(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095174
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/16 20190101AFI20220621BHJP
B65H 15/00 20060101ALI20220621BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20220621BHJP
G07D 11/00 20190101ALI20220621BHJP
【FI】
G07D11/16 101J
B65H15/00 E
B65H29/60 A
G07D11/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208349
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】森田 忠顕
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
3F053
3F102
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040EA06
3E040FG08
3E040FG18
3E141AA01
3E141EA06
3E141FG08
3E141FG18
3F053EA06
3F053EC01
3F053ED01
3F053ED15
3F053LA08
3F053LB04
3F102AA15
3F102AB03
3F102BA11
(57)【要約】
【課題】装置全体の小型化を図ること。
【解決手段】表裏が識別された紙葉類Sを搬送する搬送部70と、搬送部によって搬送中の紙葉類を表裏の識別情報に基づいて表裏反転する表裏反転部80とを備え、表裏反転部は、識別情報に基づいて紙葉類を偶数回表裏反転させ、表裏反転させる前と同じ表裏の向きで紙葉類を排出する非反転部91と、識別情報に基づいて紙葉類を奇数回表裏反転させ、表裏反転させる前と異なる表裏の向きで紙葉類を排出する反転部92とを備えている紙葉類処理装置を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏が識別された紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送中の紙葉類を、表裏の識別情報に基づいて表裏反転する表裏反転部とを備え、
前記表裏反転部は、
前記識別情報に基づいて紙葉類を偶数回表裏反転させ、表裏反転させる前と同じ表裏の向きで紙葉類を排出する非反転部と、
前記識別情報に基づいて紙葉類を奇数回表裏反転させ、表裏反転させる前と異なる表裏の向きで紙葉類を排出する反転部とを備えている
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記搬送部は、上流側から下流側に向けて紙葉類を直線状に搬送し、
前記表裏反転部は、前記搬送部に対して交差するように設けられると共に、前記搬送部に連結される分岐搬送部を更に備え、
前記非反転部は、前記分岐搬送部に接続されると共に、前記分岐搬送部から前記搬送部の上流側に向かった後に転回して、前記搬送部の下流側に向かうように形成され、
前記反転部は、前記分岐搬送部に連結されると共に、前記分岐搬送部から前記搬送部の下流側に向かった後に転回して、前記搬送部の上流側に向かうように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記表裏反転部は、前記搬送部に連結して2つ設けられ、
第1の表裏反転部によって反転された紙葉類を集積しながら収納する第1集積収納部と、
第2の表裏反転部によって反転された紙葉類を集積しながら収納する第2集積収納部とを更に備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
集積された紙葉類を結束して小束を作製する結束部と、
前記第1集積収納部に収納された紙葉類、及び第2集積収納部に収納された紙葉類を、集積状態を維持しながら前記結束部に搬送する集積搬送部とを更に備え、
前記集積搬送部は、前記第1集積収納部と前記第2集積収納部との間を往復移動可能とされ、前記第1集積収納部に収納された紙葉類についての前記結束部への搬送と、前記第2集積収納部に収納された紙葉類についての前記結束部への搬送とを各別に行う
ことを特徴とする請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記結束部は、
集積された紙葉類を結束するための結束帯を供給する帯供給部と、
前記集積搬送部によって搬送される紙葉類がセットされる結束位置を内部に有し、前記帯供給部から供給された前記結束帯をガイドして、前記結束位置にセットされた紙葉類に前記結束帯を巻回させる帯ガイド部とを備え、
前記帯ガイド部は、
前記結束位置を囲むように配置されると共に、前記集積搬送部の通過を許容する紙葉類導入部が形成されたガイドリングと、
前記紙葉類導入部を開放可能に閉塞するガイドゲートとを備え、
前記ガイドゲートは、前記紙葉類導入部を開放して、前記紙葉類導入部を通じた前記結束位置への前記集積搬送部のアクセスを可能とさせる開放位置と、前記紙葉類導入部を閉塞して前記結束帯をガイドする閉塞位置との間を移動可能とされている
ことを特徴とする請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙葉類を処理するための紙葉類処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
紙葉類処理装置は、識別計数装置と、該識別計数装置に連結された集積結束装置とを主に備えている。識別計数装置は、取込部に集積状態でセットされた紙葉類を、取込部によって装置内に一枚ずつ取り込むと共に、取り込んだ紙葉類を識別部によって識別する処理を行う。集積結束装置は、識別部によって識別された紙葉類を、識別結果に応じて集積収納部に集積させて収納する共に、集積収納部に収納された集積紙葉類を結束部によって結束することで、小束を作製する処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、この種の紙葉類処理装置には装置全体の小型化が求められているが、特許文献1に記載の紙葉類処理装置は、小型化に関し、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置全体の小型化を図ることができる紙葉類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紙葉類処理装置の第1態様は、表裏が識別された紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送中の紙葉類を、表裏の識別情報に基づいて表裏反転する表裏反転部とを備え、前記表裏反転部は、前記識別情報に基づいて紙葉類を偶数回表裏反転させ、表裏反転させる前と同じ表裏の向きで紙葉類を排出する非反転部と、前記識別情報に基づいて紙葉類を奇数回表裏反転させ、表裏反転させる前と異なる表裏の向きで紙葉類を排出する反転部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置全体の小型化、コンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る紙幣処理装置(紙葉類処理装置)の実施形態を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す紙幣処理装置の内部構成図である。
【
図3】
図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
【
図4】
図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
【
図5】
図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
【
図6】
図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
【
図7】
図2に示す紙幣処理装置における表裏反転部の周辺の構成図である。
【
図9】
図2に示す状態からガイドゲートが閉塞位置に移動して紙幣導入部を閉塞した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る紙葉類処理装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、紙葉類として日本国の紙幣(千円券、二千円券、五千円券、一万円券)を例に挙げて説明する。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばユーロ紙幣、ドル紙幣等のように外国の紙幣であっても構わない。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の紙幣処理装置(本発明に係る紙葉類処理装置)1は、第1の紙葉類処理装置である識別計数装置2と、第2の紙葉類処理装置である集積結束装置3とを備えている。識別計数装置2及び集積結束装置3は、例えば床面に設けられた台4上に並設された状態で連結されている。
【0011】
本実施形態では、識別計数装置2及び集積結束装置3が隣り合う方向を左右方向L1として定義し、上下方向L2及び左右方向L1に直交する方向を前後方向L3として定義する。更に前後方向L3のうち、紙幣処理装置1から操作者側に向かう方向を前方FW、その反対方向を後方BKとして定義すると共に、紙幣処理装置1を操作者側(前方FW側)から見た視点で左右を定義する。よって、操作者側から見て、識別計数装置2側が右側RH、集積結束装置3側が左側LHとなる。
【0012】
識別計数装置2は、外部から投入された紙幣Sを所定の条件で識別、及び計数を行って分類処理を行い、集積結束装置3に搬送して受け渡す。集積結束装置3は、識別計数装置2から搬送されてきた紙幣Sを、その紙幣Sの識別情報に基づいて表裏反転することで、表裏の向きを統一させた状態で集積し、複数枚の小束を作製する。
以下、識別計数装置2及び集積結束装置3について、詳細に説明する。
【0013】
<識別計数装置>
識別計数装置について、以下に詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、識別計数装置2は、操作者によって機外(外部)から投入された紙幣Sに対して所定の分類処理を行う。具体的には、識別計数装置2は、機外から投入された紙幣Sを識別すると共に、金種別に計数しながら金種別に分類する分類処理や、設定された金種以外の紙幣Sをリジェクトするリジェクト処理や、設定された金種の紙幣Sの表裏を識別する表裏識別処理等を行う。なお、識別計数装置2は、ベース機とも称される。
【0014】
識別計数装置2は、概略直方体状の装置ケース10を具備している。装置ケース10の右側面10aには、機外(装置ケース10外)から紙幣Sを投入するための投入部11、及び機内(装置ケース10内)からリジェクトした紙幣Sを受け取るためのリジェクト部12が形成されている。
投入部11及びリジェクト部12は、装置ケース10の右側面10aから前面10bに亘って連続して開口するようにそれぞれ形成されている。なお、リジェクト部12は、投入部11の上方に配置されている。
【0015】
識別計数装置2は、投入部11に投入された紙幣Sを搬送する識別搬送部20と、識別搬送部20で搬送中の紙幣Sについて、少なくとも表裏を識別する識別部30と、識別部30で正常に表裏が識別された紙幣Sを、識別搬送部20から受け入れて隣接する集積結束装置3に向けて搬送する機外向搬送部40とを更に備えている。
これら識別搬送部20、識別部30及び機外向搬送部40は、装置ケース10内に設けられている。
【0016】
識別計数装置2は、操作者による操作入力が可能とされ、各種の情報表示を行う例えばタッチパネル式の操作表示部50を有していると共に、識別計数装置2を総合的に制御する制御部51と、外部電源に接続可能とされ、識別計数装置2及び集積結束装置3の各部に給電を行う電源部52とを更に備えている。
【0017】
操作表示部50は、装置ケース10の前面10bに設けられ、制御部51との間で各種の信号、情報等の入出力等を行っている。
制御部51は、例えばCPU等が搭載されたマイクロコンピュータで構成され、フラッシュメモリ等の記憶部51aを備えている。制御部51は、識別計数装置2だけを制御するのではなく、集積結束装置3を含めた紙幣処理装置1の全体を総合的に制御する。記憶部51aには、例えば紙幣処理装置1に各種の演算処理を実行させるためのプログラム或いはテーブル等が予め格納されていると共に、識別の基準となるマスタデータや識別計数結果のデータ等を記憶することが可能とされている。
【0018】
投入部11には、操作者によって機外から紙幣Sが投入される。この際、紙幣Sは、所定の向きに整えられ、投入部11の底面11aに上下に集積した状態でセットされる。
具体的には、
図1に示すように、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の前後方向L3に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1に沿わせた向きで投入部11の底面11a上にセットされる。
【0019】
特に紙幣Sは、投入部11にセットされる際に、表裏に関連して
図3~
図6に示すように4つの表裏パターンが混在した状態でセットされる。
第1の表裏パターンとしては、
図3に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が上方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の左側LHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第1表姿勢N1の紙幣Sと称する。
第2の表裏パターンとしては、
図4に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が下方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の右側RHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第1裏姿勢N2の紙幣Sと称する。
【0020】
第3の表裏パターンとしては、
図5に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が上方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の右側RHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第2表姿勢N3の紙幣Sと称する。
第4の表裏パターンとしては、
図6に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が下方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の左側LHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第2裏姿勢N4の紙幣Sと称する。
【0021】
このように、紙幣Sは上述した4つの表裏パターンが混在した状態で、
図1及び
図2に示す投入部11の底面11a上に集積した状態でセットされる。投入部11は、床面に対して僅かに左下がりに傾斜した底面11aと、底面11aの左端部から上方に向けて延びた壁面11b、底面11a及び壁面11bに対して一体的に連設され、前後方向L3に向かい合う一対の側面11cとを有している。
【0022】
壁面11bには、該壁面11bに沿って昇降するビルプレス13が設けられている。ビルプレス13は、底面11a上に載置された紙幣Sを上方から押え込んで、底面11aとの間で紙幣Sを挟み込んで安定に保持することが可能とされている。
【0023】
図2に示すように、投入部11には、底面11a上にセットされた紙幣Sのうち、最下に位置する紙幣Sを1枚ずつ装置左側LHに向けて繰り出す繰出ローラ14と、繰出ローラ14によって繰り出された紙幣Sを装置内に取り込んで識別搬送部20に受け渡す取込ローラ15とが設けられている。繰出ローラ14及び取込ローラ15によって、投入部11にセットされた紙幣Sの中から、最下の紙幣Sだけを1枚ずつ適切に分離して、識別搬送部20に受け渡すことができる。
【0024】
なお、投入部11から識別搬送部20に受け渡された紙幣Sは、これ以降、紙幣処理装置1の全体において、紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1又は上下方向L2に沿わせた姿勢を維持したまま移動する。従って、紙幣Sの縦幅方向は、装置の左右方向L1又は上下方向L2に一致していると共に、搬送方向とも一致している。
【0025】
識別搬送部20は、投入部11から左側LHに向けて延びる第1識別搬送部21と、第1識別搬送部21の左端部から上方に向けて延びる第2識別搬送部22とを備えている。これにより、投入部11から識別搬送部20に受け渡された紙幣Sは、第1識別搬送部21によって左側LHに向けて搬送された後、第2識別搬送部22によって上方に向きを変えて搬送される。更に、第1識別搬送部21の取込ローラ15の近傍には、紙幣Sの取り込みの有無を検出する検出部23が設置されている。
【0026】
機外向搬送部40は、第2識別搬送部22の上端部から左側LHに向けて延びるように設けられ、後述する集積結束装置3の連結搬送部70に向けて紙幣Sを搬送する。更に、第2識別搬送部22の上端部には、右側RHに向けて延びるリジェクト搬送部41が接続されている。リジェクト搬送部41は、リジェクト部12に接続されている。これにより、第2識別搬送部22の上端部には、機外向搬送部40及びリジェクト搬送部41が分岐して繋がっている。
【0027】
第2識別搬送部22の上端部には、第2識別搬送部22によって搬送されてきた紙幣Sを、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41の何れかに振り分ける振分部42が設けられている。つまり、振分部42は、第2識別搬送部22からの紙幣Sの搬送先を、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41に切り換える役割を果たしている。振分部42は、識別部30での識別結果に基づいて紙幣Sの搬送先を、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41に切り換える。
【0028】
識別部30は、第2識別搬送部22に設けられ、紙幣Sの識別及び計数を行う。
識別部30は、例えば金種等の種類の識別や、紙幣Sの表裏パターンが先に述べた4つ表裏パターン(第1表姿勢N1、第1裏姿勢N2、第2表姿勢N3、第2裏姿勢N4)の何れかであることを識別する。
なお識別部30は、紙幣Sの識別情報(識別結果)を制御部51に出力する。
【0029】
制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入可と判断し、且つ、搬送された紙幣Sが予め設定された金種の紙幣Sである場合には、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22から機外向搬送部40を介して集積結束装置3に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入不可と判断した場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入可と判断しても、搬送された紙幣Sが予め設定された金種以外の金種の紙幣Sである場合、例えば予め設定された一万円券とは異なる千円券である場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
【0030】
図1及び
図2に示すように、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41の右端部から紙幣Sが繰り出され、紙幣Sを外部に取出し可能に集積させる。つまり、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41で搬送されてきた紙幣Sを機外に排除するための排除口とされている。
リジェクト部12は、床面に対して僅かに左下がりに傾斜した底面12aと、底面12aの左端部から上方に向けて延びた壁面12bと、底面12a及び壁面12bに対して一体的に連設され、前後方向L3に向かい合う一対の側面12cとを有している。
【0031】
更にリジェクト部12は、リジェクト搬送部41から繰り出された紙幣Sを壁面12bに当接させながら底面12aに向けて落下させる羽根車43を有している。これにより、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41から繰り出された紙幣Sを安定して集積させながら底面12a上に載置させることが可能とされている。
【0032】
<集積結束装置>
次いで、集積結束装置3について、以下に詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、集積結束装置3は、上述した識別計数装置2の左側LHに配置され、概略直方体状の装置ケース60を具備している。集積結束装置3の装置ケース60と、識別計数装置2の装置ケース10とは、例えばねじ結合、ピン結合等、公知の方法で一体的に組み合わされている。
ただし、別体の装置ケース10、60をそれぞれ具備する場合に限定されるものではない。例えば、紙幣処理装置1は、共通の装置ケースを1つ具備し、この共通の装置ケース内に識別計数装置2及び集積結束装置3を配置しても構わない。
【0033】
集積結束装置3は、識別計数装置2における機外向搬送部40によって搬送されてきた特定の金種の紙幣Sを、該紙幣Sの識別情報に基づいて表裏反転することで表裏の向きを統一させ、表裏の向きが統一された紙幣Sを結束して小束を作製する。
【0034】
図2に示すように、集積結束装置3は、機外向搬送部40から表裏が識別された紙幣Sを受け取って搬送する連結搬送部(本発明に係る搬送部)70と、連結搬送部70によって搬送中の紙幣Sを、識別部30で検出された表裏の識別情報に基づいて表裏反転する表裏反転部80とを備えている。これら連結搬送部70及び表裏反転部80は、装置ケース60内に設けられている。
【0035】
(連結搬送部)
連結搬送部70は、装置ケース60内における上面側に配置されると共に、左右方向L1に沿って直線状に延びるように配置され、上流側である右端部から下流側である左端部に向けて紙幣Sを搬送する。連結搬送部70の右端部は、識別計数装置2の機外向搬送部40に繋がっている。これに対して、連結搬送部70の左端部は、装置ケース60の左側面に開口しており、例えば、集積結束装置3の装置ケース60の左側面に設置された紙幣Sが収納可能な退避ポケット部に紙幣Sを搬送する等、多目的に利用できるオプション出口71として利用可能とされている。
【0036】
これにより、連結搬送部70は、機外向搬送部40から受け取った紙幣Sを、左側LHに向けて搬送する。このとき、連結搬送部70によって搬送される紙幣Sは、先に述べた4つの表裏パターンが混在する。即ち、第1表姿勢N1の紙幣S、第1裏姿勢N2の紙幣S、第2表姿勢N3の紙幣S、第2裏姿勢N4の紙幣Sが、連結搬送部70によって搬送される。
【0037】
(表裏反転部)
図2及び
図7に示すように、表裏反転部80は、連結搬送部70に連結して2つ設けられている。
具体的には、表裏反転部80は、左右方向L1に隣り合うように並設されると共に、装置ケース60内において同等の高さ位置となるように設けられている。そのため、2つの表裏反転部80は、連結搬送部70によって搬送される紙幣Sの搬送方向に沿って隣り合うように配置されている。
本実施形態では、2つの表裏反転部80のうち、識別計数装置2寄りに位置する右側RHの表裏反転部80を第1の表裏反転部81と称し、左側LHに位置する表裏反転部80を第2の表裏反転部82と称する。
【0038】
(第1の表裏反転部)
第1の表裏反転部81は、連結搬送部70に対して交差するように設けられると共に、連結搬送部70に連結される分岐搬送部90と、識別部30によって検出された識別情報に基づいて紙幣Sを偶数回表裏反転させ、表裏反転させる前と同じ表裏の向きで紙幣Sを排出する非反転部91と、識別部30によって検出された識別情報に基づいて紙幣Sを奇数回表裏反転させ、表裏反転させる前と異なる表裏の向きで紙幣Sを排出する反転部92とを備えている。
【0039】
分岐搬送部90は、連結搬送部70の下方に配置され、上下方向L2に延びるように形成されている。分岐搬送部90の上端部は、連結搬送部70に対して略直交に交差するように、連結搬送部70に下方から接続されている。
分岐搬送部90の上端部と連結搬送部70との接続部分には、連結搬送部70から搬送されてきた紙幣Sのうち、2つの表裏パターンの紙幣Sを分岐搬送部90に振り分け、残りの2つの表裏パターンを分岐搬送部90の下流側に位置する第2の表裏反転部82側に流す分岐振分部93が設けられている。
【0040】
具体的には、分岐振分部93は、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣S及び第1裏姿勢N2の紙幣Sだけを分岐搬送部90に振り分け、残りの第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣Sを通過させて、第2の表裏反転部82側に向かうように振り分けを行う。
なお、分岐振分部93は制御部51によって作動が制御される。また、制御部51は識別情報に基づいて分岐振分部93を制御する。
【0041】
非反転部91は、連結搬送部70の下方であって、且つ分岐搬送部90の右側RHに位置するように配置されている。これに対して反転部92は、連結搬送部70の下方であって、且つ分岐搬送部90の左側LHに位置するように配置されている。これにより、非反転部91及び反転部92は、分岐搬送部90を間に挟んで左右方向L1に並ぶように配置されている。
【0042】
非反転部91は、分岐搬送部90に接続されると共に、分岐搬送部90から連結搬送部70の上流側である右端部側に向かった後に180度転回して、連結搬送部70の下流側である左端部側に向かうように形成されている。
具体的には、非反転部91は、分岐搬送部90における上端部と下端部との間に位置する部分に接続され、連結搬送部70の上流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第1非反転部91aと、第1非反転部91aの右端部側に接続されると共に上下方向L2に沿って下方に向けて延びる第2非反転部91bと、第2非反転部91bの下端部側に接続されると共に、連結搬送部70の下流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第3非反転部91cとを備えている。これにより、非反転部91の全体は、連結搬送部70の上流側に向かって膨らんだU字状に形成されている。
【0043】
ただし、非反転部91の全体形状はU字状に限定されるものではなく、例えば連結搬送部70の上流側に向かって半円状、円弧状、C字状(コの字状)等、各種の湾曲状に膨らむように形成しても構わない。
【0044】
上述のように非反転部91が構成されているため、連結搬送部70から分岐搬送部90を介して非反転部91の第1非反転部91aに紙幣Sを搬送する間に、紙幣Sを一度表裏反転させることができ、続けて、第1非反転部91aから第2非反転部91bを介して第3非反転部91cに紙幣Sを搬送する間に、紙幣Sを更にもう一度表裏反転させることが可能とされている。
これにより、非反転部91は、紙幣Sを合計2回(偶数回)表裏反転させて、連結搬送部70によって搬送されていた際の紙幣Sと同じ表裏の向きで、第3非反転部91cの左端部側から紙幣Sを排出することができる。
【0045】
反転部92は、分岐搬送部90に接続されると共に、分岐搬送部90から連結搬送部70の下流側である左端部側に向かった後に180度転回して、連結搬送部70の上流側である右端部側に向かうように形成されている。
具体的には、反転部92は、分岐搬送部90における下端部に接続され、連結搬送部70の下流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第1反転部92aと、第1反転部92aの左端部側に接続されると共に上下方向L2に沿って下方に向けて延びる第2反転部92bと、第2反転部92bの下端部側に接続されると共に、連結搬送部70の上流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第3反転部92cとを備えている。これにより、反転部92の全体は、連結搬送部70の下流側に向かって膨らんだU字状に形成されている。
【0046】
ただし、反転部92の全体形状はU字状に限定されるものではなく、例えば連結搬送部70の下流側に向かって半円状、円弧状、C字状(コの字状)等、各種の湾曲状に膨らむように形成しても構わない。
【0047】
上述のように反転部92が構成されているため、連結搬送部70から分岐搬送部90を介して反転部92の第1反転部92aに紙幣Sを搬送する間に紙幣Sを表裏反転させることがなく、続けて、第1反転部92aから第2反転部92bを介して第3反転部92cに紙幣Sを搬送している間に、紙幣Sを一度表裏反転させることが可能とされている。
これにより、反転部92は、紙幣Sを合計1度(奇数回)表裏反転させて、連結搬送部70によって搬送されていた際の紙幣Sと異なる表裏の向きで、第3反転部92cの右端部側から紙幣Sを排出することができる。
【0048】
なお、非反転部91における第3非反転部91cの左端部の位置(紙幣Sの排出位置)と、反転部92における第3反転部92cの右端部の位置(紙幣Sの排出位置)とは、同等の高さ位置とされ、且つ左右方向L1に間隔をあけて向かいように配置されている。
【0049】
なお本実施形態では、非反転部91が分岐搬送部90における上端部と下端部との間に位置する部分に接続され、反転部92が分岐搬送部90における下端部に接続されているため、分岐搬送部90と非反転部91との接続位置の方が、分岐搬送部90と反転部92の接続位置よりも上方に位置している。
ただし、この場合に限定されるものではなく、分岐搬送部90と反転部92との接続位置の方が、分岐搬送部90と非反転部91の接続位置よりも上方に位置するように構成しても構わない。
【0050】
分岐搬送部90と非反転部91との接続部分には、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sを、非反転部91或いは反転部92の何れかに搬送するように搬送経路を切り換えるゲート部94が設けられている。
ゲート部94は、分岐搬送部90によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣Sを非反転部91に搬送し、残りの第1裏姿勢N2の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行って振り分けを行う。なお、ゲート部94は制御部51によって作動が制御される。また、制御部51は識別情報に基づいてゲート部94を制御する。
【0051】
これにより、第1の表裏反転部81は、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第1表姿勢N1を維持したまま非反転部91から排出させる。これに対して第1裏姿勢N2の紙幣Sについては、第1の表裏反転部81は、反転部92による1回の表裏反転によって第1表姿勢N1に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させる。
そのため、第1の表裏反転部81は、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第1表姿勢N1に統一することが可能とされている。
【0052】
(第2の表裏反転部)
第2の表裏反転部82は、上述した第1の表裏反転部81の左側LHに配置され、第1の表裏反転部81と同一構成とされている。従って、第2の表裏反転部82については、詳細な説明を省略し、第1の表裏反転部81とは異なる点について主に説明する。
なお、第2の表裏反転部82のうち、第1の表裏反転部81を構成する各構成部品と同一の部品については、同一の符号を付している。
【0053】
第2の表裏反転部82における分岐振分部93は、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1の表裏反転部81における分岐振分部93を通過した紙幣S、即ち第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣Sを第2の表裏反転部82側に流すように振り分けを行う。
なお分岐振分部93は、第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣S以外の紙幣Sが連結搬送部70によって搬送されてきた場合には、これらの紙幣Sを通過させ、連結搬送部70の下流側である左端部側に向けて流すように作動する。これにより、第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣S以外の紙幣Sが、第2の表裏反転部82まで仮に搬送されてきた場合であっても、これらの紙幣Sをオプション出口71から機外又は退避ポケット部等に排出することができる。
【0054】
また、第2の表裏反転部82におけるゲート部94は、分岐搬送部90によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第2表姿勢N3の紙幣Sを非反転部91に搬送し、残りの第2裏姿勢N4の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行って振り分けを行う。
【0055】
これにより、第2の表裏反転部82は、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sのうち、第2表姿勢N3の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第2表姿勢N3を維持したまま非反転部91から排出させる。これに対して第2裏姿勢N4の紙幣Sについては、第2の表裏反転部82は、反転部92による1回の表裏反転によって第2表姿勢N3に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させる。
そのため、第2の表裏反転部82は、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第2表姿勢N3に統一することが可能とされている。
【0056】
図2及び
図7に示すように、本実施形態の集積結束装置3は、第1の表裏反転部81によって反転された紙幣Sを集積しながら収納する第1集積収納部100と、第2の表裏反転部82によって反転された紙幣Sを集積しながら収納する第2集積収納部101と、集積された紙幣Sを結束して小束を作製する結束部102と、第1集積収納部100に収納された紙幣S、及び第2集積収納部101に収納された紙幣Sを、集積状態を維持しながら結束部102に搬送する集積搬送部103とを更に備えている。
これら第1集積収納部100、第2集積収納部101、結束部102及び集積搬送部103は、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82の下方に位置するように装置ケース60内に設けられている。
【0057】
(第1集積収納部)
第1集積収納部100は、第1の表裏反転部81における分岐搬送部90の下方であって、且つ第3非反転部91cの左端部と第3反転部92cの右端部との間に位置するように配置されている。これにより、第1集積収納部100内には、非反転部91によって2回の表裏反転を行った後に、第3非反転部91cから排出される第1表姿勢N1の紙幣Sが1枚ずつ投入されると共に、反転部92によって1回の表裏反転を行った後に、第3反転部92cから排出される第1表姿勢N1の紙幣Sが1枚ずつ投入される。
【0058】
従って、第1集積収納部100には、非反転部91及び反転部92から第1表姿勢N1に統一された紙幣Sが、例えば交互に連続して投入される。そのため、第1集積収納部100内に、第1表姿勢N1の紙幣Sを集積させた状態で収納することができ、所定枚数(例えば100枚)毎に纏めることができる。
特に、第1集積収納部100内に、所定枚数の紙幣Sを、紙幣Sの横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で集積することができる。この際、先に述べたように、紙幣Sの横幅方向を装置の前後方向L3に一致させ、紙幣Sの縦幅方向を装置の左右方向L1に一致させた状態で、紙幣Sを集積することができる。
【0059】
図8に示すように、第1集積収納部100は、紙幣Sの横幅方向及び縦幅方向が決められた方向、即ち横幅方向が装置の前後方向L3を向き、且つ縦幅方向が装置の左右方向L1(つまり搬送方向)を向くように紙幣Sを集積させる集積ベース部110と、集積ベース部110を挟んで前後方向L3に向かい合うように配置された前壁部111及び後壁部112と、集積ベース部110を挟んで左右方向L1に向かい合うように配置された右壁部113及び左壁部114とを備えている。
【0060】
前壁部111及び後壁部112は、集積ベース部110に対して前後方向L3に相対移動可能に配置されている。これにより、前壁部111及び後壁部112は、前後方向L3に互いに接近離間可能に配置されている。そのため、集積ベース部110上に載置される紙幣Sの集積領域の前後方向L3の間隔を任意に変更することが可能とされている。
なお、前壁部111及び後壁部112は、制御部51からの指示を受けて作動するステッピングモータ等の前後駆動モータ115の駆動によって前後方向L3にそれぞれ移動する。
【0061】
右壁部113及び左壁部114は、集積ベース部110に対して左右方向L1に相対移動可能に配置されている。これにより、右壁部113及び左壁部114は、左右方向L1に互いに接近離間可能に配置されている。そのため、集積ベース部110上に載置される紙幣Sの集積領域の左右方向L1の間隔を任意に変更することが可能とされている。
なお、右壁部113及び左壁部114は、制御部51からの指示を受けて作動するステッピングモータ等の左右駆動モータ116の駆動によって左右方向L1にそれぞれ移動する。
【0062】
上述のように、前後方向L3に互いに接近離間する前壁部111及び後壁部112と、左右方向L1に互いに接近離間する右壁部113及び左壁部114とを備えているので、集積する紙幣Sのサイズ(横幅、縦幅)に応じて、前壁部111と後壁部112との間の前後方向L3の間隔、及び右壁部113と左壁部114との間の左右方向L1の間隔が最適となるように調整することができる。
そのため、サイズの異なる様々な紙幣Sを第1集積収納部100内に集積しながら収納することができる。なお、小さなサイズの紙幣Sであっても、大きなサイズの紙幣Sであっても、紙幣Sと各壁部との間の隙間を一定にすることが可能であり、様々なサイズの紙幣Sをばらつかせることなく、安定に集積させながら収納することができる。
【0063】
更に第1集積収納部100は、集積ベース部110上に集積される紙幣Sを横幅方向及び縦幅方向(搬送方向)に整列させる整列部を備えている。
整列部は、集積ベース部110上に集積される紙幣Sを横幅方向に整列させる幅方向整列部120と、集積ベース部110上に集積される紙幣Sを搬送方向に整列させる搬送方向整列部125とを備えている。
【0064】
幅方向整列部120は、前壁部111及び後壁部112にそれぞれ設けられ、ステッピングモータ等の図示しない整列駆動モータの駆動によって可動する幅方向整列板121を有している。
幅方向整列板121は、非反転部91及び反転部92から排出された紙幣Sが集積ベース部110上に集積されるまでに通過する紙幣Sの進入領域よりも前後方向L3に離間した退避位置P1と、集積ベース部110上に集積される紙幣Sの横幅方向の一端縁と接触する整列位置P2との間を移動可能とされている。
【0065】
整列駆動モータは、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて幅方向整列板121を退避位置P1と整列位置P2との間で往復移動させる。
【0066】
搬送方向整列部125は、右壁部113及び左壁部114の少なくとも何れか一方に設けられ、ステッピングモータ等の図示しない整列駆動モータの駆動によって可動する搬送方向整列板126を有している。図示の例では、搬送方向整列板126は、右壁部113に設けられている場合を例にしている。
搬送方向整列板126は、非反転部91及び反転部92から排出された紙幣Sが集積ベース部110上に集積されるまでに通過する紙幣Sの進入領域よりも左右方向L1に離間した退避位置P1と、集積ベース部110上に集積される紙幣Sの縦幅方向の一端縁と接触する整列位置P2との間を移動可能とされている。
【0067】
整列駆動モータは、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて搬送方向整列板126を退避位置P1と整列位置P2との間で往復移動させる。
【0068】
制御部51は、第1集積収納部100内に紙幣Sが収納される毎、或いは所定枚数収納される毎に、幅方向整列板121を退避位置P1から整列位置P2に移動させることで、集積ベース部110上に集積された紙幣Sを横幅方向の両側から叩打させる。これにより、紙幣Sを集積ベース部110上で横幅方向に整列させることが可能とされている。
更に制御部51は、第1集積収納部100内に紙幣Sが収納される毎、或いは所定枚数収納される毎に、搬送方向整列板126を退避位置P1から整列位置P2に移動させることで、集積ベース部110上に集積された紙幣Sを縦幅方向の一方側から叩打させる。これにより、紙幣Sを集積ベース部110上で縦幅方向に整列させることが可能とされている。
【0069】
(第2集積収納部)
図2に示すように、第2集積収納部101は、集積搬送部103を挟んで上述した第1集積収納部100の左側LHに配置され、第1集積収納部100と同一構成とされている。従って、第2集積収納部101については、詳細な説明を省略する。
【0070】
(集積搬送部)
図2に示すように、集積搬送部103は、上述のように構成された第1集積収納部100と第2集積収納部101との間に配置されている。これにより、第1集積収納部100、第2集積収納部101及び集積搬送部103は、左右方向L1に並ぶように配置されている。
集積搬送部103は、第1集積収納部100と第2集積収納部101との間を左右方向L1に沿って往復移動可能に配置された第1集積搬送部130と、第1集積収納部100と第2集積収納部101との間において上下方向L2に移動可能に配置された第2集積搬送部140とを備えている。集積搬送部103は、これら第1集積搬送部130と第2集積搬送部140とを協働させて、第1集積収納部100に収納された紙幣Sについての結束部102への搬送と、第2集積収納部101に収納された紙幣Sについての結束部102への搬送とを各別に行う。
【0071】
(集積搬送部_第1集積搬送部)
第1集積搬送部130は、例えば集積された紙幣Sを上下方向L2に挟持可能な第1チャック部材131を有している。
第1チャック部材131は、集積された紙幣Sの上方に位置する第1チャック部131aと、集積された紙幣Sの下方に位置する第2チャック部131bとを備えている。第1チャック部131a及び第2チャック部131bは、上下方向L2に相対的に接近離間可能とされ、集積された紙幣Sの姿勢を維持したまま上下方向L2に挟持することが可能とされている。
【0072】
このように構成された第1チャック部材131は、第1集積収納部100と第2集積収納部101との間を左右方向L1に沿って移動可能とされ、第1集積収納部100に収納された集積状態の紙幣Sを取り出すことや、第2集積収納部101に収納された集積状態の紙幣Sを取り出すことが可能とされている。
【0073】
具体的には、第1チャック部材131は、第1集積収納部100に向けて移動して、第1集積収納部100に収納されている集積状態の紙幣Sを取り出すと共に、左側LHに移動した後、取り出した集積状態の紙幣Sを第2集積搬送部140における後述する第2チャック部材141に受け渡すことが可能とされている。
更に、第1チャック部材131は、第2集積収納部101に向けて移動して、第2集積収納部101に収納されている集積状態の紙幣Sを取り出すと共に、右側RHに移動した後、取り出した集積状態の紙幣Sを第2集積搬送部140における後述する第2チャック部材141に受け渡すことが可能とされている。
【0074】
(集積搬送部_第2集積搬送部)
第2集積搬送部140は、第1集積搬送部130と同様に、例えば集積された紙幣Sを上下方向L2に挟持可能な第2チャック部材141を有している。
第2チャック部材141は、集積された紙幣Sの上方に位置する第1チャック部141aと、集積された紙幣Sの下方に位置する第2チャック部141bとを備えている。第1チャック部141a及び第2チャック部141bは、上下方向L2に相対的に接近離間可能とされ、集積された紙幣Sの姿勢を維持したまま上下方向L2に挟持することが可能とされている。
【0075】
このように構成された第2チャック部材141は、上下方向L2に移動可能とされていると共に、例えば上昇端位置において、第1集積搬送部130の第1チャック部材131が挟持している集積状態の紙幣Sを受け取り、下降端位置に移動することで結束部102に受け渡すことが可能とされている。
【0076】
なお、第2チャック部材141は、後述する紙幣導入部181を通じて結束部102におけるガイドリング180内に上方から進入することで、集積状態の紙幣Sを結束部102側に受け渡す。この際、第2チャック部材141は、予め決められた後述の結束位置P3まで集積状態の紙幣Sを搬送する。
【0077】
(結束部)
図2に示すように、結束部102は、集積された紙幣Sを結束するための結束テープ(本発明に係る結束帯)160を供給するテープ供給部(本発明に係る帯供給部)161と、第2集積搬送部140の第2チャック部材141によって搬送された集積状態の紙幣Sがセットされる結束位置P3を内部に有し、テープ供給部161から供給された結束テープ160をガイドして、結束位置P3にセットされた集積状態の紙幣Sに結束テープ160を巻回させるテープガイド部(本発明に係る帯ガイド部)162と、テープ接合部163と、テープ切断部164とを備えている。
【0078】
結束テープ160は、例えば一定幅の長尺な帯状に形成され、テープ供給部161における円筒状の芯材170に予めロール状に巻回されている。なお、結束テープ160の片面には、例えば熱接着用の接着層が形成されている。
【0079】
テープ供給部161は、第2集積収納部101の下方に主に配置されている。テープ供給部161は、結束テープ160がロール状に巻回される芯材170と、結束テープ160を引き出して後述するガイドリング180側に結束テープ160を搬送するフィードローラ171と、フィードローラ171の駆動を制御する図示しないフィードモータと、結束テープ160を巻き戻す方向に芯材170を巻戻し回転させる図示しない巻戻しモータとを備えている。
フィードモータ及び巻戻しモータは、制御部51によって作動が制御されている。
【0080】
またテープ供給部161は、芯材170から引き出された結束テープ160をガイドリング180側に案内するテープ導入路172を有している。上記フィードローラ171は、テープ導入路172に設けられ、結束テープ160を安定してガイドリング180側に供給することが可能とされている。
【0081】
テープガイド部162は、テープ供給部161よりも右側RHに配置されていると共に、第1集積搬送部130及び第1集積収納部100の下方に位置するように配置されている。
テープガイド部162は、結束位置P3を囲むように配置されると共に、第2集積搬送部140における第2チャック部材141の通過を許容する紙幣導入部(本発明に係る紙葉類導入部)181が形成されたガイドリング180と、紙幣導入部181を開放可能に閉塞するガイドゲート182とを備えている。
【0082】
ガイドゲート182は、紙幣導入部181を開放して、紙幣導入部181を通じた結束位置P3への第2チャック部材141のアクセスを可能とさせる開放位置P4と、
図9に示すように紙幣導入部181を閉塞して結束テープ160をガイドする閉塞位置P5との間を移動可能とされている。
【0083】
図2に示すように、ガイドリング180は、例えば縦断面視円形状、楕円形状、四角形状等に形成され、前後方向L3に両側が開口したリング状(環状)に形成されている。図示の例では、ガイドリング180は、左右方向L1に長軸を有する縦断面視楕円形状に形成されている。
ガイドリング180は、テープ導入路172の右側RHにテープ受入口180aが位置するように配置され、テープ導入路172から排出された結束テープ160を連続してガイドリング180の内面側に供給することが可能とされている。
【0084】
テープ導入路172とガイドリング180のテープ受入口180aとの間には、上述したテープ接合部163及びテープ切断部164に加えて、テープ押さえ部材165が配置されている。
テープ押さえ部材165には、テープ導入路172から排出された結束テープ160が通過する通過孔165aが形成されている。また、テープ押さえ部材165は、上下方向L2に移動可能とされ、第2集積搬送部140における第2チャック部材141が結束位置P3に紙幣Sをセットしたときに、第2チャック部141bに対して下方から接近可能とされている。
【0085】
テープ接合部163は、例えばヒータ等の加熱部を有し、上下方向L2に移動可能に配置されている。テープ接合部163は、第2チャック部材141が結束位置P3に紙幣Sをセットしたときに上昇して、第2チャック部141bとの間で結束テープ160を挟み込んで結束テープ160を熱接着する。
テープ切断部164は、上下方向L2に移動可能とされ、テープ接合部163による熱接着後、テープ押さえ部材165の近傍で結束テープ160を切断する。
【0086】
紙幣導入部181は、ガイドリング180の頂上部側において、第2集積搬送部140の経路上に形成されている。これにより、第2集積搬送部140の第2チャック部材141は、紙幣導入部181を通じてガイドリング180内への進出が可能とされている。
【0087】
ガイドゲート182は、ガイドゲート軸183を介してガイドリング180に上下方向L2に回転可能に取り付けられている。つまり、ガイドゲート182は、ガイドゲート軸183回りに上下に開閉することで、閉塞位置P5と開放位置P4との間を移動可能とされている。
図示の例では、ガイドゲート182は、左右方向L1に沿って配置された位置が閉塞位置P5とされ、紙幣導入部181を閉塞する。そして、閉塞位置P5から下方に向けてガイドゲート軸183回りに略90度回転した位置が開放位置P4とされ、紙幣導入部181を開放する。
【0088】
このように構成されたガイドゲート182は、ガイドゲート駆動部184によって駆動される。ガイドゲート駆動部184は、例えばガイドゲート軸183に取り付けられた図示しないガイドゲートギアと、ガイドゲートギアを直接的、又は図示しないガイドゲート中継ギア等を介して間接的に駆動させる図示しないガイドゲート駆動モータとを有している。
ガイドゲート駆動モータは、例えばステッピングモータ等とされ、制御部51からの信号に基づいてガイドゲートギアを正逆回転させることで、ガイドゲート182をガイドゲート軸183回りに回転させて、開放位置P4或いは閉塞位置P5に位置させることが可能とされている。
【0089】
上述のように構成された結束部102は、第2集積搬送部140の第2チャック部材141によって結束位置P3にセットされた集積状態の紙幣Sに結束テープ160を巻回することで、複数枚の紙幣Sが1つにまとまった小束を作製する。なお、小束の作製については、後に再度説明する。
【0090】
更に結束部102は、作製した小束を受け入れる例えば引き出し式の小束排出部190を有している。小束排出部190は、
図1に示すように装置ケース60の前面に形成され、操作者が引き出し操作することが可能とされている。これにより、結束部102によって作製された小束を、小束排出部190を通じて取り出すことが可能とされている。
ただし、小束排出部190は、引き出し式に限定されるものではなく、開口部で設けられても構わない。これにより、結束部102によって作製された小束を、小束排出部190を通じて装置外に排出することが可能とされている。
【0091】
<紙幣処理装置の作用>
次に、上述のように構成された紙幣処理装置1を利用して紙幣Sの処理を行って、例えば一万円券の紙幣Sの小束を作製する場合について説明する。
【0092】
はじめに初期設定として、操作者は作製する小束の金種及び小束にするときの紙幣Sの枚数等を操作表示部50に入力すると共に、作製する小束の個数等を入力する。
これらの初期設定を行った後、
図1及び
図2に示すように、操作者は識別計数装置2における投入部11に一万円券の紙幣Sを集積させた状態で投入する。なお、この投入時においては、紙幣Sの表裏の向きは4つの表裏パターン(第1表姿勢N1、第1裏姿勢N2、第2表姿勢N3、第2裏姿勢N4)が混在している。
【0093】
投入部11に紙幣Sがセットされると、
図2に示すように、繰出ローラ14及び取込ローラ15によって紙幣Sが1枚ずつ取り込まれ、識別搬送部20に受け渡される。これにより、第1識別搬送部21及び第2識別搬送部22によって、紙幣Sを搬送することができる。
この間、識別部30は、搬送された紙幣Sの計数を行うと共に、紙幣Sの金種の識別、表裏パターン等の識別を行い、紙幣Sの識別情報を制御部51に出力する。
【0094】
制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入可と判断し、且つ、搬送された紙幣Sが予め設定された金種の紙幣Sである場合には、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22から機外向搬送部40を介して集積結束装置3に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入不可と判断した場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入可と判断しても、搬送された紙幣Sが予め設定された金種以外の金種の紙幣Sである場合には、例えば搬送された紙幣Sが一万円券とは異なる千円券等である場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
【0095】
これにより、受入可と判断された一万円券の紙幣Sだけを第2識別搬送部22から機外向搬送部40に搬送することができ、それ以外の紙幣Sについてはリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送することができる。
【0096】
以上により、識別計数装置2を利用して、受入可と判断され、且つ予め設定された一万円券の紙幣Sだけを抽出して、集積結束装置3の連結搬送部70に受け渡すことができる。この際、制御部51は、識別計数装置2から連結搬送部70に受け渡す紙幣Sのそれぞれについて、表裏パターンが4つのうちの何れかであることを把握している。
【0097】
図7に示すように、連結搬送部70は、識別計数装置2から紙幣Sを受け取ると、該紙幣Sを下流側に向けて搬送する。このとき、第1の表裏反転部81における分岐振分部93は、制御部51からの指示を受けて、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sが、第1表姿勢N1及び第1裏姿勢N2の表裏パターンである場合には、分岐搬送部90に搬送するように振り分けを行い、第2表姿勢N3及び第2裏姿勢N4の表裏パターンである場合には第2の表裏反転部82側に向かうように振り分けを行う。
【0098】
そして、第2の表裏反転部82における分岐振分部93は、制御部51からの指示を受けて、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sが、第2表姿勢N3及び第2裏姿勢N4の表裏パターンである場合には、分岐搬送部90に搬送するように振り分けを行う。
【0099】
第1の表裏反転部81における分岐搬送部90に紙幣Sが搬送されると、制御部51からの指示に基づいて、ゲート部94は第1表姿勢N1の紙幣Sを非反転部91に搬送し、第1裏姿勢N2の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行う。
これにより、第1表姿勢N1の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第1表姿勢N1を維持したまま非反転部91から排出させることができ、第1裏姿勢N2の紙幣Sについては、反転部92による1回の表裏反転によって第1表姿勢N1に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させることができる。
【0100】
これにより、第1の表裏反転部81を利用して、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第1表姿勢N1に統一することができる。そのため、表裏の向きが第1表姿勢N1に統一された紙幣Sを、第1集積収納部100に受け渡すことができる。
【0101】
また、第2の表裏反転部82における分岐搬送部90に紙幣Sが搬送されると、制御部51からの指示に基づいてゲート部94は第2表姿勢N3の紙幣Sを非反転部91に搬送し、第2裏姿勢N4の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行う。
これにより、第2表姿勢N3の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第2表姿勢N3を維持したまま非反転部91から排出させることができ、第2裏姿勢N4の紙幣Sについては、反転部92による1回の表裏反転によって第2表姿勢N3に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させることができる。
【0102】
これにより、第2の表裏反転部82を利用して、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第2表姿勢N3に統一することができる。そのため、表裏の向きが第2表姿勢N3に統一された紙幣Sを、第2集積収納部101に受け渡すことができる。
【0103】
ここで、第1集積収納部100内及び第2集積収納部101内に紙幣Sを収納するにあたって、
図8に示すように、制御部51は、予め前壁部111と後壁部112との間の間隔、及び右壁部113と左壁部114との間の間隔を紙幣Sに応じた間隔に調整する。
具体的には、制御部51は、識別部30の識別情報に基づいて、投入された紙幣Sの金種が予め設定された一万円券であると認識した場合、記憶部51aに格納されているデータから一万円券の横幅方向及び縦幅方向を読み出す。そして、制御部51は、読み出したデータに基づいて、前壁部111と後壁部112との間の間隔、及び右壁部113と左壁部114との間の間隔を一万円券に応じた間隔となるように制御を行う。
【0104】
これにより、第1集積収納部100及び第2集積収納部101において、前壁部111と後壁部112との間の間隔、及び右壁部113と左壁部114との間の間隔を、一万円券に応じた最適な間隔に調整することができる。
【0105】
従って、第1の表裏反転部81から第1集積収納部100内に紙幣Sを受け渡すことで、紙幣Sと各壁部(前壁部111、後壁部112、右壁部113及び左壁部114)との隙間を一定にした状態で、集積ベース部110上に紙幣Sを集積しながら収納することができる。このとき、先に述べたように、第1集積収納部100の集積ベース部110上に、第1表姿勢N1に表裏の向きが統一された紙幣S(一万円券)を集積しながら収納することができる。
【0106】
更に制御部51は、集積ベース部110上に紙幣Sが収納される毎、或いは所定枚数収納される毎に、幅方向整列板121を退避位置P1から整列位置P2に移動させるように制御するので、幅方向整列板121を利用して、集積ベース部110上に集積された紙幣Sを横幅方向の両側から叩打することができる。これにより、集積ベース部110上で紙幣Sを横幅方向に整列させることができる。
同様に制御部51は、搬送方向整列板126を退避位置P1から整列位置P2に移動させるので、搬送方向整列板126を利用して、集積ベース部110上に集積された紙幣Sを縦幅方向の一方側から叩打することができる。これにより、集積ベース部110上で紙幣Sを縦幅方向に整列させることができる。
【0107】
以上のことから、第1集積収納部100内に、第1表姿勢N1に表裏の向きが統一された紙幣S(一万円券)を横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で綺麗に集積しながら収納することができる。
【0108】
上述した場合と同様に、第2の表裏反転部82から第2集積収納部101内に紙幣Sを受け渡すことで、第2集積収納部101内に、第2表姿勢N3に表裏の向きが統一された紙幣S(一万円券)を横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で綺麗に集積しながら収納することができる。
【0109】
次いで、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に、紙幣Sが所定枚数(例えば100枚)集積されると、
図2に示すように、制御部51は集積搬送部103を制御して、集積状態の紙幣Sを第1集積収納部100及び第2集積収納部101からそれぞれ取り出し、結束部102に搬送させる。
【0110】
具体的には、第1集積搬送部130の第1チャック部材131が第1集積収納部100側に向けて移動して、第1集積収納部100の集積ベース部110上に収納されている集積状態の紙幣Sを取り出す。次いで、第1チャック部材131は、左側LHに移動して、取り出した集積状態の紙幣Sを第2集積搬送部140における第2チャック部材141に受け渡す。第2チャック部材141は、集積状態の紙幣Sを受け取った後、下方移動することで紙幣導入部181を通じて結束部102におけるガイドリング180内に進入し、結束位置P3まで紙幣Sを搬送する。その後、以下に説明する結束部102による結束が行われる。
【0111】
上記結束部102による結束の終了後、第2チャック部材141は、上方移動することで紙幣導入部181を通じてガイドリング180内から退避する。これと同時に、第1集積搬送部130の第1チャック部材131が第2集積収納部101側に向けて移動して、第2集積収納部101の集積ベース部110上に収納されている集積状態の紙幣Sを取り出す。次いで、第1チャック部材131は、右側RHに移動して、取り出した集積状態の紙幣Sを第2集積搬送部140における第2チャック部材141に再び受け渡す。
【0112】
このように、第1集積搬送部130の第1チャック部材131及び第2集積搬送部140の第2チャック部材141を利用して、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に収納された集積状態の紙幣Sを、例えば交互に取り出して、結束部102まで搬送することができる。
【0113】
上述した第2集積搬送部140の第2チャック部材141によって結束位置P3に搬送されてくる集積状態の紙幣Sの結束について、詳細に説明する。
【0114】
結束を行うにあたって、制御部51はガイドゲート182が開放位置P4に位置するようにガイドゲート駆動部184を制御する。これにより、ガイドゲート182を開状態にして、紙幣導入部181を開放することができる。その後、紙幣導入部181を通じて第2チャック部材141がガイドリング180内に進入し、結束位置P3まで集積状態の紙幣Sを搬送すると、制御部51はガイドゲート駆動部184を制御して、ガイドゲート182を閉塞位置P5に移動させる。これにより、
図9に示すようにガイドゲート182を閉状態にして、紙幣導入部181を閉塞することができる。
【0115】
結束位置P3に集積された紙幣Sが搬送されると、制御部51はフィードモータを駆動してフィードローラ171を作動させ、芯材170から引き出した結束テープ160を、テープ導入路172からガイドリング180側に供給する。これにより、結束テープ160をテープ受入口180aからガイドリング180の内面に沿って供給することができる。この際、ガイドゲート182が閉塞位置P5に位置しているので、ガイドゲート182も利用して、結束テープ160を案内することができる。なお、結束テープ160は、テープ押さえ部材165の通過孔165a内を通過している。
【0116】
結束テープ160をガイドリング180の内面に沿って供給することで、ガイドリング180を一周させることができ、結束テープ160の先端部を結束テープ160に二重に重ねることができる。すると制御部51は、テープ押さえ部材165を上方移動させて、第2チャック部材141の第2チャック部141bとの間で結束テープ160の先端部を押さえ込ませる。続いて制御部51は、巻戻しモータを駆動して、芯材170を巻き戻し回転させて、結束テープ160を巻き取らせる。これにより、結束テープ160を絞ることができ、第2チャック部材141ごと集積された紙幣Sに結束テープ160を巻き付けることができる。
【0117】
次いで、制御部51は、テープ接合部163を上方移動させて、第2チャック部141bとの間で結束テープ160を挟み込んで該結束テープ160を熱接着する。更に、熱接着後、制御部51はテープ切断部164を上方移動させて、テープ押さえ部材165の近傍で結束テープ160を切断する。
最後に、結束テープ160から第2チャック部材141を引き抜くことで、集積状態の紙幣Sを結束テープ160で結束して1つにまとめた小束を作製することができる。
【0118】
このように、作製された小束は、
図1に示す小束排出部190に投入される。これにより、操作者は、小束排出部190から小束を取り出して回収することができる。特に、この小束は、各紙幣Sの表裏の向きが統一され、且つ横幅方向及び縦幅方向に綺麗に集積された紙幣S(一万円券)の束とされている。
【0119】
以上説明したように、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を利用して、連結搬送部70によって搬送中の紙幣Sを、表裏の識別情報に基づいて表裏反転させることができる。これにより、表裏の向きが混在していている状態で紙幣Sが搬送されてきた場合であっても、搬送途中で表裏の向きを統一することができる。
特に、装置ケース60内に、非反転部91及び反転部92を具備する表裏反転部80(第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82)を備えるだけで、紙幣Sの表裏が同じ向きとなるように統一する処理を行える。従って、構成の簡略化を図ることができ、紙幣処理装置1全体の小型化、コンパクト化を図ることができる。
【0120】
しかも本実施形態の紙幣処理装置1では、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を備えているので、連結搬送部70に4つの表裏パターンが混在した状態で搬送されてきたとしても、第1表姿勢N1及び第2表姿勢N3の何れかに表裏の向きを統一できるので、使い易い。
【0121】
また、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82において、非反転部91を連結搬送部70の上流側に向けてU字状に膨らむように形成し、反転部92を連結搬送部70の下流側に向けてU字状に膨らむように形成している。従って、連結搬送部70から非反転部91に亘って紙幣Sを搬送させるだけの自然な流れで偶数回表裏反転させることができ、連結搬送部70から反転部92に亘って紙幣Sを搬送させるだけの自然な流れで奇数回表裏反転させることができる。従って、簡便な構成で、スペースを大きく確保することなく、紙幣Sの表裏反転を行うことができる。
【0122】
更に、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82に対応して、第1集積収納部100及び第2集積収納部101を備えているので、第1の表裏反転部81で表裏の向きが第1表姿勢N1に統一された紙幣Sだけを第1集積収納部100に集積した状態で収納することができると共に、第2の表裏反転部82で表裏の向きが第2表姿勢N3に統一された紙幣Sだけを第2集積収納部101に集積した状態で収納することができる。
その一方、集積搬送部103を利用して、第1集積収納部100内に収納された紙幣S、及び第2集積収納部101内に収納された紙幣Sを例えば交互に取出して結束部102に効率良く搬送できるので、装置全体のコンパクト化を図り易い。
【0123】
更に結束部102に関し、ガイドゲート182を利用して紙幣導入部181の閉塞と開放とを切り換えることができるうえ、紙幣導入部181を通じてガイドリング180の真上から第2チャック部材141を進入させることができる。そのため、ガイドリング180内の結束部102に集積した状態の紙幣Sをセットするときに、ガイドリング180を横切るようにセットすることができる。
この点、ガイドリング180を利用した従来の結束機構では、ガイドリング180の軸方向の開口部側から集積した紙幣Sを進入させる必要があり、ガイドリング180の軸方向に集積状態の紙幣Sを通過させるためのスペース(空間)を予め確保しておく必要がある。
しかしながら、本実施形態の結束部102によれば、紙幣導入部181を利用して結束位置P3に紙幣Sをセットできるので、上述した余分なスペースを省略することができ、その分、紙幣処理装置1全体の小型化を図ることができる。
【0124】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0125】
例えば上記実施形態では、紙幣処理装置1が、互いに連結された識別計数装置2及び集積結束装置3を具備する場合を例に挙げて説明したが、識別計数装置2は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0126】
更に、集積結束装置3を1つだけを具備する場合に限定されるものではなく、2つ以上具備する構成としても構わない。
例えば、2つの集積結束装置3を左右方向L1に連結した紙幣処理装置1としても構わない。この場合には、第1の集積結束装置3における連結搬送部70のオプション出口71に第2の集積結束装置3における連結搬送部70を繋げることで、第1の集積結束装置3から第2の集積結束装置3に向けて紙幣Sを連続的に搬送することができる。
【0127】
このように紙幣処理装置1を構成した場合には、例えば識別部30によって汚損紙幣(汚損紙葉類)Sと識別された汚損紙幣Sについて、第1の集積結束装置3を通過させ、第2の集積結束装置3において、表裏の向きを統一させながら汚損紙幣Sの小束を作製するといった使い方を行える。従って、第2の集積結束装置3を、汚損紙幣Sを結束するための専用の装置として利用することができる。
これにより、汚損紙幣Sとそれ以外の紙幣Sを区分けしながら、それぞれ小束を作製する等の使い方を行える。
【0128】
更には汚損紙幣Sではなく、第2の集積結束装置3を利用して、第1の集積結束装置3とは異なる金種の紙幣Sの表裏の向きを統一しながら、小束を作製する等の使い方も行える。例えば、第1の集積結束装置3では、上記実施形態のように一万円券の紙幣Sを対象とし、第2の集積結束装置3では5千円券の紙幣Sを対象とすることが可能である。
更には、合計4つの集積結束装置3を連結させることで、一万円券、五千円券、二千円券、千円券の各紙幣S専用の集積結束装置3として利用することも可能である。
【0129】
更に上記実施形態では、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を左右方向L1に並ぶように配置したが、この場合に限定されるものではなく、例えば第1の表裏反転部81の下方に第2の表裏反転部82を設ける等して、第1の表裏反転部81と第2の表裏反転部82とを上下方向L2に並設するように設けても構わない。
【0130】
更に上記実施形態では、第1集積収納部100を第1の表裏反転部81の下方に設け、第2集積収納部101を第2の表裏反転部82の下方に設けたうえで、集積搬送部103を第1集積収納部100と第2集積収納部101との間に配置したが、この場合に限定されるものではなく、例えば集積搬送部103を第1集積収納部100及び第2集積搬送部140に対して前後方向L3に隣接するように側方配置しても構わない。
【0131】
更に上記実施形態では、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部80において、非反転部91が紙幣Sを2回表裏反転させたが、2回に限定されるものではない。連結搬送部70を搬送していたときと同じ表裏の向きとなれば良いので、非反転部91によって4回、6回等、2回以上の偶数回表裏反転させるように構成しても構わない。
同様に、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部80において、反転部92が紙幣Sを1回表裏反転させたが、1回に限定されるものではない。連結搬送部70を搬送していたときの異なる表裏の向きとなればよいので、反転部92によって3回、5回等、1回以上の奇数回表裏反転させるように構成しても構わない。
【0132】
更に上記実施形態において、紙幣導入部181をガイドリング180の頂上部側に形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばガイドリング180の右側RHの壁面等に形成しても構わない。この場合であっても、ガイドリング180の軸方向から紙幣Sを結束位置P3に搬送する従来方法に比べて、結束部102の小型化を図ることができる。
【0133】
更に上記実施形態では、ガイドゲート182を、ガイドリング180に対して開閉可能に設けた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、ガイドゲート182をガイドリング180に対して前後方向L3或いは左右方向L1にスライド移動可能に構成し、スライド移動によってガイドゲート182を開放位置P4と閉塞位置P5との間を移動させ、紙幣導入部181を開閉しても構わない。
【0134】
更に上記実施形態では、紙葉類の一例として日本国の紙幣Sを例に挙げて説明したが、先に述べたように外国の紙幣Sであっても構わないし、紙幣Sに限定されるものでもない。例えば、商品券や小切手、手形等の金券類や有価証券等、紙葉類全般を処理する装置に適用することができる。
【0135】
更に上記実施形態では、投入部11に紙幣Sをセットする際に、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の前後方向L3に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1に沿わせた向きでセットしたが、この場合に限定されるものではなく、紙幣Sを、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の左右方向L1に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の前後方向L3に沿わせた向きでセットされるように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0136】
S…紙幣(紙葉類)、P3…結束位置、P4…開放位置、P5…閉塞位置、1…紙幣処理装置(紙葉類処理装置)、2…識別計数装置、11…投入部、20…識別搬送部、30…識別部、40…機外向搬送部、70…連結搬送部(搬送部)、80…表裏反転部、90…分岐搬送部、91…非反転部、92…反転部、100…第1集積収納部、101…第2集積収納部、102…結束部、103…集積搬送部、160…結束テープ(結束帯)、161…テープ供給部(帯供給部)、180…ガイドリング、181…紙幣導入部(紙葉類導入部)、182…ガイドゲート