IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オンダ製作所の特許一覧

<>
  • 特開-複合管 図1
  • 特開-複合管 図2
  • 特開-複合管 図3
  • 特開-複合管 図4
  • 特開-複合管 図5
  • 特開-複合管 図6
  • 特開-複合管 図7
  • 特開-複合管 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095196
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】複合管
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/11 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
F16L11/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208377
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】深尾 洋一
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111CA43
3H111CC13
3H111CC22
3H111DA13
3H111DB03
(57)【要約】
【課題】管体とコルゲート管との衝突に起因する騒音の発生を抑制できるとともに、コルゲート管に管体を挿通する作業を容易に行うことができる。
【解決手段】複合管10は、管体11と、管体11の外周を覆うコルゲート管12とを備える。コルゲート管12は、山部21と、山部21の外径よりも小さな外径を有する谷部22とがコルゲート管12の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状であり、且つコルゲート管12の径方向内側に向かって突出する複数の突起23を有している。複数の突起23は、コルゲート管12の周方向において互いに間隔をおいて設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体と、
前記管体の外周を覆うコルゲート管と、を備え、
前記コルゲート管は、山部と、前記山部の外径よりも小さな外径を有する谷部とが前記コルゲート管の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状であり、且つ前記コルゲート管の径方向内側に向かって突出する複数の突起を有しており、
複数の突起は、前記コルゲート管の周方向において互いに間隔をおいて設けられている、
複合管。
【請求項2】
前記谷部は、前記山部の内径よりも小さな内径を有しており、
前記突起は、前記谷部に設けられている、
請求項1に記載の複合管。
【請求項3】
前記突起は、先細状である、
請求項1または請求項2に記載の複合管。
【請求項4】
管体と、
前記管体の外周を覆うコルゲート管と、を備え、
前記コルゲート管は、山部と、前記山部の外径よりも小さな外径を有する谷部とが前記コルゲート管の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状であり、
前記谷部は、第1谷部と、前記第1谷部とは前記軸線方向において異なる位置に設けられる第2谷部と、を有しており、
前記第1谷部は、第1内径を有しており、
前記第2谷部は、前記第1内径よりも大きい第2内径を有している、
複合管。
【請求項5】
前記軸線方向において互いに隣り合う2つの前記第1谷部の間には、複数の前記第2谷部が設けられている、
請求項4に記載の複合管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管体と、管体の外周を覆うコルゲート管とを備える複合管がある(例えば特許文献1参照)。
コルゲート管は、山部と谷部とが軸線方向において交互に設けられた蛇腹状である。
【0003】
管体は、架橋ポリエチレンなどの樹脂材料から構成されている。
コルゲート管は、基管と、基管の外周面を被覆する被覆層とを有している。基管は、独立気泡の発泡ポリエチレンなどの樹脂材料から構成されている。被覆層は、ポリエチレンなどの樹脂材料から構成されている。
【0004】
管体とコルゲート管とは、各別に形成される。そして、コルゲート管に管体を挿通することによって複合管が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-26129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複合管の管体が水道配管などに用いられる場合、蛇口が閉められることにより、水道配管内の圧力が急激に変化することがある。このとき、管体に作用する衝撃力によって管体がコルゲート管に衝突することで騒音が発生する。
【0007】
これに対して、コルゲート管の谷部の内径を小さくするとともに、管体とコルゲート管との間の隙間を小さくすることで、管体とコルゲート管との衝突を抑制することが考えられる。しかしながら、この場合には、コルゲート管に管体を挿通する際に、両者が干渉しやすくなることで作業性が悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための複合管は、管体と、前記管体の外周を覆うコルゲート管と、を備え、前記コルゲート管は、山部と、前記山部の外径よりも小さな外径を有する谷部とが前記コルゲート管の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状であり、且つ前記コルゲート管の径方向内側に向かって突出する複数の突起を有しており、複数の突起は、前記コルゲート管の周方向において互いに間隔をおいて設けられている。
【0009】
同構成によれば、コルゲート管から突出する複数の突起によって、コルゲート管と管体との間の隙間が周方向において部分的に小さくなる。このことにより、コルゲート管に対する管体の相対変位が規制される。このため、管体内を流れる流体の圧力が急激に変化することによって管体に対して衝撃力が作用した場合に、管体とコルゲート管との衝突を抑制できる。これにより、管体とコルゲート管との衝突に起因する騒音の発生を抑制できる。
【0010】
一方、上記構成によれば、例えば谷部の内径を小さくすることで谷部と管体との間の隙間をコルゲート管の周方向全体にわたって小さくする場合に比べて、コルゲート管に管体を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管に管体を挿通する作業を容易に行うことができる。
【0011】
上記複合管において、前記谷部は、前記山部の内径よりも小さな内径を有しており、前記突起は、前記谷部に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、突起が谷部に設けられているため、突起が山部に設けられる場合に比べて、突起の体格が小さくなる。このため、突起を設けることによってコルゲート管の重量が増えることを抑制できる。
【0012】
また、上記構成によれば、突起を設けることによってコルゲート管が撓み変形しにくくなることを抑制できる。
上記複合管において、前記突起は、先細状であることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、突起の先端が小さくなるため、コルゲート管に管体を挿通する際に両者が一層干渉しにくくなる。このため、コルゲート管に管体を挿通する作業を一層容易に行うことができる。
【0014】
また、上記課題を解決するための複合管は、管体と、前記管体の外周を覆うコルゲート管と、を備え、前記コルゲート管は、山部と、前記山部の外径よりも小さな外径を有する谷部とが前記コルゲート管の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状であり、前記谷部は、第1谷部と、前記第1谷部とは前記軸線方向において異なる位置に設けられる第2谷部と、を有しており、前記第1谷部は、第1内径を有しており、前記第2谷部は、前記第1内径よりも大きい第2内径を有していることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、コルゲート管の第1谷部においては、第2谷部に比べて、コルゲート管と管体との間の隙間が小さくなる。このことにより、全ての谷部が第2谷部によって構成される場合に比べて、コルゲート管に対する管体の相対変位が規制される。このため、管体内を流れる流体の圧力が急激に変化することによって管体に対して衝撃力が作用した場合に、管体とコルゲート管との衝突を抑制できる。これにより、管体とコルゲート管との衝突に起因する騒音の発生を抑制できる。
【0016】
一方、上記構成によれば、例えば全ての谷部を第1谷部によって構成することで全ての谷部と管体との間の隙間を小さくする場合に比べて、コルゲート管に管体を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管に管体を挿通する作業を容易に行うことができる。
【0017】
上記複合管において、前記軸線方向において互いに隣り合う2つの前記第1谷部の間には、複数の前記第2谷部が設けられていることが好ましい。
同構成によれば、第1谷部と第2谷部とが軸線方向において交互に設けられる場合に比べて、コルゲート管に管体を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管に管体を挿通する作業を一層容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、管体とコルゲート管との衝突に起因する騒音の発生を抑制できるとともに、コルゲート管に管体を挿通する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の複合管の斜視図。
図2図3の2-2線に沿った半断面図。
図3図2の3-3線に沿った断面図。
図4】同実施形態のコルゲート管の斜視図。
図5図3の5-5線に沿った拡大断面図。
図6】第2実施形態の複合管の斜視図。
図7】同実施形態の複合管の半断面図。
図8】(a)は、図7の8a-8a線に沿った断面図、(b)は、図7の8b-8b線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、図1図5を参照して、第1実施形態について説明する。
まず、複合管10の構成について説明する。
【0021】
図1図3に示すように、複合管10は、管体11と、管体11の外周を覆うコルゲート管12とを備える。
管体11は、樹脂材料により構成されている。
【0022】
管体11を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリブデン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられる。上記樹脂材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、管体11を構成する樹脂材料には、他の添加剤が含有されていてもよい。本実施形態の管体11は、架橋ポリエチレン製である。
【0023】
図1図5に示すように、コルゲート管12は、山部21と、山部21の外径よりも小さな外径を有する谷部22とがコルゲート管12の軸線方向において交互に設けられた蛇腹状である。谷部22の内径及び外径は、山部21の内径よりも小さい。
【0024】
図1図3図5に示すように、コルゲート管12は、コルゲート管12の径方向内側に向かって突出する複数(本実施形態では6つ)の突起23を有している。突起23は、谷部22に設けられている。
【0025】
図3に示すように、複数の突起23は、コルゲート管12の周方向において互いに間隔をおいて設けられている。複数の突起23は、周方向において等間隔(本実施形態では60度間隔)にて設けられている。
【0026】
突起23は、先細状である。より詳しくは、突起23は、周方向において突起23の中心部に近づくほど径方向内側に位置するように傾斜する一対の傾斜面23aを有しており、断面V字状である。
【0027】
本実施形態では、全ての谷部22に突起23が設けられている。
コルゲート管12は、樹脂材料で構成された基管と、樹脂材料で構成され、基管の外周面を被覆する被覆層(いずれも図示略)とを有している。被覆層は、基管の外周面に密着している。
【0028】
基管を構成する樹脂材料としては、例えばポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンプロピレンジエンゴム、並びにこれらの混合物が挙げられる。なお、上記樹脂材料には、他の添加剤が含有されていてもよい。基管は、発泡体であることが好ましい。本実施形態の基管は、独立気泡の発泡ポリエチレン製である。
【0029】
被覆層を構成する樹脂材料としては、例えばポリブデン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられる。上記樹脂材料は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、被覆層を構成する樹脂材料には、他の添加物が含有されていてもよい。本実施形態の被覆層は、ポリエチレン製である。
【0030】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)コルゲート管12は、コルゲート管12の径方向内側に向かって突出する複数の突起23を有している。複数の突起23は、コルゲート管12の周方向において互いに間隔をおいて設けられている。
【0031】
こうした構成によれば、コルゲート管12から突出する複数の突起23によってコルゲート管12と管体11との間の隙間が周方向において部分的に小さくなる。このことにより、コルゲート管12に対する管体11の相対変位が規制される。このため、管体11内を流れる流体の圧力が急激に変化することによって管体11に対して衝撃力が作用した場合に、管体11とコルゲート管12との衝突を抑制できる。これにより、管体11とコルゲート管12との衝突に起因する騒音の発生を抑制できる。
【0032】
一方、上記構成によれば、例えば谷部22の内径を小さくすることで谷部22と管体11との間の隙間をコルゲート管12の周方向全体にわたって小さくする場合に比べて、コルゲート管12に管体11を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管12に管体11を挿通する作業を容易に行うことができる。
【0033】
したがって、管体11とコルゲート管12との衝突に起因する騒音の発生を抑制できるとともに、コルゲート管12に管体11を挿通する作業を容易に行うことができる。
(2)突起23が、山部21の内径よりも小さな内径を有する谷部22に設けられているため、突起23が山部21に設けられる場合に比べて、突起23の体格が小さくなる。このため、突起23を設けることによってコルゲート管12の重量が増えることを抑制できる。
【0034】
また、上記構成によれば、突起23を設けることによってコルゲート管12が撓み変形しにくくなることを抑制できる。
(3)突起23は、先細状である。
【0035】
こうした構成によれば、突起23の先端が小さくなるため、コルゲート管12に管体11を挿通する際に両者が一層干渉しにくくなる。このため、コルゲート管12に管体11を挿通する作業を一層容易に行うことができる。
【0036】
<第2実施形態>
以下、図6図8を参照して、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図6図8に示すように、コルゲート管12の谷部22は、第1谷部22Aと、第1谷部22Aとは軸線方向において異なる位置に設けられる第2谷部22Bとを有している。
図8(a)及び図8(b)に示すように、第1谷部22Aは、第1内径R1を有している。第2谷部22Bは、第1内径R1よりも大きい第2内径R2を有している(R1<R2)。
【0038】
図7に示すように、軸線方向において互いに隣り合う2つの第1谷部22Aの間には、複数の第2谷部22Bが設けられている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0039】
(4)谷部22は、第1谷部22Aと、第1谷部22Aとは軸線方向において異なる位置に設けられる第2谷部22Bとを有している。第1谷部22Aは、第1内径R1を有している。第2谷部22Bは、第1内径R1よりも大きい第2内径R2を有している。
【0040】
こうした構成によれば、コルゲート管12の第1谷部22Aにおいては、第2谷部22Bに比べて、コルゲート管12と管体11との間の隙間が小さくなる。このことにより、全ての谷部22が第2谷部22Bによって構成される場合に比べて、コルゲート管12に対する管体11の相対変位が規制される。このため、管体11内を流れる流体の圧力が急激に変化することによって管体11に対して衝撃力が作用した場合に、管体11とコルゲート管12との衝突を抑制できる。これにより、管体11とコルゲート管12との衝突に起因する騒音の発生を抑制できる。
【0041】
一方、上記構成によれば、例えば全ての谷部22を第1谷部22Aによって構成することで全ての谷部22と管体11との間の隙間を小さくする場合に比べて、コルゲート管12に管体11を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管12に管体11を挿通する作業を容易に行うことができる。
【0042】
(5)軸線方向において互いに隣り合う2つの第1谷部22Aの間には、複数の第2谷部22Bが設けられている。
こうした構成によれば、第1谷部22Aと第2谷部22Bとが軸線方向において交互に設けられる場合に比べて、コルゲート管12に管体11を挿通する際に両者が干渉しにくくなる。このため、コルゲート管12に管体11を挿通する作業を一層容易に行うことができる。
【0043】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・第1実施形態において、複数の谷部22のうちの一部に、突起23を有していないものを設けるようにしてもよい。
・第1実施形態において、1つの谷部22に設けられる突起23の数を適宜変更してもよい。
【0045】
・第1実施形態において、複数の突起23は、周方向において不等間隔にて設けられていてもよい。
・第1実施形態において、突起23は、先細状でなくてもよい。
【0046】
・第1実施形態において、突起23は、山部21に設けられるものであってもよい。
・第2実施形態において、軸線方向において互いに隣り合う2つの第1谷部22Aの間に設けられる第2谷部22Bの数を適宜変更できる。例えば、第1谷部22Aと第2谷部22Bとが軸線方向において交互に設けられるものであってもよい。
【0047】
・第1実施形態及び第2実施形態において、コルゲート管12は、被覆層を有していない、すなわち基管のみによって構成されるものであってもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態において、コルゲート管12の基管は、発泡体でなくてもよい。例えば軟質樹脂材料によってコルゲート管12を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…複合管
11…管体
12…コルゲート管
21…山部
22…谷部
22A…第1谷部
22B…第2谷部
23…突起
23a…傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8