(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095178
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】マスク用インナースペーサ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220621BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208353
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】501454119
【氏名又は名称】株式会社新興化学
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 宏
(72)【発明者】
【氏名】川越 秀一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】1本の使用でもマスク本体と使用者の口元との間に必要なスペースを確保することができるマスク用インナースペーサを提供する。
【解決手段】マスク用インナースペーサ1のスペーサ本体4は、長手方向の中央部に平坦部5を有し且つこの平坦部5の長手方向の両側に一対の挟持部2,3が位置する側に向かって凹となる形状の一対の湾曲部6,7を有しする。平坦部5には厚み方向に貫通する孔は形成されていない。平坦部5の長手方向の長さL1並びに長手方向及び厚み方向と直交する幅方向の長さW1は、マスク用インナースペーサ1がマスク本体Mに装着されて使用されているときに、マスク本体Mに作用する吸引力によってマスク本体Mの中央領域がスペーサ本体4よりも内側に向かって変形するのを阻止する長さを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体の横方向に対向する一対の縁部を挟む一対の挟持部と、該一対の挟持部との間に位置し且つ前記マスク本体の内面に沿って配置されて前記マスク本体と使用者の口との間に空間を確保するための細長いスペーサ本体とを備え、合成樹脂材料により一体成形されてなるマスク用インナースペーサであって、
前記スペーサ本体は、長手方向の中央部に平坦部を有し且つ該平坦部の長手方向の両側に前記一対の挟持部が位置する側に向かって凹となる形状の一対の湾曲部を有しており、
前記平坦部の前記長手方向の長さ並びに該長手方向及び厚み方向と直交する幅方向の長さは、前記マスク用インナースペーサが前記マスク本体に装着されて使用されているときに、前記マスク本体に作用する吸引力によって前記マスク本体の中央領域が前記スペーサ本体よりも内側に向かって変形するのを阻止する長さを有していることを特徴とするマスク用インナースペーサ。
【請求項2】
前記マスク本体は、不織布からなる請求項1に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項3】
前記平坦部の前記幅方向の長さは、前記一対の湾曲部の前記幅方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項4】
前記一対の湾曲部の前記幅方向の長さが、6.70mm~7.30mmであり、
前記平坦部の前記長手方向の長さが、9.70mm~10.30mmの範囲にあり、前記幅方向の長さが11.70mm~12.30mmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項5】
前記平坦部には厚み方向に貫通する孔が形成されていない請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項6】
前記一対の挟持部は、それぞれ前記湾曲部に連続し且つ湾曲部から離れる方向に直線的に延びる第1の直線部と、前記第1の直線部の外側に位置して前記第1の直線部及び前記湾曲部の一部と対向する第2の直線部と、前記第1の直線部と前記第2の直線部とを連結する連結部とを備えており、
前記連結部には、前記第2の直線部を前記第1の直線部及び前記湾曲部の一部に向かって近付ける方向の内部応力を発生している請求項1~5のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項7】
前記連結部の形状は、前記合成樹脂材料が硬化する際に前記内部応力が発生するように定められている請求項6に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項8】
前記第1の直線部の前記幅方向の寸法は、前記湾曲部の前記幅方向の寸法に等しく、
前記第2の直線部の前記幅方向の寸法は、前記第1の直線部の前記幅方向の寸法よりも大きい請求項6に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項9】
前記第1の直線部の前記第2の直線部と対向しない面と該面に連続する前記湾曲部の側面との間の角度が、160°~170°の範囲内の角度である請求項6に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項10】
前記第2の直線部の前記第1の直線部及び前記湾曲部の一部と対向する面には、第1の直線部の前記幅方向に延び且つ前記第1の直線部又は前記湾曲部の一部が位置する側に突出する複数の突起が、前記第2の直線部の長手方向に間隔をあけて形成されている請求項6乃至9のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項11】
前記複数の突起のうち一つの突起は、前記第2の直線部の前記連結部とは反対側に位置する端部に設けられている請求項10に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項12】
少なくとも一方の前記第2の直線部には、前記厚み方向に貫通する1以上の貫通孔が形成されている請求項6乃至11のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項13】
少なくとも一方の前記第2の直線部の前記第1の直線部と対向する面とは反対側の面には、前記厚み方向に凹むマーカ添付用凹部が形成されている請求項6乃至12のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項14】
前記合成樹脂材料には、抗菌物質の粉末が含まれている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のマスク用インナースペーサ。
【請求項15】
前記連結部の形状は、前記第1の直線部から前記第2の直線部に向かうに従って厚み寸法が徐々に増加したのち徐々に減少し、最大厚み寸法が第2の直線部に近い位置にある請求項6に記載のマスク用インナースペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂材料により一体成形されてなるマスク用インナースペーサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2012-110577号公報(特許文献1)には、マスクの内側に配置されるマスク用インナースペーサの従来例の一例が開示されている。この従来のインナースペーサは、マスクの内側に配置されて使用者の口の前方全体に空間を確保する大きなスペーサをマスクに装着するものである。
【0003】
また非特許文献1には、マスク本体の横方向に対向する一対の縁部を挟む一対の挟持部と、該一対の挟持部との間に位置し且つマスク本体の内面に沿って配置されてマスク本体と使用者の口との間に空間を確保するための細長いスペーサ本体とを備え、合成樹脂材料により一体成形されてなるマスク用インナースペーサが開示されている。スペーサ本体は、マスク本体の横方向に対向する一対の縁部を挟む一対の挟持部と、該一対の挟持部との間に位置し且つマスク本体の内面に沿って配置されてマスク本体と使用者の口との間に空間を確保するための細長いスペーサ本体とを備えている。スペーサ本体は、全体的に同じ幅寸法で前方に湾曲した細長い形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載のマスク用インナースペーサは、スペーサ本体が全体的に同じ幅寸法の細長い形状を有しているため、使用者が息を吸い込んだときに、マスク本体を十分に支えることができずに、マスク本体の一部がマスク用インナースペーサよりも口側に引き込まれる問題が発生する。そのため2本のマスク用インナースペーサを上下方向に間隔を開けて配置する使用方法が提案されている。
【0007】
本発明の目的は、1本の使用でもマスク本体と使用者の口元との間に必要なスペースを確保することができるマスク用インナースペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、マスク本体の横方向に対向する一対の縁部を挟む一対の挟持部と、該一対の挟持部との間に位置し且つマスク本体の内面に沿って配置されてマスク本体と使用者の口との間に空間を確保するための細長いスペーサ本体とを備え、合成樹脂材料により一体成形されてなるマスク用インナースペーサを改良の対象とする。本発明のマスク用インナースペーサのスペーサ本体は、長手方向の中央部に平坦部を有し且つ該平坦部の長手方向の両側に一対の挟持部が位置する側に向かって凹となる形状の一対の湾曲部を有している。そして平坦部の長手方向の長さ並びに該長手方向及び厚み方向と直交する幅方向の長さは、マスク用インナースペーサがマスク本体に装着されて使用されているときに、マスク本体に作用する吸引力によってマスク本体の中央領域がスペーサ本体よりも内側に向かって変形するのを阻止する長さを有している。
【0009】
発明者は、当初、マスク用インナースペーサの湾曲するスペーサ本体の長手方向の中央部の長手方向の寸法及び幅寸法を大きくすれば、使用者が息を吸い込んだときに発生する吸引力で、マスク本体を十分に支えることができると考えた。しかしながら実際にこれを実行すると、マスク本体を通して吸い込む空気の量が少なくなって息苦しさを感じるようになった。そこでスペーサ本体の中央部の幅寸法を大きくして、その部分に複数の貫通孔を形成してみたが、スペーサ本体の中央部が湾曲した状態のまま複数の貫通孔を形成すると、加工工程が複雑になる上、中央部の強度が弱くなって、ある程度使用して使用中に押し広げられるように変形すると湾曲部の中央部の頂点部分が使用者の口元側に凹むように変形する問題が発生することが判った。このような変形が発生すると、マスク本体もこの変形に追随した変形をし、マスク使用時にマスク本体の中央部領域が凹んだり元に戻ったりして見栄えを悪くする問題が発生する。
【0010】
本発明によれば、スペーサ本体が、長手方向の中央部に平坦部を有し且つ該平坦部の長手方向の両側に一対の挟持部が位置する側に向かって凹となる形状の一対の湾曲部を有しているので、1本のマスク用インナースペーサの使用でも、マスク本体の中央領域がスペーサ本体よりも内側に向かって変形するのを平坦部の存在が確実に阻止することができる。また平坦部の存在により、平坦部と一対の湾曲部との間の2カ所の境界部を起点として一対の湾曲部が変形するため、平坦部が使用者の口元側に凹むような変形をすることがなく、マスク使用時にマスク本体の中央部領域が凹んだり元に戻ったりして見栄えを悪くする問題が発生することを防止できる。
【0011】
本発明は、マスク本体が、不織布のように厚みが薄く、軟らかい素材から形成される場合に、特に、大きな効果を発揮する。
【0012】
なお平坦部の幅方向の長さは、一対の湾曲部の幅方向の長さよりも長ければ、平坦部の形成に必要以上の樹脂を用いる必要がなく、材料費の節約になる利点が得られる。また、マスク用インナースペーサを軽量化することができ、使用者の肌とマスク用インナースペーサの接触が減るため、使用者に対して不快感を与えることを抑えることができる。
【0013】
実際的な一対の湾曲部の幅方向の長さは、6.70mm~7.30mmであり、平坦部の長手方向の長さが、9.70mm~10.30mmの範囲にあり、しかも幅方向の長さが11.70mm~12.30mmの範囲にあるのが好ましい。この様な数値範囲であれば、スペーサ本体の機械的強度の確保と発明の効果の両方を達成することができる。
【0014】
なお平坦部には厚み方向に貫通する孔が形成されていないのが好ましい。
【0015】
一対の挟持部は、それぞれ湾曲部に連続し且つ湾曲部から離れる方向に直線的に延びる第1の直線部と、第1の直線部の外側に位置して第1の直線部及び湾曲部の一部と対向する第2の直線部と、第1の直線部と第2の直線部とを連結する連結部とを備えているのが好ましい。この場合、連結部は、第2の直線部を第1の直線部及び湾曲部の一部に向かって近付ける方向の内部応力を発生する形状にするのが好ましい。このようにすると連結部に発生する内部応力によって、第1の直線部を第2の直線部側にある程度の強さで押し付けた状態にすることができ、マスク本体を所定の挟持力でしっかりと挟持できる利点が得られる。なお連結部の形状は、合成樹脂材料が硬化する際に内部応力が発生するように定められているのが好ましい。このようにすると特別な後加工をしなくても、必要な挟持力を発生させることができる。
【0016】
第1の直線部の幅方向の寸法は、湾曲部の幅方向の寸法に等しく、また第2の直線部の幅方向の寸法は、第1の直線部の幅方向の寸法よりも大きいことが好ましい。このようにすると、使用者が第2の直線部を持って第1の直線部と第2の直線部との間にマスク本体の縁部を差し込む作業が容易になる。
【0017】
また第1の直線部の第2の直線部と対向しない面と該面に連続する湾曲部の側面との間の角度は、160°~170°の範囲内の角度であるのが好ましい。このような角度にすれば、マスク用インナースペーサを使用したときのマスクの形状が、マスク用インナースペーサを使用せずに使用者がマスクをそのまま使用した際のマスクの形状に近くなるため、マスク本体を使用者の顔に沿わせることができる。また、マスク本体の長さが異なっても、使用者の顔の幅が異なっても、マスク本体と使用者の顔の間に大きな隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
さらに第2の直線部の第1の直線部及び湾曲部の一部と対向する面には、第1の直線部の幅方向に延び且つ第1の直線部又は湾曲部の一部が位置する側に突出する複数の突起が、第2の直線部の長手方向に間隔をあけて形成されているのが好ましい。これらの突起によりマスク本体をしっかりと係止できる。なお複数の突起のうち一つの突起は、第2の直線部の連結部とは反対側に位置する端部に設けられているのが好ましい。このようにするとマスク本体の長さが短いものも極力挟持することが可能となる。
【0019】
また少なくとも一方の第2の直線部には、厚み方向に貫通する1以上の貫通孔が形成されていてよい。この貫通孔を利用してアクセサリを装着するこが可能になる。
【0020】
さらに少なくとも一方の第2の直線部の第1の直線部と対向する面とは反対側の面には記厚み方向に凹むマーカ添付用凹部が形成されていてもよい。
【0021】
また合成樹脂材料には、抗菌物質の粉末が含まれていてもよい。マスク用インナースペーサの全体表面に抗菌剤を塗布することも考えられるが、水等による洗浄を考えると、抗菌剤の塗布は実用的ではない。
【0022】
連結部の形状は、第1の直線部から第2の直線部に向かうに従って厚み寸法が徐々に増加したのち徐々に減少し、最大厚み寸法が第2の直線部に近い位置にあるようにしてもよい。このようにすると樹脂の硬化時に、前述の内部応力が発生しやすい利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のマスク用インナースペーサの一実施の形態の平面図である。
【
図2】マスク用インナースペーサの一実施の形態の正面図である。
【
図3】マスク用インナースペーサの一実施の形態の底面図である。
【
図4】
図1に示す矢印Aの方向から斜めにマスク用インナースペーサを見た右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の電線接続機器の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のマスク用インナースペーサ1の一実施の形態の平面図、
図2はその正面図であり、
図3は底面図であり、
図4は
図1に示す矢印Aの方向から斜めにマスク用インナースペーサ1を見た右側面図である。なお
図1及び
図2には、使い捨てマスクの不織布製のマスク本体の存在を破線で示してある。マスク本体の長手方向の両端には、伸縮性を有する耳かけ部が装着されているが、耳かけ部の破線による図示は省略してある。マスク用インナースペーサ1は、マスク本体Mの横方向に対向する一対の縁部を挟む一対の挟持部2,3と、一対の挟持部2,3との間に位置し且つマスク本体Mの内面に沿って配置されてマスク本体Mと使用者の口との間に空間を確保するための細長いスペーサ本体4とを備えている。
【0025】
このマスク用インナースペーサ1は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料により一体に成形されている。なお合成樹脂材料には、抗菌物質の粉末が含まれていてもよい(抗菌物質の粉末が混錬されていてもよい)のは勿論である。マスク用インナースペーサ1の全体表面に抗菌剤を塗布することも考えられるが、水等による洗浄を考えると、抗菌剤の塗布は実用的ではない。抗菌物質としては、ホタテ貝の殻を原料とするものを用いることができる。この材料は、価格が安く、しかも成形時に添加できるので、大量生産に好適である。
【0026】
マスク用インナースペーサ1のスペーサ本体4は、長手方向の中央部に平坦部5を有し且つこの平坦部5の長手方向の両側に一対の挟持部2,3が位置する側に向かって凹となる形状の一対の湾曲部6,7を有している。平坦部5には厚み方向に貫通する孔は形成されていない。そして平坦部5の長手方向の長さL1並びに長手方向及び厚み方向と直交する幅方向の長さW1は、マスク用インナースペーサ1がマスク本体Mに装着されて使用されているときに、マスク本体Mに作用する吸引力によってマスク本体Mの中央領域がスペーサ本体4よりも内側に向かって変形するのを阻止する長さを有している。そして平坦部5の幅方向の長さW1は、一対の湾曲部6,7の幅方向の長さW2よりも長い。
【0027】
実際的な一対の湾曲部6,7の幅方向の長さW2は、6.70mm~7.30mmであり、平坦部5の長手方向の長さが、9.70mm~10.30mmの範囲にあり、しかも幅方向の長さが11.70mm~12.30mmの範囲にある。厚み寸法が1.4mm~1.6mmの範囲にある。この数値範囲であれば、スペーサ本体4の機械的強度の確保した上、長さ寸法が160mm~175mmのマスク本体Mを保持することができる。
【0028】
一対の挟持部2,3は、それぞれ湾曲部6,7に連続し且つ湾曲部6,7から離れる方向に直線的に延びる第1の直線部2A,3Aと、第1の直線部2A,3Aの外側に位置して第1の直線部2A,3A及び湾曲部6,7の一部と対向する第2の直線部2B,3Bと、第1の直線部2A,3Aと第2の直線部2B,3Bとを連結する連結部2C,3Cとを備えている。第1の直線部2A,3Aの幅方向の寸法は、湾曲部の幅方向の寸法に等しく、また第2の直線部2B,3Bの幅方向の寸法W3は、第1の直線部2A,3Aの幅方向の寸法W4よりも大きいことが好ましい。このようにすると、使用者が第2の直線部2B,3Bを持って第1の直線部2A,3Aと第2の直線部2B,3Bとの間にマスク本体Mの縁部を差し込む作業が容易になる。
【0029】
第2の直線部2B,3Bの第1の直線部2A,3A及び湾曲部6,7の一部と対向する面には、第1の直線部2A,3Aの幅方向に延び且つ第1の直線部2A,3A又は湾曲部6,7の一部が位置する側に突出する2つの突起8,9が、第2の直線部2B,3Bの長手方向に間隔をあけて形成されている。2つの突起8,9は、それぞれ横断面形状が先端に向かって尖った形状になっている。これらの突起8,9によりマスク本体Mをしっかりと係止できる。2つの突起8,9のうち一つの突起8は、第2の直線部2B,3Bの連結部2C,3Cとは反対側に位置する端部に設けられている。突起8の幅寸法は、第1の直線部2A,3Aの幅方向の寸法W4と実質的に同じであり、突起9の幅寸法は、第2の直線部2B,3Bの幅方向の寸法W3と実質的に同じである。2つの突起8,9の幅方向の寸法が異なると、マスク本体Mの長さが短いものもしっかりと挟持することが可能となる。
【0030】
本実施の形態では、連結部2C,3Cを、第2の直線部2B,3Bを第1の直線部2A,3A及び湾曲部6,7の一部と対向する第2の直線部2B,3Bと、第1の直線部2A,3A及び湾曲部の一部に向かって近付ける方向の内部応力を発生する形状にしてある。具体的には、連結部2C,3Cの形状は、合成樹脂材料が硬化する際に前述の内部応力が発生するように、第1の直線部2A,3Aに連結される部分の厚みよりも、第2の直線部2B,3Bに連結される部分の厚みが厚く、しかも中間部分の厚みが一番厚くなるように定められている。言い換えると、連結部2C,3Cの形状は、第1の直線部2A,3Aから第2の直線部に向かうに従って厚み寸法が徐々に増加したのち徐々に減少し、最大厚み寸法が第2の直線部に近い位置にあるようにしてもよい。
【0031】
なお
図1及び
図3は、設計図であり、成形後に実際に樹脂が硬化すると、第1の直線部を第2の直線部側にある程度の強さで押し付けた状態にすることができ、マスク本体を所定の挟持力でしっかりと挟持できる利点が得られる。また特別な後加工をしなくても、必要な挟持力を発生させることができる。
【0032】
また
図4及び
図5に示すように、2つの第2の直線部2B,3Bの少なくとも一方の第2の直線部2Bには、厚み方向に貫通する貫通孔10が形成されている。この貫通孔10を利用してアクセラリを装着するこが可能になる。さらに少なくとも一方の第2の直線部2Bの第1の直線部2Aと対向する面とは反対側の面には厚み方向に凹む円形のマーカ添付用凹部11が形成されている。このマーカ添付用凹部11には、円形のシールやバッジをアクセサリとして貼り付けることができる。
【0033】
また本実施の形態では、
図3に示すように、第1の直線部2A,3Aの第2の直線部2B,3Bと対向しない面2Aa,3Aaと該面2Aa,3Aaに連続する湾曲部の側面6a,7aとの間の角度θは、160°~170°の範囲内の角度であるのが好ましい。このような角度θにすれば、マスク用インナースペーサ1を装着したマスクの形状が、マスク用インナースペーサ1を使用せずに、使用者がマスクを装着した際のマスクの形状に近くなる。そのため、マスク本体Mを使用者の顔に沿わせることができ、マスク本体Mの長さが異なっても、また使用者の顔の幅が異なっても、マスク本体Mと使用者の顔の間に大きな隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0034】
上記実施の形態では、不織布のマスクを適用対象として説明にしたが、その他の材料からマスクでも一対の挟持部で挟持可能なものには本発明のマスク用インナースペーサは適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、1本のマスク用インナースペーサの使用でも、マスク本体の中央領域がスペーサ本体よりも内側に向かって変形するのを平坦部の存在が確実に阻止することができる。また平坦部の存在により、平坦部と一対の湾曲部との間の2カ所の境界部を起点として一対の湾曲部が変形するため、平坦部が使用者の口元側に凹むような変形をすることがなく、マスク使用時にマスク本体の中央部領域が凹んだり元に戻ったりして見栄えを悪くする問題が発生することを防止できる。
【符号の説明】
【0036】
1 マスク用インナースペーサ
2,3 挟持部
2A,3A 第1の直線部
2B,3B 第2の直線部
2C,3C 連結部
4 スペーサ本体
5 平坦部
6,7 湾曲部
8,9 突起
10 貫通孔
11 マーカ添付用凹部