光とは、正反射光を含み、正反射光の反射角から一定範囲内に収まる反射光を意味する。また、第1の方向の反射光は、撮影情報において画素値が一定値以上とも定義できる。この例としては、いわゆる白飛びを含む飽和が挙げられる。本実施例では、第1の方向の反射光として、略正反射光であり、飽和を発生させるものとして説明する。
【0041】
また、カメラ21では、出力された制御信号、つまり、ステップS101で特定されたカメラゲインで、略正反射光を含む撮影を行う。つまり、カメラ21は、ガラス101の一部分の画素値が飽和となる画像を撮影する。
【0042】
なお、上記のように、画素値が一定値以上になればよいため、ステップS103において、処理部241は以下のとおり制御してもよい。(1)上述のように、同軸落射照明器22が所定の第1の方向から照明を照射すること、(2)同軸落射照明器22が所定以上の輝度の照明を照射すること、(3)カメラ21の撮影におけるゲインを制御することの少なくとも1つが含まれる。つまり、これらのいずれか1つもしくは組合せで、画素値が一定値以上となる撮影が実現できればよい。
【0043】
ここで、一旦フローチャートの説明から離れ、本実施例で、第1の反射光を撮影する意義を説明する。まず、ステップS013で取得された撮影情報2462を、模式的に示す一例を
図6(a)に示す。
図6(a)に示すように、撮影情報2462はガラス部分101-1が飽和している。そして、
図6(a)右側にゴム枠部分102-1が存在する。そして、ゴム枠部分102-1には、ガラス101の上面側に発生したバリ1021を示すバリ部分1021-1が示される。
【0044】
これに対して、ステップS101の撮影条件を用いない場合の画像を、
図6(b)に示す。
図6(b)に示す画像では、ガラス部分101-1が飽和していない。このため、この画像では、ガラス101の下面側に発生したバリ1022を示すバリ部分1022-1も撮影情報に含まれてしまう。このように、ステップS101で特定された撮影条件を用いない場合は、下面側のバリ部分1022-1も撮影情報2462に含まれてしまい、バリ部分1021-1の特定が困難になってしまう。したがって、バリを除去する場合、正確な切断線を特定することが困難になってしまう。
【0045】
なお、
図6(a)(b)は、それぞれ撮影情報、画像を模式的に示したものである。このため、
図6(a)が示す撮影情報2462においては、無視可能な程度なバリ部分1022-1が含まれてもよい。
【0046】
さらに、本実施例では、ステップS101において、設計情報2461に含まれる撮影条件2461-5を用いた。但し、試行的にカメラ21で撮影を行い、この結果を処理部241が画像処理プログラム2454に従って、ガラス部分101-1が飽和しているかを判断してもよい。この場合、カメラ21の撮影と処理部241での判断を反復的に行うことになる。また、飽和したかの判断を、検査員が表示部243に表示された画像を用いて行ってもよい。
【0047】
以上で、第1の方向の反射光を用いる意義の説明を終わり、
図4のフローチャートの説明に戻る。
【0048】
ステップS103では、カメラ21で撮影された画像である撮影情報を、制御部24に出力する。これを受けて、制御部24の処理部241は、この撮影情報を、補助記憶部246に撮影情報2462として記憶する。なお、撮影情報2462は、カメラ21で撮影された画像そのものであってもよいし、この画像と撮影対象である複合部材10の個体を識別する情報を含むことが好適である。
【0049】
次に、ステップS104において、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、撮影情報2462から切断線を抽出する。この抽出について、
図7を用いて説明する。
図7(a)は、
図6(a)と同じ図であり、撮影情報2462を模式的に示した図である。これに対して、
図7(b)は、
図7(c)で示される画素と輝度の関係を示す情報を用いて、切断線を抽出する。例えば、処理部241は、
図7(c)に示されるゴム枠部分102-1(図面右側)からその画素値、つまり、輝度が最初に極小値を示す画素を、ガラス部分101-1とゴム枠部分102-1の境界領域に沿って順次特定していき、切断線103を抽出する。
【0050】
なお、本実施例の処理部241は、切断線103の抽出を、輝度値の極小値に限らず、輝度値の特性を用いて実行することができる。例えば、本実施例の処理部241は、輝度の傾きの変化率が予め定めた値より大きい箇所を検出して実現してもよい。
図7(d)に示すように、極小値の判別が困難な場合がある。複合部材10では、ゴム枠102の形状に依存して、極小値ができたり、極小値ができずに傾きの変化が大きい場合がある。このため、処理部241は、極小値と傾きの変化の双方を利用して、切断線103を抽出してもよい。
【0051】
また、処理部241は、切断線を抽出した場合、切断線103から左側にバリ端面を抽出する(
図7(c)参照)。この場合、処理部241は、バリ端面位置と切断線103位置の差分をバリの大きさとする。なお、切断線103を抽出できない場合、つまり、バリなしで切断の必要がない場合がある。この場合も同様に、処理部241は、バリ端面位置と切断線103位置の差分をバリの大きさとする(
図7(d)参照)。
【0052】
このため、本実施例では、このような輝度と画素の関係を示す情報を、撮影情報2462として、もしくは、撮影情報2462と対応付けて、補助記憶部246に記憶することが望ましい。この場合、処理部241は、ゴム枠102のいずれの内辺の切断線であるかを判別可能となるように、切断線を示す情報を記憶する。
【0053】
次に、ステップS105において、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、抽出された切断線103に基づいて、バリの有無を判定する。この判定は、以下のとおり実行する。処理部241は、切断線103が抽出されない場合は、バリなしと判定する。また、切断線103を抽出した場合、処理部241は、設計情報2461の公差2461-4を用いる。つまり、処理部241は、切断線から公差2461-4の範囲内かを判定する。この結果を用いて、処理部241は、範囲内であればバリは無いと判定する。
【0054】
この判定の結果、本ステップでは、ゴム枠102に対して、切断加工が必要かを判定することが可能になる。なお、処理部241は、この判定結果をステップS104で抽出された切断線と対応付けて、補助記憶部246に記憶することが望ましい。
【0055】
そして、ステップS106において、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、複合部材10の上面側の全周、つまり、上面側のゴム枠102の各内辺に対する撮影が終了したかを判断する。このために、処理部241は、設計情報2461を用いることが望ましい。この結果、終了していない場合(NO)は、ステップS101に戻る。終了した場合(YES)は、本フローチャートの処理を終了する。
【0056】
なお、上記のフローチャートは、複合部材10の上面側の検査を示すが、下面側も同様に行うことが可能である。つまり、XYステージ23に、上下(表裏)を、上述とは反対に設置された複合部材10に対し、
図4と同様の処理を行うことで、下面側の検査が可能になる。
【0057】
また、下面側の検査については、ステップS101の撮影条件の利用を省略して行うことも可能である。つまり、後述するようにバリ1021を切断すれば、検査対象でない上面のバリ1021は撮影されない。このため、下面の検査においては、ステップS101を省略して検査することが可能である。
【0058】
以上で、実施例1の外観検査における処理の説明を終了する。ここで、実施例1では、さらに以下に説明するバリの切断加工などバリに対する加工を行ってもよい。
【0059】
本実施例では、バリの切断を行う切断装置を、外観検査装置20に一体で構成してもよいし、別筐体で構成してもよい。但し、いずれにしてもよい制御部24と接続されることが望ましい。また、
図8のブロック図に示す製造システム200として実現してもよい。
図8の製造システム200は、外観検査装置20と同様の機能を有する検査ステーション201と切断装置の一種である加工ステーション202を有する。つまり、検査ステーション201にはカメラ21、同軸落射照明器22が設置されている。また、加工ステーション202には、バリを切断するためのレーザー発振器25が設置されている。なお、本実施例では、切断装置としてレーザー発振器25を用いるがこれに限定されない。また、本実施例では、加工として、切断を例に挙げたが、これ以外の削除等の他の加工が含まれる。つまり、切断装置以外の加工装置を用いてもよい。
【0060】
また、制御部24が検査ステーション201および加工ステーション202の各構成と接続され、これらへ制御信号を出力して制御する。なお、制御部24の処理部241は、検査ステーション201および加工ステーション202のそれぞれで設けてもよい。
【0061】
次に、
図8の製造システム200での処理について、簡単に説明する。
図4のフローチャートでの処理の終了後、処理部241は、XYステージ制御プログラム2453に従って、XYステージ23-aに対して、複合部材10を加工ステーション202側に移動させる制御信号を出力する。この結果、
図8に示すように、XYステージ23-aがその駆動機能を用いて、複合部材10を加工ステーション202側に移動する。なお、このように、移動させるために、検査ステーション201と加工ステーション202の座標のキャリブレーション結果を、補助記憶部246に記憶しておく。
【0062】
そして、処理部241は、図示しない切断加工制御プログラムに従って、レーザー発振器25に制御信号を出力する。この制御信号は、ステップS105でバリが有る(YES)と判断されたゴム枠102の内辺について、ステップS104で抽出した切断線に従った切断を指示する信号である。
【0063】
このために、処理部241は、補助記憶部246に記憶された切断線やバリの有無を示す情報を用いる。この結果、レーザー発振器25はステップS104で抽出された切断線に沿ってレーザーを出力し、複合部材10のゴム枠102のバリ1021を切断する。
【0064】
なお、本実施例では、バリの切断をゴム枠102の各内辺(全周)の撮影の後に行っている。但し、これの切断は、撮影の度に実行してもよい。
【0065】
以上で、実施例1の説明を終了し、以下実施例2を説明する。
まず、ステップS100は、実施例1と同じの処理である。次に、ステップS201を実行するが、この処理は実施例1のステップS101と基本的には同様の処理を行う。ステップS201では、ステップS101に加え、照明器26の姿勢・角度の特定を行う。具体的には、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、検査対象の複合部材10の撮影条件として、照明器26の「照明姿勢・位置」を特定する。これは、照明器26の複合部材10に対する照射角度を示す。この照射角度は、同軸落射照明器22とは異なる角度であって、以下に示すように求められる。このため、照明器26を用いた撮影では、第1の方向とは異なる方向である第2の方向の反射光を撮影することになる。
次に、ステップS203は、ステップS103と同様の画像取得を行う。但し、照明が同軸落射照明器22から照明器26に代わっている。つまり、ステップS203において、処理部241は、カメラ制御プログラム2451に従って、ステップS201で特定された撮影条件に応じて撮影するための制御信号を、カメラ21に出力する。また、処理部241は、同軸落射照明器制御プログラム2452もしくは図示しない照明制御プログラムに従って、ステップS201で特定された撮影条件に応じた照明を行うための制御信号を照明器26に出力する。
次に、ステップS204において、処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、実施例1のステップS104と同様の処理を行う。つまり、処理部241は、ステップS203で取得された撮影情報から切断線を抽出する。この切断線の抽出は、実施例1と同じように、画素値の特性を用いて抽出する。なお、この抽出は、実施例1と同様のため、その詳細の記載は省略する。
なお、本実施例では、ステップS201において、同軸落射照明器22および照明器26の撮影条件(照明輝度、照明姿勢・角度)をそれぞれ求めた。但し、ステップS201では照明器26の撮影条件を求め、ステップS103の直前に同軸落射照明器22での撮影条件を求める構成としてもよい。
さらに、本実施例では、照明器26の照明での撮影(ステップS203)の後に、同軸落射照明器22の撮影(ステップS103)を行ったが、この順序を逆にしてもよい。この場合、ステップS205においては、以下のように切断線が抽出できたかを判断する。
処理部241は、画像処理プログラム2454に従って、ステップS203で切断線が抽出できたかを判断する。この判断は、極小値として抽出された画素の数ないし長さが所定値以上かで判断できる。また、処理部241は、表示部243に、極小値を示す画素を撮影情報上に表示して、検査員がその判断を行ってもよい。この結果、切断線を抽出できたと判断した場合(YES)は、ステップS106に進む。また、抽出できなかったと判断した場合(NO)は、ステップS103に進む。
また、この処理順序の場合、ステップS201では同軸落射照明器22の撮影条件を求め、後に廻ったステップS203の直前に照明器26での撮影条件を求める構成としてもよい。
さらに、本実施例では、同軸落射照明器22と照明器26と物理的に2台の照明を用いたが、1つの照明で2つの撮影情報を取得する構成としてもよい。この場合、制御部24の制御により照明を移動して、照明を照射する。また、照明として、同軸落射照明器22を用いる場合、処理部241が同軸落射照明器制御プログラム2452に従って、反射板222の角度を変えることで、2つの撮影情報を取得できる。なお、この場合、上述したように3以上の撮影情報を取得する構成としてもよい。